Compaq OpenVMS
OpenVMS Cluster 構成ガイド


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4.12.3 FDDI の距離

FDDI におけるファイバ・パスの最大合計距離は 200 km (125 マイル) となっています。隣接し合う FDDI デバイス間の最大距離は,シングル・モード・ファイバで 40 km,マルチモードファイバで 2 km です。ただし,通信遅延を制御するために,FDDI リングにおける任意の 2 つの OpenVMS Cluster ノード間の距離は,40 km までに制限してください。

4.12.4 FDDI のスループット

FDDI インターコネクトの最大スループット (100 Mb/s) は,Ethernet の 10 倍です。

また,FDDI は大容量パケット (最大 4468 バイト) による転送もサポートしています。大容量パケットを利用できるのは,FDDI で排他的に接続されている FDDI ノードだけです。

FDDI アダプタでは,OpenVMS Cluster プロトコルの処理アシストをしないので, CI や DSSI の場合よりも多くの処理パワーが必要です。

4.12.5 FDDI アダプタとバス・タイプ

以下に示すのは,サポートされている FDDI アダプタとそれらがサポートするバスです。

関連項目: 各アダプタの機能と注文番号については,次の Compaq ウェブ・サイトにアクセスしてください。


http://www.compaq.com/ 

「Products」の下の「Servers」を選択した後に,「AlphaServers」,および関心のある Alpha システムの順に選択します。選択したシステムでサポートされるすべてのオプションに関する詳細情報を入手できます。

4.12.6 FDDI 方式のクラスタのストレージ・サーバ

FDDI 方式の構成では,FDDI によりノード間通信をします。 HS1xx と HS2xx のストレージ・サーバ・ファミリは, OpenVMS Cluster ノードに FDDI 方式のストレージ・アクセスを提供します。


第 5 章
OpenVMS Cluster ストレージ・サブシステムの選択

この章では,ストレージ・サブシステムの設計方法について説明します。設計は次の手順で行います。

  1. ストレージ製品の選択肢

  2. 記憶容量の必要量の見積り

  3. ディスク・パフォーマンス・オプティマイザの決定

  4. ディスクの可用性の必要要件の決定

  5. 項目別の利点とトレードオフの確認:

この章では,これらの手順を詳細に説明します。

5.1 ストレージ製品の選択肢

OpenVMS CLuster のストレージは,SCSI-2 (Small Computer Systems Interface) 標準方式のモジュラ拡張システムである StorageWorks 製品ファミリから選択します。 StorageWorks では,次のモジュラ要素から選択して複雑なストレージ・サブシステムを構成できます。

5.1.1 デバイスの選択基準

ストレージ・デバイスは次の基準で選択してください。

5.1.2 インターコネクトとストレージ・デバイスの選択

OpenVMS Cluster システムには,メンバ・システムからストレージ・デバイスへのアクセスのために,ストレージ・デバイスを OpenVMS Cluster インターコネクトに直接接続できるという利点があります。

OpenVMS Cluster システムでは,次に示すストレージ・デバイスとアダプタを OpenVMS Cluster インターコネクトに接続できます。

表 5-1 は,特定のインターコネクトに接続できるストレージ・デバイスの種類をまとめたものです。

表 5-1 インターコネクト,および接続するストレージ・デバイス
ストレージ・インターコネクト ストレージ・デバイス
CI HSJ コントローラと HSC コントローラと SCSI ストレージ・デバイス
DSSI HSD コントローラ,ISE,SCSI ストレージ・デバイス
SCSI HSZ コントローラと SCSI ストレージ・デバイス
Fibre Channel HSG コントローラと SCSI ストレージ・デバイス
FDDI HS xxx コントローラと SCSI ストレージ・デバイス

5.1.3 設置面積とストレージ・デバイスの選択

床面積当たりの経費が高く,ストレージ・デバイスで大きな床面積を占有したくない場合,次の選択肢があります。

5.2 記憶容量の必要量の決定

記憶容量は,システム・ファイル,アプリケーション・ファイル,ユーザ・ファイルを保存するために必要なストレージ・デバイスの容量です。記憶容量を算出すれば,OpenVMS Cluster 構成に必要な記憶容量が決まります。

5.2.1 記憶容量の必要量の見積り

オンライン記憶容量の必要量を見積もるには, 表 5-2 の説明に従って,OpenVMS Cluster システムのソフトウェアごとに必要なストレージの容量を合算します。

表 5-2 ディスク容量の見積り
ソフトウェア・コンポーネント 説明
OpenVMS オペレーティング・システム OpenVMS オペレーティング・システムに必要なブロック 1 数を見積ります。

関連項目: OpenVMS インストール・マニュアルと SPD (Software Product Description [ソフトウェア仕様書]) を参照してください。

ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイル ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルに必要なディスク容量を AUTOGEN で決定します。

関連項目: 以上のファイル・サイズの計算や変更については,『Compaq OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

サイト固有のユーティリティとデータ サイト固有のユーティリティ,コマンド・プロシージャ,オンライン・ドキュメント,関連ファイルごとのディスク記憶容量の必要量を見積ります。
アプリケーション・プログラム アプリケーション製造元のデータを基に,OpenVMS Cluster システムにインストールするアプリケーションごとの容量を見積もります。

関連項目: SPD (Software Product Description) を参考にして,使用するレイヤ製品の通常の操作に必要な容量を見積もります。

ユーザ作成プログラム ユーザ作成プログラムと付属データベースに必要な容量を見積もります。
データベース 各データベースのサイズを見積もります。この情報は,アプリケーション固有のデータベースに関係するドキュメンテーションに必要です。
ユーザ・データ 以下の指針に基づいてユーザ・ディスク容量の必要量を見積もります。

  • 臨時ユーザには,10,000 ブロックから 100,000 ブロックを割り当てます。

    臨時ユーザは,電子メールの読み取り,書き込み,削除をします。臨時ユーザがプログラムを持つことはほとんどなく,したがって臨時ユーザがファイルを長期間保存することは滅多にありません。

  • 標準ユーザには 250,000 ブロックから 1,000,000 ブロックを割り当てます。

    標準ユーザは,電子通信,オンラインの情報保存にシステムを幅広く使用し,個人使用目的のプログラムも少数使用します。

  • 上級ユーザには,1,000,000 ブロックから 3,000,000 ブロックを割り当てます。

    上級ユーザには,電子メール用の標準システム用以外に,プログラム開発用,データ・ファイル保存用に大量のストレージ領域が必要になります。上級ユーザには,開発や保守管理の対象になるプロジェクトやプログラムの数により,数十万ブロックのストレージ領域が必要となることもあります。

合計必要量 以上の見積り容量の合計が,OpenVMS Cluster システムの構成に現在必要な,ディスク容量の概算容量になります。


1記憶容量の単位はブロックです。1 ブロックは 512 バイトです。

5.2.2 その他のディスク容量の必要量

合計ディスク容量の必要量を決定する前に,オンライン・ストレージやバックアップ・ストレージの将来的な増加量を検討することも可能です。

たとえば,OpenVMS Cluster システムでは,どの程度の割合で新規ファイルが作成されるでしょうか。この値を見積り, 表 5-2 で計算した合計ディスク記憶容量に追加すれば,オンライン・ストレージにおける現在と将来のニーズをより正確に計算することができます。

バックアップ・ストレージの必要量を決定するには,古いデータやアーカイブ・データの扱いを決める必要があります。ほとんどのストレージ・サブシステムでは,新しいファイルが積極的に使用される一方で,古いファイルは使用されなくなります。オンライン・ストレージからバックアップ・ストレージに定期的に古いファイルを移動することで,オンライン・ストレージを新しいファイルに空けることができ,オンライン・ストレージの必要量を制御することができます。

バックアップ・ストレージの容量を適切に維持することで,アーカイブ処理の効果が意味を持つとともに,オンライン・ストレージの必要量を節約することができます。

5.3 ディスク・パフォーマンス・オプティマイザの決定

推定ディスク・パフォーマンス作業負荷の見積りと,作業負荷データの解析により,ディスク・パフォーマンスの必要量を決定することができます。

Monitor ユーティリティと DECamds では,アプリケーションとビジネスのニーズに対して,どのパフォーマンス・オプティマイザが最適であるかを判断できます。

5.3.1 パフォーマンス・オプティマイザ

パフォーマンス・オプティマイザは,アプリケーションとデータ用にストレージのパフォーマンスを強化するためのソフトウェア製品やハードウェア製品です。 表 5-3 は,各種パフォーマンス・オプティマイザの働きをまとめたものです。

表 5-3 ディスク・パフォーマンス・オプティマイザ
オプティマイザ 説明
DECram for OpenVMS システム・マネージャがメモリ内に論理ディスクを作成し,I/O パフォーマンスを強化するために必要なディスク・デバイス・ドライバ。メモリ内 DECram ディスク上のデータは,ハードウェア・ディスク上のデータよりも高速でアクセスできます。DECram ディスクは,Volume Shadowing for OpenVMS でシャドウ・セットにすることができ, MSCP サーバによるサービスも可能です。 1
ソリッド・ステート・ディスク 一般のシステムでは,I/O 要求の約 80% がオンライン保存データの約 20% の部分に集中します。ソリッド・ステート・デバイスは,このデータ・サブセットに必要な高速アクセスを提供します。
ディスク・ストラインピング ディスク・ストラインピング (RAID レベル 0) では,アプリケーションがディスク・ドライブ・アレイを並列にアクセスでき,高いスループットを実現できます。ディスク・ストライピングでは,いくつかのディスクが "ストライプ・セット" にグループ化され,アプリケーション・データは "チャンク" に分割され,これによってデータはストライプ・セット内のディスクに総当たり式に均等に分散します。

アクセス時間が節約されるので,ディスク・ストライピングでは特に以下のアプリケーションでパフォーマンスが向上します。

  • 大量のデータを並列転送する場合。

  • 複数のドライブ間に負荷を分散させる必要がある場合。

ディスク・ストライピングは 2 種類あります。

  • コントローラ方式のストライピング。HSJ コントローラと HSD コントローラがいくつかのディスクを 1 つのストライプ・セットに結合します。このストライプ・セットは,1 つのボリュームとして OpenVMS を構成します。この種のディスク・ストライピングはハードウェア方式です。

  • ホスト方式のストライピング。OpenVMS ホストにストライプ・セットを作成します。OpenVMS ソフトウェアは 1 つの I/O 要求を複数の同時要求に分割し,それをストライプ・セットのディスクに送信します。この種のディスク・ストライピングはソフトウェア方式です。

注意: Volume Shadowing for OpenVMS ソフトウェアをディスク・ストライピングと組み合わせると,ストライプ・セット・メンバを冗長化できます。コントローラ方式のストライプ・セットをシャドウ化したり,ホスト方式のストライプ・セットをシャドウ化することができます。

拡張ファイル・キャッシュ (XFC) OpenVMS Alpha のバージョン 7.3 には,XFC を持つホスト方式のキャッシュが用意されています。これは,仮想 I/O キャッシュ (VIOC) と置き換えることも共存させることもできます。 XFC はクラスタ規模のファイル・システム・データ・キャッシュで, VIOC では使用できなかった機能をいくつか持っています。パフォーマンスを改善する,先読みキャッシングやキャッシュの自動サイズ変更機能などがこれに含まれます。
ディスク・キャッシュ付きコントローラ ストレージ・テクノロジによっては,メモリでディスク・キャッシュを実装するものがあります。キャッシュのデータで対応できるアクセスは,シーク・タイムやローテーション待ち時間なしで即座に処理されます。このようなアクセスでは,I/O 応答時間の 2 つの大きな要素が取り除かれます。HSC コントローラ,HSJ コントローラ,HSD コントローラ, HSZ コントローラにはキャッシュが組み込まれています。RF ディスクと RZ ディスクにはすべて,ディスク・キャッシュが埋め込みコントローラの一部として組み込まれています。


1 MSCP サーバは,直接アクセスが可能なローカル接続ディスクを OpenVMS Cluster 上の他のシステムに開放します。

関連項目: 以上のパフォーマンス・オプティマイザで,OpenVMS Cluster における I/O のスケーラビリティが強化される様子については, 第 10.8 節 を参照してください。

5.4 ディスクの可用性の必要要件の決定

ストレージ・サブシステムでは,可用性はストレージ・デバイスの可用性とデバイスへのパスの可用性によって決まります。

5.4.1 可用性の必要要件

ストレージ・サブシステムの可用性を最適化して強化するには,コストがかかります。可用性コストの解析では,障害発生時に利用できなくなるデータのコストに対してデータ保護に必要なコストを比較検討します。ビジネスの特性によっては,ストレージ・サブシステムの障害による影響は,軽度の影響,中程度の影響,重度の影響に分けることができます。

デバイスとデータの可用性オプションを利用すれば,ストレージ・サブシステムの障害時の影響を緩和したり,場合によっては帳消しにすることができます。


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