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次の操作手順は,バッファ内でカーソルを移動する方法を示しています。
$ EDIT SCHEDULE.DAT |
EVE は,バッファの先頭にカーソルを位置づけ,入力待ちの状態になっている。
Schedule for 1 July 10:00 AM meeting with supervisor Read and review memo from Sally Work on Pascal program |
テキストを入力するにつれて [End of file] マーカがバッファ内を下へ移動し,入力したテキストの最後にカーソルが位置づけられる。
ユーザは,現在編集中のバッファに,キーボードの文字,ファイル全体,および印刷不可能な特殊文字(制御文字など)を入力できます。テキストを入力するには,キーパッドまたはコマンドを使用します。また,バッファにテキストやファイル,特殊文字を追加することもできます。
8.7.1 テキストの追加
キーボードから文字を入力し,バッファの現在のカーソルの位置の後に追加することができます。入力した文字は,バッファが挿入モードであるのか,上書モードであるのかに応じて,既存の文字の前に挿入されるか,または既存の文字の上に上書きされます。
8.7.2 ファイルの挿入
ファイル全体を追加するには,Do キーを押してから EVE コマンドの INCLUDE FILE を入力します。File to include: プロンプトに対してファイル指定を入力してから Enter キーを押します。バッファの現在のモード(挿入または上書き)にかからわず,指定されたファイルの全内容が現在のカーソル行の前に挿入されます。
ファイルを指定するには,ワイルドカードが使用できます。あるワイルドカードのファイル指定に一致するファイルが複数存在する場合には,それらがすべて表示され,より完全なファイル指定の入力を求めるプロンプトが表示されます。指定されたファイルが存在しない場合は,そのファイルを取り込めなかったことを知らせるメッセージが表示されます。
8.7.3 印刷不可能な特殊文字
QUOTE コマンドを使用すれば,Ctrl/V を押してから特殊文字を入力することによって,印刷不可能な特殊文字を追加できます。たとえば,バッファ内にエスケープ文字を追加するには,Ctrl/V を押してから Ctrl/[ を押します。特殊文字は,バッファの現在のモード(挿入または上書き)に応じて追加されます。
8.7.4 EVE のテキスト入力用編集キー
次の表は,テキスト入力に使用する EVE の編集キーの一覧です。
キーまたは キー・シーケンス |
機能 |
---|---|
Ctrl/A | CHANGE MODE コマンドと同じ。現在のバッファの編集モードを変更する。編集モードは強調表示のステータス・ラインに示される。挿入モードでは,テキストは現在の文字位置に挿入され,既存のテキストは右に移動する。上書モードでは,テキストは現在の位置で上書きされる。VT200,VT300,および VT400 の各シリーズのターミナルでは,F14 キーが CHANGE MODE として定義されている。VT100 シリーズのターミナルでは,キーパッド上の Enter キーが CHANGE MODE として定義されている。 |
Ctrl/V | QUOTE コマンドと同じ。印刷不可能な文字や制御コードを挿入できるようにする。特殊文字を検索するには,最初に Find キーを押してから,Ctrl/V と検索対象の特殊文字のキーを押す。次に,Enter キーを押して,検索を実行する。 |
次の表は,テキストの入力に使用するコマンドの一覧です。
コマンド | 機能 |
---|---|
CHANGE MODE | Ctrl/A と同じ。現在のバッファの編集モードを変更する。編集モードは強調表示のステータス・ラインに示される。挿入モードでは,テキストは現在の文字位置に挿入され,既存のテキストは右に移動する。上書モードでは,テキストは現在の位置で上書きされる。VT200,VT300,および VT400 の各シリーズのターミナルでは,F14 キーが CHANGE MODE として定義されている。VT100 シリーズのターミナルでは,キーパッド上の Enter キーが CHANGE MODE として定義されている。 |
INCLUDE FILE | 指定されたファイルの内容を現在のバッファのカーソル位置の上にある行に挿入する。このコマンドはファイルのマージのときに役立つ。 |
INSERT MODE | 現在のバッファのモードを,上書モードではなく挿入モードに設定する。挿入モードでは,現在位置にテキストが挿入され,既存のテキストは右に移動する。 |
OVERSTRIKE MODE | 現在のバッファのモードを,挿入モードではなく上書モードに設定する。上書モードでは,現在位置でテキストが上書きされる。 |
QUOTE | Ctrl/V と同じ。あるキーを押すことによって,そのキーの印刷不可能な文字または制御コードを入力する。FIND コマンドまたは REPLACE コマンドに文字列を指定する場合に,制御コードまたはその他の文字をクォートできる。たとえば,Tab キーをクォートすればタブ文字を検索できる。 |
テキストを入力する前に,バッファの現在のモードが挿入モードか上書モードかを確認してください。
バッファのモードを確認するには,強調表示のステータス・ラインを見ます。挿入モードでは,テキストはカーソル位置に挿入され,既在のテキストは右に移動します。上書モードでは,キーボードから入力したテキストがカーソル位置で上書きされ,バッファ内の既存のテキストはカーソルが移動するにつれて順に上書きされます。
次の操作手順に従って,挿入モードと上書モードの両モードでファイルにテキストを追加してみてください。
Engineering という単語がテキスト・バッファに追加され,同じ行の残りの部分は右に移動する。
Schedule for 1 July 10:00 AM meeting with Engineering supervisor Read and review memo from Sally Work on Pascal program [End of file] Buffer: SCHEDULE.DAT | Write | Insert | Forward |
バッファ内の Sally という単語が,Peggy という単語に置き換わる。
Schedule for 1 July 10:00 AM meeting with Engineering supervisor Read and review memo from Peggy Work on Pascal program [End of file] Buffer: SCHEDULE.DAT | Write | Overstrike | Forward |
EVE を使用すると,容易にテキストを削除したり,編集中の間違いを修正したりできます。誤ってテキストを削除してしまった場合でも,最後に削除したテキストを元の位置に復元したり,またはカーソルを移動することによって異なる位置に復元することができます。
バッファからテキストを削除するには,削除したいテキストにカーソルを移動してから適切な編集キーを押すか,または適切な EVE コマンドを入力します。
テキストの削除および復元に使用する編集キーの一覧を 表 8-3 に示します。
キーまたは キー・シーケンス |
機能 |
---|---|
Delete キーまたは Delete | カーソルの左の 1文字を削除する。DELETE コマンドと同じ。保留削除が使用可能な場合は,選択範囲のテキストを削除し,Restore Selection バッファ内に格納する。保留削除についての詳しい説明は,第 8.9 節 を参照。 |
Ctrl/J | ERASE WORD と同じ。現在の単語を削除する。カーソルが単語間にあるときは,次の単語を削除する。VT200,VT300,および VT400 の各シリーズのターミナルでは,F13 キーが ERASE WORD として定義されている。VT100 シリーズのターミナルでは,キーパッド上のコンマ・キー(,)がERASE WORD として定義されている。 |
Ctrl/U | ERASE START OF LINE と同じ。カーソルの左から行の先頭までの文字を削除する。 |
GOLD Insert Here | RESTORE と同じ。EVE コマンドや編集キーによって最後に削除した単語,行,文を現在のカーソル位置に挿入し直す。 |
GOLD F13 | RESTORE WORD(WPS キーパッドの場合は除く)と同じ。最後に削除した単語を現在のカーソル位置に挿入し直す。 |
テキストの削除と復元に使用する EVE コマンドの一覧を 表 8-4 に示します。
コマンド | 機能 |
---|---|
DELETE | カーソルの左の 1 文字を削除する。挿入モードでは,行の残りの部分が左に移動して削除された文字を埋める。上書モードでは,削除された文字はスペースに置き換えられる。行の先頭では,DELETE は,モードにかかわらず,前の行のキャリッジ・リターンを削除して,現在の行が上に移動する。保留削除が使用可能な場合は,選択範囲のテキストを削除し,Restore Selection バッファ内に格納する。保留削除についての詳しい説明は,第 8.9 節 を参照。 |
ERASE CHARACTER | カーソル位置にある文字を削除する。挿入モードでは,行の残りの部分が左に移動して削除された文字を埋める。上書モードでは,削除された文字はスペースに置き換えられる。カーソルが行末にある場合は,モードにかかわらず,キャリッジ・リターンが削除されて次の行が上に移動する。 |
ERASE LINE | 現在の文字から行末までを削除して,次の行を現在の行の終わりに追加する。カーソルが行末にある場合は,キャリッジ・リターンだけが削除されて,次の行が上に移動する。 |
ERASE PREVIOUS WORD | 前の単語またはカーソル位置にある単語を削除する。カーソルが単語間にあるときや単語の最初の文字の上にある場合は,前の単語が削除される。カーソルが単語の途中にあるときは,その単語全体が削除される(ERASE WORD と同じ)。カーソルが行の先頭にあるときは,前の行の行末にあるキャリッジ・リターンが削除されて,現在の行が上に移動する。 |
ERASE START OF LINE | カーソルの左から行の先頭までの文字を削除する。カーソルがすでに行の先頭にある場合は,何も削除されない。 |
ERASE WORD | 現在の単語を削除する。カーソルが単語間にあるときは,次の単語を削除する。Ctrl/J と同じ。VT200,VT300,および VT400 の各シリーズのターミナルでは,F13 キーが ERASE WORD として定義されている。VT100 シリーズのターミナルでは,キーパッド上のコンマ・キー(,)が ERASE WORD として定義されている。カーソルが行末にあるときは,キャリッジ・リターンだけが削除されて,次の行が上に移動する。 |
RESTORE | EVE コマンドや編集キーによって最後に削除した単語,行,文を現在のカーソル位置に挿入し直す。RESTORE は 1 文字だけの復元は行わない。GOLD Insert Here キーが RESTORE として定義されている。 |
RESTORE CHARACTER | EVE コマンドや編集キーによって最後に削除した 1 文字を現在のカーソル位置に挿入し直す。上書モードでは,復元された文字はカーソル位置の文字の代わりに置き換えられる。挿入モードでは,復元された文字がカーソル位置に挿入され,したがって既存のテキストが右に移動する。 |
RESTORE LINE | EVE コマンドや編集キーによって最後に削除した 1 行を現在のカーソル位置に挿入し直す。 |
RESTORE SELECTION | 保留削除を使って,最後に削除したテキストを現在のカーソル位置に挿入し直す。保留削除についての詳しい説明は,第 8.12 節 を参照。 |
RESTORE WORD | EVE コマンドや編集キーによって最後に削除した単語を現在のカーソル位置に挿入し直す。GOLD F13 キーが RESTORE WORD として定義されている(WPS キーパッドの場合は除く)。 |
次の作成手順を使用して,テキストを削除および復元してみてください。
She rhymes with tree, also with bee, and this one makes three. |
also の l から行末までのすべての文字が削除され,次の行が現在の行の終わりに追加される。
She rhymes with tree, aand this one makes three. |
rhymes という単語が削除され,行の残りのテキストが左に移動する。
She with tree, aand this one makes three. |
最後に削除された行,すなわち lso with bee, が復元される。
She with tree, also with bee, and this one makes three. |
最後に削除された単語,すなわち rhymes が復元される。
She rhymes with tree, also with bee, and this one makes three. |
第 8.9 節 に,SELECT コマンドと REMOVE コマンドの機能を示します。これらのコマンドをともに使用すると,バッファからテキストを削除できます。
8.9 テキストの移動
EVE コマンドを使用すると,テキストの一部を選択して,コピー,移動,削除,およびその他の編集作業を行うことができます。ここではテキストを移動する方法について説明します。
データ移動の際のバッファ操作についての詳細は,第 8.18 節 を参照してください。
また,行単位ではなく長方形の領域(ボックス)単位で,テキストを移動,削除,およびコピーすることもできます。ボックス編集コマンドについての詳細は,第 8.11 節 を参照してください。
テキストを移動するには,次の手順に従ってください。
手順 | 操作 |
---|---|
1 | EVE でファイルをオープンし,移動するテキストの最初の文字にカーソルを移動する。 |
2 | Select キーを押す。 |
3 | 移動するテキストの最後の文字の次の文字位置までカーソルを移動する。逆方向の場合は,最後の文字の次の文字位置までではなく,最後の文字まで移動する。移動するテキストが反転属性 によって強調表示される。テキストをバッファに移動しないことにした場合は,再度 Select キーを押して,選択を取り消す。 |
4 | Remove キーを押す。強調表示されたテキストが画面から削除され,Insert Here バッファに格納される。 |
5 | Insert Here キーを押して,テキストを挿入する。 カーソル位置にテキストが挿入される。Insert Here バッファにいったん格納されたテキストは,新しいテキストが選択されて Insert Here バッファに格納されるまで,何度でもどのカーソル位置にも挿入できる。Insert Here バッファには,最後にコピーまたは削除されたテキストが格納されている。 |
次の表に,テキストの移動に使用する EVE 編集キーを示します。
キーまたは キー・シーケンス |
機能 |
---|---|
Insert Here | INSERT HERE コマンドまたは PASTE コマンドと同じ。削除またはコピーしたテキストを現在のカーソル位置に挿入する。 |
Remove | REMOVE コマンドまたは CUT コマンドと同じ。SELECT コマンドによってマークされたり,FIND コマンドによって強調表示されたテキストを削除して,Insert Here バッファに格納する。 |
Select | 最初のカーソル位置からカーソルを移動した先までのテキストにマークをつける(反転属性で強調表示する)。強調表示されたテキストを選択範囲と呼ぶ。選択範囲を取り消すには,Select キーをもう一度押すか,RESET を使用する。 |
GOLD Select |
RESET と同じ。次のいずれかを取り消して,現在のバッファの方向を順方向に再設定する。
|
GOLD Remove | STORE TEXT コマンドまたは COPY コマンドと同じ。SELECT または FIND によってマークされたテキストをコピーして,Insert Here バッファに格納する。コピーされたテキストは元の位置から削除されない。 |
次の表に,テキストの移動に使用する EVE コマンドを示します。
コマンド | 機能 |
---|---|
INSERT HERE または PASTE |
コピーまたは削除したテキストを挿入する。省略時の設定では,E2 キー(VT200,VT300,および VT400 の各シリーズのターミナルのミニキーパッド上の Insert Here)または KP9 キー(VT100 シリーズ・ターミナルの場合)が INSERT HERE として定義されている。 |
REMOVE または CUT |
SELECT によってマークされたり,FIND によって強調表示されたテキストを削除し,それを Insert Here バッファに格納する。省略時の設定では,E3 キー(VT200,VT300,および VT400 の各シリーズのターミナルのミニキーパッド上の Remove)または KP8 キー(VT100 シリーズ・ターミナルの場合)が REMOVE として定義されている。 |
RESET |
次のいずれかを取り消して,現在のバッファの方向を順方向に再設定する。
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RESTORE SELECTION | 保留削除で削除されたテキストを挿入し直す。保留削除についての詳しい説明は,第 8.12 節 を参照。 |
SELECT | 最初のカーソル位置からカーソルを移動した先までのテキストを反転属性で強調表示する。強調表示されたテキストを選択範囲と呼ぶ。選択範囲を取り消すには,SELECT コマンドをもう一度入力するか,RESET を使用する。省略時の設定では,E4 キー(VT200,VT300,および VT400 の各シリーズのターミナルのミニキーパッド上の Select)または KP7 キー(VT100 シリーズ・ターミナルの場合)が SELECT として定義されている。 |
SELECT ALL | カーソル位置にかかわらず,現在のバッファにあるすべてのテキストを反転属性で強調表示する。強調表示されたテキストを選択範囲と呼ぶ。選択範囲を取り消すには,SELECT コマンドを入力するか,RESET を使用する。SELECT ALL コマンドは,すべてのバッファ内容を間違って削除しないよう,保留削除を一時的に使用不能にする。 |
SET NOPENDING DELETE | 省略時の設定である。Delete キーを使用したり新しいテキストを入力したときに,選択されたテキストが削除されないようにする。バッファ中にテキストを選択してある場合に,新しいテキストを入力すると文字が選択範囲に追加され,Delete キーを使用するとカーソルの左にある 1 文字だけが削除される。 |
SET PENDING DELETE | 保留削除に設定し,テキスト・ブロックを迅速に削除できるようにする。最初に保留削除を使用可能にし,次に SELECT コマンドを使用して削除したいテキストを選択する。Delete キー(または英数字キーパッド上の任意のキー)を押してテキストを削除する。削除した内容を挿入し直すには,テキストを挿入したい位置までカーソルを移動して,RESTORE SELECTION コマンドを入力する。省略時の設定は,SET NOPENDING DELETE である。 |
STORE TEXT または COPY |
SELECTまたは FIND によってマークされたテキストをコピーして,Insert Here バッファに格納する。コピーされたテキストは元の位置から削除されない。 |
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