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4 個人辞書編集ユーティリティ(JDICEDIT)

この章では,個人辞書編集ユーティリティ (JDICEDIT) について説明します。


4.1 機能概要

個人辞書編集ユーティリティ(JDICEDIT)は,日本語エディタなどの「かな漢字変換」 が使用する単語辞書(個人辞書)を編集するためのユーティリティで, 次の機能があります。

扱う単語辞書は「個人辞書」のみです。「システム辞書」の参照・変更はできません。 また,文節学習,文節切り学習データファイルの参照,変更もできません。


4.2 JDICEDITコマンド

この節では,JDICEDITコマンドの形式,パラメータについて説明します。


JDICEDIT

個人辞書編集ユーティリティを起動します。

形式

    JEDIT/PERSONAL_DICTIONARY   [ サブコマンド[ /修飾子...] [パラメータ] ]

パラメータ

サブコマンド

JDICEDITユーティリティの持つサブコマンドを指定します。 サブコマンドを省略した場合は,
     JDICEDIT>

というプロンプトが表示され,サブコマンドの入力を要求します。

サブコマンドについての詳細は,第4.3節をご覧ください。


4.3 JDICEDITサブコマンド

JDICEDITユーティリティには次のサブコマンドがあります。

サブコマンド 機能
APPEND 単語ファイルの単語を辞書ファイルに追加登録します。
CREATE 新しい辞書ファイルを作成します。
EDIT 画面上で単語を登録・削除・検索します。
EXIT 終了します。
EXTRACT 辞書ファイルの単語をファイルに出力します。
HELP ヘルプを表示します。
REBUILD 辞書ファイルを再構成します。
SHOW DICTIONARY 省略時の辞書ファイル名を表示します。

次の項から各サブコマンドについて説明します。


4.3.1 APPEND

日本語エディタなどで作成した単語ファイルの単語を辞書ファイルに追加登録します。 辞書ファイルのバージョンは更新され, 旧バージョンの辞書ファイルはそのまま残ります。単語ファイルの形式については, 第4.6節を参照してください。

<形式>

       JDICEDIT>APPEND  [/修飾子][辞書ファイル名]

辞書ファイル名を省略した場合には,SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHOに追加登録します。 論理名JSY$KOJINが定義されているときは,その辞書ファイルに追加登録します。

<修飾子>

         /INPUT [=ファイル指定 [,...] ]

入力する単語ファイル名を指定してください。ファイル名の省略時設定値は ‘辞書ファイル名.TANGO’です。

         /LIST [=ファイル指定]
         /NOLIST (省略時設定)

単語ファイルの内容をエラー情報を含めて出力します。 ファイル名の省略時設定値は‘単語ファイル名.LIS’です。

         /LOG (省略時設定)
         /NOLOG

更新された辞書ファイル名を表示します。


4.3.2 CREATE

空の辞書ファイルを作成します。新規の辞書ファイルを作成する場合は,まず CREATE サブコマンドで辞書ファイルを作成し,次にAPPENDまたは EDITサブコマンドで単語を登録します。

<形式>

       JDICEDIT>CREATE [/修飾子]辞書ファイル名

新規に作成する辞書ファイル名を指定します。辞書ファイル名は省略できません。

<修飾子>

/LOG (省略時設定)
/NOLOG

作成した辞書ファイル名を表示します。


4.3.3 EDIT

辞書ファイルの単語を画面に表示して単語の登録・削除・検索を行います。 EDIT終了時に辞書ファイルの更新を指定すると, バージョンを更新した新しい辞書ファイルが作られ, 旧バージョンの辞書ファイルはそのまま残ります。

<形式>

       JDICEDIT>EDIT  [/修飾子][辞書ファイル名]

辞書ファイル名を省略した場合には,SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHOを編集します。 論理名 JSY$KOJINが定義されている場合は,そのファイルを編集します。

<修飾子>

       /LOG (省略時設定)
       /NOLOG

出力した辞書ファイル名を表示します。


4.3.3.1 画面レイアウト

図 4-1にEDITの画面レイアウトを示します。

図 4-1 EDITの画面レイアウト : (クリックで表示)


4.3.3.2 キーパッドの機能

EDITの画面を表示中はキーパッドに 図 4-2の機能が定義されています。

図 4-2 キーパッドの機能 : (クリックで表示)

図 4-3 単語登録時の画面レイアウト : (クリックで表示)

単語の読み・表記を入力後,矢印キーとスペース・キーを用いて文法情報をセットし, [ENTER]キーで登録してください。登録された単語が画面上に表示されます。 登録前の単語をキャンセルしたいときは[CTRL/C]を,単語登録モードを終了するときは [CTRL/Z]を押してください。単語の読み,表記,文法情報については 第4.4節第4.5節を参照してください。

単語の読み・表記の入力にはかな漢字変換の機能が利用できます。 JDICEDITユーティリティはキー定義ライブラリ(IMLIB) に準じていますので, 利用者がかな漢字変換に用いられるキー定義を変更することができます。 キーの定義方法およびキー定義ライブラリについては, 『キー定義ライブラリ 利用者の手引き』を参照してください。


4.3.4 EXIT

JDICEDITユーティリティを終了します。

<形式>

       JDICEDIT>EXIT


4.3.5 EXTRACT

辞書ファイルの単語を単語ファイルに出力します。

<形式>

       JDICEDIT>EXTRACT [/修飾子][辞書ファイル名]

辞書ファイル名を省略した場合には,SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHOの単語を出力します。 論理名JSY$KOJINが定義されているときは,その辞書ファイルの単語を出力します。

<修飾子>

       /OUTPUT=file-spec

出力する単語ファイル名を指定します。ファイル名の省略時設定値は ‘辞書ファイル名.TANGO’です。

       /USER_REGISTERED

辞書ファイルの単語の中から利用者登録語だけを単語ファイルに出力します。 省略時は,すべての単語を出力します。

       /LOG (省略時設定)
       /NOLOG

出力した単語ファイル名と出力した単語数を表示します。


4.3.6 HELP

JDICEDITユーティリティのHELPを表示します。

<形式>

       JDICEDIT>HELP  [トピック]

HELPを表示するトピックを指定します。トピックが指定されなかった場合は, すべてのトピックが表示され,会話的に選ぶことができます。[CTRL/Z]または [Return]を押すと,もとのモードに戻ります。


4.3.7 REBUILD

辞書ファイルを再構成し,新しいバージョンの辞書ファイルを作ります。 旧バージョンの辞書ファイルはそのまま残ります。 REBUILDサブコマンドによる辞書ファイルの再構成は,以下のようなときに有効です。

ある特定の読みの単語の数が多すぎて, 追加登録ができないときは上記のエラーが発生します。このような辞書ファイルを REBUILDサブコマンドで再構成します。ただし,再構成しても, なおかつ特定の読みの単語の数が多すぎるときは警告メッセージで通知しますから, その場合は不要な単語をEDITサブコマンドを使用して削除してください。

<形式>

       JDICEDIT>REBUILD  [/修飾子][辞書ファイル名]

辞書ファイル名を省略した場合には,SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHO を再構成します。 論理名JSY$KOJIN が定義されているときは,その辞書ファイルを再構成します。

<修飾子>

       /LOG (省略時設定)
       /NOLOG

出力した辞書ファイル名を表示します。


4.3.8 SHOW DICTIONARY

各サブコマンドにおいて辞書ファイル名の指定を省略した場合に使用する 省略時設定の辞書ファイル名を表示します。省略時設定の辞書ファイルは,論理名 JSY$KOJIN が定義されているときはそのファイル,定義されていないときは SYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHO です。

<形式>

       JDICEDIT>SHOW DICTIONARY


4.4 単語の読みと表記

この節では,単語の読みと表記について説明します。

単語の読み

単語の表記


4.5 単語の文法情報

単語の文法情報について表 4-2にまとめます。

表 4-2 文法情報キーワードと国文法との対応 :(クリックで表示)


4.6 単語ファイル

日本語エディタで単語ファイルを作り,これを APPENDサブコマンドで辞書ファイルに追加登録できます。

単語ファイルは以下の形式で作成します。

             [!]読み   "表記"   [文法情報キーワード,,,]
             [!]読み   "表記"   [文法情報キーワード,,,]
                ........................
                ........................


4.7 制限事項

個人辞書編集ユーティリティには,次の制限事項があります。

  1. JDICEDITユーティリティをバッチ・ジョブで起動することはできません。

  2. 個人辞書に追加登録できる単語の数は,最大約100,000語です。 ただし,登録単語数が多くなると, かな漢字変換ルーチンの単語検索に要する時間が増大しますので, ご注意ください。実用上の上限としては30,000語程度を目安としてください。


4.8 使用例

この節では,いくつかの使用例を示します。

  1. 辞書(DICTIONARY.JISHO)に単語を登録する場合,単語を検索・削除する場合
         $ RUN JSY$SYSTEM:JDICEDIT
         JDICEDIT> EDIT DICTIONARY.JISHO
         ・・・・・
         辞書を更新しますか?(YES or NO) [YES]: YES
         %JDICEDIT-I -UPDDIC   ,辞書を更新して DICTIONARY.JISHO;2  に
         出力しました。
         JDICEDIT> EXIT
         $
    

  2. 辞書A(DIC_A.JISHO)の利用者登録語だけを辞書B(DIC_B.JISHO)に登録する場合
         $ RUN JSY$SYSTEM:JDICEDIT
         JDICEDIT> EXTRACT/OUTPUT=DIC_A.TANGO/USER  DIC_A.JISHO;1
         %JDICEDIT-I -EXTUSR,DIC_A.JISHO;1   の単語を XX語 DIC_A.TANGO
         に出力しました。
         JDICEDIT> APPEND/INPUT=DIC_A.TANGO  DIC_B.JISHO;1
         %JDICEDIT-I -UPDDIC  ,辞書を更新して DIC_B.JISHO;2 に出力しました。
         JDICEDIT> EXIT
         $
    

  3. 日本語エディタで単語ファイル(TANGO_FILE.TANGO)を作り, これをもとにして新規に辞書を作成する場合
         $ JEDIT TANGO_FILE.TANGO
         ・・・・・
         $ RUN JSY$SYSTEM:JDICEDIT
         JDICEDIT> CREATE NEW_DIC.JISHO
         %JDICEDIT-I -CREDIC  ,新たに辞書  NEW_DIC.JISHO;1 を作成しました。
         JDICEDIT> APPEND/INPUT=TANGO_FILE.TANGO NEW_DIC.JISHO;1
         %JDICEDIT-I -UPDDIC  ,辞書を更新して NEW_DIC.JISHO;2 に出力しました。
         JDICEDIT> EXIT
         $
    


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