OpenVMS
ユーザーズ・マニュアル


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11.9.3 システム論理名ディレクトリ

システム・ディレクトリ・テーブル LNM$SYSTEM_DIRECTORY に含まれる省略時設定のシステム論理名を 表 11-4 に示します。

表 11-4 システム論理名ディレクトリの省略時設定の論理名
名前 説明
LNM$CLUSTER LNM$CLUSTER_TABLE に反復的に変換するクラスタ単位の親テーブルの論理名。
LNM$DCL_LOGICAL LNM$FILE_DEV として定義されるDCL論理名。LNM$DCL_LOGICALは,SHOW LOGICAL コマンド,SHOW TRANSLATION コマンド,F$TRNLNM レキシカル関数によって検索され表示される論理名テーブルのリストに反復的に変換する。省略時設定により,これらのコマンドは,プロセス,ジョブ,グループ,システム,およびクラスタ単位のシステム論理名テーブルをこの順に検索して表示する。
LNM$DIRECTORIES LNM$PROCESS_DIRECTORY および LNM$SYSTEM_DIRECTORY として定義されるディレクトリ論理名。
LNM$FILE_DEV ファイル指定を処理する場合にシステムが検索する論理名テーブルのリストとして定義される検索リストの論理名。LNM$PROCESS,LNM$JOB,LNM$GROUP,LNM$SYSTEM として定義され,システムは,プロセス,ジョブ,グループ,システム,およびクラスタ単位のシステム論理名テーブルをこの順に検索する。
LNM$GROUP グループ・テーブル LNM$GROUP_gggggg1 に定義されるグループ論理名。
LNM$JOB LNM$JOB_xxxxxxxx2 として定義されるジョブ論理名。
LNM$PERMANENT_MAILBOX LNM$SYSTEM として定義されるパーマネント・メールボックス論理名。パーマネント・メールボックスに関連付けられた論理名は,論理名 LNM$PERMANENT_MAILBOX が反復して変換する論理名テーブルに入力される。
LNM$SYSCLUSTER LNM$SYSCLUSTER_TABLE に反復的に変換するクラスタ単位のシステム論理名テーブルの論理名。
LNM$SYSTEM LNM$SYSTEM_TABLE,LNM$SYSCLUSTER に反復して変換するシステム論理名テーブル名。
LNM$TEMPORARY_MAILBOX LNM$JOB として定義される一時メールボックス論理名。一時メールボックスに関連付けられた論理名は,論理名 LNM$TEMPORARY_MAILBOX が反復して変換する論理名テーブルに入力される。


1文字列 gggggg は,プロセスの UIC グループ番号を含む6桁の8進数を表す。
2文字列 xxxxxxxx は,ジョブ情報ブロックのアドレスである8桁の16進数を表す。

11.9.4 共用論理名テーブル

ここでは,次の省略時設定の共用論理名テーブルについて説明します。

クラスタ単位のシステム・テーブル LNM$SYSCLUSTER_TABLE

LNM$SYSCLUSTER_TABLE は,クラスタ単位のシステム論理名テーブルの名前です。このテーブルには,クラスタのすべてのユーザが使用できる論理名が含まれています。

名前 LNM$SYSCLUSTER を通じて間接的に LNM$SYSCLUSTER_TABLEを参照することができます。間接参照により,LNM$SYSCLUSTER を複数の等価名として再定義して,その中に各自のテーブルを含めることができます。

クラスタ単位の親テーブル LNM$CLUSTER_TABLE

LNM$CLUSTER_TABLE は,LNM$SYSCLUSTER_TABLE を含む,すべてのクラスタ単位の論理名テーブルの親テーブルです。論理名 LNM$CLUSTER を使用してこれを参照します。

グループ・テーブル LNM$GROUP_gggggg

それぞれのグループ・テーブルの名前は LNM$GROUP_gggggg です(gggggg はユーザ ID コード [UIC] グループ番号を表します)。このテーブルにある名前は,同じUICグループ番号を持つすべてのユーザが使用できます。システム上のすべてのグループには,対応するグループ論理名テーブルがあります。

名前 LNM$GROUP を通じて間接的に LNM$GROUP_gggggg を参照することができます。間接参照により,LNM$GROUP_gggggg を複数の等価名として再定義して,その中に各自のテーブルを含めることができます。またこれは,自分のUICグループ番号を記憶しておく必要を省き,最も新しく定義されたテーブルを必ず使用できるようにします。

ジョブ・テーブル LNM$JOB_xxxxxxxx

それぞれのジョブ・テーブルの名前は LNM$JOB_xxxxxxxx です(xxxxxxxx はジョブ・ツリーに対してシステムが定義したジョブ情報ブロック [JIB] アドレスを表します)。

ジョブ・テーブルには,ジョブ・ツリー,つまりプロセスとそのサブプロセスにあるすべてのプロセスで使用できる論理名が含まれます。システムには各ジョブ・ツリーに対して 1 つのジョブ・テーブルがあります。ジョブ・テーブルは共用可能なので,ジョブ・ツリー内のすべてのプロセスがアクセスできます。

名前 LNM$JOB を通じて間接的に LNM$JOB_xxxxxxxx を参照することができます。この間接参照により,LNM$JOB を複数の等価名として再定義して,その中に各自のテーブルを含めることができます。さらに,LNM$JOB を使用すると,JIBアドレスを見つける必要がなく,最も新しく定義されたテーブルを必ず使用できるようになります。

システムは,マウントされたディスク,マウントされたテープ,一時メールボックスに対して作成された論理名をジョブ論理名テーブルに配置します。さらに,システムは次の論理名を作成します。

システム・テーブル LNM$SYSTEM_TABLE

システム・テーブルの名前は LNM$SYSTEM_TABLE です。システム・テーブルには,システム・レベルでシステムのすべてのユーザが使用できる論理名が含まれます。

システム・テーブルは通常,LNM$SYSTEM を通じて間接的に参照することができ,これは検索リスト LNM$SYSTEM_TABLE,LNM$SYSCLUSTER として定義されます。LNM$SYSTEM を使用して,このノードにローカルなシステム名と,クラスタ上のすべてのノードに共通なシステム名を含めることができます。

システムの起動時にシステム・テーブルで自動的に定義される論理名を 表 11-5 に示します。

表 11-5 システム論理名テーブルの省略時設定の論理名
名前 説明 省略時アドレス
DBG$INPUT プロセス・レベルで SYS$INPUT に等しいと定義される,OpenVMS Debuggerの省略時入力ストリーム。 適用せず
DBG$OUTPUT プロセス・レベルで SYS$OUTPUT に等しいと定義される,OpenVMS Debuggerの省略時出力ストリーム。 適用せず
SYS$COMMON SYS$SYSDEVICE:[SYSn.SYSCOMMON.] の共通部分に対する装置およびディレクトリ名。 ここでn はプロセッサのルート・ディレクトリ番号。
SYS$ERRORLOG エラー・ログ・データ・ファイルの装置およびディレクトリ名。 SYS$SYSROOT:[SYSERR]
SYS$EXAMPLES システム例の装置およびディレクトリ名。 SYS$SYSROOT:[SYSHLP.EXAMPLES]
SYS$HELP システム・ヘルプ・ファイルの装置およびディレクトリ名。 SYS$SYSROOT:[SYSHLP]
SYS$INSTRUCTION システム命令データ・ファイルの装置およびディレクトリ名。 SYS$SYSROOT:[SYSCBI]
SYS$LIBRARY システム・ライブラリの装置およびディレクトリ名。 SYS$SYSROOT:[SYSLIB]
SYS$LOADABLE_IMAGES オペレーティング・システムのエグゼクティブでロード可能なイメージ,デバイス・ドライバ,その他エグゼクティブでロードされたコードの装置およびディレクトリ。 SYS$SYSROOT:[SYS$LDR]
SYS$MAINTENANCE システム保守ファイルの装置およびディレクトリ名。 SYS$SYSROOT:[SYSMAINT]
SYS$MANAGER システム・マネージャ・ファイルの装置およびディレクトリ名。 SYS$SYSROOT:[SYSMGR]
SYS$MESSAGE システム・メッセージ・ファイルの装置およびディレクトリ名。 SYS$SYSROOT:[SYSMSG]
SYS$NODE DECnet for OpenVMS がシステム上でアクティブであり,ネットワークに接続中の場合,ローカル・システムに対するネットワーク・ノード名。 適用せず
SYS$PROCDMP イメージ・ダンプが書き込まれるディレクトリ(ユーザが設定)。 省略時の設定なし
SYS$SHARE システム共用イメージのの装置およびディレクトリ名。 SYS$SYSROOT:[SYSLIB]
SYS$SPECIFIC SYS$SYSDEVICE のノード固有部分に対する装置およびディレクトリ名。 SYS$SYSDEVICE:[SYSn.],ここでnはプロセッサのルート・ディレクトリ番号。
SYS$STARTUP システム起動ファイルの装置およびディレクトリ名。 まず SYS$SYSROOT:[SYS$STARTUP] ,次に SYS$MANAGER を指す検索リスト。
SYS$SYSDEVICE システム・ディレクトリを含むシステム・ディスク。 通常は SYS$DISK
SYS$SYSROOT システム・ディレクトリに対する装置およびディレクトリ名。 まず SYS$SYSDEVICE:[SYSn.](n はプロセッサのルート・ディレクトリ番号),次に SYS$COMMON を指す検索リスト。
SYS$SYSTEM オペレーティング・システムのプログラムとプロシージャの装置およびディレクトリ。 SYS$SYSROOT:[SYSEXE]
SYS$TEST 環境設定テスト・パッケージ(UETP)ファイルの装置およびディレクトリ名。 SYS$SYSROOT:[SYSTEST]
SYS$UPDATE システム更新ファイルの装置およびディレクトリ名。 SYS$SYSROOT:[SYSUPD]

11.9.5 共用論理名テーブルの省略時保護

オペレーティング・システムから提供される共用論理名テーブルは,省略時の保護設定付きで作成されます。それぞれの共用論理名テーブルに対する省略時保護を 表 11-6 に示します。

表 11-6 共用論理名テーブルの省略時保護
テーブルの種類 テーブル名 省略時の保護
ジョブ・テーブル LNM$JOB_xxxxxxxx1 SYSTEM=RWCD, OWNER=RWCD, GROUP=NO ACCESS, WORLD=NO ACCESS
グループ・テーブル LNM$GROUP_gggggg2 SYSTEM=RWCD, OWNER=R, GROUP=R, WORLD=NO ACCESS
システム・テーブル LNM$SYSTEM_TABLE SYSTEM=RWC, OWNER=RWC, GROUP=R, WORLD=R
クラスタ単位システム・テーブル LNM$SYSCLUSTER_TABLE SYSTEM=RWC, OWNER=RWC, GROUP=R, WORLD=R
クラスタ単位親テーブル LNM$CLUSTER_TABLE SYSTEM=RWC, OWNER=RWC, GROUP=R, WORLD=R
ユーザが作成したテーブル ユーザが指定 SYSTEM=RWCD, OWNER=RWCD, GROUP=NO ACCESS, WORLD=NO ACCESS


1文字列 xxxxxxxx は,ジョブ情報ブロックのアドレスである8桁の16進数を表す。
2文字列 gggggg は,プロセスの UIC グループ番号を含む6桁の8進数を表す。

11.9.6 共用論理名管理のための特権とアクセス必要条件

表 11-7 には,それぞれの共用論理名テーブルにおける論理名の作成,削除,読み込み(変換)に必要な特権とアクセス権を示します。特権,アクセス・タイプ,アクセス制御の詳細については,このマニュアルの 第 10 章 を参照してください。

表 11-7 共用論理名の作業に必要な特権またはアクセス・タイプ
論理名が存在するテーブル テーブル名 作業 必要な特権またはアクセス・タイプ
ジョブ・テーブル LNM$JOB_xxxxxxxx1 論理名の作成または削除 論理名を作成する,または削除するテーブルに対して,WRITE(W)アクセス
    論理名の読み込み(変換) 論理名が存在するテーブルに対して,READ(R)アクセス
グループ・テーブル LNM$GROUP_gggggg2 論理名の作成または削除 論理名を作成する,または削除するテーブルに対して,WRITE(W)アクセス,または,GRPNAM 特権
    論理名の読み込み(変換) 論理名が存在するテーブルに対して,READ(R)アクセス
システム・テーブル LNM$SYSTEM_TABLE 論理名の作成または削除 システムの UIC グループ番号(0 からシステム・パラメータ MAXSYSGROUP までの間),または,SYSNAM 特権
    論理名の読み込み(変換) 論理名が存在するテーブルに対して,READ(R)アクセス
クラスタ単位システム・テーブル LNM$SYSCLUSTER_TABLE 論理名の作成または削除 システムの UIC グループ番号(0 からシステム・パラメータ MAXSYSGROUP までの間),または,SYSNAM 特権
    論理名の読み込み(変換) 論理名が存在するテーブルに対して,READ(R)アクセス
クラスタ単位親テーブル LNM$CLUSTER_TABLE 論理名の作成または削除 システムの UIC グループ番号(0 からシステム・パラメータ MAXSYSGROUP までの間)
    論理名の読み込み(変換) 論理名が存在するテーブルに対して,READ(R)アクセス
ユーザ作成テーブル ユーザ指定 論理名の作成または削除 論理名を作成する,または削除するテーブルに対して,WRITE(W)アクセス
    論理名の読み込み(変換) 論理名が存在するテーブルに対して,READ(R)アクセス


1文字列 xxxxxxxx は,ジョブ情報ブロックのアドレスである8桁の16進数を表す。
2文字列 gggggg は,プロセスの UIC グループ番号を含む6桁の8進数を表す。


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