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1 はじめに

OpenVMS Alphaオペレーティング・システムV7.0以降は, 64ビット仮想メモリ・アドレッシングを提供します。これによりOpenVMS Alphaオペレーティング・システムおよびアプリケーション・プログラマは, Alphaアーキテクチャによって定義される 64ビット仮想アドレス空間を使用することができます。OpenVMS Alpha V7.2は V7.1のVery Large Memory (VLM)を発展させ,拡張的な追加メモリ管理 VLM機能を提供します。

本章では,OpenVMS Alphaの64ビット機能および VLM機能の特徴と長所について説明します。本書のこれ以降の章では, これらの機能を使用することによって, アプリケーション・プログラムを拡張して64ビット・アドレスをサポートし, 大量の物理メモリを効果的に利用する方法について説明します。

1.1 64ビット・アドレッシングの使用

(デバッガ,ランタイム・ライブラリ・ルーチン,DEC Cを含め)多くの OpenVMS Alphaツールおよび言語は, 64ビット仮想アドレッシングをサポートします。 入出力操作は,RMSサービス,$QIOシステム・サービス,およびOpenVMS Alphaシステムが提供する多くのデバイス・ドライバを使用して, 64ビットアドレス指定が可能な空間との間で直接行われます。

この基になっているのが新しいシステム・サービスで,これによりアプリケーションは, プロセスがプライベートに使用できる 64ビット仮想アドレス空間を割り当て,管理することができます。

64ビット・アドレッシングをサポートする OpenVMS Alphaツールおよび言語を使用することによって,プログラマは, 32ビット仮想アドレスの制限を越えてデータをマップおよびアクセスするイメージを作成することができます。 64ビット仮想アドレス空間の設計では, 64ビット・アドレスをさまざまな方法で使用できる柔軟性に富む構成が提供され, 新たに生じる問題に対処できる一方で,OpenVMS Alpha V7.0以前のバージョンで稼働するプログラムの上位互換性が確保されます。

非特権プログラムであっても, 変更を加えることによって64ビット・アドレッシング機能を利用できるようになります。 なお,OpenVMS Alpha 64ビット仮想アドレッシングは, 64ビット・サポートを適用するように明示的に変更されていない非特権プログラムには, 影響を与えません。既存の 32ビット非特権プログラムのバイナリおよびソース・レベルでの互換性は保障されています。

64ビット・アドレッシングの機能を使用することによって, アプリケーション・プログラムは大量のデータをメモリにマップし, 高い性能を実現した上で,Very Large Memory(VLM)システムを利用することができます。 さらに,より大きなユーザ・プロセスに加えて, 実質的に無制限のスケーラビリティでより多数のユーザおよびクライアント/サーバ・プロセスが使用できるため, システムのリソースをより効率的に使用できます。

1.2 VLM機能の使用

OpenVMS Alpha V7.2のメモリ管理VLM機能は,データベース,データ・ウェアハウス, およびその他の大規模データベース(VLDB)製品に対して拡張的なサポートを提供します。 データベース製品およびデータ・ウェアハウス・アプリケーションは, 新しいVLM機能を使用することにより,容量および性能が向上します。

拡張的なVLM機能を使用すると,アプリケーション・プログラムは, プロセス制限値を増加せずに, 大きなメモリ内グローバル・データ・キャッシュを作成することができます。 この大きなメモリ常駐グローバル・セクションは共用グローバル・ページでマップできるため, 大量のメモリをマップするために必要なシステム・オーバヘッドを大幅に削減できます。

このVLM機能の利用についての詳細は, 第4章を参照してください。


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