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1 一般ユーザ向けリリース・ノート

この章では,DECwindows Motifに関する一般ユーザ向けの情報について説明します。

1.1 New Desktopに関する一般ユーザ向けリリース・ノート(Alpha のみ)

この節は,日本語DECwindows Motif V1.2-5 for OpenVMSとNew Desktopに関するリリース・ ノートです。

1.1.1 dximageviewのTIFエラー・メッセージ

V1.2-4

dximageviewを使用して, CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[APPCONFIG.HELP.C.GRAPHICS]ディレクトリからTIF フォーマットのファイルを表示しようとした場合,次の警告メッセージが表示されます。

     TIFFOpen: Warning, unknown field with tag 34209 (0x85a1) ignored.
     TIFFOpen: XResolution: Rational with zero denominator (num = 200).

このエラーは,CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[APPCONFIG.HELP.C.GRAPHICS]ディレクトリ内にあるTIF ファイルが対象の場合にのみ発生します。これは単なる警告メッセージで, ファイルはイメージ・ビューアによって正しく表示されます。

1.1.2 スタンドアローン・モードのみをサポートするテキスト・ エディタ

V1.2-4

テキスト・エディタのマニュアル・ページに,「テキスト・エディタにはクライアント/ サーバ機能が備わっている」という説明がありますが,本バージョンのテキスト・ エディタは「スタンドアローン」オプションのみをサポートし, クライアント/サーバ・アプリケーションとしては構成されていません。

1.1.3 スペルチェック機能をサポートしないテキスト・ エディタ

V1.2-4

New Desktopに組み込まれているテキスト・エディタについては,『共通デスクトップ環境: ユーザーズ・ガイド』の第10章で説明しています。 「スペルミスの語を修正するには」の節で説明しているスペルチェック機能は, 本バージョンのテキスト・エディタには組み込まれていません。

1.1.4 8文字でないテキスト・エディタのタブ幅

V1.2-4

New Desktopのテキスト・エディタのベースであるテキスト・ウィジェットは, タブ幅を厳密に8文字に設定しているわけではありません。通常,8 文字よりやや多くなります。スペースとタブの組み合わせでテキストを表示すると, 行が縦に揃わなくなることがあります。

1.1.5 一部のファイル名のUNIX形式での表示

V1.2-4

アプリケーション・マネージャの[検索]ダイアログ・ボックスおよびヘルプ・ ビューアによって報告されるエラー・メッセージは,ファイル名がOpenVMS 標準形式でなくUNIX形式で表示されます。たとえば, SYS$SYSROOT:[SYSMGR]LOGIN.COMは,/sys$sysroot/sysmgr/login.comと表示されます。

1.1.6 DECwindowsインタフェースが保存されないTPU エディタ

V1.2-4

セッション終了時またはホーム・セッション保存時に,DECwindowsテキスト・ プロセッシング・ユーティリティのウィンドウが表示されるまでに1 分間の遅延が発生します。

TPU (EVEエディタ)のDECwindowsインタフェースの状態を保存する必要がある場合, このインタフェースは通知を要求しますが,セッション・マネージャから送信される通知には応答しません。New Desktop セッション・ マネージャは,1分間だけ応答を待ってから処理を継続します。このために遅延が発生します。

1.1.7 フロントパネルの時計

V1.2-4

New Desktopのフロントパネルの時計は,アナログ時計表示でシステムの現時刻を表示するアイコンです。 このアイコンにはその他の機能はなく, このアイコンをクリックまたはダブル・クリックしても何も起こりません。

1.1.8 フロントパネル・アイコンでのMB3の使用

V1.2-4

New Desktopのフロントパネルでは,マウスの右ボタン(MB3)を使用することができます。 カーソルをフロントパネルのアイコンに移動してMB3を押すと, サブパネル(メニュー)が表示されます。このメニューには次の項目があります。

1.1.9 アプリケーション起動時の画面の選択

V1.2-5

フロントパネル,ファイル・マネージャ,アプリケーション・マネージャのいずれかからアプリケーションを起動する場合に, 新しいアプリケーションを表示する画面をグラフィカルに選択できる新機能が用意されています。 省略時の設定では,新しいアプリケーションは現在の画面(マウス・ ポインタのある画面)に表示されます。目的の画面で起動するには,[省略時の画面の設定] ウィンドウの番号付き画面コントロールのいずれかに, ファイル・マネージャまたはアプリケーション・マネージャからアプリケーション・ アイコンをドロップするようにします。これで,現在の画面を変更することなく, 選択した画面でアプリケーションを起動することができます。

[省略時の画面の設定]ウィンドウを以前のようにアクティブにしたい場合は, アプリケーション・マネージャのデスクトップ・ツール・フォルダにある[ 省略時の画面の設定]アプリケーションを選択してください。各画面で省略時の画面ウィンドウのインスタンスを個別に起動することができます。 省略時の画面の強調表示は,[省略時の画面の設定]ウィンドウのすべてのインスタンスに適用されます。

1.1.10 独立プロセス

V1.2-4

フロントパネルあるいはdtifileからアプリケーションを起動すると, 新しく独立プロセスが作成され, ユーザ名,$CDE,3桁の数値の識別子で構成されたプロセス名が付けられます。

たとえば,SMITHというユーザがアプリケーションを起動すると, SMITH$CDE001というプロセス名になり,このプロセスを終了しないで次のアプリケーションを起動するとSMITH$CDE002 というプロセス名になります。 プロセスを終了すると,SMITH$CDE001というプロセス名は未使用となり, 再度別のプロセスで使用されます。

1.1.11 ToolTalkアクションの未サポート

V1.2-4

『共通デスクトップ環境:上級ユーザー及びシステム管理者ガイド』の説明にある, アクション定義ファイル(*.dt)へのToolTalkアクションの定義は, 本バージョンではサポートされていません。本バージョンでインストールされているアクション定義ファイルには,ToolTalk アクションの一部が入っていますが, これらのアクションの変更はサポートされていません。 このため,変更した場合にはNew Desktopの一部の機能が動作しなくなる原因となる可能性があります。

1.1.12 セッション・マネージャの保存および復元の制約

V1.2-4

New Desktopに装備されているセッション・マネージャは,ブックリーダ, 漢字端末エミュレータ,カレンダの各DECwindowsアプリケーションについて,WM_SAVE_YOURSELF プロトコルをサポートしています。このプロトコルを活用するよう作成されたアプリケーションでは, 次の処理が可能です。

New Desktopの各アプリケーションは保存および復元機能をサポートしていますが, 既存のDECwindows Motifアプリケーションの多くは,WM_SAVE_ YOURSELFプロトコルをサポートするよう変更されていません。

既存のアプリケーションと新しいアプリケーションの違いは,次のようなログインおよびログアウト時に見られます。

既存のDECwindows Motifアプリケーションであっても,DECwindows電子メールなど保存および復元機能をサポートしているものがあります。

1.1.13 dtfileの制約(New Desktopのみ)

V1.2-4

dtfileには次のような制約があります。

1.1.14 [ログイン]画面と[一時停止]画面のテキスト・ フィールド

V1.2-4

次の節以降では,[ログイン]画面と[一時停止]画面のテキスト・フィールドについて説明します。

1.1.14.1 ユーザ名入力時に認識されない制御文字

New Desktopは,ログイン・ユーザ名のテキスト・フィールドに制御文字の入力を受け付けません。 制御文字を入力しても破棄されます。これに対して,DECwindows のログイン・ユーザ名テキスト・フィールドは,次のキー・ シーケンスをサポートしています。

New Desktopは,Ctrl/Uをサポートしています。ログインでのパスワード入力時または画面の一時停止の解除時にCtrl/U を入力すると,その位置までの入力文字がすべて消去されます。

1.1.14.2 RETURNキーを使用した[ログイン]テキスト・ フィールド間の移動

V1.2-4

New Desktopでは,[ユーザ名]テキスト・フィールドと[パスワード]テキスト・ フィールドは異なるダイアログ・ボックスであるため,[ユーザ名] から[パスワード]のテキスト・フィールドに移動する場合は,RETURN キーを使用します。Tabキーでは,次のテキスト・フィールドにカーソルが移動しません。Tab キーでは,[確認]ボタンが強調表示されるだけです。

1.1.14.3 [一時停止]画面でのパスワード入力時の最初の文字の無視

V1.2-4

ワークステーションが一時停止しており,[パスワード]ダイアログ・ ボックスが表示されていない場合, 入力した最初の文字は無視されます。これに対して,DECwindows の[一時停止]画面では,入力した文字はすべて受け付けられます。

New Desktopの使用時には,実際の文字を入力しないShiftなどのキーを使用するか, あるいはマウスを使用して[一時停止]ダイアログ・ボックスを再表示させてから, パスワードを入力してください。入力した文字が不明な場合には,Ctrl/U を使用して[パスワード]テキスト・フィールドに入力した文字を消去することができます。

1.1.14.4 最初の画面に文字が表示されない場合

V1.2-4

Xサーバのフォント・パスに100 dpiフォントが入っていない場合,ログイン直後の青い最初の画面に「ようこそ」の文字が表示されません。 リモートのX サーバにセッションを表示している場合にも,この問題が発生する可能性があります。

1.1.15 漢字端末エミュレータ・ウィンドウ内でのSET DISPLAY/CREATE の使用

V1.2-4

特権アカウントから,漢字端末エミュレータ・ウィンドウ内で/CREATE修飾子を指定しないでSET DISPLAY コマンドを使用した場合,その時点以降に作成されるアプリケーション用のディスプレイ設定が変更されます。 ログアウト後にログイン・ ボックスを表示するディスプレイ設定も再定義されます。

ディスプレイがまだ未設定の際に漢字端末エミュレータからディスプレイを設定する場合は, 必ず/CREATE修飾子を指定してください。

1.1.16 リファレンス・ページの表示

V1.2-4

本バージョンには,New Desktop用の新しいヘルプ・ファイルであるリファレンス・ ページ(マニュアル・ページとも呼ばれます)が含まれています。 リファレンス・ページは章別に分かれ,OpenVMSではファイルの拡張子が章番号を表しています。 本バージョンに組み込まれているものは次の各章です。

タイトル 内容 拡張子
1 アプリケーション filename.1
3 ライブラリおよびプログラミング filename.3
4 プログラミング filename.4
5 ファイルのフォーマットを含む filename.5

dthelpviewには,マニュアル・ページの表示に必要な動作が定義されています。 プロセス論理名MANPATHは,全リファレンス・ページが入っているCDE$SYSTEM_DEFAULTS:[MAN] ディレクトリを指すように定義されています。

次のいずれかの方法でdthelpviewを起動し,リファレンス・ページを表示することができます。

方法1

漢字端末エミュレータから次のようにdthelpviewを起動して,dtaction.1 という名称のリファレンス・ページを表示します。

  1. DCLレベルあるいはLOGIN.COMファイルで,次のようなフォーリン・ コマンドを実行してdthelpviewを定義します。
         $ dthelpview :== -
         _"$ sys$sysdevice:[sys0.syscommon.cde$defaults.system.bin]dthelpview.exe"
    

  2. DCLレベルで次のように入力します。
         $ dthelpview -"manPage" dtaction.1
    

方法2

次の方法でアプリケーション・マネージャからdthelpviewを起動し, dtaction.1という名称のマニュアル・ページを表示します。

  1. アプリケーション・マネージャを起動します。

  2. [デスクトップ・アプリケーション・グループ]の[マニュアル・ ページ・ビューア]アイコンをダブル・クリックします。ダイアログ・ ボックスが表示されます。

  3. 表示するリファレンス・ページを入力して,OKをクリックします。

1.1.17 フォント選択の制約

V1.2-4

New Desktopでは,フォント・サイズを選択するダイアログ・ボックスを表示する機能が備わっています。 これで設定した新しいフォント・サイズはNew Desktop のアプリケーションにのみ適用され,既存のDECwindows Motifのアプリケーションには適用されません。

1.1.18 省略時のワークスペースの制約

V1.2-4

New Desktopでは省略時の4枚のワークスペースに対して省略時の背景が設定されています。 ワークスペースの背景は,スタイル・マネージャの[背景] 機能で変更したり,[背景なし]を選択することができます。

[背景なし]を選択すると,デスクトップの背景にアイコンをドラッグしてドロップすることができなくなります。 アイコンをドラッグしてボタンを放しても, そのアイコンはファイル・マネージャあるいはアプリケーション・ マネージャに戻ってしまいます。

[背景なし]を選択する前に背景にドロップされたアイコンはそのまま残り, 正常に機能します。

1.1.19 Alt + Spaceキーでのウィンドウ・ メニューの非表示

V1.2-4

New Desktopでは,Alt+Spaceキーの組み合わせは省略時の設定でCompose Character機能に割り当てられています。これは,特定のCompose Characterキーをサポートしていないキーボードで,その機能を可能にするためです。 ウィンドウ・メニューを表示する機能を使用する場合は, 次の手順に従ってください。

  1. CDE$SYSTEM_DEFAULTS:[CONFIG.lang]SYS.DTWMRCをDISK$:[LOGIN.DT]DTWMRC.DAT にコピーします。

  2. Keys DtKeyBindingsセクションで,コメント化されている次の行を元に戻します。
         Alt<Key>space   icon|window   f.post_wmenu
    

  3. ワークスペース・マネージャを再起動します。

1.1.20 DECwriteプログラムを起動しないDECwrite アイコン

V1.2-5

DECwindowsにDECwriteプログラムは含まれていませんが,New DesktopにはDECwrite アイコンがあらかじめ用意されています。DECwrite製品をインストールしていない場合,DECwrite アイコンをクリックすると,次のエラー・ メッセージが表示されます。

     > RCV'D (pid 000000CA): %DCL-W-IVVERB, unrecognized command verb -
                              check validity and spelling
     -> RCV'D (pid 000000CA):  \DECWRITE\
     -> RCV'D (pid 000000CA):   TESTER       logged out at
     29-JUL-1998 17:56:44.63

DECwrite製品をインストールしているにも関わらずこのエラーが発生する場合は,SYSTARTUP_VMS.COM でDECwriteを起動しているかどうかを確認してください。

1.2 DECwindowsでのOpenVMS EFSのサポート

V1.2-5

原則としてDECwindows Motifは,OpenVMS Alpha V7.2で提供されるEFS (Extended File Specifications)をサポートしています。このインタフェースは, 新しいODS-5ファイル名をサポートしています。そうでない場合は, 特定の構成要素が新しい名前をサポートしていないことを示すエラー・ メッセージを通知します。

1.2.1 ファイル選択のポップアップ・ウィンドウ

V1.2-5

ほとんどのDECwindows Motifアプリケーションで使用されている標準のファイル選択用ポップアップ・ ウィンドウは,ODS-5スタイルのファイル名をサポートしています。 このウィンドウは,深いディレクトリ構造,大文字と小文字の区別, 拡張ファイル名をサポートしています。ウィンドウは, 拡張ファイル名文字セットを使用したファイル名の入力をサポートしており, サーカンフレックス(^)を使用して拡張ファイル名を表示します。 深いディレクトリ構造および拡張ファイル名文字セットの使用についての詳細は, 『OpenVMS Extended File Specificationsの手引き』を参照してください。

1.2.2 従来のDECwindowsデスクトップでのファイル・ ビュー・アプリケーション

V1.2-5

ODS-5ボリュームで,ファイル・ビュー・アプリケーションは,深いディレクトリ構造, 大文字と小文字の区別,拡張ファイル名をサポートしています。 ファイル・ビューは,拡張ファイル名文字を使用したファイル名入力に対応し, サーカンフレックス記号(^)による拡張ファイル名を表示します。 深いディレクトリおよび拡張ファイル名文字セットの使用についての詳細は, 『OpenVMS Extended File Specificationsの手引き』を参照してください。

EFSをサポートするには,ファイル・ビューのカスタム拡張コマンドを修正する必要があります。

1.2.3 New Desktopでのファイル・マネージャ・ アプリケーション

V1.2-5

ファイル・マネージャ・アプリケーションは,大文字と小文字の区別をサポートしています。

ファイル・マネージャ・アプリケーションは,拡張ファイル名文字セットを使用してファイルを作成しますが, そのファイルに対する操作はサポートしていません。

ファイル・マネージャ・アプリケーションは,深いディレクトリ構造および拡張ファイル名をサポートしますが, 次の制限があります。『OpenVMS Extended File Specificationsの手引き』に記述されているように, ODS-5ボリュームでは,ファイル名と深いディレクトリ構造をサポートするために, ファイル名の長さが8ビット文字で236文字以下,合計のファイル指定が8 ビット文字で512文字以下という制限があります。現在のバージョンのファイル・ マネージャでは,拡張ファイル名と深いディレクトリ構造について, 合計の指定文字数が8ビット文字で235文字以内という制限もあります。 この制限を超えた場合,メニュー項目によっては,エラー・メッセージが表示されます。

1.2.3.1 EFSでのファイル・マネージャの問題(New Desktopのみ)

1.2.4 プログラミング・ライブラリ

V1.2-5

プログラミング・ライブラリは,深いディレクトリ構造および拡張ファイル名を完全にサポートしていますが, 大文字と小文字の区別および拡張ファイル名文字セットはサポートしていません。

1.2.5 TIS (トランスレート・イメージ・サポート) ライブラリ(Alphaのみ)

V1.2-5

TIS (トランスレート・イメージ・サポート)ライブラリは,EFSをサポートするようにアップデートされていません。

1.3 Alt + Spaceキーでのウィンドウ・メニューの非表示(DECwindows デスクトップのみ)

V1.2-4

DECwindows Motif for OpenVMSでは,Alt+Spaceキーの組み合わせは省略時の設定でCompose Character 機能に割り当てられています。これは,特定のCompose Character キーをサポートしていないキーボードで,その機能を可能にするためです。 ウィンドウ・メニューを表示する機能を使用する場合は, 次の手順に従ってください。

  1. DECW$SYSTEM_DEFAULTS:DECW$MWM_RC.DATをDECW$USER_ DEFAULTS:DECW$MWM_RC.DATにコピーします。

  2. Keys DtKeyBindingsセクションで,コメント化されている次の行を元に戻します。
         Alt<Key>space   icon|window   f.post_wmenu
    

  3. ウィンドウ・マネージャを再起動します。

1.4 ドラッグ・ドロップ機能の使用

V1.2

ノートパッドを除くすべてのDECwindows Motif for OpenVMSアプリケーションは, ドラッグ・ドロップ機能をサポートしています。DECwindows Mailは,メイン・メッセージ・エリアを除くすべてのウィンドウでドラッグ・ ドロップ機能をサポートします。メイン・メッセージ・エリアでは, DECwindows Mailは独自のドラッグ・ドロップ機能を持っており,SVNインタフェースによりMB2 を使用してメッセージを移動することができます。

ドラッグ・ドロップ機能により,画面上のオブジェクトの移動と複写を行うことができます。 たとえば,テキスト入力領域のテキストを移動し,他の場所にペーストすることができます。

次の手順でテキストを新しい場所にドラッグ・ドロップします。

  1. MB1を使用して複写または移動するテキストを選択します。

  2. テキストを移動する場合はMB2を押し続けます。テキストを複写する場合はCtrl/MB2 を押し続けます。

    移動または複写アイコンが表示されます。

  3. テキストをドロップしたい場所までアイコンをドラッグし, MB2ボタンを放します。

    アイコンをドラッグした画面上にオブジェクトが強調表示されている場合は, その場所にテキストをドロップすることができます。

1.5 「テア・オフ」メニューの使用

V1.2-3

次のアプリケーションは「テア・オフ」メニューをサポートしていません。

メニューのテア・オフおよび「テア・オフ」メニューのクローズについては, 第4.2.3.2項を参照してください。

1.6 省略時の設定で明示的に有効とされていないアクセス制御

V1.0

DECwindows Motifでは,省略時の設定でアクセス制御は行わず,サーバのアクセス制御の設定に従います。DECwindows X11 表示サーバは,起動時にアクセス制御をオンに設定します。

DECwindowsセッション・マネージャにログインするときにアクセス制御を明示的に有効または無効にする場合は, 次の論理名のいずれかを定義しなければなりません。

     $ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE DECW$LOGIN_ACCESS_CONTROL ENABLE

     $ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE DECW$LOGIN_ACCESS_CONTROL DISABLE

論理名を定義しない場合,あるいは"SERVER"など他の値に定義した場合は,DECwindows ログインではアクセス制御を有効,無効のどちらにも設定しません。

通常,論理名を定義する必要はありません。

1.7 カラー・カスタマイザのサンプル・プログラム

V1.2

カラー・カスタマイザのサンプル・プログラムは,ユーザがワークステーション環境の色を自由に調節するためのプログラムです。 ウィンドウの色, アイコンの色,ウィンドウ・マネージャの色などすべてを,個別に, またはパレット・スイッチ全体の一部として変更することができます。 ユーザは,リソースとカラー・セルの間のマッピング,あるいはパレット・ セットのサイズと内容を完全に制御することができます。さらに標準Motif 影付けアルゴリズムによる自動影付け機能がサポートされています。

1.7.1 サポートされる表示

V1.2

カラー・カスタマイザは,カラーまたはグレースケールを使用したあらゆる表示をサポートしています。 これにはほとんどの4プレーンおよび8プレーンのワークステーション表示が含まれます。

1.7.2 サポートされるアプリケーション

V1.2

カラー・カスタマイザは,弊社の Xツールキット・ライブラリを使用している任意のアプリケーションの色を調整することができます。 他社製のアプリケーションあるいは弊社の旧バージョンのX ツールキット・ライブラリを使用したアプリケーションには影響しません。


注意
独自のカラー設定ダイアログ・ ボックスを持っているアプリケーション(たとえば,セッション・マネージャ, ウィンドウ・マネージャ,DECwindowsメール)の色を調節するためにカラー・ カスタマイザを使用した場合,これらアプリケーション独自のカラー設定ダイアログ・ ボックスが,カスタマイザ実行中は,現在のカラー設定値を正しく反映しないことがあります。 これは異常ではありません。 設定値の変更には,アプリケーションのダイアログ・ボックスではなくカスタマイザを使用してください。

1.7.3 OpenVMSシステムでのカラー・カスタマイザのビルド

V1.2

カラー・カスタマイザをOpenVMSシステムでビルドするには,次の手順に従ってください。

  1. 各ファイルを個人ディレクトリにコピーします。次の例を参照してください。
         $ SET DEFAULT SYS$LOGIN
         $ CREATE/DIRECTORY [.CUSTOMIZER]
         $ SET DEFAULT [.CUSTOMIZER]
         $ COPY DECW$EXAMPLES:CUSTOM.C []
         $ COPY DECW$EXAMPLES:CUSTOM.UIL []
         $ COPY DECW$EXAMPLES:CUSTOMIMAGE.DAT []
         $ COPY DECW$EXAMPLES:XSETROOT_CUST.C []
         $ COPY DECW$EXAMPLES:BUILD_CUSTOMIZER.COM []
    

  2. 次のコマンドを使用してカスタマイザをビルドします。
         $ @BUILD_CUSTOMIZER.COM
    

このコマンド・プロシージャによって次の出力ファイルが作成されます。

CUSTOM.UID
CUSTOM.EXE
XSETROOT_CUST.EXE

1.7.4 カラー・カスタマイザの実行

V1.2

カラー・カスタマイザを実行するには,次の手順に従ってください。

  1. カスタマイザのビルド時に作成されたCUSTOM.UIDおよびCUSTOM.EXE のファイルを,カスタマイザが実行されるディレクトリに複写します。 典型的なディレクトリとしては,SYS$LOGINまたはDECW$USER_DEFAULTS があります。

  2. CUSTOM.DATおよびDXMDEFAULTS.DATのファイルをDECW$EXAMPLES ディレクトリから1の手順でファイルをコピーした場所にコピーします。 この場合も上記と同じ典型的なディレクトリが適用されます。

  3. 次のように実行可能ファイルCUSTOM.EXEを起動します。
         $ RUN CUSTOM
    

注意
カスタマイザが起動した後に呼び出されたアプリケーションの色だけがこの影響を受けます。 このため, カスタマイザをログイン・プロセスの最初のXアプリケーションとして起動してください。

1.7.5 DECW$LOGIN.COMファイルの変更

V1.2

第1.7.4項に記述しているように, カラー・ カスタマイザはログイン・プロセスで最初に起動されるXアプリケーションでなければなりません。 これは,DECW$LOGIN.COMファイル内のサブプロセスとして起動させることで可能です。 また,カスタマイザの起動と他のアプリケーションの起動の間には, 約10秒間の待ち時間を設けるためのコマンドを追加してください。

たとえば,次の行をDECW$LOGIN.COMに追加します。

     $! Starting the color customizer
     $ DISPLAY = F$LOGICAL("DECW$DISPLAY")
     $ SPAWN/NOWAIT/OUTPUT='DISPLAY' RUN SYS$LOGIN:CUSTOM.EXE
     $ WAIT 0:0:10

DECW$LOGIN.COMファイルについての詳細は,『VMS DECwindows Motif User's Guide 』および『日本語DECwindows Motif for OpenVMS環境設定の手引き』を参照してください。

1.7.6 コマンド・インタフェースの要約

V1.2

カラー・カスタマイザのウィンドウの左端に利用できるパレットの一覧があります。 希望するパレットをクリックし,その色が有効になることを確認します。

パレットの下の2組のカラー・ボタン列は,通常の色と影の色のために動的に割り当てられたカラー・ セルを表わしています。カラー・セルによってどのリソースが影響されるかを調べるには, カラー・セルの横にある矢印ボタンをクリックしたまま押し続けます。


ヒント
手っ取り早い方法として, ダイアログ・ボックスの右端にある画面のサンプルをクリックすることもできます。 クリックした部分がカスタマイザによって制御されているリソース値の1 つで色付けされる場合,対応するカラー・ボタンのポップアップ・ ウィンドウが表示されます。

カラー・セルの1つを変更するには,対応するカラー・ボタンをクリックします。 カラーミックス・ウィジェットがポップアップし,色を変更するとこれがワークステーション環境にどう反映されるかを見ることができます。 最初の色に戻したい時は,カラーミックス・ウィジェットのリセット・ ボタンを押します。また,カラーミックス・ウィジェットが表示されている時に他のカラー・ ボタンをクリックすれば,カラー・セルを変更することができます。

Automatic Shadowingオプションを有効にすると,影の色は自動的に更新されます。Motif 標準影付けアルゴリズムがこの計算に使用されます。

[ファイル]メニューを使用して,次のようにカラー・パレットの変更,追加, 削除を行います。

[ファイル]メニューで行った変更により,リソースの省略時の設定を含むCUSTOM.DAT ファイルが自動的に更新されます。

[ファイル]メニューの終了ボタンを使用して,カスタマイザ・アプリケーションを終了することができます。 最初に警告ダイアログ・ボックスが表示されます。 カスタマイザによって割り当てられている(現在実行中のアプリケーションによって使用されている) カラー・セルの割り当てが解除されることに注意してください。 カスタマイザの終了後,現在実行中のアプリケーションの色が正しくない場合には, そのアプリケーションを再起動して通常の色に復元する必要があります。 通常,カラー・カスタマイザを終了する必要はなく, セッション・マネージャのように常に実行状態にしておきます。

1.7.7 カラー・リソースとカラー・セルの間のマッピングの変更

V1.2

DXMDEFAULTS.DATファイルにより,割り当てられる動的カラー・セルの数と影響を受けるリソースを制御することができます。 このファイルには下記のようなリソースを指定してあります。

     *background:       DXmDynamicWindowBackground
     *foreground:       DXmDynamicWindowForeground
     *topShadowColor:   DXmDynamicWindowTopShadow

カスタマイザが起動された時,DXMDEFAULTS.DATファイルはルート・ウィンドウのプロパティに書き込まれます。 これに続いて,正しいXツールキット・ ライブラリを使用して実行される任意のアプリケーションは,これらのリソースを各自の通常のリソース・ データベースにマージします。このファイルのリソース指定は, 他のリソースの省略時の設定ファイルにある同一リソース名よりも優先されます。

DXMDEFAULTS.DATファイルにあるリソースの値は特別のフォーマットになっています。 このファイル内の文字列"DXmDynamic"で始まる異なるカラー値に対応して, カラー・カスタマイザにカラー・ボタンが作成されます。 名前に文字列"Shadow"が含まれている場合,カラー・ボタンは通常のカラー・ ボタン・ボックスではなく,シャドウ・ボタン・ボックスの方に置かれます。 カラー値の文字列の接尾辞が"Background"となっている場合は, 自動影付けを目的として,同一の接頭辞と"TopShadow", "BottomShadow","SelectColor"という接尾辞をもつカラー・ボタンとリンクされます。"DXmDynamicScreenBackground" というカラー値の場合は, カスタマイザが割り当てられたカラー・セルをルート・ウィンドウの背景色設定に使用します。

DXMDEFAULTS.DATファイルを編集して,同じカラー・セルを使用するようにリソースを定義することができます。 また,スクロールバー・ウィジェットや[ 電子メール]アプリケーションでは,下記のような各行をつけ加えることによって, 別々の動的カラー・セルを持つことができます。

     Mail*background:         DXmDynamicMyMailBackground
     Mail*foreground:         DXmDynamicMyMailForeground
     Mail*topShadowColor:     DXmDynamicMyMailTopShadow
     Mail*bottomShadowColor:  DXmDynamicMyMailBottomShadow

前記の各行をDXMDEFAULTS.DATファイルに追加後,カスタマイザを再起動すると,4 つの新しいカラー・セルが割り当てられ,4つの新しいカラー・ ボタンがカスタマイザ・インタフェースに追加されます。これらのボタンは, それぞれのパレットに省略時のカラー値(通常は黒または白)として割り当てられます。 この省略時の設定値は各パレットは,カスタマイザ・インタフェースで変更することができます。


注意
カラー・カスタマイザによって,DXMDEFAULTS.DAT ファイルのテキストが読み込まれ解析されます。 この解析アルゴリズムはコメント,誤ったスペーシング,間違ったリソース指定などはエラーと見なします。 このファイルおよびCUSTOM.DAT リソース・ファイルに問題がある場合は,カスタマイザが正しく起動できません。 この問題を解決するには,DECW$EXAMPLESディレクトリからCUSTOM.DAT およびDXMDEFAULTS.DATをログイン・ディレクトリにコピーします。

1.7.8 影響を受けない漢字端末エミュレータのウィンドウ

V1.2

カラー・カスタマイザは,漢字端末エミュレータのウィンドウに影響を与えません。 漢字端末エミュレータのウィンドウの色を変更する場合は,漢字端末エミュレータ・ リソース指定をDXMDEFAULTS.DATファイルからコピーして, 漢字端末エミュレータ・リソースの省略時の設定ファイルであるDECW$USER_DEFAULTS:DECW$TERMINAL_DEFAULT.DAT に追加する必要があります。 たとえば,次の各行を漢字端末エミュレータ・リソースの省略時の設定ファイルに追加してください。

        .
        .
        .
       DECW$TERMINAL.main.terminal.background: DXmDynamicTerminalBackground
       DECW$TERMINAL.main.terminal.foreground: DXmDynamicTerminalForeground

以上で,漢字端末エミュレータのウィンドウの色が,カラー・カスタマイザによって設定できるようになります。

1.7.9 Automatic Shadowingトグル・ボタンの省略時の設定値の変更

V1.2

Automatic Shadowingトグル・ボタンの省略時の設定値は,CUSTOM.DATファイルのCustom.autoShadow リソースで次のように設定することができます。

     Custom.autoShadowing: False

省略時の設定値は真(True)です。

1.7.10 マルチヘッド・システムでのカスタマイザの使用

V1.2

省略時の設定では,カラー・カスタマイザはカスタマイザと同じ画面で起動されたアプリケーションにのみ影響します。 マルチヘッド・システムではそれぞれの画面に対して異なるカラー・ カスタマイザを起動し,それぞれの画面に有効な異なるパレットを持つことが可能です。

起動された画面に関係なく,一度呼び出しただけですべてのアプリケーションに影響を与えるようにカラー・ カスタマイザを構成することができます。 このモードに入るには,省略時の設定ファイルであるCUSTOM.DATのCustom.multiScreen リソースを次のように変更します。

     Custom.multiScreen: True

省略時の設定値は偽(False)です。

1.7.11 XSETROOT_CUSTデモ・プログラムの使用

V1.2

カスタマイザの組み込み時に作成されたXSETROOT_CUST.EXEデモ・プログラムは,MIT のユーティリティ・プログラムxsetrootの変更バージョンであり, ルート・ウィンドウにビットマップを設定するために使用することができます。XSETROOT_CUST.EXE プログラムは, DXmDynamicScreenBackgroundおよびDXmDynamicScreenForegroundを指定されたビットマップの前景色および背景色として使用します。 DXMDEFAULTS.DATファイルにこれらの2つの動的な色指定が入っている場合は, カスタマイザを使用してビットマップの色を動的に変更します。

次に例を示します。

     $ XSETROOT_CUST :== "$SYS$LOGIN:XSETROOT_CUST.EXE"
     $ XSETROOT_CUST -BITMAP your_xbm_file.XBM

1.8 Display PostScriptのサポートの終了

V1.2-5

1998年8月1日から,弊社はAdobe Display PostScriptソフトウェアをサポートしなくなりました。 これは,Adobe Systems社がDisplay PostScript のサポートを打ち切ったことに伴う措置です。この措置が影響するのはあくまでもAdobe Display PostScript ソフトウェア自体のみで,このソフトウェアを使用するアプリケーションには影響を与えません。 たとえば,ブックリーダは,Adobe Display PostScript 以外の他のすべてのタイプのソース・ ファイルについて,引き続きサポートされます。

ただし,利用者の便宜のため,Adobe Display PostScriptソフトウェアはサポートなしの状態で現状のまま提供されます。 弊社は,Adobe Display PostScriptソフトウェアに関するあらゆる保証を行いません。

1.9 DECwindows Motifアプリケーションに関するリリース・ ノート

この節では, DECwindows Motifアプリケーションについて説明します。

1.9.1 ブックリーダ

この節では,ブックリーダ・アプリケーションの問題,制限,拡張について説明します。

1.9.1.1 ブックリーダの印刷の改善

V1.2-4

ブックリーダ・アプリケーションでは,ブックまたはトピックの印刷は, ドラフト印刷程度の品質しかありません。しかし,このリリースでブックリーダの印刷機能が改善され, 行や語の消失,図と文字の重複,不適切な行間処理などの問題が解消されました。

1.9.1.2 マルチバイト文字の制限

V1.2-4

マルチバイト文字(日本語,中国語,韓国語またはタイ語)が含まれる文書を印刷するには,DECwindows Motif V1.2-3 for OpenVMS の各言語対応製品で提供されるブックリーダのバージョンを使用する必要があります。 このブックリーダはSYS$SYSTEM:MBOOKREADER.EXE として提供されています。

1.9.1.3 DECW$BOOKSHELFファイルへのコメント文字の追加

V1.2-3

DECW$BOOKSHELFファイルの最終行にコメント文字(!または#)を追加した場合, 予約オペランド・フォルトでブックリーダは異常終了します。これを避けるために, ファイルの最終行にはコメント文字を追加しないようにしてください。

将来のバージョンで,この制限は解消される予定です。

1.9.2 カレンダでの西暦2000年のサポート

V1.2-5

DECW$CALENDARの以前のバージョンでは,インターチェンジ・フォーマットで2 桁の年数を受け付け,1900〜1999年として年数を解釈していました。 この問題は,2桁の年数を1970〜2069として解釈するように訂正されました。

DECW$CALENDARは,インターチェンジ・フォーマットで書き込む際に,常に4 桁の年数を使用します。2桁の年数が発生するのは,別のプログラムとカレンダの送受信を行う場合にかぎります。

1.9.3 CDAランタイム・サービス

V1.2

この節では,CDAランタイム・サービス構成要素に含まれる新しい機能について説明します。

CDAについての詳細は,次のドキュメントを参照してください。

1.9.3.1 CDA動的フォント・サポート

V1.2

このバージョンのCDAランタイム・サービスでは,DECfonts Typeface Collectionバージョン1.2でサポートされているフォント用の静的テーブルだけでなく, 動的なフォント索引もサポートしています。これにより, システムに新しくフォントがインストールされると,CDAビューアおよびPostScript バックエンド・コンバータがこれを利用できるようになっています。

動的フォント・サポートは,WRITE$FONTS.INIファイルにより実現されており,DECwrite あるいはDECpresentのいずれかにより提供されているフォント・ ユーティリティを使用して保守することができます。文書に静的テーブルでは見つからないフォントが含まれている場合は,CDA ビューアあるいはPostScript のバックエンド・コンバータがWRITE$FONTSファイルを開いてフォントを捜します。 それでもフォントが見つからない場合,またはシステムにWRITE$FONT.INI ファイルがない場合,CDAビューアはフォールバック・ フォントを使用します。

フォント・ユーティリティについての詳細は,次のドキュメントを参照してください。

1.9.3.2 CDAのWRITE$FONTS論理名

V1.2

WRITE$FONTS.INIファイルが存在する省略時の場所はSYS$LIBRARYですが, 論理名WRITE$FONTSが定義されている場合は,CDAビューアあるいはPostScript のバックエンドは,この定義された論理名を使用してWRITE$FONTS.INI ファイルを捜します。

完全なパス・サポートが含まれているため,次の定義はすべて有効です。

WRITE$FONTS論理名 定義後ファイル
未定義 SYS$LIBRARY:WRITE$FONTS.INI
DISK:[DIRECTORY] DISK:[DIRECTORY]WRITE$FONTS.INI
SYS$LOGIN: SYS$LOGIN:WRITE$FONTS.INI
.TMP SYS$LIBRARY:WRITE$FONTS.TMP
DISK:[DIRECTORY]FILE DISK:[DIRECTORY]FILE.INI

1.9.3.3 CDA文書

V1.2

現在のバージョンのCDAランタイム・サービスでは性能が向上しており, CDA文書の最初のページを表示するまでの時間が短縮されています。このため,CDA ビューアを使用してCDA文書を参照する他のアプリケーション( たとえばDECwindowsメール)の性能も向上しています。

CDAビューアは省略時の設定でこの性能向上機能をオンにしますが,次のように無効にすることもできます。

     $ DEFINE CDA_QUICK_FIRST_PAGE FALSE

この機能がオンになっていると,CDAビューアは一部の文書を正しく表示しない場合があります。 このような問題が生じた場合は,この機能をオフにしてCDA ビューアを再度呼び出します。それでも問題が解消しない場合は, ソフトウエア性能報告書を,問題の文書(および全ての関連文書)のコピーとともに提出してください。 新しいCDAパック・アプリケーション(第1.9.4.1項を参照)によって,DDIF またはDTIF文書および各関連ファイルが入った単一のファイルを作成することができます。

1.9.4 CDAの追加されたアプリケーション

V1.2

この節では,追加されたCDAアプリケーションについて説明します。

1.9.4.1 パックおよびアンパック・アプリケーション

V1.2

CDAランタイム・サービスには,2つの新しい独立したアプリケーションがあり, これらを使用してCDA文書をネットワーク全体に転送することができます。CDA パック・アプリケーションによって,CDA文書をその外部参照されたすべてのファイルとともに1 つのファイルにまとめることができます。 このファイルは,各システム間でコピーしたり他のユーザに電子メールで送信することができます。CDA アンパック・アプリケーションは,CDA パック・アプリケーションによってまとめられたファイルを読み,もとの文書ファイルとすべての外部参照ファイルのコピーを作成するものです。

これらのアプリケーションにより,外部参照されたファイルの個別のコピー, および文書のコピー後の外部ファイル参照情報の修正を行うことなく, システム間でCDA文書をコピーすることができます。

これらのアプリケーションを使用するには,次の各行をLOGIN.COMファイルに追加します( または,各行をSYS$MANAGER:SYLOGIN.COMに追加します) 。

     $ PACK == "$SYS$SYSTEM:CDA$PACK.EXE"
     $ UNPACK == "$SYS$SYSTEM:CDA$UNPACK.EXE"

これらの行によって,パックおよびアンパックの各アプリケーションを, PACKおよびUNPACKというシンボルによって呼び出すことができるようになります。

1.9.4.2 パック・アプリケーション

V1.2

CDAパック・アプリケーションは,.DDIFまたは.DTIF入力ファイルの内容を含む単一の出力ファイルを作成します。 この出力ファイルには,.DDIF または.DTIFファイルによって参照されたファイルも含まれます。

PACKコマンドのフォーマットは次のとおりです。

     $ PACK input-file-spec output-file-spec

次の節では,PACKコマンドのフォーマットについて説明します。

input-file-spec

DDIFまたはDTIF入力ファイルの名前を指定します。

output-file-spec

パック・アプリケーションによって作成される出力ファイルの名前を指定します。 装置またはディレクトリを指定しないと,出力ファイルは現在の省略時のディレクトリに作成されます。

修飾子

/[NO]SKIP_MISSING

パック・アプリケーションが,入力ファイルに外部参照としてリストされているファイルを発見できない場合に処理を続行するかどうかを制御します。 発見できないファイル名はすべて,パック・アプリケーション終了時にSYS$ERROR に通知されます。/NOSKIP_MISSINGを指定すると, 発見できない外部参照ファイルが1つでもある場合,パック・アプリケーションは出力ファイルを作成しません。 省略時の設定は/SKIP_MISSINGです。

/[NO]CONTROLLED_COPY

入力ファイルのERF_CONTROL項目の値がCOPY_REFERENCEに指定されている外部参照ファイルだけを, 出力ファイルに入れるかどうかを制御します。/NOCONTROLLED_COPY を指定した場合,パック・アプリケーションはERF_CONTROL 項目の値に関係なくすべての参照されたファイルを出力ファイルに入れます。 省略時の設定は,/NOCONTROLLED_COPYです。

/ALWAYS_ENCODE

入力ファイルに外部参照ファイルがない場合,または外部参照ファイルが1 つも見つからない場合に,出力ファイルを作成するかどうかを制御します。 いずれの場合も,省略時の設定は出力ファイルを作成しないことです。 いずれかの理由により出力ファイルを作成しない場合,パック・アプリケーションはCDA_W_NOOUTFIL 状態コードを返します。

次の例を参照してください。

     $ PACK MYFILE.DDIF TEST.PACK

1.9.4.3 アンパック・アプリケーション

V1.2

CDAアンパック・アプリケーションは,パック・アプリケーションによって作成された入力ファイルをアンパックします。 出力ファイルは,パック・ アプリケーションによってパックされたDDIFまたはDTIFファイルであり,DDIF またはDTIFファイルからの外部参照用ファイルです。アンパック・ アプリケーションは,作成されたすべてのファイルのリストをSYS$ERROR に通知します。

UNPACKコマンドのフォーマットは次のとおりです。

     $ UNPACK input-file-spec

次の節では,UNPACKコマンドのフォーマットについて説明します。

input-file-spec

パック・アプリケーションによって作成された入力ファイルの名前を指定します。

修飾子

/OUTPUT=output-file-spec

アンパック・アプリケーションによって作成されたファイルのファイル名と場所を指定します。

ディレクトリ名なしで出力ファイル名を指定した場合,アンパック・アプリケーションは, 指定されたファイル名でメインの.DDIFまたは.DTIFファイルを現在の省略時のディレクトリに作成し, またすべての外部参照ファイルを現在の省略時のディレクトリに作成します。

また,ファイル名なしでディレクトリ名を指定した場合,アンパック・ アプリケーションは,メインの.DDIFまたは.DTIFファイルおよびすべての外部参照ファイルを, 指定されたディレクトリに作成します。メインの.DDIF または.DTIFファイルは,パック・アプリケーションによってパックされたファイル名と同一のファイル名になります。

ディレクトリ名とファイル名を指定した場合,アンパック・アプリケーションは, メインの.DDIFまたは.DTIFファイルおよびすべての外部参照ファイルを, 指定されたディレクトリに作成し,メインの.DDIFまたは.DTIFファイルは指定されたファイル名となります。

次の例を参照してください。

     $ UNPACK TEST.PACK
     Output file DISK$:[SMITH]MYFILE.DDIF created.
     Output file DISK$:[SMITH]FIGURE_1.DDIF created.

     $ UNPACK TEST.PACK/OUTPUT=[SMITH.UNPACK]
     Output file DISK$:[SMITH.UNPACK]MYFILE.DDIF created.
     Output file DISK$:[SMITH.UNPACK]FIGURE_1.DDIF created.

     $ UNPACK TEST.PACK/OUTPUT=[SMITH.UNPACK]NEW_FILE.DDIF
     Output file DISK$:[SMITH.UNPACK]MYFILE.DDIF renamed NEW_FILE.DDIF
     Output file DISK$:[SMITH.UNPACK]FIGURE_1.DDIF created.

1.9.4.4 パックおよびアンパックのエラー・メッセージ

V1.2

この節では,CDAのパックおよびアンパック・アプリケーションに関連した新しいメッセージについて説明します。

FILESPEC Missing filespec : file-name

重大度: 通知

説明: パック・ アプリケーションは,.DDIF または.DTIFファイル,あるいは.DDIFまたは.DTIF ファイルから参照されたファイルのいずれかを発見することができます。

NOOUTFIL No output file was created

重大度: 警告

説明: パック・ アプリケーションは, パックするDDIFまたはDTIF文書の外部参照を発見できませんでした。 また,/ALWAYS_ENCODE修飾子が指定されていません。

OUTFILE Output file created : file-name

重要度: 警告

ソース: CDA_ UNPACK

説明: アンパック・アプリケーションは, パック・ アプリケーションによって作成されたファイルのアンパック中に,指定されたファイルを作成しました。

1.9.5 CDAのヒント,制限および既知の問題

この節では,CDAビューアに関する役に立つヒント,既知の制限,既知の問題を取り扱います。

1.9.5.1 CDAビューアのメッセージ

V1.2

CDAビューアは,アプリケーション・コンテキストを作成できない場合, 次のような新しいメッセージを表示します。

DRMCTXFAIL DVR could not create application context, aborting

レベル: エラー

説明: リソース・ マネージャを使用してアプリケーション・コンテキストを作成しようとしましたが, 失敗したため,CDAビューアを終了します。

ユーザの措置: システムの負荷を軽減して再度アプリケーションを起動してください。

1.9.5.2 CDA [紙サイズ]ボタン名の変更

V1.2

CDAビューアで,[オープン]ダイアログ・ボックスのボタンの1つの名前が[ 紙サイズ]から[表示オプション]に変更されました。ただし,ボタンによって呼び出される機能に変更はありません。

1.9.6 時計のDECsound機能

V1.2

時計アプリケーションにはアラーム機能があり,システムにサウンド機能があれば使用できます。 サウンド機能がないシステムでは,キーボードのベルだけを選択することができます。[ オプション]メニューからアラームを選択すると, ポップアップ・ウィンドウが表示されます。このポップアップ・ ウィンドウでアラーム時間を設定し,鳴らすサウンドの種類を選び, アラーム・メッセージを表すことができます。システムがこの機能をサポートしているかどうか調べるには,DECW$EXAMPLES ディレクトリにあるサウンドの1 つ(たとえばBELLS.AUD)を試してください。

1.9.7 DECsoundアプリケーション

この節では,DECsoundについて説明します。

1.9.7.1 DECsoundの前提条件

V1.2-3

DECsoundは,TURBOchannelシステムでのみサポートされます。DECsoundをサポートするTURBOchannel システムには,次のものが含まれます。

1.9.7.2 DECsoundの問題

V1.1

DECsoundに関して次の問題が確認されています。

1.9.8 漢字端末エミュレータの機能

この節では,漢字端末エミュレータのアプリケーションについて説明します。

1.9.8.1 漢字端末エミュレータの新しいデフォルトのフォント・ サイズ

V1.2-4

以前のバージョンでは,漢字端末エミュレータの拡大フォントと縮小フォントの省略時のフォント・ サイズはポイント単位で選択しましたが,これはフォント・ パスに最初にインストールされているフォントが,75 dpiあるいは100 dpi に応じて異なりました。日本語DECwindows Motif V1.2-4 for OpenVMSでは,漢字端末エミュレータのデフォルトのフォント・サイズはピクセル単位で選択します。 次の表はその違いをまとめたものです。

以前のバージョン V1.2- 4以降
デフォルトのフォント・サイズ( ピクセル) 100 75[1] 100 75
拡大フォント 25 18 18 18
縮小フォント 18 14 14 14

[1] 15インチのモニタ上の75 dpiフォントまたは100 dpiフォント

また100 dpiのディスプレイでは,省略時に拡大フォントを使用するようになりました。 これにより100dpiでは,以前のバージョンの漢字端末エミュレータと同一フォント・ サイズ(18ピクセル)を使用することになりました。 幅325 mm以下のディスプレイでも,省略時のフォント・サイズは大きくなりました。

以前のバージョンと同一サイズのフォント(14ピクセル)を使用する場合は, 次の手順に従ってください。

  1. [オプション]メニューで,[ウィンドウ...]を選択します。

  2. [縮小フォント]を選択して,[適用]をクリックします。

  3. 新しい省略時のフォントが小さい場合は,[拡大フォント]ボタンをクリックして,[ その他]の入力領域のピクセルのサイズを18から25 に変更します。

1.9.8.2 漢字端末エミュレータのリソース・ ファイル名

V1.2-4

本バージョンでは,ディスプレイのロケールを使用して,漢字端末エミュレータのリソース・ ファイル名を作成します。たとえば,ロケールが「ja_JP 」に設定されている場合は,デフォルトのリソース・ファイル名はDECW$TERMINAL_DEFAULT_JA_JP.DAT になります。

ただし,ユーザが特定のロケールで1回以上「保存」オプションを選択するまで, 漢字端末エミュレータでは古いリソース・ファイル名を使用します。 漢字端末エミュレータのデフォルトのリソース・ファイル名はロケールが次のものである場合, 継続してDECW$TERMINAL_DEFAULT.DATとなります。

1.9.8.3 エスケープ・シーケンス

V1.2-3

漢字端末エミュレータ・アプリケーションは,ReGIS入力カーソルとして次のものをサポートするようになりました。

nが1に等しい場合の菱形以外のものについては, SYS$LIBRARY:DECW$CURSORファイル内に定義されている数値の1つとして論理名DECW$TERM_REGIS_CURSOR を定義してください。

V1.2

漢字端末エミュレータでは,次のエスケープ・シーケンスをサポートするようになりました。

DECwindows Motifソフトウェアでのエスケープ・シーケンスについての詳細は, 第3.15.4項, ReGIS入力カーソルを参照してください。 これらのシーケンスの使用法ならびに制約については,第3章を参照してください。

1.9.8.4 キーボードを使用したスクロール

V1.2-3

キーボードのCtrlキーと矢印キーを押して,あるいは編集キーパッドでPrev またはNextキーを使用して,画面をスクロールすることができます。

1.9.8.5 漢字端末エミュレータ・ウィンドウ・サイズの報告

V1.2-3

ウィンドウ・マネージャの[ワークスペース・オプション]ダイアログ・ ボックスで[ フィードバックを表示]オプションを有効にして,漢字端末エミュレータ・ ウィンドウのサイズを変更すると,ピクセル値ではなく文字数でウィンドウ・ サイズが報告されます。

1.9.8.6 端末のサイズ変更

V1.2-3

[端末ウィンドウの自動サイズ変更]オプションを有効にして漢字端末エミュレータ・ ウィンドウを最大化すると,最も近いセル境界までウィンドウが拡大しますが, 必ずしも全画面に拡大されるわけではありません。[元のサイズに戻す] オプションの機能は従来どおりです。

1.9.8.7 著作権についての注意書きの表示のタイムアウト

V1.2-3

著作権についての注意書きは,端末に表示されてから10秒間キーボードとマウスの操作がないと, 漢字端末エミュレータの画面から消えます。

1.9.9 漢字端末エミュレータの制限と問題点

この節では,漢字端末エミュレータ・アプリケーションに関する制限と問題点について説明します。

1.9.9.1 漢字端末エミュレータのウィンドウ数の上限

V1.2-4

漢字端末エミュレータのコントローラは,漢字端末エミュレータのウィンドウを最高23 枚まで作成できます。これは,使用する各ウィンドウについてイベント・ フラグ1個が必要で,漢字端末エミュレータは23個までイベント・ フラグを使用できるためです。イベント・フラグ0とイベント・フラグ24 〜32は,漢字端末エミュレータには使用することができません。

ウィンドウを24枚以上必要とする場合は,新しいコントローラを作成する必要があります。 新しいコントローラを作成するには,次のコマンドを入力してください。

     $ MCR DECW$TERMINAL

このコマンドは最後のウィンドウが閉じるまで返されないため,このコマンドを実行するウィンドウはこれ以外の用途には使用できないことに注意してください。 この方法でコントローラを起動したあとは,DCLコマンドのCREATE/TERMINAL で新たに23枚のウィンドウを作成することができます。

1.9.9.2 オート・リピート設定の変更

V1.2-3

漢字端末エミュレータの[キーボード・オプション]ダイアログ・ボックスでは,[ オート・リピート]設定を変更することはできません。設定を変更する場合は, セッション・マネージャの[キーボード]ダイアログ・ボックスを使用してください。

1.9.9.3 漢字端末エミュレータの配置

V1.2-3

Mwm*clientAutoPlaceリソースがTrueに設定されている場合は, DECW$TERMINAL.xとDECW$TERMINAL.yリソースが指定されている場所に漢字端末エミュレータ・ ウィンドウは表示されません。解決策としては, このリソースをFalseに設定して,MWMを再起動してください。

1.9.9.4 ユーザ・フォント選択

V1.2

漢字端末エミュレータでは,[オプション]メニューのウィンドウ・ダイアログ・ ボックスで利用可能なフォントを選択できるようになりました。省略時の拡大フォント, 標準フォント,縮小フォントの代わりに,別のフォントを選ぶことができます。

[オプション]メニューのウィンドウ・ダイアログ・ボックスで省略時のフォントを選ぶか, テキスト入力領域にフォント名を入力してそのフォントを選択することができます。 拡大フォント,標準フォント,縮小フォントのいずれかを選択し, トグル・ボタンの[その他]を選択した場合,漢字端末エミュレータはそのすぐ横にあるテキスト入力領域で指定されたフォントの位置を確認して使用します。 フォント名の表記法,あるいは使用しているシステムで利用可能なフォントについての情報に関しては, システム管理者に問い合わせてください。


注意
漢字端末エミュレータでは, 正しく動作しないフォントもあります。漢字端末エミュレータは文字セル・ ターミナルをエミュレートしているので,フォントは各文字間隔が同数のピクセルで構成されている等幅のフォントであることを前提にしています。 このためプロポーショナル・フォントを選択することもできますが, その結果を保証することはできません。 さらに,漢字端末エミュレータのフォントは26種の関連するフォント・ファミリとして提供されます。 この中には太字,横倍画,縦横倍画,通常, 縮小等の種類があります。また,漢字端末エミュレータには,線画文字および弊社技術文字セットなどの特殊文字が含まれています。 漢字端末エミュレータのフォント・ ファミリは,フォント名の表記法によって識別されます。 関連するすべてのフォント・ファミリ変形文字を持たないフォント,必要な特殊文字を含まないフォント, 漢字端末エミュレータのフォント・ファミリの表記法に従わないフォント・ ファミリでは,表示その他の面で望まれる結果が期待できない場合があります。

バージョン6.1以降のOpenVMSシステムでは,VT330フォントを使用できるようになりました。VT330 フォントは,VT330およびVT340端末で使用される10x20 フォントをベースとしています。このフォントを使用可能なシステムでは, 次のようにフォント名テキスト・フィールドにフォント名文字列を入力して使用してください。

         -DEC-VT330-*-*-*--20-*-*-*-c-*-*-*

1.9.9.5 ローカル・エコー

V1.2

漢字端末エミュレータは,ローカル・エコー・モードをサポートするようになりました。[ オプション]メニューの[一般]ダイアログ・ボックスでローカル・ エコーを選択することができます。この機能によって,ローカルに生成された文字シーケンスをすべて画面上にエコー表示させ, 遠隔ホストに送信することができます。 この機能は,入力された文字のエコーを返さないホストに接続する場合に有用です。

1.9.9.6 応答メッセージ

V1.2

応答メッセージを入力するためのユーザ・インタフェースが使用できるようになりました。 応答メッセージ領域は,弊社のターミナルと互換性があります。

応答メッセージ領域は,最大30文字まで入力可能なバッファです。以前の弊社のターミナルでは, 応答メッセージ領域はホスト・システムに対する識別のために使用されていました。 新しい漢字端末エミュレータのウィンドウでは, どんな文字シーケンスでも,繰り返し使用するために応答メッセージ領域に保管しておくことができます。

応答メッセージ入力のための領域は,[オプション]メニューの[一般]ダイアログ・ ボックスにあります。応答メッセージ領域をクリックして,テキストを入力します。 制御文字を入力するには,"#"に続けて2桁の16進数のASCII コードを入力します。

たとえば,応答メッセージ領域に#0Dを入力すると,漢字端末エミュレータはキャリッジ・ リターンとして応答します。

"#"を2つ連続して"##"のように入力すると,"#"記号が1つだけ送信されます。

"#"の後に,有効な2桁の16進数のASCIIコード以外の文字や,もう1つ"#" がある場合には,"#"記号は通常のテキスト上の文字として扱われます。ASCII コードの一覧については,ASCIIコード表を参照してください。

応答メッセージのテキストを表示しないことも可能です。[応答メッセージを隠す] ボタンを有効にすると,応答メッセージは表示されなくなります。[ 応答メッセージを隠す]を無効にするには,応答メッセージ領域をクリックします。 この操作によって,前回の応答メッセージは消去されます。

1.9.9.7 7ビット・プリンタのサポート

V1.2

漢字端末エミュレータでは,[オプション]メニューの[プリンタ]ダイアログ・ ボックスで[7ビット・プリンタ]ボタンを選択した場合,8ビット文字をサポートしていないプリンタで印刷できるように印刷用テキストに変更が加えられます。 これには,CSI (Control Sequence Introducer)文字列を変更して, 単一の8ビットCSI文字ではなくEscape-Left Bracketフォーマット用に変更する処理が含まれます。

[8ビット・プリンタ]ボタンを選択した場合,漢字端末エミュレータで印刷時に8 ビット文字を使用できるようになります。このモードでは,8ビット文字の解釈ができない旧型プリンタでは問題が発生する可能性があります。

省略時の設定は8ビットです。

1.9.9.8 VT330およびVT340端末エミュレータ

V1.0

漢字端末エミュレータには,ReGISおよびシクセル・グラフィックスなどのVT330 およびVT340シリーズ・ビデオ端末の機能のいくつかが組み込まれました。 漢字端末エミュレータは,完全なVT330およびVT340端末エミュレーション機能を提供するものではありません。

漢字端末エミュレータには次の制限があります。

1.9.9.9 CREATE/TERMINAL/DETACHED/PROCESS

V1.0

ユーザ名と同一のプロセス名を持つプロセスがシステム上で実行されている場合を除き, 修飾子/PROCESS=procnamは,修飾子/DETACHED とともに使用すると正常に機能しません。

この問題を避けるには,次のコマンド・プロシージャを使用してください。

     $! CREATE_TERM_PROC.COM
     $!
     $! Invoke as SPAWN/NOWAIT @CREATE_TERM_PROC procname
     $!
     $ SET NOON
     $!
     $! Set Process name to username
     $!
     $ X = F$CONTEXT("PROCESS", PID, "PRCNAM", "''F$PROCESS()'","EQL")
     $ NAME = F$EDIT(F$GETJPI(X,"USERNAME"),"COLLAPSE")
     $ SET PROCESS/NAME="''NAME'"
     $ CREATE/TERMINAL/DETACHED/PROCESS="''P1'"
     $!
     $! Allow new process to RUN LOGINOUT before exiting subprocess
     $ WAIT 00:00:10

修飾子/PROCESS=procnamにすでに使用されているプロセス名を指定した場合, 漢字端末エミュレータは作成されますが,漢字端末エミュレータ内部のプロセス作成に失敗します。 この場合,DCLコマンドのCREATE/TERMINAL から次のエラー・メッセージが通知されます。

     Duplicate process name

1.9.9.10 接続されたプリンタへの印刷

V1.1

ポート装置への画面印刷サービスを使用するには,そのポート装置に対する読み込みおよび書き込み特権が必要です。 コントローラが装置に対するアクセスを必要とするため, 装置を割り当てただけでは画面印刷を行うことはできません。 その装置をWORLD:RWに設定してください。

たとえば,VAX 3100のプリンタ・ポートを使用する場合は,特権アカウントから次のコマンドを入力するか, システム・スタートアップ・ファイルに含めておかなければなりません。

     $ SET PROTECTION=WORLD:RW TTA3:/DEVICE

1.9.9.11 漢字端末エミュレータのグラフィックス

V1.1

次は,漢字端末エミュレータのグラフィックスに固有の情報です。

1.9.9.12 漢字端末エミュレータのリソース使用の制限

V1.1

システムのリソースおよびクォータに許可された数よりも多くの端末ウィンドウを作成することはできません。 前バージョンの漢字端末エミュレータでは, クォータを超えた場合に漢字端末エミュレータのコントローラ・ プロセスがクラッシュし,すべての漢字端末エミュレータ・ウィンドウが消えてしまいました。 本バージョンでは,リソースが不足した場合は,ダイアログ・ ボックスが表示されて,これ以上は漢字端末エミュレータ・ウィンドウを増やせないことを示すメッセージが通知されます。

各漢字端末エミュレータ・ウィンドウのメモリ要求を減らして,新しい端末ウィンドウを作成するには,[ 表示]ダイアログ・ボックスの[保存行]の数を減らし, 各漢字端末エミュレータ・ウィンドウの桁数を減らしてください。

リソースの上限に達した場合は,まずホスト・システム上で実行しているすべての漢字端末エミュレータ・ ウィンドウからログ・アウトしないかぎり, 端末ウィンドウの数を増やことはできません。

1.9.9.13 診断クラッシュ・ファイルおよびメッセージ

V1.1

致命的な重大度レベルの状態コードが返されると,漢字端末エミュレータは診断ファイルを作成します。 漢字端末エミュレータが異常終了した場合は, ファイルDECTERM_ERROR.LOGがログイン・ディレクトリに作成されます。 漢字端末エミュレータに問題が発生し,SPR(Software Performance Report)を提出する場合は,ログ・ファイルのコピーも提出してください。 問題がなくてもログ・ファイルが作成される場合があるので,ログ・ ファイルが作成されたからといって問題が発生しているとはかぎりません。 したがって,ログ・ファイルだけが単独で作成された場合は,問題が生じたとはいえません。

DECTERM_DIAGという論理名またはシンボルを定義することによって,追加レベルの診断メッセージを使用することができます。 これを定義すした場合, 拡張された診断メッセージが漢字端末エミュレータによって表示されます。 このモードは問題の診断にのみ使用してください。このモードでは, セッション・マネージャから新しい漢字端末エミュレータを作成するたびに, セッション・マネージャのメッセージ・ウィンドウが作成されます。

論理名DECW$TERMINAL_OUTPUTをファイルを指すように定義して,通常の漢字端末エミュレータ診断を有効にすることもできます。

1.9.9.14 ReGISロケータ・レポート

V1.0

漢字端末エミュレータがR(P(I))コマンドに応じて,あるいは複数の入力モードでReGIS ロケータ・レポートを送信し,そのロケータ位置がアドレス可能な領域を外れていた場合, 漢字端末エミュレータは座標を省略してロケータ・ レポートを送信します。たとえば,Aキーを押すと次のレポートを生成します。

     A[]<CR>, where <CR> is a carriage return (ASCII code 13).

1.9.10 DECW$CDPLAYER

V1.1

DECW$EXAMPLESディレクトリのDECW$CDPLAYERアプリケーションでは, PHY_IOおよびDIAGNOSE特権がないと,CDプレーヤのハードウェアを動作させることはできません。 ユーザのプロセスまたはイメージのいずれかにこれらの特権が必要です。

1.9.11 電子メール

この節では,[電子メール]アプリケーションについて説明します。

1.9.11.1 DECwindows MailとMB3の問題

V1.2-5

MB3を使用してメール・メッセージを移動すると,DECwindows Mailアプリケーションが壊れて, 最終的にクラッシュする可能性があります。一次選択がDECwindows Mail のメイン・ウィンドウにない場合に,この問題が発生します。

解決策としては,かならずMB1を使用してメッセージを選択してから,移動するようにしてください。 表示が乱れたら,DECwindows Mailを再起動してください。


注意
メール・メッセージとメール・ フォルダ自体が壊れたわけではありません。表示が乱れているだけです。

1.9.11.2 ディレクトリ・ウィンドウからのメッセージのペースト

V1.2-4

電子メールでは,ユーザがMB1を使用してディレクトリ・ウィンドウで1つ以上のメッセージを選択してから, 漢字端末エミュレータなどの別のウィンドウでMB2 をクリックすると,選択したメッセージ全部がこの別のウィンドウにペーストされます。 選択したメッセージはディレクトリ・ウィンドウでは反転表示されていますが, 別のウィンドウにペーストされたテキストは反転表示していません。

1.9.11.3 キーボード操作への応答

V1.2-3

OSF/Motifスタイル・ガイドへの適合性をさらに高めるためにDECwindows Mailアプリケーションが拡張されたことで,キーボード操作に対するアプリケーションの応答の一部が変更されました。 次の変更点に注意してください。

[作成/送信]ウィンドウでTabキーを使用してテキスト入力ボックス間を移動する場合, カレント・フィールドが強調表示されなくなりました。フィールドを選択するには,MB1 のダブル・クリックまたはトリプル・クリック,Shift+Alt - > キー・シーケンスなど標準的なMotif操作アクションのいずれかを使用してください。

いくつかのダイアログ・ボックスでは,Selectキーまたはスペース・バーのいずれかを押すことで, キーボードからプッシュ・ボタンをアクティブにすることができます。Return キーとEnterキーはダイアログ・ボックス内のほかのウィジェットにバインドされています。 従来どおりMB1をクリックしてプッシュ・ ボタンをアクティブにする方法もあります。

1.9.11.4 電子メールでカラー・カスタマイザを使用する

V1.2

DECW$EXAMPLESディレクトリに入っているカラー・カスタマイザのサンプル・ プログラムを使用してDECwindowsメールの色を調節する場合,色の変更に使用するDECwindows メールの[カラー設定]ダイアログ・ボックスが, 現在のカラー値を正しく反映しないことがありますが,これは正常な動作です。 これらの値の変更には,DECwindowsメール[カラー設定]ダイアログ・ ボックスではなく,カラー・カスタマイザを使用してください。 別の方法としては,カラー・カスタマイザを終了して,DECwindows メールを再起動します。カラー・カスタマイザについての詳細は,第1.7節を参照してください。

1.9.12 DECwindows Motifウィンドウ・マネージャ

この節では,DECwindows Motifウィンドウ・マネージャについて説明します。

1.9.12.1 DECwindows Motifウィンドウ・マネージャでのカラー・ カスタマイザの使用

V1.2

DECW$EXAMPLESディレクトリで提供されているカラー・カスタマイザを使用してMotif ウィンドウ・マネージャの色を調節する場合,色の変更に使用するMotif ウィンドウ・マネージャの[カラー設定]ダイアログ・ボックスが, 現在のカラー値を正しく反映しないことがありますが,これは正常な動作です。 これらの値を変更するには,Motifウィンドウ・マネージャの[ カラー設定]ダイアログ・ボックスではなく,カラー・カスタマイザを使用してください。 別の方法としては,カラー・カスタマイザを終了して,Motif ウィンドウ・マネージャを再起動する方法があります。カラー・ カスタマイザのデモについての詳細は,第1.7節を参照してください。

1.9.12.2 構成ファイル

V1.0

構成ファイルDECW$MWM_RC.DATでは,ウィンドウ・マネージャでのファンクション・ キーの使用方法を定義します。アクセラレータの多くは,Alt キー(またはCompose Characterキー)とファンクション・キーの組み合わせを使用します( たとえば,Alt+F7)。

アプリケーションがこれらのキーを使用する必要がある場合は, 行頭に感嘆符(!)を付けてコメントにするか,新しいキーボード・ バインディングを作成します。続いて,Mwmリソース・ファイルのMwm*keyBindings:DefaultKeyBindings を新しいバインディングを指すように変更します。

Motifバインディングでは,漢字端末エミュレータでのCompose Character シーケンスを妨げないよう,ウィンドウ・メニューの表示にAlt+SpaceキーあるいはCompose + Space キーを使用することができないようにしています。 ウィンドウ・メニューはShift+Escape (F11)キーで表示してください。

Alt+Spaceを再度有効にするには,[ルートメニュー:設定]ダイアログ・ボックスの適切なオプションを選択し, 現在の設定を適用します。あるいは, 構成ファイルDECW$MWM_RC.DATのAlt+Spaceの省略時のボタン対応のコメントを削除するようにします。

1.9.12.3 DECwindows XUIアプリケーション

V1.0

リソースMwm*useDECModeは,DECwindows XUIアプリケーションの以前のバージョンがMotif ウィンドウ・マネージャで正しく動作するようにします。 特に,このリソースは,フォーカス,ウィンドウ配置,マルチライン・ アイコン,およびウィンドウの初期状態(通常または最小化)を制御するために使用します。

1.9.12.4 Motifウィンドウ・マネージャの再起動

V1.0

ファイルSYS$MANAGER:DECW$MWM.COMは,ウィンドウ・マネージャを再起動する方法を指定するために使用します。 省略時の設定では,必ずすべての画面で再起動されます。 ただし,ウィンドウ・マネージャをセッション・ マネージャから起動していない場合,ウィンドウ・マネージャは最初にすべての使用可能な画面で起動されていない可能性があります。 このファイルを変更してユーザのシステムでウィンドウを再起動する方法を変更することができます。

1.9.13 Motifウィンドウ・マネージャの既知の問題点

Motifウィンドウ・マネージャの既知の問題点を次に示します。

1.9.13.1 モノクロ・モニタの色に関連するリソースのカスタマイズ

V1.0

Motifウィンドウ・マネージャは,オプションのダイアログ・ボックスのモノクロ・ モニタの色に関連するリソースを完全にカスタマイズすることはできません。 色を変えるには,DECW$MWM_BW.DATリソース・ファイルを直接編集してピックスマップ・ リソースを変更する必要があります。 たとえば,有効なウィンドウのタイトルの背景色を変更する場合は, Mwm*activeBackgroundPixmapリソースを変更しなければなりません。値としては,25_foreground ,50_foreground,75_foreground,unspecified pixmapなどがあります。

また,省略時の設定では,タイトル・テキストの背景色は白になっています。 タイトル・テキスト以外と同じ色を使用する場合は,Mwm*cleanText リソースをFALSEに設定します。

1.9.13.2 アイコン・ボックスの画面外への移動

V1.0

アイコン・ボックスを画面の端に移動し,キーボードからサイズ変更を行うと, 画面から消えてしまうことがあります。アイコン・ボックスを探すには, そのウィンドウが見つかるまでAlt+Tabを押し,続いてShift Escape(F11)キーを押してそのウィンドウのウィンドウ・メニューを表示させます。 それから,ウィンドウを画面上に移動します。

1.9.13.3 マルチヘッド・システムでの色のカスタマイズ

V1.0

異なるモニタ・タイプ(カラー,モノクロ,グレースケール)を持つマルチヘッド・ システムを使用している場合は,メイン・モニタ(screen 0)のタイプと一致するモニタで, オプションのダイアログ・ボックスから色をカスタマイズすることができます。 他のモニタをカスタマイズするには,そのモニタ・ タイプで他のシステムにログインするか,リソース・ファイルを直接編集しなければなりません。

1.9.13.4 マルチライン・アイコン・タイトルのセンタリングのずれ

V1.0

ウィンドウ・マネージャは,マルチライン・アイコン・タイトルの各行をセンタリングしません。

1.9.14 ノートパッド

この節では,ノートパッド・アプリケーションについて説明します。

1.9.14.1 ノートパッドとOSF/Motifリリース1.1.3ツールキットとのリンク

V1.2-3

ノートパッド・アプリケーションは,OSF/Motifリリース1.1.3ツールキットとリンクされています。DECwindows Motif V1.2-5 for OpenVMS 製品で提供されるOSF/Motif リリース1.2.3ツールキットとのリンク用には修正されていません。 次の制限があります。

1.9.15 ペイント

ペイント・アプリケーションに関する既知の問題点について次に説明します。

1.9.15.1 個人のカラーマップ

V1.1

カラー・イメージを表示および編集するためのカラーマップ・エントリがワークステーションに不足している場合は, 個人のカラーマップが作成されます。 この場合,ペイント・イメージの本来の色は保持されますが,ワークステーションの残りの色は変更されてしまいます。 色を元の状態に戻すには, 別のウィンドウをクリックして,入力フォーカスを別のウィンドウに移動してください。

1.9.15.2 特定のペイント操作の性能の向上

V1.0

GPXシステムの場合,ブラシ・ストロークを描くなどの簡単な基本操作でも処理に時間がかかることがあります。 この理由は,オブジェクトを描くときにピックスマップがピックスマップ・ メモリにスワップされるからです。 ペイントの処理に時間がかかる場合は,鉛筆ツールをクリックし,鉛筆でイメージ領域に点を描きます。 こうすれば,最初に鉛筆をクリックした後の性能が向上します。

イメージ(特にカラー・イメージ)を編集するとき,[オプション]メニューから[ 絵のサイズ...]項目を選択することによって,イメージ領域のサイズを変更することができます。 サイズを小さくすると,イメージ領域に必要なピックスマップ・ メモリ量が減ります。

1.9.16 画面印刷

画面印刷アプリケーションの追加事項と制約について次に説明します。

1.9.16.1 プリント・スクリーンにおけるPostScript 出力の問題

V1.2-5

プリント・スクリーン(Print Screen)アプリケーションを使用してPostScript を出力するときに,一部のプリンタで出力の一部が欠けることがあります。 欠けるのは,横長モードでの印刷時に左上部,縦長モードでは左下部です。 この問題は,PostScriptプリンタ間の相違が原因です。 この問題を解決するために,DECwindows Motif V1.2-5 for OpenVMS では,DECW$PRINTSCREEN.DATで指定できる次の4つの新しいリソースに対するサポートを追加しています。

     PrintScreen.plxtranslate
     PrintScreen.plytranslate
     PrintScreen.plxscale
     PrintScreen.plyscale

これらのリソースは,ページ上のPostScriptイメージのサイズと位置を制御します。plxtranslate とplytranslateリソースは,原点からのインチ数でイメージのx ,yオフセットを制御します。plxscaleとplyscaleリソースは, 原点移動後にページにイメージ全体を表示するためのxとyのスケール・ ファクタです。

1.9.17 セッション・マネージャとファイルビュー

この節では,セッション・マネージャとファイルビューに関する変更,訂正, 制約事項について説明します。

1.9.17.1 セッション・マネージャのアプリケーション・ メニューからのDECchartの起動

V1.2-3

セッション・マネージャのアプリケーション・メニューからDECchartアプリケーションを起動した場合, セッションが異常終了することがあります。 この問題の解決策としては,VUE$LIBRARY:DECCHART$VUE.COMファイルを編集して, 次のテキストを組み込んでください。

     $!
     $! Copyright (c) 1989, 1991 Digital Equipment Corporation.
     $! All rights reserved.
     $!
     $! Command procedure to run DECchart from the User Executive
     $! in DECwindows
     $!
     $  vue$suppress_output_popup
     $!
     $! See if we should skip the dialog box
     $!
     $    vue$get_symbol vue$show_hidden_dialogs
     $    vue$read show_hidden_dialogs
     $
     $    if show_hidden_dialogs then goto select_qualifiers
     $       vue$get_qualifiers
     $       goto do_chart
     $
     $select_qualifiers:
     $       vue$popup_qualifiers
     $
     $
     $do_chart:
     $
     $ vue$popup_progress_box 8
     $ vue$read vue$command
     $
     $ if "''vue$command'" .eqs. "DETACHED_APPLY" then goto
     $ select_qualifiers
     $
     $ 'vue$command
     $
     $ decchart :== $sys$system:decchart$motif.exe
     $ vue$get_next_selection
     $ vue$read selection
     $ decchart 'selection
     $
     $ vue$check_verb_loop
     $ vue$read loop
     $ if "''loop'" .eqs. "TRUE" then goto select_qualifiers

変更は,次の行をVUE$LIBRARY:DECCHART$VUE.COMファイルの先頭から移動するだけです。

     $ vue$popup_progress_box 8

このステートメントにより,修飾子の処理後,進行状況ボックスが表示されます。

1.9.17.2 セキュリティ・オプション

V1.2

[セッション:セキュリティの設定]ダイアログ・ボックスでは,ノード名に次のいずれかの文字が入っている場合, 引用符で囲んでください。

セッション・マネージャは,ノード名が二重引用符で始まらない場合,必要であればノード名に自動的に引用符を加えます。 ノード名が二重引用符で始まっている場合, セッション・マネージャは,ユーザが既にそのノード名に引用符を付けたものと見なして変更を行いません。

引用符に囲まれた文字列の中の二重引用符は,2つの二重引用符("")に置き換えてください。 たとえばDEC:.zko."my node" という文字列は次のように変更します。

     ("DEC:.zko.""my node""").

1.9.17.3 セッション・マネージャでのカラー・ カスタマイザの使用

V1.2

DECW$EXAMPLESディレクトリに入っているカラー・カスタマイザのサンプル・ プログラムを使用して,セッション・マネージャの色を調節する場合, 色の変更に使用するセッション・マネージャの[色設定]ダイアログ・ ボックスが,現在のカラー値を正しく反映しないことがありますが,これは正常な動作です。 これらの値の変更には,セッション・マネージャ[色設定] ダイアログ・ボックスではなく,カラー・カスタマイザを使用してください。 別の方法としては,カラー・カスタマイザを終了してセッション・ マネージャを再起動します。カラー・カスタマイザについての詳細は, 第1.7節を参照してください。

1.9.17.4 プライベート・ロゴを起動する際の入力フォーカスの変更

V1.0

DECwindowsにログインし,プライベート・ロゴ・コマンド・ファイルを使用する場合, プライベート・ロゴを起動するときに入力フォーカスが[ユーザ名] フィールドに戻ってしまうことがあります。

1.9.17.5 セッション・マネージャ・プロセスの停止

V1.0

セッション・マネージャ・プロセスを停止すると, 特権を持っていないワークステション・ユーザにとっては深刻な結果が発生することがあります。 次の問題が生じないようにDECwindowsを再起動しなければなりません。

セッション・マネージャ・プロセスを停止する場合は,次のコマンドを使用してDECwindows を再起動してください(システム・マネージャ特権が必要) 。

     $ @SYS$MANAGER:DECW$STARTUP RESTART

1.10 ウィンドウ・ダンプ印刷(xpr)ユーティリティ

V1.2

ウィンドウ・ダンプ印刷ユーティリティ(xpr)は,X Windowダンプを印刷します。

xprプログラムは,ウィンドウ・ダンプ・ユーティリティ(xwd)が作成したウインドウ・ ダンプ・ファイルを受け取って,次のプリンタに出力するためのフォーマットを行います。

xprプログラムを使用するには,xprをユーザ定義コマンドとして定義しておかなければなりません。

     $ xpr == "$DECW$UTILS:XPR"

入力ファイルを指定しなければなりません。xprプログラムは出力ページに収まる最大のサイズでウィンドウを印刷します。 オプションによりユーザは, ヘッダ,トレーラ,マージン指定,拡大および縮小,印刷方向などを調整したり, 複数のウインドウ・ダンプを1つの出力ファイルにまとめることができます。

次のコマンド・フォーマットを使用します。

     $ xpr input_file [options...]

オプションには次のものがあります。

         -append filename  -noff  -output filename
         -compact
         -device {ln03 | la100 | ps | lw | pp | ljet | pjet | pjetxl}
         -dump
         -gamma correction
         -gray {2 | 3 | 4}
         -height inches  -width inches
         -header string  -trailer string
         -landscape  -portrait
         -left inches  -top inches
         -noposition
         -nosixopt
         -plane n
         -psfig
         -render type
         -report
         -rv
         -scale scale
         -slide
         -split n-pages

使用可能なオプションは表 1-1に定義されています。

表 1-1 ウィンドウ・ダンプによるファイル印刷オプション

オプション 説明
-device devtype ファイルを印刷するプリンタを指定します。

現在サポートしているプリンタ:
la100 Digital LA100
ln03 Digital LN03
ljet HP LaserJetシリーズおよびその他のモノクロPCLプリンタ (ThinkJet,QuietJet,RuggedWriter,HPシリーズ,HP-シリーズ・プリンタ)
pjet HP PaintJet (カラー・モード)
pjetxl HP PaintJet XL Color Graphics Printer (カラー・モード)
pp IBM PP3812
ps PostScriptプリンタ
lw LaserWriterオプションは-device psと等価で,互換性のために用意されています。

省略時はPostScriptです。

-scale scale ページ上のウィンドウのサイズに影響します。PostScript ,LN03,HPプリンタでは,ウィンドウのピクセル・ マップを特定のサイズのグリッドに変換します。たとえば, -scale 3を指定した場合,各ビットは,3x3のグリッドに変換されます。 省略時の設定の場合,ウインドウは指定された印刷の方向に応じて, そのページに収まる最大のサイズで印刷されます。
-height inches そのページの最大の高さを指定します。
-width inches そのページの最大の幅を指定します。
-left inches 左マージンをインチで指定します。小数を使用することができます。 省略時には,ウィンドウはページの中央に印刷されます。
-top inches グラフィックス表示時の上端のマージンをインチで指定します。 小数を使用することができます。
-header string ウィンドウ上部に印刷されるヘッダの文字列を指定します。
-trailer string ウィンドウ下部に印刷されるトレーラの文字列を指定します。
-landscape ウィンドウを横長方向に印刷します。 省略時には,ウィンドウの長い方向を用紙の長い方向に合わせて印刷します。
-portrait ウィンドウを縦長方向に印刷します。 省略時には,ウィンドウの長い方向を用紙の長い方向に合わせて印刷します。
-plane number どのビット・プレーンでイメージを印刷するかを指定します。 省略時には,イメージ全体を,マップの値を色の輝度に合わせてモノクロで印刷します。
-gray 2x2,3x3,4x4のいずれかのグレー・スケールを使用して,カラー・ イメージを通常のモノクロではなく,グレー・スケールに変換して印刷します。 これにより,印刷されるイメージの縦横ともそれぞれ2倍,3倍,4 倍になります。
-rv ウィンドウを反転して印刷します。
-compact run-length encodingを使用して白ピクセル部分を圧縮した形式で, ウィンドウを表現します。
- output filename 出力ファイル名を指定します。
-append filename xprによってすでに作成されたファイルの名前を指定して, そのファイルにウインドウを追加します。
-noff -appendとともに使用すると,すでにあるウィンドウと同じページに別のウィンドウが印刷されます。
-split n-pages これにより1 つのウィンドウを数ページに分割して印刷することができます。非常に大きなウィンドウを印刷するとき, プリンタが過負荷により正常な印刷を行わなくなる場合などに使用することができます。
-psfig PostScriptによるイメージがページ中央に印刷されるのを禁止します。
-density dpi 1インチ当たりのドット数(dpi) による密度を指定します。HPプリンタで使用します。
-cutoff level LaserJet プリンタのモノクロ出力用に色が白または黒でマップされている場合, 輝度のレベルを変更します。レベルは最大輝度を100%として,パーセントで指定します。 小数を使用することができます。
-noposition ヘッダ,トレーラ,イメージの位置指定コマンド生成を無効とします。LaserJet ,PaintJet,PaintJet XLの各プリンタで使用します。
-gamma correction PaintJet XLプリンタによるカラー印刷時に, 色の輝度を変更します。浮動小数点法で0.00から3.00 の範囲で修正します。各プリンタの適正値については,オペレータ・ マニュアルを参照してください。
-render algorithm プリンタの稼動効率と印刷品質との間の関係を決めるアルゴリズム。 使用可能なアルゴリズムについては, オペレータ・マニュアルを参照してください。
-slide filename PaintJetおよびPaintJet XL プリンタで,OHP用スライドに印刷するときに使用します。

このプログラムには,次のような制限があります。

LN03プリンタでは,プログラムには次のような制限があります。

LA100プリンタでは,プログラムには次のような制限があります。

HPプリンタでは,プログラムには次のような制限があります。

1.11 身体の不自由なユーザのためのキーボード機能拡張(Alpha のみ)

V1.2

AccessX拡張プログラムは,日本語DECwindows Motif V1.2 for OpenVMSを稼動しているOpenVMS Alpha システムを身体の不自由なユーザにとってより使用しやすいものにするためのものです。AccessX の機能によってキーボードとマウスがより使用しやすくなります。 ユーザは,コマンドや,メニュー, ダイアログ・ボックスの入力操作によって,ワークステーションと対話することができますが, 特にAccessXの機能はこれらの入力操作をより容易なものにします。

AccessXの機能を実行して設定を行うために,クライアント・アプリケーションが付いています。 このアプリケーションを実行するには,次のコマンドを入力します。

     $ SET DEFAULT DECW$EXAMPLES
     $ RUN AccessX

オンラインのヘルプを[ヘルプ]メニューから選択することができます。

次の節ではAccessXの機能について説明します。

1.11.1 片手操作キー

片手操作キー機能により,片手,一本指,あるいは口にくわえた棒を使用してマルチキー操作を行うことができます。 大文字,句読点その他の記号なども,Shift キーと文字キーを同時に押さなくても入力することができます。 また,この機能によりCtrl/Cなどの制御文字の入力も容易になります。

1.11.2 マウス・キー

マウス・キーの機能により,マウスで行う操作を数字キーボードあるいはユーザが指定したその他のキーで行うことができます。 この機能によって, 指一本,あるいは口にくわえた棒を使用して画面上のカーソル移動やメニュー操作, テキストの選択,カット,ペーストなどの操作が可能になります。

1.11.3 トグル・キー

トグル・キーの機能により,シフト・ロック(Caps Lock)キーの押し下げを音によってユーザにフィードバックすることができます。 この機能は, ユーザがキーボード上のシフト・ロック表示ランプの確認が困難な場合, あるいは表示ランプの付いていないキーボードを使用している場合に有用です。

1.11.4 リピート・キー

リピート・キーの機能により,キーボードの自動繰り返し機能の速度を調節したり, この機能を完全に解除したりすることができます。リピート・ キー機能をオンにすると,通常の場合より長くキーを押していても,そのキーによる入力が繰り返されないようキーボードを設定することができます。

1.11.5 スロー・キー

スロー・キーの機能により,ユーザが偶然キーに触れた場合でも入力されないようにすることができます。 この機能をオンにすると,コンピュータは一定時間以上キーが押し下げられた場合にだけ反応するようになります。 したがって,キーが一瞬押されただけの場合は無視されます。

1.11.6 バウンス・キー

バウンス・キー機能により,一度押したキーを続けてもう一度押してしまう誤操作を避けることができます。 この機能によって,同じキーが一定の時間内に再度押された場合は, これを無視するようにコンピュータを設定することができます。

1.11.7 タイムアウト

タイムアウトの機能を使用すると,指定された時間の経過後にワークステーションのAccessX の機能は停止します。ユーザがワークステーションを共用していてAccessX 機能が設定されている場合,次のユーザがワークステーションを使用する前に設定が自動的に解除されます。 タイムアウト機能をオフにすれば,AccessX の設定を常時保持しておくことができます。

1.12 アプリケーションからの印刷

V1.2

プリント・キューを持たないシステム上で印刷を実行しようとしたとき, OSF/Motifリリース1.1.3にリンクされているアプリケーションが異常終了することがあります。OSF/Motif リリース1.1.3のライブラリにリンクされ,DECwindows 標準の印刷ダイアログ([印刷ウィジェット])を使用するレイヤード製品も影響を受けます。

考えられる解決策としては,DECwindows印刷ダイアログを表示しないようにするか, 自分のシステムでプリント・キューを定義するようにします。 プリント・ジョブを受け付けるだけであれば,プリント・キューがプリンタに接続されている必要はありません。 プリント・キューがプリンタに接続されていないことを意味するキューの名前( 例: NULL_PRINTER)を指定してください。

1.13 Motif XmTextウィジェットでサポートされない変換

V1.2-3

省略時の設定では,Motif XmTextウィジェットはDECwindows Motifバージョン1.1 ,1.2,1.2-3の次の変換をサポートしません。

        F12:           beginning-of-line()
        F13:           delete-previous-word()
        Ctrl e:        end-of-line()
        Ctrl j:        delete-previous-word()
        Ctrl h:        beginning-of-line()
        Ctrl r:        redraw-display()
        Ctrl u:        delete-to-start-of-line()
        ~Ctrl ~Meta ~Shift Alt<Key>space: self-insert()

これらの変換は,DCLコマンド・ライン・インタフェースとの整合性を確保する点で,OpenVMS ユーザに好まれています。

DECwindows Motif for OpenVMSのセッション・マネージャは,OpenVMSディスプレイ・ サーバに表示されるアプリケーションで使用できるように変換を定義します。 別のディスプレイ・サーバ(PCまたはDIGITAL UNIXワークステーションなど) にアプリケーションを表示する場合,これらの変換は無効です。

この変換を有効にするには,次の行をアプリケーションの省略時のファイル(DECW$USER_DEFAULTS: app_name.DATあるいはDECW$USER_ DEFAULTS:XDEFAULTS.DAT)に追加してください。

     *XmText.translations:   #override \n\
          <Key>F12:     beginning-of-line()\n\
          <Key>F13:     delete-previous-word()\n\
          Ctrl<Key>e:   end-of-line()\n\
          Ctrl<Key>j:   delete-previous-word()\n\
          Ctrl<Key>h:   beginning-of-line()\n\
          Ctrl<Key>r:   redraw-display()\n\
          Ctrl<Key>u:   delete-to-start-of-line()\n\
          ~Ctrl ~Meta ~Shift Alt<Key>space: self-insert()\n

この変換用のテキストは,DECW$SYSTEM_DEFAULTS:DECW$LOGIN.DATファイルからコピーすることができます。

この変換を有効にしても,行末のAlt-right,ワード末尾のCtrl-rightなどMotif 標準の変換には影響しません。


注意
DECW$USER_ DEFAULTS:XDEFAULTS.DATファイルに行を追加する場合,すべてのアプリケーションで起動時のパフォーマンスが少々低下します。

1.14 Spyglass Enhanced Mosaicブラウザのサポートの終了

V1.2-5

Spyglass Enhanced Mosaicブラウザは,今後DECwindows Motifソフトウェアでは提供されず, サポートは終了しました。ご使用のシステムに旧バージョンのDECwindows Motif がインストールされている場合は,DECwindows Motif V1.2-5 for OpenVMSのインストレーション・プロシージャによりこのソフトウェアは削除されます。 弊社のOpenVMS Internet Solutions のWebサイトからNetscape Navigatorブラウザをダウンロードしてください。 ロケーションは次のとおりです。

        http://www.openvms.digital.com/openvms/products/ips

ソフトウェアをダウンロードする場合は,カスタマ登録用紙に記入して, 指示に従ってください。


注意
OpenVMS 7.2システムでは, OpenVMSソフトウェアのインストール時にNetscape Navigatorがオプションとして提供されます。VMS 5.5-2 システムではNetscape Navigatorはサポートされません。 これらのシステムでは、NCSA Mosaicブラウザ(次の節を参照) を使用することができます。

1.15 NCSA Mosaicブラウザ(VMS 5.5-2のみ)

V1.2-3

DECwindows Motif for OpenVMSは, インターネットでの情報検索のためにNCSA (National Center for Supercomputing Applications) Mosaic V2.4ブラウザを提供しています。

NCSA Mosaicブラウザは,インターネットへの導入ソフトウェアとして, またWorld Wide Webビューアの使用のためのサンプルとして提供されています。 本リリースで提供されるNCSA Mosaicブラウザは単なるサンプルであるため, 他のサンプル・ソフトウェアと同様にDECW$UTILSディレクトリに置いてあります。 将来的には,このサンプルNCSA Mosaicブラウザを置き換える予定です。

Mosaicブラウザにより,OpenVMSユーザはインターネットを使用したデータの検索, 表示,保存,転送が可能となります。Mosaicは,情報サーバの集合であるWorld Wide Web 環境で機能します。

Mosaicのグラフィカル・ユーザ・インタフェースはMotifスタイル・ガイドに準拠していないため,Mosaic ブラウザはDECwindows Motif OOTB (out-of-the-box)アプリケーションと同一の外観をしていません。

以降の節では,Mosaicに関する次のような情報を説明します。

1.15.1 Mosaicソフトウェアの起動

V1.2-3

DECW$UTILSディレクトリに置かれているMosaicブラウザは,DECwindows Motif for OpenVMS 製品のインストレーション時にその一部としてインストールされます。

Mosaicを起動するには,ファイル・ビューの[オプション]メニューの[メニュー] を選択します。項目名の一覧にMosaicが含まれています。たとえば[Applications] メニューなどのメニューにMosaicを追加すると, Mosaicの起動およびDECwindows Motif for OpenVMSホーム・ページの表示ができるようになります。 メニューへの追加についての詳細は,『VMS DECwindows Motif User's Guide』を参照してください。


注意
ネットワークへのTCP/IP接続を行わない場合でも, サンプルDECwindows Motif for OpenVMSホーム・ページを表示することができます。 ただし,[ヘルプ]メニューに含まれるトピックの情報にアクセスするには,TCP/IP Services for OpenVMS がインストールされている必要があります。

1.15.2 ホーム・ページの作成

V1.2-3

ホーム・ページを作成することにより,ユーザ自身,会社,製品などに関する情報をInternet 上で利用することができます。HTML (Hypertext Markup Language)を使用したホーム・ページの作成については,[ヘルプ] メニューの[HTMLについて]トピックをクリックします。「A Beginner's Guide to HTML」が表示され,マークアップ・タグ,サンプル, フォーマッティング,リンクの作成,トラブルシューティングなどについての情報を提供します。[ ヘルプ]メニューのトピックにアクセスできるのは, システムがTCP/IP Services for OpenVMSを使用してTCP/IPネットワークに接続している場合にかぎられていることに注意してください。

HTMLソースの例は,DECwindows Motifのサンプル・ホーム・ページを参照してください。HTML ソースを見るには,[File]メニューの[View Source...]をクリックします。

1.15.3 マルチメディア・ファイルを処理するためのMosaic の構成

V1.2-4

DECwindows Motif for OpenVMSに含まれるMosaci ブラウザは,次のタイプのファイルの識別および処理をサポートします。

Mosaic使用時に上記のタイプのファイルへのハイパーリンク(アンカー)が存在している場合,Mosaic は外部プログラムを起動してそのイメージの表示あるいは音声の出力を行います。Mosaic が適切な外部ビューアを識別できない場合は,Mosaic の外部で必要とされるデータ・ファイルを格納するファイル名を入力するようユーザに問い合わせます。

Mosaicは次の手順に従って,どのような外部ビューアがイメージの表示あるいは音声の出力を行うかを識別します。

  1. ファイル・タイプあるいはドキュメント・サーバによって指定された方法に従って, 入力ファイルのMIMEタイプを識別します。

    ファイル・タイプを使用して外部ビューアを識別している場合は, Mosaicは組み込まれている省略時の一覧あるいはユーザによって構成可能なタイプ・ マップ・ファイルのいずれかを使用します。

  2. 組み込まれている省略時の一覧,あるいはユーザによって構成されたDECW$UTILS:XMOSAIC-SETUP.COM ファイルに指定された設定のいずれかに従って, 入力ファイルのMIMEファイル・タイプを外部ビューアに対応させます。

たとえば,GIFファイルはxvビューアにマップされています。xvビューアは,DECwindows Motif では提供されないシェアウェア・ソフトウェアです。xv ビューアは次のURL (Uniform Resource Locator)アドレスから入手可能です。

         http://gatekeeper.dec.com/pub/net/infosys/pw/pw-fetch.html

xvマッピングは,DECW$UTILS:XMOSAIC-SETUP.COMファイルの中で次のように定義されています。

             $ XV   :== $DECW$EXAMPLES:PICT.EXE

GIFファイルを表示するために,実行可能なPICT.EXEも使用されます。ただし,PICT.EXE はJPEGファイルの表示には使用することができないことに注意してください。

その他,次のようなマッピングも含まれています。

イメージ・タイプ 表示/音声論理名
audio/* - > showaudio
image/xwd - > xwud
image/x-xwd - > xwud
image/x-xwindowdump - > xwud
image/* - > xv
application /postscript - > ghostview

上記リストのうち,アスタリスク(*)が続くマッピングは,ネイティブなHDF/netCDF サポートを含むMosaicのいくつかのバージョン(たとえば, V2.4)で使用可能です。

DECW$UTILS:XMOSAIC-SETUP.COMファイルに設定されている外部ビューアの付加的な例には, 次の定義を含めることができます。

       $ APLAY         :== mcr decsound -volume 70 -speaker -play
       $ SHOWAUDIO     :== mcr decsound -volume 70 -speaker -play
       $ GHOSTVIEW     :== view/format=ps/interface=decwindows
       $ XWUD          :== $decw$utils:xwud.exe

1.15.4 Mosaicブラウザのカスタマイズ

V1.2-4

DECW$USER_DEFAULTS:MOSAIC.DATファイルのNCSA Mosaic Xリソースを設定することにより,Mosaic ブラウザをカスタマイズすることができます。

X用のMosaicのクラス名はMosaicです。以降に続く情報は,Xリソースの名前および説明を示します。 クラス名およびリソース名は,リソース名の最初の文字が大文字であることを除き, 同一です。

次のリソースがリストされています。

機能リソース

表 1-2に,機能リソースおよびその説明を示しています。

表 1-2 機能リソース

リソース 説明
annotationsOnTop:ブール Trueの場合,インライン・ ドキュメントのハイパーリンクをドキュメントの前に表示します。 Falseの場合,後に表示します。省略時の設定はFalseです。
autoPlaceWindows:ブール Falseの場合, 新しいドキュメント・ビュー・ウィンドウはプログラム自身によって自動的にその位置を決定されません。 ウィンドウ・マネージャがその位置を決定します。 省略時の設定はTrueです。
catchPriorAndNext:ブール PriorおよびNextキー(ほとんどのキーボードの場合のPage Up およびPage Downキー)の使用が明示的にドキュメント・ ビュー・ウィンドウで処理されて縦スクロールバーに渡されるか, 通常のMotifのスクロール・ウィンドウ手法が自動的に使用されるかを制御します。 省略時の設定はFalseです。

ご使用の環境でPage UpおよびPage Downキーのシーケンスが正しく動作しない場合は, このリソースをTrueに設定します。ホット・ キーの情報を参照してください。

confirmDeleteAnnotation:ブール 確認ダイアログ・ ボックスを使用して削除を確認します。省略時の設定はTrue です。
confirmExit:ブール [Exit Program]メニュー・オプションが選択された場合に,NCSA Mosaicブラウザがダイアログ・ボックスをポップ・アップしてプログラムからの終了を確認するかどうかを決定します。 省略時の設定はTrueです。
defaultAuthorName:文字列 ユーザのフル・ネーム(たとえば,John Q. Public)を識別します。 通常,ユーザのフル・ネームはシステム・パスワード・ファイルに保存され,Mosaic はこのリソースがNULLである場合,そのファイルからフル・ ネームを検索します。そうでない場合は,このリソースの値が使用されます。 省略時の設定はNULLです。
defaultHeight:整数 ドキュメント・ビュー・ウィンドウの省略時の高さをピクセル単位で指定します。 省略時の設定は680 です。
defaultHotlistFile:文字列 省略時のホット・リスト(ブックマークのリスト)を保存するファイル名前を指定します。 省略時の設定は".mosaic-hotlist- default"です。環境変数$HOMEの値が,この文字列の先頭に追加されます。
defaultWidth:整数 ドキュメント・ビュー・ウィンドウの省略時の幅をピクセル単位で指定します。 省略時の設定は620です。
delayImageLoads:ブール ネットワーク接続の遅いユーザ用に, イメージの遅延ロードを指定します。Trueに設定されている場合,Mosaic はインライン・イメージとして小さなアイコンを表示し,ハイパーリンクとして動作するインライン・ イメージとして矢印アイコンを表示します。 アイコンをクリックすると,Mosaicはインライン・イメージをロードします。 矢印をクリックすると,対応するハイパーリンクに進みます。

Mosaic [Options]メニューの[Load Images in Current]を選択すると, 現在のドキュメント内のすべてのインライン・イメージをロードして表示します。 イメージの遅延ロードは,Mosaicの[Options]メニューの-dil command-line フラグを使用するか,あるいはウィンドウ毎に選択することができます。 省略時の設定はFalseです。

displayURLsNotTitles:ブール Trueに設定されている場合, ドキュメント・タイトルを表示する際に常にURL を表示します。省略時の設定はFalseです。
DocsDirectory:文字列 Helpドキュメントの位置を無効にします。 省略時の設定はNULLです。
documentsMenuSpecfile:文字列 Mosaicのメニュー・ バーに独自の[Document]メニューの追加を可能とするオプションである"Documents Menu Specfile" を保持するファイル名を指定します。 詳細は,構成可能な[Documents]メニューの作成についてのドキュメントを参照してください。 省略時の設定は,"/usr/local/lib/mosaic /documents.menu"です。
fancySelections: ブール Falseに設定されている場合,HTMLウィジェットで有効となっている選択法( 下線付きのヘッダ,黒丸付きの箇条書きなど) による,ドキュメント・ビュー・ウィンドウでのカット・アンド・ ペーストを行います。Falseに設定されている場合,通常の選択法を使用します。 選択は,ウィンドウ毎に任意のタイミングで可能であることに注意してください。 省略時の設定はFalseです。
fullHostname:文字列 gethostbyname()の呼び出しに失敗するシステムに対して, 完全なホスト名指定を明示的に設定できるようにします。 必要な場合にかぎり,gethostbynameIsEvilとともにfullHostname リソースを使用してください。
gethostbynameIsEvil:ブール システムをSun 設定で稼動しており,システムがgethostbyname()を使用して独自の完全なホスト名を見つけようとする際にシステムがコアダンプする場合は, Trueに設定します。省略時の設定はFalseです。
globalExtensionMap:文字列 システム全体で有効な拡張マップ構成ファイルの位置をユーザ独自のものに設定します。 省略時の設定は,"/usr/local/lib/mosaic/mime.types" です。
globalHistoryFile:文字列 セッション毎にアクセスしたすべてのドキュメントのグローバルな履歴を保存するためのファイル名を指定します。 環境変数$HOMEの値が,この文字列の先頭に追加されます。
globalTypeMap: 文字列 システム全体で有効なメールキャップ・ファイル( タイプ・マップ構成ファイル)の位置をユーザ独自の場所に指定します。 省略時の設定は,"/usr/local/lib/mosaic/mailcap"です。
gunzipCommand:文字列 gzipファイル(ファイル・タイプが.zであるファイル)の解凍用のコマンドを指定します。prep.ai.mit.edu の/pub/gnuからgunzipを入手することができます。 省略時の設定はgunzip -n -fであり,gzip V1.2.4を必要とします。
hdfMaxImageDimension:整数 HDFインライン・イメージの最大高あるいは最大幅のいずれか, あるいはその両方をピクセル単位で指定します。省略時の設定は400 です。
hdfMaxDisplayedDatasets: 整数 HDFファイルをブラウズする際に表示されるデータ・ セットの最大数を指定します。HDFファイルに最大数以上のものが存在している場合,Mosaic はHDFファイルを概要モードで表示します。 省略時の設定は15です。
hdfMaxDisplayedAttributes:整数 HDFファイルをブラウズする際に表示される属性の最大数を指定します。HDF ファイルに最大数以上のものが存在している場合,Mosaic はHDFファイルを概要モードで表示します。 省略時の設定は10です。
hdfPowerUser:ブール HDFファイル内のサポートされるほとんどのテキストを削除する場合は,True に設定します。省略時の設定はFalse です。
homeDocument: 文字列 プログラム起動時にアクセスするドキュメントを指定します。 ホーム・ドキュメントの指定についての情報を参照してください。 省略時の設定は,http://www.ncsa.uiuc.edu/SDG /Software/Mosaic/NCSAMosaicHome.htmlです。
imageCacheSize:整数 インライン・イメージのキャッシュ・ サイズをキロバイト単位で指定します。-ics command- lineフラグを使用することもできます。指定されたドキュメント内のすべてのイメージは,imageCacheSize 値に関わらず,そのページを参照しているかぎり( 一時的に)キャッシュに書き込まれます。キャッシュには, 最も最近に表示されたイメージが書き込まれます。省略時の設定は2048 です。
initialWindowIconic: ブール (プログラム起動時に)最初にオープンされるドキュメント・ ビュー・ウィンドウをアイコン表示する場合は,True に設定します。省略時の設定はFalseです。
maxWaisResponses:整数 WAISサーバからのMosaicアクセスの最大数を制御します。 省略時の設定は200です。
personalAnnotationDirectory:文字列 (すでに存在しているすべての個人的な注釈のログ・ファイル同様) 個人的な注釈を保存するためのディレクトリ名を指定します。指定されたディレクトリが存在しない場合は, 作成されます。ただし,中間ディレクトリを指定した場合, その中間ディレクトリは作成されません。 省略時の設定は,.mosaic-personal-annotationsです。環境変数$HOME の値が,この文字列の先頭に追加されます。
personalExtensionMap:文字列 個人的な拡張マップ構成ファイルの位置をユーザ独自のものに指定します。 環境変数$HOME の値が,この文字列の先頭に追加されます。省略時の設定は.mime.types です。
personalTypeMap:文字列 個人的なメールキャップ・ファイルの位置をユーザ独自のものに指定します。 環境変数$HOMEの値が,この文字列の先頭に追加されます。 省略時の設定は.mailcapです。
printCommand:文字列 [Print]メニュー・オプションの省略時のコマンド名を指定します。 このコマンドは,印刷するファイル名である単一の引数を受け付けます。 プリント・オプションのダイアログ・ ボックスを使用して,いつでもこの位置を変更することができることに注意してください。 省略時の設定はlprです。
recordCommandLocation:文字列 (Sun,SGI, HPプラットフォームで)音声注釈を記録するために使用するコマンドの位置( フル・パス名)を指定します。Mosaicが起動された際に指定したコマンドがない場合, 音声注釈は無効(メニュー・エントリが無効)となります。 省略時の設定は,SGIの場合"/usr/sbin/recordaiff",Sunの場合"/usr/demo/SOUND/record" ,HPの場合"/usr/audio/bin/srecorder"です。
recordCommand:文字列 音声注釈を記録するために使用するコマンドを指定します。これは, recordCommandLocationで指定されたコマンドを最初の語として使用する完全なコマンドです。 省略時の設定は,SGIの場合"recordaiff -n 1 -s 8 -r 8000",Sunの場合"record",HPの場合"srecorder -au"です。この指定されたコマンドは, 新しい音声ファイル名である単一の付加的な引数を受け付けます。SIGINT が送信された場合,このコマンドは正しく録音を停止します。
reloadReloadsImages:ブール Trueに設定されている場合,ドキュメントを再ロードする前に, 現在のドキュメント用にReloadオプションでキャッシュに書き込まれているイメージをクリアします。 そのため,イメージを再ロードするようにします。 これは,Mosaicを使用して自分達の作業を表示しているHTML 作成者に有用です。省略時の設定はFalseです。
sendmailCommand:文字列 sendmailバイナリに対するポインタを指定します。 これは,このプログラムが,メッセージを送信すべきアドレスを指定するコマンド行の引数を受け付け,stdin からのその他のヘッダおよびメッセージ・ テキストを受け付けることを想定しています。 省略時の設定は,"/usr/lib/sendmail"です。
simpleInterface:ブール Mosaicのメニュー・ バーおよび底部ボタン構成を最小化するようにします。省略時の設定はFalse です。
tmpDirectory:文字列 Mosaicで作成される一時ファイルを保存するディレクトリ名を指定します。 非常に大きなデータ・ファイルにアクセスする場合は, このディレクトリは少なくとも10 MBあるいは20 MBのファイルを格納することができなければなりません。 このリソースの設定は, command-lineフラグを使用すること,あるいは環境変数TMPDIRを設定することでも可能です。
trackFullURLs:ブール Falseに設定されている場合,プロトタイプ作成時にフォーマット定義を含むマウスの操作によるリンク先の情報を表示するようにします。 省略時の設定はTrueです。
trackPointerMotion:ブール Falseに設定されている場合, マウス・ポインタがトレースされず,URLが下部のステータス行に表示されるようにします。 省略時の設定はTrueです。
trackVisitedAnchors:ブール True に設定されている場合,すでにアクセスしたアンカー(以前に表示したことがあるドキュメントをポイントしているアンカー) を,まだアクセスしていないアンカーとは異なるスタイルで表示します。 遅いシステムでは, このリソースをFalseに変更することで,Mosaicの性能を向上させることができます。 省略時の設定はTrueです。
tweakGopherTypes:ブール Falseに設定されている場合,Mosaic はGopherドキュメントをGopherタイピング・システムにより厳密に解釈します。True に設定されている場合,Mosaic は独自のメカニズムを使用してGopherドキュメントのファイル・タイプを決定します。 省略時の設定はTrueです。
twirlIncrement:整数 通常(FTP,Gopher,HTTP)の転送時に, 転送中であることを示すアイコンの回転に応じて転送される最小バイト数を指定します。 省略時の設定は4096です。
twirlingTransferIcon:ブール Falseに設定されている場合, ドキュメント転送時のNCSAロゴの回転を行いません。アイコンをクリックした場合は, 転送を中断します。省略時の設定はTrueです。
uncompressCommand:文字列 圧縮ファイル(ファイル・タイプ.Zのファイル)を解凍するコマンドを指定します。 省略時の設定はuncompressです。
useDefaultExtensionMap:ブール Falseに設定されている場合,Mosaic の省略時の任意のfile-extension-to-MIME-typeマッピングを保持します。 このリソース設定をTrueに保持し,必要に応じて省略時の設定を無効とすることを推奨します。 省略時の設定はTrueです。
useDefaultTypeMap:ブール Falseに設定されている場合,Mosaicの省略時の任意のMIME-type-to- external-viewerマッピングを保持します。このリソース設定をTrueに保持し, 必要に応じて省略時の設定を無効とすることを推奨します。省略時の設定はTrue です。
useGlobalHistory: ブール Trueに設定されている場合,ユーザがアクセスしたすべてのグローバル履歴を自動的に保存します。 この履歴は, trackVisitedAnchorsリソースがTrueに設定されている場合,アンカーに対応したドキュメントにアクセスしているかどうかに応じてそのアンカーの影を異なる色で表示するために使用されます。 省略時の設定はTrue です。
xtermCommand:文字列 telnetセッション用に端末ウィンドウを起動するために使用されるコマンド名を指定します。 ほとんどのプラットフォームでは,省略時の設定はxterm です。IBM AIX 3.xシステムの場合,省略時の設定はaixterm -vです。

表示リソース

表 1-3に,ドキュメント・ビュー・ ウィンドウで使用されるHTML ウィジェットに対応した表示リソースを示しています。DECW$USER_DEFAULTS:MOSAIC.DAT ファイルでこれらのリソースを指定する場合は, 次のフォーマットを使用します。

        Mosaic*anchorColor: cyan

表 1-3 表示リソース

リソース 説明
anchorColor:色 以前にアクセスしていないドキュメントに対応したアンカーの影の色を指定します。 省略時の設定はblue3 です。
visitedAnchorColor:色 以前にアクセスしたことがあるドキュメントに対応したアンカーの影の色を指定します。 省略時の設定はvioletred4です。
activeAnchorFG:色 現在処理中のアンカーの影の色を指定します。 省略時の設定はredです。
activeAnchorBG:色 現在処理中のアンカーの背景の影の色を指定します。 省略時の設定はgrey80であり,これはブラウザの背景と同一です。
anchorUnderlines: 整数 まだアクセスしたことがないアンカーの下線の数を指定します。 有効な値は,0,1,2,3のいずれかです。省略時の設定は1 です。
visitedAnchorUnderlines: 整数 すでにアクセスしたアンカーの下線の数を指定します。 有効な値は,0,1,2,3のいずれかです。省略時の設定は1 です。
dashedAnchorUnderlines:ブール Trueに設定されている場合,まだアクセスしたことがないアンカーの下線を点線に設定します。 省略時の設定はFalseです。
dashedVisitedAnchorUnderlines:ブール Trueに設定されている場合,すでにアクセスしたアンカーの下線を点線に設定します。 省略時の設定はFalseです。
colorsPerInlinedImage:整数 各インライン・ イメージに割り当てる一意的な色の数を指定します。この設定は,NCSA Mosaic ブラウザとは関係なく表示されるイメージ(たとえば,GIF イメージは外部ビューアに渡されます)には影響しないことに注意してください。 省略時の設定は50です。
percentVerticalSpace:整数 段落間,段落とヘッダ間などの縦の間隔を指定します。 通常の行の高さを基にパーセンテージで示されます。 省略時の設定は90です。
reverseInlinedBitmapColors:ブール Trueに設定されている場合, インラインXBMビットマップの前景および背景の反転を指定します。 省略時の設定はFalseです。
verticalScrollOnRight:ブール Falseに設定されている場合, ドキュメント・ビュー・ウィンドウがスクロール・バーをその左側に置くことを指定します。 省略時の設定はTrueです。

フォント・リソース

フォント・リソースは,[Option]メニューで動的に変更することができます( フォント・リソースはHTMLウィジェットにも対応しています)。表 1-4 にフォント・リソース名および説明を示しています。

表 1-4 フォント・リソース

リソース 説明
font:フォント 通常のテキストに使用されます。 省略時の設定は,"-adobe-times-medium-r-normal-*-17-*-*-*-*-*- iso8859-1"です。
italicFont:フォント イタリック体のテキストに使用されます。省略時の設定は,"-adobe-times-medium-i-normal-*-17-*-*-*-*-*-iso8859- 1"です。
boldFont:フォント 太字体のテキストに使用されます。省略時の設定は,"-adobe-times- bold-r-normal-*-17-*-*-*-*-*-iso8859-1"です。
fixedFont:フォント タイプライタ・スタイルのテキストに使用されます。 省略時の設定は,"-adobe-courier- medium-r-normal-*-17-*-*-*-*-*-iso8859-1"です。
header1Font:フォント レベル1ヘッダに使用されます。 省略時の設定は,"-adobe-times-bold-r-normal-*-24-*- *-*-*-*-iso8859-1"です。
header2Font: フォント レベル2ヘッダに使用されます。省略時の設定は,"-adobe-times-bold-r-normal-*-18-*-*-*-*-*-iso8859-1" です。
header3Font:フォント レベル3ヘッダに使用されます。省略時の設定は,"-adobe-times- bold-r-normal-*-17-*-*-*-*-*-iso8859-1"です。
header4Font:フォント レベル4ヘッダに使用されます。 省略時の設定は,"-adobe-times-bold-r-normal-*-14-*- *-*-*-*-iso8859-1"です。
header5Font: フォント レベル5ヘッダに使用されます。省略時の設定は,"-adobe-times-bold-r-normal-*-12-*-*-*-*-*-iso8859-1" です。
header6Font:フォント レベル6ヘッダに使用されます。省略時の設定は,"-adobe-times- bold-r-normal-*-10-*-*-*-*-*-iso8859-1"です。
addressFont:フォント アドレスに使用されます。 省略時の設定は,"-adobe-times-medium-i-normal-*-17-*-*-*- *-*-iso8859-1"です。
plainFont:フォント プレーンテキスト領域あるいはフォーマット済みのテキストに使用されます。 省略時の設定は,"-adobe-courier-medium- r-normal-*-14-*-*-*-*-*-iso8859-1"です。
listingFont:フォント リスト領域に使用されます。 省略時の設定は,"-adobe-courier-medium-r-normal-*-12-*-*-*- *-*-iso8859-1"です。
fixedboldFont:フォント タイプライタ・スタイルの太字体のテキストに使用されます。
fixeditalicFont:フォント タイプライタ・スタイルのイタリック体のテキストに使用されます。
plainboldFont:フォント プレーンテキスト領域あるいはフォーマット済みの太字体のドキュメントに使用されます。
plainitalicFont:フォント プレーンテキスト領域あるいはフォーマット済みのイタリック体のドキュメントに使用されます。

プロキシ・ゲートウェイ・リソース

プロキシ・ゲートウェイが,ネットワークあるいはシステム・アドミニストレータにより設定されている場合は, そのリソースを使用することができます。 表 1-5に,NCSA Mosaic V2.4ブラウザでのプロキシ・ ゲートウェイ・サポートについての付加的な詳細を示しています。

表 1-5 プロキシ・ゲートウェイ・リソース

リソース 説明
ftpProxy:文字列 ftp URLで使用されます。
gopherProxy:文字列 gopher URLsで使用されます。
httpProxy:文字列 http URLで使用されます。
newsProxy:文字列 news URLで使用されます。
waisProxy: 文字列 wais URLで使用されます。
ProxyGateway:文字列 すべてのアクセスで使用されます。

1.15.5 ファイアウォール内でのMosaic使用の制限

V1.2-3

以降の各節では,ご使用のサイトで内部ネットワークと外部ネットワーク間にセキュリティ制限( ファイアウォール)がある場合に,MosaicでのProxyGateway およびNoProxyリソースを使用したインターネット上の情報へのアクセスについて説明します。

1.15.5.1 ProxyGatewayリソース

DECwindows Motif for OpenVMSで提供されるNCSA Mosaic V2.4 は,プロキシ・ゲートウェイ(ProxyGateway)リソースをサポートします。 プロキシ・ゲートウェイは,ファイアウォールの内部あるいは外部のいずれかに存在するネットワーク情報にMosaic からのアクセスを可能とする認定されたエージェントです。

Mosaicブラウザがファイアウォール内で使用された場合,Mosaicはプロキシ・ ゲートウェイを使用してURLフォーマットのアドレスでインターネットにネットワーク要求を渡すことができます。 プロキシ・ゲートウェイは, その結果をMosaicブラウザに返します。ネットワーク要求の引き渡しおよび応答の処理は, ユーザにとっては透過的です。ユーザは,プロキシ・ ゲートウェイの存在を意識することなく,インターネット上のドキュメントを表示することができます。

ただし,そのプロキシ・ゲートウェイがファイアウォールの外に置かれている場合, ファイアウォール内の情報(ホーム・ページ,World Wide Web ドキュメント,ノート・ファイルなど)には,そのプロキシ・ゲートウェイからアクセスすることができないことに注意してください。

1.15.5.2 NoProxyリソース

ご使用のサイトで,ファイアウォールの内部および外部の両方のインターネット情報にアクセスする必要がある場合,NoProxy リソースをサポートするMosaic のバージョンが必要です。このリソースにより,プロキシ・ゲートウェイを使用しないドメインのリストを指定することができます( すなわち, そのドメイン内の情報へのアクセスは,プロキシ・ゲートウェイを通過しません)。

NCSA Mosaic V2.4a for OpenVMSは,NoProxyリソースをサポートし,プロキシ・ ゲートウェイへのアクセスも可能とします。ご利用のサイトがファイアウォール環境で稼動しており, ファイアウォールの内部および外部の両方の情報にアクセスする必要がある場合は, 次のURLからMosaicのプレリリース版をコピーすることができます。

        ftp://gatekeeper.dec.com/pub/DEC/Mosaic/

すでに説明したように,NoProxyリソースはプロキシ・ゲートウェイを使用しないドメインに対するプロキシ・ ゲートウェイのアクセスを制限します。NCSA Mosaic V2.4a for OpenVMS を使用している場合は,次のフォーマットに従ってDECW$USER_DEFAULTS:MOSAIC.DAT ファイルでNoProxyリソースを指定することができます。

          Mosaic*ProxyGateway:    http://www-proxy.site.org:8080/
          Mosaic*NoProxy:         localhost, site.org

場所 説明
www-proxy.site.org プロキシ・サーバを稼動しているホスト名
8080 ファイアウォールを通過してMosaicがプロキシ・サーバと通信するポート番号
local host, site.org プロキシ・サーバを通過しないサイト名のリスト(カンマで区切る)

プロキシ・ゲートウェイについての詳細は,次のURLを参照してください。

       http://info.cern.ch/hypertext/WWW/Daemon/user/Guide.html


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