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本章では,DIGITALコマンド言語の使用方法について説明します。特に次のことについて説明します。
詳細情報については,次のものを参照してください。
DIGITALコマンド言語(DCL)は,オペレーティング・システムに特定の操作を実行させる命令からなります。
DCLコマンドを使用すると,次のことが行えます。
DCLコマンドを入力するためには,DCLプロンプト($)に対してコマンドを入力してからReturn を押します。DCLは大文字と小文字を区別しません。 したがって,コマンドは大文字または小文字のどちらでも入力できます。
パラメータがスラッシュ(/)やアットマーク(@)を含んでいる場合は,そのパラメータを引用符(" ") で囲む必要があります。
たとえば,DCLコマンドSHOW TIMEを使用する場合には,次のコマンドを入力します。
$ SHOW TIME <Return>
現在の日付と時間が表示された後DCLプロンプトに戻るので,別のコマンドを入力できます。
11-DEC-1996 15:41:43 $
次の表は,いくつかの一般的なシステム操作を実行する場合に使用されるDCL コマンドを示しています。
コマンド | 操作 |
---|---|
COPY | 指定されたファイルをコピーする。 |
CREATE | ファイルまたはディレクトリを作成する。 |
DELETE | 指定されたファイルをディレクトリから削除する。 |
DIRECTORY | ディレクトリの内容( ファイルのリスト)を表示する。 |
EDIT | テキスト・ファイルの内容を調べて変更する。 |
LOGOUT | セッションを終了する。 |
指定されたファイルをプリンタに送って印刷する。 | |
RENAME | 指定されたファイルの名前または位置を変更する。 |
SET | 画面上でのシステムの表示のしかたを制御する。 |
SHOW | システムの状態を表示する。 |
TYPE | 指定されたファイルの内容を画面に表示する。 |
このようなDCLコマンドに加えて,キーの組み合わせを使用してもタスクを実行できます。 キーの組み合わせは,別のコマンドを処理しながらシステムを使用するための手段です。
キーの組み合わせを入力するためには,Ctrlキーを押しながらもう1つのキーを押します。
次の表に,キーの組み合わせをいくつか示します。この他のキーの組み合わせは, 第3.11節で示します。
キーの組み合わせ | 機能 |
---|---|
Ctrl/C | コマンド入力時に,コマンド処理を取り消す。Ctrl/C を押すと,画面上にCancelという文字列が表示される。 |
Ctrl/Y | コマンド処理に割り込む。Ctrl/Y を押すと,画面上にInterruptという文字列が表示される。 |
Ctrl/T | 現在のプロセスについての情報を表示する。 ただし,システムが一時的に応答不能になっている場合や NOBROADCAST に設定されている場合は表示されない。Ctrl/T の使用についての詳しい説明は,第2.9 節を参照。 |
話し言葉と同じように,DCLは,語 (語彙)と語順 (構文または形式) から構成されます。ここでは,この2つの要素について説明するとともに, 有効なDCLコマンドの構成方法について解説します。
次の例は,DCLコマンド行の一般形式と各要素を示しています。
$ PRINT/COPIES = 5 GROCERY.LIS <Return> 【1】【2】 【3】 【4】 【5】 【6】
DCLコマンド行の各要素について説明します。
省略時のDCLプロンプトはドル記号($)である。DCLと会話している場合, DCLのコマンド受け入れ準備が整うと,このプロンプトが表示される。
コマンドの名前を指定する。コマンドは,組み込みコマンド・プログラムを起動するコマンド, フォーリン・コマンドのいずれかである。この例では,DCL コマンドはPRINTである。
コマンドの処理内容を詳細に指定する。コマンド全体を変更する修飾子もあれば, 特定のコマンド・パラメータだけを変更する修飾子もある。 また,値を取る修飾子もある。修飾子の前には,常にスラッシュ(/) が付く。この例では,修飾子は/COPIESである。
修飾子をさらに詳細に指定する。多くの場合,値の前には等号(=)が付く。 値としては,ファイル指定,文字列,数値,DCLキーワードを指定できる。 キーワードとは,特定の構文形式で使用するために予約された語のことである。
この例では,値は5 (5部)になっている。
コマンドの処理内容を指定する。パラメータは,決まった順序でコマンドに指定しなければならない。 パラメータ値としては,ファイル指定,キュー名, 論理名などを指定できる。
Returnキーは,DCLコマンド行の最後にくるもので,「コマンドを実行せよ」とシステムに知らせる。
その他に次の項目も,DCLコマンド行で使用可能です。
コマンド・プロシージャの中の行を識別する。ラベルは,コマンド・ プロシージャの内部でだけ使用される。ラベルについては,第15章と第16章を参照。
キーワードは,特定の構文形式で使用するように定義された語の1つである。 キーワードは,指定するDCLコマンドの説明のとおりに使用しなければならない。 たとえば,SET FILEコマンドの/PROTECTION修飾子に対するDCL キーワードには,SYSTEM,OWNER,GROUP,WORLDを使用できる。DCL キーワードは,値を取ることもある。
ワイルドカード文字はアスタリスク(*),パーセント記号(%),反復記号(...) ,ハイフン(-)である。これらの文字はファイル指定の中でファイル名, ファイル・タイプ・ディレクトリ名,バージョン番号の一部として, またはそのかわりに使用でき,対応するフィールドに対して 全部であることを示す。ファイルやディレクトリでのワイルドカード文字の使用方法については, 第4 章と第5章を参照。
Extended File Specifications環境で作業を行っている場合,DCLコマンドにおけるワイルド・ カード構文の使用については,『OpenVMS Extended File Specificationsの手引き』を参照してください。
話し言葉がその語順によって意味が変わるのと同じように,DCLでも,コマンド行の各要素を特定の語順に並べる必要があります。
次の2つの例は,典型的なDCLコマンドの構文,つまり形式を示しています。
ラベル:コマンド/修飾子=値=キーワード
ラベル:コマンド パラメータ/修飾子
DCLコマンドには,いくつかの必須パラメータがあります。これらのパラメータは, 必ずコマンド行に入力しなければなりません。これらのパラメータを入力しなければ, パラメータの情報を求めるプロンプトが表示されます。 アンダスコア( _ )で始まる行は,システムが応答を待っていることを意味します。
任意パラメータの入力を求めるプロンプトが表示された場合,Returnを押せば, そのパラメータを省略できます。どちらのプロンプトの場合でも, 必須パラメータを入力した後,残りのパラメータや修飾子を1つ以上入力できます。
スラッシュ(/)またはアットマーク(@)を含むパラメータは,二重引用符("") で囲む必要があります。
次の例では,TYPEコマンドはファイル指定を要求しています。ファイル指定はTYPE コマンドの必須パラメータであるため,このパラメータを指定しなかった場合には, システムから要求されます。
$ TYPE _File: WATER.TXT
コマンド・プロンプトの後にCtrl/Zを押すと,DCLはそのコマンドを無視してDCL プロンプトを再表示します。
省略時の設定と呼ぶ一部の項目は,コマンド行に指定する必要がありません。DCL が省略時の設定によって操作を実行する場合には,コマンドに特定の値を割り当てたり, そのコマンドに関連する特定の機能を実行します。 コマンドを入力するときに,これらの値や機能を指定する必要はありません。 一般に,値や機能は,ユーザが期待するものまたは典型的であると考えられるものです。
DCLは,コマンド・パラメータや修飾子など,いくつかのエリアで省略時の値を提供します。 パラメータの省略時の値については, 次の項を参照してください。修飾子の省略時の値については,第3.6節を参照してください。
PRINTコマンドの修飾子として部数を指定しなかった場合には,DCLは省略時の値である1 を使用します。次の例では,PRINTコマンド行に/COPIES修飾子を指定しているため, 省略時の値が無効になり,ファイルが4部印刷されます。
$ PRINT/COPIES=4 MYFILE.TXT
1行を超えるコマンドを入力する場合には,次の操作を実行して,コマンドを次の行に継続できます。
手順 | 操作 |
---|---|
1 | コマンド行の最後にハイフン(-)を指定し,Returnを押す。
アンダスコア(_)の後にDCLプロンプト($)が表示される。 |
2 | このプロンプトの後にコマンド行の残りの部分を入力する。
アンダスコアから始まる行は,システムがユーザの応答を待っていることを示す。 |
次のことに注意してください。
次の例では,複数の行に継続されるコマンドの入力方法を示しています。
$ COPY/LOG FORMAT.TXT,FIGURE.TXT,ARTWORK.TXT - _$ SAVE.TXT
DCLコマンドのPIPEコマンドを使用すると, 1つのDCLコマンドから複雑なコマンド処理文を作成することができます。 たとえば,同一DCLコマンド行から, 次に示す1つまたは複数の操作を実行できます。
詳細は,第16.20節および『OpenVMS DCL Dictionary: N- Z』の PIPEコマンドの説明を参照してください。
Extended File Specificationsを採用している環境における,複数行のコマンドの詳細については, 『OpenVMS Extended File Specificationsの手引き』を参照してください。
これ以降の節では,DCLコマンドを入力する時の,規則や要件について説明します。
大文字と小文字を組み合わせて使用できます。DCLインタプリタは,小文字を大文字に変換します。 パラメータと修飾子値の中の大文字と小文字は, 引用符(" ")で囲まれている場合を除いて,同じものとみなします。
DCLコマンド行では,空文字(<NUL>)を指定することはできません。これは, たとえ二重引用符で囲んでも同様です。
各コマンド行は,127要素(パラメータ,修飾子,修飾値)を超えてはなりません。
コマンドの中の各要素は255文字を超えてはなりません。また,すべてのシンボルとレキシカル関数を値に変換した結果得られる, コマンド全体が1,024 文字を超えないようにすることが必要です。情報を短縮してシステムに渡す場合には, シンボルを使用します(第14 章を参照)。レキシカル関数は,システム・プロセス,バッチおよび印刷 キュー,ユーザ・プロセスなどについての情報をシステムから取り出して, 操作結果を代入します(第17 章を参照)。
一意的に識別できるのであれば,DCLコマンド名や修飾子を短縮することができます。DCL は初めの4文字のみを読みます。
ただし,コマンド・プロシージャの中ではコマンドを短縮しないでください。 これは,コマンド・プロシージャの上位互換性や明確さを維持するためです。
たとえば,次の2つのコマンドは等しくなります。
$ PRIN/COPI=2 FORMAL_ART.TXT $ PRINT/COPIES=2 FORMAL_ART.TXT
コマンド・プロシージャの中で使用するコマンド形式については,これ以外にも規則があります。 コマンド・プロシージャの中のでのコマンドの使い方については, 第15章と第16章を参照してください。
ファイル指定は,最も一般的なパラメータです。DCLコマンドは,入力ファイル指定( コマンドによって処理されるファイル)と出力ファイル指定( コマンドによって作成されるファイル)を受け入れます。
コマンド行でパラメータを指定するときには,次の規則が適用されます。
DIRECTORY [file-spec]
SHOW PRINTER device-name
$ COPY LISTS.TXT FORMAT.TXT
DELETE file-spec[,...]
$ COPY PLUTO.TXT,SATURN.TXT,EARTH.TXT PLANETS.TXT
修飾子には,次の3種類があります。
短縮した名前が,同じコマンドのすべての修飾子名の間で固有の名前として識別される場合には, 修飾子名を短縮できます。しかし,コマンド・プロシージャの互換性を維持するには, コマンド・プロシージャの内部でコマンドと修飾子を短縮しないようにしてください。
コマンドには省略時の修飾子が設定されています。コマンドの省略時の設定と異なる場合を除き, 修飾子を指定する必要はありません。この後の節では, 修飾子のタイプと修飾子の省略時の設定について説明します。 各コマンドの省略時の設定については,『OpenVMS DCL Dictionary』を参照してください。
コマンド修飾子はコマンドを詳細に指定します。修飾子はコマンド行のどこに指定してもかまいませんが, コマンド名の後に指定するのがよいです。 複数の修飾子を指定する場合には,コマンド名の後にまとめて指定します。
次の例では,/QUEUEがコマンド修飾子です。ファイルSATURN.TXTとEARTH.TXT が印刷キューLN03_PRINTに登録されます。
$ PRINT/QUEUE=LN03_PRINT SATURN.TXT,EARTH.TXT
定位置修飾子は,コマンドやパラメータの意味に変更を加えるためのもので, コマンド文字列内での指定位置によってコマンド全体の意味が異なります。 コマンドと最初のパラメータの間に定位置修飾子を指定した場合には, コマンド文字列全体が影響を受けます。パラメータの後に定位置修飾子を指定した場合には, そのパラメータだけが影響を受けます。
次の例では,最初のPRINTコマンドは,ファイルSPRING.SUNとFALL.SUMのコピーを2 部印刷することを要求しています。2番目のPRINTコマンドは, ファイルSPRING.SUMのコピーは2部要求していますが,FALL.SUMのコピーは1 部しか要求していません。
$ PRINT/COPIES=2 SPRING.SUM,FALL.SUM $ PRINT SPRING.SUM/COPIES=2,FALL.SUM
パラメータ修飾子は,入力ファイルや出力ファイルなどの特定のタイプのパラメータと一緒に使用します。
たとえば,BACKUPコマンドは,入出力ファイル指定にだけ適用されるいくつかのパラメータ修飾子を受け入れます。
次の例の/CREATEDと/BEFORE修飾子は入力ファイルと一緒にしか指定できない修飾子です。 これらの修飾子は,特定の入力ファイルを選択してバックアップ操作を行います。 なお,アスタリスク(*)は,ファイル名に置き換わるワイルドカード文字です。BACKUP は,1995年12月11日以前に作成されたファイル・ タイプTXTを持つすべてのファイルを選択します。
$ BACKUP *.TXT/CREATED/BEFORE=11-DEC-1996 NEWFILE.TXT
1つのコマンド行で矛盾する複数の修飾子を使用すると,最も右側の修飾子が優先されます。
コマンドの中には,同一コマンド行に指定できない相反する修飾子が入っているものもあります。 互換性のない修飾子を使用すると,コマンド・インタプリタはエラー・ メッセージを表示します。
次の例は矛盾する修飾子を示しています。PRINTコマンドは,/COPIES=2修飾子と/NOBURST 修飾子だけを受け付けます。これは,これらの修飾子がコマンド行に最後に入力された修飾子だからです。
$ PRINT MYFILE/COPIES=3/BURST/COPIES=2/NOBURST EARTH.TXT
修飾子には,キーワード,ファイル指定,文字列,数値を指定できます。 修飾子に値を入力するときには,修飾子と値を等号(=)またはコロン(:) で分けます。
修飾子キーワードの中には,さらに情報が必要なものもあります。この場合には, キーワードと値をコロンまたは等号で分けます。
値を必要とする複数のキーワードを指定するには,キーワードを括弧で囲み, キーワードと値を等号(=)またはコロン(:)で分けます。
$ PRINT/COPIES=3 MYFILE.DAT
$ PRINT/COPIES:3 MYFILE.DAT
$ SET SECURITY/PROTECTION:GROUP:RW MYFILE.DAT
$ SET SECURITY/PROTECTION=GROUP=RW MYFILE.DAT
$ SET SECURITY/PROTECTION=(OWNER=RWD,GROUP=RW) myfile.dat
$ SET SECURITY/PROTECTION=(OWNER:RWD,GROUP:RW) myfile.dat
コマンドや修飾子の中には,PRINT/AFTERコマンドのように日付と時刻を値として取るものがあります。 このような値は,次のいずれかの形式で指定します。
絶対時刻は,特定の日付または時刻を示します。絶対時刻の形式は次のとおりです。
[dd-mmm-yyyy][:hh:mm:ss.cc]
各フィールドは,次のような意味を持っています。
dd | 日。1〜31の整数。 |
mmm | 月。JAN,FEB,MAR,APR,MAY, JUN,JUL,AUG,SEP,OCT,NOV,DEC。 |
yyyy | 年(西暦)。整数。 |
hh | 時間。0〜23の整数。 |
mm | 分。0〜59の整数。 |
ss | 秒。0〜59の整数。 |
cc | 1/100秒。0〜99の整数。 |
絶対時刻には,次のような規則が適用されます。
絶対時刻は,次のいずれかのキーワードとしても指定できます。
TODAY | 今日の00:00:00.00時 |
TOMORROW | 明日の00:00:00.00時 |
YESTERDAY | 昨日の00:00:00.00 時 |
次に,絶対時刻の指定の例をいくつか紹介します。
時刻指定 | 結果 |
---|---|
11-DEC-1996:13 | 1995年12月11日午後1時 |
11-DEC | 今年の12月11日の午前0 時 |
15:30 | 今日の午後3 時30分 |
19- | 今年の今月の19 日の午前0時 |
19-:30 | 今月の19 日の午前0時30分 |
デルタ時間とは,現在の日付および時刻から将来の時刻までのオフセット( 時間間隔)のことです。次に,デルタ時間の一般形式を示します。
"+[dddd-][hh:mm:ss.cc]"
各フィールドは,次のような意味を持っています。
dddd | 日数。0〜9999の整数。 |
hh | 時数。0〜23の整数。 |
mm | 分数。0〜59の整数。 |
ss | 秒数。0〜59の整数。 |
cc | 1/100秒数。0〜99の整数。 |
絶対時刻,デルタ時間,または2つの組み合わせとして表現できる値として, 修飾子が説明されている場合には,複合時刻の一部であるかのようにデルタ時間を指定しなければなりません。 たとえば,現在の時刻から5分間というデルタ時間を指定するには,"+:5" と指定します("0-0:5"とは指定しません) 。
デルタ時間の指定には,次のような規則が適用されます。
次に,デルタ時間の指定の例をいくつか紹介します。
時刻指定 | 結果 |
---|---|
"+3-" | 現在から3日間(72時間) |
"+3" | 現在から3時間 |
"+:30" | 現在から30分 |
"+3-:30" | 現在から3日と30分 |
"+15:30" | 現在から15時間30分 |
絶対時刻とデルタ時間を組み合わせる場合には,絶対時刻と正(+)または負(-) の符号を付けたデルタ時間を指定します。複合時刻の形式は,次のとおりです。
"[絶対時刻][+デルタ時間]" [絶対時刻][-デルタ時間]
絶対時刻値とデルタ時間値の可変フィールドと省略時のフィールドには, 前の項で説明した規則と同じ規則が適用されます。
複合時刻を指定する場合には,次の規則が適用されます。
次の表に,複合時刻の指定の例をいくつか紹介します。
時刻指定 | 結果 |
---|---|
"+5" | 現在から5 時間後。 |
"-1" | 現在の時刻から1時間を減算した値。 負の符号(-)は負のオフセットを示す。1の後にハイフンがないので,1 は日付ではなく,時間として解釈される。 |
"+:5" | 現在から5分後。 |
"-:5" | 現在の時刻から5分を減算した値。 |
"-1-00" | 現在の時刻から1 日を減算した値。負の符号(-)は負のオフセットを示す。(-)ハイフンが日付フィールドと時刻フィールドを分割している。 |
"31-DEC:+:5" | 今年の12月31日の午前0 時5分。絶対時刻指定(コロンの前)の省略時の値は,今年の12月31 日の午前0時に設定されている。正の符号(+)は,正のオフセットを示す。 |
31-DEC:-00:10 | 今年の12 月30日の23時50分。絶対時刻指定(コロンの前)の省略時の値は,今年の12 月31日の午前0時に設定されている。DEC:の後の負の符号(-)は,負のオフセットを示す。 |
DCLレベルでは,前に入力したコマンド行を再呼び出しできるので,長いコマンド行を何度も入力する手間が省けます。 コマンドを再呼び出しすれば, 再実行や編集をすることができます。
OpenVMS VAXシステムでは,再呼び出しバッファには前に入力したコマンドを最大20 個まで格納できます。
OpenVMS Alphaシステムでは,再呼び出しバッファには前に入力したコマンドを最大254 個まで格納できます。
前に入力したコマンドを表示する場合には,次のいずれかの方法を使用します。
Ctrl/Bを一回押すと,すぐ前のコマンド行が再呼び出しされます。Ctrl/B をもう一度押すと,2つ前のコマンド行が再呼び出しされ,以下も同様になります。
上向き矢印キーを押すと,直前のコマンドが再呼び出しされ,下向き矢印キーを押すと, 直後のコマンドが再呼び出しされます。また,これらの矢印キーを何回も押して, 以前に実行したコマンドを順に表示させ選択することができます。
コマンド行を調べるには,RECALL/ALLと入力します。再呼び出しできるコマンドを調べた後,RECALL と入力してから希望のコマンド番号を指定すれば, 特定のコマンド行を再呼び出しできます。
RECALLの後に,表示したいコマンド行の最初の文字を指定することもできます。RECALL は,すでに入力したコマンド行を最後から順に検索して,指定した文字で始まる最初のコマンド行を戻します。
$ RECALL/ALL
1 SET DEFAULT DISK2:[MARSHALL] 2 EDIT ACCOUNTS.COM 3 PURGE ACCOUNTS.COM 4 DIRECTORY/FULL ACCOUNTS.COM 5 COPY ACCOUNTS.COM [.ACCOUNTS]* 6 SET DEFAULT [.ACCOUNTS]
$ RECALL 4
Returnを押すと,DCLプロンプトに続いてリストの中の4番目のコマンドが表示されます。 なお,RECALLコマンド自体は,バッファには登録されません。
$ RECALL E
Returnを押すと,次のコマンド行が表示されます。
$ EDIT ACCOUNTS.COM
再呼び出しバッファの内容を削除する場合には,次に示すように,RECALL コマンドにERASE修飾子を指定します。
$ RECALL/ERASE
機密保護上の理由から,パスワードを含むコマンドを入力した後は,再呼び出しバッファの内容を削除するとよいでしょう。
DCLコマンド・レベルでは,1つ1つのキーやキーの組み合わせを使用して, 入力内容を変更することができます。ターミナルのタイプが異なると操作特性も異なりますが, 大半のターミナルは標準ファンクション・キーと ライン・エディタで使用できるキーを備えています。
ターミナル上で行編集機能が使用可能かどうかを調べる場合には,SHOW TERMINALコマンドを入力します。行編集機能の現在の状態が"Terminal Characteristics"の最初の桁に表示されます。
次の例では,行編集は有効ではありません。
$ SHOW TERMINAL Terminal: _VTA130: Device_Type: VT200_Series Owner: ROHBA LAT Server/Port: L121/Port_3 Physical terminal: _LTA130: Input: 9600 LFfill: 0 Width: 80 Parity: None Output: 9600 CRfill: Page: 24 Terminal Characteristics: Interactive Echo Type_ahead No Escape No Hostsync TTsync Lowercase Tab Wrap Scope No Remote No Eightbit Broadcast No Readsync No Form Fulldup No Modem No Local_echo No Autobaud Hangup No Brdcstmbx No DMA No Altypeahd Set_speed No Line Editing Insert editing No Fallback No Dialup No Secure server Disconnect No Pasthru No Syspassword No SIXEL Graphics No Soft Characters No Printer Port Numeric Keypad ANSI_CRT No Regis No Block_mode Advanced_video No Edit_mode DEC_CRT No DEC_CRT2
SET TERMINALコマンドを使用すると,ターミナルがDCLコマンド行を編集する方法を変更することもできます。 省略時の設定では,SET TERMINALコマンドによる編集内容の変更は, 現在のセッションのみに適用されます。 ログインするたびにターミナルを設定する場合には,LOGIN.COMファイルにSET TERMINAL コマンドを入れるようにします。
この例では,行編集機能はできません。行編集機能を使用可能にする場合には,SET TERMINAL/LINE_EDIT コマンドを入力します。
$ SET TERMINAL/LINE_EDIT
SET TERMINAL/INSERTとSET TERMINAL/OVERSTRIKE
コマンド行は,挿入モードまたは上書モードで編集できます。挿入モードでは, 入力した文字がカーソルの左側に挿入されます。上書モードでは, 入力した文字がカーソルの上に示された文字に重ね書きされます。
コマンド行の編集モードを変更する場合には,Ctrl/Aを押します(Ctrl/A がスイッチの働きをします)。セッションの編集モードを変更するには, SET TERMINAL/INSERTまたはSET TERMINAL/OVERSTRIKEコマンドを入力します。
SET TERMINAL/WRAPコマンドを使用すると,ターミナル画面の1行に収まらない数の文字を入力する場合には, テキストは次の行に自動改行されます。
編集できるのは,カーソルが存在する行だけです。テキストを自動改行するときは, 上向き矢印キーを使用してカーソルを上に移動して,前の行を編集することはできません。 カーソルを前の行に移動するには,Deleteキーを使用して現在の行にあるすべての文字を削除します。
Deleteキーには,ターミナルの種類によってRuboutやDeleteという語,またはX を左矢印で囲んだ印が付いています。Deleteキーは,直前に入力した文字の上に戻り, その文字を削除します。ハードコピー・ターミナル では,削除した文字はバックスラッシュ文字の間に表示されるので, 削除内容を見ることができます。ビデオ・ディスプレイ・ターミナルでは,Delete キーを押すと,画面から当該文字が抹消されて,カーソルが後退します。
Backspaceキー(または左向き矢印キー)は,直前の文字の上にカーソルを戻しますが, その文字を削除しません。
行編集機能が使用可能な場合には,Ctrl/Uを使用して,行の先頭から現在のカーソル位置までの文字を削除できます。 行編集機能が使用できない場合には,Ctrl/U を使用すると行全体が取り消されます。このとき,システムはその行を無視して,DCL プロンプトを再表示します。
キー定義とは,特定のターミナル・キーに文字列を割り当てることです。 キーを定義しておくと,定義したキーを押すだけで文字列を入力する代わりになります。 キー定義には,通常,コマンド行全体またはその一部が入っています。 キー定義を使用すると,キーストロークを減らしてDCLコマンドを入力できるようにキーボードをカスタマイズできます。 定義したキーを押すと, コマンドを/TERMINATE修飾子で定義したかどうかにより,コマンドがターミナルに表示されたり実行されたりします。
定義可能なキーの中には,自動的に定義可能になるものもあります(LK201 キーボードのPF1〜PF4キーやF17〜F20キーなど)。ただし,キーパッドKP0 〜KP9やキーパッド・キーのピリオド,コンマ,マイナス,Enterなどの他のキーを定義する場合には, あらかじめ,SET TERMINAL/APPLICATION_ KEYPADまたはSET TERMINAL/NONUMERICコマンドを入力して,それらのキーを定義可能にしておかなくてはなりません。
これ以降の節では,特定の操作を実行するために使用できる,キーまたはキー・ シーケンスについて説明します。
以下のキーはDCLコマンドを入力します。
ターミナルから入力されたデータのファイルの終端を知らせる。Ctrl /ZはExitとして表示される。このキーは,LK201キーボードでのみ使用可能。
現在行をシステムに送信して処理させる。ターミナルによっては, ReturnキーにCRのラベルが付けられていることがある。ログインしていない場合には,Return はログイン・シーケンスを開始する。
次のキーはDCLコマンドを解釈します。
コマンド入力時に,コマンド処理を取り消す。Ctrl/Cを押すと, Cancelという文字列が表示される。このキーは,LK201キーボードでのみ使用可能。
ターミナル出力に割り込んで,現在のプロセスについての統計情報を表示する。 ノード名,ユーザ名,時間,実行中のイメージの名前,現在のターミナル・ セッションで使用されているシステム資源についての情報が表示される。
Ctrl/Tキーを使用すると,システムが,動作中かどうかも判別できる。 システムが一時的に応答不能な場合や,ターミナルがNOBROADCAST に設定されている場合には情報は表示されない。Ctrl/Tを使用するには, 最初に(システム・ログイン・コマンド・プロシージャや個人ログイン・ コマンド・プロシージャ,または会話の中で) SET CONTROL=Tコマンドを入力しなければならない。
コマンド処理に割り込む。Ctrl/Yを押すと,Interruptという文字列が表示される。Ctrl/Y を使用不能にするには,SET NOCONTROL=Yコマンドを使用する。
ほとんどの場合は,DCLプロンプトが戻る。このとき,プログラムは実行中である。 いずれかの組み込みコマンドを入力すれば,CONTINUEコマンドでプログラムの実行を継続できる。 なお,CONTINUEコマンドを入力した後で画面を消去する場合には,Ctrl/W を押す。
次のキーはコマンドを再呼び出しするキーです。
以前に入力した最大20個(VAX)または254個(Alpha)のコマンドを再呼び出しする。
再呼び出しバッファにある次の行を表示する。
以下のキーはカーソル位置を制御します。
ターミナルで最後に入力された文字を削除する。ターミナルによっては,Delete キーにRUBOUTのラベルが付けられているキーもある。 Deleteキーは,行編集機能が使用不能の場合も動作する。
上書モードと挿入モードを切り替える。省略時のモード(SET TERMINAL /LINE_EDITINGコマンドで設定)は,各行の冒頭で再設定される。このキーは,LK201 キーボードでのみ使用可能。
カーソルを1文字だけ左に移動する。
カーソルを行末に移動する。
カーソルを1文字だけ右に移動する。
カーソルを行頭に移動する。このキーは,LK201キーボードでのみ使用可能。
カーソルをターミナル上の次のタブ・ストップに移動する。タブ・ストップは,1 行の中で8文字ごとに設定されている。タブ設定値はハードウェア・ ターミナル特性で,通常はユーザが変更可能。Tabキーは, 行編集機能が使用不能の場合も動作する。
カーソルの左にある単語を削除する。このキーは,LK201キーボードでのみ使用可能。
現在行を次の垂直タブ・ストップに進める。
カーソルを次のページの冒頭に移動する。行編集機能が使用可能な場合には, このキーの機能は無視される。
現在のコマンド行を繰り返す。カーソルは,Ctrl/Rを押したときの位置に残る。
現在の入力行のカーソルの左にあるテキストを削除する。
行編集ファンクション・キーの一部をオフにする。たとえば,Ctrl/V の後にCtrl/Dを押すと,カーソルが1文字左に移動する代わりに, Ctrl/Dが生成される。Ctrl/Dは,DCLレベルでの行終了文字。
Ctrl/Vと組み合わせると,行終了文字でない文字は影響を及ぼさない。Ctrl/H やCtrl/Jなどがこの例である。ただし,Ctrl/Uなどの制御キーは, 行編集機能を保持したままである。
現在行を取り消して,先読みを可能にするバッファにあるデータを削除する。
予備。
以下のキーは,画面表示を制御します。
ターミナルへの表示を一時停止したり再開したりする。Ctrl/Oを押すと,Output off またはOutput onと表示される。
Ctrl/Qが押されるまで,ターミナル出力を一時停止する。
Ctrl/Sによって一時停止されていたターミナル出力を再開する。
このキーがもう一度押されるまで,ターミナル出力を一時停止する。 Hold ScreenキーはLK201キーボードだけで使用でき,No ScrollキーはVT100 キーボードだけで使用できる。
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