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2 漢字ターミナルの設定

この章では,日本語OpenVMSのインストレーションが終了した後, 日本語エディタ,漢字プリント・シンビオントなどの日本語ユーティリティを使用する前に行う, 漢字ターミナルの設定方法を説明します。

2.1 漢字ターミナル

漢字ターミナルには,漢字ROMが準拠する文字集合の種類によって,DEC漢字 1983 年版ターミナルとDEC漢字 1978 年版ターミナルがあります。

2.1.1 DEC漢字1983年版漢字ターミナル

DEC漢字1983年版文字集合を出力する漢字ターミナルです。JIS X 0208 - 1983に準拠した非漢字,第1水準漢字,第2水準漢字のすべての文字集合を漢字ターミナルがROM 内にもっています。

2.1.2 DEC漢字1978年版漢字ターミナル

DEC漢字1978年版文字集合を出力する漢字ターミナルです。JIS C 6226 (JIS X 0208) - 1978に準拠した非漢字,第1水準のみをもつ漢字ターミナルと, 第2水準までもつ漢字ターミナルがあります。

2.1.3 ターミナルのバージョンの見方

2.1.3.1 VT280シリーズ,VT382漢字ビデオ・ターミナル

SETUP(F3)キーを押すと次のような表示が現れ,バージョンがわかります。

詳しくは,それぞれのビデオ・ターミナルのユーザーズ・ガイドをご覧ください。

2.1.3.2 LN03漢字プリンタ・ターミナル

ターミナル背面にあるテストボタンを押すと,出力されたサマリー・シートの右上に次のような表示が現れ, バージョンがわかります。

     PLUS Revision Level DEC001.0-J2.4

詳しくは,それぞれのプリンタ・ターミナルのユーザーズ・ガイドをご覧ください。

2.2 漢字ビデオ・ターミナル

2.2.1 VT280シリーズ,VT382

DCLのSET TERMINALコマンドで必要な設定を行った後,後述のJSY$SYSTEM:KANJITERM.COM を実行するか,またはKANJIGENユーティリティで, 以下の設定を行います。


[1] 日本語OpenVMS Alphaでは,VT282 でオンデマンド・ローディングをご利用になれません。

2.2.1.1 ホスト直結デバイスのシリアルポートへの接続

ホスト直結の(ホストのシリアル・デバイス・ポートに接続された)ビデオ・ ターミナルへの接続は,以下のように行います。

  1. 装置名を確認する。

  2. ビデオ・ターミナル属性を設定する。

    以下の例では,現在使用中のビデオ・ターミナルに問い合せを行い, そのデバイスに従った設定をし,更に行編集の際のインサートモードを設定しています。SET TERMINAL コマンドの詳細については,ヘルプまたは『OpenVMS DCL ディクショナリ』をご覧ください。

                     $ SET TERMINAL/INQUIRE/INSERT
    

  3. ビデオ・ターミナルに日本語の属性を設定する。

    以下の例では,現在使用中のビデオ・ターミナルに対して,オンデマンド・ ローディングの設定をし,入力コードを1バイトコードとして, 出力コードを2バイトコードとして扱います。修飾子の詳細については『フォント管理ユーティリティ 利用者の手引き』をご覧ください。

                     $ RUN JSY$SYSTEM:KANJIGEN
                     KANJIGEN> SET/FONT/INPUT=KANA/OUTPUT=KANJI
    

2.3 漢字プリンタ・ターミナル

日本語OpenVMSでは,漢字プリンタ・ ターミナルで日本語を取り扱うために,日本語機能を拡張した漢字プリント・ シンビオントを提供します。

2.3.1 漢字プリント・シンビオント

2.3.1.1 漢字プリント・シンビオントの機能

漢字プリント・シンビオントでは,標準版のプリント・シンビオントに加えて以下の機能を追加しています。

以下に各機能について説明します。

  1. 拡張漢字のダイナミック・プリローディング

    ユーザ定義文字の印刷を行います。

    漢字プリント・シンビオントは,印刷ファイルの中のユーザ定義文字を印刷可能な形式に変換し, 印刷を行います。ユーザ定義文字はフォント管理ユーティリティで定義することができます。 フォント管理ユーティリティについては『フォント管理ユーティリティ 利用者の手引き』を参照してください。

  2. 行間罫線のサポート

    行間罫線をサポートしているプリンタでフォームを指定した場合に, 位置の補正を行ないます。

  3. 第2水準漢字の印刷

    JIS X0208の第2水準漢字のROMを持たないプリンタでは,第2水準漢字を印刷可能な形式に変換して印刷を行います。 設定は,プリンタ・ キューの起動時にシステム論理名テーブルに定義された論理名JSY$PRTSMB_HWTYPE_queue-name を参照することによって行います。 queue-nameには,実際のキュー名を設定してください。定義する値は 表 2-1を参照してください。


    注意
    自動起動の設定がされているキューの論理名の設定では, 論理名JSY$PRTSMB_HWTYPE_queue-nameは, SYS$MANAGER:SYLOGICALS.COMで定義してください。

    旧論理名は使用できますがサポートされませんので,新論理名をできるだけご使用ください。 新旧両論理名を使用した場合は,新論理名が優先されます。


  4. 罫線コードの変換

    装置がDEC漢字1978版の場合,DEC漢字1983版の罫線コードを変換して印刷を行います。 設定はプリンタ・キューの起動時に,システム論理名テーブルに定義された論理名JSY$PRTSMB_HWTYPE_queue-name を参照することによって行います。 定義する値は表 2-1を参照してください。

表 2-1 JSY$PRTSMB_HWTYPE_queue-nameの定義値テーブル

漢字コード プリンタのROM第1水準 プリンタのROM第2水準
JISX0208-1978 2 1
JISX0208-1983 設定できません 0 [1]

[1] 省略時または未定義時にはこの設定となります。

※どの設定値でも拡張漢字のダイナミック・プリローディングと行間罫線のサポートは行います。


[1] LAシリーズ・プリンタのみのサポート

2.3.1.2 漢字プリント・シンビオントの種類

漢字プリント・シンビオントは,プリンタの接続方法によって,以下の2 種類があります。

これらのシンビオントを使用することにより,拡張漢字や第2水準漢字(ハードウェアにない場合) を印字することができます。

2.3.2 LA86,LA88,LA90,LA280,LA380

専用プリント・シンビオントを使用するには,以下の例のように,プリント・ キューの初期化の際に指定する必要があります。


注意
専用プリント・シンビオントを使う場合は, 対応するターミナル・ラインに対するKANJIGENでの設定は必要ありません。 また,プリンタの設定は"オンデマンド・ローディングなし" になっていなければなりません。

         $ INIT/QUEUE/START/PROC=JSY$PRTSMB/ON=_TTA0: SYS$PRINT
    

この例では,ホストに直結されたプリンタ(TTA0)上のプリント・キューSYS$PRINT で,漢字プリントシンビオントを使用するように初期化しています。

専用シンビオントは,起動時に論理名JSY$PRTSMB_HWTYPE_queue-nameを参照し, ハードウェアの漢字コードの版と第2水準漢字の有無を調べます。 各プリント・キューの起動前(INIT/QUEUE/STARTまたはSTART/QUEUEの前) に,システム論理名テーブルを必ず定義してください。定義する値は表 2-1 を参照してください。

以下にターミナル,フォーム,プリント・キューの一連の設定例を示します。

         $ SET TERMINAL _TTA0:/DEVICE=LA90/HOSTSYNCH/NOWRAP -
                /WIDTH=511/PAGE=0/PERMANENT
         $ SET DEVICE/SPOOLED=(JSY$PRINT,SYS$SYSDEVICE:) _TTA0:
         $ DEFINE/FORM LA90_FORM 80/MARGIN=(TOP=0,BOTTOM=0,LEFT=0) -
                /NOTRUNCATE/NOWRAP/STOCK=DEFAULT/WIDTH=132/LENGTH=66
         $ DEFINE/SYSTEM JSY$PRTSMB_HWTYPE_JSY$PRINT 2
          ! 第 1 水準のみ,DEC 漢字 1978 版
         $ INITIALIZE/QUEUE/START/PROC=JSY$PRTSMB/FORM=LA90_FORM -
                /ON=_TTA0:/DEFAULT=(FORM=LA90_FORM) JSY$PRINT
    

この場合,以下の点に注意してください。

2.3.2.1 ホストのシリアルデバイスポートへの接続

ホスト直結のプリンタ(ホストのシリアルデバイスポート)への接続は, 次のように行います。

  1. 装置名を確認する。

  2. プリンタのターミナル属性を設定する。

    以下の例では装置名TTA3:に接続されているターミナルのデバイス・タイプを LA84 に設定しています。

                 $ SET TERMINAL _TTA3:/PERMANENT/NOBROADCAST/NOTYPEAHEAD/NOWRAP -
                         /SPEED=(9600)/WIDTH=(511)/PAGE=(66)/DEVICE=LA84
    


    注意
    LA86,LA88,LA90,LA280, LA380のデバイス・タイプにはすべてLA84を指定してください。


  3. プリンタのデバイス属性を設定する。

    以下の例では装置名TTA3:に接続されているデバイスをスプールド・デバイスとして設定しています。

                 $ SET DEVICE/SPOOLED=(SYS$PRINT, SYS$SYSDEVICE:) _TTA3:
    

  4. フォームが必要な場合,フォームを定義する。

    以下の例ではフォーム名LA84_FORMを定義しています。

                 $ DEFINE/FORM LA84_FORM 80/MARGIN=(TOP=0,BOTTOM=0,LEFT=0) -
                         /NOTRUNCATE/NOWRAP/STOCK=DEFAULT/WIDTH=132/LENGTH=66
    


    注意
    フォーム名,フォーム番号は他のフォームと重複しないよう割り当ててください。 フォームを定義する場合は, 以下の修飾子を必ずつけてください。
                    /MARGIN=(TOP=0,BOTTOM=0,LEFT=0)/NOTRUNCATE/NOWRAP
    

  5. 第2水準漢字,罫線コードの変換を行なう場合,論理名JSY$PRTSMB_HWTYPE_queue-name を定義する。

    定義値に関しては,表 2-1を参照してください。 以下の例ではプリンタが第2水準のROMを持っておらず,かつDEC 漢字1978版の場合の設定をしています。

                 $ DEFINE/SYSTEM JSY$PRTSMB_HWTYPE_JSY$PRINT 2
    

  6. プリンタ・キューを作成する。

    以下の例ではプリンタ・キューJSY$PRINTを次のように設定しています。

              装置名                 :  TTA3:
              プリント・シンビオント :  SYS$SYSTEM:JSY$PRTSMB
              フォーム名             :  LA84_FORM
    
                 $ INITIALIZE/QUEUE/START/PROCESSOR=JSY$PRTSMB/ON=_TTA3: -
                         /FORM_MOUNTED=LA84_FORM/DEFAULT=(FORM=LA84_FORM) -
                         JSY$PRINT
    

2.3.2.2 ターミナル・サーバへの接続

ターミナル・サーバへの接続は,次のように行います。

  1. 装置名を設定する。

    以下の例ではターミナル・サーバ名VMSDEV2,ポート名PORT_2に接続されているプリンタを装置名LTA2: として設定しています。LATの設定については『OpenVMS システム管理者マニュアル』を,ターミナル・サーバ名, ポート名の設定方法については,ターミナル・サーバのユーザーズ・ ガイド等を参照してください。

                 $ MCR LATCP CREATE PORT LTA2:/NOLOG
                 $ MCR LATCP SET PORT LTA2:/APPLICATION/NODE=VMSDS2/PORT=PORT_2
    

  2. プリンタのターミナル属性を設定する。

    以下の例では装置名LTA3:に接続されているターミナルのデバイス・タイプをLA84 に設定しています。

                 $ SET TERMINAL _LTA2:/PERMANENT/NOBROADCAST/NOTYPEAHEAD/NOWRAP -
                         /SPEED=(9600)/WIDTH=(511)/PAGE=(66)/DEVICE=LA84
    


    注意
    LA86,LA88,LA90,LA280, LA380のデバイス・タイプにはすべてLA84を指定してください


  3. プリンタのデバイス属性を設定する。

    以下の例では装置名LTA2:に接続されているデバイスをスプールド・デバイスとして設定しています。

                 $ SET DEVICE/SPOOLED=(LAT$PRINT, SYS$SYSDEVICE:) _LTA2:
    

  4. フォームが必要な場合,フォームを定義する。

    以下の例ではフォーム名LA84_FORMを定義しています。

                 $ DEFINE/FORM LA84_FORM 80/MARGIN=(TOP=0,BOTTOM=0,LEFT=0) -
                                 /NOTRUNCATE/NOWRAP/STOCK=DEFAULT/WIDTH=132/LENGTH=66
    


    注意
    フォーム名,フォーム番号は他のフォームと重複しないよう割り当ててください。 フォームを定義する場合は, 以下の修飾子を必ずつけてください。
                    /MARGIN=(TOP=0,BOTTOM=0,LEFT=0)/NOTRUNCATE/NOWRAP
    

  5. 第2水準漢字,罫線コードの変換を行なう場合,論理名JSY$PRTSMB_HWTYPE_queue-name を定義する。

    定義値に関しては,表 2-1を参照してください。 以下の例ではプリンタが第2水準のROMを持っておらず,かつDEC 漢字1978版の場合の設定をしています。

                 $ DEFINE/SYSTEM JSY$PRTSMB_HWTYPE_JSY$PRINT 2
    

  6. プリンタ・キューを作成する。

    以下の例ではプリンタ・キューLAT$PRINTを次のように設定しています。

                 装置名                : LTA2:
                 プリント・シンビオント: SYS$SYSTEM:JSY$LATSYM
                 フォーム名            : LA84_FORM
    

                 $ INITIALIZE/QUEUE/START/PROCESSOR=JSY$LATSYM/ON=_LTA2: -
                         /FORM_MOUNTED=LA84_FORM/DEFAULT=(FORM=LA84_FORM) -
                         LAT$PRINT
    

2.3.3 LN03,DEClaser 2300,DEClaser 2400

DEC漢字1983年版の漢字ROMを持つLN03,DEClaser 2300およびDEClaser 2400 はKANJIGEN ユーティリティによる設定を行う必要はありません。 DEC漢字1978年版の漢字ROMを持つLN03に対してはKANJIGENユーティリティで使用する漢字コードの設定が必要です。 詳しくは,後述の「DEC漢字1978 年版漢字ターミナルの追加設定」の項をご覧ください。


注意
プリンタの設定は”オンデマンド・ ローディングなし”になっていなければなりません。

以下の例を参考にして設定してください。

         $ SET TERMINAL TTA0:/DEVICE=LN03 -
               /HOSTSYNCH/NOWRAP/WIDTH=511/PAGE=0/PERMANENT
         $ RUN JSY$SYSTEM:KANJIGEN                       ! DEC 漢字 1978 年版
         KANJIGEN> SET TTA0:/NOFONT/KCODE_TYPE=DEC78     ! LN03 以外の
         KANJIGEN> EXIT                                  ! プリンタでは不要
         $ SET DEVICE TTA0:/SPOOLED
         $ DEFINE/FORM LN03_FORM 03 /MARGIN=(TOP=0,BOTTOM=0,LEFT=0) -
               /NOTRUNCATE/NOWRAP/STOCK=DEFAULT/WIDTH=80/LENGTH=66
         $ INITIALIZE/QUEUE/START/TERMINAL/FORM=LN03_FORM -
               /ON=TTA0:/DEFAULT=(FORM=LN03_FORM) JSY$PRINT
    

この場合,以下の点に注意してください。

2.4 DEC漢字1978年版漢字ターミナルの追加設定

1978年版漢字ターミナルは,日本語ユーティリティが使用する8区の罫線コードを出力できません。8 区の罫線を出力するには,KANJIGENユーティリティで以下の例のように設定してください。

     $ RUN JSY$SYSTEM:KANJIGEN

     KANJIGEN> SET ターミナル名/KCODE_TYPE=DEC78

     KANJIGEN> EXIT

このように設定すると,出力時に8区の罫線コードは,DEC漢字1978年版の拡張94 区の罫線コードに変換されますから,これまでどおり罫線を使用できます。 漢字ターミナル以外の場合,および漢字ターミナルをカナ・ モードで使用する場合には,"/KCODE_TYPE=DEC78"には設定しないで ください。

2.5 KANJITERM.COM

JSY$SYSTEM:KANJITERM.COMはSYLOGIN.COM,LOGIN.COMなどから使用できるコマンド・ プロシージャです。このコマンド・プロシージャはログインしたビデオ・ ターミナルが以下のことをターミナルに問合せ,ビデオ・ターミナルの場合のみKANJIGEN ユーティリティのSETコマンドを実行します。

したがって,ターミナルを持たないバッチ・ジョブではKANJITERM.COMは使用できません。

SETコマンドで必ず指定したい修飾子(たとえば/PRELOADなど)がある場合はパラメータ(P1) で指定します。

              LOGIN.COM などで
    
                $
                $ @JSY$SYSTEM:KANJITERM
                $
              とします。
    
              拡張漢字 94 区の罫線をプリロードする場合は,
              パラメータに"/PRELOAD"をつけて
    
                $
                $ @JSY$SYSTEM:KANJITERM  "/PRELOAD"
                $
              とします。
    

2.6 KANJIUP.COM

漢字ターミナルの初期設定をシステム起動時に行う場合は, JSY$SYSTEM:KANJIUP.COMをお持ちの機器構成に合わせて変更してください。 このプロシージャは,システムのブート時にSYS$STARTUP:JSY$STARTUP.COM の中で実行されます。

2.7 その他の設定

日本語OpenVMSをさらに使いやすくするために, 以下のような設定もできます。


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