Compaq OpenVMS
デバッガ・コマンド・ディクショナリ


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SET MODE

デバッガ・モードを使用可能または使用不可能にします。

形式

SET MODE mode[,...]


パラメータ

mode

デバッガ・モードを使用可能にするか使用不可能にするかを指定します。次のいずれかのキーワードを指定できます。

DYNAMIC 省略時の設定。動的モードを使用可能にします。動的モードを使用可能にすると,デバッガはプログラム実行中にモジュールとイメージを自動的に設定するので,SET MODULE または SET IMAGE コマンドを入力する必要がなくなります。特に,デバッガが実行に割り込みをかける(デバッガ・プロンプトが表示される)場合は,実行が現在中断されているルーチンを含んでいるモジュールとイメージを必ず自動的に設定します。モジュールまたはイメージがすでに設定されている場合,動的モードはそのモジュールとイメージには何の影響も与えません。デバッガはモジュールまたはイメージを自動的に設定するときに情報メッセージを発行します。
NODYNAMIC 動的モードを使用不可能にします。モジュールまたはイメージが設定されると追加メモリが割り当てられるので,性能が下がらないよう動的モードを使用不可能にしたくなることがあります(CANCEL MODULE コマンドと CANCEL IMAGE コマンドでモジュールとイメージを取り消すことによってメモリを解放することもできます)。動的モードを使用不可能にした場合,SET MODULE コマンドと SET IMAGE コマンドで明示的にモジュールとイメージを設定しなければなりません。
G_FLOAT 式で指定した倍精度浮動小数点定数をデバッガが G_FLOAT として解釈することを指定します(プログラム内で宣言された変数の解釈には影響しません)。
NOG_FLOAT 省略時の設定。式で指定した倍精度浮動小数点定数をデバッガが D_FLOAT として解釈することを指定します(プログラム内で宣言された変数の解釈には影響しません)。
INTERRUPT マルチプロセス・プログラムのデバッグの際に有効です。いずれかのプロセスでプログラムの実行が停止されたとき,デバッガはイメージを実行していた他のすべてのプロセスの実行に割り込み,入力を求めるプロンプトを表示します。詳細は,『Compaq OpenVMS デバッガ説明書』を参照してください。
NOINTERRUPT 省略時の設定。マルチプロセス・プログラムのデバッグの際に有効です。いずれかのプロセスでプログラムの実行が停止されたとき,デバッガは他のプロセスに関しては何のアクションも行いません。
KEYPAD

注意

このパラメータは,デバッガへの Compaq DECwindows Motif for OpenVMS ユーザ・インタフェースでは使用できません。

省略時の設定。キーパッド・モードを使用可能にします。キーパッド・モードを使用可能にすると,数値キーパッドのキーを使用して定義済みの機能を実行できます。デバッガ・コマンド(画面モードで便利なもの)の中にはキーパッド・キーにバインドされているものもあります。(ヘルプ・トピック Keypad_Definitions_CI を参照してください。また,現在のキー定義を調べるには SHOW KEY コマンドを使用してください。)DEFINE/KEY コマンドを使用してキー機能を再定義することもできます。

NOKEYPAD

注意

このパラメータは,デバッガへの Compaq DECwindows Motif for OpenVMS ユーザ・インタフェースでは使用できません。

キーパッド・モードを使用不可能にします。使用不可能にすると,数値キーパッドのキーは定義済み機能を果たさなくなります。また,DEFINE/KEY コマンドを使用してデバッガ機能をキーに割り当てることもできなくなります。

LINE 省略時の設定。可能ならば,プログラム記憶位置を行番号で表示することを指定します。
NOLINE デバッガが,プログラム記憶位置を行番号ではなく, routine-name + byte-offset で表示することを指定します。
OPERANDS[= keyword] (VAX のみ)命令を調べるために EXAMINE コマンドを使用したとき,命令,オペランド,オペランドのアドレス,オペランドの内容を表示するように指定します。オペランドがレジスタでない場合に表示する情報のレベルは BRIEF キーワードと FULL キーワードのどちらを使用するかで異なります。省略時の設定は OPERANDS=BRIEF です。
NOOPERANDS (VAX のみ。省略時の設定。)命令を調べるために EXAMINE コマンドを使用したときに,命令とオペランドを表示するように指定します。
SCREEN

注意

このパラメータは,デバッガへの Compaq DECwindows Motif for OpenVMS ユーザ・インタフェースでは使用できません。

画面モードを使用可能にします。画面モードを使用可能にすると,端末の画面を長方形の領域に分割して,各領域にそれぞれ別のデータを表示することができます。画面モードでは,省略時の設定(行単位の非画面モード)より多くの情報をもっと都合よく表示できます。また,定義済みのディスプレイを使用することも,自分で定義することもできます。

NOSCREEN

注意

このパラメータは,デバッガへの Compaq DECwindows Motif for OpenVMS ユーザ・インタフェースでは使用できません。

省略時の設定。画面モードを使用不可能にします。

SCROLL

注意

このパラメータは,デバッガへの Compaq DECwindows Motif for OpenVMS ユーザ・インタフェースでは使用できません。

省略時の設定。スクロール・モードを使用可能にします。スクロール・モードを使用可能にすると,画面モード出力や DO ディスプレイは,生成されるたびに行ごとにスクロールすることによって更新されます。

NOSCROLL

注意

このパラメータは,デバッガへの Compaq DECwindows Motif for OpenVMS ユーザ・インタフェースでは使用できません。

スクロール・モードを使用不可能にします。スクロール・モードを使用不可能にすると,画面モード出力や DO ディスプレイは,コマンド 1 つにつき 1 回だけ更新されます(出力が生成されるたびに 1 行ずつ更新されるわけではありません)。スクロール・モードを使用不可能にすると,発生する画面更新回数が少なくなり,処理速度が遅い端末では便利です。

SEPARATE (VWS を実行するワークステーションにだけ適用します。)デバッガの入出力用に別ウィンドウを作成することを指定します。画面用プログラムでは,プログラムの入出力を含めすべてのデバッガの表示がウィンドウ内で移動させられてしまうので,この機能を使用すると便利です。別ウィンドウは高さ 24 行,幅 80 桁で,VT シリーズの端末画面をエミュレートします。
NOSEPARATE (省略時の設定。VWS を実行するワークステーションだけに適用します。)デバッガの入出力用に別ウィンドウを作成しないことを指定します。
SYMBOLIC 省略時の設定。シンボリック・モードを使用可能にします。シンボリック・モードを使用可能にすると,(可能ならば)アドレス式で示した記憶位置をシンボルで表示し,(可能ならば)命令オペランドをシンボルで表示します。EXAMINE/NOSYMBOLIC を指定すると,EXAMINE コマンドの実行中,SET MODE SYMBOLIC を上書きできます。
NOSYMBOLIC シンボリック・モードを使用不可能にします。シンボリック・モードを使用不可能にすると,デバッガは数値アドレスをシンボル化しません(デバッガは数字を名前に変換しません)。これは,シンボリック名ではなく数値アドレスを表示するときに便利です(これらのアドレスに対応するシンボリック名が存在する場合)。シンボリック・モードを使用不可能にするとデバッガは数値から名前に変換する必要がないので,コマンド処理はいくらか速くなります。EXAMINE/SYMBOLIC を使用すると,EXAMINE コマンドの実行中,SET MODE NOSYMBOLIC を上書きできます。
WAIT 省略時の設定。WAIT モードを使用可能にします。WAIT モードでは,デバッガは制御下にあるすべてのプロセスが停止するのを待ってから,新しいコマンドの入力を求めるプロンプトを表示します。詳細は,『Compaq OpenVMS デバッガ説明書』を参照してください。
NOWAIT WAIT モードを使用不可能にします。NOWAIT モードでは,デバッガは一部またはすべてのプロセスが実行中であっても,ただちに新しいコマンドの入力を求めるプロンプトを表示します。


説明

SET MODE コマンドについて詳しくは,パラメータの説明を参照してください。これらのモードの省略時の値はどの言語の場合も同じです。

関連コマンド

EVALUATE
EXAMINE
DEFINE/KEY
DEPOSIT
DISPLAY
(SET,SHOW,CANCEL)IMAGE
(SET,SHOW,CANCEL)MODULE
SET PROMPT
(SET,SHOW,CANCEL)RADIX
(SET,SHOW)TYPE
(SHOW,CANCEL)MODE
SYMBOLIZE


DBG> SET MODE SCREEN

このコマンドはデバッガを画面モードにします。


SET MODULE

現在のイメージ内のモジュールのシンボル・レコードをそのイメージの実行時シンボル・テーブル(RST)にロードします。

注意

現在のイメージはメイン・イメージ(省略時の設定)か,または SET IMAGE コマンドで現在のイメージとして設定されたイメージのどちらかです。


形式

SET MODULE [module-name[,...]]


パラメータ

module-name

シンボル・レコードを RST にロードする現在のイメージのモジュールを指定します。ワイルドカード文字のアスタリスク(*)は使用できません。代わりに /ALL 修飾子を使用してください。/ALL または /CALLS を指定する場合は,モジュール名は指定できません。

修飾子

/ALL

現在のイメージ内のすべてのモジュールのシンボル・レコードを RST にロードすることを指定します。

/CALLS

呼び出しスタック上に現在ルーチンを持っているすべてのモジュールを設定します。モジュールがすでに設定されている場合,/CALLS はそのモジュールに何の影響も与えません。

/RELATED(省略時の設定)

/NORELATED

(Ada プログラムに適用される。)指定されたモジュールに WITH 句またはサブユニット関係によって関連づけられたモジュールのシンボル・レコードを RST にロードするかどうかを制御します。ロードをすると,Adaプログラムのソース・コード内で参照したのと全く同じデバッガ・コマンド内の関連するモジュールで宣言されている名前を参照できます。

説明

プログラム内で宣言したシンボルをデバッガが認識し正しく解釈するには,シンボル・レコードがRST内に存在しなければなりません。モジュールのシンボル・レコードを RST にロードするプロセスは, モジュールの設定 といいます。

デバッガは,その起動時に遷移アドレスを含んでいるモジュール(メイン・プログラム)を設定します。省略時の設定では,動的モードが使用可能です(SET MODE DYNAMIC)。このため,デバッガはプログラムが実行するときにモジュール(およびイメージ)を自動的に設定して,あとで必要なときにシンボルを参照できるようにします。特に,実行が中断している場合は必ず,実行を中断しているルーチンを含んでいるモジュールとイメージをデバッガは設定します。Adaプログラムの場合は,モジュールが動的に設定されると,省略時には関係するモジュールも自動的に設定され,正しいシンボルにアクセスできるよう(可視状態)にします。

動的モードは,参照する必要のあるシンボルのほとんどにアクセスできるようにします。まだ設定されていないモジュール内のシンボルを参照しなければならないときは,次のようにします。

動的モードが使用不可能にしてあるとき(SET MODE NODYNAMIC)には,遷移アドレスを含んでいるモジュールだけが自動的に設定されます。それ以外のモジュールは明示的に設定しなければなりません。

SET IMAGE コマンドを使用して新しいイメージを設定する場合,すでに設定されているモジュールはすべて設定されたままです。ただし,アクセスできるのは,現在のイメージで設定されているモジュール内のシンボルだけです。他のイメージで設定されているモジュール内のシンボルに一時的にアクセスすることはできません。

動的モードが使用可能な場合,RST の増加するサイズに対応できるように,メモリは自動的に割り当てられます。動的モードが使用不可能な場合,ユーザがモジュールまたはイメージを設定したために必要になった余分なメモリをデバッガが自動的に割り当てます。動的モードが使用可能な場合も使用不可能な場合も,設定するモジュール数が増えて性能に問題が生じたら CANCEL MODULE コマンドを使用して設定モジュール数を削減してください。

SET SCOPE コマンド内のパラメータがまだ設定されていないモジュール内のプログラム記憶位置を指定すると,SET SCOPE コマンドがそのモジュールを設定します。

Ada プログラムに固有な情報については,ヘルプ・トピック Language_Support Ada を参照してください。

関連コマンド

(SET,SHOW,CANCEL)IMAGE
SET MODE [NO]DYNAMIC
(SHOW,CANCEL)MODULE

#1

DBG> SET MODULE SUB1

このコマンドは SUB1 モジュールを設定します(SUB1 モジュールのシンボル・レコードを RST にロードします)。

#2

DBG> SET IMAGE SHARE3
DBG> SET MODULE MATH
DBG> SET BREAK %LINE 31

この例では,SET IMAGE コマンドが共用可能イメージ SHARE3 を現在のイメージにします。SET MODULE コマンドは SHARE3 イメージ内の MATH モジュールを設定します。SET BREAK コマンドは MATH モジュールの行 31 にブレークポイントを設定します。

#3

DBG> SHOW MODULE/SHARE
module name           symbols   language   size 
 
FOO                   yes       MACRO       432 
MAIN                  no        FORTRAN     280
    ...
SHARE$DEBUG           no        Image         0 
SHARE$LIBRTL          no        Image         0 
SHARE$MTHRTL          no        Image         0 
SHARE$SHARE1          no        Image         0 
SHARE$SHARE2          no        Image         0 
 
total modules: 17.              bytes allocated: 162280.
DBG> SET MODULE SHARE$SHARE2
DBG> SHOW SYMBOL * IN SHARE$SHARE2

この例では,SHOW MODULE/SHARE コマンドが,現在のイメージとすべての共用可能イメージ(共用可能イメージの名前の前には "SHARE$" が付きます)内のすべてのモジュールを表示します。SET MODULE SHARE$SHARE2 コマンドは共用可能イメージ・モジュール SHARE$SHARE2 を設定します。SHOW SYMBOL コマンドは共用可能イメージ SHARE2 内で定義された任意のユニバーサル・シンボルを表示します。詳しい説明は SHOW MODULE/SHARE コマンドを参照してください。


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