日本語 OpenVMS
概説書


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5.7.3 デフォルト・ディレクトリの最大長

デフォルト・ディレクトリを日本語のディレクトリに変更する場合,ファイル指定には最大 42 文字の全角文字を含めることができます。デフォルト・ディレクトリの指定に含めることのできる文字列の長さは以下のとおりです。


   (全角文字 + 半角カナ) ×6+半角文字≦ 255               (単位:バイト) 

ただしデバイス名を意味する文字列は,上記の計算式から除きます。デバイス名の長さはデフォルト・ディレクトリの最大長に影響しません。

注意

デフォルト・ディレクトリに含まれる全角文字および半角カナの文字数は,ファイル名に使用できる日本語の文字数に影響を与えます。長い日本語は,なるべくデフォルト・ディレクトリには使用しないでください。

5.8 RMS 以外の API での日本語ファイル名の使用

以下の API は Super DEC 漢字コードセットによる日本語ファイル名を使用できます。 RMS ファイル名コンバータが有効の場合,これらの API はファイル名を Super DEC 漢字コードで入出力します。

なお,日本語 OpenVMS V7.3,V7.3-1 では BACKUP ユーティリティの日本語化方法が変更されたため, BACKUP API では日本語ファイル名を使用できなくなりました。 BACKUP ユーティリティでは引きつづき日本語ファイル名を使用できます。

以下の API はファイル名に Unicode を使用できます。

RMS ファイル名コンバータは,$QIO の使用するファイル名に影響を与えません。 $QIO は常に従来形式, ISO 8859-1,Unicode のいずれかの形式でファイル名を入出力します。

注意

$QIO の拡張に関する詳細は,『 OpenVMS Extended File Specificationsの手引き』を参照してください。


第 6 章
こんな時どうする日本語 OpenVMS

この章では,「日本語 OpenVMS でこのようなことをしたい」という事項の代表的な以下の項目について説明します。

6.1 日本語のヘルプ,メッセージが見たい

DCL コマンドで,次のようにすることで,日本語のメッセージやヘルプが表示されます。


 $ @JSY$SYSTEM:JSY$SWITCH JAPANESE 
 

Alpha では以下のようにして設定することもできます。


 $ JSYCP:==$JSY$CONTROL.EXE 
 $ JSYCP SET LOCALE "ja_JP.deckanji2000" 
 

6.2 自分で文字を作りたい

CMGR ユーティリティでは,ユーザ定義文字の作成/編集をすることができます。作った文字はプリロード・ファイルとして使用することもできますし,オンデマンド・ローディングで使用することもできます。

詳しくは,『フォント管理ユーティリティ 利用者の手引き』をご覧ください。

6.3 エラー・メッセージの意味がわからない

メッセージ / ヘルプが役にたちます。例えば %fac-c-xxxxxx, abcdefghijk.... というようなエラー・メッセージがでた場合,次のようにすることで,そのエラー・メッセージの説明やそれに対する処置を表示します。


 $ HELP/MESSAGE xxxxxx 
 

6.4 日本語メールを送りたい

日本語メール・ユーティリティを使用することで,日本語で電子メールを送ることができます。 DCL コマンドで次のようにすることで日本語メール・ユーティリティを使用できます。


 $ JMAIL 
 

詳しくは,『日本語ユーティリティ 利用者の手引き』をご覧ください。

6.5 漢字と半角かなの混じった文書を作成したい

DEC XTPU を利用することで,漢字と半角かなの混じった文書を作成することができます。 DCL コマンドで次のようにして DEC XTPU を起動します。


 $ EDIT/XTPU 
 

漢字と半角かなを使ってテキストを作り,ファイルに保存する前に, [DO] キーでコマンド・プロンプトへ行き,次のように入力します。


 Command: SET CODESET OUTPUT DECKANJI2000 
 

これで,ファイルに漢字/半角かな混じりの文書を保存することができます。

6.6 個人辞書を使い分けたい

個人辞書は JSY$KOJIN という論理名で指定できます。たとえば次のようにして辞書を切り換えて使うことができます。


 $ DEFINE JSY$KOJIN SYS$LOGIN:SHIGOTO.JISHO 
 $ DEFINE JSY$KOJIN SYS$LOGIN:SHUMI.JISHO 
 

Alpha では以下のようにして設定することもできます。


 $ JSYCP:==$JSY$CONTROL.EXE 
 $ JSYCP SET INPUT /KOJIN_DICTIONARY=SYS$LOGIN:SHIGOTO.JISHO 
 

6.7 JMAIL などで日本語を表示させて上下スクロールしたい

JMAIL や TYPE などのコマンドで /PAGE もしくは /PAGE=SAVE 修飾子を使って漢字を表示する場合は,次のようにしてください。


 $ DEFINE UTIL$SMGSHR JSY$SMGSHR 
 $ DEFINE LANG "ja_JP.sdeckanji" 

Alpha では以下のようにして設定することもできます。


 $ JSYCP:==$JSY$CONTROL.EXE 
 $ JSYCP SET LOCALE "ja_JP.deckanji2000" 
 

これ以降,たとえば JMAIL ユーティリティで次のように入力することによって /PAGE 修飾子を使用することができます。


 $ JMAIL 
 
 JMAIL>READ/PAGE 

次ページや前ページへの移動や画面スクロールが正常に動作するようになります。

6.8 DECwindows/Motif の端末エミュレータ上の日本語 EVE でマウスによるカット/ペーストをしたい

次のようにすると,DECwindows/Motif の端末エミュレータ上の日本語 EVE でマウスによるカット/ペーストができるようになります。


 Command: XTPU SET(MOUSE,OFF) 
 

日本語をペーストしたい場合は,次のように SET INPUT KANJI を実行すると文字化けしなくなります。


 Command: SET INPUT KANJI 
 

自動ローマ字かな変換モードの場合,入力されたアルファベットが,かなに変換されてしまいます。これを避けるには,次のように HENKAN MODE を実行してください。


 Command: HENKAN MODE 
 

6.9 OpenVMS VAX 上で動作しているアプリケーションを OpenVMS Alpha 上にポーティングしたい

『 OpenVMS VAX から Alpha へのアプリケーションの移行』をご覧ください。

6.10 デバッガの日本語機能を有効にするには

デバッグ・イメージを起動する前に,以下のコマンドを実行してください。


 $ DEFINE/JOB DBG$NATIONALITY JAPAN 
 

さらに端末インタフェースにおいて日本語の入出力機能を有効にするために,以下のコマンドを入力します。

なお, DECwindows Motif インタフェースを利用する場合の設定方法は『日本語ユーティリティ利用者の手引き』をご覧ください。

6.11 DECwindows/Motif の端末エミュレータ上でキャラクタセル・モードのデバッガを起動するには

デバッグ・イメージを起動する前に,以下のコマンドを実行してください。


 $ DEFINE DBG$DECW$DISPLAY " " 
 

6.12 日本語 COBOL の日本語項目に日本語データを代入するには

デバッガでは,日本語 COBOL の日本語項目を英数字項目として認識しています。したがって,英数字項目/英字項目と同様に指定してください。


 DBG> DEPOSIT 日本語項目 = "日本語データ" 
 

また,日本語項目の部分参照では,日本語の文字数ではなくバイト数で開始位置および文字数を指定してください。 EXAMINE も同様です。

6.13 EXIT HANDLER を実行させずにデバッグ・セッションを終了するには

アプリケーション・プログラムで宣言した EXIT HANDLER を実行させずにデバッグ・セッションを終了するには,QUIT コマンドでデバッガを終了してください。 EXIT で終了するとこれらのハンドラが実行されます。


第 7 章
Alpha システムと VAX システムとの相違点

日本語 OpenVMS Alpha オペレーティング・システム V7.3-1 と日本語 OpenVMS VAX オペレーティング・システム V 7.3 は,ほぼ同じ DCL コマンドを使用できますが,若干の例外 / 変更などがあります。この章ではこれらについて説明します。

7.1 コードセット

7.1.1 日本語 OpenVMS Alpha 特有のコードセット

DEC 漢字 2000 コードセット (DECKANJI2000) は,日本語 OpenVMS Alpha 特有のコードセットであり,日本語 OpenVMS Alpha システムでは使用できますが,日本語 OpenVMS VAX システムでは使用できません。

DEC 漢字 2000 コードセットについて詳しくは, 第 3.3.3 項 を参照してください。

7.2 ユーティリティ

7.2.1 日本語 OpenVMS Alpha 特有のユーティリティ

日本語環境設定ユーティリティ (JSY$CONTROL) は,日本語 OpenVMS Alpha 特有のユーティリティで,日本語 OpenVMS Alpha システムでは使用できますが,日本語 OpenVMS VAX システムでは使用できません。

日本語環境設定ユーティリティについて詳しくは『日本語ユーティリティ   利用者の手引き』を参照してください。

7.2.2 日本語 OpenVMS VAX 特有のユーティリティ

CIServer は,日本語 OpenVMS VAX 特有のユーティリティで,日本語 OpenVMS VAX では使用できますが,日本語 OpenVMS Alpha では使用できません。

7.3 システム管理

7.3.1 クラス・ドライバの名称の変更

日本語 OpenVMS VAX と日本語 OpenVMS Alpha で使用するクラス・ドライバの名前が異なります。日本語入力プロセスなどの日本語機能を利用する場合には,システム立ち上げ時に TTY_CLASSNAME を日本語 OpenVMS VAX では "KJ" に,日本語 OpenVMS Alpha では "TT" に,それぞれ設定してください。

7.4 イメージ・トランスレーション環境

日本語 OpenVMS VAX 上の日本語アプリケーションを日本語 OpenVMS Alpha 上で動かす場合には 2 通りの方法が考えられます。1 つは OpenVMS Alpha 上のコンパイラおよびリンカで再コンパイル,再リンクする方法です。 2 つめは別売の DECmigrate for OpenVMS AXP を使って日本語 OpenVMS VAX 上の実行イメージをトランスレートする方法です。詳しくは『 OpenVMS VAX から OpenVMS Alpha へのアプリケーションの移行』をご覧ください。

7.4.1 TIE

TIE (Translated Image Environment) は,トランスレートされたイメージを日本語 OpenVMS Alpha の上で動かすための環境です。日本語 OpenVMS VAX のイメージをトランスレートするには DECmigrate for OpenVMS AXP を使います。イメージのトランスレートに関しては『 DECmigrate for OpenVMS AXP: Translating Images』を参照してください。日本語 OpenVMS Alpha では,次のトランスレートされたランタイム・ライブラリを提供しています。

DECmigrate for OpenVMS AXP でトランスレートされた,日本語 OpenVMS Alpha 上のイメージをサポートするために次のファイルを提供しています。

また,次の論理名を定義しています。


  JSYSHR_TV = JSYSHR 
  JSY$SMGSHR_TV = JSY$SMGSHR 
  IM$SHR_TV = IM$SHR 

注意

日本語 OpenVMS Alpha では標準版 OpenVMS とは異なり日本語 OpenVMS VAX V5.1 〜 V5.4-3 上のトランスレートされた VAX イメージのみをサポートしています。


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