OpenVMS
ユーザーズ・マニュアル


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6.4 ネットワークを介したメールの送信

これ以降の節では,ネットワークを介してメールを送信する方法を説明します。

6.4.1 ノード名の指定

ユーザのコンピュータ・システムがネットワークに接続されている場合には,ネットワーク上の他のユーザにメールを送信できます。別のノード上のユーザにメールを送信する場合には, To: プロンプトに対してユーザのノード名とユーザ名を入力します。ユーザ名に特殊文字やスペースが含まれている場合は,ユーザ名を二重引用符(" ")で囲む必要があります。次の形式を使用します。


ノード名::ユーザ名 

リモート・ノードへネットワーク接続できない場合には,メッセージが表示されます。しばらく時間をおいてから,もう一度メッセージを送信してみてください。

ノード名の指定についての詳細は, 第 4.1.6 項 を参照してください。

たとえば,CHEETA ノード上の HIGGINS というユーザにメッセージを送信する場合には,次のように入力します。


MAIL> SEND [Return]
To: CHEETA::HIGGINS [Return]

6.4.2 インターネット・メール・アドレスの使用

ネットワーク経由でユーザにメールを送信するために,完全な形式のインターネット・メール・アドレスも使用することができます。特に組織の外へメールを送信する場合,このアドレスは一般的なものです。


username@company.com 

To: プロンプトに対して,メールを送信したいユーザのインターネット・アドレスを完全な形式で入力します。アドレスは,ほとんどの場合,大文字小文字が区別されません。


MAIL> SEND [Return]
To: J_SMITH@COMPANYNAME.COM, Kate.Muir@school.edu [Return] 

6.4.3 論理ノード名の使用方法

論理名を使用して,ユーザ名とノードを表すこともできます。 Mail は,ノード名や論理名の中のアクセス制御情報を無視するので注意してください。

次の例では,CHEETA::HIGGINS のかわりに HENRY が使用されています。まず,論理名 (HENRY) が定義され,次にユーザ名とノードのかわりに,その論理名使用されます。


$ DEFINE HENRY CHEETA::HIGGINS
$ MAIL [Return]
MAIL> SEND [Return]
To: HENRY [Return]

6.5 複数のユーザへのメッセージの送信

これ以降の節では,複数のユーザにメールを送信する方法を説明します。

6.5.1 個人名の使用方法

同時に複数のユーザにメールを送信する場合には, To: プロンプトに対して個々のユーザ名を入力するか,配布リストを使用します。ユーザ名を使用して複数のユーザに同じメッセージを送信するには, To: プロンプトに対して各ユーザ名を入力します。このとき,ユーザ名はコンマかスペースで区切ります。

たとえば,メッセージをThompson,Jones,Barney の 3 人に送信する場合には,次のように入力します。


MAIL> SEND [Return]
To:      THOMPSON,JONES,BARNEY [Return]
Subj:    Meeting on January 9 [Return]

6.5.2 配布リストの作成

配布リストとは,ユーザ名とそのノード名のリストが収められたファイルのことです。テキスト・エディタを使用して,配布リストを作成しなければなりません。配布リストは,Mail ユーティリティ内では作成できません。

オープン・ファイル・クォータ (アカウントに割り当てられた制限値) によって,メールを 1 度に送信できるノード数と,配布リストをネストできる深さが決定されます。クォータを超えると,エラー・メッセージが表示されます。このような場合は,システム管理者に相談してクォータを大きくするか,一度にメールを送信するノード数を少なくしてバッチ形式で送信します。

省略時の設定では,検索される配布リスト・ファイルのファイル・タイプは .DIS です。配布リスト・ファイルがこれと異なるファイル・タイプを持つ場合には, To: プロンプトに対してファイル名とファイル・タイプを指定します。配布リスト・ファイルが Mail を起動したときのディレクトリとは別のディレクトリに登録されている場合には, To: プロンプトに対して配布リストの完全なディレクトリ名を入力します。

配布リストを作成するには,次の手順で行います。

手順 操作
1 テキスト・エディタを使用して,ファイル・タイプ .DIS の配布リスト・ファイルを作成する。
2 配布リスト・ファイルの 1 行ごとにユーザ名を 1 つずつ入力する。
3 ファイルに他の配布リストの名前を含める (リストを「ネスト」する) 場合には,アットマーク (@) の後に配布リストの名前を指定する。
4 ファイルにコメントをいれるには,コメントの前に感嘆符 (!) を入力する。

次に,配布リスト・ファイルの例を示します。


! ALLBUDGET.DIS 
! 
! Budget Committee Members 
@BUDGET         ! listed in BUDGET.DIS. 
! Staff 
  Thompson 
  BRUTUS::JONES 
  PORTIA::BARNEY 

この例において,BUDGET.DIS ファイルが,作成中の新しい配布リスト・ファイル(ALLBUDGET.DIS)と同じディレクトリにない場合には, BUDGET.DIS のファイル指定を新しい配布リストにする必要があります。 ALLBUDGET.DIS を作成する場所によっては, BUDGET.DIS を登録するデバイスとディレクトリを指定しなければならないこともあります。ファイル指定についての詳細は, 第 4 章 を参照してください。

6.5.3 配布リストによるメッセージの送信

配布リストを使用して複数のユーザにメールを送信する場合には,次の手順で行います。

手順 操作
1 Mail を起動する。
2 MAIL> プロンプトに対して SEND と入力してから Return を押す。
3 To: プロンプトに対してアットマーク (@) と配布リストのファイル名を入力してから,Return を押す。
4 Subj: プロンプトに対してメッセージの題目を入力してから Return を押す。
5 テキスト・プロンプトに対してメッセージのテキストを入力する。

次の例では,メッセージは配布リスト ALLBUDGET.DIS に送信されます。


 
MAIL> SEND [Return]
To: @ALLBUDGET [Return]
Subj: Tomorrow's Meeting [Return]
Enter your message below. Press CTRL/Z when complete, or CTRL/C to quit: 
 
The meeting about the Hubbub Cola account is tomorrow at 2:00.  [Return]
 
--Jeff  [Return]
 

DCL レベルから配布リストにファイルを送信することもできます。ファイル・タイプ (.DIS) を省略する場合には,アットマークとファイル名の前後に二重引用符を付けて,ファイルを配布リストとして識別します。題目をいれるには,MAIL コマンドで /SUBJECT 修飾子を使用します。

次の例は,MEETING.TXT ファイルを THOMAS というユーザと FRIENDS.DIS 配布リスト内のユーザに送信します。


$ MAIL/SUBJECT="update" MEETING THOMAS,"@FRIENDS.DIS" [Return]

次の例は,NOTICE.TXT ファイルを WRITERS.DIS 配布リスト内のユーザに送信します。ここでは,/SUBJECT 修飾子が入っていないので,メッセージの送信時の題目は省略されます。


$ MAIL NOTICE "@WRITERS" [Return]

6.6 Mail 内でのファイルの操作

ファイルの送信は,Mail 内部からでも,または DCL レベルからでもできます。 Mail 内部からファイルを送信する場合には,次の手順で行います。

手順 操作
1 MAIL> プロンプトに対して,SEND と,送信したいファイルの名前を入力する。
2 To: プロンプトに対して,ファイルの受信者の名前を入力する。
3 Subj: プロンプトに対して,ファイルの題目を入力する。
4 ファイルを送信する場合には,Return を押す。ここで,送信操作を取り消す場合には,Ctrl/C または Ctrl/Y を押す。 Ctrl/C を押すと MAIL プロンプトに戻り,Ctrl/Y を押すと DCL レベルに戻る。

次の例では,ファイル MEMO.TXT がユーザ EDGELL に送信されます。


MAIL> SEND MEMO.TXT [Return]
To: EDGELL [Return]
Subj: Another memo [Return]

6.6.1 DDIF ファイルの送信

ファイルが DIGITAL Document Interchange Format (DDIF) 仕様に従って作成された複合文書である場合には, OpenVMS AXP Version 1.0 または VAX VMS Version 5.2-2,またはそれ以降のシステムの場合にだけ,Mail は OpenVMS RMS ファイル・タグと DDIF セマンティックを保存します。 DDIF ファイルを含むメール・メッセージを, OpenVMS AXP Version 1.0 または VAX VMS Version 5.2-2 より前の OpenVMS システムに送信した場合や, OpenVMS 以外のオペレーティング・システムに送信した場合には, Mail はエラー・メッセージを戻します。

6.6.2 DCL からのファイルの送信

DCL レベルからファイルを送信する場合にも Mail は起動されますが,会話型セッションは開始されず,MAIL> プロンプトも表示されません。ファイルが送信されると,自動的に DCL レベルに戻ります。 MAIL コマンドと適切な修飾子を入力した後,ファイルを送信するときは Return を押し,送信操作を取り消すときは Ctrl/C を押します。

以下の点にも注意してください。

次の例では,DCL レベルで MEMO.TXT ファイルを CHEETA ノードの EDGELL というユーザに送信しています。


$ MAIL/SUBJECT="Another memo" MEMO.TXT CHEETA::EDGELL [Return]

次の例では,ファイル指定として SYS$INPUT を指定した場合に, DCL レベルから直接,メッセージ文の入力を求めるプロンプトが表示されています。


$ MAIL SYS$INPUT: [Return]
To: ARMSTRONG [Return]
Enter your message below.  Press CTRL/Z when complete, or CTRL/C to quit: 
The text of the message is here.
[Ctrl/Z]
$

6.6.3 メッセージからのファイルの作成

メッセージからテキスト・ファイルを作成する場合には,メッセージの読み込み中 (選択中) に MAIL> プロンプトに対して EXTRACT コマンドとファイル名を入力します。 Mail を終了すると,ファイルは現在のディレクトリに格納されます。別のディレクトリを指定すれば,そのディレクトリに格納されます。ファイルが DDIF ファイルの場合には, OpenVMS RMS ファイルのタグと DDIF のセマンティクスが保持されます (VAX/VMS バージョン 5.2-2 またはそれ以降)。

メールのヘッダは,From:,To:,Subj: の各行から構成されていますが,ヘッダ情報を含まないファイルを作成するには, EXTRACT コマンドに /NOHEADER 修飾子を指定します。メッセージにヘッダが複数ある場合には (たとえば,転送されたメッセージなど),一番上のヘッダだけが削除されます。

メッセージを既存のファイルの終端にコピーするには, EXTRACT コマンドに /APPEND 修飾子を指定します。 /ALL 修飾子を使用すると,現在のフォルダにあるすべてのファイルが既存のファイルにコピーされます。

次の例では,DEC_MEETINGS.TXT という名前のファイルがメール・メッセージから作成されています。


#1                  01-DEC-1996  14:12:27        NEWMAIL 
 
From:  STONE::FELLINI 
To:    Thompson 
Subj:  Dates for December sales meetings 
 
Sales meetings in December will be held on the following dates: 
      Wednesday Dec. 8, 1996 
      Tuesday   Dec. 14, 1996 
      Monday    Dec. 20, 1996 
      Thursday  Dec. 30, 1996
MAIL> EXTRACT DEC_MEETINGS.TXT [Return]
%MAIL-I-CREATED, DISK:[THOMPSON]DEC_MEETINGS.TXT

次の例に,メッセージ番号 3 のテキストを JANUARY_MEETINGS.TXT というファイルに格納する方法を示します。


MAIL> READ 3 [Return]
.
.
.
MAIL> EXTRACT/NOHEADER JANUARY_MEETINGS.TXT  [Return]
%MAIL-I-CREATED, DISK1:[JONES]JANUARY_MEETINGS.TXT;1 created
MAIL>

6.6.4 メッセージへのファイルの追加

メール・メッセージの最後に小さなファイルを自動的に追加するときは, SET SIGNATURE_FILE コマンドを使用します。このコマンドで指定したファイルは,ANSWER,FORWARD,MAIL,REPLY,SEND の各コマンドを使用して送信するすべてのメール・メッセージに自動的に追加されます (省略時の場合)。署名ファイルの例として,ユーザの会社名,住所,電話番号, Internet アドレスを名刺形式で編集したテキスト・ファイルなどが考えられます。

ファイルを特定のメッセージのみに追加したり,省略時の署名ファイル設定を指定変更したりする場合は, ANSWER,FORWARD,MAIL,REPLY,SENDの各コマンドに /SIGNATURE_FILE[=ファイル名] 修飾子を付けて使用します。

省略時の署名ファイルを指定しているかどうか確認するときは, SHOW SIGNATURE_FILE コマンドを使用します。また,SHOW ALLコマンドを使用する場合も,署名ファイル情報が表示されます。

DCLコマンドMAILに/SIGNATURE_FILE[=ファイル名]修飾子を付けて使用すると,省略時の署名ファイルをDCLレベルで設定することも可能です。

署名ファイルを含むメール・メッセージを作成するときには,通常のメッセージの場合よりも大きな一時ディスク領域が必要になります。これは,オペレーションの際に一時的ファイルが作成されるためです。メッセージが送られたら,これらの一時的ファイルは削除されます。

署名ファイルの名前を指定するとき,次の事項に注意してください。

次の例では,FORWARD,MAIL,REPLY,SENDの各コマンドを使用してメール・メッセージを送信する場合,すべてのメッセージに自動的に追加される省略時ファイルとして,ファイルBUSINESS_CARD.SIGが指定されます。


MAIL> SET SIGNATURE_FILE BUSINESS_CARD.SIG

次の例では,省略時の署名ファイルの代わりに,特定の応答に自動的に追加されるファイルとして,ファイルGREETINGS.SIGが指定されます。


MAIL> REPLY/SIGNATURE_FILE=GREETINGS.SIG

6.7 その他のメッセージの送信方法

これ以降の節では, Mail ユーティリティを使用してメッセージを送信する他の方法を説明します。

6.7.1 メッセージの返信

受信したメッセージに返信する場合には,次の手順で行います。

手順 操作
1 MAIL> プロンプトに対して REPLY を入力してから Return を押す。
2 メッセージを入力した後,Ctrl/Z を押すとメッセージが送信される。または,Ctrl/C を押すと,送信が取り消される。

次の例では,返信が STONE::THOMPSON に送信されます。返信コマンドを入力した後,Mail から To: プロンプトと Subj: プロンプトが自動的に表示されます。


To: STONE::THOMPSON 
Subj:  RE: Budget Meeting 
Enter your message below. Press CTRL/Z when complete. CTRL/C to quit: 


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