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COPY コマンドは,ディスク・ボリュームからテープ・ボリュームへのファイルのコピーにも使用することができます。手順は,ディスク・ボリューム間のファイルのコピーとほぼ同じです。しかし,テープは順次アクセス装置であり,ディレクトリはありません。 ディスク・ファイルをテープ・ボリュームにコピーするためには,テープ装置の構成,すなわち,テープ装置の初期化およびマウントを行っておく必要があります。テープ・ファイルの属性については, 第 10.9 節 を参照してください。
磁気テープは,Files-11 形式のファイル名に完全対応しています。したがって,たとえば次のファイル名のディスク・ファイルを,ファイル名を変更することなく磁気テープ・ボリュームにコピーすることができます。
THIS_IS$AN_OPENVMSLONG_FILE.LONG_TYPE |
OpenVMS 以外のオペレーティング・システムの大半は, 17 文字を超える長さのファイル名を使用しません。 |
OpenVMS システムでは,ストリーム・レコードと固定長制御部付可変長 (VFC) レコードに対応していますが,標準ラベルのボリューム上では,そうしたレコードを可変長形式でコード化します。 OpenVMS 以外のシステムでは,ストリーム・レコードと VFC レコードを可変長レコードと区別せず,両方を可変長レコードと見なします。したがって,OpenVMS 以外のシステムとの情報の相互交換に使用するボリュームにストリーム・レコードや VFC レコードは作成しないでください。
次に,DCL コマンドを使用して,ディスク・ボリュームの省略時のディレクトリに含まれているファイルを,標準ラベルの磁気テープ・ボリュームにコピーする手順を紹介します。ここでは,ディスク・ファイルをコピーする前に,磁気テープを割り当て初期化する例も取り上げています。
ディスク・ボリュームの省略時のディレクトリに含まれているファイルを標準ラベルの磁気テープ・ボリュームにコピーする手順は次のとおりです。
$ ALLOCATE MT: TAPE_DEVICE %DCL-I-ALLOC _MARS$MTA2: allocated |
この ALLOCATE コマンドでは,名前が MT から始まるテープ装置の割り当てを要求している。この例では,論理名 TAPE_DEVICE は MARS$MTA2: 装置を意味する。
システム応答は,コントローラ A のユニット 2 が使用可能であったため,それを割り当てたことを示している。
これで,物理的にテープ装置にテープをセットすることができる。テープに書き込みリングが付いていることを確認する。付いていない場合は,テープに書き込みを行えない。
$ INITIALIZE TAPE_DEVICE: GMB001/PROTECTION=(GROUP:R,WORLD) |
この INITIALIZE コマンドは,ボリュームに対して論理名 (この場合, MTA2: を参照する TAPE_DEVICE) と,テープ・ボリューム (この場合,GMB001) を指定している。ラベルは 6 文字に制限されている。
/PROTECTION 修飾子に指定された保護コードは,グループを読み込みアクセス権に制限し,一般ユーザのアクセスは許可しない。
$ MOUNT TAPE_DEVICE: GMB001 %MOUNT-I-MOUNTED, GMB001 mounted on _MTA2: $ COPY *.* TAPE_DEVICE: |
MOUNT コマンドには,テープ装置にセットされているテープ・ボリュームの装置名とボリューム・ラベルを指定している。 COPY コマンドは,省略時のディレクトリに含まれるすべてのファイルの最新バージョンをテープにコピーする。省略時の設定では,出力ファイルのファイル名と,ファイル・タイプ,バージョン番号は,入力ファイルのものと同じである。
/LOG 修飾子を指定した COPY コマンドが入力されると,システムはファイルのコピーを終えるたびに,現在の SYS$OUTPUT 装置にメッセージを出力する。
$ DIRECTORY TAPE_DEVICE: |
このコマンドが入力されると,システムは,テープにコピーされたすべてのファイルのファイル名とファイル・タイプを表示する。
$ DISMOUNT TAPE_DEVICE: $ DEALLOCATE TAPE_DEVICE: |
ディスマウントと割り当て解除が明示的に行われなかった場合は,ログアウト時にシステムが自動的にそれらの処理を行う。
次に,ディスク・ファイルをテープ・ボリュームにコピーする例をいくつか紹介します。
$ COPY *.* MTA2: |
この例では,MTA2: がプロセスに割り当て済みであり,かつ,その装置にセットされているテープ・ボリュームの初期化とマウントが済んでいることが前提になる。COPY コマンドは,ファイルを MTA2: のテープ・ボリュームにコピーする。
テープ・ボリュームにコピーされるファイルは,省略時のディスク・ディレクトリに含まれるすべてのファイルの最新バージョンである。省略時の設定では,出力ファイルのファイル名と,ファイル・タイプ,バージョン番号は,入力ファイルのものと同じである。
$ COPY/LOG FORTAP.DAT MTA1:"%&*?!SKI! "" " %COPY-S-COPIED, WRKD:[MANUAL]FORTAP.DAT;1 copied to MTA1:[]"%&*?!SKI! """.;0 (120 records) |
ディスクからテープへのコピーを行う,この COPY コマンドでは,出力ファイル指定にテープ・ファイル名を指定している。テープ名では末尾スペースが意味を持たないので,ファイル名 %&*?!SKI!##"# (# はスペース) の末尾のスペースは含まれない。
$ COPY/LOG OPENVMS_LONG$FILE_NAME.LONG_EXT MTA1: %COPY-S-COPIED, WRKD:[MANUAL]OPENVMS_LONG$FILE_NAME_EXT;1 copied to MTA1:OPENVMS_LONG$FILE_NAME.LONG_EXT;1 (80 records) |
この例では,ファイル名も長く,ファイル・タイプも長いディスク・ファイルを,ファイル名もファイル・タイプも変更せずに, MTA1: のテープ・ボリュームにコピーしている。
$ COPY/LOG %%.JOU;* MTA1:*.* %COPY-S-COPIED, WRKD:[MANUAL]C6.JOU;1 copied to MTA1:[]C6.JOU;1 (4 records) |
この例では,ファイル名が 2 文字の長さで,ファイル・タイプが .JOU のすべてのファイルを,ファイル名もファイル・タイプも変更せずに, MTA1: のテープ・ボリュームにコピーしている。バージョン番号が変更されることはない。
テープへの,またはテープからのコピー中にテープの終端に達した場合,システムは処理を中断して,ボリューム・セットの次のテープをマウントするよう要求します。このとき,ターミナルには,オペレータ通信マネージャ (OPCOM) からの次のようなメッセージが表示されます。
%%%%%%%%%%% OPCOM, 14-MAY-2000 15:23:31.78 %%%%%%%%%%% request 3, from user PLAW MOUNT new relative volume 2 (DW0QT2) on MTA1: |
テープ・メッセージは受信が有効になっているオペレータのターミナルにしか送られないため,通常,このメッセージがシステム管理者のターミナルに表示されることはありません。読み込みまたは書き込みを終えるのに,別のテープが必要であるかどうかは,担当オペレータが判断することになります。 |
自動ボリューム切り換えが無効であるか,テープ・ファイル・システムがボリュームのマウントを行えない場合は,ボリューム・セットの継続ボリュームをマウントしなければならないことがあります。継続ボリュームのマウントについては,
第 9.8.2 項 を参照してください。
10.10.4 EXCHANGE ユーティリティによるファイルのコピー
EXCHANGE ユーティリティは,異なる構造のボリューム間でファイルをコピーするとき,必要に応じてファイルの形式を変換するユーティリティです。このユーティリティは,OpenVMS 装置のすべての Files-11 や RT-11 ディスク・ボリュームばかりでなく, 9 トラック・テープ装置の DOS-11 や RT-11 形式のボリュームも認識します。
EXCHANGE ユーティリティの使用法と,EXCHANGE ユーティリティのすべてのコマンド,修飾子,パラメータについての詳細は,『OpenVMS Exchange Utility Manual』やオンライン・ヘルプを参照してください。
10.10.5 EXCHANGE/NETWORK コマンドの使用
DCL の EXCHANGE/NETWORK コマンドを使用すると, OpenVMS のファイル編成をサポートしていないオペレーティング・システムとファイルの転送を行うことができます。この転送は,OpenVMS のノードおよび OpenVMS 以外のオペレーティング・システムのノードを接続する DECnet 通信リンク上で行われます。
EXCHANGE/NETWORK コマンドを使用すると,次の操作を実行できます。
EXCHANGE/NETWORK コマンドについての詳細は,オンライン・ヘルプまたは『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。
EXCHANGE/NETWORK コマンドは,次の形式で実行します。
EXCHANGE/NETWORK 入力ファイル指定 [,...] 出力ファイル指定 |
入力ファイル指定 | 転送される既存ファイル名を指定する。ワイルドカード文字も使用できる。 |
出力ファイル指定 | 入力ファイルを転送する出力ファイル名を指定する。 |
$ EXCHANGE/NETWORK MYSYS_FILE.DAT FOO::FOREIGN_SYS.DAT |
この例では,現行の省略時の装置およびディレクトリにある MYSYS_FILE.DAT ファイルを OpenVMS 以外のノード FOO の FOREIGN_SYS.DAT ファイルに転送しています。省略時の設定では,ブロックまたはレコード入出力の転送方法を自動的に選択します。
10.11 CD-ROM の作成
CD-ROM は,ファイルの配布やバックアップのための手段の 1 つです。 CD-ROM を作成するためには,CD 作成用 (CD-R または CD-RW) ドライブとブランク CD-R ディスクが必要です。CD-R および CD-RW ドライブは,レーザー光によってデータをブランク CD-R ディスクに書き込み (焼き) ます。これは,一般に売っているオーディオ・コンパクト・ディスクが,工場でグラス・マスタからプレスされるのとは異なります。 CD-R ディスクは,"ライト・ワンス" です。つまり,データを書き込めるのは 1 度だけで,再書き込みはできません。
AlphaServer DS25 システム上の OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 では, CD-R および CD-RW ドライブに対する読み取りとライト・ワンスのサポートが導入されています。 OpenVMS は,認定済みの CD-R と CD-RW ドライブのみをサポートします。 Alpha システムとそれらがサポートするドライブについての詳細は,次の Web サイトの適切なページを参照してください。
http://www.compaq.com/alphaserver/configure.html
この書き込みプロセスによって作成されるのは,Files-11 形式の CD-ROM です。 OpenVMS を稼動するコンピュータでサポートされる CD-ROM リーダーであればどれでも,作成した CD-ROM を読み取ることができます。
データ・ファイルが入った CD-ROM を作成することはできますが,音声録音は現時点ではサポートされていません。また,再書き込み可能な CD-RW ディスクも現時点ではサポートの対象外です。 |
ハード・ドライブから CD-R ディスクへのファイル転送に,COPY コマンドは使用できません。これには,2 段階の手順に従い, CDRECORD.COM1 という特別なプログラムを使用する必要があります。
最初のステップでは,ハード・ドライブ上で,論理ディスクとコンテナ・ファイルを作成します。 CD-ROM 上に作成するとおりにディレクトリ構造,ボリューム情報,およびファイルを編成します。
2 番目のステップでは,CDRECORD.COM を実行してコンテナ・ファイルの内容をブランク CD-R ディスクに転送します。 CDRECORD.COM には,次の操作のためのコマンドが用意されています。
CDRECORD.COM についてのオンライン・ヘルプを表示するには,次のように DCL プロンプト ($) で HELP コマンドを入力します。
$ @SYS$MANAGER:CDRECORD HELP |
CD-ROM を作成する用意ができたら,次の準備を行います。
持っているデバイス名が,対象のドライブの名前であることを確認するには,次のように,INQUIRE コマンドの後に,デバイス名を入力します。
$ @SYS$MANAGER:CDRECORD INQUIRE DQA1: |
システムによって,DQA1 (または入力した名前) が CD-R または CD-RW ドライブであることが確認されました。また,ドライブが読み書きする速度も表示されます。
10.11.2 論理ディスクとコンテナ・ファイルのセットアップ
ハード・ドライブの上に,適切な構造とデータをセットアップした後, CDRECORD.COM を使用してすべてをブランク CD-R ディスクに転送します。これには,まずマウント,ディスマウントでき,一般に実際のディスクとして扱えるハード・ドライブ上に論理ディスクを作成します。また,CDRECORD.COM は,論理ディスク上の単一のエンティティとしてファイルを扱う必要があるので,コンテナ・ファイルも作成します。
最高のパフォーマンスを実現するために,論理ディスクとコンテナ・ファイルを作成するハード・ドライブのクリーンアップとデフラグメントを行います。詳細については,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル (上巻 ) 』の「BACKUP/IMAGE」を参照してください。
次の形式で SETUP コマンドを使用して,論理ディスクとコンテナ・ファイルを作成します。
$ @SYS$MANAGER:CDRECORD SETUP filename LDAn: label nnnn |
ここで,
filename は,コンテナ・ファイルのファイル名です。通常のファイル命名規則に従い,ファイル拡張子を付けます。
LDAn: は,論理ディスクの名前で,LDA1 〜 LDA9999 の値をとります。
label は,論理ディスクと書き込み先の CD-ROM に対して指定するボリューム・ラベルです。ボリューム・ラベルの割り当てに関する通常の規則に従います。
nnnn は,コンテナ・ファイルに割り当てる 512 バイト・ブロックの数です。この数には 4 の倍数を指定します。省略時の値は,1250000 (640 MB) です。
コンテナ・ファイルは,書き込み先の CD-R ディスクの空き領域を超えてはなりません。また,ハード・ドライブに,コンテナ・ファイルを格納するのに十分な空き領域があることを確認します。
次に例を示します。
$ @SYS$MANAGER:CDRECORD SETUP TESTFILE.DSK LDA1: FRED 1250000 |
TESTFILE.DSK は,コンテナ・ファイルの名前と拡張子です。
LDA1: は,論理ディスクのデバイス名です。
FRED は,論理ディスクと書き込み先の CD-ROM のラベル名です。
1250000 は,コンテナ・ファイル用に,ハード・ドライブに割り当てる領域 (512 バイト単位) です。
論理ディスクとコンテナ・ファイルをハード・ドライブ上に作成した後は,論理ディスクにディレクトリとファイルを格納することができます。
1 CDRECORD ソフトウェア内部は Compaq の社外で開発されており,GNU General Public License バージョン 2 で保護されています。ソースのコピーおよび GNU ライセンスは, Compaq OpenVMS Freeware Web ページ (http://www.openvms.compaq.com/openvms/freeware/) にあります。 |
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