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13 文書の印刷結果を変更するためのレイアップの使用

13.1 プリント・ジョブでのレイアップ・オプションの指定


注意
この章で説明する機能は, DCPS-Plusライセンスがインストールされている場合にのみ使用することができます。

レイアップとは,論理ページを物理的な用紙に配置するためのプリンティング・ システムの機能です。調整できるページ・レイアウトとしては,1 枚の用紙に印刷するページ数の指定,マージン設定,ページ境界の指定などがあります。

ページ・レイアップの指定は2種類の方法で行うことができます。1つは, PRINTコマンド行にレイアップ・オプションを直接指定する方法で,もう1 つは,プリント・ジョブにレイアップ定義ファイルを指定する方法です。

13.1.1 プリント・ジョブでのレイアップの指定

次のコマンド形式を使用すれば,プリント・ジョブにレイアップ定義ファイルを指定することができます。

     $ PRINT file-name.PS/PARAMETERS=LAYUP_DEFINITION=layup_file

PRINTコマンド行の layup_file に対して,レイアップ定義ファイルのファイル名を指定してください。 ただし,ファイル・タイプである.LUP は指定しないでください。

PRINTコマンドに1つ以上のレイアップ・オプションを直接指定することもできます。 その場合には,ここに示すようにLAYUP_DEFINITIONパラメータにこれらのオプションを指定します。

     $ PRINT/PARAMETERS=(LAYUP="(NOBORDERS)",NUMBER_UP=2)

このコマンドは,NUMBER_UPパラメータを使用するときにページ境界を印刷しないよう指定しています。LAYUP_DEFINITION パラメータを使用してレイアップ・ オプションを直接指定する場合には,レイアップ・オプションとレイアップ定義ファイル名を区別するために, 引用符と括弧を使用しなければなりません。

レイアップ・オプションは表 13-1 に示すとおりです。

表 13-1 レイアップ定義ファイル・オプション

レイアップ・オプション 実行される操作 参照項目
ALTERNATE 用紙の各面ごとに2つのマージンを切り換えます。 第13.1.2項
BORDERS ページ境界を描きます。 第13.1.3項
FIRSTPAGE ページが印刷される最初のページ・スポットを指定します。 第13.1.4項
GRID 用紙の各面のページ・スポットの数を列と行で設定します(このオプションはNUMBER_UPを無効にします)。 第13.1.5項
MARGINS=t,b,l,r 用紙のマージンを設定します。 ただし,tblr はそれぞれ, 上,下,左,右マージンを示します。 ページはマージン内に収まるように拡大縮小されます。 第13.1.6項
PAGEORDER 用紙の各面にページが印刷される順序を指定します。 第13.1.7項
PAGESPERSHEET NUMBER_UPによって設定したページ・スポットの数とは無関係に, 用紙の各面に印刷されるページ数を設定します。 第13.1.8項

以降の各節では,レイアップ・オプションについて詳しく説明します。第13.2.1項にはレイアップ定義ファイルの例が示されています。

13.1.2 交互マージンの指定

ALTERNATEオプションを使用すれば,用紙の各面ごとに2種類のマージンを切り換えることができます。 このオプションは両面印刷するのに役立ちます。

表 13-2は,ALTERNATEオプションに指定できる値を示しています。

表 13-2 ALTERNATEオプションの値

結果
LEFT 左マージンと右マージンを交互に切り換えます
RIGHT 左マージンと右マージンを交互に切り換えます
なし LEFTと同じ動作
TOP 上部マージンと下部マージンを交互に切り換えます
BOTTOM 上部マージンと下部マージンを交互に切り換えます

ALTERNATEオプションだけを指定し,値を指定しなかった場合には,左マージンと右マージンが交互に切り換えられます。

用紙の各面ごとのマージン切り換えは,次のプリント・パラメータを使用するプリント・ ジョブに対して,省略時の処理の一部として実行されます。

次のプリント・パラメータを使用するプリント・ジョブの場合には,交互マージンの切り換えは省略時の処理の一部として実行されません。

PRINTコマンドに/PARAMETERS=SIDESを指定しなかった場合には,交互マージン処理が実行されるかどうかは, プリンタ・ハードウェアに応じて異なります( プリンタのマニュアルを参照してください)。

13.1.3 ページ境界の指定および省略

BORDERSオプションは各ページの周囲にページ境界を描きます。PRINT /PARAMETERS=NUMBER_UPを使用してジョブを印刷する場合には,ページを区切るのにページ境界が役立ちます(NUMBER_UP を使用した場合には,省略時の設定としてページ境界が印刷されます) 。NOBORDERSオプションを使用すれば, ページ境界を印刷しないように指定することができます。

ページ境界はすべてのページ・スポットの周囲に印刷されるわけではなく, 実際のページの周囲にだけ描かれます。このため,文書内のブランク・ ページと存在しないページを区別するのに役立ちます。図 13-1 は,BORDERSオプションを使用せずに1 枚の用紙に4ページを印刷した場合を示しています。使用するコマンドは次のとおりです。

     $ PRINT/PARAMETERS=(NUMBER_UP=4,"LAYUP_DEFINITION=(NOBORDERS)") MYFILE.MEM

図 13-2は,BORDERSを使用して同じページを印刷した結果を示しています。 これはNUMBER_UPを使用するプリント・ジョブの場合の省略時の動作です。 コマンドは次のとおりです。

     $ PRINT/PARAMETERS=NUMBER_UP=4 MYFILE.MEM

図 13-1 BORDERSを使用しない場合のNUMBER_UP=4の印刷

図 13-2 BORDERSを使用した場合のNUMBER_UP=4の印刷

13.1.4 最初のページ・スポットの指定

FIRSTPAGEオプションは,最初のページが印刷される,用紙上のページ・ スポットを指定します。

FIRSTPAGEには値を必ず指定しなければなりません。値は,最初のページを印刷するページ・ スポットの番号です。ページ・スポットには1から順に番号が付けられます。FIRSTPAGE に指定する値はNUMBER_UPに指定する値より小さくなければなりません。NOFIRSTPAGE を指定することはできません。

省略時の設定では,用紙の最初のページ・スポットが使用されます。

FIRSTPAGEオプションはプリント・ジョブの1枚目の用紙に対してだけ有効です。 他の用紙はすべて,ページ・スポット1から印刷を開始します。

ある文書の右ページと左ページのページ・レイアウトを前もって確認しなければならないときに,FIRSTPAGE オプションはページの印刷方法を指定するのに役立ちます。FIRSTPAGE オプションを指定しなかった場合には, ページはすべてのページ・スポットに印刷されます。FIRSTPAGEオプションを使用すれば, 右ページと左ページのページ・レイアウトを変更して印刷できます。

たとえば,図 13-3は,NUMBER_UPの値が8 で,FIRSTPAGEが指定されていないときに,ページがどのように印刷されるかを示しています。 次の例を参照してください。

     $ PRINT/QUEUE=PS$A10/PARAMETERS=NUMBER_UP=8 MYFILE.PS

1枚目の用紙に印刷される最後のページは左ページです。

図 13-3 FIRSTPAGEを使用しない場合のNUMBER_UP=8の印刷

図 13-4は,NUMBER_UP=8とFIRSTPAGE=2 の両方を指定したときにページがどのように印刷されるかを示しています。 次の例を参照してください。

$ PRINT/QUEUE=PS40$A10/PARAMETERS=(NUMBER_UP=8,"LAYUP_DEFINITION=(FIRSTPAGE=2)") MYFILE.PS

この図に示すように,最後に印刷されるページは右ページになります。

図 13-4 FIRSTPAGEを使用した場合のNUMBER_UP=8の印刷

13.1.5 ページ格子の指定

1枚の用紙に印刷する最大ページ・スポットの数を指定するために,PRINT コマンドにNUMBER_UPパラメータを使用するかわりに,GRIDオプションを使用することができます。

GRIDオプションは2つの値を必要とします。最初の値は格子の列数を指定し,2 番目の値は行数を指定します。2つの値の積は100以下でなければなりません。

格子は用紙ではなく,ページを基準に解釈されます。NUMBER_UPの場合と同様に, ページの方向は用紙の方向とは無関係です。したがって,ポートレート( 縦長)方向にページを印刷しても,ランドスケープ(横長)方向に用紙を持って内容を読むことができます。

この例では,1枚の用紙に6ページを印刷します。6ページは2列3行に印刷されます。

     Grid = 2, 3

13.1.6 用紙マージンの指定

MARGINSオプションは印刷する用紙のマージンを設定します。 このオプションは4つの値を必要とします。 各値は用紙の上部マージン,下部マージン,左マージン,右マージンを設定します。 値はプリンタのポイント数として解釈されます(1インチは72ポイントです)。

用紙マージンの値を指定するときは,常に上部マージン,下部マージン, 左マージン,右マージンの順に指定してください。 用紙マージンは,ページがポートレート(縦長)方向であるのか, ランドスケープ(横長)方向であるのかとは無関係です。 正の値の場合は,マージンはページの中心に向かって移動し, 負の値の場合は,マージンはページの中心から離れる方向に向かって移動します。

MARGINSオプションを使用する場合には,マージンを差し引いた後の領域に収まるように, ページは拡大縮小されます。したがって,指定したマージンに収まるように, 印刷する文書のテキストとグラフィックのサイズは変更される可能性があります。 ただし,ページが拡大縮小される場合でも, アスペクト比(ページの高さと幅の比率)は変更されません。また,空き領域はページの上下左右に等しく分割されます( 図 13-5を参照)。

図 13-5 MARGINSオプションを使用した場合の使用可能な用紙領域

MARGINSオプションだけを指定し,値を指定しなかった場合には,レイアップは4 つのすべてのマージンに対して値として36を使用します。 NOMARGINSを指定した場合には,ソフトウェアは4つのすべてのマージンに対して値として0 を使用します。

省略時のマージン設定は上下左右とも36ポイント(0.5インチ)です。

次の例では,左マージンが広く設定されます。

$ PRINT/QUEUE=PS40$A10/PARAMETERS=("LAYUP_DEFINITION=(MARGINS=10,10,60,10)") MYFILE.TXT

この例では,マージンは次のように設定されます。

上部マージン 10ポイント
下部マージン 10ポイント
左マージン 60ポイント
右マージン 10ポイント

13.1.7 使用するページ・スポットの順序の指定

PAGEORDERオプションは,各ページが用紙に印刷される順序を設定します。 これは各ページを読む順序であると考えることができます。

PAGEORDERオプションには値を指定しなければなりません。表 13-3 は指定できる8種類の値を示しています。 省略時のページ順序はRightDownです。

表 13-3 PAGEORDERオプションの値

説明
RightDown ページの順序は左から右へ,上から下へ
LeftDown ページの順序は右から左へ,上から下へ
RightUp ページの順序は左から右へ,下から上へ
LeftUp ページの順序は右から左へ,下から上へ
DownRight ページの順序は上から下へ,左から右へ
DownLeft ページの順序は上から下へ,右から左へ
UpRight ページの順序は下から上へ,左から右へ
UpLeft ページの順序は下から上へ,右から左へ

図 13-6は,ランドスケープ(横長)方向で各PAGEORDER の値に対してページがどのように印刷されるかを示しています。

図 13-6 PAGEORDERオプション(ランドスケープ(横長)方向)

図 13-7は,ポートレート(縦長)方向で各PAGEORDER の値に対してページがどのように印刷されるかを示しています。

図 13-7 PAGEORDERオプション(ポートレート(縦長)方向)

13.1.8 用紙の各面に印刷するページ数の指定

PRINTコマンドに指定するNUMBER_UPパラメータは,用紙の各面に印刷できる最大ページ数を定義します。 レイアップ定義ファイルのPAGESPERSHEET オプションは,用紙の各面に実際に印刷されるページ数を指定します。

NUMBER_UPはページ・スポットの数を指定するため,用紙上のページ・スポットのレイアウトも決定します。PAGESPERSHEET は使用するページ・スポットの範囲だけを指定し, レイアウトは決定しません。

PAGESPERSHEETには値を指定しなければならず,値はNUMBER_UPに指定した値より小さくなければなりません。NOPAGESPERSHEET を指定することはできません。

省略時の設定では,用紙のすべてのページ・スポットが使用されます。

SIXPAGES.LUPというレイアップ定義ファイルに次の行が登録されているとしましょう。

     PagesPerSheet = 6

次のコマンドを使用してMYFILE.TXTというファイルを印刷します。

     $ PRINT/PARAMETERS=(LAYUP_DEFINITION=SIXPAGES,NUMBER_UP=8) MYFILE.TXT

このコマンドは用紙の各面のページ・スポットの数を8として指定していますが, ジョブは各面に6ページだけを印刷し,残りの2つのページ・スポットは空白にします。

13.2 レイアップ定義ファイルの作成

ユーザは必要なレイアップ定義ファイルを作成し,マージン,ページの位置, ページ境界を指定するためのオプションを登録し,このファイルをシステム論理名DCPS$LAYUP によって定義されるディレクトリに登録するようにシステム管理者に依頼することができます。

適切なレイアップ・オプションを登録したレイアップ定義ファイルを作成する場合には, 次の規則に従ってください。

DECprint Supervisorソフトウェアにはレイアップ定義ファイルの例が添付されています。 第13.2.1項を参照してください。

13.2.1 レイアップ定義ファイルの例

この節で説明する最初の3つのレイアップ定義ファイルはDECprint Supervisorソフトウェアに添付されています。 これらの例はディレクトリSYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS] に登録されています。

13.3 レイアップ・エラー通知

レイアップ定義ファイルのエラーはBADLAYDEFという識別コードとともに返されます。 エラー・メッセージをターミナルに表示するには,PRINTコマンド行に/NOTIFY 修飾子を指定します。エラー・メッセージを印刷または保存するには,PRINT/PARAMETERS にMESSAGESパラメータを指定します。 エラー・メッセージの形式は次のとおりです。

     %DCPS-W-BADLAYDEF, condition on line line-number in layup definition

condition は問題を示し,line-number はエラーが発生したレイアップ定義ファイルの行番号を示します。 レイアップ定義ファイル内のエラーによって出力されるメッセージのテキストと説明については, 第A.3節を参照してください。


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