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この章では,日本語 EVE の各コマンドについて説明します。コマンドの説明はアルファベット順になっています。この章で説明する内容の大部分は,日本語 EVE オンライン・ヘルプにもなっています。ですから,本書が手元にない場合でも,日本語 EVE コマンドについての説明はいつでもオンライン・ヘルプで参照することができます。日本語 EVE オンライン・ヘルプには,各日本語 EVE コマンド,その他の機能についてのトピックが含まれています。
日本語 EVE コマンドを入力するには,つぎの 2 つの方法があります。
[Do] または [PF4] を押し, Command: プロンプトの後にコマンドを入力する。
(定義済みキーは,各キーパッドによって異なります。定義済みキーについては, 付録 A を参照してください。)
@ init-filespec
init-filespec
実行するイニシャライゼーション・ファイル名。省略時のファイル・タイプは .EVE です。ファイル指定に論理名を使用することができます。たとえば,イニシャライゼーション・ファイルがある装置名またはディレクトリ名に SYS$LOGIN や他の論理名を使用できます。
また,1 つの編集セッションで複数のイニシャライゼーション・ファイルを使用できますが,1 度に実行できるのは1つだけです。ファイル名を指定しなかった場合には,ファイル名を要求するプロンプトが,コマンド・ウィンドウに表示されます。操作を中止したいときは,プロンプトに対して何も入力せずに [ Return ] キーか,あるいは [ Do ] キーを押してください。
ファイル名にワイルドカードを使用することはできません。
指定したイニシャライゼーション・ファイルを実行します。イニシャライゼーション・ファイルを使用すると,右マージンや左マージンなどの設定や,キーの定義などのためのいくつかのコマンドを一度に実行することができます。イニシャライゼーション・ファイルの中では,コマンドはそれぞれ独立した行に書かなければならず,継続行は認められません。イニシャライゼーション・ファイルの中で指定されたコマンドが不完全で,さらにキーワードやパラメータなどを必要とする場合には,イニシャライゼーション・ファイルの実行中に必要な情報を要求するプロンプトが表示されます。しかし通常は,個々のコマンド行がコマンド・ラインに表示されることはありません。コメント行は感嘆符 ( ! ) で始めて,コマンドとは別の行に書きます。イニシャライゼーション・ファイルを入れ子にすることはできませんので,イニシャライゼーション・ファイルの中で @ コマンドを使用することはできません。
次の例は,日本語 EVE イニシャライゼーション・ファイルを示しています。このイニシャライゼーション・ファイルには,編集方法を設定するためのコマンドと,キーを定義するためのコマンドが登録されています。
! MYINIT.EVE initialization file ! SET CURSOR BOUND SET RIGHT MARGIN 70 SET TABS SPACES ! Key definitions SET KEYPAD EDT DEFINE KEY= Ctrl/P PAGINATE DEFINE KEY= GOLD-KP9 CENTER LINE DEFINE KEY= GOLD-N NEXT BUFFER DEFINE KEY= F20 SHOW BUFFERS
イニシャライゼーション・ファイルを使用すれば,一連の関連コマンドを一度に実行することもできます。たとえば,編集セッション中にイニシャライゼーション・ファイルを用いて,ウィンドウ幅や右マージンを大きくすることができます。
! EVE init file for editing wide text SET WIDTH 132 SET RIGHT MARGIN 120
@ コマンドを使用した場合と,/INITIALIZATION 修飾子などを用いて,日本語 EVE の起動時にイニシャライゼーション・ファイルを実行した場合とでは,バッファごとの設定が異なります。
- @ コマンドを用いて,SET RIGHT MARGIN などのバッファ設定のコマンドを実行した場合には,現在のバッファにのみ適用されます。
- 日本語 EVE 起動時にイニシャライゼーション・ファイルを実行した場合には,バッファ設定のコマンドは MAIN (あるいは最初の) バッファ, $DEFAULTS$ と呼ばれる日本語 EVE のシステム・バッファ,および起動後にユーザが作成したバッファのすべてに適用されます。
イニシャライゼーション・ファイルについての詳しい説明は, 第 2 章 を参照してください。
次のコマンドは,トップ・ディレクトリ(または,ログイン・ディレクトリ)にある MYINIT.EVE というイニシャライゼーション・ファイルを,編集中に実行します。
Command: @ sys$login:myinit 初期化ファイルを実行しています: DISK$1:[PUPPY]MYINIT.EVE;1
ADD KINSOKU
- LEFT
- RIGHT
string
LEFT
行頭禁則文字に追加することを指定します。RIGHT
行末禁則文字に追加することを指定します。string
行頭禁則文字または行末禁則文字に追加する文字列です。 2 文字以上を同時に指定することもできます。
禁則文字の追加を行います。TARO キーパッドのコマンド・ラインでは,かな漢字変換をすることができません。 TARO キーパッドを使用している場合は,ADD KINSOKU LEFT コマンドまたは ADD KINSOKU RIGHT コマンドを入力した後, [ Return ] キーを押してください。文字列を要求するプロンプトが表示されますので,そこでかな漢字変換を行ってください。
日本語 EVE 標準の行頭禁則文字,および行末禁則文字は以下のとおりです。
- 行頭禁則文字
,、。.:;!?ー・’゜゛”]})」〉〕》】』ヽヾゝゞ々〃
- 行末禁則文字
‘“[{(「〈〔《【『〜
ATTACH [process-name]
process-name
ATTACHするプロセス名またはサブプロセス名を指定(省略可能)します。プロセス名は大文字と小文字が区別され,1〜15文字の英数字でなければなりません。プロセス ID を指定することはできません。プロセス名またはサブプロセス名を指定しなかった場合には,日本語 EVE は親プロセスにATTACHします。
編集セッションを一時中断し,ターミナルを他のプロセスまたはサブプロセスに再接続します。ATTACHコマンドは新しくプロセスを生成するのではないので,すでに存在しているプロセスまたはサブプロセスにしか再接続できません。ATTACHコマンドとSPAWNコマンドを日本語 EVE の内部や DCL レベル,あるいは MAIL などの他のユーティリティの内部で使用すると,VMS セッション(またはログイン)全体を通じて編集セッションを有効にしておくことができ,日本語 EVE は継続的にエディタとして使用されます。このようにすれば,編集をただちに再開できますが,より多くのシステム資源が必要になります。
ATTACHするプロセスの名前を確認する場合には,DCL の SHOW PROCESS/SUBPROCESS コマンドを使用します。
/DISPLAY=DECWINDOWS 修飾子を使用して日本語 EVE を起動した場合には, ATTACHコマンドはサポートされません。
次の例では,まず DCL コマンド・レベルの SPAWN コマンドで PUPPY_1 というサブプロセスを作成すると同時に,そこで MEMO.TXT というファイルを編集する日本語 EVE を起動しています。MEMO.TXT を編集中に日本語 EVE でATTACHコマンドを実行すると,親プロセスである PUPPY に ATTACH します。DCL レベルでの作業が終了し, DCL コマンドの ATTACH PUPPY_1 を実行すると,サブプロセスPUPPY_1での編集セッションが再開されます。日本語 EVE を終了すると,同時にサブプロセスも終了し,制御は親プロセスPUPPYに戻されます。
$ SPAWN EDIT/XTPU memo.txt %DCL-S-SPAWNED,プロセス PUPPY_1 が生成されました。 %DCL-S-ATTACHED,ターミナルはプロセス PUPPY_1 にアタッチされました。 . . [ サブプロセス PUPPY_1 で MEMO.TXT を編集中 ] . Command: ATTACH %DCL-S-RETURNED, control returned to process PUPPY $ . . [ DCL レベル(プロセス PUPPY)] . $ ATTACH PUPPY_1 . . [ サブプロセス PUPPY_1 で MEMO.TXT を編集中 ] . Command: EXIT %DCL-S-RETURNED, control returned to process PUPPY
BOTTOM
カーソルを現在のバッファの最後に移動します。ただし,カーソルがすでにそこに位置している場合には,カーソルは移動しません。バッファの最後は [End of file] として表示されますカーソルがフリー・カーソル( SET CURSOR FREE を参照)であり,バッファがウィンドウの長さより短い場合には,[End of file] を越えてカーソルを移動できます。このような場合には,次に何か力するなどの編集操作を行った時点で [End of file] の位置が適切に変更されます。
次のコマンドは,カーソルの置かれている位置からバッファの最後までのテキストを選択します。
Command: SELECT カーソルを動かして,テキストを SELECT してください Command: BOTTOM
BOX COPY
BOX SELECTコマンドなどで選択されたボックス領域を削除せずに Insert Here バッファに複写します。通常はBOX SELECT コマンドで選択されるボックス領域に対して使用します。
SELECTコマンドによる通常の連続した選択領域に対して BOX COPYコマンドを実行すると選択の開始点と終了点を結ぶ線を対角線とするボックス領域のみを複写します。
複写したボックス領域はBOX PASTEコマンドにより任意の場所に回復できます。
BOX CUT
BOX SELECTコマンドにより選択されたボックス領域を切り取り, Insert Here バッファにその内容を格納します。
切り取ったボックス領域の内容は,BOX PASTEコマンドを使用して任意の場所に回復することができます。
BOX CUTおよびBOX PASTEコマンドの動きは SET BOX [NO]PADコマンドの設定により異なります。 SET BOX [NO]PADコマンド( SET BOX PAD を参照)の設定によりそれぞれ以下のような動きになります。
設定 BOX CUTおよびBOX PASTEコマンドの動き SET BOX PAD(省略時設定) 削除したボックス領域の後は空白で置き換えられます。ボックス領域の右にあるテキストのカラム位置は変わりません。回復したときには,ボックス領域は既存の文字の上に上書きされます。 SET BOX NOPAD バッファのモードに依存して動きが変わります。バッファが挿入モード(Insert)のときには,ボックス領域を削除した後は空白で置き換えられません。そのため,そのボックス領域を閉じるように領域の右にあったテキストは左に移動します。また,ボックス領域が回復されると,下にあったテキストは右に押し出されます。 バッファが重ね書きモード(Overstrike)のときには,省略時と同様に削除したボックス領域の後を空白で埋め,回復は上書きで行います。
SET BOX [NO]PADコマンド( SET BOX PAD を参照)の設定に関係なく明示的に上のどちらかの動作をさせたい場合には BOX CUT INSERTまたはBOX CUT OVERSTRIKE コマンドを使用してください。
もし unmodifiable 属性(ステータス・ラインの右から3つめがUnmodifiable)のバッファ上でBOX CUTコマンドを実行した場合,BOX COPYコマンドと同じようにボックス領域を切り取らずに Insert Here バッファにその内容を格納します。
現在のバッファが Buffer List バッファである時,BOX CUTコマンドを使用することにより,バッファの削除を行うことができます。カーソルを Buffer List 上の削除したいバッファのバッファ名の上に移動し,BOX CUTコマンドを使用してください。Buffer List はSHOW BUFFERコマンドで表示できます。
BOX CUT INSERT
ボックス領域を挿入モードの動きで切り取ります。ボックス領域を削除した後を空白で埋めません。そのため,削除したボックス領域の右にあるテキストはその領域を閉じるように左に移動します。
これは,SET BOX NOPAD の設定 ( SET BOX NOPAD を参照 ) で挿入モードのバッファ上で,BOX CUT コマンドを実行した場合と同じ動きになります。
削除したボックス領域は任意の場所に回復することができます。
BOX CUT OVERSTRIKE
ボックス領域を重ね書きモードの動きで切り取ります。ボックス領域を削除した後を空白で置き換えます。削除したボックス領域の右にあるテキストのカラム位置は変わりません。
BOX CUTコマンドは省略時にはこの動きに設定されています。
削除したボックス領域は任意の場所に回復することができます。
BOX PASTE
Insert Here バッファに格納されているボックス領域を画面上に回復します。現在のカーソル位置がボックス領域の左上の角にあたるように領域が回復されます。
BOX PASTEコマンドの動きはSET BOX [NO]PADコマンドの設定( SET BOX PAD を参照)により異なり,それぞれ以下のような動きになります。
設定 BOX PASTE コマンドの動き SET BOX PAD バッファのモードにかかわらず,ボックス領域を上書きで回復します。 SET BOX NOPAD バッファが挿入モードの場合には,ボックス領域は挿入され,下にあるテキストは右に押し出されます。バッファが重ね書きモードの場合にはテキストの上に上書きで回復します。
SET BOX [NO]PADコマンド( SET BOX PAD を参照)の設定に関係なく,明示的に動きを決めたい場合には BOX PASTE OVERSTRIKEか BOX PASTE INSERTコマンドのどちらかを使用してください。
BOX PASTE INSERT
Insert Here バッファに格納されているボックス領域を,挿入モードの動きで画面上に回復します。ボックス領域が挿入されると,下にあったテキストは右に押し出されます。現在のカーソル位置がボックス領域の左上角にあたるようにボックス領域を挿入します。
省略時の設定では,回復されるボックス領域は下にあるテキストの上に上書きされます。これは BOX PASTE OVERSTRIKE コマンドを実行した場合と同じ動きです。しかし BOX PASTE INSERT を明示することにより,挿入モードで回復できます。
BOX PASTE INSERTコマンドの動きは,SET BOX PAD コマンドを実行した挿入モードのバッファ上で, BOX PASTE コマンドを実行する場合と同じ動きになります。
BOX PASTE OVERSTRIKE
Insert Here バッファに格納されているボックス領域を,重ね書きモードの動きで画面上に回復します。ボックス領域は既存のテキストの上に上書きされます。現在のカーソル位置がボックス領域の左上角にあたるようにボックス領域を挿入します。
BOX PASTEコマンドの省略時設定は,この動きになっています。
BOX SELECT
画面上の四角形の領域をボックス領域として選択します。選択したボックス領域に対して,様々な操作を加えることができます。
- 選択を開始する位置にカーソルを移動します。通常はカーソル位置が選択するボックス領域の左上角になります。
- BOX SELECT コマンドを使用します。もし SET BOX SELECT コマンドを使用している場合には SELECT コマンドを使用してもかまいません。
- ボックス領域を選択するためにカーソルを移動します。この時,始点とカーソル位置を結ぶ線を対角線とする四角形が,ボックス領域として選択されます。
選択したボックス領域に対して,BOX COPY, BOX CUT, FILL, REMOVE,
UPPERCASEなどのコマンドやキーを使って編集を加えることができます。SET BOX SELECTコマンドを使用すると,SELECTコマンドは BOX SELECTコマンドと同じ動きをするように設定されます。
選択を解除したいときはRESET( [ GOLD ] - [ SELECT ] ) か,あるいはもう一度 SELECTかBOX SELECTコマンドを使用してください。
現在のバッファが Buffer List バッファである時,BOX SELECTコマンドを使用してバッファの内容を表示させることができます。Buffer List 上の選択したいバッファ名の上にカーソルを移動し,BOX SELECTコマンドを使用してください。
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