Compaq OpenVMS Alpha
V7.3-1 リリース・ノート【翻訳版】


前へ 次へ 目次 索引


5.8 LIBOTS2 のバージョン

V7.3-1

LIBOTS2 は,OpenVMS Alpha Version 7.3-1 向けに更新されています。LIBOTS2 の新しいバージョンは,Version 2.7-48 です。

OpenVMS Version 7.3 に同梱されている LIBOTS2 ライブラリ(Version 2.6-46 link date 2001)は正しく作成されていないので,COBOL プログラムの実行結果が正しくないことがあります。そのため,このバージョンを使用しないでください。代わりに次のいずれかを使用してください。

5.9 Compaq DCE(Distributed Computing Environment)for OpenVMS

ここでは,Compaq DCE(Distributed Computing Environment)for OpenVMS VAX および OpenVMS Alpha の既存のユーザのためのリリース・ノートをまとめます。

OpenVMS Version 7.2 以降,リモート・プロシージャ・コール(RPC)は,オペレーティング・システムに統合されています。OpenVMS Version7.2-1 からは,NTLM(NT Lan Manager)のセキュリティが,RPC 呼び出しで利用できます。RPC 機能の詳細については,『Compaq DCE for OpenVMS VAX and OpenVMS Alpha Reference Guide』を参照してください。

注意

Compaq DCE for OpenVMS Version 1.4 を OpenVMS Version 7.2 またはそれ以降のシステムにインストールしないでください。インストールすると,新しい RPC ファイルがVersion 1.4 の RPC ファイルにより上書きされます。この問題は,Compaq DCE for OpenVMS Version 1.5 またはVersion 3.0 では生じません。

Compaq DCE for OpenVMS の詳細については,次のドキュメントを参照してください。

5.9.1 DCE のシステム管理用コマンド・プロシージャ

V7.3

OpenVMS Version 7.2-1 における DCE RPC ファイルの更新にともない,DCE システム管理用コマンド・プロシージャ(SYS$MANAGER:DCE$SETUP.COM)に次の変更が行われました。

5.9.2 NTLM の認証済み RPC 機能の採用

V7.3

NTLM(NT Lan Manager)プロトコルによる偽装と認証をはじめとする DCE for OpenVMS Version 3.0 の新しい認証済み RPC 機能が,OpenVMS Version 7.2-1 またはそれ以降で利用できるようになりました。

NTLM の使用方法の詳細については,OpenVMS Version 7.2-1 以降に付属の Compaq DCE for OpenVMS VAX および OpenVMS Alpha に関するドキュメントを参照してください。

5.10 DECdtm $TRANS_EVENT

V7.3-1

マニュアルに新しく記載された DECdtm $TRANS_EVENT システム・サービスの C プロトタイプは,次のように変更されています。

OpenVMS Starlet が変更されたため,システム・サービス呼び出し($TRANS_EVENT または $TRANS_EVENTW)を呼び出す既存のアプリケーションについては,再コンパイルして再リンクする必要があります。

注意

$TRANS_EVENT に関する DECdtm マニュアルは,前回のバージョンから修正されています。

5.11 デバッガ

ここでは,OpenVMS のデバッガに関するリリース・ノートをまとめます。

5.11.1 レジスタ・ビューとデバッガのエラー

V7.3-1

レジスタ表示リストの変更後にレジスタを選択すると,デバッガで障害が発生することがあります。

5.11.2 デバッガでサポートされない旧バージョンのクライアント/サーバ・インタフェース

V7.3

OpenVMS Version 7.3 のデバッガは,以前のバージョンのクライアント/サーバ・インタフェースをサポートしません。次の表に従って,配布メディアのキットにあるクライアント/サーバ・インタフェースをインストールする必要があります。

CPU オペレーティング・システム クライアント・キット
Intel Microsoft Windows 95,98,NT,Me,2000,XP [DEBUG_CLIENTS011.KIT]DEBUGX86011.EXE
Alpha Microsoft Windows NT [DEBUG_CLIENTS011.KIT]DEBUGALPHA011.EXE

これらのクライアント・キットは,自己解凍型の .EXE ファイルです。

適切な実行可能ファイルをいったん PC に転送した後,そのファイルを実行して,PC にデバッグ・クライアントをインストールします。インストール手順は,InstallShield インストール・プロシージャによって示されます。

デフォルトでは,デバッグ・クライアントが \Program Files\OpenVMS Debuggerフォルダにインストールされます。「Browse」をクリックして,別のインストール先を選択することもできます。

5.12 デバッグ・モード---CPUSPINWAIT バグチェックの回避

V7.3-1

OpenVMS オペレーティング・システムには,複雑なハードウェアの問題やソフトウェアの問題をデバッグするのに役立つように,多くの特殊操作モードが準備されています。一般には,これらの特殊モードを使用すれば,特別なレベルでトレース,データの記録,一貫性チェックを行うことができ,このような機能は,問題があるハードウェア構成要素やソフトウェア構成要素を突き止めるのに役立ちます。これらの操作モードは,システム・パラメータ MULTIPROCESSING,POOLCHECK,BUGCHECKFATAL,SYSTEM_CHECK によって制御されます。

一般に I/O 負荷の高い特定の状況で,これらの特殊モードのいずれかを使用している場合は(たとえば,デバイス・ドライバや他の複雑なアプリケーションをデバッグする場合など),CPUSPINWAIT バグチェックが発生することがあります。特に,スピンロックのある状態で長期間実行する特権コードに対して CPUSPINWAIT バグチェックが発生します。スピンロックは,クリティカル・セクションのエントリ・ポイントとイグジット・ポイントを区切るために使われ,この場合のように連続的に使うことはできません。

CPUSPINWAIT バグチェックを防止するには,これらのシステム・パラメータに対して,システムのデフォルト設定を使用するか,またはシステムの負荷を低下させます。

何らかの理由でデフォルトの設定を変更しなければならない場合は,SMP_ LNGSPINWAIT システム・パラメータを 9000000 に設定することで,問題が発生する可能性を減らせます。

5.13 Hypersort ユーティリティ

V7.3-1

ここでは,Hypersort ユーティリティに関するリリース・ノートをまとめます。OpenVMS Alpha Version 7.3-1 では,Hypersort が更新されています。新しいバージョンの Hypersort は V04-003 です。

従来どおり,Hypersort で修正されていない問題を解決する場合,または Hypersort に実装されていない機能を使用する場合には,SORT32 を使用してください。

5.13.1 Hypersort と VFC 入力ファイル

V7.3-1

Hypersort では VFC 入力ファイルに対する /KEY を正しく処理することができるようになりました。VFC 入力ファイルで Hypersort を実行するには,/FORMAT=(RECORD_SIZE:n)と指定します。n は,最大レコード長と vfc ファイルの固定制御領域サイズを加算した値です。

5.13.2 Hypersort と /FORMAT=RECORD_SIZE---制限事項

V7.3-1

Hypersort では,SORT と MERGE の両方で使用する /FORMAT=RECORD_SIZE:n がサポートされます。ただし,次の 2 つの制限事項があります。

5.13.3 Hypersort と入力アスタリスク(*)---制限事項

V7.3

Hypersort では,入力ファイル指定にアスタリスク(*)を使用できません。

5.13.4 Hypersort とラージ・ファイルの処理---修正済み

V7.3-1

Hypersort を使用すると,ラージ・ファイルで高性能のソートを実行できます。以前発生していたオフセット計算の誤りと Hypersort でのハングやアクセス違反(ACCVIO)の問題は,修正されました。

5.13.5 Hypersort と /STATISTICS オーバフロー

V7.3-1

Hypersort では,ワーキング・セット・エクステントと作業ファイル割り当てに関する SORT/STATISTICS に,より大きな値を設定できるようになりました(この機能は,SORT32 と Hypersort の両方でサポートされます)。

5.13.6 Hypersort と user_compare パラメータおよび user_equal パラメータ

V7.3-1

SORT32 と異なり,Hypersort では,アプリケーション呼び出しに user_compare パラメータまたは user_equal パラメータのアドレスを指定できませんでしたが,現在は,NYI 診断が正しく返されます。

5.13.7 Hypersort での内部作業ファイルとユーザ出力ファイルの拡張---修正済み

V7.3-1

Hypersort では,オンデマンドで書き込み中の作業ファイルまたは出力ファイルを拡張できます。ソートが途中で終了するファイル拡張ロジックの問題は修正されました。

5.13.8 SORT32 ファイル命名規則に準拠した Hypersort---修正済み

V7.3-1

Hypersort は,SORT32 のカスケード入力ファイルから出力ファイル名を生成する命名規則に準拠する必要があります。カスケード・ロジックの問題が修正されたため,SORT32 への準拠性が向上しました。

5.13.9 Hypersort と出力ファイル属性---修正済み

V7.3-1

Hypersort では,処理中の入力データに基づいて適切な出力ファイル属性を検出して設定する必要があります。MRS 属性の誤りに関する問題は修正されました。

5.13.10 Hypersort と AST クォータ---修正済み

V7.3-1

Hypersort では,非同期の QIO を使用して基本的な RMS ファイル・タイプを処理します。AST クォータの消費とハングの問題は,修正されました。

5.13.11 Hypersort と NULL 重複レコード---修正済み

V7.3-1

Hypersort では,重複レコードの処理が可能です。NULL 重複レコードが誤ってフィルタ処理される問題は修正されました。

5.13.12 Hypersort と RMS-F-SYN---修正済み

V7.3-1

Hypersort では,次の 2 番目のエラー・メッセージを正しく出力するようになりました。

RMS-F-SYN, file specification syntax error

5.13.13 Hypersort と検索リスト,および論理名の使用---制限事項

V7.3-1

Hypersort では,検索リスト,および入力ファイルと作業ファイルで使用される論理名のサポートが十分でありません。この制限が関係する場合は,SORT32 を使用してください。

5.13.14 Hypersort と作業ファイルの空き領域不足---制限事項

V7.3-1

すべてのソート作業ファイルで空き領域が不足していると,Hypersort が正しく終了しません。この問題を防ぐには,ソート作業ファイルに使用するデバイスに十分な空き領域を割り当ててください。または,SORT32 を使用して,作業ファイルの領域が不足しているかどうかを確認してください。

5.13.15 Hypersort と SORT32 の性能---ワーキング・セットとページ・ファイル・クォータ

V7.3-1

SORT32 と Hypersort では,それぞれのソート・アルゴリズムと作業ファイル・アルゴリズムが異なります。それぞれのソート・ユーティリティの処理速度は入力ファイルとメモリ/ディスク/CPUの構成に依存します。SORT32 と Hypersort のどちらでも,ページ・ファイル・クォータがワーキング・セット・エクステントの 3 倍以上になるようにしてください。

5.13.16 可変長レコードでの Hypersort と SORT32 の性能

V7.3-1

SORT32 と Hypersort では,ソート作業ファイル内の最大レコード長(LRL)に基づいて固定長のスロットが割り当てられます。ソート性能を向上させるには,実際の最大レコード長に最も近い LRL 情報をファイルに設定します。初期性能が低い場合は,C プログラムによって作成されたファイルをソートしており,LRL が必要以上に(32767 まで)設定されていることが原因と考えられます。

5.13.17 Hypersort 作業ファイル・ディレクトリ---制限事項

V7.3

Hypersort 作業ファイルは,要求した作業ファイル数を処理できる複数のファイル・バージョンを格納できるディレクトリに作成される必要があります。この制限は,SORT32 と同様です。

5.14 Librarian ユーティリティ---PGFLQUOTA は 23000 以上必要

V1.5

OpenVMS Alpha の LIBRARIAN は圧縮,データ・リダクション,データ拡張操作でエラーを通知しないことがあります。この問題が発生するのは,LIBRARIAN が動作しているアカウントまたはプロセスの PGFLQUOTA プロセス・クォータが低い場合です。$PUTMSG システム・サービスは,エラーが発生した場合でも,必ず SS$_NORMAL というステータスを返すので,操作エラーがただちに明らかになりません。しかし,エラーが発生した場合には,LIBRARIAN は Success 以外のステータスを返します。

この問題を回避するには,PGFLQUOTA プロセス・クォータが 23000 より大きい値に設定されたアカウントで,圧縮,データ・リダクション,データ拡張操作を実行します。さらに,コマンド・プロシージャで LIBRARY コマンドからの戻りステータスを確認するようにしてください。

5.15 Linker ユーティリティ

ここでは,Linker ユーティリティに関するリリース・ノートをまとめます。

5.15.1 ライブラリ・チェックにおける Linker のデフォルト動作の変更

V7.3-1

これまでの Linker では,ライブラリと共用可能イメージ間の一致条件が厳密に検証されていましたが(正確な日時を照合し,該当するものがない場合は,LINK-I-DATMISMCH シグナル通知を発行),このリリースでは,イメージ・アクティベータと同じ検証(GSMATCH 条件を使用して互換性を検証)だけが実行されます。

以前の動作(日時の照合)を実行する場合は,LINK$SHR_DATE_CHECK 論理名を設定してください。

5.15.2 Linker ユーティリティ---スタックのエレメント数は最大 25 に制限

V7.2

オブジェクト・ファイルを作成する開発者は,Linker の内部スタックのエレメント数が最大 25 に制限されていることに注意しなければなりません。どのような計算も,この制限の範囲内で実行しなければなりません。

5.16 LTDRIVER---CANCEL SELECTIVE の制限事項

V6.1

OpenVMS Version 6.1 より前のリリースでは,LTDRIVER は「拡張 DDT」ビットをセットしていませんでした。したがって,POSIX 関数 CANCEL SELECTIVE は LTDRIVER で動作しませんでした。この問題は解決されましたが,まだ制限事項が残っています。

この修正により,$QIO 読み込みと書き込みを選択的に取り消すことができるようになりましたが,ポート・ドライバに対して行った $QIO(つまり,LAT 接続 $QIO などのように IO$_TTY_PORT 関数修飾子を使用して行ったもの)は,CANCEL SELECTIVE によって取り消すことができません

5.17 Mail ユーティリティ---呼び出し可能メールのスレッドの制限事項

V7.1

OpenVMS 呼び出し可能メール・ルーチンはスレッド・セーフでは ありません。スレッド化されたアプリケーション内での非スレッド・セーフ・ルーチンの呼び出しの詳細については,『Guide to the POSIX Threads Library』を参照してください。

呼び出し可能メールのコンテキスト情報は,プロセス単位(スレッド単位ではない)で管理されるので,コンテキスト・ベースの処理を実行する複数のスレッドは相互に同期をとり,特定のタイプのメール・コンテキストが一度に 1 つ だけアクティブになるようにしなければなりません。この条件が満たされないと,1 つのスレッドが他のスレッドのメール操作を妨害する可能性があります。

OpenVMS Alpha システムでは,マルチスレッド環境でカーネル・スレッドが有効に設定されている場合,この他にも追加制限事項があります。この環境では,呼び出し可能メールは初期スレッドでのみ使用しなければなりません。


前へ 次へ 目次 索引