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この節では,OpenVMS バージョン 7.2 以前での夏時間の調整方法について説明します。
DTSS (Distributed Time Synchronization Services) を使用している場合は, DTSS が標準時間と夏時間を切り替えます。 第 6.1.1 項 を参照してください。 |
ローカル・タイムを夏時間や標準時間に調整するには, SYS$EXAMPLES:DAYLIGHT_SAVINGS.COM を実行します。このコマンド・プロシージャは次のことを実行できます。
DAYLIGHT_SAVINGS.COM は次の両方の操作を行うことができます。
次の例 DAYLIGHT_SAVINGS.COM では,コマンド・プロシージャにバッチ・ジョブ DST_CHANGE を発行させる応答例を示しています。このバッチ・ジョブ (DST_CHANGE) は標準時間から夏時間に切り替わった時に発行されます。 第 6.3.2 項 に多くの質問が説明されています。
例の中では,当初の TDF の値は -5:00 です。ローカル日付けとローカル時刻は,標準時刻の変更が行われた 2000 年の任意の時点から,夏時間の変更が行われる 2001 年 4 月 23 日の 02:00 までの間に設定できます。
$ SYS$EXAMPLES:DAYLIGHT_SAVINGS This procedure queues a batch job that changes the system time and system time differential around a daylight saving time change. Press the question mark (?) key at any time for help; hit Control-C to exit. The Time Differential Factor (TDF) is the difference between your system time and Coordinated Universal Time (UTC). The difference is expressed in hh:mm format. The Americas have negative offsets from UTC, while Europe, Africa, Asia and Australia have positive offsets from UTC. * Enter the Time Differential Factor: -4:00 [Return] If this is a seasonal time change, it may also be necessary to modify the system time. Generally, seasonal time changes result in adding 1:00 hour, or adding -1:00 hour to the local time. * Do you wish to modify the local system time [N]: Y [Return] Enter the time value you would like to add to the local time. The value can be a positive or a negative (-hh:mm) value. * Enter the time value: +1:00 [Return] The process to modify your time zone offset and local time (if supplied) can occur now or in the future. Press Return to run the job now. * Enter the run time in the DD-MMM-YYYY:HH:MM:SS format: 01-apr-2001:02:00 [Return] NEW SYSTEM TIME DIFFERENTIAL FACTOR = -4:00. ADDING 1:00 TO THE LOCAL TIME. JOB RUN TIME : 1-APR-2001:02:00 * Continue? [Y]: Y [Return] Job DST_CHANGE (queue SYS$BATCH, entry 2) holding until 1-APR-2001 02:00 Batch Job DST_CHANGE scheduled to run at 1-APR-2001:02:00 $ $!!The batch job DST_CHANGE will run on 1-Apr-2001 at 02:00 |
6.6 バッテリ付き時計 (BBW) を使用した時刻の設定 (Alpha のみ)
OpenVMS Alpha アーキテクチャは,バッテリ付き時計 (BBW) により,電源の障害時やシステムダウンがあっても現在の時刻と日付を保持しています。 BBW は VAX アーキテクチャにおける日付時刻レジスタ (TODR) と機能的に同等です。唯一の違いは,保持する日付けに範囲がある点です。
BBW は 100 年分だけの記憶容量を持っています。 OpenVMS Alpha のシステム日付時刻の範囲は再定義され, 1957 から 2056 までに変更されました。これにより,閏年の処理や千年の境界移行についての処理を,正しく行うことができます。
さらに OpenVMS Alpha 同期メカニズムに変更が加えられ, $ASCTIM システム・サービスと DCL の SET TIME コマンドでの, 2 桁 (下位 2 桁) による西暦がサポートがされるようになりました (この変更が行われる以前は,4 桁の西暦年数だけが使用できました)。 2 桁指定のサポートにより,ユーザは年数を入力する際に,下位 2 桁だけを入力するだけでよくなりました。西暦年数の上位 2 桁は,Alpha がサポートする日付の範囲 (1957 〜 2056) に対応する年数により決まります。次に例を示します。
$ SET TIME = 1-NOV-98 |
この例では 98 は 1998 と同じ意味です。
$ SET TIME = 1-NOV-05 |
この例では,05 は 2005 と同じ意味です。
6.7 言語,日付/時刻形式の選択
英語以外の言語を指定することができます。ユーザは,システム管理者が定義したリストから,後で,表示に使用する言語を選択することができます。
多くの SHOW コマンド用に,事前定義リストから時刻/日付形式を選択したり,新しい時刻/日付形式を定義したりすることができます。
SHOW TIME コマンドには,この機能は含まれていません。これは,SHOW TIME コマンドは完全に DCL によって処理され,DCL は,出力の書式化に必要な LIB$ ルーチンへのアクセス権を持たないためです。 さらに,バッチ処理とプリント処理のための SHOW コマンドが変更され,省略時の時刻印字に,時間と分だけでなく秒も含まれるようになりました。この新しい機能は,以前にはマニュアルに記載されていませんでした。 |
たとえば,15-JAN-2001 10:16:25.14 の代わりに,次のような別の形式を使用することができます。
$ SHOW USERS OpenVMS User Processes at JANUARY 15, 2001 10:16 AM Total number of users = 7, number of processes = 11 Username Node Interactive Subprocess Batch MCDERMOT ARD26B 1 PASTERNAK ARD26B - 2 1 . . . |
ユーザは後で,システム管理者が設定したシステムの省略時の値を上書きして,独自の日付/時刻形式を選択することができます。
英語以外の言語や,省略時の設定以外の日付/時刻形式を使用するには,次の手順を実行します。
以下の手順は,コマンド・プロシージャ SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM. にできるだけ含めるようにしてください。 |
Help/Message 言語の変形は,将来のリリースの OpenVMS,または,各国ごとに利用可能になるでしょう。 |
英語以外の言語のリストを定義するには,SYS$LANGUAGES (複数形) 論理名を使用します ( 第 6.7.4 項 で説明するように,ユーザは後で,このリストから,プロセスで表示に使用する言語を選択することができます)。
英語は省略時の言語であるため,常に使用可能でなければなりません。そのため,英語のスペルは論理名の変換からは取り除かれず,内部テーブルで調べられます。
たとえば,フランス語,ドイツ語,イタリア語を指定するには,次のように SYS$LANGUAGES を定義する必要があります。
$ DEFINE SYS$LANGUAGES FRENCH, GERMAN, ITALIAN |
別の言語,たとえばフィンランド語を追加するには,SYS$LANGUAGES の定義に FINNISH を追加して,コマンド・プロシージャを再度実行します。
6.7.2 LIB$DT_STARTUP.COM の起動
SYS$MANAGER:LIB$DT_STARTUP.COM コマンド・プロシージャは,次の論理名について,可能な選択肢を定義します。
コマンド・プロシージャを起動するには,次のコマンドを入力します。
$ @SYS$MANAGER:LIB$DT_STARTUP |
SYS$LANGUAGES を変換できない場合,英語が使用されます。LIB$DT_FORMAT または形式に関連する論理名を変換できない場合には,日付と時刻について, OpenVMS の標準 ($ASCTIM) の表示形式,つまり dd-mmm-yyyy hh:mm:ss.cc が使用されます。
6.7.3 システムの省略時の日付/時刻形式の定義
省略時の日付/時刻形式を定義するには, 表 6-2 に示すユーザ定義形式か, 表 6-3 と 表 6-4 に示す事前定義形式を使用することができます。
日付または時刻,あるいはその両方の形式を選択するには,次の論理名を使用して,LIB$DT_FORMAT の論理名を定義します。
この論理名が LIB$DT_FORMAT に定義されている順序で,出力の順序が決まります。両方とも出力するよう定義すると,この 2 つの要素の間にある出力文字列にスペースが 1 つ挿入されます。たとえば,システム単位の形式を定義する場合は,次のようになります。
$ DEFINE/SYSTEM LIB$DT_FORMAT LIB$DATE_FORMAT_006, LIB$TIME_FORMAT_012 |
この定義により,次の例のように,システム単位で,日付が指定された形式で表示され,その後にスペースが 1 つと,指定された形式の時刻が表示されます。
13 JAN 97 9:13 AM |
第 6.7.4 項 で,プロセスに表示する独自の日付/時刻形式をユーザが選択する方法を説明します。
6.7.3.1 独自の形式の定義
独自の形式を定義するには, 表 6-2 に示すニーモニックを使用して,LIB$DATE_FORMAT_nnn と LIB$TIME_FORMAT_nnn を定義します。 nnn は,選択した数字に置き換えます。
ユーザ定義の形式の場合には,_nnn に対して _500 以上の値を使用するようにしてください。 |
日付 | 説明 |
---|---|
!D0 | 日,ゼロ詰め (Day, Zero-Filled) |
!DD | 日,充填なし (Day, No Fill) |
!DB | 日,空白詰め (Day, Blank-Filled) |
!WU | 曜日,大文字 (Weekday, Uppercase) |
!WAU | 曜日,短縮形,大文字 (Weekday, Abbreviated, Uppercase) |
!WC | 曜日,1 文字目が大文字 (Weekday, Capitalized) |
!WAC | 曜日,短縮形,1 文字目が大文字 (Weekday, Abbreviated, Capitalized) |
!WL | 曜日,小文字 (Weekday, Lowercase) |
!WAL | 曜日,短縮形,小文字 (Weekday, Abbreviated, Lowercase) |
!MAU | 月,アルファベット,大文字 (Month, Alphabetic, Uppercase) |
!MAAU | 月,アルファベット,短縮形,大文字 (Month, Alphabetic, Abbreviated, Uppercase) |
!MAC | 月,アルファベット,1 文字目が大文字 (Month, Alphabetic, Capitalized) |
!MAAC | 月,アルファベット,短縮形,1 文字目が大文字 (Month, Alphabetic, Abbreviated, Capitalized) |
!MAL | 月,アルファベット,小文字 (Month, Alphabetic, Lowercase) |
!MAAL | 月,アルファベット,短縮形,小文字 (Month, Alphabetic, Abbreviated, Lowercase) |
!MN0 | 月,数字,ゼロ詰め (Month, Numeric, Zero-Filled) |
!MNM | 月,数字,充填なし (Month, Numeric, No Fill) |
!MNB | 月,数字,空白詰め (Month, Numeric, Blank-Filled) |
!Y4 | 年,4 桁 (Year, 4 Digits) |
!Y3 | 年,3 桁 (Year, 3 Digits) |
!Y2 | 年,2 桁 (Year, 2 Digits) |
!Y1 | 年,1 桁 (Year, 1 Digit) |
時刻 | 説明 |
!H04 | 時間,ゼロ詰め,24 時間表示 (Hours, Zero-Filled, 24-Hour Clock) |
!HH4 | 時間,充填なし,24 時間表示 (Hours, No Fill, 24-Hour Clock) |
!HB4 | 時間,空白詰め,24 時間表示 (Hours, Blank-Filled, 24-Hour Clock) |
!H02 | 時間,ゼロ詰め,12 時間表示 (Hours, Zero-Filled, 12-Hour Clock) |
!HH2 | 時間,充填なし,12 時間表示 (Hours, No Fill, 12-Hour Clock) |
!HB2 | 時間,空白詰め,12 時間表示 (Hours, Blank-Filled, 12-Hour Clock) |
!M0 | 分,ゼロ詰め (Minutes, Zero-Filled) |
!MM | 分,充填なし (Minutes, No Fill) |
!MB | 分,空白詰め (Minutes, Blank-Filled) |
!S0 | 秒,ゼロ詰め (Seconds, Zero-Filled) |
!SS | 秒,充填なし (Seconds, No Fill) |
!SB | 秒,空白詰め (Seconds, Blank-Filled) |
!C7 | 1 秒未満,7 桁 (Fractional Seconds, 7 Digits) |
!C6 | 1 秒未満,6 桁 (Fractional Seconds, 6 Digits) |
!C5 | 1 秒未満,5 桁 (Fractional Seconds, 5 Digits) |
!C4 | 1 秒未満,4 桁 (Fractional Seconds, 4 Digits) |
!C3 | 1 秒未満,3 桁 (Fractional Seconds, 3 Digits) |
!C2 | 1 秒未満,2 桁 (Fractional Seconds, 2 Digits) |
!C1 | 1 秒未満,1 桁 (Fractional Seconds, 1 Digit) |
!MIU | AM/PM 表示,大文字 (Meridiem Indicator, Uppercase) |
!MIC | Am/Pm 表示,1 文字目が大文字 (Meridiem Indicator, Capitalized (mixed case)) |
!MIL | am/pm 表示,小文字 (Meridiem Indicator, Lowercase) |
表 6-3 は,事前定義の日付形式の論理名,形式,およびその形式を使用して生成した出力例を示しています。形式の指定に使用したニーモニックは, 表 6-2 に示しています。
日付形式の論理名 | 形式 | 例 |
---|---|---|
LIB$DATE_FORMAT_001 | !DB-!MAAU-!Y4 | 13-JAN-1998 |
LIB$DATE_FORMAT_002 | !DB !MAU !Y4 | 13 JANUARY 1998 |
LIB$DATE_FORMAT_003 | !DB.!MAU !Y4 | 13.JANUARY 1998 |
LIB$DATE_FORMAT_004 | !DB.!MAU.!Y4 | 13.JANUARY.1998 |
LIB$DATE_FORMAT_005 | !DB !MAU !Y2 | 13 JANUARY 98 |
LIB$DATE_FORMAT_006 | !DB !MAAU !Y2 | 13 JAN 98 |
LIB$DATE_FORMAT_007 | !DB.!MAAU !Y2 | 13.JAN 98 |
LIB$DATE_FORMAT_008 | !DB.!MAAU.!Y2 | 13.JAN.98 |
LIB$DATE_FORMAT_009 | !DB !MAAU !Y4 | 13 JAN 1998 |
LIB$DATE_FORMAT_010 | !DB.!MAAU !Y4 | 13.JAN 1998 |
LIB$DATE_FORMAT_011 | !DB.!MAAU.!Y4 | 13.JAN.1998 |
LIB$DATE_FORMAT_012 | !MAU !DD, !Y4 | JANUARY 13, 1998 |
LIB$DATE_FORMAT_013 | !MN0/!D0/!Y2 | 01/13/98 |
LIB$DATE_FORMAT_014 | !MN0-!D0-!Y2 | 01-13-98 |
LIB$DATE_FORMAT_015 | !MN0.!D0.!Y2 | 01.13.98 |
LIB$DATE_FORMAT_016 | !MN0 !D0 !Y2 | 01 13 98 |
LIB$DATE_FORMAT_017 | !D0/!MN0/!Y2 | 13/01/98 |
LIB$DATE_FORMAT_018 | !D0/!MN0-!Y2 | 13/01-98 |
LIB$DATE_FORMAT_019 | !D0-!MN0-!Y2 | 13-01-98 |
LIB$DATE_FORMAT_020 | !D0.!MN0.!Y2 | 13.01.98 |
LIB$DATE_FORMAT_021 | !D0 !MN0 !Y2 | 13 01 98 |
LIB$DATE_FORMAT_022 | !Y2/!MN0/!D0 | 98/01/13 |
LIB$DATE_FORMAT_023 | !Y2-!MN0-!D0 | 98-01-13 |
LIB$DATE_FORMAT_024 | !Y2.!MN0.!D0 | 98.01.13 |
LIB$DATE_FORMAT_025 | !Y2 !MN0 !D0 | 98 01 13 |
LIB$DATE_FORMAT_026 | !Y2!MN0!D0 | 980113 |
LIB$DATE_FORMAT_027 | /!Y2.!MN0.!D0 | /98.01.13 |
LIB$DATE_FORMAT_028 | !MN0/!D0/!Y4 | 01/13/1998 |
LIB$DATE_FORMAT_029 | !MN0-!D0-!Y4 | 01-13-1998 |
LIB$DATE_FORMAT_030 | !MN0.!D0.!Y4 | 01.13.1998 |
LIB$DATE_FORMAT_031 | !MN0 !D0 !Y4 | 01 13 1998 |
LIB$DATE_FORMAT_032 | !D0/!MN0/!Y4 | 13/01/1998 |
LIB$DATE_FORMAT_033 | !D0-!MN0-!Y4 | 13-01-1998 |
LIB$DATE_FORMAT_034 | !D0.!MN0.!Y4 | 13.01.1998 |
LIB$DATE_FORMAT_035 | !D0 !MN0 !Y4 | 13 01 1998 |
LIB$DATE_FORMAT_036 | !Y4/!MN0/!D0 | 1998/01/13 |
LIB$DATE_FORMAT_037 | !Y4-!MN0-!D0 | 1998-01-13 |
LIB$DATE_FORMAT_038 | !Y4.!MN0.!D0 | 1998.01.13 |
LIB$DATE_FORMAT_039 | !Y4 !MN0 !D0 | 1998 01 13 |
LIB$DATE_FORMAT_040 | !Y4!MN0!D0 | 19980113 |
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