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SYSMAN IO FIND_WWID コマンドは,すべての Fibre Channel ポートをプローブし, NSR (Network Storage Router) または MDR (Modular Data Router) の後ろにある,これまで発見されなかったテープやメディア・チェンジャをすべて検出します。また,それぞれに対してワールドワイド識別子 (WWID) を割り当てます。このコマンドでは,装置とそれに割り当てられた装置名のリストを表示し,この情報を SYS$SYSTEM:SYS$DEVICES.DAT ファイルに自動的に記録します。そして,対応するローカルおよびクラスタ全体のメモリ構造を更新します。
新しく接続された Fibre Channel テープを構成するには,このコマンドを使ってから, SYSMAN コマンドの IO AUTOCONFIGURE を実行してください。
SYSMAN IO FIND_WWID コマンドを使用するには,CMKRNL 特権が必要です。
Fibre Channel の詳細については,『OpenVMS Cluster 構成ガイド』を参照してください。
IO FIND_WWID
Fibre Channel ポートでテープ装置を構成する前に,テープ装置のワールドワイド識別子 (WWID) を検出し,デバイス名とともにテキスト・ファイル SYS$SYSTEM:SYS$DEVICES.DAT に格納する必要があります。これを行うには,SYSMAN コマンドの IO FIND_WWID を使います。SYSMAN IO FIND_WWID コマンドはすべての Fibre Channel ポートをプローブし,すべてのテープ装置とメディア・チェンジャ装置の場所を特定します。これまで行った SYSMAN IO FIND_WWID コマンドでは検出されなかったテープとメディア・チェンジャに対して, IO FIND_WWID は装置名を割り当て,その装置の WWID を検索して,その装置名と WWID のデータを SYS$SYSTEM:SYS$DEVICES.DAT ファイルに格納してから,メモリ構造を更新します。
SYSMAN IO FIND_WWID の主な目的は SYS$DEVICES.DAT ファイルにデータを読み込むことなので,新しい装置に対して SYSMAN IO FIND_WWID コマンドを実行する必要があるのは 1 つの装置に対して 1 回のみです。 SYSMAN IO FIND_WWID コマンドを初めて使うと,システムにある既存のテープ装置とメディア・チェンジャ装置がすべて検出されます。
情報がファイルに格納されると,その後, SYSMAN IO AUTOCONFIGURE コマンドを使ったときには,ファイルから情報が読み込まれ,自動的にテープ装置とメディア・チェンジャ装置が構成されて,必要に応じてデバイス・ドライバのロードや接続が行われます。 SYS$DEVICES.DAT ファイルはシステムが再ブートするたびに読み取られ, Fibre Channel でのテープとメディア・チェンジャの自動構成を起動します (SYSMAN IO FIND_WWID は実際のデバイス・ドライバのロードや接続は行いません)。
注意
システムのブート後に装置を追加した場合は, MDR に電源を再投入して内部マッピング情報を更新する必要があります。また,もう一度 SYSMAN IO FIND_WWID コマンドを実行して,新しい装置情報を SYS$DEVICES.DAT ファイルに追加する必要もあります。同様に,Network Storage Router (NSR) に対しては, LUN マップを更新する必要があります。
OpenVMS クラスタ環境では,さまざまなデータ構造をメモリで更新するために,クラスタ内のそれぞれのノードで SYSMAN IO FIND_WWID コマンドを実行する必要があります。各ノードでこのコマンドを実行しない場合, 1 つのノードで SYSMAN IO FIND_WWID を実行してから,同一のシステム・ディスクを共有する他のノードを再ブートする方法もあります。これは,ブート時に SYS$DEVICES.DAT ファイルが読み込まれ,メモリ構造を正しく初期化するためです。
クラスタ内に複数のシステム・ディスクが存在する場合, SYS$DEVICES.DAT ファイルのすべてのコピーが一貫していることを確認してください。それにはすべてのノード上で IO FIND_WWID コマンドを実行することが望ましいのですが,別の方法としては, SYSMAN IO FIND_WWID を実行して 1 つの SYS$DEVICES.DAT ファイルのみを更新し,オリジナルのファイルから対象の各ファイルに装置と WWID の適切なレコードをカット・アンド・ペーストして,残りの SYS$DEVICES.DAT ファイルを編集する方法があります。
オリジナル・ファイル全体を別のシステム・ディスクにコピーするのは控えてください。これは,SYS$DEVICES.DAT ファイルが PAC (ポート割り当てクラス) の定義にも使われており,ファイル全体をコピーすると,この PAC エントリが不用意に転送されてしまうことになるためです。
SYSMAN> IO FIND_WWID %SYSMAN-I-OUTPUT, command execution on node SAMPLE On port _SAMPLE$PGA0:, the following tape WWIDs and their proposed device names have been found but not yet configured: [Device $2$GGA0] WWID=04100024:"DEC TL800 (C) DEC3G9CCR82A017" [Device $2$MGA0] WWID=04100022:"DEC TZ89 (C) DECCX939S2777" [Device $2$MGA1] WWID=04100022:"DEC TZ89 (C) DECCX942S6295" |
これは TL891 テープ・ライブラリを使った構成例です。 SYSMAN コマンド IO FIND_WWID は,これまでに検出されなかったすべてのテープ装置とそのデバイス名のリストを表示します。
WWID 全体が等号の右側にあるすべてのもので構成されていることに注意してください。 WWID はそれぞれ固有です。ただし,ヘッダは基本タイプと WWID データの長さだけを反映しているので,ヘッダ部分のみだと固有にはならない可能性があります。
SYSMAN IO FIND_WWID コマンドは,次のように新しいテープ装置に関する情報を自動的に SYS$SYSTEM:SYS$DEVICES.DAT に記録します。
$ TYPE SYS$SYSTEM:SYS$DEVICES.DAT ! ! Updated 23-OCT-2002 14:17:41.85: DEC TL800 ! [Device $2$GGA0] WWID=04100024:"DEC TL800 (C) DEC3G9CCR82A017" ! ! ! Updated 23-OCT-2002 14:17:41.93: DEC TZ89 ! [Device $2$MGA0] WWID=04100022:"DEC TZ89 (C) DECCX939S2777" ! ! ! Updated 23-OCT-2002 14:17:42.01: DEC TZ89 ! [Device $2$MGA1] WWID=04100022:"DEC TZ89 (C) DECCX942S6295" !
ここで SYSMAN コマンドの IO CONFIGURE を使うと,これらの装置を構成できます。この手順を完了した後で, SHOW DEVICE/FULL コマンドを実行すると,テープのワールドワイド識別子が表示されます。
Fibre Channel 上のテープ装置のみに適用されます。 Fibre Channel 上でまだ構成していないすべてのテープ装置 WWID をリストします。このコマンドの出力を SYSMAN IO CREATE_WWID コマンドと SYSMAN IO REPLACE_WWID コマンドの入力として使用することができます。
IO LIST_WWID
SYSMAN> IO LIST_WWID %SYSMAN-I-OUTPUT, command execution on node ROCKY On port _ROCKY$PGA0:, the following tape WWIDs are not yet configured: Target 3, LUN 1, COMPAQ SuperDLT1 WWID=02000008:500E-09E0-0005-30D7 Target 3, LUN 3, COMPAQ SDX-500C WWID=0C000008:0800-4606-C00D-473F Target 4, LUN 1, COMPAQ SuperDLT1 WWID=02000008:500E-09E0-0005-30D7 Target 4, LUN 3, COMPAQ SDX-500C WWID=0C000008:0800-4606-C00D-473F |
この例では,テープ・ブリッジがデュアルポートで, 1 つの FC ポートがターゲット 3 にあり,他の FC ポートがターゲット 4 にあるので,各ドライブは 2 回リストされます。
Alpha システムにおいて,入出力ドライバをロードします。 VAX システムでは,SYSGEN の LOAD コマンドを使用してください。SYSMAN IO LOAD コマンドを実行するには, CMKRNL と SYSLCK の特権が必要です。
システムはほとんどエラー検査を行いませんので, SYSMAN IO LOAD コマンドの発行には十分注意を払ってください。 |
IO LOAD ファイル指定
ファイル指定
ロードするドライバのファイル名を指定します。このパラメータは省略できません。
/LOG=(ALL,DPT)
ロードしたドライバに関する情報を表示するかどうかを制御します。省略時の値は/LOG=ALL です。/LOG=DPT または /LOG=ALL を指定した場合,ドライバ・プロローグ・テーブル (DPT) が表示されます。
SYSMAN IO LOAD コマンドは,入出力ドライバをロードします。 VAX システムでは,SYSGEN の LOAD コマンドを使用してください。SYSMAN IO LOAD コマンドを実行するには, CMKRNL と SYSLCK の特権が必要です。
SYSMAN> IO LOAD/LOG SYS$DKDRIVER %SYSMAN-I-IOADDRESS, the DPT is located at address 80D5A000 |
装置 SYS$DKDRIVER をロードし,ドライバ・プロローグ・テーブル (DPT) のアドレスを表示しています。
Alphaシステムにおいて,システムを再構成するための SYSMAN IO AUTOCONFIGUREコマンドを使用する準備として,装置構成テーブルを再構築します。SYSMAN IO REBUILDコマンドを使用するには,CMKRNL特権が必要です。
IO REBUILD
なし。
/VERIFY
SYSMAN はファイル SYS$SYSTEM:SYS$USER_CONFIG.DAT と SYS$SYSTEM:CONFIG.DAT を読み込んで処理しますが,これらのファイルを入出力データベースに適用しません。エラーが発生した場合にはメッセージが表示されます。開発者はこのコマンドを,現在のシステムを変更することなく, SYS$SYSTEM:SYS$USER_CONFIG.DAT に加えた新しい変更点をテストするために使用します。
SYSMAN IO REBUILDコマンドは,ファイルSYS$SYSTEM:SYS$USER_CONFIG.DATと SYS$SYSTEM:SYS$CONFIG.DATを読み込んで解析することで,システムの装置構成テーブルを再構築します。SYS$SYSTEM:SYS$USER_CONFIG.DATファイルの変更点をデバッグする際には,SYSMAN IO REBUILDコマンドと SYSMAN IO AUTOCONFIGUREコマンドを使用して,システムを再ブートしなくてもドライバをロードすることができます。ただし,いったんアダプタのドライバをロードしたら,システムを再ブートしないとドライバの再ロードはできません。
SYSMAN> IO REBUILD SYSMAN> IO AUTOCONFIGURE |
この例の1つ目のコマンドは,装置構成テーブルを再構築します。 2つ目のコマンドは,装置構成テーブルを読み込み,新しく定義されたドライバのドライバをロードします。
このコマンドを使うと,NSR (Network Storage Router) の後ろにある 1 つのテープ装置を同一の FC (Fibre Channel) 論理ユニット番号 (LUN) 位置にある別のテープ装置に交換できます。このコマンドは,必要なファイルとメモリ・データ構造をすべて新しいテープ装置の WWID で更新します。置き換えたドライブの名前は,元のドライブの名前と同じになります。
このコマンドは,主にハードウェア問題がテープ・ドライブで発生し,交換ドライブを代わりにインストールする必要があるときに使用するためのものです。
このコマンドを使用するには,CMKRNL 特権が必要です。これは,NSR や MDR (Modular Data Router) など, Fibre Channel テープ・ブリッジの後ろにある FC テープのみに適用されます。
Fibre Channel の詳細については,『OpenVMS Cluster 構成ガイド』を参照してください。
IO REPLACE_WWID 装置名文字列/WWID=wwid文字列
装置名文字列
テープ装置名を指定します。
/WWID=wwid文字列
SYSMAN IO LIST_WWID 表示から直接示される WWID 文字列を指定します。この修飾子の使用は,次の説明で説明されている状況の下のみで適切です。
障害のあるテープ装置を新しいテープ装置に交換するには, REPLACE_WWID コマンドで「装置名文字列」と「wwid文字列」という 2 つのパラメータを使用できます。このコマンドは,新しい装置名と WWID の相関関係を記録するデータ構造を自動的に更新し,装置は自動的に正しく機能し始めます。このコマンドは,次の 2 つの異なるケースで便利です。
- ドライブが故障し,システムを再ブートせずに即座に交換する必要がある可能性があるケースです。このようなケースが発生した場合,ドライブを物理的に新しいドライブに交換し,コマンド SYSMAN IO REPLACE_WWID $2$MGAn をクラスタ全体に発行します。装置のデータ構造に格納された情報を使用して新しい WWID が自動的に検出されるため, /WWID 修飾子はこの場合は適切ではありません。
- ドライブが故障し,システムがシャットダウンまたは再ブートされる後まで交換されない可能性があるケースです。再ブート中に装置の構成が失敗したため, SHOW DEVICE 表示には装置名は表示されなくなります。
構成の失敗は,故障したドライブが応答しなかったため,または,新しいドライブが SYSMAN IO AUTOCONFIGURE がブート時に予想した WWID とは異なるものを持っているために発生しています。そのため,この状況では,SYS$DEVICES.DAT には装置名があり, SHOW DEVICE 表示には装置名がないので,/WWID 修飾子を使用して,新しい装置名と WWID の相関関係を定義します。
次の手順をクラスタ全体で行います。
- SYSMAN IO LIST_WWID コマンドを実行して新しい WWID を表示する。
- SYSMAN IO REPLACE_WWID $2$MGAn/WWID=新規wwid コマンドを使用して新しい相関関係を定義する。
- SYSMAN IO AUTOCONFIGURE コマンドを使用して装置を構成する。
SYSMAN IO LIST_WWID コマンドを使用する場合,次のことに注意してください。
- 交換装置は元の装置と同じ SCSI ターゲット ID に設定する必要がある。
- SYSMAN IO REPLACE_WWID コマンドを発行する前に,その装置に対するすべての処理を停止する必要がある。
- コマンドの実行には CMKRNL 特権が必要であり,このコマンドは NSR または MDR の後ろにある FC テープのみに適用される。
SYSMAN> SET ENVIRONMENT/CLUSTER SYSMAN> IO REPLACE_WWID $2$MGA3/WWID=02000008:500E-09E0-0005-30D7 SYSMAN> IO AUTOCONFIGURE |
この例では,$2$MGA3 という名前の装置が故障しており,システムがダウンしている間に交換しました。再ブート時には,OpenVMS が予想していた WWID とドライブの新しい WWID が一致しなかったため,ドライブは構成されませんでした。そのため,ユーザは装置名と WWID の相関関係を再定義することで, $2$MGA3 を正確に構成できます。指定された WWID は,SYSMAN IO LIST_WWID コマンドの出力からのものです。
Alpha システムにおいて,SYSMAN IO SCSI_PATH_VERIFY サブコマンドは,システム内の SCSI と FC のパスを 1 つずつチェックして,接続された装置が変更されたかどうかを判断します。装置の変更が検出された場合には,その SCSI または FC パスは入出力データベースで切断されます。これによって,SYSMAN IO AUTOCONFIGURE コマンドを使うことで,パスを新しい装置に対して再設定できます。SYSMAN IO SCSI_PATH_VERIFY コマンドを使用するには,CMKRNL 特権が必要です。
IO SCSI_PATH_VERIFY
なし
なし
SCSI または FC のインターコネクトのオンライン再設定を行った後,通常は,SYSMAN IO SCSI_PATH_VERIFY コマンドを入力します。このコマンドは,システム内にある SCSI および FC パスそれぞれの装置タイプと装置識別子を読み込みます。装置が入出力データベースに格納されているデータと一致しない場合には,そのパスは入出力データベースで切断されます。 SYSMAN IO SCSI_PATH_VERIFY コマンドの後,通常は SYSMAN IO AUTOCONFIGURE コマンドを入力します。 IO AUTOCONFIGURE は,新しい SCSI や FC の設定に合わせて入出力データベースを更新するコマンドです。
SYSMAN> IO SCSI_PATH_VERIFY SYSMAN> IO AUTOCONFIGURE |
この例の 1 番目のコマンドは,すべての SCSI パスをチェックして,有効ではなくなったパスを切断します。2 番目のコマンドはシステムに物理的に接続されている装置をすべて自動構成します。
Alpha システムでは,装置を自動的に構成するときに使用するパーマネント除外リストを設定します。
IO SET EXCLUDE = 装置名
装置名
自動構成から除外する装置タイプを指定します。パーマネント除外リストに入れる装置を表す有効な装置名またはニーモニックを使用します。ワイルドカードが使用できます。
なし
装置の自動構成を行うときに使用するパーマネント除外リストを設定します。このコマンドを使用して,各システムのブート時に Fibre Channel ポート・ドライバ装置 (FG) とすべての SCSI ポート・ドライバ装置 (PK) を除外するために装置自動構成を永続的に指定することができます (手動の構成コマンドの間に,装置の除外または取り込みを永続的に指定するには, SYSMAN IO AUTOCONFIGURE コマンドに /EXCLUDE または /SELECT 修飾子を指定します)。
次の装置タイプは SYSMAN IO SET EXCLUDE コマンドで除外することはできません。
- ポート割り当てクラスまたは HSZ 割り当てクラスを名前に含んでいる, SCSI クラス・ドライバ装置 (DK,MK,GK)
- Fibre Channel クラス・ドライバ装置 (PG,DG,GG)
この制限は,SCSI 装置名にポート割り当てクラスが含まれる場合, OpenVMS Alpha バージョン 7.1 システムの SCSI 装置にも適用されます。
SYSMAN> IO SET EXCLUDE=(DKC500,DKD*) |
この例は,DKC500 とすべての DKD 装置について,自動構成を行わないことを指定します。
装置名の指定方法を示す他の例については,/SELECT 修飾子を参照してください。
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