日本語 HP TCP/IP Services for OpenVMS
インストレーション/ コンフィギュレーション・ガイド


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第 2 章
TCP/IP Servicesのインストレーション

本章では,日本語HP TCP/IP Services for OpenVMSソフトウェアを POLYCENTER Software Installationユーティリティを使用して,レイヤード・プロダクトとしてインストールする方法を説明します。ここで説明する方法は,初めてのインストールとアップグレード・インストールの両方にあてはまります。

POLYCENTER Software Installationユーティリティについての詳細は,『 OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

注意

標準版OpenVMS Alpha OSをインストールする際,メニューから標準版TCP/IP Services製品を直接インストールすることができますが,これはインストールしないでください。標準版TCP/IP Servicesをインストールすると,日本語TCP/IP Servicesをインストールする前に削除する必要が生じます。

2.1 インストレーション・プロシージャの起動

第 1 章 で推奨したインストレーション前の準備作業が終了し,リリース・ノートに目を通したら( 第 1.2.2 項 ), TCP/IP Servicesのアップグレードまたはインストール作業に進むことができます。

製品をアップグレードする場合には,既存のコンフィギュレーション・ファイルが保存されるので,このファイルを使って,新しいバージョンのコンフィギュレーションを行うことができます。

TCP/IP ServicesソフトウェアをOpenVMS Alphaシステムにインストールするには,次の手順に従います。

  1. SYSTEMアカウントにログインします。

  2. システムに誰もログインしていないことを確認します。

  3. SYS$STARTUP:SYSTARTUP_VMS.COM ファイルを編集し,
    @SYS$STARTUP:UCX$STARTUPコマンドが定義されているかどうかを確認します。このコマンドが定義されている場合には,システムの起動時に自動的に現在のバージョンの製品が起動するように,このコマンド定義を@SYS$STARTUP:TCPIP$STARTUPに変更します。

  4. 前のバージョンの TCP/IP Services ソフトウェアがシステムにインストールされている場合には,適切なコマンドを入力して,前バージョンの TCP/IP Services ソフトウェアをシャットダウンします。

    ソフトウェアのバージョン 使用するコマンド
    バージョン 4. x @SYS$MANAGER:UCX$SHUTDOWN.COM
    バージョン 5. x @SYS$STARTUP:TCPIP$SHUTDOWN.COM

  5. システムに以前のバージョンの TCP/IP Services がインストールされている場合には,その TCP/IP Services を削除しなければ,インストール時にエラーが発生することがあります。
    削除の手順は,インストールされている TCP/IP Services のバージョンにより異なります。以下に示すそれぞれの手順にしたがって削除してください。


    上記以外の場合は,TCP/IP Services を削除する必要はありません。

  6. インストレーション・プロシージャのログを取るように推奨します。そのシステムでDECnetを使用している場合には,次のコマンドを入力して,システム・アカウントに再度ログインすることにより,インストレーション・プロシージャのログを作成することができます。


    $ SET HOST 0/LOG=file-specification
    


    このコマンドで,file-specificationには,ログの書き込み先となるファイル名を指定します。ログ・ファイルは現在のディレクトリに書き込まれます。

  7. システムに応じたディレクトリ・パスを指定してPRODUCT INSTALLコマンドを入力し,POLYCENTER Software Installationユーティリティを起動します。次に例を示します。


    $ PRODUCT INSTALL TCPIPJA /SOURCE=directory-path
    


    このコマンドで,directory-path は,TCP/IP Servicesキットを含んでいるソース・ドライブのディスクとディレクトリ名です (たとえば,/SOURCE=DKA400:[TCPIPJAAXP054])。
    ソース修飾子を指定しなかった場合, POLYCENTER Software Installationユーティリティは,論理名PCSI$SOURCEで定義された場所を検索します。何も定義されていない場合には,ユーティリティは現在の省略時ディレクトリを検索します。

2.2 インストレーション・プロシージャのステップ・スルー

インストレーション・プロシージャを起動すると,情報を入力するよう要求されます。以前のバージョンのTCP/IP Servicesがインストールされていた OpenVMS Alphaシステム上でのサンプルのインストレーションを 例 2-1 に示します。インストレーション・プロシージャの各部分の後に詳しい説明があります。製品がまだ一度もインストールされていないシステムでのインストレーションの例については, 付録 A を参照してください。

システム上で実際に表示されるインストレーションの出力は,現在のコンフィギュレーションに応じて異なります。

注意

インストレーションを中断する場合は,随時Ctrl/Yを押してください。インストレーション・プロシージャは,その時点までに作成されたファイルをすべて削除してから終了します。

例 2-1 TCP/IP Servicesのインストレーション: POLYCENTER Software Installationユーティリティのプロシージャ(例)

 
   1 - DEC AXPVMS TCPIPJA V5.4-15          Layered Product 
   2 - DEC AXPVMS TCPIPJA V5.1-15          Layered Product 
   3 - DEC AXPVMS TCPIPJA V5.0-11          Layered Product 
   4 - All products listed above 
   5 - Exit 
 
Choose one or more items from the menu separated by commas: 1 [Return] 

表示される最初のメニューには,最新の TCP/IP Services 製品とシステム上にある製品のすべてのバージョンが含まれています。最新のバージョンをインストールします(オプション 1)。


 
The following product has been selected: 
    DEC AXPVMS TCPIPJA V5.4-15             Layered Product 
 
 
Do you want to continue? [YES] [Return] 

インストレーション手順を続けるには,Returnキーを押します。


 
Configuration phase starting ... 
 
You will be asked to choose options, if any, for each selected product and for 
any products that may be installed to satisfy software dependency requirements. 
 
DEC AXPVMS TCPIPJA V5.4-15: HP TCP/IP Services/Japanese for OpenVMS. 
 
    Copyright 1976, 2003 Hewlett-Packard Development Company, L.P. 
 
    Hewlett-Packard Development Company, L.P. 
 
    HP TCP/IP Services/Japanese for OpenVMS offers several license options. 
 
Do you want the defaults for all options? [YES] [Return] 

POLYCENTER Software Installationユーティリティの省略時の設定を選択する場合はYesを,他のオプションを選択する場合はNoを選択します。


 
Do you want to review the options? [NO] [Return]

POLYCENTER Software Installationユーティリティのオプションを調べる場合は,Yesを選択します。この例では,オプションを参照していません。

Yes を選択すると,オプションが表示されて,オプションに満足しているかどうかが質問されます。リストされたオプションを受け入れる場合は,Returnキーを押し,オプションを変更する場合は,Noを選択します。


 
Execution phase starting ... 
 
The following product will be installed to destination: 
    DEC AXPVMS TCPIPJA V5.4-15             DISK$ALPHASYS:[VMS$COMMON.] 
The following product will be removed from destination: 
    DEC AXPVMS TCPIPJA V5.1-15             DISK$ALPHASYS:[VMS$COMMON.] 
 
Portion done: 0%...10%...20%...30%...40%...50%...60%...70%...80%...90% 

次のメッセージは,システムで以前のバージョンの TCP/IP Services がコンフィギュレーションされていた場合に限り表示されます。初めてインストレーションを行う場合には,製品の名前とバージョンを確認する同様のメッセージが表示されます。


 
%PCSI-I-PRCOUTPUT, output from subprocess follows ... 
% TCPIP-W-PCSI_INSTALL 
% - BG device exists. 
%   To use the version of HP TCP/IP Services that was just installed, 
%   system must be rebooted. 
% 
 
Portion done: 100% 
 
The following product has been installed: 
    DEC AXPVMS TCPIPJA V5.4-15             Layered Product 
The following product has been removed: 
    DEC AXPVMS TCPIPJA V5.1-15             Layered Product 
 
DEC AXPVMS TCPIPJA V5.4-15: HP TCP/IP Services/Japanese for OpenVMS. 
 
    Check the release notes for current status of the product. 

2.3 インストレーション後の作業

インストレーションが完了したら,次の作業を行ってください。

  1. オプションとして,次の作業を実行することができます。

  2. システムで前のバージョンのTCP/IP Servicesがコンフィギュレーションされていて,ソフトウェアが以前に起動されたことがある場合は,システムをリブートして,新しい TCP/IP Services ソフトウェアを有効にします。手順 4 に進みます。

    重要

    前のバージョンのファイルは削除しないでください。TCPIP$CONFIGは,これらのファイルの多くを使用して,既存のコンフィギュレーションを新しいコンフィギュレーションに変換します( 第 3 章 で説明)。

  3. インストレーションの前にバージョン5.0 IPv6 EAKを削除した場合,アプリケーションの再コンパイルと再リンクを行ないます。

  4. 第 3 章 に進んで, TCP/IP Servicesのコンフィギュレーションを行います。

注意

以前のバージョンの TCP/IP Services では,TCPIPコマンド環境を確立するために,一旦SYSTEMアカウントからログアウトし,再度SYSTEMアカウントにログインする必要がありました。バージョン5.4の TCP/IP Services からは,再度ログインする必要はなくなりました。

2.4 オンライン・ユーザ・ドキュメント

本バージョンでは以下のユーザ・ドキュメントのオンライン版 (PDF 形式)を提供します。

これらのファイルはSYS$COMMON:[SYSHLP.TCPIPJA]内に格納されます。 PC 等にバイナリー・モードで転送し,参照してください。


第 3 章
TCP/IP Servicesのコンフィギュレーション

日本語HP TCP/IP Services for OpenVMSのインストールが終了したら,メニュー方式のTCPIP$CONFIGコンフィギュレーション・プロシージャを使用して,そのシステムに必要な構成要素と特性を有効にする必要があります。

本章では,TCPIP$CONFIGのメニューについて説明し,サンプル・インストレーションの出力を見せながら,追加で行うコンフィギュレーションと各種設定作業の概要を示します。

3.1 推奨するTCP/IP Servicesのコンフィギュレーション手順

表 3-1 に,TCP/IP Servicesのコンフィギュレーション手順,およびそれらの作業について説明している箇所を示します。

表 3-1 TCP/IP Servicesのコンフィギュレーション
手順 作業 参照箇所
1 TCPIP$CONFIGを実行する前の準備作業としてシステム情報を収集する。 第 1.3 節
2 TCPIP$CONFIGを実行する。 (あるいは,手順3に示すように自動的にTCP/IP Servicesのコンフィギュレーションを行う。) システムで TCP/IP Services V4. x のコンフィギュレーションを行っている場合には,プロンプトに答えることで,既存データベースを変換するか,または新しいデータベースを作成する。 第 3.3 節
3 希望する場合には,DHCP サーバにより自動的に TCP/IP Services ソフトウェアのコンフィギュレーションを行う。 第 3.2 節
4 TCPIP$CONFIGを使用して,TCP/IP Servicesのコア環境,クライアントおよびサーバのコンフィギュレーションを手動で行う。 3.3.4 から 3.3.6
5 必要に応じて,TCPIP$CONFIGを使用して,オプションの構成要素のコンフィギュレーションを行う。 第 3.3.7 項
6 TCP/IP Servicesを起動する。 第 3.5 節
7 コンフィギュレーションを検証する。 第 3.8 節
8 必要に応じて,追加のコンフィギュレーションを実行する。 第 3.9 節

注意

TCP/IP Servicesソフトウェアに対して行なわれたコンフィギュレーションの変更を有効にするには,このソフトウェアを起動するあるいは再起動する必要があります。詳細は 第 3.5 節 を参照してください。

3.2 DHCP クライアントを使用した TCP/IP Services の自動コンフィギュレーション

TCP/IP Services V5.4 では DHCP クライアントをサポートしています。 DHCP クライアントを使用すると,DHCP サーバにより自動的にシステムのコンフィギュレーションを行うことができます。次のいずれかの方法により,これを行うことができます。

3.3 TCPIP$CONFIGの実行

TCPIP$CONFIGコンフィギュレーション・プロシージャは,次の操作を行うメニューを表示します。

最初に,次のコマンドを入力します。


$ @SYS$MANAGER:TCPIP$CONFIG 


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