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1 インストール前の準備

この章では日本語OpenVMS Alphaオペレーティング・ システムのインストール前の準備について説明します。

1.1 ディストリビューション・キット

日本語OpenVMS Alphaオペレーティング・ システムで提供されるキットはイニシャル・キットであり,標準版OpenVMS Alpha V7.2 を日本語化するためのモジュールのみを含んでいます。 次のユーザはこのキットを使用してください。

1.2 日本語 OpenVMS Alpha オペレーティング・システム V7.2 の構成

日本語OpenVMS Alpha V7.2は,キットの形態が従来のセーブセットから,PCSI キットに変更になりました。キットのファイル名は以下のとおりです。


DEC-AXPVMS-JVMS-V0702-1.PCSI

注意
PCSIキットをインストールするためには,POLYCENTER ソフトウエア・インストレーション・ユーティリティを使用します。 従来のVMSINSTALではインストールできませんのでご注意ください。

POLYCENTERユーティリティでのインストール作業中に,オプションを選択するための質問が表示されることがありますが, 日本語OpenVMS Alpha V7.2は選択可能なオプションはありません。

1.3 OpenVMS Alpha ライセンス・マネジメント・ ファシリティ

日本語OpenVMS Alpha V7.2を使用するユーザは,必ずソフトウェア・ ライセンスを登録しなければなりません。ライセンスの登録は, 日本語OpenVMS Alphaのインストール時に行ってください。 ライセンスを登録するための情報は,日本語OpenVMS Alphaと一緒に出荷される, プロダクト・オーソライゼーション・キー(PAK) に含まれています。PAK はライセンス情報が記載されている用紙です。

日本語OpenVMS Alphaのライセンスは, インストレーションの前でも後でも登録できますが,インストレーションの前に行うことをお勧めします。 日本語OpenVMS Alpha ではインストレーション中に,ライセンスを登録しキーをロードしたかどうかを確認するようになっています。 ライセンスの登録とキーのロードを行っていない場合は, インストレーションを行うことはできますが, 日本語OpenVMS Alphaを使用したり,IVP を実行したりすることはできません。ライセンスを登録し, キーをロードして初めて,日本語OpenVMS Alpha を使用したり,IVPを実行したりすることができます。

ライセンスを登録する方法には,次の2つがあります。

  1. コマンド・プロシージャSYS$UPDATE:VMSLICENSE.COM を使用する

  2. DCLコマンドLICENSE REGISTERを使用する

詳細は『OpenVMS License Management Utility Manual』を参照してください。

1.4 必要なハードウェアの最小構成

日本語OpenVMS Alpha V7.2は,Alpha AXPアーキテクチャの機種で動作します。 また,日本語OpenVMS Alpha V7.2が動作するためには以下の環境が必要です。

1.5 必要なソフトウェア

1.5.1 標準版OpenVMS Alpha V7.2

日本語OpenVMS Alpha V7.2 をインストールするためには, 標準版OpenVMS AlphaがV7.2であることが必要です。 インストレーションの方法については『OpenVMS Alpha Version 7.2 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

1.5.2 XPG4ロケール・データ・ファイル

標準版OpenVMS Alpha V7.2のインストール後,XPG4 ロケール・データ・ファイル・キットのインストレーションが必要です。 ロケール・データ・ファイルは,標準版OpenVMS Alpha V6.2 からサポートされるようになった,XPG4ランタイム・ライブラリおよびユーテリティで使用されるもので, 独立したキットで提供されています。

キット名はVMSI18N072で,標準版OpenVMS VAX & Alpha V7.2に付属のLayered Products CD-ROM および日本語OpenVMS Alpha V7.2 CD-ROMの両方に含まれていますので,どちらからでもインストールすることが可能です。 日本語OpenVMS Alpha V7.2 CD-ROMからインストールする場合の手順は次のとおりです。

  1. システム・マネージャのアカウントにログインして,次のコマンドで日本語OpenVMS Alpha V7.2 CD-ROMをマウントします。
          $ MOUNT/OVER=ID ddcu:
    

    ここでddcu: CD-ROMドライブの装置名を指定します。

  2. マウント後,次のコマンドを入力してVMSINSTALを起動します。
          $ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL VMSI18N072 ddcu:[VMSI18N_ALPHA072.KIT]
    

  3. VMSINSTALの初期メッセージが表示された後,各国語サポートに関する4つの質問が表示されます。 このうち,日本語サポートについて"Yes" と入力してください。日本語サポート以外のインストレーションは必須ではありませんので,"No" を入力します。実際の質問は次のとおりです。
          * Do you want European and US support [YES]?
          * Do you want Chinese support [YES]?
          * Do you want Japanese support [YES]?
          * Do you want Korean support [YES]?
          * Do you want Thai support [YES]?
          * Do you want the Unicode converters [YES]?
    

    日本語サポートのみを選択した場合,インストール時に必要なディスク容量は約10,000 ブロックです。


注意
日本語サポート以外のインストールは, 日本語OpenVMS Alpha V7.2をインストールするための必須インストールではありません。 また,USサポートは標準版OpenVMS Alpha V7.2のインストレーションにより提供されています。 もし, すべての質問に対して"YES"と答えた場合,システム・ディスク上で約80,000 ブロックの容量を占めますので,ご注意ください。

インストレーションの例を付録 B に示しますので参照してください。

1.5.3 日本語DECwindows Motifのバージョン

日本語OpenVMS V7.2でサポートされる日本語DECwindows Motifはバージョン1.2-3 以上です。ただし,いずれのバージョンも修正キットのインストレーションが必須です。

詳しくは,第1.11節の日本語DECwindows Motif のインストレーションの項を参照してください。

1.5.4 標準版キーボード・ドライバ修正キットのインストール

標準版キーボード・ドライバ (SYS$IKBDRIVER.EXE) には, 日本語キーボード使用時に「カナ」キーが正常に動作しない問題があります。 そのため日本語 DECwindows Motif を使用する場合は, 修正キットのインストールが必要です。

修正キットは,日本語 OpenVMS CD-ROM の [OPENVMS_PATCH] ディレクトリに含まれています。 詳しくは修正キットに付属のドキュメントをご覧ください。

1.6 インストレーションに必要な時間

日本語OpenVMS Alpha V7.2すべてをインストールするためには, 約15分かかります (DEC3000 Model 400 AXPの場合)。

1.7 インストレーションに必要な特権

1.8 必要なディスク容量

日本語OpenVMS Alpha V7.2をインストールするために必要なディスクの空きブロックは, インストール時に約95,000ブロック,インストール後で約88,000 ブロックです。ディスクの空きブロックが十分でないときは, 不必要なファイルを消すなどの処置をとってください。

なお,現在のディスクの空きブロックは,次のようにして調べることができます。

          $ SHOW DEVICE device-name

1.9 必要なシステム・パラメータ

日本語システムのユーティリティは,インストレーション後に次表の値のグローバル・ ページ,およびグローバル・セクションを必要とします。

ユーティリティとイメージ グローバル・ページ グローバル・セクション
CMGR
CMGRDISPSHR.EXE
CMGRSHR.EXE
240
256
2
2
FIP
FIP.EXE
FIP$CONTROL.EXE
FIPMSG.EXE
FIPSHR.EXE
IM$ARKSHR.EXE
IM$KKCSHR.EXE
IM$HMJSYVECSHR.EXE
IM$HMSHR.EXE
320
48
48
112
48
48
48
272
2
1
1
2
1
1
1
2
IMLIB
IM$MESSAGE.EXE
IM$SHR.EXE
48
176
1
2
JMAIL
JMAIL.EXE
JMAILMSG.EXE
JMAILSHR.EXE
JMAILSHRP.EXE
352
64
432
464
2
1
3
3
日本語共有イメージ
JSYSHR.EXE
JSYSHRP.EXE
JSY$KKSHR.EXE
368
48
384
4
1
2
日本語画面制御ライブラリ
JSY$SMGSHR.EXE
1,024 3
KANJIGEN
KANJIGEN.EXE
128 2
KINQUIRE
KINQ.EXE
48 1
JSORT
SORJPNDICT.EXE
SORTDTYPE.EXE
48
128
1
2
TYPE
TYPE.EXE
JSY$UTIL$SHARE
80
176
1
2
DEC XTPU
JEVE$SECTION_V3.XTPU$SECTION
XTPU.EXE
XTPUMSG.EXE
XTPUSHR.EXE
XTPU$CCTSHR.EXE
XTPU$CSSHR_JA_JP.EXE
XTPU$MOTIFSHR.EXE
2,704
48
192
1,632
48
240
64
1
1
1
2
1
2
1
日本語ファイル名サポート
JSY$BACKUPSHR.EXE
JSY$SETSHOSECUR.EXE
1,232
112
6
1

Total 11,680 62


注意

表のグローバル・ページの単位はページレット(512 バイト)であることに注意してください。また,インストールするのに必要なグローバル・ ページの値は,システムのページ・ サイズによって多少変わります。表はシステムのページ・サイズが8 キロバイトのときの値を表しています。


日本語OpenVMS Alpha V7.2のインストールには,グローバル・ページの空きが約12,000 ページ,グローバル・セクションの空きが63セクション必要です。 日本語OpenVMS Alpha V7.2のインストレーション・プロシージャは, グローバル・ページおよびグローバル・セクションの空きを調べ, その値が上の数字に満たない場合はインストレーションを中断します。

現在のシステムのグローバル・ページおよびグローバル・セクションの空きは, 次のようにして調べることができます。

          $ WRITE SYS$OUTPUT F$GETSYI("FREE_GBLPAGES")
          $ WRITE SYS$OUTPUT F$GETSYI("FREE_GBLSECTS")

グローバル・ページ,およびグローバル・セクションの値は次のようにして変更することができます。

  1. SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DATに追加

    次の行をSYS$SYSTEM:MODPARAMS.DATに加えてください。

              GBLPAGES=<グローバル・ページの値(ページレット)>
              GBLSECTIONS=<グローバル・セクションの値>
    

    あるいは,次の行でもかまいません。

              ADD_GBLPAGES=<追加するグローバル・ページの値(ページレット)>
              ADD_GBLSECTIONS=<追加するグローバル・セクションの値>
    

  2. AUTOGEN をかける

    次のようにAUTOGEN を実行してください。

              $ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA REBOOT NOFEEDBACK
    

    システムがシャット・ダウンされリブートされます。グローバル・ページとグローバル・ セクションの値は,SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DATに書かれた値に変更されます。

1.10 システム・ディスクのバックアップ

インストレーションの最初に,システム・ディスクをバックアップしたかどうかを尋ねてきます。 インストレーション中に問題が発生したときのために, システム・ディスクのバックアップをとっておくことをお勧めします。 バックアップ実行の詳細については,『OpenVMSシステム管理者マニュアル』を参照してください。

1.11 日本語OpenVMS Alpha V7.1以前からのアップグレード

日本語OpenVMS Alpha V6.1, V6.2,V7.0またはV7.1から日本語OpenVMS Alpha V7.2にアップグレードする場合は, 必ず以下の手順で行うようにしてください。

  1. 日本語DECwindows Motifのインストレーション

    日本語DECwindows Motifを実行していない場合は,この作業は必要ありませんので2 の作業へ進んでください。

    日本語OpenVMS V7.2でサポートされる日本語DECwindows MotifのバージョンはV1.2-3 以上です。次の表に従って,必要な作業を決定してください。

    現在の日本語DECwindows Motifのバージョン 日本語OpenVMS V7.2アップグレード前に必要な作業
    V1.2-3より前 日本語DECwindows Motif V1.2-3以上のバージョンへのアップグレード
    V1.2-3 英語版DECwindows V1.2-3の2000 年対応キット (ALPDWMW02_U3012.A) のインストールが必要です

    日本語DECwindows V1.2-3 修正キットのインストールをお勧めします

    V1.2-4 英語版DECwindows V1.2-4 の2000年対応キット (ALPMOTF03_U4012.A) のインストールが必要です

    日本語DECwindows V1.2-4修正キットのインストールをお勧めします

    V1.2-5 英語版DECwindows Motif V1.2-5 の修正キットのインストールが必要です

  2. SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COMの編集

    SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COMをエディタで編集して,日本語OpenVMS Alpha のスタートアップ・プロシージャの行を以下のようにコメント・ アウトしてください。

         $! @SYS$STARTUP:JSY$STARTUP.COM
    

    この作業を行わないと,後の作業で警告メッセージが表示されます。

  3. 日本語DECwindows Motif言語設定の変更

    ワークステーションで日本語DECwindows Motifを実行していない場合は, この作業は必要ありませんので,4の作業へ進んでください。

    ワークステーションで日本語DECwindows Motifを実行していて, SYSTEMアカウントのセッション・マネージャの言語設定が「日本語」になっている場合は, 「US English」に変更してください。

  4. システム設定の変更

    日本語OpenVMS Alpha V6.2,V7.0またはV7.1からアップグレードする場合は, 以下の作業は必要ありません。システムをシャットダウンし,5 の作業へ進んでください。

    日本語OpenVMS Alpha V6.1 (-1H1,-1H2)で稼動しているシステムをアップグレードするためには, 一度システムを標準版OpenVMS Alpha V6.1 (-1H1,-1H2)の設定にもどす必要があります。この作業を行うためには,SYSGEN パラメータの変更などのいくつかの設定が必要となります。 以下のコマンド・プロシージャを実行してください。

          $ @JSY$SYSTEM:JSY$RESETPARAMS.COM
    

    なお,このコマンド・プロシージャを実行すると,AUTOGENが実行されシステムはシャット・ ダウンされます。この状態から標準版OpenVMS Alpha V7.2 へのアップグレードを行ってください( 標準版OpenVMS Alpha V7.2へのアップグレードは,ディストリビューションCD-ROM からブートして作業を行いますので,リブートの必要はありません) 。

  5. 標準版OpenVMS Alpha V7.2へのアップグレード

    標準版OpenVMS Alpha V7.2のキットを用いて, 標準版OpenVMS Alphaのアップグレードを行ってください。 アップグレードの方法については『OpenVMS Alpha Version V7.2 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

  6. XPG4ロケール・データ・ファイル・キットのインストール

    ロケール・データ・ファイル・キットVMSI18N072をインストレーションを行ってください。 インストレーションの手順は第1.5.2項を参照してください。

  7. 日本語OpenVMS Alpha V7.2へのアップグレード

    日本語OpenVMS Alpha V7.2のインストレーションを行ってください。 以後の作業については,第2 章"日本語インストレーション"およびそれ以降の章を参照してください。


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