OpenVMS
ユーザーズ・マニュアル


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9.4 EDT オンライン・ヘルプの使用

これ以降の節では, EDT 編集セッション中にオンライン・ヘルプを使用する方法を説明します。

9.4.1 キーパッド・ヘルプの表示

キーパッド・モードでは,PF2 を押すと,キーパッド・キーの図が表示されます。 LK201 シリーズ・キーボードでは,補助編集キーパッドで Help キーを押せばこの図が得られます。個々のキーパッド・コマンドについての情報を表示するには,最初に Help キーを押してから該当キーパッド・キーを押します。

9.4.2 行モード・ヘルプの表示

行モードで EDT についてのヘルプを求めるには,アスタリスク (*)・プロンプトに対して HELP コマンドを入力して Return を押します。個々のコマンドについての情報を表示するには,HELP の後にコマンド名を入力します。コマンドについての情報と関連トピックのリストが表示されます。たとえば,COPY コマンドについてのヘルプを得るには,次のコマンド行を入力します。


*HELP COPY [Return]

9.4.3 非キーパッド・ヘルプの表示

非キーパッド・モードで非キーパッド・コマンドについてのヘルプを表示したい場合には,アスタリスク (*)・プロンプトに対して HELP CHANGE を入力します。

9.5 編集セッションの終了

EDT セッションを終了するには,Ctrl/Z を押します。行編集モードになり,アスタリスク (*)・プロンプトが現れるので, EXIT または QUIT を入力します。 EXIT と入力すると,編集内容がファイルの新しいバージョンにセーブされて終了します。 QUIT と入力すると,編集内容をセーブせずに編集セッションが終了します。

ファイルの既存のバージョンは,編集セッションをどの方法で終了しても変更されません。省略時の出力ファイル名を変更するには, EXIT コマンドと一緒にパラメータとして新しいファイル指定を入力します。既存のファイルと同じファイル名を指定した場合,2 つのファイルは,ファイル名とファイル・タイプが同じになりますが,バージョン番号と内容は異なります。

9.5.1 編集終了時の内容のセーブ

省略時の設定では,EXIT コマンドは,入力ファイルと同じファイル名とファイル・タイプを持つ出力ファイルを作成しますが,バージョン番号は 1 だけ大きくなります。

次の例では,MEMO.TXT;3 という名前のファイルを編集した後, EXIT コマンドを入力します。 EDT は MEMO.TXT;4 という名前の新しいバージョンを作成します。


*EXIT
DISK1:[USER]MEMO.TXT;4  2 lines
$

EXIT MICE.TXT で編集セッションを終了する場合, MICE.TXT という名前のファイルが存在していなければ,出力ファイルに MICE.TXT;1 という名前が付けられます。 MICE.TXT というファイルが存在する場合には,出力ファイルに MICE.TXT;バージョン番号という名前が付けられます。ここで,バージョン番号 は,既存の MICE.TXT ファイルの最大バージョン番号より 1 つ大きい番号です。

9.5.2 編集内容をセーブせずに終了する場合

編集内容をセーブせずに EDT を終了するには,行編集コマンド QUIT を使用します。テキストに加えた編集内容はすべて無視され,出力ファイルは作成されません。

QUIT コマンドは,間違ってファイルをオープンしたときに EDT を終了するのに便利です。新しいファイル・バージョンは作成されません。

9.6 編集モードの変更

行編集モードとキーパッド編集モードは簡単に切り換えることができます。また,キーパッド・モードから行編集コマンドを入力することもできます。行編集モードに戻って EDT コマンドを入力することが多ければ,行モードで操作する方が簡単です。たとえば,参照ポイントとして行番号を使用して 1 行ずつファイルを調べるようなときには,行モード編集の方が適しています。逆に,1 つのファイル内部の隣接しない領域間や 2 つのファイル間で大量のテキストを検索したり,カットやペーストを行ったりするときには,キーパッド編集の方が効率的です。

9.6.1 キーパッド編集から行編集への切り換え

キーパッド編集から行編集に切り換えるには,Ctrl/Z を押します。画面の一番下にアスタリスク (*)・プロンプトが表示されるので,行編集コマンドを入力します。


Once the weather turns cold, mice may find a crack in your 
foundation and enter your house.  They're looking for food and 
shelter from the harsh weather ahead. 
 
[EOB]
[Ctrl/Z]
 
 
 
* INSERT

9.6.2 行編集からキーパッド編集への切り換え

行編集からキーパッド編集に切り換えるには,CHANGE コマンドを使用します。


*CHANGE

ファイルの最初の 22 行が画面に表示されます。ファイルが 22 行未満の場合には,ファイルの最終行の下に [EOB] シンボルが現れます。

9.6.3 キーパッド・モードからの行編集コマンドの入力

キーパッドの COMMAND 機能を使用すると,キーパッド・モードのままで行編集コマンドを入力できます。この場合には,GOLD キー (PF1) の後に COMMAND キー (KP7) を押して, COMMAND 機能を実行します。

Command: プロンプトが表示されるので,プロンプトに対して,行編集コマンドを入力します。

次の例では,EDT がエラー・メッセージを出すときにベルが鳴らないようにする行編集コマンド SET QUIET を入力しています。コマンドを実行するには,Enter キーを押します。このとき,間違ってReturn キーを押すと,^M が現れます。 ^M を削除するには,メイン・キーボード上で Delete キーを押してから Enter を押してください。


Once the weather turns cold, mice may find a crack in your 
foundation and enter your house.  They're looking for food and 
shelter from the harsh weather ahead. 
 
[EOB]
Command:   SET QUIET

9.7 割り込みからの回復

これ以降の節では,EDT 編集セッション中での,割り込みからの回復方法を説明します。

9.7.1 画面の回復

Ctrl/W を押して,画面から余分な文字 (ブロードキャスト・メッセージや電子メールを受信したことを示すメッセージなど) を削除し,前の表示を復元します。

9.7.2 Ctrl/Y からの回復

Ctrl/Y を押した後に DCL の組み込みコマンドしか入力されていなければ, DCL の CONTINUE コマンドを入力すると, Ctrl/Y によって中断された編集セッションが再開されます。たとえば,Ctrl/Y を押した後で SHOW TIME コマンドを入力した場合には, CONTINUE コマンドを使用して編集セッションに戻ることができます。 SHOW TIME と CONTINUE コマンドはいずれも,DCL プロンプトに対して入力します。

CONTINUE コマンドを入力したら,Ctrl/W を押して画面を再表示します。編集セッションのテキストが再表示されます。

9.7.3 ジャーナル・ファイル

省略時の設定では,EDT は,入力ファイルと同じ名前で,ファイル・タイプが .JOU のジャーナル・ファイルを持ちます。中断せずに編集セッションを終了した場合には,セッションの終了時にジャーナル・ファイルは削除されます。編集セッションが強制終了された場合 (たとえば,システム障害発生時に,Ctrl/Y を押したり, QUIT/SAVE コマンドを入力した場合など) には,中断の直前に入力されたコマンドを除いて,編集内容を回復できます。この場合には,編集セッションを開始するときに使用したのと同じコマンド行に /RECOVER 修飾子を追加します。


$ EDIT/RECOVER MICE.TXT

EDT は,ジャーナル・ファイルからコマンドを読み込んで,それを画面上で実行することによって編集セッションを再生します。

9.8 EDT コマンドの要約

これ以降の節では,特定の EDT 操作を行うために使用できるコマンド,およびキーの一覧を示します。

9.8.1 編集モードの変更

次の表は,編集モードを変更するために使用できるコマンドとキーについて説明しています。

キーパッド・モード 行モード 非キーパッド・モード 説明
COMMAND   EXT (Extend) EDT をキーパッド・モードまたは非キーパッド・モードにしたままで,行モード・コマンドを入力できるようにする。
Ctrl/Z CHANGE EX モード (行,キーパッド,非キーパッド) 間で編集セッションを切り換える。
  SET MODE   スタートアップ・コマンド・ファイルで使用する場合, EDT セッションの初期モードを設定する。
  SHOW MODE   最も最近実行された SET MODE コマンドによる設定モードを示す。

9.8.2 カーソルの移動

次の表は,カーソルを移動するために使用できるコマンドとキーについて説明しています。

キーパッド・モード 行モード 非キーパッド・モード 説明
BACKSPACE   BL カーソルを現在行の先頭に移動する。
BOTTOM TYPE END ER バッファの終わり,すなわちバッファの中の最後の文字の後にカーソルを移動する。
CHAR   C カーソルを現在の方向に 1 文字だけ移動する (ADVANCE が有効か,BACKUP が有効かによって,順方向か逆方向かが決まる)。
下向き矢印   下向き矢印 ADVANCE が有効か,BACKUP が有効かにかかわらず,バッファの一番下に向けてカーソルを 1 行だけ下に移動する。
EOL   EL 現在の方向が順方向の場合には,現在行の行末にカーソルを移動する。現在の方向が逆方向の場合には,カーソルを前の行の行末に移動する。
左向き矢印   左向き矢印 ADVANCE が有効か,BACKUP が有効かにかかわらず,カーソルを左に 1 文字分だけ移動する。
    "move" 現在のバッファ内部でカーソルを移動する。
LINE   L 現在の方向が順方向の場合には,カーソルを次の行の先頭に,現在の方向が逆方向の場合には,カーソルを現在行の先頭に移動する。逆方向の場合には,もう一度 LINE を押すと,カーソルは前の行の先頭に移動する。
    KS PASTE コマンドの実行後,カーソルの位置を変更する。
PAGE   PAGE
PAGETOP
次のページ・マーカの右または次の改ページ文字にカーソルを移動する。 (SET ENTITY PAGE コマンドで定義された) ページ・マーカがない場合には, PAGE 要素はバッファ全体となる。
    TOP カーソルを画面の最上部に移動する。
右向き矢印   右向き矢印 ADVANCE が有効か,BACKUP が有効かにかかわらず,カーソルを右に 1 文字分だけ移動する。
SECT   16L. ADVANCE が有効か,BACKUP が有効かによって,バッファの終わりまたは冒頭に向けて 1 セクション (16 行) だけカーソルを移動する。
  SET CURSOR   カーソル位置に合わせて画面のスクロールを制御する。行モードでの編集中は効果がない。
  SHOW CURSOR   SET CURSOR コマンドによって設定された値を表示する。
TOP   BR カーソルをバッファの冒頭の最初の文字に移動する。
上向き矢印   上向き矢印 ADVANCE が有効か,BACKUP が有効かにかかわらず,カーソルをバッファの冒頭に向けて 1 行だけ上に移動する。
WORD   W 現在の方向の次のワードの先頭にカーソルを移動する (ADVANCE が有効か,BACKUP が有効かによって順方向か逆方向かが決まる)。

9.8.3 テキストの挿入

次の表は,テキストを挿入するために使用できるコマンドとキーについて説明しています。

キーパッド・モード 行モード 非キーパッド・モード 説明
Ctrl/L   ^L. テキストに改ページ文字 (<FF>) を挿入する。
Ctrl/M   ^M. テキストにキャリッジ・リターン文字 (<CR>) を挿入する。
Ctrl/R Ctrl/R REF 画面 (キーパッド・モード) または行 (行モード) を一旦消去してから再表示して,余分な文字やメッセージを抹消する。編集中の現在のテキストは変更されない。キーパッド・モードでは,CtrL/R は Ctrl/W と同じ。
Ctrl/W   REF 画面 (キーパッド・モード) または行 (行モード) を一旦消去してから再表示して,余分な文字やメッセージを抹消する。編集中の現在のテキストは変更されない。キーパッド・モードでは,CtrL/W は Ctrl/R と同じ。
  Ctrl/Z Ctrl/Z 挿入操作を完了して,コマンド状態に戻る。 INSERT (非キーパッドI) と REPLACE (非キーパッド R) コマンドと一緒に使用する。
FILL (VT100)
Ctrl/F (VT52)
FILL FILL
FILLSR
現在行の幅に最大数のワードが収まるように,行の選択範囲を決定してテキストを再編成する。行モードでは,行の選択範囲を詰める。
  INCLUDE   外部ファイルを EDT テキスト・バッファにコピーする。行モードでは,INCLUDE コマンドによってファイルのコピーが終了すると,アスタリスク (*)・プロンプトを表示する。キーパッド・モードや非キーパッド・モードでは,画面に INCLUDE されたテキストが現れる。
OPEN LINE INSERT I [Return] 現在のカーソル位置で編集中のテキストに行終了文字を挿入して,行終了文字を新しいカーソル文字にする。
  INSERT I 現在のバッファまたは指定されたバッファにテキストを追加する。
SPECINS   ASC (ASCII)
サーカンフレックス (^)
該当文字に対応する 10 進数値 ( 付録 B を参照) を使用して, DEC で定義している文字セットの文字をテキストに挿入できるようにする。サーカンフレックス (^) は,0 〜 31 の 10 進数に対応する文字にしか機能しない。

9.8.4 テキストの削除と復元

次の表は,テキストを削除および復元するために使用できるコマンドとキーについて説明しています。

キーパッド・モード 行モード 非キーパッド・モード 説明
Ctrl/U   DBL カーソルの左にある文字から行の先頭までのすべてを削除する。
  DELETE D 指定された範囲に応じて,1 行または複数行を削除する。バッファまたは範囲が指定されないと,現在の行を削除し,バッファは指定されているが,範囲の指定がないと,該当バッファまで移動して,その内容をすべて削除する。
DEL C DELETE DC カーソル位置の文字を削除する。
    D-C カーソルの左にある文字を削除する。
    D+C カーソルの右にある文字を削除する。
DEL EOL DELETE DEL 現在のカーソル位置から行終了文字の前までの行全体を削除する。
DEL L DELETE D+NL 現在のカーソル位置から行終了文字までの行全体を削除する。
DEL W DELETE DEW ワード全体またはワードの一部を削除する。
LINEFEED   DBW カーソルの左から前のワードの先頭までのワードまたはワードの中の文字を削除する。
REPLACE REPLACE R (置換) キーパッド・モードでは,選択範囲の中のテキストを削除して,それをPASTE バッファの内容と置き換える。行モードと非キーパッド・モードでは,現在のバッファまたは指定されたバッファから指定範囲の行を削除し,ターミナルから入力されたテキストと置き換える。
UND C   UNDC 削除文字バッファの現在の内容をカーソルの左にあるテキストに挿入する。
UND L   UNDL 削除行バッファの現在の内容をカーソルの左にあるテキストに挿入する。
UND W   UNDW 削除ワード・バッファの現在の内容をカーソルの左にあるテキストに挿入する。


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