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クラスタ全体のキュー・マネージャを起動し,キュー・マネージャのキュー・データベース・ファイルをオープンします。 /QUEUE 修飾子はオプションですが,/MANAGER 修飾子は必須です。省略時の設定では,このコマンドは省略時のキュー・マネージャ (SYS$QUEUE_MANAGER) に影響を与えます。省略時のキュー・マネージャ以外のキュー・マネージャを起動するには, /NAME_OF_MANAGER 修飾子を指定します。
詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル』のキュー・マネージャに関する章を参照してください。
OPER(オペレータ) および SYSNAM( システム論理名 ) 特権が必要です。
START/QUEUE/MANAGER [ディレクトリ指定]
ディレクトリ指定
システム・キューと,キュー・データベースのジャーナル・ファイルを含むディレクトリを指定します。キュー・ファイルのファイル・タイプは QMAN$QUEUES で,これにはキュー定義が含まれています。ジャーナル・ファイルのファイル・タイプは QMAN$JOURNAL で,これにはジョブおよびその他の情報が含まれています。システムが予期せずに停止した場合は,キュー・マネージャはジャーナル・ファイル内のジョブおよびその他の情報を使用して,最後の既知状態に戻ります。これらのファイルは,同一ディレクトリ内になければなりません。キュー・ファイルおよびジャーナル・ファイルの,省略時の位置は SYS$COMMON:[SYSEXE] です。これ以外の位置を指定する場合は,オプションの ディレクトリ指定パラメータを指定します。ディレクトリ指定には,少なくとも装置名とディレクトリ名は指定しなければなりません。アスタリスク (*) およびパーセント記号 (%) ワイルドカード文字は使用できません。
ここで指定するディレクトリは,キュー・マネージャを実行するすべてのノードで使用できなければいけません。ディレクトリ指定が隠し論理名の場合は,クラスタ内のすべてのノードで同様に定義されていなければなりません。
キュー・ファイルととジャーナル・ファイルの位置は,キュー・データベースのマスタ・ファイルに格納されます。後続の START/QUEUE/MANAGER コマンドでは,ディレクトリ位置を再度指定する必要はありません。
キュー・データベース・ファルの位置の変更についての詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル』のキュー・マネージャに関する章を参照してください。
START/QUEUE/MANAGER コマンドは,次のように使用します。
- START/QUEUE/MANAGER/NEW_VERSION コマンドを入力して,キュー・データベースを作成し,キュー・マネージャを起動します。一度起動したキュー・マネージャは, STOP/QUEUE/MANAGER/CLUSTER コマンドで明示的に停止させるまで,実行します。
- STOP/QUEUE/MANAGER/CLUSTER コマンドが実行されている場合は,START/QUEUE/MANAGER コマンドを入力して,キュー・マネージャを再起動させます。
- OpenVMS Cluster 環境では,START/QUEUE/MANAGER コマンドに /ON 修飾子を指定すると,キュー・マネージャが実行されるノードのリストを変更することができます。詳細は,/ON 修飾子の説明を参照してください。
- OpenVMS Cluster 環境では,START/QUEUE/MANAGER コマンドを入力すると,キュー・マネージャ・プロセスは /ON 修飾子で指定したリストのうち最初の使用可能なノードで実行されることが,保証されます。このノードで実行しない場合は,キュー・マネージャはサービスに割り込みをかけずに,そのノードに移動します。省略時のノード・リスト(*) を使用している場合は,キュー・マネージャは移動しません。詳細は,/ON 修飾子の説明を参照してください。
キュー・マネージャが省略時の位置以外の位置にあり,複数のシステム・ディスクを持つ OpenVMS Cluster 環境の場合は,論理名 QMAN$MASTER を定義する必要があります。詳細は,『OpenVMS システム管理者マニュアル』のキュー・マネージャとキュー・データベースに関する章を参照してください。
START/QUEUE/MANAGER コマンドを入力してもキュー・マネージャが起動しない場合は,次のメッセージが表示されます。
%JBC-E-QMANNOTSTARTED, queue manager could not be started
このメッセージが表示された場合は,オペレータ・ログ・ファイル SYS$MANAGER:OPERATOR.LOG を探してください ( またはオペレータのコンソールを見てください )。これには,問題についての情報に対してファシリティQUEUE_MANAGE および JOB_CONTROL からのメッセージが含まれています。たとえば,次のコマンドを入力します。
$ SEARCH SYS$MANAGER:OPERATOR.LOG /WINDOW=5 QUEUE_MANAGE,JOB_CONTROL
/ADD
既存のキュー・データベースに,キュー・マネージャを作成して追加することを指定します。既存のキュー・マネージャを指定した場合は,この要求は無視されます。/NAME_OF_MANAGER=名前
省略時の設定以外のキュー・マネージャを作成します。 31 文字までの論理名を指定します。ここで指定した名前は,キュー・マネージャ・プロセスの識別子,および管理するデータベースの一部として使用されます。/NEW_VERSION
/NONEW_VERSION (省略時の設定)
キュー・データベースの新しい(空の)バージョンを指定します。キュー・システムを最初に作成し起動する時は,この修飾子は必須です。この修飾子で既存のキュー・データベースを指定した場合は,既存のマスタ・ファイルとキュー・ファイルは,キュー・データベースの新しいマスタ・ファイルとキュー・ファイルに置き換えられます。ただし,既存のキュー・データベースのジャーナル・ファイルは削除されます。ジョブおよびその他の情報は失われます。
/ON=(ノード[,...])
OpenVMS Cluster 環境において,クラスタ全体で有効なキュー・マネージャを実行するノードを指定します。省略時のノード・リストは,アスタリスク(*) です。キュー・マネージャを実行しているノードがクラスタからはずされた場合は,キュー・マネージャは,クラスタ内の使用可能なノードに自動的にフェールオーバできます。ただし,キュー・マネージャを実行するノードに順序を指定したり,キュー・マネージャを実行するノードを制限したい場合は, /ON 修飾子を指定する必要があります。ユーザが指定したノード・リストは,キュー・データベースに格納されます。 START/QUEUE/MANAGER コマンドが入力されても, /NEW_VERSION 修飾子や /ON 修飾子が指定されない場合は,キュー・データベースに格納された /ON リストは変更されません。
可用性を高めるために,ノード・リストの最後にはアスタリスク(*) を指定してください。これにより,リストに指定されていない他のノードでも,任意の順序でキュー・マネージャを実行することができます。ノード・リストの最後にアスタリスク(*) を指定しない場合は,リストに指定したノードが使用可能な時のみ,キュー・マネージャはフェールオーバできます。ただしキュー・マネージャを実行するノードを制限したい場合はアスタリスク(*) は使用できません。ノード名の一部に,アスタリスク(*) ワイルドカード文字を使用することはできません。
(/ON 修飾子の有無に関わらず)START/QUEUE/MANAGER コマンドを入力すると,ジョブ・コントローラは,現在または以前に /ON 修飾子でキュー・マネージャ・ノードが指定されたかどうかを確認します。ノードを指定していて,リストの最初のノード以外のノードでキュー・マネージャが実行されている場合は,キュー・マネージャ・プロセスは現在のノードから移動し,リストで最初の使用可能なノードで再起動されます。この間も,キューは停止しません。システムへのすべての要求(たとえば PRINT,SUBMIT,SHOW ENTRY 要求)は,正常に終了します。
#1 |
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$ START/QUEUE/MANAGER/NEW_VERSION $ SHOW QUEUE %JBC-E-NOSUCHQUE, no such queue |
この例の START/QUEUE/MANAGER コマンドは,キュー・マネージャを起動し,省略時の位置 SYS$COMMON:[SYSEXE] にキュー・ファイルとジャーナル・ファイルを作成します。キュー・マネージャを実行できるノード・リストには,省略時の値であるアスタリスク(*) を使用しているので,キュー・マネージャはクラスタ内で使用可能な他のノードへフェールオーバすることができます。/NAME_OF_MANAGER 修飾子が指定されていないので,このコマンドは省略時のキュー・マネージャ SYS$QUEUE_MANAGER を起動します。
SYS$COMMON:[SYSEXE] の位置,および /ON 修飾子に指定したアスタリスクは,キュー・データベースに格納されます。新しく作成したキュー・データベースには,キューやジョブはありません。SHOW QUEUE コマンドは,このクラスタではキューが定義されていないことを示します。
#2 |
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$ START/QUEUE/MANAGER/NEW_VERSION - _$ /ON=(SATURN,VENUS,NEPTUN,*) DUA5:[SYSQUE] |
この例の START/QUEUE/MANAGER コマンドは,クラスタ全体でアクセスできるディスク・ボリューム DUA5 上の,ディレクトリ SYSQUE にキュー・ファイルとジャーナル・ファイルを作成します。START/QUEUE/MANAGER コマンドを入力する前に,ディスクをマウントしておかなければなりません。/ON 修飾子は,キュー・マネージャを最初にノード SATURN で実行することを指定しています。SATURN がクラスタからはずされた場合は,キュー・マネージャは VENUS にフェールオーバしようとします。VENUS が使用できない場合は,キュー・マネージャは NEPTUN にフェールオーバしようとします。 NEPTUN も使用できない場合は,キュー・マネージャはクラスタ内の使用可能な任意のノードにフェールオーバします。
#3 |
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$ START/QUEUE/MANAGER/NEW_VERSION - _$ /ON=(SATURN,VENUS,NEPTUN,*) DUA5:[SYSQUE]) . . . $ START/QUEUE/MANAGER |
この例の START/QUEUE/MANAGER コマンドは,前出の例で示すようにキュー・データベースを作成します。キュー・マネージャがノード SATURN で起動されたと仮定します。SATURN がクラスタから削除されると,キュー・マネージャはノード VENUS にフェールオーバします。 SATURN が再度クラスタに追加された場合は,この例の 2 番目の START/QUEUE/MANAGER コマンドを入力して,キュー・マネージャを SATURN に移動させます。
2 番目の START/QUEUE/MANAGER コマンドでは,DUA5:[SYSQUE] パラメータや, /ON 修飾子でノード・リストを指定しません。これは,キュー・データベースには,以前に指定したこれらの情報が格納されているからです。キュー・マネージャは,データベースに格納されている位置のキュー・ファイルやジャーナル・ファイルを使用します。最初の START/QUEUE/MANAGER により格納された /ON リストは,変更されません。
#4 |
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$ START/QUEUE/MANAGER DUA4:[SYSQUE] %JBC-E-QMANNOTSTARTED, queue manager could not be started $ SEARCH SYS$MANAGER:OPERATOR.LOG /WINDOW=5 QUEUE_MANAGE,JOB_CONTROL %%%%%%%%%%% OPCOM 14-DEC-2001 18:55:18.23 %%%%%%%%%%% Message from user QUEUE_MANAGE on QMUNGR %QMAN-E-OPENERR, error opening DUA4:[SYSQUE]SYS$QUEUE_MANAGER.QMAN$QUEUES; %%%%%%%%%%% OPCOM 14-DEC-2001 18:55:18.29 %%%%%%%%%%% Message from user QUEUE_MANAGE on QMUNGR -RMS-F-DEV, error in device name or inappropriate device type for operation %%%%%%%%%%% OPCOM 14-DEC-2001 18:55:18.31 %%%%%%%%%%% Message from user QUEUE_MANAGE on QMUNGR -SYSTEM-W-NOSUCHDEV, no such device available $ START/QUEUE/MANAGER DUA5:[SYSQUE] |
この例の最初の START/QUEUE/MANAGER コマンドは,キュー・ファイルおよびジャーナル・ファイルの位置として装置 DUA4 を指定します。キュー・マネージャが起動されないことを示すエラー・メッセージが表示されます。 SEARCH コマンドでメッセージを含むオペレータ・ログ・ファイルを検索し,装置 DUA4 は存在しないことが分かりました。 2 番目の START/QUEUE/MANAGER コマンドは,正しい装置名 DUA5 を指定しています。
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