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漢字端末エミュレータのウィンドウの一部が画面内には入り切らない場合に,サイズ変更操作によってウィンドウの位置を再調整できるようにリソースが定義されています。 [オプション]メニューの[ウィンドウ]ダイアログ・ボックスを使用するか, SET TERMINAL/PAGE=nn または SET TERMINAL/WIDTH=nn コマンドを使用して,漢字端末エミュレータのウィンドウを拡大した場合,コントローラは,新しくサイズ変更された漢字端末エミュレータのウィンドウを全体が画面表示されるように移動します。漢字端末エミュレータのウィンドウを移動させたくない場合には,使用しているDECW$TERMINAL_DEFAULT.DATファイルに次の行を追加します。
DECW$TERMINAL.main.terminal.autoAdjustPosition: off |
画面ホールド・キーの応答時間が遅すぎる場合には,使用しているDECW$TERMINAL_DEFAULT.DAT あるいは DECW$TERMINAL_DEFAULT_JA_JP.DAT ファイルに次の行を追加します。
DECW$TERMINAL.main.terminal.syncFrequency: 1 DECW$TERMINAL.main.terminal.batchScrollCount: 1 |
このリソースの使用によって,漢字端末エミュレータのウィンドウ操作性が影響を受ける場合があります。影響の度合いは各ワークステーションによって異なります。スクロールの速度を犠牲にして画面ホールドの反応時間を向上することができます。画面ホールドの反応速度を速めると,スクロールの速度は遅くなります。省略時には,これらのリソースは,それぞれ10と0に設定されています。
3.5.1.4 デバッガの使用
デバッガからの出力を漢字端末エミュレータ・ウィンドウにリダイレクトするには,次のコマンドを入力します。
$ CREATE/TERMINAL/NOPROCESS/DEFINE=xxx |
このコマンドが生成する漢字端末エミュレータには対応するプロセスはありませんが,端末を指す論理名"xxx"があります。この手法によって,アプリケーションを実行していない別の漢字端末エミュレータに出力をリダイレクトすることが可能となります。出力をリダイレクトするには次のコマンドを入力します。
$ DEFINE /USER DBG$INPUT xxx: $ DEFINE /USER DBG$OUTPUT xxx: $ RUN /DEBUG application.EXE |
仮想端末を使用するプロセスを作成するには,次のコマンドを入力します。
$ CREATE/TERMINAL/NOPROCESS |
続いて新しく作成した DECterm へのフォーカスを設定し, Return キーを押してログインします。 /DEFINE 修飾子は必要でないことに注意してください。
3.5.2 問題点と制限事項
漢字端末エミュレータ・アプリケーションの管理に影響を及ぼす既知の問題点と制限事項について,次に説明します。
3.5.2.1 漢字端末エミュレータ・ウィンドウが縮む問題
V1.2--5
XUIウィンドウ・マネージャの使用時に, [端末の自動サイズ変更]をオンにしているときに,マウスを使用して漢字端末エミュレータ・ウィンドウをサイズ変更すると,漢字端末エミュレータ・ウィンドウが縮んでしまいます。この問題を解決するには,漢字端末エミュレータのリソース・ファイル DECW$TERMINAL_DEFAULT.DAT あるいは DECW$TERMINAL_DEFAULT_JA_JP.DAT ファイルに次の行を追加します。
DECW$TERMINAL.main.terminal.useWMHints: false |
この変更を行うと,ウィンドウ・マネージャが文字数でなくピクセル値で漢字端末エミュレータ・ウィンドウのサイズを表示するようになることに注意してください。また,漢字端末エミュレータ・ウィンドウを最大化すると,正常に元のサイズに戻らない場合があるかもしれませんが,縮んでしまうことはなくなります。
3.6 セッション・マネージャとファイルビュー
この節では,セッション・マネージャとファイルビュー・アプリケーションに関する重要な考慮事項について説明します。
3.6.1 変更および拡張
セッション・マネージャとファイルビュー・アプリケーションの管理に影響を及ぼす変更と拡張について,次に説明します。
3.6.1.1 "System Menu Bar: Pseudo Mouse Not Available" のメッセージの意味
"System Menu Bar: Pseudo Mouse not available"は,セッションを実行したときに DECW$USER_DEFAULTS:DECW$SM.LOGファイルに書き込まれる情報メッセージです。これはエラー・メッセージではありません。このメッセージが書き込まれるのは, OpenVMSセッション・マネージャが非OpenVMSサーバに対してリモートで実行されたときです。 OpenVMSサーバでは疑似マウス・モードが提供され,矢印キーを使用してマウス・カーソルを動かすことができます。
3.6.1.2 省略時に生成される独立プロセス
ファイルビューおよびセッション・マネージャによって生成されるアプリケーションは独立プロセスとなります。
この変更は, SYS$MANAGER:SYLOGIN.COMおよびSYS$LOGIN:LOGIN.COMがアプリケーション起動時に実行されることと密接な関係があります。これらのコマンド・プロシージャで実行される SYS$INPUTから読み取りデータを読み込むコマンドは,ファイルビューあるいはセッション・マネージャでのアプリケーション起動に使用されていました。これがアプリケーションの起動を妨げます。 INQUIRE, READ/PROMPT,SET TERMINAL/INQUIREなどがこのようなコマンドの例です。
SYLOGIN.COM または LOGIN.COM コマンド・プロシージャが大き過ぎる場合,アプリケーションの起動が遅くなります。 SYLOGIN.COMまたはLOGIN.COMで実行される処理の多くは DECwindowsアプリケーションの起動にとって意味がありません。このため,SYLOGIN.COMおよびLOGIN.COMの両ファイルには DECwindowsアプリケーションの起動性能を高めるために調整する必要があります。これを行うにはDECwindowsアプリケーション起動時に, SYLOGIN.COMおよびLOGIN.COMコマンド・プロシージャが最低限のコマンドのみを実行するようにします。実行すべきコマンドとしては, DECW$USER_DEFAULTS がある場合はその再定義,あるいはDECwindowsアプリケーションのコンテキスト内でユーザが参照しているその他の論理名の再定義などがあります。 SYLOGIN.COMとLOGIN.COMのDECwindowsに必要なコマンドの直後に,次の命令を挿入することが可能です。
$ mode = f$mode() $ tt_devname = f$trnlnm("TT") $ session_mgr_login = (mode .eqs. "INTERACTIVE") .and. - (f$locate("WSA",tt_devname) .ne. f$len(tt_devname)) $ session_detached_process = (mode .eqs. "INTERACTIVE") .and. - (f$locate("MBA",tt_devname) .ne. f$len(tt_devname)) $ if session_mgr_login .or. session_detached_process then exit |
上記の各行がSYLOGIN.COMおよびLOGIN.COMファイルに追加されなくても,アプリケーションは引き続き稼動します。
3.6.2 問題点と制限事項
セッション・マネージャ・アプリケーションの管理に影響を及ぼす既知の問題点と制限事項について,次に説明します。
3.6.2.1 DTSESSIONログ記録の問題(New Desktopのみ)
V1.2--5
ディスク容量がなくなるまで, DTSESSIONがログ・ファイルにエラーを記録し続ける場合があります。たとえば, DECW$DISPLAYを不正な値に設定している場合や CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[BIN]DTSCREEN.EXEが正常にインストールされていない場合などに,この問題が発生する可能性があります。
New Desktopのセッション・マネージャ(DTSESSION) がスクリーン・セーバ(DTSCREEN) を起動できない場合,ログ・ファイル device:[user.DT]ERRORLOGにエラーを記録します。 DTSESSIONは,スタイル・マネージャの"ロック画面の切り替え時間"パラメータで指定された間隔でこのエラーを書き込みます。この間隔はユーザによる設定が可能です。
この問題を解決するには, "ロック画面の切り替え時間"パラメータの値を最大値(120分)に設定します。あるいは,この問題が発生した場合に,画面をロックしないでNew Desktopを終了します。
3.7 ウィンドウ・マネージャ
この節では,ウィンドウ・マネージャのシステム管理について説明します。
3.7.1 変更および拡張
DECwindows Motifウィンドウ・マネージャ・アプリケーションの管理に影響を及ぼす変更と拡張について,次に説明します。
3.7.1.1 オーバレイ・サポート
ウィンドウ・マネージャ(MWM)の最新バージョンは,オーバレイをサポートし,一部の3Dグラフィックス・アクセラレータ (ZLX-M1,ZLX-M2,ZLX- L1, ZLX-E2,ZLX-E3,ZLXp-E2,ZLXp-E3)で提供されるメモリの追加プレーンを利用できるように修正されています。ウィンドウ・マネージャは,すべてのウィンドウの境界とバナーをこれらのエクストラ・プレーンに置いて,オーバレイを使用するアプリケーション用のエクスポーズ・イベントの数を減らします。
カラーマップで発生する可能性のある問題を回避するために,オーバレイを使用する既存のアプリケーションに修正を加える必要があるかもしれません。ハードウェアがオーバレイ・プレーン用にサポートするカラーマップは1つだけなので,オーバレイ・カラーマップをウィンドウ・マネージャと共有するようにシステムもセットアップすることを推奨します。
オーバレイがサポートされているかどうかを判断するには,使用している 3D グラフィックス・アクセラレータの関連ドキュメントを参照してください。
オーバレイ・カラーマップをウィンドウ・マネージャと共有するようにアプリケーションを修正するには,サーバ・プロパティ名SERVER_OVERLAY_COLORMAPSを問い合わせします。問い合わせを実行すると,オーバレイ・カラーマップIDとして32ビット値が返ってきます。
オーバレイ・カラーマップをウィンドウ・マネージャと共有するようにシステムをセットアップするには, SYS$COMMON:[VUE$LIBRARY.SYSTEM]VUE$MWM.COMと SYS$COMMON:[SYSMGR]DECW$MWM.COMファイルを編集します。各ファイルで次の行を変更してください。
$ mwm -multiscreen |
次のように-Overlayコマンド・ライン・オプションを追加して,この行を変更します。
$ mwm -multiscreen "-Overlay" |
ユーザ独自のカラーマップを作成してインストールする場合,次の問題が発生する可能性があります。
ウィンドウ・マネージャでオーバレイを使えるようにした場合に,次の制限事項があります。
この章は,プログラマ向けのリリース・ノートです。
4.1 OSF/Motif ツールキットのサポート
V1.2--6
日本語 Compaq DECwindows Motif バージョン 1.2--6 リリースは, CDE Motif 1.0 ツールキット (OSF/Motif リリース 1.2.5) および X11 リリース 5 をベースにしています。
日本語 DECwindows Motif バージョン 1.2--5 は,CDE Motif 1.0 ツールキット (OSF/Motif リリース 1.2.5) および X11 リリース 5 をベースにしています。
日本語 DECwindows Motif バージョン 1.2--4 は,CDE Motif 1.0 ツールキット (OSF/Motif リリース 1.2.5) および X11 リリース 5 をベースにしています。
日本語 DECwindows Motif バージョン 1.2--3 は, OSF/Motif リリース 1.2.3 ツールキットおよび X11 リリース 5 (R5) をベースにしています。
V1.2
日本語 DECwindows Motif バージョン 1.2 は, OSF/Motif リリース 1.2.2 ツールキットおよび MIT X11 リリース 5 (R5) をベースにしています。
V1.1
日本語 DECwindows Motif バージョン 1.1 は, OSF/Motif リリース 1.1.3 ツールキットおよび MIT X11 リリース 4 (R4) をベースにしています。
V1.0
日本語 DECwindows Motif バージョン 1.0 は, OSF/Motif リリース 1.1.1 ツールキットおよび MIT X11 リリース 4 (R4) をベースにしています。
日本語 DECwindows Motif V1.1 アプリケーションは,DECwindows Motif for OpenVMS の現在のバージョンに変更を加えなくても継続して実行することができますが,ドラッグ・ドロップ機能やテア・オフ・メニューなどのV1.2 の機能を利用することができるのは,OSF/Motif リリース 1.2.2 ツールキットに対してビルドされているアプリケーションだけです。
OSF/Motif ツールキットに関する詳細な情報については,
付録 B を参照してください。
4.2 ランタイムおよびプログラミング環境
Compaq DECwindows Motif for OpenVMS では,次のランタイムおよびプログラミング環境を提供します。
リリース 1.1.3 のプログラミング環境の保存についての詳細は,『日本語 Compaq DECwindows Motif for OpenVMS インストレーション・ガイド』を参照してください。
この項では,DECwindows Motif開発環境に関連する変更と拡張について説明します。
4.2.1.1 使用可能な言語バインディング
次のDECwindows構成要素の開発用に, Fortran,Pascal,C,C++ 言語バインディングが用意されています。
4.2.1.2 OpenVMS システムでの変換イメージの実行
V1.2--3
バージョン1.5より前のOpenVMS Alphaシステムでは, OpenVMS Alphaシステムへ移行したユーザ向けに次の問題に対処する変換サポートが用意されていました。
OpenVMS VAX バージョンを現在開発中のプログラミング言語については,ネイティブのAlphaバージョンが OpenVMS Alphaバージョン6.1オペレーティング・システムで提供されています。 VMSバージョン5.5-2のリリース時点で利用可能な言語機能をサポートするため,変換イメージ環境が維持されています。
同様に,システム・サービスとランタイム・ライブラリ・エントリ・ポイントの使用が, VMS バージョン5.5-2オペレーティング・システム上に存在していたイメージに制限されているイメージについて,変換のサポートがあります。
VMSバージョン5.5-2のリリース以降にレイヤード製品をシステムにインストールしている場合,変換をサポートするためイメージを作成し直す必要があるかもしれません。たとえば, DECwindows Motif for OpenVMS VAXソフトウェア同梱のアプリケーションの場合, OSF Motifリリース1.2.3ではなく,OSF Motifリリース1.1.3ライブラリ,またはDECwindows XUIライブラリでイメージを作成しなければなりません。
DECwindows Motif V1.2-6 for OpenVMSリリースには, DECwindows Motif V1.2 for OpenVMS Alphaリリースで提供されているものと同じ変換イメージ・サポート・ファイルが含まれています。
DECwindows Motif V1.2 for OpenVMS Alphaには, OpenVMS Alphaシステム上のDECwindows Motif V1.1 for OpenVMS VAXイメージのサポートが含まれています。
V1.2
日本語 DECwindows Motif バージョン1.2 for OpenVMS Alpha のリリースでは,日本語 DECwindows Motif バージョン1.2 for OpenVMS VAX の変換イメージを日本語 OpenVMS Alpha システム上で実行することはサポートされていません。
OpenVMS Alpha システム上の DECwindows Motif バージョン1.2の共有可能イメージを使用してアプリケーションを実行しようとする場合は,アプリケーションをOpenVMS Alphaシステム上で構築(コンパイルおよびリンク)しなければなりません。アプリケーションをOpenVMS VAX システム上の DECwindows Motif バージョン1.2の共有可能イメージに対して構築して,そのイメージ・ファイルをOpenVMS Alphaシステムに複写し,さらに(DECmigrateを使用して)変換しても,バージョン1.2の変換イメージを得ることはできません。
OpenVMS Alpha システム上にアプリケーションを構築できず, DECmigrateを使用して変換イメージを得なければならない場合は,そのアプリケーションを日本語 OpenVMS VAX DECwindows Motif バージョン1.1 製品で提供されている OSF/Motif リリース 1.1.3 のプログラミング環境に対して構築するようにします (日本語OpenVMS VAX DECwindows Motif バージョン1.2にアップグレードする際には, OSF/Motif リリース 1.1.3のプログラミング環境を保管するオプションがあることに注意してください)。 OSF/Motif リリース 1.1.3のプログラミング環境に対して構築されたVAXイメージは, OpenVMS Alpha システムへ複写および変換して,実行することが可能です。
変換イメージ・サポートは DECwindows Motif のインストレーションの過程で,インストールすることができます。方法については『DECwindows Motif V1.2-4 for OpenVMS Installation Guide』を参照してください。
変換イメージとともに使用される OSF/Motif リリース 1.1.3 の共有可能イメージは,ネイティブ・イメージに使用される共有可能イメージとは異なっており,互換性もありません。このためイメージには次の制約があります。
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