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この章では,COM アプリケーションを開発し,運用するために,OpenVMS システム (および必要に応じて Windows NT システム) を構成する方法について説明します。次の COM for OpenVMS ユーティリティについて説明します。
この章では,協調動作するように OpenVMS システムと Windows NT システムを構成する方法についても説明します。
OpenVMS システムで COM for OpenVMS の構成を行う前に,必要なコンポーネントをインストールおよび構成し,COM for OpenVMS をインストールしておかなければなりません。これらの手順については,第 4 章 を参照してください。 |
DCOM$SETUPは,システム管理者が COM for OpenVMS システム環境を構成するのに役立つツール群です。
DCOM$SETUPを実行するには,OpenVMS システム・プロンプトに対して@SYS$STARTUP:DCOM$SETUPと入力します。
「DCOM$SETUP OpenVMS COM Tools」メニューが表示されます。
図 5-1 「DCOM$SETUP OpenVMS COM Tools」メニュー
--------------------------------------------------------- OpenVMS COM Tools 1) DCOMCNFG, COM Configuration Properties 2) GUIDGEN, Globally Unique Identifier Generator 3) Populate the Registry database for COM 4) Start the COM server 5) Stop the COM server 6) Register a COM application 7) Create the DCOM$GUEST account and directory 8) Configure the DCOM$RPCSS accounts H) Help E) Exit Please enter your choice: --------------------------------------------------------- |
オプションを選択するには,オプション番号を入力します。オプションは次のとおりです。
COM for OpenVMS アプリケーションのプロパティの設定と表示に使用します。詳細については,第 5.3 節 を参照してください。
GUID (globally unique identifiers: グローバル一意識別子) をさまざまな形式 (たとえば OpenVMS Registry または Windows NT Registry 形式) で生成します。GUID は各アプリケーションに固有の識別子を割り当てます。
DCOM$SETUPのこのバージョンでは,GUID は OpenVMS Registry および Windows NT Registry 形式でのみ生成されます。他の形式については,第 6.1 節 を参照してください。
OpenVMS Registry データベースをセットアップします。COM for OpenVMS では,特定のキーと値を OpenVMS Registry データベースに追加する必要があります。この操作を行うには,OpenVMS Registry への書き込みアクセス権と,Windows NT の Administrator 権限の両方が必要です。
COM for OpenVMS Server Control Manager サーバ (DCOM$RPCSS) を起動します。DCOM$SETUPはSYS$STARTUP:DCOM$STARTUPプロシージャを呼び出して,サーバを起動します。詳細については,第 5.2.2 項 を参照してください。
COM for OpenVMS Service Control Manager サーバ (DCOM$RPCSS) をシャットダウンします。DCOM$SETUPはSYS$STARTUP:DCOM$SHUTDOWNプロシージャを呼び出して,サーバを停止します。詳細については,第 5.2.2 項 を参照してください。
COM for OpenVMS サーバ・アプリケーションを登録します。次の種類のサーバを登録できます。
プロセス内サーバを登録する場合は,サーバの場所が質問されます。
ローカル・サーバまたはプロセス外サーバを登録する場合は,次の情報が求められます。
これは必須の値です。次の構文を使用してください。
device::[directory]file-name.ext
これは省略可能な値です。タイトルを指定しないと,デフォルト・タイトルが使用されます。
登録が完了すると,次のファイルが生成されます。
これらのファイルを他のシステムで使用する場合は,サーバの現在の場所を示すように path 文を変更しなければなりません。詳細については,第 5.2.3 項 を参照してください。
NTLM 認証なしで COM for OpenVMS を使用するには,DCOM$GUESTアカウントをあらかじめ作成しておかなければなりません。
DCOM$RPCSSAdvanced Server for OpenVMS ユーザ・アカウントと SYSUAF アカウントを構成し,作成します。COM for OpenVMS Service Control Manager (DCOM$RPCSS) では,認証のためにこれらのアカウントが必要です。詳細については,第 5.2.1 項 を参照してください。
各メニュー・オプションのヘルプを表示します。
メニューを終了します。
これらの機能を表示するには,「DCOM$RPCSS OpenVMS COM Tools」メニューからオプション 8 を選択します。次の情報が表示されます。
--------------------------------------------------------- Configure the COM for OpenVMS Service Control Manager (DCOM$RPCSS) accounts 1) Create the DCOM$RPCSS account in both the SYSUAF database and the Advanced Server for OpenVMS SAM database. The password you specify for the new DCOM$RPCSS user is stored in a protected file. 2) Update the DCOM$RPCSS user password in the COM for OpenVMS Service Control Manager password file. E) Exit Please enter your choice: --------------------------------------------------------- |
次のいずれかを入力します。
このオプションを選択すると,DCOM$RPCSSアカウントが SYSUAF データベースと Advanced Server for OpenVMS SAM データベースの両方に作成されます。
DCOM$RPCSS ユーザ用に指定したパスワードは,保護されるファイルに格納され,COM for OpenVMS Service Control Manager はそのファイルを使用して,NTLM ネットワークにログインし,Windows NT アイデンティティを取得します。
このアカウントは,有効期限の切れないパスワードを使用して Advanced Server for OpenVMS データベースに作成されます。この動作を変更するには,(つまり,Advanced Server for OpenVMS ユーザ・ポリシーに従ってパスワードの有効期限が切れるように,アカウントを変更するには),次の操作を行います。
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次のメッセージが表示されます。
To create a new account, you must be logged on to an existing Advanced Server for OpenVMS account that is capable of adding new users. Enter Y[ES] to log on to this account: |
このアカウントを作成するには,PATHWORKS 管理者グループに属していなければなりません。
ログオンするように求められます。入力したパスワードは表示されません。
Enter username: JOSEPHM Password: Confirm password: |
新しいパスワードの入力が求められます。その後,確認のために同じパスワードをもう一度入力するように求められます。入力したパスワードは表示されません。
Enter the new DCOM$RPCSS password. Enter password: Confirm password: |
このパスワードは,SYSUAF アカウント (DCOM$RPCSS) と PATHWORKS ユーザ・アカウント (DCOM$RPCSS) の両方で使用されます。このパスワードは COM for OpenVMS Service Control Manager パスワード・ファイルに格納されます。
次のアカウント作成情報が表示されます。
%PWRK-S-USERADD, user "DCOM$RPCSS" added to domain "DCOM1_DOMAIN" Username: DCOM$RPCSS Owner: COM Account: UIC: [37776,1] ([DCOM$RPCSS]) CLI: DCL Tables: DCLTABLES Default: SYS$SYSDEVICE:[DCOM$RPCSS] LGICMD: Flags: ExtAuth Primary days: Mon Tue Wed Thu Fri Secondary days: Sat Sun No access restrictions Expiration: (none) Pwdminimum: 6 Login Fails: 0 Pwdlifetime: (none) Pwdchange: (pre-expired) Last Login: (none) (interactive), (none) (non-interactive) Maxjobs: 0 Fillm: 100 Bytlm: 64000 Maxacctjobs: 0 Shrfillm: 0 Pbytlm: 0 Maxdetach: 0 BIOlm: 150 JTquota: 4096 Prclm: 8 DIOlm: 150 WSdef: 1024 Prio: 4 ASTlm: 250 WSquo: 4000 Queprio: 4 TQElm: 10 WSextent: 8000 CPU: (none) Enqlm: 2000 Pgflquo: 130000 Authorized Privileges: NETMBX TMPMBX Default Privileges: NETMBX TMPMBX %PWRK-S-HOSTMAPADD, user "DCOM$RPCSS" mapped to host user "DCOM$RPCSS" Press RETURN to continue: |
Advanced Server for OpenVMS SAM データベースで DCOM$RPCSS ユーザ・パスワードを変更する場合は,COM for OpenVMS Service Control Manager パスワード・ファイルのパスワードも更新しなければなりません。
次の操作を行います。
次のメッセージが表示されます。
Enter the new DCOM$RPCSS password. Enter password: Confirm password: |
メニューを終了します。
5.2.2 COM サーバ (DCOM$RPCSS Process)の起動と停止
COM for OpenVMS では,COM サーバ・プロセス (DCOM$RPCSS) が常に動作していることが必要です。OpenVMS 上のDCOM$RPCSSプロセスは,RPCSSプロセスが Microsoft Windows NT 上で提供する COM 実行時環境の機能と同じ機能を提供します。次の機能が提供されます。
DCOM$RPCSSを起動するには,DCOM$SETUPのオプション 4 ("Start") を使用するか ( 第 5.2 節 を参照),SYS$STARTUP:DCOM$STARTUPから COM for OpenVMS スタートアップ・プロシージャを直接呼び出します。
システムでDCOM$RPCSSを停止するには,DCOM$SETUPのオプション 5 ("Stop") を使用するか ( 第 5.2 節 を参照),SYS$STARTUP:DCOM$SHUTDOWNから COM for OpenVMS シャットダウン・プロシージャを直接呼び出します。
5.2.3 アプリケーションの登録
次の例では,COM for OpenVMS キットに添付されている COM for OpenVMS "Simple" アプリケーションを登録する方法について説明します。Windows NT システムでアプリケーションを使用できる場合は,作成される Windows NT ファイルを使用して,サーバを Windows NT システムに登録することができます。
Windows NT システムで "Simple" アプリケーションを作成する場合は,DCOM$EXAMPLES:[SIMPLE]のREADME-SIMPLE.TXTファイルの指示に従ってください。
アプリケーションを登録するには,その前にアプリケーションを作成してコンパイルしておかなければなりません。詳細については,COM for OpenVMS キットに添付されている DCOM$EXAMPLES:[SIMPLE]の例を参照してください。 |
次の操作を行います。
"Simple" アプリケーションにはあらかじめ,CLSID が割り当てられています。 |
例 5-1 OpenVMS での" Simple"アプリケーションの登録例 |
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Enter server type (1. In-Proc 2. Out-Proc): 2 [Return] Enter Local Path (device:[directory]filename.ext): USER:[SMITH]SSERVER.EXE [Return] Enter Application Name (<RETURN> to assign default): COM Simple Server [Return] Does the server have a CLSid {GUID} (Yes/No) [N]: Y [Return] Enter the CLSid (i.e. {xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx}: {5e9ddec7-5767-11cf-beab-00aa006c3606} [Return] Verify Application Information: Application Name: COM SIMPLE SERVER Local Path: USER:[SMITH]SSERVER.EXE Application ID: {5E9DDEC7-5767-11CF-BEAB-00AA006C3606} Is the information correct (Yes/No) [Y]: [Return] Register application (Yes/No)? [Y]: [Return] SETUP-I-NEWFILES, The following files have been created: USER:[SMITH]SSERVER.REG_NT USER:[SMITH]SSERVER.REG_VMS SETUP-I-SRVIN, Server has been registered Press RETURN to continue: [Return] |
Windows NT システムで "Simple" アプリケーションを登録するには,次の操作を行います。
例 5-2 はSSERVER.REG_NTの内容を示しています。
例 5-2 SSERVER.REG_NT の内容 |
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REGEDIT HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{5E9DDEC7-5767-11CF-BEAB-00AA006C3606}\ = DCOM server application SSERVER HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{5E9DDEC7-5767-11CF-BEAB-00AA006C3606}\LaunchPermiss ion = Y HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{5E9DDEC7-5767-11CF-BEAB-00AA006C3606}\LocalServer32 = DEVICE:\SSERVER |
OpenVMS システムで "Simple" アプリケーションを再登録するには,システム・プロンプトに対して次のコマンドを入力します。
$ @SSERVER.REG_VMS |
例 5-3 は SSERVER.REG_VMSコマンド・プロシージャの内容を示しています。
例 5-3 SSERVER.REG_VMS の内容 |
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$ Set noon $ regcp := $regcp $ crekey := $regcp create key $ creval := $regcp create value $ modval := $regcp modify value $ lisval := $regcp list value $ crekey HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{5E9DDEC7-5767-11CF-BEAB-00AA006C3606} $ creval HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{5E9DDEC7-5767-11CF-BEAB-00AA006C3606} - /data="DCOM server application SSERVER" /type=sz $ creval HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{5E9DDEC7-5767-11CF-BEAB-00AA006C3606}/name="AppID" - /data="{5E9DDEC7-5767-11CF-BEAB-00AA006C3606}" /type=sz $ crekey HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{5E9DDEC7-5767-11CF-BEAB-00AA006C3606}\LaunchPermiss ion $ creval HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{5E9DDEC7-5767-11CF-BEAB-00AA006C3606}\LaunchPermiss ion - /data="Y" /type=sz $ crekey HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{5E9DDEC7-5767-11CF-BEAB-00AA006C3606}\LocalServer32 $ creval HKEY_CLASSES_ROOT\CLSID\{5E9DDEC7-5767-11CF-BEAB-00AA006C3606}\LocalServer32 - /data="USER::[SMITH]SSERVER.EXE" /type=sz $ |
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