OpenVMS
ユーザーズ・マニュアル


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1.12 システムからのログアウト

システムを使用し終わったら,必ず ログアウト してください。これは,登録されていないユーザがアカウントやシステムにアクセスできないようにするためです。また,ログアウトすると,必要がなくなった資源を他のユーザが使用できるようになるので,システム資源も無駄になりません。

ログアウトするには,DCL プロンプトに対して LOGOUT コマンドを入力します。


$ LOGOUT 

システムは次のようなメッセージを表示し,ログアウトしたことの確認メッセージを表示します。


$ LOGOUT 
HARRIS logged out at 11-DEC-2002  12:42:48.12

システムからログアウトできるのは,DCL プロンプト($)が出ているときだけです。プログラムをコンパイルしていたり実行しているとき,テキスト・エディタ(EDT や EVE など)を使用しているとき,ユーティリティ(Mail など)を実行しているときには LOGOUT コマンドは入力できません。まず,プログラム,エディタ,ユーティリティを終了し,システムが DCL プロンプトを出してはじめて,ログアウトできます。

1.12.1 アカウント情報の取得

どのくらいターミナルを操作したか(経過時間),どのくらいコンピュータを使用したか(CPU 使用時間)などのアカウント情報を知るには,DCL プロンプトに対して LOGOUT/FULL を入力します。


$ LOGOUT/FULL 

次のような情報が表示されます。


SIMPSON logged out at 11-DEC-2002  12:42:48.12 
 
Accounting information: 
 Buffered I/O count:      8005   Peak working set size:    212 
 Direct I/O count:         504   Peak virtual size:        770 
 Page faults:             1476   Mounted volumes:            0 
 Charged CPU time:0 00:00:50.01  Elapsed time:0 02:27:43.06

1.12.2 リモート・セッションの終了

リモート・セッションは次の 2 種類の方法で終了できます。

リモート・セッションを終了すると,"%REM-S-END, control Entered to node NODENAME::" というメッセージが表示され,リモート・ノード接続を確立したシステムのプロセスに戻ります。

1.12.3 ネットワーク接続の消失

リモート・システムとの TCP/IP ネットワーク接続が切断される場合,TCP/IP ではベストエフォート・デリバリ・プロトコルを使用します。これは,回線障害などのエラーが発生した場合に,エラーの回復をせずにデータの受け渡しが試みられるネットワーク・テクノロジの特徴です。

リモート・システムとの DECnet ネットワーク接続が失われた場合には,DECnet は通信を再確立するときにデータを再送します。DECnet が前もって決められた時間切れの時間内に通信を再確立できない場合には,リモート・システムとの接続は終了し,"Path lost to partner" というメッセージが表示されます。

1.13 システム・セキュリティを損なわずにログアウトする

セッションからログアウトすると,システム資源を節約でき,ファイルを保護できます。ターミナルをオンライン状態のままにしておくと,内部的な侵入の最大の原因になります。ターミナルをオンラインにしたまま,オフィスを開放しておくことは,自分のパスワートや特権を人に教えてしまうのと同じであり,自分のファイルやグループの他のメンバのファイルが保護されなくなります。このような場合,アカウントを介してアクセス可能なファイルはすべて,誰もが簡単に転送できます。また,ユーザのファイルや,そのユーザが書き込みアクセス権を持つ他のファイルを,内部の人間が悪意で削除したり,ファイル名を変更することもできます。特殊な特権がある場合,特にFilesカテゴリやAllカテゴリの特権がある場合には,悪意のあるユーザが大きな損害を与える可能性もあります。

一定時間使用しなくても自動的にロックされないシステム上で作業する場合には,たとえ短時間でもオフィスを離れるときは,ログアウトしてください。リモート・ログインを実行した場合には,それぞれのノードからログアウトしなければなりません。

セキュリティ管理者は,ログアウトするときにダイアルアップ回線への接続を切断するようにユーザに指示することがあります。ダイアルアップ回線への接続を切断しておく理由は次のとおりです。

1.14 ネットワーク

複数のコンピュータ・システムを 1 つに連結すると,ネットワーク が形成されます。OpenVMS ネットワーク上のオペレーティング・システムは,相互に通信し,情報や資源を共用できます。ネットワーク内の各システムをネットワーク・ノード または ホスト と呼び,固有の名前やアドレスで識別します。ここで ホストノード は同義語であり,ネットワークに接続されたシステムを意味します。

OpenVMS では,ネットワーク・プロトコルを選択できます。1 つのネットワークで Compaq TCP/IP Services for OpenVMS 製品または弊社 DECnet 製品のどちらかを使用する方法と,1 つのネットワークで両方の製品を使用する方法があります。OpenVMS における弊社の基本ネットワーク戦略は業界標準ネットワーク・プロトコル群である TCP/IP です。

1.14.1 ネットワーク・ノード

ネットワーク・ノードにログインすると,他のネットワーク・ノードと通信できるようになります。ログインしたノードを ローカル・ノード,ネットワーク上の他のノードを リモート・ノード と呼びます。リモート・ノード上のアカウントにアクセスすると,自分のログインしたローカル・ノードからそのアカウントにログインでき,自分のローカル・ノードと接続したまま,そのノード上でタスクを実行できます。

第 1.5.2 項 で,リモート・ノードにログインする方法を説明しています。リモート・ノードで実行できる操作については,本書の該当する章を参照してください。

1.14.2 ネットワークを介してのプログラムの実行

TCP/IP および DECnet ソフトウェアがサポートする機能によって,ネットワークを介してあたかもローカル・ノードで実行するかのようにリモート・ノード上で プログラム を実行できます。ネットワーク・ソフトウェアはオペレーティング・システム内部に統合されているため,リモート・ファイルにアクセスするプログラムを簡単に作成できます。アプリケーション・プログラムの中でリモート・ファイルにアクセスするには,リモート・ノードの名前と必要なアクセス制御情報をファイル指定の中に含めるだけで実現できます。

すべての TCP/IP または DECnet 環境に共通する機能であるタスク間通信を利用すれば,使用するプログラミング言語にかかわらず,同じまたは異なるオペレーティング・システムで動作する 2 つのアプリケーション・プログラム同士で通信することができます。ネットワーク・アプリケーションの例としては,分散処理アプリケーション,トランザクション処理アプリケーション,そしてサーバへの接続を行うアプリケーションがあります。

注意

本書のリモート操作の例では,代理アカウントを使用して,リモート・システムで操作できるようにしています。代理アカウントは,ユーザがリモート・システムにアクセスするための方法の 1 つです。リモート・システムにアクセスする他の方法については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。


第 2 章
DCL を使用したシステムとの会話

DIGITAL コマンド言語(DCL)は,オペレーティング・システムに特定の操作を実行させる命令からなります。DCL には,200 を超えるコマンドと関数があり,これらを使用してオペレーティング・システムと通信し,さまざまなコンピューティング・タスクを実行することができます。DCL コマンドを使用すると,次のことが行えます。

次の表は,いくつかの一般的なシステム操作を実行する場合に使用される DCL コマンドを示しています。

コマンド 操作
COPY 指定されたファイルをコピーする。
COPY/FTP TCP/IP ネットワーク上のホスト間でファイルを転送する。
CREATE ファイルまたはディレクトリを作成する。
DELETE 指定されたファイルをディレクトリから削除する。
DIRECTORY ディレクトリの内容(ファイルのリスト)を表示する。
EDIT テキスト・ファイルの内容を調べて変更する。
LOGOUT セッションを終了する。
PRINT 指定されたファイルをプリンタに送って印刷する。
RENAME 指定されたファイルの名前または位置を変更する。
SET 画面上でのシステムの表示のしかたを制御する。
SHOW システムの状態を表示する。
TYPE 指定されたファイルの内容を画面に表示する。

本章では,DIGITAL コマンド言語の使用方法について学びます。特に次のことについて説明します。

ローカル環境の違い

本書では,標準的な DCL コマンドについてのみ説明します。システム管理者はローカル環境をサポートするためにシステムを変更できます。システム管理者は次のことができます。

本章で説明するコマンド,修飾子,およびパラメータについての詳細は,『OpenVMS DCL ディクショナリ』とオンライン・ヘルプを参照してください。

2.1 コマンドの入力

DCL コマンドを入力するためには,DCL プロンプト($)に対してコマンドを入力してから Enter を押します。DCL は大文字と小文字を区別しません。したがって,コマンドは大文字または小文字のどちらでも入力できます。1

たとえば,DCL コマンドSHOW TIME を使用する場合には,次のコマンドを入力します。


$ SHOW TIME 

現在の日付と時間が表示された後 DCL プロンプトに戻るので,別のコマンドを入力できます。


11-DEC-2002  15:41:43 
$ 

2.1.1 使用モード

DCL は,次の 2 つのモードで使用できます。

2.1.2 DCL コマンドの種類

DCL コマンドを入力すると,DCL インタプリタがそれを読み込んで解釈します。コマンド・インタプリタのコマンドに対する応答は,入力したコマンドの種類によって異なります。DCL コマンドには,次の 3 つの種類があります。

注意

1 大文字小文字の区別については 第 5 章 を参照。

2.2 DCL コマンド行

DCL には,他の言語と同様,独自の語彙と使用規則があります。DCL は,(語彙)と 語順(構文または形式)から構成されます。ここでは,この 2 つの要素について説明するとともに,有効な DCL コマンドの構成方法について解説します。

次の例は,DCL コマンド行の一般形式と各要素を示しています。


$  PRINT/COPIES = 5  GROCERY.LIS  [Enter]
(1)   (2)   (3)      (4)     (5)     (6)

DCL コマンド行の各要素について説明します。

  1. DCL プロンプト

    省略時の DCL プロンプトはドル記号($)である。DCL と会話している場合,DCL のコマンド受け入れ準備が整うと,このプロンプトが表示される。

  2. DCL コマンド

    コマンドの名前を指定する。コマンドは,組み込みコマンド・プログラムを起動するコマンド,フォーリン・コマンドのいずれかである。この例では,DCL コマンドは PRINT である。

  3. 修飾子

    コマンドの処理内容を詳細に指定する。コマンド全体を変更する修飾子もあれば,特定の コマンド・パラメータ だけを変更する修飾子もある。また,値を取る修飾子もある。修飾子の前には,常にスラッシュ(/)が付く。この例では,修飾子は /COPIES である。

  4. 修飾子をさらに詳細に指定する。多くの場合,値の前には等号(=)が付く。値としては,ファイル指定,文字列,数値,DCL キーワード を指定できる。キーワードとは,特定の構文形式で使用するために予約された語のことである。

    この例では,値は 5(5 部)になっている。

  5. パラメータ

    コマンドの処理内容を指定する。パラメータは,決まった順序でコマンドに指定しなければならない。パラメータ値としては,ファイル指定,キュー名,論理名などを指定できる。

  6. Enter キー

    Enter キーは,DCL コマンド行の最後にくるもので,「コマンドを実行せよ」とシステムに知らせる。

その他に次の項目も,DCL コマンド行で使用可能です。


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