日本語 Compaq OpenVMS
日本語ユーティリティ
利用者の手引き


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1.5.2 プロセスのロケールを表示する

プロセスの現在のロケールを知るためには,以下のコマンドを入力して,ロケールの設定を表示させます。

〈形式〉


 JSYCP> SHOW LOCALE 

以下のようにロケール情報が表示されます。


 現在のロケールは JA_JP_DECKANJI2000 です。 

LC_CTYPE, LC_COLLATE, LC_TIME, LC_NUMERIC, LC_MONETARY, LC_MESSAGES および LC_ALL の各論理名が設定されていた場合は,追加の情報メッセージを表示します。

〈修飾子〉

/FULL

以下のようにプロセスの現在のロケールについての詳細な情報を表示します。


    現在のロケールは JA_JP_SDECKANJI です。 
    論理名 SYS$HELP の値は SYS$SYSROOT:[SYSHLP.JA_JP] です。 
    論理名 HLP$LIBRARY の値は SYS$SYSROOT:[SYSHLP]HELPLIB.HLB です。 
    論理名 SYS$MESSAGE の値は SYS$SYSROOT:[SYSMSG.JA_JP] です。 
    論理名 UTIL$SMGSHR の値は JSY$SMGSHR です。 
    論理名 SMG$DEFAULT_CHARACTER_SET の値は SDK です。 
    端末の入力コードは KANJI に設定されています。 
    端末のマルチバイト行編集は ENABLE されています。 
 
    ファイル名コードセットは sdeckanji に設定されています。 
    ファイル名解析スタイルは EXTENDED に設定されています。 

1.6 かな漢字変換の制御

日本語入力プロセス (FIP) や日本語 EVE エディタ等で使用するローマ字かな漢字変換の設定を行います。

漢字変換キーパッドの設定
漢字変換辞書の設定

1.6.1 漢字変換キーパッドを設定する

日本語入力プロセス (FIP) や日本語 EVE エディタ等で使用するローマ字かな漢字変換キーパッドをを設定するためには,以下のコマンドを入力します。

〈形式〉


 JSYCP> SET INPUT /KEYPAD=キーパッド・タイプ 

キーパッド・タイプには,文字列を指定できます。大文字/小文字の違いは無視されます。

表 1-4 キーパッド・タイプ
キーワード 説明
JVMS 日本語 OpenVMS 標準キーパッド
EVEJ EVEJ エディタ・キーパッド
LEIA LEIA エディタ・キーパッド
TARO 一太郎 1キーパッド


1一太郎は株式会社ジャストシステムの登録商標です

以下の設定が行なわれます。

設定されたキーパッドは,以下の機能および日本語ユーティリティでのローマ字かな漢字変換に使用できます。

日本語入力プロセス (FIP)
日本語 EVE エディタ (JEVE)
日本語メール・ユーティリティ (JMAIL)
個人辞書編集ユーティリティ (JDICEDIT)
デバッガの日本語拡張機能 (DEBUG)
日本語画面管理ライブラリ (JSMG)

注意

日本語 EVE エディタの漢字変換キーパッドの設定は,日本語 EVE エディタの SET KEYPAD コマンドまたは SET CONVERSION コマンドでも設定できます。

また,この設定は JEVE$CNVKEY.DAT ファイルに記憶されるので,次回ログインした時にも設定は有効です。

1.6.2 漢字変換辞書の設定

個人辞書 (JSYKOJIN.JISHO) と文節学習辞書 (JSY$LEARN.DAT) に関する各種設定を行います。詳細は『日本語ライブラリ 利用者の手引き』を参照してください。

〈形式〉


 JSYCP> SET INPUT /KOJIN_DICTIONARY[=個人辞書ファイル] 
                  /KOJIN_LEARN[=個人辞書学習モード] 
                  /KOJIN_MODE[=個人辞書共有モード] 
                  /LEARN_DICTIONARY[=文節学習辞書ファイル] 

〈修飾子〉

/KOJIN_DICTIONARY[=個人辞書ファイル]

論理名 JSY$KOJIN を設定し,指定された個人辞書ファイルを漢字変換に使用します。通常はユーザのログイン・ディレクトリの JSYKOJIN.JISHO を使用します。


/KOJIN_LEARN[=個人辞書学習モード]

個人辞書ファイルを他のプロセスと共有するか否かを設定します。以下の値を設定できます。通常は漢字・ひらがな・カタカナおよび文節学習モードです。

表 1-6 個人辞書学習モード
数値 説明
0 漢字・ひらがな・カタカナおよび文節学習モード
1 漢字・ひらがな・カタカナ学習モード
2 漢字・ひらがな学習モード
3 漢字・カタカナ学習モード
4 漢字学習モード


/KOJIN_MODE[=個人辞書共有モード]

個人辞書ファイルを他のプロセスと共有するか否かを設定します。以下の値を設定できます。通常は共有モードです。

表 1-7 個人辞書共有モード
数値 説明
0 共有モード
1 学習モード
2 参照モード
3 不使用モード


/LEARN_DICTIONARY[=文節学習辞書ファイル]

論理名 JSY$LEARN を設定し,指定された文節学習辞書ファイルを漢字変換に使用します。通常はユーザのログイン・ディレクトリの JSY$LEARN.DAT を使用します。

1.6.3 漢字変換キーパッドを表示する

漢字変換キーパッドの設定を知るためには,以下のコマンドを入力します。

〈形式〉


 JSYCP> SHOW INPUT 

以下のように設定が表示されます。


    日本語入力の変換キーパッドは JVMS です。 

論理名 IM$PROFILE の設定と JEVE$CNVKEY の設定とが違っている場合は,追加の情報メッセージを表示します。

〈修飾子〉

/FULL

漢字変換キーパッドの設定に加えて,漢字変換辞書の設定情報も表示します。

1.7 すべての設定の詳細を表示する

日本語環境設定ユーティリティの制御するすべての設定を詳しく表示するには,以下のコマンドを入力します。

〈形式〉


  JSYCP> SHOW ALL 

以下のように表示されます。


        JSYCP> show all 
        現在のロケールは JA_JP_SDECKANJI です。 
        論理名 SYS$HELP の値は SYS$SYSROOT:[SYSHLP.JA_JP] です。 
        論理名 HLP$LIBRARY の値は SYS$SYSROOT:[SYSHLP]HELPLIB.HLB です。 
        論理名 SYS$MESSAGE の値は SYS$SYSROOT:[SYSMSG.JA_JP] です。 
        論理名 UTIL$SMGSHR の値は JSY$SMGSHR です。 
        論理名 SMG$DEFAULT_CHARACTER_SET の値は SDK です。 
        端末の入力コードは KANJI に設定されています。 
        端末のマルチバイト行編集は ENABLE されています。 
 
        ファイル名コードセットは sdeckanji に設定されています。 
        ファイル名解析スタイルは EXTENDED に設定されています。 
 
        日本語入力の変換キーパッドは省略時の JVMS です。 
        日本語 EVE の変換キーパッドは TARO に設定されています。 
        個人辞書は省略時の DISK$USER:[MYDIR]JSYKOJIN.JISHO;1 です。 
        文節学習辞書は省略時の DISK$USER:[MYDIR]JSY$LEARN.DAT;1 です。 
        論理名 JSY$KOJIN_MODE は定義されていません (0 が適用されます)。 
        論理名 JSY$KOJIN_LEARN は定義されていません (0 が適用されます)。 
        JSYCP> 

1.8 注意事項

この節では,日本語環境設定ユーティリティを使用する際の注意点を説明します。

1.8.1 バッチ処理について

日本語環境設定ユーティリティはインタラクティブ・ログイン専用です。バッチ処理およびコマンド・プロシージャ中では使用できません。

1.8.2 サブプロセス・クォータについて

日本語環境設定ユーティリティは内部的にサブプロセスを 1 個,自動的に作成して動作します。したがって,ユーティリティを起動するとサブプロセス・クォータを 1 消費します。サブプロセス・クォータに余裕がない場合は使用できません。


第 2 章
日本語メール・ユーティリティ (JMAIL)

この章では,日本語メール・ユーティリティ (JMAIL) について説明します。

2.1 機能概要

日本語メール・ユーティリティ JMAIL は Compaq OpenVMS 標準の MAIL ユーティリティに日本語入力の機能およびエディタとして XTPU/JEVE の呼び出しを追加したものです。このユーティリティによって,次のことを行うことができます。

メール・ファイルなどは JMAILとMAIL で共通に使用され,どちらを使用しても同じメール・ファイルを読むことができます。

詳しくは『 Compaq OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。

2.2 JMAIL コマンド

この節では,JMAIL コマンドの形式,パラメータ,修飾子について説明します。


JMAIL

日本語メール・ユーティリティを起動します。

形式

JMAIL [ファイル指定] [ 宛先利用者名 [,...] ]


パラメータ

ファイル指定

指定した利用者に送りたい文章を含むファイルを指定します。RMS が日本語モードの場合には,最大 118 文字までの日本語ファイル名を指定できます。ファイル・タイプを省略した場合には TXT が適用されます。ワイルドカード文字は使用できません。

ファイル指定を省略した場合は日本語メール・ユーティリティが起動され,会話的にコマンドを実行します。

宛先利用者名 [,...]

メッセージを受け取る1人または複数の利用者を指定します。メッセージを含むファイルが指定された場合はこのパラメータも必要です。利用者名はその利用者がログインするときに使用する名前です。遠隔ノードにいる利用者には遠隔ノードの名前の後に2つのコロン (::)を付けたものを利用者名の前につける必要があります。

日本語 OpenVMS V6.2 より,トランスポート名または引用符を指定しなくても,インターネット形式の宛先を指定できます。

たとえば,日本語 DEC TCP/IP Services がインストールされている場合,V6.2 より前のバージョンの日本語 OpenVMS では,次のように指定します。


SMTP%"user@node.org"  

これが V6.2 以降では次のように指定することができます。


user@node.org 

インターネット・トランスポートが SMTP でない場合,論理名 MAIL$INTERNET_TRANSPORT を定義して,別のトランスポートを選択できます。 user@node 構文は,DECnet Phase IV ノード名または DECnet/OSI 別名を指定する時にも使用できます。この場合, node::user として処理されます。

利用者名を複数指定するには,利用者名を含む配布リスト・ファイルを指定する方法があります。単に配布リスト・ファイルの前に単価記号(@)を付け引用符(")で囲むだけです。配布リスト・ファイルには1行につき1人の利用者名を記述します。

遠隔ノード上の利用者についても前述のとおりです。

配布リスト・ファイルのファイル・タイプを省略したときは DIS が適用されます。ファイル指定にはワイルドカード文字は使用できません。


ファイル指定および宛先利用者名を指定して使用する場合に有効な修飾子

/PERSONAL_NAME=個人名

メッセージを送信するときに使用する送信者の個人名を指定します。RMS が日本語モードの場合には,最大 118 文字までの日本語ファイル名を指定できます。この修飾子によって指定された個人名は SET PERSONAL_NAME で指定した省略時の個人名より優先されます。 /NOPERSONAL_NAME は,個人名なしで送ることを指定します。

/SELF

メッセージのコピーを自分自身にも送ることを指定します。

/SUBJECT=文字列

メッセージの表題を指定します。文字列に空白や日本語が含まれる場合,または大文字変換をしたくないときには引用符 (") で囲んでください。この修飾子を省略した場合には,メッセージは表題なしで送られます。

会話的に JMAIL を使用する場合有効な修飾子

/EDIT=[(send,reply[=extract],forward)]

SEND,REPLY および FORWARD コマンドで /EDIT を省略時設定とします。

2.3 使用例

この節では日本語メール・ユーティリティの使用例を示します。

  1. JMAIL を会話型で使用する場合。


    $ JMAIL 
    JMAIL> 
    


    自動的にローマ字かな漢字変換キーパッドが有効になります。

  2. PROJECT.DOC という名前のファイルを利用者 IWASAWA および KOBAYASHI に New Project という表題をつけて送る場合。


    $ JMAIL/SUBJECT="New Project" PROJECT.DOC IWASAWA,KOBAYASHI 
    


  3. NEWSLETTR.TXT という名前のファイルを USERS.DISというファイルに登録されているすべての利用者に送る場合。表題は,Vacation Policy Change です。


    $ JMAIL/SUBJECT="Vacation Policy Change" NEWSLETTR "@USERS" 
    

2.4 フォルダについて

フォルダは,受信したメッセージを分類するためにあります。日本語メール・ユーティリティによって用意されるフォルダは,次の3種類です。

表 2-1 JMAILフォルダの一覧
フォルダ名 内容
NEWMAIL 未読の受信メッセージが置かれる
MAIL 1度読んだ受信メッセージが置かれる
WASTEBASKET DELETE コマンドで削除した受信したメッセージが一時的に置かれる(メール・ユーティリティを終了するまでの間)

また,各々の利用者は利用者定義のフォルダを作成することもできます。フォルダを作成するには,JMAIL コマンドの MOVE を使用します。

フォルダ名には英小文字も使用できます。ただし,その場合はフォルダ名を二重引用符で囲む必要があります。なお日本語のフォルダ名はサポートされません。

2.5 キーパッドについて

VT100 キーボード /LK201 キーボード /LK401 キーボードでは, 図 2-1 に示すようにコマンドをキーパッドに定義していますので,キーパッドの使用により,コマンド入力を簡単にすることができます。

注意

LEIA 漢字変換キーパッドを使用する場合は,JMAIL のキーパッドは無効になり,漢字変換キーパッドが優先されます。


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