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5 ハイパーアプリケーション機能

ハイパーアプリケーション機能を使用すると,DECwindowsアプリケーションによって格納/ アクセスできる情報をリンクすることができます。 ハイパーアプリケーションとは,オンライン・ブックの読み込みなどの通常の機能に加えて, 情報をリンクしたりリンクを追跡したりできるアプリケーションのことです。 メニュー・バーに「リンク」メニューがあれば, そのアプリケーションはハイパーアプリケーションであるといえます。

この章では,次に示すような,基本的なハイパーアプリケーションの概念と手法を紹介します。


注意
「リンクワークス・セットアップ」アプリケーションまたは「リンクワークス・ マネージャ」アプリケーションを起動してからでないと, ハイパーアプリケーション機能は使用できません。 省略時の設定では,セッションを起動すると,セッション・ マネージャによって「リンクワークス・セットアップ」が自動的に起動されます。 リンクワークス・マネージャに関する詳細は,第6.8 節を参照してください。

5.1 簡単な例

DECwindowsの電子メールを使用して電子メッセージを送受信し, DECwindowsカレンダを使用して予定を追跡する場合を考えてみましょう。

2週間後のミーティングに開催に関する電子メールのメッセージを受信したとします。 メッセージには,詳しい議事日程と話し手についての情報が示されています。 カレンダの対応する時間帯にミーティングの予定を登録します。 予定を識別するために,"プロジェクト・レビュー・ミーティング" とだけ入力します。そして,このミーティングの内容を後で思い出せるように, 次のことを行います。

  1. ミーティング開催の電子メールのメッセージを選択した後, 電子メールの「リンク」メニューから「リンク開始」を選択する。図 5-1 に「リンク」メニューを示す。

    図 5-1 「リンク」メニュー

  2. ミーティングの予定を登録したカレンダの時間帯を選択した状態で, カレンダの「リンク」メニューから「リンク完了」を選択する。

後で,ミーティング当日のカレンダの予定を見ると,予定の時間帯に情報リンクの存在を示すマーク(電球形アイコン)が表示されます。 リンクを調べるには, 次のようにします。

  1. 予定の時間帯を選択する。

  2. カレンダの「リンク」メニューから「訪問」を選択して,この時間帯とリンクしている情報を表示する。 ただし,カレンダは画面上に残しておく。

電子メールが自動的に起動され,リンクされた情報が表示されます。リンクされている情報が電子メールのメッセージであることを覚えておく必要はありません。

5.2 ハイパーアプリケーション・オブジェクト

ハイパーアプリケーションの情報は,同じハイパーアプリケーションまたは別のハイパーアプリケーションの情報にリンクできます。 たとえば,カレンダのセミナーの予定を, そのセミナーで議論される資料が入っているブックリーダのトピック(章)にリンクできます。 また,ブックリーダのあるトピックを同じマニュアルまたは別のマニュアルの中の関連トピックにリンクできます。 リンクする個々の情報をハイパーアプリケーション・ オブジェクトと呼びます。

それぞれのハイパーアプリケーションは,どのオブジェクトがハイパーアプリケーション・ オブジェクトなのかを判別します。たとえば,カード管理のカードはハイパーアプリケーション・ オブジェクトですが,カード内の各語はハイパーアプリケーション・ オブジェクトではありません。特定のハイパーアプリケーションのハイパーアプリケーション・ オブジェクトに関しては, 該当するアプリケーションのヘルプを参照してください。

5.3 リンクの作成

それぞれのリンクは,2つのハイパーアプリケーション・オブジェクトに関連しています。 この2つのオブジェクトのうちの1つがリンクのソース となり,もう1つがターゲットとなります。

各リンクで,どのオブジェクトがソースで,どのオブジェクトがターゲットであるかは問題ではありません。

リンクする一対のオブジェクトごとに,「リンク開始」で選択したオブジェクトがソースとなり, 「リンク完了」で選択したオブジェクトがターゲットとなります。

リンクを作成するには,次のようにします。

  1. 1つ目のオブジェクトを選択する。

  2. そのオブジェクトのハイパーアプリケーションの「リンク」メニューから「リンク開始」を選択する。 選択されたオブジェクトは, リンクが完了するとソースとなる。

  3. 2つ目のオブジェクトを選択する。

  4. そのオブジェクトのハイパーアプリケーションの「リンク」メニューから「リンク完了」を選択する。 選択されたオブジェクトが, リンクのターゲットとなる。

5.4 リンクの追跡

既存リンクの一方(ソースまたはターゲット)を選択してある場合は, リンクを追跡すれば,他方の情報を調べることができます。ただし,最初に, リンクされているオブジェクトとそうでないオブジェクトを区別しておかなくてはなりません。 リンクされているオブジェクトは,強調表示を有効にしてあれば, 強調表示されます。強調表示に関しては,第5.5節を参照してください。

強調表示の方法は,アプリケーションごとに異なります。ハイパーアプリケーションで, リンクされたオブジェクトがどのように強調表示されるかについては, そのアプリケーションのヘルプを参照してください。

オブジェクトを選択して,そのオブジェクトに何がリンクされているかを調べるには, 次のいずれかのオプションを選択します。

ハイパーアプリケーション・オブジェクトがリンクされている情報に訪問したり, 移動したりするには,次のようにします。

  1. 強調表示されたオブジェクトを選択する。

    どのオブジェクトがリンクされていて,どのオブジェクトがリンクされていないかがわからない場合は, 強調表示を有効にする(第5.5節を参照)。

  2. 「リンク」メニューから「移動」または「訪問」メニュー項目を選択する。

    選択されたオブジェクトがどちらか一方のリンクにしか(ソースまたはターゲットとして)関連しない場合は, すぐに「訪問」または「移動」操作が実行される。

    選択されたオブジェクトが複数のリンクに関連する場合は,「リンク」ダイアログ・ ボックスが表示されて,選択できるリンクの一覧が表示される。 図 5-2に「リンク」ダイアログ・ ボックスを示す。

図 5-2 「リンク」ダイアログ・ボックス

リンクを追跡するには,「リンク」ダイアログ・ボックスを使用して次のようにします。

  1. いずれかのリンクを選択する。省略時には,一覧の中の最初のリンクが選択される。

  2. 操作を選択する。省略時には,「操作」オプション・メニューに表示されている操作が選択される。

  3. 「移動」または「訪問」をクリックして,選択したリンクを移動先オブジェクトまで追跡し, 指定した操作を行う。

    リンク情報の表示内容を更新するには,「更新」をクリックします。 この選択項目は,ダイアログ・ボックスを表示した後でリンクを作成したり変更したりした場合に役立ちます。

    リンクについての情報を示すダイアログ・ボックスを表示するには, 「リンク表示...」をクリックします。この情報は編集することができます。

    選択したリンクを削除するには,「削除」をクリックします。このとき, オブジェクトは削除されるわけではなく,該当するオブジェクトがリンクのソースまたはターゲットではなくなるだけです。

    リンクを追跡しないでダイアログ・ボックスを終了するには,「取消」をクリックします。

最も最近に行った「訪問」または「移動」操作の効果を反転させるには, 「戻る」メニュー項目を使用します。「戻る」操作は,実際のリンクに影響を及ぼしますが, 削除はしません。

5.5 強調表示の調整

リンクされたオブジェクトの強調表示は,ハイパーアプリケーションごとに有効にしたり無効にしたりできます。 つまり,オブジェクトがリンクされているという事実を表示することもできますし, 表示しないようにすることもできます。

強調表示を有効にしたり無効にしたりするには,「強調表示あり/なし」メニュー項目を使用します。 この項目の意味は,現在の状態によって決まります。 強調表示が有効な場合(初期の省略時の設定)には「強調表示なし」を意味し, 強調表示が無効の場合は「強調表示あり」を意味します。


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