OpenVMS
ユーザーズ・マニュアル


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4.1.7 完全なノード名の指定

OpenVMS システムでは,完全なノード名を指定できます。しかし,完全なノード名を認識するためには, DECnet--Plusソフトウェアがインストールされていなければなりません。

完全なノード名の長さは最大255文字であり,次の文字を除き,他の文字はすべて使用できます。

完全なノード名が引用符(" ")で囲まれている場合には,単独で使用する引用符を除き,他のすべての文字を使用できます。ノード名の内部で引用符を使用するときは,2つの連続する引用符を指定し,引用符も含めて文字列全体を引用符で囲まなければなりません。

OpenVMSソフトウェアでは,ノード名の構文に関していくつかの規則を設定していますが,実際の正しいノード名は,システムで実行されているDECnetソフトウェアによって制限されます。完全なノード名についての詳しい説明は,DECnet--Plusに関するマニュアルを参照してください。 (有効な文字コードを含め)構文規則についての詳細は,『DECnet--Plus DECdns Management Guide』を参照してください。

次の例では,ノード名の内部で引用符を使用しているため,文字列全体が引用符に囲まれています。


"MARY:.UNIVERSITY.""SCIENCE LAB""" 

次の例は正しい完全なノード名を示しています。

MYNODE
MASSACHUSETTS:.BUSINESS.YOURNODE
A.B;C

4.1.8 リモート・ノードのファイルのアクセス

リモート・ノードのファイルにアクセスすると, DECnet はリモート・ノードでログインします。このためには,そのノードについてのログイン情報が必要になります。ノードについてのログイン情報は,アクセス制御文字列で指定できます。アクセス制御文字列を省略した場合には,リモート・ノードに送られるログイン情報は次のようにして判別されます。

アクセス制御文字列を指定すると,システムはその文字列を使用してリモート・ノードにログインします。ファイル指定の残りの部分は,リモート・ノードに渡されてから,そこで解釈されます。

ファイル指定の一部としてローカル・ノードを指定すると,ローカル・ノードにファイルが存在していても,システムはネットワークを介してログインしてファイル操作を行います。リモート・システムへのアクセス方法については,『Compaq OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

注意

これ以降,この章のノード名を指定する例には,必ずしもアクセス制御文字列は入っていません。これは,代理アカウントを使用すれば,ユーザはリモート・システムで操作を実行できるからです。

4.1.9 ネットワーク・ファイル指定の使用方法

ネットワーク・ファイル指定には,次の 3 つの形式があります。

どの形式でも,ノード指定にアクセス制御文字列を入れることができます。詳細は,『DECnet for OpenVMS Networking Manual』を参照してください。

4.1.9.1 従来のファイル指定

ファイルの一般的な形式を以下に示します。


ノード::デバイス:[ディレクトリ]ファイル名.タイプ;バージョン 

4.1.9.2 フォーリン・ファイル指定

フォーリン・ファイル指定 とは, OpenVMS 構文に従わないファイルのことである。たとえば,次のようなものがある。


ノード::"フォーリン・ファイル指定文字列" 

この例のファイル名には,疑問符 (?) という有効なファイル名文字として認識されない文字が含まれているため,ファイル名は引用符 (" ") で囲まなくてはなりません。また,アクセス中のリモート・ノードのオペレーティング・システムが認識する形式になっていなければなりません。


$ COPY BOSTON::"TEST?.DAT" *

4.1.9.3 タスク指定文字列

タスク指定文字列は,リモート・ノードで実行されるプログラムを識別します。プログラムの内部でタスク指定文字列を使用すれば,プログラムはリモート・ノードの他のプログラムと通信できます。タスク指定文字列の形式は次のとおりです。


ノード::"タスク指定文字列" 

この例のタスク指定は,リモート・ノード BOSTON のプログラムTEST2 を表しています。


BOSTON::"TASK=TEST2"

注意

ファイルを ULTRIX システムにコピーしたり,ファイルを ULTRIX システムからコピーしたりする場合には制限事項があります。詳細は,『OpenVMS Record Management Utilities Reference Manual』を参照してください。

4.1.10 アクセス制御文字列の指定方法

アクセス制御文字列は,リモート・ノード上でログインできるアカウントを指定します。アクセス制御文字列を持つノード名は,次のような形式になります。


ノード"アクセス制御文字列":: 

アクセス制御文字列は引用符 ("") で囲み,その後にダブルコロン (::) を付けます。

OpenVMS システムの場合,アクセス制御文字列は,ユーザ名と,それに続く 1 つ以上のスペースまたはタブとパスワードから構成されます。 ACLについての詳しい説明は, 第 19 章 を参照してください。

次の例では,BOSTON はネットワーク・ノード名です。 "HIGGINS ETUHCARAP" はアクセス制御文字列です。


$ DIR BOSTON"HIGGINS ETUHCARAP"::WEASEL2:[BORIS]ACCOUNTS.DAT

4.2 ファイル名でのワイルドカードの使用方法

1 つの DCL コマンドを,一度に 1 つのファイルではなく,複数のファイルに適用する場合には,ワイルドカード文字を使用します。入力されたファイル指定の一部に一致するファイルであれば,コマンドが適用されます。

本章で示す例の多くは,ファイル操作でのワイルドカード文字の使い方を示しています。 DCL コマンドでのワイルドカード文字の使い方は,コマンドによって異なります。

多くの DCL コマンドでは,ディレクトリ名,ファイル名,またはファイル・タイプを指定する場合,ワイルドカードとしてアスタリスク (*) またはパーセント記号 (%) を使用できます (ディレクトリに対して使用できるワイルドカードについての説明は, 第 5.5 節 を参照してください)。バージョン番号を指定する場合,アスタリスクは使用できますが,パーセント記号は使用できません。

Extended File Specifications を使用するシステムで作業をしている場合,別のワイルドカード・オプションについては,『OpenVMS Extended File Specifications の手引き』を参照してください。

4.2.1 アスタリスク (*)・ワイルドカード文字

アスタリスク(*) ・ワイルドカード文字を使用する場合には,次の条件を満たしてください。

アスタリスク(*)・ワイルドカード文字は次の場合に使用できます。


  1. 次の例では,ファイル指定は,[FROGMAN] ディレクトリの中のすべてのファイルのすべてのバージョンを選択します。


    $ PRINT [FROGMAN]*.*;*
    

  2. 次の例では,現在の省略時のディレクトリの中で,ファイル・タイプ .DAT を持つファイルだけが表示されます。


    $ TYPE *.DAT;*
    

  3. 次の例は,[FROGMAN] から 1 レベル下のサブディレクトリの中で,ファイル・タイプ .DAT を持つすべてのファイルを選択します。


    $ DIRECTORY [FROGMAN.*]*.DAT
    

  4. 次の例では,ワイルドカード文字をディレクトリ指定に使用しています。


    $ TYPE [*.*.*]AVERAGE.*;*
    


    このファイル指定は,現在の省略時のディスク上の 2 番目のレベルのサブディレクトリの中で,任意のファイル・タイプの AVERAGE というファイル名のすべてのファイルの全バージョンを選択します。たとえば,このファイル指定では,[A.B.C]AVERAGE.DAT は選択しますが, [X.Y]AVERAGE.DAT は選択しません。

4.2.2 パーセント記号 (%) ワイルドカード文字

パーセント記号 (%) ワイルドカード文字は,ファイル指定の中の任意の 1 文字の代わりとして使用します。パーセント記号は,ディレクトリ,ファイル名,ファイル・タイプの各フィールドで使用できます。ただし,バージョン番号フィールドや ANSI 磁気テープ・ファイル指定では使用できません。パーセント記号は,1 つのフィールドの中の 1 文字と置き換えられるので,置き換える対象となる文字が必要だからです。

パーセント記号はいくつでも指定でき,他のワイルドカード文字と組み合わせることもできます。

次の例は,DISTRICT の後に 1 文字が続くファイル名で,ファイル・タイプが .DAT であるファイルの最新バージョンを表示します。


$ TYPE [JONES.TAXES.PROPERTY]DISTRICT%.DAT

この例で表示されるのは,ファイル DISTRICT1.DAT,DISTRICT2.DAT, DISTRICT3.DAT などです。ファイル DISTRICT4_5.DAT は,DISTRICT の後に 2 文字以上続いているので表示されません。また,ファイル DISTRICT.DAT も表示されません。

たとえば,次のような指定も可能です。


$ [MA*]INS%%%A*.J*;*

4.3 その他のファイル名

これ以降の節では,OpenVMS 環境でサポートされるファイル名の他のタイプについて説明します。

4.3.1 空のファイル名とファイル・タイプ

ファイル名とファイル・タイプのフィールドは,空にできます。たとえば,次のようなファイル指定も可能です。

.TMP (ファイル名は空値)
TEMP. (ファイル・タイプは空値)

DCL コマンドの中でファイルを指定する場合には,コマンドが省略時のファイル・タイプを使用しているときに,ファイル名の後のピリオドが付いているかどうか注意してください。

たとえば,FORTRAN コマンドは,省略時には .FOR というファイル・タイプを使用します。次のコマンドは,それぞれ別の結果になります。


$ FORTRAN TEMP 
$ FORTRAN TEMP. 

最初の例では,ファイル・タイプが省略されているので, FORTRAN コンパイラは TEMP.FOR という名前のファイルを探します。 2 番目の例では,ファイル名の後のピリオドが空のファイル・タイプであることを示しているので,コンパイラは TEMP. という名前のフアイルを探します。

4.3.2 磁気テープの代替ファイル名の使用方法

標準ファイル名に加えて,オペレーティング・システムはANSI ラベルの磁気テープの代替ファイル命名規則もサポートします。次の形式をとります。


"ファイル名".;バージョン 

ファイル名には,ASCII "a" 文字セットの 1 〜17 文字を指定できます。この文字セットには,数字,英大文字,スペースに加えて,次の文字も含まれます。


! " % ' ( ) * + , - . / : ; < => ? & _ 

また,ANSI ファイル名では,ワイルドカード(*)も使用できます。

4.4 ファイルの作成と変更

これ以降の節では,OpenVMS 環境でサポートされるツールやコマンドを使用して,ファイルを作成および変更する方法を説明します。

テキスト・ファイルを作成したり変更したりするための機能を最も豊富に備えた会話型ツールは,会話型エディタです。 OpenVMS に標準装備されているテキスト・エディタは,EVE と EDT ですが,これ以外のエディタも使用できます。

また,DCL のコマンド CREATE,COPY,RENAME を使用しても,ファイルを作成したり変更したりできます。この節では,これらのコマンドを使用して,ファイルを作成したり変更したりする方法について説明します。

Extended File Specifications を使用する環境で作業を行っている場合,その環境におけるファイルの作成,コピーについての詳しい情報については,『OpenVMS Extended File Specifications の手引き』を参照してください。

4.4.1 ファイルの作成

CREATE コマンドはテキスト・ファイルを作成します。 CREATE コマンドでファイルを変更することはできません。また,Return を押した後は,前の行に戻って変更することもできません。 CREATE コマンドで作成したファイルを変更するには, EDT や EVE などのテキスト・エディタを使用します。 Ctrl/Z はファイルの終端を知らせるもので,これを押すと,DCL コマンド・レベルに戻ります。

次の例では,CREATE コマンドを入力し,テキスト行を入力することにより, POUND.LIS という名前のファイルを作成します。


$ CREATE POUND.LIS
Tag #23, Elmer Doolittle, notified 
Tag #37, James Watson, notified 
No tag, light brown, 30 lbs., looks part beagle 
[Ctrl/Z]

4.4.2 ファイルのコピー

COPY コマンドを使用すると,次のものを複製 (コピー) できます。


4.4.3 ファイルの連結

COPY コマンドで,ファイルを連結することができます。たとえば,省略時のディレクトリで FEES1.DAT を FEES.DAT に追加する (FEES.DAT の新しいバージョンを作成する) 場合には,次のように入力します。


$ COPY FEES.DAT,FEES1.DAT FEES.DAT

FEES.DAT の後のコンマとファイル名 FEES1.DAT の間に,スペースは必要ありません。


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