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表 9-14 は,テープ・ボリュームをマウントするときに使用可能なMOUNTコマンド修飾子の一部について説明したものです。 MOUNTコマンド修飾子のすべてについては,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
ボリュームが標準ラベルでボリュームへのアクセスが許可されていない場合は,特に指定しない限り,これらの修飾子を使用するためには VOLPRO 特権が必要です。
修飾子 | 説明 |
---|---|
/BLOCKSIZE= n | 磁気テープのブロック・サイズを指定する。 n の有効な値の範囲は,ボリュームの密度,データは入力用か出力用か,操作は OpenVMS RMS を使用するかによって異なる。省略時の設定では,システムは 2048 ブロック書き込む。 |
/CACHE=TAPE_DATA | OPER 特権が必要。テープ・コントローラが書き込みキャッシュをサポートしていれば,テープ装置用の書き込みキャッシュを有効にする。 /NOCACHE が,テープ装置マウント用の省力時の値である。
書き込みキャッシュを有効にするには,TAPE_DATA を指定しなければならない。書き込みバッファは,テープをディスマウントした後でも有効である。 |
/FOREIGN | ボリュームがオペレーティング・システムで使用されている標準のフォーマットでないことを示す。 |
/HDR3 | 特殊ヘッダ・ラベルがテープ・ボリュームに書き込むかどうか制御する。省略時の値は /HDR3 である。 |
/[NO]MOUNT_VERIFICATION | 磁気テープのマウント検証機能を有効または無効にする。省略時の設定では,マウント検証機能は有効である。装置がオフラインである場合や書き込みロックされている場合,マウント検証は,オペレータにエラーの状態を通知し,エラー状態の前後のボリューム識別子が同一であるかチェックする。
$ MOUNT/SYSTEM/NOMOUNT_VERIFICATION MUA1: ACCOUNTS_DUE |
/OVERRIDE=
キーワード |
MOUNT コマンドが実行する 1 つまたは複数のアクセス・チェックを禁止する。次に例を示す。
$ MOUNT/OVERRIDE=IDENTIFICATION MFA0: このコマンドは,ボリューム識別子フィールドを上書きするので,ラベル指定なしで,磁気テープを MFA0: にマウントする。 |
/OWNER_UIC= uic | ボリューム上に記録されている所有権を上書きし,指定された UIC がマウント中にボリュームの所有権を割り当てられるように要求する。または,ボリュームを /FOREIGN 修飾子でマウントしている場合,ユーザの現在の UIC のかわりに所有者 UIC を要求する。 |
/PROCESSOR=
キーワード |
磁気テープと Files--11 構造レベル 1 ディスクの場合, MOUNT コマンドは従属制御プロセス (ACP) と関連してボリュームを処理するよう要求する。
/PROCESSOR 修飾子を使用するには,オペレータ・ユーザ特権 OPER を所有している必要がある。 以下にキーワードを示す。
/PROCESSOR 修飾子によって,MOUNT は, ACP が装置に関連する省略時の方式を上書きする。次に例を示す。
この MOUNT コマンドは,現在 MTA1: 装置と関連するのと同じ ACP プロセスを使って,磁気テープを MFA0: にマウントする。 |
/PROTECTION=
コード |
マウント中,ボリュームに割り当てられる保護コードを指定する。詳細は 第 9.4.2 項 を参照。 |
/RECORDSIZE= n | 磁気テープ・ボリュームの各レコード中の文字数を指定する。ボリュームが第 2 ヘッダ・ラベルのないファイルを持つ場合 (RT--11 ボリュームなど) や,/FOREIGN 修飾子でボリュームをマウントしている場合に,この修飾子を使って RMS に固定長レコードのサイズと可変長レコードの最大サイズを提供する。 |
テープ・ボリュームのマウントでは,その他,/INITIALIZE と /AUTOMATIC の 2 つの修飾子が重要であり,これら修飾子については,それぞれ 第 9.8.2.2 項 と 第 9.8.2.3 項 で説明します。
$ MOUNT MU: TEST_FILES %MOUNT-I-OPRQST, Please mount volume TEST_FILES in device _MUA2: %MOUNT-I-MOUNTED, TEST_FILES mounted on _MUA2: |
この例の MOUNT コマンドは,使用可能な RA90 装置に TEST_FILES というラベルのボリュームをマウントするよう要求しています。 MOUNT からの応答に示された装置にボリュームを物理的にマウントした時点で,マウント処理は終了です。装置は自動的に MOUNT によって割り当てられます。
処理に成功すると,MOUNT はメッセージで通知するとともに,そのメッセージを SYS$OUTPUT に送ります。何らかの理由で失敗すると,エラー・メッセージを表示します。
9.5.3 マウント中のユーザのマウント支援
大規模なサイトでは,しばしば,ユーザがボリュームをマウントするのを支援するオペレータが存在します。ユーザがオペレータに要求を送る方法については, 第 2.4.6 項 で説明しています。また 第 2.4.7 項 では,そうした要求に対するオペレータの応答方法についても説明しています。
特定のディスクまたはテープを装置にマウントするようユーザから要求があると,オペレータ・ターミナルには次のようなメッセージが表示されます。
%%%%%%%%%%% OPCOM, <dd-mmm-yyyy hh:mm:ss:cc> %%%%%%%%%%% request <request-id>, from user <user-name> |
以下はそうしたときのイベントを発生順にまとめたものです。
$ MOUNT DUA2: TEST_FILES/COMMENT="Shelf slot 6B" |
%%%%%%%%%%% OPCOM, 28-MAY-2000 15:47:50.26 %%%%%%%%%%% request 5, from user MALCOLM Please mount volume TEST_FILES in device _DUA2: Shelf slot 6B |
%MOUNT-I-OPRQST, Please mount volume TEST_FILES in device _DUA2: Shelf slot 6B |
%MOUNT-I-MOUNTED,TEST_FILES mounted on _DUA2: %MOUNT-I-RQSTDON, operator request canceled -- mount completed successfully. |
ボリュームをマウントする際に,ユーザは DUA2: というように特定のハードウェア装置を要求せずに,汎用の MOUNT 要求を出すことができます。汎用の MOUNT 要求では,装置のタイプが指定されるため,要求を受けた側 (システム管理者またはオペレータ) はそのクラスにあって使用可能な装置を選択することができます。たとえば,名前が MU から始まる任意のテープ装置に CITIES というボリュームをマウントする場合,コマンドは次のようになります。
$ MOUNT MU: CITIES/COMMENT="Slot 12c" |
MU から始まる名前の磁気テープ装置をユーザがすでに割り当てている場合, MOUNT ユーティリティはその装置に CITIES をマウントするよう要求します。また,そうした装置が割り当てられていない場合は,最初に使用可能になった MU 装置を割り当て,その装置に CITIES をマウントするよう要求します。
システム管理者またはオペレータは,ディスクまたはテープをマウントしてから,次の作業を行います。
REPLY コマンドの形式 | 説明 |
---|---|
/ABORT= 識別番号 " メッセージ " | ユーザ要求を取り消したことを通知するときに使用する。この場合,ユーザの MOUNT コマンドはエラー終了する。 |
/PENDING= 識別番号 " メッセージ " | 要求が最後まで処理されずに待ち状態になったときに使用する。これは,元の要求が REQUEST/REPLY か MOUNT コマンドのいずれかで行われたことを示す。ユーザは,オペレータが要求を処理し終えるか,または強制終了させるまで他のコマンドを入力できない。 |
/TO= 識別番号 " メッセージ " | 要求を処理し終えたときに使用する。この後,処理は継続する。 |
ユーザから MOUNT/ASSIST コマンドが入力されたが,目的の装置が使用できない場合は,代わりの装置を使用することができる。装置を置き換えるときは,必ず,要求されたボリュームを代替装置にセットし,装置を使用可能な状態にしてから,REPLY コマンドを入力すること。このときの REPLY コマンドの形式は次のとおり。
REPLY/TO= 識別番号 "SUBSTITUTE 装置名" |
SUBSTITUTE は S 一字に短縮することができる。また,大文字または小文字のどちらでも入力できる。スペースの後,メッセージ・テキスト・スペースの残りを使って,代替装置に名前を付けること。
$ REPLY/TO=24 "SUBSTITUTE DUA1:" |
この例では,オペレータが DUB2: 装置から DUA1: 装置に対するマウント操作を指示し直している。
$ MOUNT/ASSIST MKB500: MYDATA %MOUNT-I-OPRQST, Please mount volume MYDATA in device _MKB500: %MOUNT-I-OPREPLY, Substitute MKA100: 11:44:28.71, request 1 was completed by operator _FTA8: |
この例は,ユーザの要求,およびユーザが受け取る情報を示している。ここでは,MKA100: 装置が MKB500: 装置に置き換えられている。
REPLY の修飾子とその働きについては,『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』にさらに詳しい説明があります。自動切り換えを無効にしてボリューム・セットをマウントをした後の REPLY コマンドの入力手順については,
第 9.8.2.4 項 を参照してください。
9.5.4 保護されたサブシステムでのボリュームのマウント
通常は,機密保護はユーザに与えられた特権に基づきます。しかし,保護されたサブシステムでは,機密保護は,サブシステムに割り当てられたアクセス制御に基づきます。サブシステムは,サブシステムに属するオブジェクトへのユーザのアクセスを認めたり拒否したりする門番のような役目を果たします。
特権の無いユーザも,保護されたサブシステムを構築し管理することができます。このためには,次の 2 点を実行しなければなりません。
サブシステムをマウントしたユーザは,何がボリューム上にマウントされたかを知っておく責任があります。サブシステムをマウントする前に,必ず,ボリューム上に何があるかを理解しておいてください。これを理解しておかないと,間違ってシステムの機密保護を破壊し,ユーザのデータのプライバシを侵害する恐れがあります。 たとえば,悪意のあるユーザが OpenVMS Cluster ノードで特権を持っていて,そのユーザがサブシステムの識別子でアプリケーションをボリュームにおいて,オペレータやシステム管理者にそのボリュームを他のノードにマウントするよう依頼する可能性もあります。そのアプリケーションはサブシステム識別子を持つので,実際には権限を持たないのに,サブシステムに属しているように見えるため,注意が必要です。 |
省略時の設定では,システムは保護されたサブシステムをシステム・ディスク上でのみ有効にします。他のディスクの場合,ボリュームをマウントするたびにサブシステムを有効にしなければなりません。 SECURITY 特権を持つユーザは,/SUBSYSTEM 修飾子を MOUNT コマンドに指定することで,サブシステムをボリューム上で有効にできます。
DCL の SET VOLUME/SUBSYSTEM コマンドを使って,直接サブシステム ACE の処理をオンまたはオフにすることができます。このコマンドは,MOUNT コマンドでマウントしていないシステム・ディスクの場合,特に便利です。
次の例のコマンドは,DOC というラベルの付いたボリュームを DUA0: 装置にマウントします。このボリューム上のサブシステムはアクセス可能です。また,このMOUNT コマンドで,論理名 WORK8 が割り当てられます。
$ MOUNT/SUBSYSTEM/SYSTEM DUA0: DOC WORK8 |
9.5.5 既存のボリュームの ODS 形式を他の ODS 形式に変換
以降の節では,ある ODS ファイル形式を持つ既存のボリュームを他の形式に変換する手順を説明します。
9.5.5.1 ODS-2 から ODS-5 への変換
ODS-2 ボリュームを ODS-5 ボリュームに変換するには次の手順を行います。
$ DISMOUNT /CLUSTER DKA300: |
$ MOUNT DKA300: DISK1 %MOUNT-I-MOUNTED, DISK1 mounted on _STAR$DKA300: |
/SYSTEM 修飾子を省略すると,ボリュームは公用ボリュームとしてではなく私用ボリュームとしてマウントされる。
次のように SHOW DEVICE/FULL コマンドを入力し,出力を確認すると,ボリュームが ODS-2 であるかどうかが確認できる。
$ SHOW DEVICE DKA200:/FULL Disk $10$DKA200:, device type RZ47, is online, allocated, deallocate on dismount, mounted, file-oriented device, shareable. Error count 0 Operations completed 232 . . . Volume Status: ODS-2, subject to mount verification, file high-water marking, write-back caching enabled. |
ボリューム・タイプを表示するその他の方法としては,あるコマンドを発行して,次に示すような応答を受け取る方法がある。
$ WRITE SYS$OUTPUT F$GETDVI ("DKA200:","ACPTYPE") F11V2 |
F11V2 はボリュームが ODS-2 であることを示している。
$ BACKUP /IMAGE DKA300: SAV.BCK /SAVE_SET |
SET VOLUME /STRUCTURE_LEVEL=5 装置名 |
たとえば,次のように入力する。
$ SET VOLUME /STRUCTURE_LEVEL=5 DKA300: |
ボリュームを ODS-5 からODS-2へ変換するために SET VOLUME コマンドを使うことはできません。ボリュームを ODS-2に戻すには, 第 9.5.5.3 項 で説明されているとおり BACKUP が必要です。 SET VOLUME/STRUCTURE_LEVEL コマンドを入力したあとに,なにか障害が発生した場合は,この節の最後にある説明を参照してください。 |
%SET-E-NOTMOD, DKA300: not modified -SET-E-NOTDISK, device must be a Files-ll format disk %SET-E-NOTMOD, DKA300: not modified -SET-W-INVODSLVL, Invalid on-disk structure level |
%SET-E-NOTMOD, DKA300: not modified -SET-W-NOTPRIVATE, device must be mounted privately |
%SET-E-NOTMOD, DKA300: not modified -SET-W-NOTONEACCR, device must be mounted with only one accessor |
SET VOLUME /STRUCTURE_LEVEL=5コマンドを使用した後は,ディスクをディスマウントし,再マウントするまで,そのディスクにはアクセスしないでください。 |
$ DISMOUNT DKA300: $ MOUNT /CLUSTER DKA300: DISK1 %MOUNT-I-MOUNTED, DISK1 mounted on _STAR$DKA300: |
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