OpenVMS
システム管理者マニュアル


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9.13.2 マウント・チェックの使用

この項では,次の作業を行う方法について説明します。

作業 参照箇所
マウント・チェックのオンまたはオフ設定 第 9.13.2.1 項
マウント・チェックのタイムアウト時間の設定 第 9.13.2.2 項
オフライン・エラーからの回復 第 9.13.2.3 項
書き込み禁止エラーからの回復 第 9.13.2.4 項
DISMOUNT コマンドによるマウント・チェックの取り消し 第 9.13.2.5 項

9.13.2.1 マウント・チェックのオンまたはオフ設定

ディスクまたはテープのマウント時,省略時の設定ではマウント・チェックは有効です。無効にしたい場合は,マウントするときに /NOMOUNT_VERIFICATION を指定する必要があります。

この機能は,標準テープ,フォーリン・テープ,および Files--11 ディスクに適用されます。

9.13.2.2 マウント・チェックのタイムアウト時間の設定

マウント・チェックを自動的に取り消す前のマウント・チェック猶予時間 (単位: 秒) を設定することができます。この設定を行うときは,ディスクであれば MVTIMEOUT システム・パラメータ,テープであれば TAPE_MVTIMEOUT システム・パラメータを使用します。

省略時の時間制限は,テープでは 600 秒 (10 分) であり,ディスクでは 3600 秒 (1 時間) です。システム・パラメータについての詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

これらのパラメータには,サイトの状況に従った適切な値を設定してください。パラメータ値を変更しても,現在行われているマウント・チェックには影響ありません。

9.13.2.3 オフライン・エラーからの回復

マウント・チェックが有効なときに,マウントしたディスクやテープ・ボリュームがオフラインになった場合は,次の方法で修復を試みたり,マウント要求を取り消したりすることができます。

装置をオンラインに戻すことに成功すると,ディスクまたはテープ・ドライブにポーリングを行うマウント・チェック・ソフトウェアは,次の順序で検査を開始します。

  1. 現在マウントされているディスクまたはテープと,前にマウントされていたディスクまたはテープの識別子が同じか調べる。これによりマウント・チェック機能は,ディスクが前と同じものであり,ディスクの交換が行われていないことを確認することができる。
    装置にロードされているボリュームが正しくない場合は,OPCOM が次の形式のメッセージを表示する。


    %%%%%%%%%%% OPCOM, <dd-mmm-yyyy hh:mm:ss.cc> %%%%%%%%%%% 
    Device <device-name> contains the wrong volume. 
    Mount verification in progress. 
    

  2. マウント・チェックが終了すると,ディスクには有効のマークが付けられ,OPCOM は次の形式のメッセージを表示する。


    %%%%%%%%%%% OPCOM, <dd-mmm-yyyy hh:mm:ss.cc> %%%%%%%%%%% 
    Mount verification completed for device <device-name>. 
    

  3. 次の例に示すように,ディスクまたはテープに対する入出力処理が再開する。


    %%%%%%%%%%% OPCOM, 28-MAY-2000 11:54:54.12 %%%%%%%%%%% 
    Device DUA0: is offline. 
    Mount verification in progress. 
     
    %%%%%%%%%%% OPCOM, 28-MAY-2000 11:57:34.22 %%%%%%%%%%% 
    Mount verification completed for device DUA0:. 
    


    この例では OPCOM は,装置 DUA0: がオフラインで,マウント・チェックが始まったことをオペレータに通知している。オペレータは,誤ってドライブがオフになったが,再度オンになったことがわかる。
    最後のメッセージは,エラーの前のボリュームと同じであることというマウント・チェックの条件が満たされていることを示す。このため,ボリュームに対するすべての入出力処理が再開する。

9.13.2.4 書き込み禁止エラーからの回復

書き込みを行おうとしてディスクまたはテープ・ボリュームをマウントしているときに,ハードウェア・エラーやユーザ・エラーが発生すると,装置はライト・ロックになります。たとえば,ディスクがライト・ロックであるとか,テープに書き込みリングがないといったときがそうです。こうしたライト・ロック・エラーで入出力処理に失敗した場合,ソフトウェアはディスクまたはテープがライト・ロックになっていることを検出し,ただちにマウント・チェックを開始します。

OPCOM はこのとき,DISKS と DEVICES または TAPES と DEVICES の操作が可能なオペレータに次の形式のメッセージを送り,ディスクまたはテープが使用不可能なことを通知します。


%%%%%%%%%%%% OPCOM, <dd-mmm-yyyy hh:mm:ss.cc> %%%%%%%%%%% 
Device <device-name> has been write-locked. 
Mount verification in progress. 

これに対しオペレータは,次のいずれかの方法でエラーを解決するか,マウント・チェックを終了させることができます。

マウント・チェック・ソフトウェアによって,ボリュームが書き込み許可状態になったことが確認されると,メッセージなしで,テープまたはディスクに対する入出力処理が再開されます。

9.13.2.5 マウント・チェックの取り消し

マウント・チェック要求は,次のいずれかの方法で取り消すことができます。

次の項で,1 番目に挙げた DISMOUNT コマンドを使用する方法をさらに詳しく説明します。最後に挙げた,IPC を使ってマウント・チェックを取り消す方法の詳細については, 第 9.14.2 項 を参照してください。

DISMOUNT コマンドの使用

ボリュームをディスマウントして,マウント・チェックを取り消す手順は次のとおりです。

  1. 別のターミナルからログインする。ボリュームに対するアクセス権を持つ,ログイン中のターミナルがあれば,そのターミナルを使用することができる。オペレータ・ターミナルである必要はない。

  2. ボリュームに対して DISMOUNT/ABORT コマンドを入力する。 (グループやシステム・ボリューム以外のボリュームに /ABORT 修飾子を使用するためには,そのボリュームの所有権か,ユーザ特権の VOLPRO を所有している必要がある。)
    システムが OpenVMS Cluster 環境のメンバの場合は,/CLUSTER 修飾子も指定すること。
    ボリュームをディスマウントすることによって保留中のマウント・チェックを取り消すと,OPCOM から次のメッセージが表示される。


    %%%%%%%%%%%% OPCOM, <dd-mmm-yyyy hh:mm:ss.cc> %%%%%%%%%%% 
    Mount verification aborted for device <device-name>. 
    


    ボリュームに対するアクセス権がない場合は,エラー・メッセージが表示される。その場合は,適当なプロセスを見つけて,再度試みる。プロセスがハングした場合は,システム・ファイルの ACP がハングするので,この方法を使ってマウント・チェックを取り消すことはできない。

  3. 取り消されたら,ドライブからボリュームを取り出す。

9.14 IPC (割り込み優先順位レベル C) の使用

IPC は,ソフトウェア割り込みを発行してコンソール・ターミナルのアテンションを取得する特殊なプログラムです。 IPC コマンドを使用すると,OpenVMS クラスタ内でのクォーラムの調整,マウント・チェックの取り消し,デバッガに入ること,ができます (ここでいうデバッガとは,システムレベル・デバッガ XDELTA のことです)。

注意

IPC コマンドは,デバッグと試験環境で使用するだけのために用意されています。このコマンドを使用すると,予期しない結果を引き起こす可能性があります。

IPC プログラムは小文字を大文字に変換し,複数のスペースを圧縮して,先行するゼロを無視します。また,不正な文字を受け取ると,ターミナル・ベル文字を発行します。大部分の制御文字は不正な文字と見なされます。

IPC の起動方法

  1. OpenVMS VAX システムと Alpha システムの両方で,次のコマンドをコンソール・ターミナルから入力する。


    $ [Ctrl/P]
    


    このコマンドはエコー・バックしない。このコマンドへの応答は,それぞれの実装によって異なる。この例ではその部分を省略記号で示す。
    .
    .
    .

  2. 使用しているハードウェアに固有である次のコマンドを入力する。

  3. Ctrl/Z を押して IPC を終了する。


    IPC> [Ctrl/Z]
    

9.14.1 クォーラムの再計算

次のコマンドをコンソールで入力すると,クォーラムの再計算ができます。

IPC Q コマンドは OpenVMS Cluster でクォーラムを再計算しますが,これらのコマンドは使用しないでください。その代わりに,次に示すいずれかを使用してクラスタ・クォーラムを再計算してください。

9.14.2 マウント・チェックの取り消し

IPC を使ってマウント・チェックを取り消すには, IPC> プロンプトが表示されているときにコンソール・ターミナルから次のコマンドを入力してください。


IPC> C 装置名

このコマンドは,指定された装置に対して保留中のマウント・チェックをすべて取り消します (指定された装置に対して進行中のマウント・チェックがない場合には,警告が表示されます)。次の例を参照してください。


IPC> C MUA1:

保留中のマウント・チェックが取り消されると, OPCOM は次のメッセージを表示します。


%%%%%%%%%%% OPCOM, <dd-mmm-yyyy hh:mm:ss.cc> %%%%%%%%%%% 
Mount verification aborted for device <device-name>. 

この方法で保留中のマウント・チェックを取り消してから,ボリュームにアクセスするためには,いったんディスマウントする必要があります。



%%%%%%%%%%% OPCOM, 28-MAY-2000 10:54:54.12 %%%%%%%%%%% 
        Device DUA0: is offline. 
        Mount verification in progress. 

VAX システムの場合,次のコマンドを入力します。


$ [Ctrl/P]
   .
   .
   .
>>> D/I 14 C
>>> CONT
IPC> C DUA0:
IPC> ([Ctrl/Z]) 
%SYSTEM-I-MOUNTVER, _DUA0: has aborted mount verification.
%%%%%%%%%%% OPCOM, 28-MAY-2000 10:56:26.13 %%%%%%%%%%%
Mount verification aborted for device DUA0:

Alpha システムの場合,次のコマンドを入力します。


$ [Ctrl/P]
   .
   .
   .
>>> D SIRR C
>>> CONT
IPC> C DUA0:
IPC> ([Ctrl/Z]) 
%SYSTEM-I-MOUNTVER, _DUA0: has aborted mount verification.
%%%%%%%%%%% OPCOM, 28-MAY-2000 10:56:26.13 %%%%%%%%%%%
Mount verification aborted for device DUA0:

両方の例で,DUA0: はオフラインになっていて,ディスクのバックアップを行えない状態にあります。また同じコントローラで使用できる装置がないため,2 台のドライブのユニット・セレクト・プラグを入れ換えることができません。

このボリュームが私用ボリュームとしてマウントされていたからといって, DISMOUNT コマンドは入力しないでください。また,このディスクにはアクセス権はありません。コンソール・ターミナルのため, %SYSTEM-I-MOUNTVER メッセージが表示されています。

9.14.3 デバッガに入る

XDELTA デバッガを使用するには,コンソール・ターミナルから次のコマンドを入力します。


IPC> X

これでデバッガに入りました。 X コマンドはデバッグ用ツール XDELTA に制御を転送します (ブート・ファイルで適切な値を設定することで,システムにロードされていた場合)。 XDELTA がロードされない場合には,プロンプト IPC> が再度発行されます。次の例を参照してください。


IPC> X
IPC> 

デバッガを終了するには,次のように Ctrl/Z を押します。


 [Ctrl/Z]) 

XDelta デバッガの詳細については,『OpenVMS Delta/XDelta Debugger Manual』を参照してください。

9.15 BAD ユーティリティによる媒体エラーの検出

DCL の ANALYZE/MEDIA コマンドは,オプションのBAD (Bad Block Locator) ユーティリティを起動し,ブロック・アドレシング方式の装置を解析して,正常なデータ記憶が行えないと思われるブロックの位置を記録します。

注意

最近の装置の多くは不良ブロックを自動的にチェックします。しかし,古い装置では,不良ブロックのチェックが行われないため, BAD ユーティリティが役に立ちます。

ボリューム上のブロックを検査するため,ANALYZE/MEDIA は次のことを行います。

データが正確に一致しない場合,そのブロックはデータを正常に記憶できないと見なされます。

不良ブロックがあると,BAD ユーティリティはそのブロックのアドレスを記録します。ラスト・トラック型装置でない場合,連続して不良ブロックは 1 エントリとして記録されます。そして,ディスクの検査を終えると,記録したアドレスを DBBF (Detected Bad Block File) というファイルに書き出します。

重要

BAD を起動すると,DBBF の内容が破壊されます。ボリュームの内容を消去せずに DBBF を更新したい場合は,ANALYZE/MEDIA に /NOEXERCISE と /BAD_BLOCKS 修飾子を指定してください。

作業方法

BAD を使用する手順は次のとおりです。

  1. DCL の ALLOCATE コマンドを使って装置を割り当て,他のプログラムからアクセスされないようにする。

  2. DCL の MOUNT/FOREIGN コマンドを入力する。
    装置をフォーリン・ボリュームとしてマウントすると,システムが Files--11 ボリュームとして認識することがないので, BAD の実行が可能になる。

  3. DCL コマンド ANALYZE/MEDIA を入力する。

BAD ユーティリティの使用法についての詳細は,オンライン・ヘルプ,またはオプションのマニュアルの『OpenVMS Bad Block Locator Utility Manual』を参照してください。


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