日本語 HP DECwindows Motif
for OpenVMS Alpha
リリース・ノート


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4.5 X Window System の拡張とプロトコル

この節では,ディスプレイ・サーバへの X Window System の拡張についての注意事項を説明します。

4.5.1 XINERAMA での XCopyArea の使用

V1.3--1

XINERAMA がグラフィック・エクスポーズ・イベントを報告する方法についての問題は,本バージョンで解決されました。グラフィック・エクスポーズ・イベントは XCopyArea 要求に対して生成されるようになりました。 XCopyArea 関数を呼び出すプログラムでは,要求で使用される gc で常にグラフィック・エクスポーズを有効にしておく必要があります。

4.5.2 XINERAMA が VisibilityNotify を正しく報告しない問題

V1.3--1

XINERAMA を使用するマルチヘッド・システムでアプリケーションが表示を行う場合, VisibilityNotifyイベントはウィンドウの状態を正しく報告しません。ウィンドウが表示され, VisibilityNotifyが選択されている場合,ウィンドウの状態は Unobscuredとして報告されますが,実際のウィンドウの状態は Unobscuredまたは PartiallyObscuredである可能性があります。この問題を回避するには, VisibilityNotifyイベントを PartiallyObscuredとして取り扱うようにアプリケーションを変更してください。

ウィンドウが表示されると,それ以上表示に関するイベントは報告されません。たとえば, VisibilityNotifyが選択されているウィンドウが他のウィンドウの下に隠れた場合, FullyObscuredであることを示すイベントを報告する必要がありますが,このイベントは送信されません。

4.5.3 XINERAMA を使用するマルチヘッド構成で発生していた CreateWindow の問題の解決

V1.3--1

XINERAMA ベースのマルチヘッド構成で X ディスプレイ・サーバに送信する場合, CreateWindow要求では BadMatch エラーが報告されなくなり,ウィンドウの作成に関する問題が発生しなくなりました。以前のバージョンでは,深さの値として CopyFromParentまたは 0を指定し,表示値として CopyFromParent以外の値を指定しているウィンドウ操作は正しく実行されませんでした。

4.5.4 EVI 拡張とカラーマップの競合

V1.3

利用可能なビジュアルの情報を, EVI (Extended Visual Information) 拡張を使用して要求している場合, DECwindows Motif ディスプレイ・サーバはカラーマップの競合情報を返しません。返されるデータは,競合が存在する場合でも,カラーマップの競合が存在しないことを必ず示しています。

4.5.5 Dead Mouse のサポート

V1.3

以前は AccessX 拡張で利用可能だった Dead Mouse 機能が, DECwindows Motif V1.3 では X キーボード拡張 (XKB) で利用可能な機能サブセットに組み込まれました。この機能は,Mouse Keys と呼ばれるようになりました。

DECwindows Motif の以前のバージョンでは Dead Mouse機能は X サーバの一部でもあったため, XKB 拡張が有効になっていなくてもこれらの機能は利用できます。

4.5.6 AccessX 拡張のサポート終了

V1.3

AccessX キーボード拡張のサポートが削除されました。この拡張のすべての機能 (スティッキ・キーなど) は, X キーボード拡張 (XKB) で利用できます。 XKB の詳細については, 『HP DECwindows Motif for OpenVMS Alpha New Features』 を参照してください。

4.5.7 セキュリティおよびアプリケーション・グループの拡張でグループがチェックされない問題

V1.3

セキュリティ (SECURITY) 拡張とアプリケーション・グループ (XC-APPGROUP) 拡張では,グループのチェックは実行されません。グループ ID を XSecurityGenerateAuthorization に渡すことはできますが,この ID はチェックされません。グループ ID が何であっても,承認されます。

4.5.8 オープン中の ICE 接続からの watch プロシージャの削除

V1.3

ICE 接続がオープン状態の間は, ICE の watch プロシージャを削除しないでください。オープン中の接続に watch プロシージャがメモリを割り当てていた場合,このプロシージャを削除すると watch プロシージャへのコールバックが適切に行われないため,メモリを解放することができません。

4.5.9 ICE 使用時の BAD_LOCAL_NODE エラー

V1.3

DECwindows Motif で実装していたオリジナルのトランスポートでは,ネットワーク・トランスポートとして LOCAL を使用した場合に,ノード指定を無視していました。 ICE プロトコルでは,ノード名は必ず,値 0 か,システム名からなる文字列でなければなりません。 ICE は LOCAL トランスポートを使用するため, ICE がノード指定をチェックしようとしたときに, BAD_LOCAL_NODE 警告メッセージが表示されます。

4.5.10 SmsGenerateClientId が ID を生成しない

V1.3

DECnet アドレスと TCP/IP アドレスのどちらも割り当てられていないシステムでは, XSMP 要求の SmsGenerateClientId はクライアント ID を生成できません。

4.5.11 拡張includeファイルの使用法

V1.2

拡張 include ファイルを含むプログラムを正しくコンパイルするためには, C の include ディレクトリ検索リストに論理名 DECW$INCLUDE を追加してください。この論理名を追加するには,次のコマンドを入力します。


$ DEFINE DECC$USER_INCLUDE DECW$INCLUDE

4.6 X Window System 国際化ライブラリ (XNL)

この節では,XNL ライブラリについて説明します。

4.6.1 xnl_parsedatetime

V1.2--5

xnl_parsedatetime (およびそのVAXバインディング,XNL$PARSE_DATE_ TIME) は,入力の引数 XmString s (構文解析される日付時刻) に 2桁または4桁の年数を受け付けます。 2桁形式での有効な年数の値は70〜99の範囲で,1970〜1999年を意味します。値00〜69は無効です。 2000年以降は4桁形式が必須です。

4.6.2 xnl_langinfo

V1.2--5

xnl_langinfo (およびそのVAXバインディング,XNL$LANGINFO)は, item 引数にD_FMTまたはD_T_FMTを指定すると,日付時刻フォーマッティング用の文字列を返します。下記のロケールで,この関数は%yを含むフォーマッティング文字列を返します。 %yは2桁年数形式を意味するので,このフォーマッティング文字列は2000年以降は慎重に使用する必要があります。

4.7 Motif に対する DECwindows 拡張 (DXm)

この節では,Motif ツールキットに対する DECwindows 拡張について説明します。

4.7.1 DXmNlayoutDirection リソース定数リストの訂正

V1.2--3

『DECwindows Extensions to Motif』の第 2 章の「DXmNlayoutDirection リソース」の節に,次の定数がリストされています。

現在,次の定数は DXmNlayoutDirectionリソース用に使用できないことに注意してください。

また,表 2-1 の説明が誤っていました。表2-1は,定数 DXmLAYOUT_LEFT_DOWNおよび DXmLAYOUT_RIGHT_DOWNの関数への影響について説明したものです。

V1.2

『日本語 DECwindows Motif for OpenVMS 拡張機能説明書』の第 2.2 節の DXmChildrenの説明で,「ルーチンを使用して widget_list の長さを知ることができます。」と記述しています。

この記述は間違いです。この部分は「DXmChildrenによって返されるウィジェット・リストの長さは DXmNumChildrenルーチンを使用して知ることができます。」という意味です。

4.7.2 DXmFormSpaceButtonsEquallyの制限

V1.1

ウィジェットやガジェットが XmLabelまたは XmLabelGadgetのいずれかのサブクラスを持っている場合は, DXmFormSpaceButtonsEqually(便宜ルーチン) がすべて平等にそのサイズとスペースを決定します。しかし,ウィジェットやカジェットが XmLabelXmLabelGadgetのサブクラスではない場合は,結果は不確定です。

4.7.3 水平方向のライブ・スクロールをサポートしていない SVN ウィジェット

V1.0

水平方向のライブ・スクロールは, SVN ウィジェットではサポートされていません。

4.8 アプリケーション・プログラミング

この節では, DECwindows Motif 環境用のアプリケーションの開発についての注意事項を説明します。

4.8.1 CDA ビューアのプログラミング

この項では,CDA アプリケーションおよびランタイム・サービスに関するプログラミング情報を説明します。

4.8.1.1 SYS$LIBRARY:DDIF$VIEWSHR.EXE のイメージ ident の修正

V1.3

DECwindows Motif V1.2--6 の SYS$LIBRARY:DDIF$VIEWSHR.EXE には,誤ったイメージ ident が含まれています。 V1.2--6 のイメージにリンクされているプログラムはロードできず, SHRIDMISMATCH エラーが報告されます。この問題が修正され,イメージ ident は元の値に戻されました。

DECwindows Motif のV1.2--6 のイメージをリンクしているアプリケーションは,修正後のイメージと再度リンクする必要があります。この事項は, DDIF (Notes for OpenVMS への DECwindows インタフェースなど) の V1.1--3 互換バージョンにリンクしているイメージにのみ影響し,現在の DDIF$VIEWSHR12 イメージを使用しているイメージには影響しません。

4.8.1.2 スタイル・ガイドのフォールバックのメッセージ

V1.2

ローカルのスタイル・ガイドが見つからない場合は,次のメッセージが表示されます。

STYGDEFBK, Fallback to nonlocale-specific style guide: file-spec

レベル: 通知
説明: ロケール固有のスタイル・ガイドが見つからなかったため,ロケール固有ではないバージョンのスタイル・ガイドが代わりに使用されます。

4.8.1.3 CONVERT コマンドでの論理名の使用

V1.2

ドキュメント変換中に,論理名を使用して1次ドキュメントのディレクトリを指定し,ドキュメント・ファイルの拡張子を省略すると,相対ファイル指定を含む外部参照によって変換が失敗します。

これは,フロントエンド・コンバータが入力ファイルをオープンするにもかかわらず,バックエンド・コンバータがコンバータ処理オプションを調べるために発生します。コンバータ・ソフトウェアは,フロントエンド・コンバータが適用する省略時のファイル拡張子を予測できないため, OpenVMS ファイル・サービスを使用して論理名を解決し,実際のファイル指定を見つける必要があります。こうすれば,ディレクトリのオペランド解析ができ,相対指定を展開することができます。

変換が失敗するのは,外部参照が次のようなフォーマットになっている場合だけです。


sys$login:mydoc 

この場合参照は解決されません。次の例のように,これ以外の場合は,参照はすべて解決されます。


sys$login:mydoc.doc 
disk$:[smith]mydoc 
disk$:[smith]mydoc.doc 

4.8.2 漢字端末エミュレータ・プログラミング

この項では,漢字端末エミュレータ・アプリケーションと実行時サービスのプログラミングに関する情報を説明します。

4.8.2.1 DECCRA シーケンス

V1.2

漢字端末エミュレータでは, DECCRA (Copy Rectangular Area --- 方形領域複写) シーケンスに対するサポートには制限があります。ページ全体を一度に複写する必要があり,複写元のページも複写先のページも現在のページでなければなりません (たとえば,画面外のページを別のページに複写することはできません)。

4.8.2.2 DECLFKC シーケンス

V1.2

漢字端末エミュレータには F5 (Break) キーを再定義するためのユーザ・インタフェースがありません。したがって,変更するキーを選択するために "0" (all keys) を使用すると, DECLFKC (Local Function Key Control --- ローカル・ファンクション・キー制御) シーケンスで F5 キーが再定義されます。


第 5 章
関連ドキュメントに関するリリース・ノート

この章では, DECwindows Motif ドキュメントの訂正について,簡単に説明しています。 DECwindows Motif ドキュメント・セットへの追加や変更の完全なリストについては, 『HP DECwindows Motif for OpenVMS Alpha Documentation Overview』 を参照してください。

5.1 『New Desktop 使用概説書』

この節では,『New Desktop 使用概説書』の記載の誤りを訂正します。

5.1.1 ファイル指定の訂正

V1.2--5

『New Desktop 使用概説書』のコマンド・プロシージャのファイル指定の記述に誤りがあります。同マニュアルの第3.4.9項の5段落で,ファイル指定は次のように記載されています。

「DECwindows Notesなどの, DECwindowsのオプション・アプリケーションは,情報を提供しないため自動再起動されない場合があります。その場合, disk$:[user.DT]SESSIONETC.COM のコマンド・プロシージャを使用して,自動起動されないアプリケーションを起動することができます。このプロシージャは,従来のDECwindows環境ではDECW$LOGIN.COMプロシージャに相当します。」

正確な記述は次のとおりです。

disk$:[user.DT.SESSIONS]SESSIONETC.COM

5.2 『Using DECwindows Motif for OpenVMS』

この節では,『Using DECwindows Motif for OpenVMS』の記載の誤りを訂正します。

5.2.1 ロゴの変更例の訂正

V1.2

『Using DECwindows Motif for OpenVMS』の「Changing Your Logo」に記述されている例は間違っています。手順 1 に出てくる次のコード例を変更してください。


$ COPY SYS$COMMON:[SYSMGR]DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.TEMPLATE - 
_$ SYS$SPECIFIC:[SYSMANAGER]DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM/LOG 

正しいコード例は,次のとおりです。


$ COPY SYS$COMMON:[SYSMGR]DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.TEMPLATE - 
_$ SYS$SPECIFIC:[SYSMGR]DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM/LOG 

5.3 『DECwindows Motif for OpenVMS Applications Guide』

この節では,『DECwindows Motif for OpenVMS Applications Guide』の訂正および補足事項について説明します。

5.3.1 [印刷終了] オプションの明確化

V1.2--3

『DECwindows Motif for OpenVMS Applications Guide』の漢字端末エミュレータに関する章の「印刷情報」の節では, [印刷] メニューについての情報を提供しています。「印刷終了」の節に記載されている情報をさらに理解するために,次のことに注意してください。

[印刷] メニューの [印刷終了] オプションを選択した場合,プリント・ジョブをクローズし,自動印刷モードを通常印刷モードに戻します。

5.3.2 アプリケーション・メニュー項目へのターゲット画面オプションの追加についての例の訂正

V1.2

『DECwindows Motif for OpenVMS Applications Guide』の「Adding Target Screen Options to Application Menu Items」に記述されている例は間違っています。最初に出てくる次の行を削除してください。


$ select_qualifiers: 

5.4 『DECwindows Motif for OpenVMS Guide to Non-C Bindings』

この節では,『DECwindows Motif for OpenVMS Guide to Non-C Bindings』への補足と訂正を行います。

5.4.1 GET_CHAR_STRUCT 関数へのアクセスについての訂正

V1.2--3

『DECwindows Motif for OpenVMS Guide to Non-C Bindings』では, XLIB GET_CHAR_STRUCT 関数の char_struct 引数に関するアクセスの記述が間違っていました。正しいアクセスはwrite (書き込み)です。

5.5 『DECwindows Motif Guide to Application Programming』

この節では,『DECwindows Motif Guide to Application Programming』への訂正について説明します。

5.5.1 OpenVMS DECburger サンプル・アプリケーションの UIL ソース・コードの位置

V1.2--3

『DECwindows Motif Guide to Application Programming』の第 4 章の「UIL による Help ウィジェットの作成」の節の説明では, OpenVMS DECburger アプリケーションの完全な UIL ソース・コードが OpenVMS システムの DECW$EXAMPLES に含まれていることを明確に記述していません。


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