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コマンド修飾子高速ファイル検索によって入力指定子を処理し,処理時間を短縮します。入力指定子は,Files-11 ディスクでなければなりません。
/FAST 入力指定子 出力指定子
高速ファイル検索は,入力指定子で指定した Files-11 ディスク上の索引ファイルを読み込み,指定した修飾子に一致するファイルのテーブルを作成します。ディスクのセーブの際に /FAST 修飾子を使用すると, ALIAS ディレクトリ木構造は処理されません。ALIAS が指している 1 次ファイルだけがセーブされます。この場合,ディスク上にある ALIAS ディレクトリ指定の数によっては,BACKUP が検査するファイルの数が減って,処理時間が短縮されることがあります。処理されない ALIAS ディレクトリまたはファイルが発見されると,そのたびにメッセージが表示されます。
高速ファイル検索を行うには,入力媒体上の INDEXF.SYS ファイルに対する書き込みアクセス権が必要です。書き込みアクセス権がない場合,入力媒体をライト・ロックしてください。この条件が必要であるのは,更新するかどうかに関わりなく,BACKUP は索引ファイルをオープンしてファイル・システムと同期化するからです。
高速ファイル検索は,ボリューム上のほとんどのファイルを入力指定子が含んでいて,日付や所有者を基準とするファイル選択修飾子が指定するファイルが比較的少ない場合に非常に便利です。イメージ処理では高速ファイル検索を暗黙に使用するので,コマンド修飾子 /IMAGE と併用した場合,/FAST 修飾子は無視されます。
/FAST は,復元処理では使用できません。
$ BACKUP/FAST _From: DBA1:[*...]/MODIFIED/SINCE=TODAY _To: MTA0:13NOVBAK.BCK,MTA1:/LABEL=WK201 |
今日変更したディスク DBA1 上のすべてのファイルを,マルチリール・セーブ・セット 13NOVBAK.BCK にセーブしています。 /FAST 修飾子が,処理時間を短縮します。
コマンド修飾子コマンド修飾子 /LIST が出力するファイル情報を,DCL の DIRECTORY/FULL コマンドによる形式でリストします。
/LIST/FULL 入力指定子 [出力指定子]
/FULL 修飾子を指定できるのは,コマンド修飾子 /LIST を併用した場合に限定されます。/FULL を /LIST と併用しない場合,/LIST は省略時のコマンド修飾子 /BRIEF を使用し,各ファイルのファイル指定,サイズ,作成日付だけをリストします。/FULL を指定した場合,BACKUP 日付,最終変更日付,ファイルに割り当てられているブロック数,ファイルの保護と構成,レコード属性などの情報もファイル・ヘッダ・レコードから取り出してリストします。
$ BACKUP/LIST/FULL MTA1:ROCK.BCK Listing of save set(s) Save set: ROCK.BCK Written by: RINGO UIC: [000200,000300] Date: 20-AUG-2000 15:39:38.89 Command: BACKUP [.STONES] MTA0:ROCK.BCK/LABEL=BACKUP Operating system: OpenVMS Alpha Version V7.3-1 BACKUP version: V7.3-1 CPU ID register: 08000000 Node name: _SUZI:: Written on: _MTA0: Block size: 8192 Group size: 10 Buffer count: 30 [RINGO.STONES]GRAPHITE.DAT;1 Size: 1/1 Created: 18-AUG-2000 14:10 Owner: [000200,000200] Revised: 18-AUG-2000 14:10 (2) File ID: (91,7,1) Expires: [None specified] Backup: [No backup done] File protection: System:RWED, Owner:RWED, Group:RE, World: File organization: Sequential File attributes: Allocation = 1, Extend = 0 Global Buffer Count = 0 Record format: Variable length, maximum 255 bytes Record attributes: Carriage return [RINGO.STONES]GRANITE.DAT;1 Size: 1/1 Created: 18-AUG-2000 14:11 Owner: [000200,000200] Revised: 18-AUG-2000 14:11 (2) File ID: (92,9,1) Expires: [None specified] Backup: [No backup done] File protection: System:RWED, Owner:RWED, Group:RE, World: File organization: Sequential File attributes: Allocation = 1, Extend = 0 Global Buffer Count = 0 Record format: Variable length, maximum 255 bytes Record attributes: Carriage return . . . Total of 4 files, 16 blocks End of save set |
セーブ・セット MTA1:ROCK.BCK 内のファイルを詳細形式でリストしています。
出力セーブ・セット修飾子各冗長グループに割り当てるブロック数を定義します。
入力指定子 出力セーブ・セット指定 /GROUP_SIZE=n
冗長情報を出力セーブ・セットに書き込むことにより,データの消失を防止します。冗長情報をもとに,各冗長グループにおける 修正不能の読み込みエラーを 1 つ修正できます。 /GROUP_SIZE 修飾子は,各冗長グループに書き込む出力ブロック数を指定します。n の値は,0 〜 100 です。省略時の値は, 10 です。/GROUP_SIZE に 0 を定義すると,セーブ・セットに対する冗長グループは作成されません。
$ BACKUP/RECORD DBA1:[*...]/SINCE=BACKUP TAPE:SAVEWORK.BCK/GROUP_SIZE=5 |
現在の省略時のディレクトリに存在し,最後の BACKUP/RECORD 処理以降に変更されたすべてのファイルを,セーブしています。/GROUP_SIZE は,冗長グループ・サイズを 5 ブロックと指定しています。
コマンド修飾子BACKUP のセーブまたはコピー処理において,ファイルに対する制約を変更すること,またはテープ・ラベル処理チェックを行わないことを指定します。
/IGNORE= オプション 入力指定子 出力指定子
/IGNORE=オプションの修飾子には,次のオプションがあります。
ACCESSIBILITY ボリューム・アクセス可能文字で保護されているテープ上のファイル,または階層記憶制御装置 (HSC) バックアップで作成したテープ上のファイルを処理するテープ専用のオプションである。セーブ・セット内で最初にマウントしたテープにまず作用し,次に以降のすべてのテープに作用する。 INTERLOCK ファイル・アクセスが一致しないため処理できないファイルを処理する。書き込み用に現在オープンしているファイルをセーブまたはコピーするときに使用する。ファイルに書き込んでいるプロセスとは同期をとらないので,状況によってはコピー対象ファイルが入力ファイルと整合しない場合がある。たとえば,別のユーザが同じファイルを編集している場合,内容が変わる可能性がある。書き込み用にオープンしているファイルを処理するとき,次のメッセージが表示される。 %BACKUP-W-ACCONFLICT, 'filename' is open for write by another user.
長時間オープンしていてセーブしない可能性があるファイルがある場合,INTERLOCK オプションは非常に便利である。このオプションを使用するには,ユーザ特権 SYSPRV,システム UIC,ボリュームの所有権のいずれかが必要である。 LABEL_PROCESSING ボリューム・ヘッダ・レコードに格納されている情報に関わらず,指定の磁気テープ・ボリュームにファイルの内容をセーブまたはコピーする。ボリューム・ラベルや満了日付をチェックしないまま,テープ・ボリュームに情報が書き込まれる。このオプションを使用する場合は /EXACT_ORDER 修飾子も使用しなければならない。 NOBACKUP DCL の SET FILE コマンドの /NOBACKUP 修飾子が NOBACKUP フラグを設定したファイルのファイル・ヘッダ・レコードと内容をセーブまたはコピーする。このオプションを指定しない場合, NOBACKUP フラグが設定されたファイルのファイル・ヘッダ・レコードだけがセーブされる。
#1 |
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$ BACKUP/IGNORE=INTERLOCK _From: DUA0:[SUSAN...] _To: MTA0:SONGBIRD.BCK/LABEL=TAPE01 |
ディレクトリ木構造全体とすべてのサブディレクトリのファイルと,現在オープンしているファイルをセーブしています。
#2 |
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$ BACKUP/IGNORE=LABEL_PROCESSING *.*;* MFA1:MYFILES.BCK/REWIND |
ドライブ MFA1 のテープをテープの先頭マーカまで巻き戻し,テープを初期化し,ユーザの現在のディレクトリに存在するすべてのファイルを格納するセーブ・セットを作成しています。コマンド修飾子 /IGNORE=LABEL_PROCESSING は,テープ・ラベル処理チェックを行わないまま,テープを初期化することを指定します。テープが初期化されると,テープに格納されていた以前のデータへのアクセス権は取り消されます。
#3 |
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$ INITIALIZE/LABEL=VOLUME_ACCESSIBILITY:"K" MUA1: 29JUN $ BACKUP/IGNORE=(ACCESSIBILITY) _From: DUA0:[BOOKS...] _To: MUA1:BACKUP.SAV /LABEL=29JUN |
アクセス可能文字 (K) とボリューム・ラベル (29JUN) を持つテープを初期化しています。アクセス可能性に関わらず,テープをマウントし,BACKUP 処理を実行しています。テープ保護の詳細については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。
#4 | |
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$ BACKUP/LOG/IMAGE/CONVERT DKA500:[000000]IMAGE.BCK/SAVE DKA200:/NOINIT
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ODS-5 ディスクのイメージ・バックアップがあり,それを ODS-2 ディスクに復元したい場合は,この例の中で示したようなコマンドを使用することができます。
この例のコマンド行では,IMAGE.BCK が ODS-5 セーブ・セットで, DKA200: が ODS-2 ディスクです。この変換方法を用いる場合は,出力ディスクを ODS-2 に事前に初期化しておき,コマンド行に /NOINIT 修飾子を含める必要があります。
コマンド修飾子ボリューム全体またはボリューム・セット全体を処理します。
/IMAGE 入力指定子 出力指定子
/IMAGE 修飾子を使用するには,ボリューム索引ファイル INDEXF.SYS とビット・マップ・ファイル BITMAP.SYS への書き込みアクセス権が必要です。書き込みアクセス権がない場合,入力媒体をライト・ロックしてください。BACKUP は,索引ファイルをオープンしてファイル・システムとの同期をとります。更新は行いません。入力媒体上のすべてのファイルへの読み込みアクセス権も必要です。/IMAGE 修飾子とともに /PHYSICAL 修飾子を使用すると,回復不可能なエラーが発生する可能性があります。
ディスクのセーブの際に /IMAGE 修飾子を使用すると, ALIAS ディレクトリ木構造は処理されません。ALIAS が指している 1 次ファイルだけがセーブされます。この場合,ディスク上にある ALIAS ディレクトリ指定の数によっては,BACKUP が検査するファイルの数が減って,処理時間が短縮されることがあります。
注意
イメージ処理の入力装置と出力装置には,異なる装置を指定してください。ただし,イメージ・セーブ処理の出力装置は, Files-11 ディスク・セーブ・セットです。
出力ボリュームがディスクである場合,すべてのファイルは,出力ボリューム上に連続して格納されます。この結果,ディスクのフラグメンテーションが発生せず,連続した空きディスク空間ブロックが作成されます。
入力ボリューム上のすべてのファイルが処理されるので,入力ファイル選択修飾子は使用できません。ただし,イメージ・セーブ・セットからファイルを復元する場合には,復元するファイルを選択できます。
ボリューム・セットに対してイメージ処理を行う場合,出力指定子で指定するボリューム数は,入力ボリューム・セットのボリューム数と同じでなければなりません。
イメージのセーブまたはコピー処理は,削除するファイルや紛失ファイル (ディレクトリ・エントリのないファイル) を含む,入力ディスク・ボリューム上のすべてのファイルをセーブまたはコピーします。省略時の BACKUP イメージ操作では,属性はセーブまたはコピーされますが, NOBACKUP フラグを設定したファイルの内容はセーブまたはコピーされません。また,省略時の設定では,イメージ・セーブ操作の時点で別のユーザがオープンして書き込んでいるファイルについては,BACKUP は属性もファイルの内容もセーブしません。これらのファイルを処理するには,コマンド修飾子 /IGNORE を BACKUP コマンド行に指定してください。コマンド修飾子 /IGNORE=NOBACKUP は,NOBACKUP のフラグが設定されているファイルをセーブまたはコピーします。コマンド修飾子 /IGNORE=INTERLOCK は,別のユーザが書き込みのためオープンしているファイルをセーブまたはコピーします。
イメージの復元またはコピー処理は,出力ボリュームや出力ボリューム・セットを初期化します。コマンド修飾子 /NOINITIALIZE を指定しないかぎり,初期化データは,入力ボリュームのセーブ・ボリューム要約レコードから取り出されます。/NOINITIALIZE は,出力ボリュームにすでに存在するボリューム初期化データを使用して,出力ボリュームを初期化します。
イメージの復元またはコピー処理では,すべてのファイルが復元またはコピー対象となります。出力ボリュームは,/FOREIGN 修飾子を使用してマウントする必要があります。出力ボリュームの機能は入力ボリュームと同じですが,ファイルの配置は変更されます。出力ボリュームでは,ファイルが連続して格納されます。
イメージの復元またはコピー処理において,出力ボリュームの構造レベルを変更することはできません。次のコマンドのように,テープとディスクの混合セーブ・セットへの BACKUP 操作はサポートされていません。
$ BACKUP SYS$DISK:/IMAGE dka0:FUN,MKA0:/SAVE/REW
/NOALIAS 修飾子を指定せずに /IMAGE を指定すると,ディスクまたはファイルの復元操作が正しく完了しない可能性があります。したがって,イメージ・モードのバックアップ操作を行う際, /IMAGE 修飾子を指定する場合には /NOALIAS 修飾子も指定することを強く推奨します。
注意
/NOALIAS 修飾子を指定しない場合は,省略時の指定として /ALIAS 修飾子が指定されたとみなされます。
OpenVMS バージョン 6.2 と 7.0,で, /IMAGE 修飾子と (明示的,あるいは省略時の指定として) /ALIAS 修飾子を指定した場合,BACKUP ユーティリティはただ1つのセーブ・ファイルを作成します。これは,別名ファイル・エントリ,または一次ファイル・エントリのいずれかです。一次ファイル・エントリがセーブ・セットに保存されなかった場合,このセーブ・セットに対して以降行なわれる復元操作では,この別名エントリを使用してこのファイルを復元します。これにより,作成されるファイルのファイル・ヘッダには誤ったファイル名が含まれていることになります。
OpenVMS バージョン6.2 または 7.0 で /ALIAS 修飾子を使用して作成されたセーブ・セットから,/NOALIAS 修飾子を指定してボリューム復元すると,ボリュームは正しくリストアされません。 BACKUP ユーティリティが以前に一次ファイリ・エントリの代わりに別名ファイル・エントリを保存した場合,別名ファイル・エントリは /NOALIAS 修飾子を指定して復元されたボリュームからは省略されます。
OpenVMS バージョン 6.2または 7.0で /ALIAS 修飾子を指定して作成されたセーブ・セットを復元するには,次の手順を行います。
- /IMAGE 修飾子と /ALIAS 修飾子を使用してセーブ・セットを復元します。
- 次の例のように,壊れたファイルのファイル名を変えることにより,ファイル・エントリを修正します。
$ RENAME DISK:[000000]VMS$COMMON.DIR DISK:[000000]SYSCOMMON.DIR $ RENAME DISK:[000000]SYSCOMMON.DIR DISK:[000000]VMS$COMMON.DIR
この例では, VMS$COMMON.DIR は一次ファイル・エントリです。 SYSCOMMON.DIR iは別名ファイル・エントリです。
OpenVMS バージョン 7.1 以降では, /IMAGE 修飾子を /NOALIAS 修飾子なしで使用すると, BACKUP ユーティリティは一次ファイル・エントリと別名ファイル・エントリの両方を保存します。
#1 |
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$ MOUNT/FOREIGN DMA1: %MOUNT-I-MOUNTED, mounted on NODE$DMA1: $ BACKUP/IMAGE/LOG DLA2: DMA1: %BACKUP-S-CREATED, created DMA1:[000000]000000.DIR;1 %BACKUP-S-CREATED, created DMA1:[000000]BACKUP.SYS;1 %BACKUP-S-CREATED, created DMA1:[000000]CONTIN.SYS;1 %BACKUP-S-CREATED, created DMA1:[000000]CORIMG.SYS;1 %BACKUP-S-CREATED, created DMA1:[000000]ELLA.DIR;1 %BACKUP-S-CREATED, created DMA1:[ELLA]SCAT.DAT;1 %BACKUP-S-CREATED, created DMA1:[000000]JOE.DIR;1 %BACKUP-S-CREATED, created DMA1:[JOE]STRINGS.DAT;1 %BACKUP-S-CREATED, created DMA1:[000000]OSCAR.DIR;1 %BACKUP-S-CREATED, created DMA1:[OSCAR]KEYS.DAT;1 %BACKUP-S-CREATED, created DMA1:[000000]VOLSET.SYS;1 . . . $ |
MOUNT コマンドにより,イメージ・コピー処理のターゲット・ディスクを用意しています。コマンド修飾子 /LOG は,コピーするファイルに関する情報をターミナル上に表示します。BACKUP コマンドが DMA1 を初期化し,DMA1 にディスク・ボリューム DLA2 をコピーします。 DMA1 に格納されるファイルは,すべて連続しています。
#2 |
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$ BACKUP/IMAGE DBA2: MTA0:ET.BCK,MTA1: |
ディスク・ボリューム全体を,磁気テープ・ドライブ 2 つを使用してマルチボリューム・セーブ・セット ET.BCK にセーブしています。
#3 |
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$ MOUNT/FOREIGN DBA1: %MOUNT-I-MOUNTED, mounted on NODE$DBA1: $ BACKUP/IMAGE WORKDISK DBA1:28SEP.BCK/SAVE_SET |
イメージ・セーブ処理のターゲット・ディスクを MOUNT コマンドが用意しています。BACKUP コマンドにより,Files-11 セーブ・セット 28SEP.BCK に対するイメージ・セーブ処理が行われます。
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