OpenVMS
ユーザーズ・マニュアル


前へ 次へ 目次 索引


3.11.4 カーソル位置を制御するキー

以下のキーはカーソル位置を制御します。

3.11.5 画面表示を制御するキー

以下のキーは,画面表示を制御します。


第 4 章
ファイル:情報の格納

本章では,ファイルを作成したり,処理する方法について,ローカルで作業する場合と, DECnet for OpenVMS ネットワークを介して作業する場合について説明します。特に,次のことについて説明します。

詳細は,以下のマニュアルを参照してください。

4.1 ファイル名とファイル指定

ファイルとは,人間と機械の双方が扱えるデータを格納するために, OpenVMS オペレーティング・システムが使用する単位のことです。ファイルに名前を付ける場合には,システムがそのファイルの格納場所や内容を特定できるような情報を指定しなければなりません。完全なファイル指定 ( 第 4.1.1 項 を参照) を指定する必要はありませんが,システムとユーザの両方が識別できるようなファイル名あるいはファイル・タイプを指定しなければなりません。たとえば,PAYROLL_MEMO.TXT のようなファイル指定です。ここで,PAYROLL_MEMO はファイル名を,.TXT はファイル・タイプを表します。

注意

Extended File Specifications を使用する環境での作業の場合,使用可能な拡張ファイル名と拡張文字セットの情報については,『OpenVMS Extended File Specifications の手引き』を参照してください。

4.1.1 完全なファイル指定

システムの省略時の設定を無効にする場合,またはネットワークを介してファイル操作を行う場合には,完全なファイル指定が必要です。完全なファイル指定とは,次の形式のファイル指定のことです。


ノード::デバイス:[ディレクトリ]ファイル名.ファイル・タイプ;バージョン 

次に,各要素について説明します。

ノード ネットワーク・ノード名。OpenVMS 用 DECnet をサポートするシステムにだけ適用される。磁気テープに格納されたファイルには適用されない。
デバイス ファイルが格納または書き込まれる物理デバイスの名前。物理デバイスに格納されているファイルのアクセスについては, 第 12.2 節 を参照。
ディレクトリ ファイルを登録するディレクトリの名前。ディレクトリ名は,大括弧 ([]) または山括弧 (<>) で区切る。磁気テープに格納されたファイルには適用されない。
ファイル名 ファイルの名前。ハイフンとアンダスコアを含む,最大 39 の英数字を指定できる。
ファイル・タイプ ファイルの中の構造またはデータのタイプを識別するもの。ファイル・タイプには,ハイフンとアンダスコアを含む最大 39 の英数字を指定できる。
バージョン ファイルのバージョン番号。バージョンは 10 進数で表され,ファイルの新しいバージョンを作成するたびに 1 ずつ大きくなる。ユーザが指定しない場合には,システムが自動的にバージョン番号を割り当てる。

4.1.2 ファイル指定の規則

ファイル指定の各要素を指定する場合には,次の規則に従います。

注意

Extended File Specifications を使用する環境の場合,これらの規則は異なります。拡張ファイル名について詳しくは,『OpenVMS Extended File Specifications の手引き』を参照してください。

4.1.3 DCL コマンドの省略時のファイル・タイプ

コマンドによっては,ファイル・タイプを省略した場合に,システムが省略時の値を適用することがあります。次の表に,DCL コマンドが使用する一般的な省略時のファイル・タイプの一部を示します。

ファイル・タイプ 内容
.CLD コマンド定義ファイル
.COM コマンド・プロシージャ・ファイル
.DAT データ・ファイル
.DIF DIFFERENCES コマンドによって作成される出力ファイル
.DIR ディレクトリ・ファイル
.DIS MAIL コマンドの配布リスト・ファイル
.EDT EDT エディタのスタートアップ・コマンド・ファイル
.EXE リンカによって作成される実行可能プログラム・イメージ・ファイル
.HLB ヘルプ・テキスト・ライブラリ・ファイル
.HLP ヘルプ・ライブラリの入力ソース・ファイル
.INI 初期化ファイル
.JOU EDT エディタによって作成されるジャーナル・ファイル
.LIS 言語コンパイラまたはアセンブラによって作成されるリスト・ファイル,または PRINT コマンドと TYPE コマンドの省略時の入力ファイル
.LOG バッチ・ジョブ出力ファイル
.MAI MAIL メッセージ・ファイル
.MEM DIGITAL Standard Runoff (DSR) によって作成される出力ファイル
.PS PostScript 形式のファイル
.REGIS Regis 形式のファイル
.RNO DIGITAL Standard Runoff (DSR) の入力ソース・ファイル
.SIX シクセル・グラフィック・ファイル
.SYS システム・イメージ
.TJL DECTPU と ACL エディタによって作成されるジャーナル・ファイル
.TLB テキスト・ライブラリ・ファイル
.TMP 一時的ファイル
.TPU EVE エディタのコマンド・ファイル
.TPU$JOURNAL EVE エディタによって作成されるジャーナル・ファイル
.TXT テキスト・ライブラリの入力ファイルまたは MAIL コマンド出力

4.1.4 言語ソース・プログラムの省略時のファイル・タイプ

次の表に,高級言語ソース・プログラムの省略時のファイル・タイプを示します。

ファイル・タイプ 内容
.ADA DEC Ada コンパイラの入力ソース・ファイル
.BAS BASIC コンパイラの入力ソース・ファィル
.B32 VAX BLISS-32 コンパイラの入力ソース・ファイル
.C DEC C コンパイラの入力ソース・ファイル
.COB Open VMS VAX システム上の VAX COBOL コンパイラおよび OpenVMS Alpha システム上の DEC COBOL コンパイラの入力ソース・ファイル
.FOR DEC Fortran (OpenVMS VAX システム用 DEC Fortran はこれまで VAX Fortran だった) の入力ソース・ファイル
.M64 OpenVMS Alpha MACRO-64 アセンブラの入力ソース・ファイル
.MAP リンカ・ユーティリティによって作成されるメモリ割り当てマップ
.MAR OpenVMS Alpha 用 VAX MACRO アセンブラまたは MACRO-32 コンパイラの入力ソース・ファイル
.MLB MACRO アセンブラのマクロ・ライブラリ
.MSG メッセージのテキストを指定するソース・ファイル
.OBJ 言語コンパイラまたはアセンブラによって作成されるオブジェクト・ファイル
.OLB オブジェクト・モジュール・ライブラリ
.OPT LINK コマンドへの入力用オプション・ファイル
.PAS Pascal コンパイラの入力ソース・ファイル
.PLI PL/I コンパイラの入力ソース・ファイル
.STB リンカ・ユーティリティによって作成されるシンボル・テーブル・ファイル
.UPD VAX MACRO ソース・プログラムの変更用更新ファイル (SUMSLP エディタへの入力ともなる)

4.1.5 ファイルのバージョン番号

すべてのファイルには,ファイル名とファイル・タイプに加えて,バージョン番号があります。バージョン番号は,ファイルのバージョンを表す 1 〜 32,767 の 10 進数です。ファイルを作成すると,ファイルに 1 というバージョン番号が割り当てられます。

1 つのファイルに対して複数のバージョンが存在することもあります。バージョン番号の指定がない場合には,バージョン番号の最も大きいファイルが使用されます。バージョン番号として0を指定した場合には,既存の最大バージョンが使用されます。ファイルの新しいバージョンを作成するコマンド,アプリケーション,テキスト・エディタ(EVEなど)を使用してファイルを変更した場合,ファイル名は変更されませんが,バージョン番号は1だけ大きくなります。

バージョン番号の前には,セミコロンまたはピリオドを入れます。ファイル指定を表示する場合は,ファイル・バージョン番号の前にセミコロンが表示されます。

ゼロまたは負のバージョン番号を指定すると,ファイルのバージョンを相対的に表すことができます。ゼロを指定すると,ファイルの最新 (最も大きい) バージョンが使用されます。 -1 を指定すると最新バージョンの前のバージョン, -2 を指定するとその前のバージョンが使用されます。以下同様です。ファイルの最も古い (最も小さい) バージョンを探す場合には,バージョン番号として -0 を指定します。バージョン番号が32767より大きいファイルを作成することはできません。バージョン番号が32767より大きい新しいファイルを作成しようとした場合には,エラー・メッセージが表示されます。

CREATE/DIRECTORY,SET DIRECTORY,または SET FILE コマンドで /VERSION_LIMIT 修飾子を指定すると,ファイルのバージョン番号を制御できます。バージョンの上限値を超えると,最も小さいバージョン番号のファイルが自動的に削除されます。たとえば,バージョンの上限値が 5 の場合には,ファイルの 6 番目のバージョン (ACCOUNTS.DAT;6) を作成すると,ファイルの最初のバージョン (ACCOUNTS.DAT;1) が削除されます。 DIRECTORY/FULL コマンドを実行すると,作成できるバージョンの制限を確認できます。作成できるバージョンの制限は, File attributes:フィールドに表示されます。

4.1.6 ネットワーク・ノード名

ノードとは,コンピュータ・ネットワークを構成する個々のシステムのことです。使用しているシステムがネットワークの一部である場合は,ログインしたときにアクセスするノードのことをローカル・ノードと呼びます。そして,ネットワークの中のこれ以外のノードをリモート・ノードと呼びます。リモート・ノードのファイルを指定する場合には,ノード名を使用します。

ノード指定の形式は,次のとおりです。


        ノード["アクセス制御文字列"]:: 

ファイル指定の一部としてノード名を入力する場合には,次の規則に従います。


前へ 次へ 目次 索引