Compaq OpenVMS
デバッガ・コマンド・ディクショナリ


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SET EVENT_FACILITY

現在のイベント機能を設定します。

イベント機能は,Ada ルーチンか SCAN ルーチンを呼び出すプログラムまたは POSIX Threads サービスを使用するプログラムで使用できます。


形式

SET EVENT_FACILITY facility-name


パラメータ

facility-name

イベント機能を指定します。次のいずれかの facility-name キーワードを指定できます。

ADA イベント機能を ADA に設定すると,(SET,CANCEL)BREAK コマンドと(SET,CANCEL)TRACE コマンドは,汎用の低レベルのタスク・イベントだけでなく Ada 固有のイベントも認識できます(Ada イベントは,タスク・イベントと例外イベントから構成されます)。

ただし,イベント機能を ADA に設定できるのは,メイン・プログラムが Ada で作成されている場合かプログラムが Ada ルーチンを呼び出す場合だけです。

THREADS イベント機能を THREADS に設定すると,(SET,CANCEL)BREAK コマンドと(SET,CANCEL)TRACE コマンドは,汎用の低レベルのタスク・イベントだけでなく POSIX Threads 固有のイベントも認識できます。POSIX Threads イベントはすべてタスク(スレッド)・イベントです。

イベント機能を THREADS に設定できるのは,共用可能イメージ CMA$RTL が現在プログラム・プロセスの一部である場合(そのイメージが SHOW IMAGE 表示に並んでいる場合)だけです。

SCAN (VAX のみ)イベント機能を SCAN に設定すると,(SET,CANCEL)BREAK コマンドと(SET,CANCEL)TRACE コマンドが SCAN(パターン照合)イベントを認識します。

イベント機能を SCAN に設定できるのは,メイン・プログラムが SCAN で作成されている場合か,プログラムが SCAN ルーチンを呼び出す場合だけです。


説明

現在のイベント機能(ADA,THREADS,または SCAN)は,SET BREAK/EVENT コマンドとSET TRACE/EVENT コマンドで設定できるイベントポイントを定義します。

イベント機能にリンクされているプログラムを開始すると,デバッガはプログラムの種類に適した方法でイベント機能を自動的に設定します。たとえば,メイン・プログラムが Ada(または SCAN)で作成されている場合,イベント機能は ADA(または SCAN)に設定されます。

SET EVENT_FACILITY コマンドを指定するとイベント機能を変更できるので,デバッグ・コンテキストを変更できます。これは,複数言語プログラムを使用していて,現在設定されていないイベント機能に関連したルーチンをデバッグしたい場合に便利です。

VAX プロセッサでは,同じプログラムで Ada タスキング・サービスと POSIX Threads タスキング・サービスの両方を使用することはできません。すなわち,イベント機能は,ADA から SCAN に変換するか,POSIX Threads から SCAN に変換するか,またはその逆に変換するしかできません。

現在のイベント機能に関連しているイベント名を表示するには,SHOW EVENT_FACILITY コマンドを使用します。これらのイベント名は,(SET,CANCEL)BREAK/EVENT コマンドと(SET,CANCEL)TRACE/EVENT コマンドで指定できるキーワードです。

関連コマンド

(SET,CANCEL)BREAK/EVENT
(SET,CANCEL)TRACE/EVENT
SHOW BREAK
SHOW EVENT_FACILITY
SHOW IMAGE
SHOW TASK
SHOW TRACE


DBG> SET EVENT_FACILITY THREADS

このコマンドは,THREADS(POSIX Threads)を現在のイベント機能として設定します。


SET IMAGE

1 つまたは複数の共用可能イメージのシンボル情報をロードし,現在のイメージを設定します。

形式

SET IMAGE [image-name[,...]]


パラメータ

image-name

共用可能イメージを指定します。ワイルドカード文字のアスタリスク(*)は使用できません。代わりに /ALL 修飾子を使用してください。/ALL を指定する場合は,イメージ名は指定できません。

修飾子

/ALL

すべての共用可能イメージを設定することを指定します。

説明

SET IMAGE コマンドは指定された 1 つまたは複数のイメージのデータ構造を作成しますが,指定されたイメージ内のモジュールは設定しません。

現在のイメージとは現在のデバッグ・コンテキストです。アクセスするのは現在のイメージ内のシンボルです。SET IMAGE コマンドで 1 つのイメージだけを指定すると,そのイメージが現在のイメージになります。複数のイメージを並べて指定すると,そのリストで最後のイメージが現在のイメージになります。/ALL を指定すると,現在のイメージは変化しません。

SET IMAGE コマンドでイメージを設定する前に,DCL コマンドの LINK に /DEBUG 修飾子または /TRACEBACK 修飾子を指定してイメージをリンクしなければなりません。/NOTRACEBACK でリンクするとそのイメージのシンボル情報は使用できません。また,SET IMAGE コマンドで指定することもできなくなります。

DEFINE/ADDRESS コマンドと DEFINE/VALUE コマンドで作成した定義は,それらを作成したコンテキストのイメージが現在のイメージである場合だけ使用できます。SET IMAGE コマンドを使用して新しく現在のイメージを設定すると,これらの定義は一時的に使用できなくなります。ただし,DEFINE/COMMAND コマンドまたは DEFINE/KEY コマンドで作成した定義はすべてのイメージで使用できます。

関連コマンド

SET MODE [NO]DYNAMIC
(SET,SHOW,CANCEL)MODULE
(SHOW,CANCEL)IMAGE


DBG> SET IMAGE SHARE1
DBG> SET MODULE SUBR
DBG> SET BREAK SUBR

このコマンド列は,共用可能イメージ SHARE1 の SUBR モジュール内の SUBR ルーチンにブレークポイントを設定する方法を示しています。SET IMAGE コマンドはデバッグ・コンテキストを SHARE1 に設定します。SET MODULE コマンドは SUBR モジュールのシンボル・レコードを実行時シンボル・テーブル(RST)にロードします。SET BREAK コマンドは SUBR ルーチン内にブレークポイントを設定します。


SET KEY

現在のキーの状態を設定します。

注意

このコマンドは,デバッガへの Compaq DECwindows Motif for OpenVMS ユーザ・インタフェースでは使用できません。


形式

SET KEY


修飾子

/LOG(省略時の設定)

/NOLOG

キー状態が設定されていることを示すメッセージを表示するかどうかを制御します。/LOG 修飾子を指定すると,メッセージが表示されます。/NOLOG 修飾子を指定すると,メッセージは表示されません。

/STATE[=state-name]

/NOSTATE(省略時の設定)

現在の状態として設定するキー状態を指定します。GOLD などの定義済みのキー状態や利用者定義状態を指定できます。状態名は英数字文字列です。/NOSTATE 修飾子を指定すると現在の状態は変わりません。

説明

このコマンドを使用する前に,キーパッド・モードにしなければなりません(SET MODE KEYPAD)。キーパッド・モードは省略時の設定です。

省略時の設定では,現在のキー状態は DEFAULT 状態です。ファンクション・キーを定義する場合,DEFINE/KEY/IF_STATE コマンドを使用してキー定義に特定の状態名を割り当てることができます。キーを押したときにその状態が設定されていないと,その定義は処理されません。SET KEY/STATE コマンドを使用すれば,現在の状態を適切な状態に変更することができます。

状態を変更するキー(DEFINE/KEY/LOCK_STATE/SET_STATE で定義されたキー)を押しても,現在の状態を変更できます。

関連コマンド

DELETE/KEY
DEFINE/KEY
SHOW KEY


DBG> SET KEY/STATE=PROG3

このコマンドはキー状態を PROG3 状態に変更します。これで,このキー状態に関連したキー定義を使用できるようになります。


SET LANGUAGE

現在の言語を設定します。

形式

SET LANGUAGE language-name


パラメータ

language-name

言語を指定します。

VAX プロセッサでは,次のいずれかのキーワードを指定できます。

ADA BASIC BLISS C
C_PLUS_PLUS COBOL DIBOL FORTRAN
MACRO PASCAL PLI RPG
SCAN UNKNOWN    

Alpha プロセッサでは,次のいずれかのキーワードを指定できます。

ADA AMACRO BASIC BLISS
C C_PLUS_PLUS COBOL FORTRAN
MACRO MACRO64 PASCAL PLI
UNKNOWN      


説明

デバッガを起動すると,メイン・プログラムを含んでいるモジュールを作成した言語が現在の言語になります。通常,このモジュールはイメージ遷移アドレスを含んでいます。メイン・プログラムと異なるソース言語で作成されたモジュールをデバッグする場合は,SET LANGUAGE コマンドを使用して言語を変更します。

現在の言語設定により,デバッガ・コマンド内で指定した名前,演算子,式の解析方法と解釈方法が決まります。さらに,変数の型,配列,およびレコード構文の種類,整数データの入力と表示の省略時の基数,大文字小文字の区別などの解析方法と解釈方法も決まります。また,言語設定により,ユーザ・プログラムに関連したデータをデバッガがどのように形式化し表示するかも決まります。

データ入力と表示の省略時の基数はほとんどの言語の場合,10 進数です。VAX プロセッサでは,例外は BLISS と MACRO-32 です。これらの省略時の基数は 16 進数です。Alpha プロセッサでは,例外は BLISS と MACRO-32 と MACRO-64 です。これらの省略時の基数は 16 進数です。

コンパイラ生成型を持っていないプログラム記憶位置の省略時の型はロングワード整数です。これは,32 ビットのアプリケーションをデバッグするのに適しています。64 ビット・アドレス空間を使用するアプリケーションをデバッグするには,省略時の型をクォドワードに変更することをお薦めします。SET TYPE QUADWORD コマンドを実行してください。

サポートされない言語でコーディングしたプログラムをデバッグするには SET LANGUAGE UNKNOWN コマンドを使用します。サポートされない言語に対してデバッガの有用性を最大にするために,SET LANGUAGE UNKNOWN は,一部のサポート言語に固有なものを含め大量のデータ形式と演算子をデバッガが受け入れるようにします。

SET LANGUAGE UNKNOWN は,「最も穏やかな」規則を使用しているため,簡単で迅速な予備手段となります。

言語に固有な演算子と構造に関するデバッガ・サポートについての詳しい説明は,ヘルプ・トピック Language_Support を参照してください。

関連コマンド

EVALUATE
EXAMINE
DEPOSIT
SET MODE
SET RADIX
SET TYPE
SHOW LANGUAGE

#1

DBG> SET LANGUAGE COBOL

このコマンドは現在の言語として COBOL を設定します。

#2

DBG> SET LANGUAGE PASCAL

このコマンドは現在の言語として Pascal を設定します。


SET LANGUAGE/DYNAMIC

自動言語設定の状態を切り替えます。

形式

SET LANGUAGE/DYNAMIC


説明

デバッガを起動したとき,現在の言語は,メイン・プログラムを含んでいるモジュールが書かれている言語に設定されています。これは通常はイメージ転送アドレスを含んでいるモジュールです。省略時の設定では,実行されているプログラムの有効範囲が別の言語で書かれているモジュールに変更されると,デバッガは現在の言語をそのモジュールの言語に変更します。

SET LANGUAGE/NODYNAMIC コマンドを使用すると,デバッガが現在の言語を自動的に変更するのを禁止することができます。

関連コマンド

SET LANGUAGE
SHOW LANGUAGE

#1

DBG> SET LANGUAGE/NODYNAMIC

このコマンドは,SET LANGUAGE または SET LANGUAGE/DYNAMIC コマンドが入力されるまで,デバッガが現在の言語を変更するのを禁止します。


SET LOG

SET OUTPUT LOG コマンドを入力したときに,デバッガがログを書き込むログ・ファイルを指定します。

形式

SET LOG file-spec


パラメータ

file-spec

ログ・ファイルのファイル指定を示します。完全なファイル指定を行わないと,デバッガは,欠落しているフィールドの省略時のファイル指定は SYS$DISK:[]DEBUG.LOG であるとみなします。

指定したバージョン番号を持つファイルがすでに存在していると,デバッガは,そのファイルの最後にデバッグ・セッションのログを書き込みます。


説明

SET LOG コマンドはログ・ファイルの名前だけを決定します。すなわち,デバッガは指定されたファイルを作成したり書き込んだりしません。これを指定するのは SET OUTPUT LOG コマンドです。

SET OUTPUT LOG コマンドだけを入力して SET LOG コマンドを入力しないと,省略時の設定によってデバッガは SYS$DISK:[]DEBUG.LOG ファイルに書き込みます。

あるログ・ファイルにデバッガが書き込んでいるときに SET LOG コマンドで別のログ・ファイルを指定すると,デバッガはそれまで書き込んでいたファイルをクローズして,SET LOG コマンドで指定したファイルに書き込みを始めます。

関連コマンド

SET OUTPUT LOG
SET OUTPUT SCREEN_LOG
SHOW LOG

#1

DBG> SET LOG CALC
DBG> SET OUTPUT LOG

この例では,SET LOG コマンドが SYS$DISK:[]CALC.LOG をデバッグのログ・ファイルとして指定します。SET OUTPUT LOG を指定すると,ユーザの入力とデバッガの出力はそのファイルに書き込まれます。

#2

DBG> SET LOG [CODEPROJ]FEB29.TMP
DBG> SET OUTPUT LOG

この例では,SET LOG コマンドが [CODEPROJ]FEB29.TMP をログ・ファイルとして指定します。SET OUTPUT LOG コマンドを指定すると,ユーザの入力とデバッガの出力はそのファイルに書き込まれます。


SET MARGINS

ソース行文字の左端位置と右端位置を指定します。この位置はソース行の表示が開始する位置と終了する位置です。

注意

このコマンドは,デバッガへの Compaq DECwindows Motif for OpenVMS ユーザ・インタフェースでは使用できません。


形式

SET MARGINS rm
lm:rm
lm:
:rm


パラメータ

lm

ソース・コードの行の表示を開始するソース行文字位置です(左マージン)。

rm

ソース・コードの行の表示を終了するソース行文字位置です(右マージン)。

説明

SET MARGINS コマンドはソース行の表示だけを指定します。EXAMINE コマンドなどによる他のデバッガ出力の表示には影響しません。

SET MARGINS コマンドはソース・コードの表示を制御するのに便利です。たとえば,大きくインデントされている場合や長い行を右マージンで自動改行する場合などに使用できます。このような場合,左マージンを設定すればソース・ディスプレイ内にインデント用のスペースが入らなくなります。また右マージンの設定値を(省略時の値 255 から)減らして行を短くし,自動改行されるのを防ぐことができます。

SET MARGINS コマンドは主に行(非画面)モードのときに便利です。行モードでは,SET MARGINS コマンドはコマンド TYPE,EXAMINE/SOURCE,SEARCH,STEP を実行した結果や,ブレークポイント,トレースポイント,ウォッチポイントが検出された場合のソース行の表示を制御します。

画面モードでは,SET MARGINS コマンドは定義済みディスプレイ SRC などのソース・ディスプレイのソース行の表示には影響しません。TYPE コマンドや EXAMINE/SOURCE コマンドの出力はソース・ディスプレイに直接出力されるので,SET MARGINS コマンドはこれらの出力には影響しません。SET MARGINS コマンドは,出力または DO ディスプレイ内に示されるソース・コードの表示(たとえば,STEP コマンドを実行したあと)にだけ影響します。ただし,PF1-PF3 を押して画面モードにした場合,このようなソース・コードは表示されません。このシーケンスは SET MODE SCREEN コマンドだけでなく SET STEP NOSOURCE コマンドも実行して冗長なソース・ディスプレイを削除するからです。

省略時には,デバッガがソース行の文字位置 1 から表示を開始します。これは,ユーザ端末画面では文字位置 9 に相当します。画面の最初の 8 文字は行番号用に予約されており,SET MARGINS コマンドでは操作できません。

番号を 1 つだけ指定すると,デバッガは左マージンを 1 に,右マージンを指定された数に設定します。

2 つの数をコロンで区切って指定すると,デバッガはコロンの左側の数を左マージンに,右側の数を右マージンに設定します。

数を 1 つだけ指定してそのあとにコロンを入力すると,デバッガはその数を左マージンに設定し,右マージンは変更しません。

コロンを入力してそのあとに 1 つの数を指定すると,デバッガはその数を右マージンに設定し,左マージンは変更しません。

関連コマンド

SET STEP [NO]SOURCE
SHOW MARGINS

#1

DBG> SHOW MARGINS
left margin: 1 , right margin: 255
DBG> TYPE 14
module FORARRAY
   14:        DIMENSION IARRAY(4:5,5), VECTOR(10), I3D(3,3,4)
DBG>

この例はソース・コード行の省略時のマージン設定を表示します(1 と 255)。

#2

DBG> SET MARGINS 39
DBG> SHOW MARGINS
left margin: 1 , right margin: 39
DBG> TYPE 14
module FORARRAY 
   14:        DIMENSION IARRAY(4:5,5), VECTOR
DBG>

この例は,右マージンの設定を 255 から 39 に変更するとソース・コード行の表示がどうなるかを示します。

#3

DBG> SET MARGINS 10:45
DBG> SHOW MARGINS
left margin: 10 , right margin: 45
DBG> TYPE 14
module FORARRAY 
   14: IMENSION IARRAY(4:5,5), VECTOR(10),
DBG>

この例は,左右両方のマージンを変更後のソース・コード行の表示を示します。

#4

DBG> SET MARGINS :100
DBG> SHOW MARGINS
left margin: 10 , right margin: 100
DBG>

この例は,左マージン設定はそのままにして右マージン設定だけを変更する方法を示します。

#5

DBG> SET MARGINS 5:
DBG> SHOW MARGINS
left margin: 5 , right margin: 100
DBG>

この例は,右マージン設定はそのままにして左マージン設定だけを変更する方法を示します。


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