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DECwindows Motif Version 1.2 for OpenVMS では新しいシンボル DECW$UTILS が導入されました。通常 DECW$UTILS は DECW$EXAMPLESのサブディレクトリを指します。 DECW$EXAMPLES グローバル・シンボルを DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMコマンド・プロシージャで定義して, DECwindows プログラム例が入っているディレクトリを変更する場合は, DECW$UTILSを定義して,ユーティリティのディレクトリも必ず変更するようにしてください。
たとえば,DECW$EXAMPLESとDECW$UTILSの両方を再定義するには,下記の各行をSYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMプロシージャに加えます。
$ DECW$EXAMPLES == "SYS$SYSROOT:[DECWEXAMPLES] $ DECW$UTILS == "SYS$SYSROOT:[DECWEXAMPLES.UTILS] |
SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMファイルが存在しない場合は, SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.TEMPLATEファイルから作成してください。 |
ここで,次のコマンドでDECwindowsを再起動します。
$@SYS$MANAGER:DECW$STARTUP RESTART |
ログイン画面をカスタマイズするために,いくつかの新しいリソースが用意されています。ログイン画面をカスタマイズするには, SYS$MANAGERディレクトリ内にリソースを定義した DECW$LOGIN.DATという名前のファイルを作成してください。 SYS$MANAGER:DECW$LOGIN.DAT で定義されたリソースは, SYS$COMMON:[DECW$DEFAULTS.SYSTEM]DECW$LOGIN.DATファイルの弊社定義のリソースにマージされ,新しいログイン画面が作成されます。
DECW$LOGIN.DATリソース・ファイルは, DECW$SYSTEM_DEFAULTSではなく SYS$MANAGERに存在しなければなりません。これによって DECwindows Motif を新バージョンに更新する時に,カスタム・ファイルが重ね書きされないようになり,また,カスタム・ファイルが弊社提供のファイルで置き換えられることもありません。
3.3.1.5.1 Compaq ロゴおよびログイン画面カラーのカスタマイズ
表 3-3 のリソースを定義して, Compaq ロゴの位置と色,そして[セッション起動]画面の背景色を制御することができます。
リソース | 説明 |
---|---|
rootColor | 画面背景の色 |
logoColor | Compaqロゴの色(省略時の設定は赤紫) |
logoX | Compaqロゴのx方向の位置(省略時の設定値は 0) |
logoY | Compaqロゴのy方向の位置(省略時の設定値は 75) |
centerLogoX | ブール; 真(省略時の設定)の場合, Compaqロゴは画面上で左右の中央に表示されます。 |
たとえば,Compaqロゴをx=100,y=600の位置に表示させるには, SYS$MANAGER:DECW$LOGIN.DATファイルに次のリソース定義を追加します。
decw$login.logoX: 100 decw$login.logoY: 600 decw$login.centerLogoX: false |
3.3.1.5.2 [セッション起動]ダイアログ・ボックスおよび[パスワード]ダイアログ・ボックスの位置の変更
表 3-4 のリソースを定義して, [セッション起動]ダイアログ・ボックスおよび[パスワード]ダイアログ・ボックスの位置を変更することができます。
リソース | 説明 |
---|---|
centerStartSessionX | ブール; 真(省略時の設定)の場合, [セッション起動]ダイアログ・ボックスは左右の中央に表示されます。 |
centerStartSessionY | ブール; 真(省略時の設定)の場合, [セッション起動]ダイアログ・ボックスは上下の中央に表示されます。 |
centerSetPasswordX | ブール; 真(省略時の設定)の場合,有効期限が切れたパスワードのための[パスワード]ダイアログ・ボックスは,左右の中央に表示されます。 |
centerSetPasswordY | ブール; 真(省略時の設定)の場合, [パスワード]ダイアログ・ボックスは,上下の中央に表示されます。 |
たとえば, [セッション起動]ダイアログ・ボックスをx=100,y=600の位置に表示させるには, SYS$MANAGER:DECW$LOGIN.DATファイルに次のリソース定義を追加します。
decw$login.centerStartSessionX: false decw$login.centerStartSessionY: false decw$login.HiddenShell.x: 100 decw$login.HiddenShell.y: 600 |
[パスワード]ダイアログ・ボックスをx=30,y=100の位置に表示させるには, SYS$MANAGER:DECW$LOGIN.DATファイルに次のリソース定義を追加します。
decw$login.centerSetPasswordX: false decw$login.centerSetPasswordY: false decw$login.SetPasswordShell.x: 30 decw$login.SetPasswordShell.y: 100 |
3.3.1.5.3 [セッション起動]ダイアログ・ボックスのノード名表示の無効化
[セッション起動]ダイアログ・ボックスにノード名を表示させないようにするには, SYS$MANAGER:DECW$LOGIN.DATファイルに次のリソース定義を追加します。
decw$login.displayNodeName: false |
省略時の設定では, SYSTEM アカウント用の DECwindows Motifライセンスが登録されていない場合, DECwindowsはユーザが作成したログイン・ロゴを表示しません。これは, DECwindows Motif の個人用のライセンスを使用しているシステムで, DECwindows ユーザ・リストに SYSTEM が含まれていない場合に問題となります。
SYSTEMアカウント用の DECwindows Motifのライセンスがない場合は, SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMファイルに次の定義を追加することにより,ユーザが作成したロゴを表示することができます。
$ DECW$LOGINLOGOSUB == "TRUE" |
ファイルが存在しない場合は, SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.TEMPLATE ファイルからコピーしてください。 |
セットアップ・ファイルを編集した後,次のコマンドを使用してDECwindows Motifを再起動してください。
$ @SYS$MANAGER:DECW$STARTUP RESTART |
DECwindows Motif にログインした場合,ロゴ・プロセスは独立プロセスではなくサブプロセスとして起動されます。ライセンス・チェックは,ロゴ・プロセスがログイン・プロセスの子プロセスであることを確認し, X接続がオープンされます。
3.3.2 問題点と制限事項
DECwindows Motif環境のチューニングとカスタマイズに関する既知の問題点と制限事項について,次に説明します。
3.3.2.1 一部のグラフィックス・カードでシステムがハングする問題
V1.2--5
Powerstorm 4d20またはZLXp-E2グラフィックス・カードを装着したシステムで,多数のアプリケーション・ウィンドウを開いたとき,あるいは特定のCDAドキュメントを開いたときに,オペレーティング・システムがハングしたり,極端に動作が遅くなることがあります。システム・ハングがこの問題によるものかどうかを調べるには, [デスクトップ・ツール] の [エラーの監視] を使用してください。システム・ハングの原因がこの問題にある場合は,次のようなメッセージが表示されます。
-> RCV'D (pid nnnnnnnn): RCV'D (pid nnnnnnnn %SYSTEM-F-EXBUFOBJLM, exceeded systemwide buffer object page limit (MAXBOBMEM) -> RCV'D (pid nnnnnnnn): RCV'D (pid nnnnnnnn SYSTEM logged out at dd-mmm-yyyy hh:mm:ss |
現時点では,開いているウィンドウ数を減らす以外にこの問題の解決策はありません (MAXBOBMEMの値を大きくしても問題は解決されません)。この問題が発生した際に,漢字端末エミュレータ・ウィンドウをフリーにして,システム再起動を実行することができる場合もあります。そうでない場合は,ハードウェア的な再ブートを実行する必要があります。
3.3.2.2 特定のキーマップでのパフォーマンスの問題
V1.2--5
Austrian-Germanキーマップ(AUSTRIAN_GERMAN_LK401AG_TW)使用時にパフォーマンスの問題が発生します。他のキーボードあるいは言語の変更の場合であっても,ユーザがキーボード・モディファイア・マップのmod4またはmod5エントリに Mode_switch モディファイアを設定するキーボード・マップ/言語のシーケンスを選択すると発生する可能性があります。この問題は, [キーボード・オプション]ポップアップ・メニューで Mode_switch モディファイアを使用するキーボード・マップをユーザが選択することによって発生します。
キーボード・モディファイア・マップのどこに Mode_switch モディファイアがあるかを調べるには,次のコマンドを使用してください。
$ XMODMAP :== $DECW$UTILS:XMODMAP.EXE $ XMODMAP xmodmap: up to 3 keys per modifier, (keycodes in parentheses): shift Shift_R (0xab), Shift_L (0xae) lock Caps_Lock (0xb0) control Control_L (0xaf) mod1 Alt_L (0xac), Alt_R (0xb2) mod2 Mode_switch (0xb1) mod3 Multi_key (0xad) mod4 Mode_switch (0x7a) mod5 Help (0x7c) |
解決策としては, DECW$UTILS:XMODMAP.EXEユーティリティを使用して,キーボード・マップを選択したあと,モディファイア・マッピングを変更します。
clear shift clear lock clear control clear mod1 clear mod2 clear mod3 clear mod4 clear mod5 add shift = Shift_R Shift_L add lock = Caps_Lock add control = Control_L add mod1 = Alt_R Alt_L add mod2 = Multi_key add mod3 = Mode_switch add mod5 = Help |
$ XMODMAP :== $DECW$UTILS:XMODMAP.EXE $ XMODMAP XMODMAPRC.DAT |
この節では,コンソール・ウィンドウ・アプリケーションについて説明します。
3.4.1 変更および拡張
コンソール・ウィンドウ・アプリケーションに対して行われた変更および拡張について,次に説明します。
3.4.1.1 コンソール・メッセージの表示
DECwindows Motif V1.2-3 for OpenVMSでは,コンソール・ウィンドウ・アプリケーションにコンソール・メッセージを表示する機能が用意されました。旧バージョンのDECwindows Motifでは,省略時の設定でコンソール・ウィンドウが表示されていました。
メッセージをどのように表示するかを指定するには,スタートアップ設定ファイルのSYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMでグローバル・シンボルDECW$CONSOLE_SELECTIONを定義します。 WINDOW, DISABLE, ENABLE のいずれかの値を入力してください。
DECW$CONSOLE_GEOMETRY
このシンボルは,コマンド・ラインでコンソール・ウィンドウ・アプリケーションを起動するDECW$MESSAGEPANEL.EXEコマンドの-geometryオプションの値を指定します。デフォルト値は"-0-0"で,ウィンドウの位置は画面右下隅です。
たとえば,画面の左下隅にウィンドウの位置を変更するには,コマンド・ファイルSYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMに次の行を追加します。
$ DECW$CONSOLE_GEOMETRY == "+0-0"
これまでのリリースのDECwindows MotifではENABLEが省略時の設定でしたが, DECwindows Motif V1.2-3 for OpenVMS以降のバージョンでは,できるだけこのオプションを使わないようにしてください。コンソール・ウィンドウに省略時の設定でコンソール・メッセージを表示すると,ワークステーション画面の内容が乱れる可能性があります。 |
SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMファイルでグローバル・シンボルを定義する方法についての詳細は,『日本語 DECwindows Motif for OpenVMS 環境設定の手引き』を参照してください。
3.5 漢字端末エミュレータ
この節では,漢字端末エミュレータのシステム管理上の問題について説明します。
3.5.1 変更および拡張
漢字端末エミュレータ・アプリケーションの管理に影響を及ぼす変更および拡張について,次に説明します。
3.5.1.1 漢字端末エミュレータの論理名のサポート
表 3-5 には,漢字端末エミュレータがサポートする論理名が記載されています。これらの論理名は,コントローラが参照できるように,使用する LOGIN.COM ファイルで定義しておかなければなりません。
論理名 | 説明 |
---|---|
DECTERM_DIAG | 診断メッセージを可能にします。 |
DECTERM_SHOW_PARSING | 構文解析どおりに文字を表示します。 |
DECTERM_CHECK_MEMORY | 厳密なメモリ・チェックを可能にします。 |
FAKE_VM_REAL_FREE_OFF | DECTERM_CHECK_MEMORY が定義された場合は,1 に設定しなければなりません。 |
DECW$DECTERM_ERROR | エラー・ログ・ファイル名。省略時はDECTERM_ERROR.LOG。 |
DECW$DECTERM_OUTPUT | 診断出力ファイル名。省略時は SYS$OUTPUT。 |
DECW$DECTERM_REGIS_CURSOR | ReGIS に使用するカーソルを指定します。 |
DECW$TERMINAL_NODENAME | コントローラが別の名前を見つけられないときに使用するノード名。 |
DECW$DECTERM_CTRL_SSRWAIT | コントローラ用に SSRWAIT フラグを設定します。 |
DECW$DECTERM_CTRL_PSWAPM | コントローラ用に PSWAPM クォータを設定します。 |
DECW$DECTERM_CTRL_WSEXTENT | コントローラ用に WSEXTENT クォータを設定します。 |
DECW$DECTERM_CTRL_WSQUOTA | コントローラ用に WSQUOTA クォータを設定します。 |
DECW$DECTERM_DISABLE_QUOTA_CHECKING | クォータ・チェックをオフにします。 |
DECW$DECTERM_MEM_DIAG | コントローラのクォータ計算を表示します。 |
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