本書は,日本語エディタ等のプログラムが使用する漢字フォントをサポートするユーティリティ群である,フォント管理ユーティリティについて説明します。
| 改訂/更新情報: | 日本語 OpenVMS V7.2 『フォント管理ユーティリティ 利用者の手引き』の改訂版です。 |
| ソフトウェア・バージョン: | 日本語 Compaq OpenVMS Alpha V 7.3 |
| 日本語 Compaq OpenVMS VAX V 7.3 |
(C) 2001 Compaq Computer Corporation
本書の著作権はコンパックコンピュータ株式会社が保有しており,本書中の解説および図,表はコンパックの文書による許可なしに,その全体または一部を,いかなる場合にも再版あるいは複製することを禁じます。
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以下は,米国 Compaq Computer Corporation の商標です。
COMPAQ,VAX,VMS および Compaq ロゴ。
以下は,他社の商標です。
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BITSTREAM は米国 Bitstream 社の商標です。
COMPAQ は米国COMPAQ Computer 社の商標です。
Microsoft,MS および MS--DOS は米国 Microsoft 社の商標です。
Motif,OSF,OSF/1,OSF/Motif および Open Software Foundation は米国 Open Software Foundation 社の商標です。
その他のすべての商標および登録商標は,それぞれの所有者が保有しています。
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本書は,フォント管理ユーティリティの機能およびその使用方法について説明します。
本書は,システム管理者を含むすべての日本語 Compaq OpenVMS オペレーティング・システム利用者を対象としています。
本書は,6 つの章から構成されています。
| 第 1 章 | フォント・システムの概要について説明します。 |
| 第 2 章 | 日本語ターミナル・ドライバとフォント・ハンドラの機能について説明します。 |
| 第 3 章 | 漢字プリント・シンビオントと標準プリント・シンビオントの違いについて説明します。 |
| 第 4 章 | Character Manager (CMGR)ユーティリティについて説明します。 |
| 第 5 章 | KANJIGENユーティリティの使用方法について説明します。 |
| 第 6 章 | フォント管理ユーティリティのシステム・メッセージについて説明します。 |
製品名について
本書では,「日本語 Compaq OpenVMS Alpha 」は「日本語 Compaq OpenVMS Alpha オペレーティング・システム」を,「日本語 Compaq OpenVMS VAX 」は「日本語 Compaq OpenVMS VAX オペレーティング・システム」を指します。また特に明記しない限り,「日本語 Compaq OpenVMS 」は,「日本語 Compaq OpenVMS Alpha オペレーティング・システム」および「日本語 Compaq OpenVMS VAX オペレーティング・システム」の両方を指します。
また,本書では次の表記法も使用しています。
| 表記法 | 意味 |
|---|---|
| Ctrl/x | Ctrl/x という表記は, Ctrl キーを押しながら別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。 |
| PF1 x | PF1 x という表記は,PF1 に定義されたキーを押してから,別のキーまたはポインティング・デバイス・ボタンを押すことを示します。 |
| [Return] | 例の中で,キー名が四角で囲まれている場合には,キーボード上でそのキーを押すことを示します。テキストの中では,キー名は四角で囲まれていません。
HTML 形式のドキュメントでは,キー名は四角ではなく,括弧で囲まれています。 |
| ... | 例の中の水平方向の反復記号は,次のいずれかを示します。
|
| .
. . |
垂直方向の反復記号は,コードの例やコマンド形式の中の項目が省略されていることを示します。このように項目が省略されるのは,その項目が説明している内容にとって重要ではないからです。 |
| ( ) | コマンドの形式の説明において,括弧は,複数のオプションを選択した場合に,選択したオプションを括弧で囲まなければならないことを示しています。 |
| [ ] | コマンドの形式の説明において,大括弧で囲まれた要素は任意のオプションです。オプションをすべて選択しても,いずれか1つを選択しても,あるいは1つも選択しなくても構いません。ただし,OpenVMS ファイル指定のディレクトリ名の構文や,割り当て文の部分文字列指定の構文の中では,大括弧に囲まれた要素は省略できません。 |
| [|] | コマンド形式の説明では,括弧内の要素を分けている垂直棒線はオプションを 1 つまたは複数選択するか,または何も選択しないことを意味します。 |
| { } | コマンドの形式の説明において,中括弧で囲まれた要素は必須オプションです。いずれか1のオプションを指定しなければなりません。 |
| 太字 | 太字のテキストは,新しい用語,引数,属性,条件を示しています。 |
| italic text | イタリック体のテキストは,重要な情報を示します。また,システム・メッセージ (たとえば内部エラー number),コマンド・ライン(たとえば /PRODUCER= name),コマンド・パラメータ(たとえば device-name) などの変数を示す場合にも使用されます。 |
| UPPERCASE TEXT | 英大文字のテキストは,コマンド,ルーチン名,ファイル名,ファイル保護コード名,システム特権の短縮形を示します。 |
| Monospace type | モノスペース・タイプの文字は,コード例および会話型の画面表示を示します。
C プログラミング言語では,テキスト中のモノスペース・タイプの文字は,キーワード,別々にコンパイルされた外部関数およびファイルの名前,構文の要約,または例に示される変数または識別子への参照などを示します。 |
| - | コマンド形式の記述の最後,コマンド・ライン,コード・ラインにおいて,ハイフンは,要求に対する引数がその後の行に続くことを示します。 |
| 数字 | 特に明記しない限り,本文中の数字はすべて10 進数です。 10 進数以外 (2 進数,8 進数,16 進数) は,その旨を明記してあります。 |
ユーザ定義文字の文字パターンが登録されているデータ・ファイルの総称です。システム・フォント・データベースに登録されている文字パターンは,システム全体で使用されます。
ディスプレイ・ターミナルおよびプリンタに搭載されているメモリ・チップです。
フォントROMは一部の文字コードの文字パターンを格納しており,これらの文字パターンは,ディスプレイ/プリンタのスイッチを切断した場合でも削除されません。
フォントRAMは,ロード可能シーケンスをロードすることにより,ユーザ定義文字の文字パターンを格納することができるメモリです。
作成した文字のビットマップ・パターンを格納したユーザのデータ・ファイル,およびパターンのロード可能シーケンスを格納したファイルを,それぞれ示します。プリロード・ファイルに対してTYPE/PRINT DCLコマンドを使用すれば,ディスプレイ・ターミナル/プリンタのフォントRAMに文字パターンをロードし,格納することができます。
この章では,日本語 Compaq OpenVMS のフォント・システムとして使用されているフォント管理ユーティリティについて説明します。
1.1 フォント管理ユーティリティ概要
フォント管理ユーティリティとは,日本語エディタ (DEC XTPU など)のようなプログラムが使用する漢字フォントをサポートするユーティリティ群です。
漢字ターミナルの属性を設定する ( 第 5 章 を参照)
システム・フォント・データベースの管理およびプリローディング用ファイルの作成 ( 第 4 章 を参照)
日本語 Compaq OpenVMS のフォント・システムは,このフォント管理ユーティリティの他にユーザから直接には見えないところで動く日本語ターミナル・ドライバ,フォント・ハンドラおよび漢字プリント・シンビオントも,漢字ターミナルに漢字を出力する際に使用しています。
文字パターン出力の判定と文字パターンの出力 ( 第 2 章 を参照))
プリンタにユーザ定義文字を出力する ( 第 3 章 を参照)
1.2 フォント管理ユーティリティの機能
フォント管理ユーティリティの機能の概略を以下に記します。
KANJIGEN ユーティリティを使用して,漢字ターミナルの属性を設定します。 DCL コマンドの SET TERMINAL に相当する機能です。
JIS X 0208第1水準,第2水準相当の漢字フォントは,漢字ターミナルのフォント ROM またはシステムのフォント・データベースに準備されています。これ以外の文字パターンが必要な場合は,CMGR ユーティリティを使用することによってユーザ独自にフォントをデザインして使用することができます。
作成した文字パターンは,システムのフォント・データベースに登録して全ユーザが共通に使用することも,各ユーザが個別に独自の文字パターンとして使うこともできます。
漢字ターミナルやプリンタで,その装置のフォントROMにない漢字を使用する場合,文字パターンをあらかじめフォントRAM 上に保存して使用することができます。
この機能を使用するには,ロード可能形式で文字パターンを持つプリロード・ファイルと呼ばれるファイルを, DCL コマンドのTYPE で漢字ターミナルに出力するか,または DCL コマンドのPRINT でプリンタに出力してください。
CMGR ユーティリティを使用して,システム・フォント・データベース上に作成したユーザ定義文字を登録したり,または削除することができます。
漢字ターミナルやプリンタで,その装置のフォントROMにない漢字を使用する場合,オンデマンド・ローディングの機能を使用して,自動的に文字パターンを漢字ターミナルに送ることができます。
オンデマンド・ローディング機能を有効にした場合,日本語ターミナル・ドライバは,必要に応じてフォント・ハンドラと呼ばれるプロセスを呼び出して,システム・フォント・データベース内の文字パターンを漢字ターミナルに送ります。
この機能はユーザからは見えないところで行われますので,ユーザは JIS X 0208 第2水準漢字,ユーザ定義文字などを自由に使うことができます。
漢字プリント・シンビオントを使用すると,プリンタにユーザ定義文字を出力することができます。
システム全体で使用される文字パターンを格納するためのファイルで,以下の漢字を管理します。
JIS X0208 漢字文字セット1 〜 47 区については漢字ターミナル側で管理します。フォント・データベース内にこの情報はありません( 図 1-1 参照)。
図 1-1 フォント・データベース
1.4 日本語 Compaq OpenVMS オペレーティング・システムのユーザ定義文字
日本語 Compaq OpenVMS では,DEC 漢字コードセットおよび Super DEC 漢字コードセットの2つがサポートされます。
これらの漢字コードセットでは,一部の文字コードについてはユーザが文字パターンを作成し,定義することができます。 (ユーザ定義文字の作成や管理には, Character Manager (CMGR) ユーティリティを使用します。) これらの文字をユーザ定義文字(UDC)と呼びます。ユーザはユーザ定義文字を使用することにより,
日本語 Compaq OpenVMS の標準文字セットではサポートされない一部の漢字文字を使用することができます。漢字コードセットの詳細は,『日本語 Compaq OpenVMS 概説書』を参照してください。
1.5 環境
1.5.1 ハードウェア
弊社製の漢字ターミナルおよびプリンタのほとんどすべては,文字パターンのロード可能シーケンスを取り扱うことができ,ユーザ定義文字を表示または印字できます。
Character Manager (CMGR) ユーティリティを使用する場合,ユーザが文字パターンを編集する漢字ターミナルは,動的再定義可能文字セット (DRCS)をサポートしていなければなりません。 DRCSについての詳しい説明は,『 VT382 Programmer Reference Manual 』を参照してください。
表 1-1 は,漢字フォント・システムのサポートの度合によって分類した漢字ターミナルとプリンタを示しています。
| ユーザ定義文字の表示/印刷 | ||||
|---|---|---|---|---|
| デバイス | フォント・ エディタ |
プリローディング | オンデマンド・ ローディング |
漢字プリント・ シンビオント |
| 漢字ターミナル | ||||
| VT282ビデオ・ターミナル | Yes | Yes | Yes | N/A |
| VT284グラフィック・ターミナル | Yes | Yes | Yes | N/A |
| VT286カラー・グラフィック・
ターミナル |
Yes | Yes | Yes | N/A |
| VT382ビデオ・ターミナル | Yes | Yes | Yes | N/A |
| 漢字プリンタ | ||||
| LA86グラフィック・プリンタ | N/A | Yes | No | Yes |
| LA88グラフィック・プリンタ | N/A | Yes | No | Yes |
| LA90グラフィック・プリンタ | N/A | Yes | No | Yes |
| LA280ライン・プリンタ | N/A | Yes | No | Yes |
| LA380ライン・プリンタ | N/A | Yes | No | Yes |
| LN03レーザ・プリンタ | N/A | Yes | No | No |
| DEClaser 2300レーザ・プリンタ | N/A | Yes | No | No |
複数のシステム・ディスクを持つ Compaq OpenVMS システムで構成されている OpenVMS Cluster 環境では,各 OpenVMS Cluster ノードは独自のシステム・フォント・データベースを持っています。したがって,1つのシステム・フォント・データベースを操作しても,他のシステム・フォント・データベースに影響を与えません。
このような不均質な OpenVMS Cluster環境でシステム・フォント・データベース間の互換性を維持するのは,そのOpenVMS Clusterシステムのシステム管理者の責任となります。
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