OpenVMS
OpenVMS Cluster 構成ガイド
D.4 マルチサイトにおける OpenVMS Cluster システムの管理
一般に,マルチサイト OpenVMS Cluster の管理には,LAN で接続した OpenVMS Cluster の場合と同じツールおよび技法を使用します。以下の項では,新たな注意事項と,推奨システム管理ツールおよび技法について説明します。
以下の表は,マルチサイト OpenVMS Cluster システムに固有のシステム管理上の注意事項です。
問題点 |
対処方法 |
マルチサイト構成では,以下の障害モードの発生する確率が高くなります。
- サイト間通信リンク障害による OpenVMS Cluster クォーラム・ロス。
- 停電やその他ブレークダウンによるサイト・ロスが発生すると,そのサイトの全システムに影響が出る。
|
ボーツについては,サイト間通信に障害が発生したり,他のサイトが利用できなくなっても 1 つの優先サイトで定足数を維持し,処理を続行できるだけの十分なボーツを割り当ててください。また,最も重要なサイトを一次サイトとして選択してください。重要度の低いシステムやサテライトが少ないサイトには,十分なボーツを割り当てる必要はありません。
|
以上のような障害が発生してもローカル・リソースを引き続き利用できるか,ただちに回復することを期待しますが,必ずしもそうなるとはかぎりません。
|
以下のオプションがユーザの期待に対応できる可能性があります。
- 管理とユーザの要求については,障害の確率効果を考慮して設定し,クォーラム・ロスやその他の問題でシステムが応答しない場合は,リモート・サイトで対応できるようにユーザをトレーニングしてください。
- 管理ポリシーと,これらの障害モードの特定と処理に必要な操作手順を決定してください。この手順には,サイト処理の続行に必要なクォーラムの手動での調節も含みます。
|
D.4.1 手法とツール
以下のシステム管理手法とツールでは,リモート・ノードとローカル・ノード両方を管理できます。
- リバース LAT モードによる DECserver でサイト間リンクを使用する場合,リモート・サイト・コンソール・アクセスには 2 つのオプションがあります。
- 以下のツールは,リモート・コンソールの接続に使用します。
- SET HOST/LAT コマンド
- POLYCENTER Console Manager
- OpenVMS Cluster Console System (VCS)
- HP のシステム管理,および,ソフトウェアパッケージ Disaster Tolerant Cluster Services for OpenVMS
- リモート・システム・コンソールのダイアル・アップにはモデムを使用します。
- リモート・サイト・コンソール・アクセスの代替方法として,各サイトにシステム管理者を配置する方法があります。
- OpenVMS Cluster システム内のすべてのノードでデバイスとプロセッサの制御コマンドを有効にするには,OpenVMS オペレーティング・システムに組み込まれているシステム管理ユーティリティ (SYSMAN) を使用します。
D.4.2 データのシャドウイング
Volume Shadowing for OpenVMS では,複数サイトでデータ・ボリュームをシャドウイングできます。システム・ディスクは,サイト内のボリューム・シャドウイングまたは RAID セットとします。ただし,システム・ディスク・シャドウ・セット・メンバをマルチサイトで使用する場合には注意が必要です。障害後に,リモート・システム・ディスク・シャドウ・セット・メンバをブートしなければならないことがあるのに対して,システム・ディスクが FDDI ブートをサポートしていなければこの操作ができないためです。
詳細情報と最新情報については,『Volume Shadowing for OpenVMS Software Product Description』 (SPD 27.29.xx) と『StorageWorks RAID for OpenVMS Software Product Description』 (SPD 46.49.xx) を参照してください。
D.4.3 パフォーマンスの監視
マルチサイト OpenVMS Cluster システムのパフォーマンスは,以下のように監視します。
- 仮想回路 (VC) パケット・ロスとラウンド・トリップ時間の値は,SDA (System Dump Analyzer) で監視します。手順については,『OpenVMS Cluster システム』を参照してください。
- サイト間リンクのビット・エラー率 (BER) とパケット・ロスは,ネットワーク管理ツールで監視します。GIGAswitch や WAN T3/SONET オプション・カードの管理情報をアクセスしたり,警告しきい値を設定するには,POLYCENTER NetView や DECmcc などのツールを使用します。必要に応じて,GIGAswitch,WAN T3/SONET カード, POLYCENTER,DECmcc ドキュメントを参照してください。