OpenVMS
OpenVMS Cluster システム


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7.12.3 例

例 7-2 は,共用ディスクに格納されている共通の QSTARTUP コマンド・プロシージャの使い方を示しています。

例 7-2 OpenVMS Cluster キューを起動するための共通のプロシージャ

$! 
$! QSTARTUP.COM -- Common procedure to set up cluster queues 
$! 
$! 
(1)
$ NODE = F$GETSYI("NODENAME") 
$! 
$! Determine the node-specific subroutine 
$! 
$ IF (NODE .NES. "JUPITR") .AND. (NODE .NES. "SATURN") .AND. (NODE .NES. "URANUS") 
$    THEN  
$       GOSUB SATELLITE_STARTUP 
$    ELSE 
(2)  
$! 
$!      Configure remote LAT devices. 
$! 
$       SET TERMINAL LTA1: /PERM /DEVICE=ln03 /WIDTH=255 /PAGE=60 - 
              /LOWERCASE /NOBROAD 
$       SET TERMINAL LTA2: /PERM /DEVICE=LA210 /WIDTH=255 /PAGE=66 - 
                 /NOBROAD 
$       SET DEVICE LTA1: /SPOOLED=(ln03$PRINT,SYS$SYSDEVICE:) 
$       SET DEVICE LTA2: /SPOOLED=(LA210$PRINT,SYS$SYSDEVICE:) 
(3)
$       START/QUEUE/BATCH 'NODE'_BATCH 
$       GOSUB 'NODE'_STARTUP 
$    ENDIF 
$ GOTO ENDING 
$!              
$! Node-specific subroutines start here 
$! 
(4)      
$ SATELLITE_STARTUP: 
$! 
$! Start a batch queue for satellites. 
$!                     
$ START/QUEUE/BATCH 'NODE'_BATCH 
$ RETURN 
$!           
(5)        
$JUPITR_STARTUP: 
$! 
$! Node-specific startup for JUPITR:: 
$! Setup local devices and start nonautostart queues here 
$! 
$ SET PRINTER/PAGE=66 LPA0: 
$ RETURN 
$! 
$SATURN_STARTUP: 
$! 
$! Node-specific startup for SATURN:: 
$! Setup local devices and start nonautostart queues here 
$! 
   .
   .
   .
$ RETURN 
$! 
$URANUS_STARTUP: 
$! 
$! Node-specific startup for URANUS:: 
$! Setup local devices and start nonautostart queues here 
$! 
   .
   .
   .
$ RETURN 
$!     
$ENDING:  
(6)
$! Enable autostart to start all autostart queues 
$! 
$ ENABLE AUTOSTART/QUEUES 
$ EXIT 

例 7-2 に示した共通の QSTARTUP.COM コマンド・プロシージャの各部分の説明については,以下の表を参照してください。

コマンド 説明
(1) プロシージャを実行するノードの名前を指定する。
(2) すべての大型ノードで,LAT によって接続されているリモート・デバイスを設定する。これらのデバイスのキューは自動起動キューであり,このプロシージャの最後に ENABLE AUTOSTART/QUEUES コマンドが実行されるときに自動的に起動される。

この例では,これらの自動起動キューは 3 つのノードのいずれかで実行されるように設定されている。最初のノードで ENABLE AUTOSTART/QUEUES コマンドが実行されると,キューは起動される。3 つのノードのいずれかが稼動していて,自動スタートが有効に設定されている限り,キューは実行状態になる。

(3) 大型ノードでローカル・バッチ・キューを起動する。この例では,ローカル・バッチ・キューは自動起動キューではないため,START/QUEUE コマンドを使用して起動しなければならない。
(4) サテライト・ノードでローカル・バッチ・キューを起動する。
(5) 各ノードはそれぞれのサブルーチンを実行する。 JUPITR ノードでは,ライン・プリンタ・デバイス LPA0: を設定する。このデバイスのキューは自動起動キューであり, ENABLE AUTOSTART/QUEUES コマンドが実行されたときに自動的に起動される。
(6) すべての自動起動キューを起動するために,自動スタートを有効化する。

7.13 シャットダウン時の自動スタートの無効化

デフォルト設定では,シャットダウン・プロシージャのシャットダウン・シーケンスの最初に自動スタートが無効に設定されます。自動スタートが無効に設定されると,フェールオーバ・リストに指定されている自動起動キューは別のノードにフェールオーバされます。また,自動スタートを無効にすることにより,クラスタ内の別のノードで実行されている自動起動キューが,シャットダウン中のノードにフェールオーバされないようにします。

7.13.1 オプション

シャットダウン・シーケンスで自動スタートが無効に設定されるタイミングは,以下のいずれかの方法で変更できます。

オプション 説明
1 論理名 SHUTDOWN$DISABLE_AUTOSTART を以下のように定義する。
$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE SHUTDOWN$DISABLE_AUTOSTART
number-of-minutes

number-of-minutes の値は,シャットダウンの前に自動スタートが無効に設定されるタイミング (分)を指定する。この論理名定義を SYLOGICALS.COM に追加できる。 number-of-minutes の値はノードのデフォルト値である。この値がシャットダウン・シーケンス全体の時間 (分) より大きい場合は,自動スタートはシーケンスの最初に無効に設定される。

2 シャットダウン・プロシージャで DISABLE_AUTOSTART number-of-minutes オプションを指定する ( number-of-minutes の値を指定すると, SHUTDOWN$DISABLE_AUTOSTART 論理名に対して指定されている値は無効になる)。

関連項目: シャットダウン・シーケンスで自動スタートが無効に設定されるタイミングを変更する方法については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。


第 8 章
OpenVMS Cluster システムの構成

この章では,クラスタ構成コマンド・プロシージャの概要を示し,コマンド・プロシージャを実行する前に必要な,構成の前処理についても説明します。その後,コマンド・プロシージャと構成の前処理の重要な機能について,AUTOGEN.COM の実行も含めて説明します。

8.1 クラスタ構成プロシージャの概要

OpenVMS Cluster システムの構成および再構成のために, CLUSTER_CONFIG_LAN.COM と CLUSTER_CONFIG.COM という 2 種類の類似したコマンド・プロシージャが用意されています。どちらのプロシージャを使用するかは,クラスタ内のサテライト・ブートに LANCP ユーティリティを使用するのか,DECnet を使用するのかに応じて異なります。CLUSTER_CONFIG_LAN.COM では,サテライト・ブート・サービスのために LANCP ユーティリティが提供されます。CLUSTER_CONFIG.COM では,サテライト・ブート・サービスのために DECnet が提供されます。サテライト・ブート・サービスを選択する際の考慮点については, 第 4.5 節 を参照してください。

ここで説明する構成プロシージャを使用すると, OpenVMS Cluster システムの構成に必要な大部分の作業を自動化できます。 CLUSTER_CONFIG_LAN.COM または CLUSTER_CONFIG.COM を起動すると,以下の構成オプションが表示されます。

適切なオプションを選択することで,OpenVMS ユーティリティを直接起動せずに,クラスタを簡単にしかも確実に構成できます。 表 8-1 は,各構成オプションに対して構成プロシージャが実行する機能を示しています。

この章で使用するクラスタ構成コマンド・プロシージャ という用語は,CLUSTER_CONFIG_LAN.COM と CLUSTER_CONFIG.COM の両方を示しています。2 つの構成プロシージャから出力される質問は,LANCP と DECnet に関係する部分を除き,同一です。

注意: これらのコマンド・プロシージャで出力される質問に関するヘルプを表示するには,質問に対して疑問符 (?) を入力します。

表 8-1 クラスタ構成機能の要約
オプション 実行される機能
ADD ノードをクラスタ・メンバとして有効にする。

  • クラスタ共通システム・ディスクで新しいコンピュータのルート・ディレクトリを設定し,コンピュータのシステム・パラメータ・ファイル (Alpha システムの場合は ALPHAVMSSYS.PAR,VAX システムの場合は VAXVMSSYS.PAR) と MODPARAMS.DAT を SYS$SPECIFIC:[SYSEXE] ディレクトリに作成する。

  • 新しいコンピュータのページ・ファイルとスワップ・ファイルを作成する (PAGEFILE.SYS と SWAPFILE.SYS)。

  • クラスタ・クォーラム・ディスクを設定する (省略可能)。

  • コンピュータがディスク・サーバとして追加される場合は,新しいコンピュータに対して ALLOCLASS パラメータを使用してディスク割り当てクラス値とポート割り当てクラス値 (Alpha の場合のみ) のいずれか一方または両方を設定する。コンピュータがテープ・サーバとして追加される場合は, TAPE_ALLOCLASS パラメータを使用してテープ割り当てクラス値を設定する。

    注意: 共用 SCSI バス上で Alpha コンピュータを構成し,ポート割り当てクラスを使用しない場合は,ALLOCLASS は 0 より大きい値に設定しなければならない。

  • 新しいコンピュータの初期 (一時) スタートアップ・プロシージャを作成する。この初期プロシージャは,以下の操作を実行する。

    • NETCONFIG.COM を実行して,ネットワークを構成する。

    • AUTOGEN を実行して,コンピュータのシステム・パラメータ値を設定する。

    • 通常のスタートアップ・プロシージャを使用して,コンピュータをリブートする。

  • 新しいコンピュータがサテライト・ノードの場合は,構成プロシージャは以下のファイルを更新する。

    • 新しいコンピュータを追加するために構成プロシージャが実行されるコンピュータのネットワーク・データベース。

    • ローカル・コンピュータの SYS$MANAGER:NETNODE_UPDATE.COM コマンド・プロシージャ ( 第 10.4.2 項 を参照)。

REMOVE クラスタ・メンバとして有効にしたノードを無効にする。

  • 別のコンピュータのルート・ディレクトリとその内容をローカル・コンピュータのシステム・ディスクから削除する。削除されるコンピュータがサテライトの場合は,クラスタ構成コマンド・プロシージャはローカル・コンピュータで SYS$MANAGER:NETNODE_UPDATE.COM を更新する。

  • ローカル・コンピュータで,パーマネントおよび運用時リモート・ノード・ネットワーク・データベースを更新する。

  • クォーラム・ディスクを削除する。

CHANGE CHANGE メニューを表示し,以下の目的で適切な情報を要求する。

  • ローカル・コンピュータをディスク・サーバとして有効または無効に設定する。

  • ローカル・コンピュータをブート・サーバとして有効または無効に設定する。

  • ローカル・コンピュータでクラスタ通信のためにイーサネットまたは FDDI LAN を有効または無効に設定する。

  • ローカル・コンピュータでクォーラム・ディスクを有効または無効に設定する。

  • サテライトのイーサネットまたは FDDI ハードウェア・アドレスを変更する。

  • ローカル・コンピュータをテープ・サーバとして有効または無効に設定する。

  • ローカル・コンピュータの ALLOCLASS または TAPE_ALLOCLASS の値を変更する。

  • ローカル・コンピュータの共用 SCSI ポート割り当てクラス値を変更する。

  • ローカル・コンピュータでノード間クラスタ通信のために MEMORY CHANNEL を有効または無効に設定する。

CREATE ローカル・コンピュータのシステム・ディスクを複製し,新しいディスクからすべてのシステム・ルートを削除する。
MAKE システム・ディスクに新しいルートのディレクトリ構造を作成する。
DELETE システム・ディスクからルートを削除する。

8.1.1 システム構成の前処理

CLUSTER_CONFIG_LAN.COM または CLUSTER_CONFIG.COM プロシージャを起動して OpenVMS Cluster システムを構成する前に, 表 8-2 に説明する作業を実行しなければなりません。

表 8-2 構成の前処理
作業 手順
コンピュータが DECdtm を使用するかどうかを判断する。 DECdtm サービスを使用するコンピュータをクラスタに追加したり,クラスタから削除する場合は,データの整合性を維持するために多くの作業を実行しなければならない。

関連項目: OpenVMS Cluster システムで DECdtm を設定する方法については,『OpenVMS システム管理者マニュアル』の DECdtm サービスに関する章を参照。

クラスタで DECdtm サービスを使用するかどうかわからない場合は,以下のコマンドを入力する。

$ SET PROCESS /PRIVILEGES=SYSPRV

$ RUN SYS$SYSTEM:LMCP
LMCP> SHOW LOG

クラスタで DECdtm サービスが使用されていない場合は, SHOW LOG コマンドは "file not found" というエラー・メッセージを表示する。クラスタで DECdtm サービスが使用されている場合は,トランザクションに関する情報を保存するために DECdtm が使用するファイルの一覧が表示される。

サテライト・ブート・サービスを提供するネットワーク・ソフトウェアが起動され,実行されていることと,すべてのコンピュータが LAN に接続されていることを確認する。 サテライト・ブートのために LANCP ユーティリティを使用するノードの場合,LANCP ユーティリティを実行し, LANCP コマンド LIST DEVICE/MOPDLL を入力して,システムの LAN デバイスの一覧を表示する。
$ RUN SYS$SYSTEM:LANCP

LANCP> LIST DEVICE/MOPDLL

DECnet for OpenVMS を実行するノードの場合は, DCL コマンド SHOW NETWORK を入力して,ネットワークが起動され,実行されているかどうかを判断する。

$ SHOW NETWORK

VAX/VMS Network status for local node 63.452 VIVID on 5-NOV-1994
This is a nonrouting node, and does not have any network information.
The designated router for VIVID is node 63.1021 SATURN.

この例では,VIVID ノードは DECnet for OpenVMS を実行している。DECnet が起動されていない場合は, "SHOW-I-NONET, Network Unavailable" というメッセージが表示される。

DECnet-Plus を実行しているノードの場合は, DECnet-Plus ネットワークが起動され,実行されているかどうかを判断する方法について,『DECnet for OpenVMS Network Management Utilities』を参照。

MOP およびディスク・サーバを選択する。 サテライト・ノードを含むすべての OpenVMS Cluster では,少なくとも 1 つの MOP (Maintenance Operations Protocol) およびディスク・サーバが必要である。可能な場合は,複数のコンピュータを MOP およびディスク・サーバとして選択する。複数のサーバを選択しておくと,可用性を向上でき,多くの LAN アダプタの間で作業負荷を分散できる。

MOP およびディスク・サーバを選択する場合は,以下のガイドラインに従う。

  • MOP サーバがシステム・ディスクに直接アクセスできることを確認する。

  • ディスク・サーバがサービスするストレージに直接アクセスできることを確認する。

  • クラスタ内で最も強力なコンピュータを選択する。あまり強力でないコンピュータを選択すると,作業量の多いサテライトを数多くサービスしたり,多くのサテライトを同時にブートするときに,過負荷状態になる可能性がある。しかし,1 つの強力なサーバを選択するより,2 台以上の中程度のサーバを選択する方が,パフォーマンスを向上できることがある。

  • ほとんど同じパワーのコンピュータが複数ある場合は,すべてのコンピュータをブート・サーバとして使用することができる。この方法では,最適な状態で負荷のバランスをとることができる。さらに,1 台のコンピュータで障害が発生したり,シャットダウンされても,他のコンピュータがサテライトをサービスできる。

  • 演算パワーの他に,サーバを選択するためのもう 1 つの重要な要素がある。それは LAN アダプタの速度である。サーバを選択する場合は,クラスタ内で帯域幅の最も大きい LAN アダプタを装備したサーバを選択しなければならない。

特権付きアカウントにログインしていることを確認する。 特権付きアカウントにログインする。

規則: サテライトを追加する場合は,ブート・サーバでシステム管理者のアカウントにログインしなければならない。このプロシージャでは特権付きシステム操作が実行されるため,プロセス特権 SYSPRV,OPER,CMKRNL,BYPASS, NETMBX が必要である。

クラスタ共通ファイルを調整する。 構成に 2 つ以上のシステム・ディスクが含まれる場合は, 第 5 章 の説明に従ってクラスタ共通ファイルを調整する。
必要に応じて,ターミナルへのブロードキャスト・メッセージを禁止する。 コンピュータを追加および削除する場合,このような多くのメッセージが作成される。メッセージを禁止するには, DCL コマンド REPLY/DISABLE=(NETWORK, CLUSTER) を入力する。OPCOM メッセージの制御の詳細については, 第 10.6 節 も参照。
クラスタ構成プロシージャから出力される質問に対する応答をあらかじめ準備しておく。 クラスタ構成コマンド・プロシージャから要求されるデータについては, 表 8-3 を参照。


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