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まえがき

本書の対象読者

本書は，『OSF/Motifプログラマーズ・ リファレンス』および『X Window System』を補足する情報について説明するものであり， 日本語DECwindows Motif for OpenVMSバージョン1.2のインターフェイスを使用するアプリケーションを作成するプログラマを対象にしています。

本書の構成

本書の構成は次のとおりです。

• 第1章は，DECがX Window System バージョン11 ，リリース5のXlibルーチンに追加したXlibルーチンについて説明します。

• 第2章は，DECがOSF/Motifツールキットに追加したツールキット・ ウィジェットの作成ルーチンと操作ルーチン， およびメッセージ・ルーチン，フォント・ルーチン，コンビニエンス・ ルーチンについて説明します。

• 第3章は，DECがMotifユーザ・ インターフェイス言語(UIL) に追加した拡張機能の使用方法について説明します。 この章では，ネストしたコンパウンド・ストリング，UILコンパイラ内の新しいコマンド行修飾子，Widget Meta Language(WML) バイナリ・ データベースのそれぞれの使用方法について説明します。

• 付録 Aは，使用するUIL仕様がVMS DECwindows Motifツールキットに矛盾していないことを確認するために使用するUIL 組み込み表です。

• 付録 Bは，OpenVMS DECwTermPortルーチンについて説明します。これはDECが提供するルーチンであり， このルーチンを使用すればユーザはローカル・ノードでも遠隔ノードでも日本語端末ウィンドウを作成することができます。

関連資料

関連情報については次のマニュアルを参照してください。

• 『Overview to DECwindows Motif for OpenVMS Documentation』は，DECwindows Motifバージョン1.2のリリースに関連するすべてのマニュアルの概要を記述したものです。

• 『OSF/Motifプログラマーズ・ リファレンス』は，Motifツールキットに関する情報を提供します。

• 『OSF/Motifプログラマーズ・ ガイド』は，Motifウィンドウ・マネージャ，Motifツールキット，Motif ユーザ・インターフェイス言語(UIL)を使用したプログラミング方法について説明しています。

• 『日本語VMS DECwindows Motif アプリケーション開発の手引き』(日本語) ，『DECwindows Motif Guide to Application Programming』( 英語)は，MotifツールキットにDECが追加した拡張機能を使用してプログラムを作成する方法について説明しています。 このマニュアルは『OSF/Motif プログラマーズ・ ガイド』を補足するものです。

• 『OSF/Motifスタイル・ ガイド』は，Motifツールキットを使用してアプリケーションを作成する際の， スタイルに関するガイドラインについて説明しています。

• 『OSF/Motif スタイル・ガイド(DECwindows追補版)』(日本語)，『DECwindows Companion to the OSF/Motif Style Guide』(英語)は，MotifツールキットにDEC が追加した拡張機能のスタイルに関するガイドラインおよび『OSF/Motif スタイル・ ガイド』で説明していないトピックについて説明しています。

• 『X Window System』は，Xlibに関する情報を提供しています。

• 『X Window System Toolkit』は，Intrinsicsに関する情報を提供しています。

• 『VMS DECwindows Guide to Xlib (Release 4) Programming: MIT C Binding』は， MIT Cバインドを使用したXlibによるプログラミング方法について説明しています。

• 『X and Motif Quick Reference Guide』は，Xlib, Intrinsics, Motifツールキットについての情報を迅速に参照できるようなフォーマットで提供しています。

• 『DECwindows Motif for OpenVMS Applications Guide』は，DECwindows Motif にバンドルされているアプリケーションの使用方法について説明しています。

• 『Porting XUI Applications to Motif』は，既存のXUI DECwindowsのアプリケーションをMotif へ移植する方法について説明しています。

本書で使用する表記法

本書では次の表記法を使用します。

マウス	マウスという用語はマウス， パック，スタイラスなどのポインティング・デバイスのことです。
MB1(選択) MB2(ドラッグ) MB3(メニュー)	MB1はマウスの左ボタン，MB2はマウスの中央のボタン，MB3 はマウスの右ボタンのことです(ボタンはユーザが再定義することができます) 。
Ctrl+x	Ctrl+x(またはCtrl/x)は，Ctrlキーを押しながら他のキーやポインティング・ デバイスのボタンを押すことを意味しています。
太字のテキスト	太字のテキストは引数，リソース，条件の名前を表しています。
数字	特に指定がない限り， テキスト中の数字はすべて10進数とみなされます。 2進数，8進数，16進数など10進数以外の基数は明示的に示してあります。

ルーチンの説明フォーマット

本書では次のフォーマットでルーチンを説明します。

• ルーチン名

  正確な(大文字/小文字を区別した) MIT Cのルーチン名。

• 概要

  ルーチンの機能の簡単な説明。

• ウィジェット・クラス階層構造

  ウィジェットがスーパークラス・ウィジェットからリソースを継承する順序。 この項目はウィジェット作成ルーチンの場合にのみ記述する。 例外についてはリソースの例外の項目に記述する。

• フォーマット

  MIT Cルーチンの宣言。次の構文規則に注意する必要がある。

  要素	構文規則
  ルーチン・エントリ・ポイント名	ルーチン名の先頭文字は大文字で表す。Xlib ルーチンは先頭文字にXを使用し，ツールキット・ ルーチンは先頭文字にXmまたはDXmを使用する。ルーチン・ エントリ・ポイント名は必須である。
  括弧	ルーチン呼び出し時の引数リストを括弧(())で囲む。 この括弧は必須である。
  引数名	戻り引数を含めて，引数名はすべて小文字で表記する。 大括弧([])で囲まれていない限り，引数はすべて必要である。 引数はフォーマットの中で示す順序でプログラムに記述しなければならない。
  スペース	通常，エントリ・ポイント名と第1引数との間，および各引数の相互間にはスペースを1 つ以上入れる。このスペースは必須ではない。
  大括弧([])	省略可能な引数は大括弧で囲む。 この大括弧は必須ではない。
  コンマ	各引数間にはコンマが必要である。 大括弧の中のコンマは省略可能である。このコンマは省略可能な引数がある場合のみ使用する。

• リソース情報

  リソースとそのタイプのリスト。ウィジェット作成ルーチンの場合にのみ記述する。

• 戻り値

  ルーチンによって返される値の説明。

• 引数

  各引数に対して有効な値と，その値の意味。

• リソース

  各ルーチンの省略時の値，およびアクセスを含むウィジェット固有のリソースの詳しい説明。 ウィジェット作成ルーチンの場合にのみ記述する。 アクセスは次に示す文字コードで示す。

  文字コード	アクセスのタイプ
  C	リソースはウィジェットを最初に作成したときに設定できる。
  S	リソースはいつでも設定できる。
  G	リソースの値はいつでも検索できる。

• リソースの例外

  スーパークラス・ウィジェットからウィジェットが継承するリソースの使用方法および特性に関する例外。 この記述には，特定のウィジェットではサポートされないリソース， あるいは異なったサポートが行なわれるリソースなどが含まれる。

• コールバック構造体

  コールバック・データ構造体のMIT Cフォーマット。ウィジェット作成ルーチンの場合にのみ記述する。

• コールバック・フィールドの説明

  コールバック・データ構造体内のフィールドの説明。ウィジェット作成ルーチンの場合にのみ記述する。

• コールバック条件

  ウィジェットのコールバック条件の説明。ウィジェット作成ルーチンの場合にのみ記述する。

• 説明

  追加情報へのポインタを含むルーチンの使用方法の説明。

• ジオメトリ管理

  子ウィンドウのサイズをウィジェットが管理する方法についての説明。 ウィジェット作成ルーチンの場合にのみ記述する。

• サイズ変更

  ウィジェット自身のサイズをウィジェットが変更する方法についての説明。 ウィジェット作成ルーチンの場合にのみ記述する。