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DSM 管理サブエージェントは, 表 C-2 にあるオブジェクトと, 表 C-3 にあるトラップを実装しています。
オブジェクトとトラップは,それぞれ,OpenVMS Alpha ネットワーキングに関連する管理領域のグループに対応しています。ネットワーク管理者はこれらに対して ServerWORKS Manager 経由でアクセスできます。
オブジェクト | データ型 | アクセス | 説明 |
---|---|---|---|
MIB 情報グループ | |||
svrMgtMibMajorRev | Integer | 読み込み専用 | svrMgt MIB のこの実装におけるメジャー・リビジョン番号。現在は 1。 |
svrMgtMibMinorRev | Integer | 読み込み専用 | svrMgt MIBのこの実装におけるマイナー・リビジョン番号。現在は 0。 |
アラーム・グループ | |||
svrAlarmNextThrIndex | Integer | 読み込み専用 | svrThrEntry オブジェクトを作成するために次に利用できるインデックス。値が -1 の場合,しきい値の最大値に到達している。現在のしきい値記録を削除しないと,しきい値記録は作成できない。 |
svrAlarmEnableTraps | Boolean | 読み込み/書き込み | 真の場合,トラップは起動された各アラームに送信される。 |
svrThresholdTable | Sequence of SvrThresholdEntry | アクセス不能 | アラームの設定および再設定のための条件を記述するしきい値テーブル。エージェントは例外のためにこのテーブルをチェックする。
アラームは,絶対値 (サンプルにされた変数の現在の整数値など) またはデルタ値 (現在の値と最後の値の差など) に設定できる。アラームは よりも大きい 例外アラーム, よりも小さい 例外アラーム, と等しい 例外アラームなどにできる (svrThrAlarmType オブジェクトの説明を参照)。 ヒステリシス (0 から 1 に変わったときと,1 から 0 に変わったときに別々のしきい値を示す,ある種のバイナリ装置の傾向) は,アラーム状態の設定および再設定の両方に対してしきい値を提供することによって導入される。その結果,アラームの起動の際に送信されるトラップの数は制限される。 エージェントが再ブートしても持続するようなアラームは作成できるが,これは動的テーブル変数には使用しない方がよい。 アラームの起動は状態変数の概念的な列を変更し,また,トラップの送信やイベントのローカルなログ取得も起動できる。 |
svrThresholdEntry | SvrThresholdEntry | アクセス不能 | 整数変数に設定されたしきい値アラーム。
アラーム・エントリは,管理コンソールによって作成され, svrAlarmNextThrIndex の現在の値を使用して列変数のインスタンスに名前を付け,svrThrStatus を underCreation に設定する。初めてしきい値エントリを作成するときには, svrThrStatus に対して設定要求を発行すること。 残りの列変数については,同じ操作で設定することも,あるいは,一連の操作で設定することもできる。値を設定されないものは,示されている省略値を保持する。アラーム・グループにある次に示すオブジェクトには,変数値を設定してからアラームを有効にする必要がある。
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svrThrIndex | Integer | 読み込み専用 | ローカル・システムに固有なインデックス値。作成時に,svrAlarmNextThrIndex の値に設定される。 |
svrThrStatus | Integer | 読み込み/書き込み | 列の状態を記述する。
初期設定付きで列が作成されるときには,svrThrStatus を underCreation に設定する必要がある。管理コンソールは,列設定を完了した後,この変数を rowEnabled に設定する。列内の変数は,svrThrStatus が初期の underCreation 状態になっているか,または,rowDisabled に設定されている場合にだけ書き込み可能になる。 列を削除するには,状態を rowInvalid にする。変数ポーリングとしきい値チェックでの修正できないエラーが,列状態を rowError に変更させることに注意すること。エージェントが状態を rowError に設定してしまうと,エージェントはその状態を再設定することはない。その代わり,管理コンソールが,svrThrErrorValue とともに戻された情報または他の理由に基づいて状態を再設定する必要がある。 |
svrThrVariableName | Object identifier | 読み込み/書き込み | しきい値に対してテストされる予定の整数変数のオブジェクト識別子 (OID)。列作成時には,この変数は値 0.0 であり,整数変数の OID に設定してからアラームを有効にする必要がある。 |
svrThrValueType | Integer | 読み込み/書き込み | 絶対値またはデルタ値。列作成時の省略値は absoluteValue である。deltaValue は現在の値から svtThrLastValue 値を減算して計算される。 |
svrThrAlarmType | Integer | 読み込み/書き込み | 値が
より大きい,
以上,
と等しい,
以下,
より小さい のいずれかであるしきい値をシグナル通知するアラーム。列作成時の省略値は
より大きい。
絶対値に対して より大きい または 以上 のしきい値が発生するのは,サンプル値が svrThrThresholdValue 以上になり,かつ,svrThrAlarmState が再設定されたときである。この状態によって svrThrAlarmState が設定され,また, svrAlarmEnableTraps が真である場合は, svrThrExceptTrap が送信される。サンプル値が svrThrResetValue 以下になった場合には,SvrThrAlarmState が再設定される。 絶対値に対して より小さい または 以下 のしきい値が発生するのは,サンプル値が svrThrThresholdValue 以下になり,かつ,svrThrAlarmState が再設定されたときである。この状態によって svrThrAlarmState が設定され,また, svrAlarmEnableTraps が真である場合は, svrThrExceptTrap が送信される。サンプル値が svrThrResetValue 以上になった場合には,SvrThrAlarmState が再設定される。 絶対値に対して と等しい しきい値が発生するのは,サンプル値が svrThrThresholdValue と等しく,かつ,svrThrAlarmState が再設定されたときである。この状態によって svrThrAlarmState が設定され,また, svrAlarmEnableTraps が真である場合は, svrThrExceptTrap が送信される。サンプル値が svrThrResetValue と等しくなくなると,SvrThrAlarmState が再設定される。 絶対値に対するのと同様の状態は,デルタ値にも適用されるが, svrThrThresholdValue と svrThrResetValue の両方の比較に対しては,サンプル値と svrThrLastValue との差分が使用される点が異なる。差分は現在の値からsvrThrLastValue を減算することなので,負のデルタ値になる可能性もあることに注意すること。 |
svrThrSampleInterval | Integer | 読み込み/書き込み | しきい値の例外をチェックするためのポーリング間隔 (単位 : 秒)。列作成時の省略値は 30 秒である。最小値 : 1。 |
svrThrPersistent | Boolean | 読み込み/書き込み | 真の場合,しきい値はエージェントが再起動しても値を保持する。列作成時の省略時設定 : 偽。
省略時の設定では,保持されたデータを格納するために使用されるファイルは, SYS$SYSTEM:TCPIP$MGT_THRESHOLDS.DAT と SYS$SYSTEM:TCPIP$MGT_THRESHOLDS.BAK である。これらのファイルをシステム・ディスクから移動するか,または,ファイル名を変更する場合,システム管理者は SYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM ファイルの適切な場所で論理名 TCPIP$MGT_PERSISTENCE_DAT と TCPIP$MGT_PERSISTENCE_BAK を定義できる。例えば,これらのファイルを異なる記憶位置にポイントする場合, SYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM に次の定義を追加する (サンプルはこの表のカラムの長さに合わせてある)。
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svrThrThresholdValue | Integer | 読み込み/書き込み | 現在の値またはデルタ値に比較されるしきい値。列作成時の省略値 : 0。 |
svrThrResetValue | Integer | 読み込み/書き込み | と等しい ものを除いて,svrThrAlarmTypes オブジェクトすべてに対するしきい値を再設定するために使われる値。列作成時の省略値 : 0。 |
svrThrLastValue | Integer | 読み込み専用 | アラームを起動する場合に評価する,またはしきい値チェック用のデルタ値を評価するために必要な,これまでのサンプル。 |
svrThrAlarmState | Integer | 読み込み専用 | アラームが現在設定されているのか,または再設定されるのかを示す。ポーリング管理アプリケーションで,しきい値例外状態がアラーム定義を基にして検出されたのかどうかを判断するために使用される。アラームが使用可能なとき,またはエージェントが再起動されたときには再設定の初期値を持つ。
この値は,svrThrStatus が rowDisabled や rowInvalid に変わると再設定される。状態変更のガイドラインについては, svrThrAlarmType の説明を参照。 |
svrThrLogEvent | Boolean | 読み込み/書き込み | 真の場合,サブエージェント・プロセス・ログ・ファイルにデータを記録する。例えば, [TCPIP$SNMP]TCPIP$SVRMGT_MIB.LOG に記録する ( 付録 C.1.2 項 参照)。省略値 : 偽。 |
svrThrDescr | DisplayString | 読み込み/書き込み | しきい値の種類を記述する。この値は管理コンソールによって設定されるものであり,エージェントは設定しない。 |
svrThrErrorValue | SnmpErrors | 読み込み専用 | svrThrStatus 値が rowError と同じになったことを示す SNMP が定義したエラー状態である。有効なのはそのときだけである。 |
svrThrComparisonName | Object identifier | 読み込み/書き込み | svrThrPersistent 値と共に使用される,記述子に対するオブジェクト識別子 (OID) であり,svrThrVariableName インスタンスが正しいことを検証する。省略可能。省略値 : 0.0。
エージェントが再起動する際,この値は,取り出されて, svrThrComparisonValue と比較される。値が等しくない場合, svrThrVariableName に対する OID インスタンス化が誤っている可能性がある。そのような状態が発生した場合, svrThrStatus が rowError に,svrThrErrorValue が badValue に設定される。 |
svrThrComparisonValue | DisplayString | 読み込み/書き込み | svrThrComparisonName の日付値。省略可能。 svrThrPersistent が設定されると使用される。この値はエージェント再起動時に現在の値と比較される。省略時の値 : 空 (Null)。 |
svrThrSeverity | Severity | 読み込み/書き込み | しきい値の重大度を示す。列作成時の省略値 : 情報。 |
トラップ | 変数 | 説明 |
---|---|---|
ローカル・サーバ制御グループ | ||
svrThrHighExceptTrap | svrThrVariableName
svrThrValueType svrThrThresholdValue svrThrLastValue svrThrDescr |
高い重大度のトラップ。アラームを発生させた値は svrThrLastValue に戻される。 |
svrThrMediumExceptTrap | svrThrVariableName
svrThrValueType svrThrThresholdValue svrThrLastValue svrThrDescr |
中程度の重大度トラップ。アラームを発生させた値は svrThrLastValue に戻される。 |
svrThrLowExceptTrap | svrThrVariableName
svrThrValueType svrThrThresholdValue svrThrLastValue svrThrDescr |
低い重大度のトラップ。アラームを発生させた値は svrThrLastValue に戻される。 |
svrThrInformationalExceptTrap | svrThrVariableName
svrThrValueType svrThrThresholdValue svrThrLastValue svrThrDescr |
情報重大度トラップ。アラームを発生させた値は svrThrLastValue に戻される。 |
C.1.2 DSM サブエージェントを使用するためのシステム設定
システムで SNMP を構成し,マスタ・エージェントが SNMP クライアントからの SET コマンドを受け付けることを許可するには,次に示す TCP/IP Services 管理コマンドを TCPIP>プロンプトから実行します。この操作には, SYSPRV 特権または BYPASS 特権が必要です。
TCPIP> SET CONFIGURATION SNMP /FLAGS=SETS |
ローカルの MIB データに対するアクセスの種類を許可または禁止するには,次に示すコマンド,修飾子,オプションを使用します。
TCPIP> SET CONFIGURATION SNMP /[NO]COMMUNITY="名前" - _TCPIP> /[NO]ADDRESS=ホスト・アドレス - _TCPIP> /TYPE=[NO]READ,[NO]TRAP,[NO]WRITE |
例えば,次に示すコマンドでは,SNMP を構成し,コミュニティ名とアドレスを指定して,コミュニティのメンバからの SET コマンドをエージェントが受け付けられるように指定し,かつ,マスタ・エージェントがコミュニティのメンバに対してトラップ・メッセージを送信することを許可します (TRAP または WRITE を指定すると,READ アクセスもあると想定されている)。
TCPIP> SET CONFIGURATION SNMP /COMMUNITY="public" /ADDRESS=128.45.2.8 - _TCPIP> /TYPE=TRAP,WRITE |
管理者のために,次に示すファイルには,DSM サブエージェントの起動,稼働,シャットダウンを行うエントリのサンプルが含まれています。
必要に応じて,上記のファイル内で SVRSYSTEM_MIB エントリを検索し,変更してください。また,
GOTOエントリを削除する必要もあります。この
GOTO文があると,これらのコマンド・プロシージャはすぐに終了してしまいます。
C.2 Compaq Cluster MIB サブエージェント
Compaq Cluster MIB (DCM) は,OpenVMS Cluster システムに関する管理情報を配布する,プライベートなコンパックの管理情報ベースです。
DCM は,次のような 2 つの拡張部分またはサブエージェントから構成されています。
拡張部分 | 説明 |
---|---|
システム | 標準 MIB では定義されていない,クラスタ・システム情報への管理インタフェース |
管理 | 整数変数に対するしきい値を検出し,監視する機能を含む,コンパック拡張エージェントにある機器 |
標準の SMI (Structure of Managed Information) 規定に含まれる DCM の表記は,次のとおりです。
iso(1) org(3) dod(6) internet(1) private(4) enterprises(1) 36 |
OpenVMS Alpha バージョン 7.2 は DCM サブエージェントを実装しています。 DCM サブエージェントがあると,次のような OpenVMS Cluster システムについての状態情報をリモートから決定することができます。
DCM サブエージェントにアクセスするには,次のソフトウェアを使用します。
これ以降の項では,DCM サブエージェントと,システムでのその設定方法を説明します。
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