[ 前のページ ]
[ 次のページ ]
[ 目次 ]
[ 索引 ]
[ DOC Home ]
Extended File Specificationsは,Windows NTで利用できるものと同様の, 幅広い種類の文字セット・オプションおよび命名規約を提供します。 この章では,Extended File Specificationsが一般のユーザに与える影響について説明します。 この章では次のトピックを扱います。
ODS-5ボリュームでは,ファイル指定のための命名スタイルとして, 従来型 (ODS-2準拠)と拡張型 (ODS-5準拠) の2つがあります。
第3.1.1項では,ODS-2準拠の命名スタイルの構文について説明します。 第3.1.2項では,ODS-5 準拠の命名スタイルの構文について説明します。
従来型の(ODS-2)ファイル名構文は,ほとんどのOpenVMSユーザが使い慣れている構文です。OpenVMS バージョン7.1以前ではこの構文が使用され,次の文字セットおよび命名規約がサポートされています。
ODS-2文字セット
従来の(ODS-2準拠)ファイル名には,英数字(A〜Z,a〜z,0〜9),ドル記号($) ,アンダスコア(_),およびハイフン(-)を使用することができます。
大文字と小文字の区別
Case大文字と小文字の区別は,従来型の構文では保存されません。ファイル名は, 大文字,小文字,またはこれら2種類を組み合わせて入力できますが, すべての文字は大文字で格納されます。
標準の区切り文字
従来型の構文では,ファイル・タイプの前にピリオド(.)が付きます。ファイル・ バージョンは,セミコロン(;)またはピリオド(.)を使用してファイル・ タイプと区切られます(システムがファイル指定を表示するときには, ファイル・バージョン番号の前にセミコロンが表示されます)。ディレクトリは大括弧([]) または山括弧(<>)で囲まれます。ディレクトリ・ レベルはピリオド(.)で区切られます。
ファイルの長さの制限
従来型のファイル指定は39.39形式に従っているため,ファイル名とファイル・ タイプを区切るために使用できるのは,1つのピリオド(.)だけになります。
ODS-5ボリュームが提供する拡張ファイル名構文は,より幅広い文字セット, 長いファイル名,およびファイル指定をサポートしています。この構文を使用すると, 次に示す文字セットや命名規約を使用するWindows NTスタイルのファイル指定を持つファイルをOpenVMS システムに格納し,アクセスすることができます。
ISO Latin-1文字セットは,バージョン7.2以前のOpenVMSで使用されていた従来の文字セットのスーパーセットです。8 ビットISO Latin-1文字セットの文字は, 次の文字を除いてすべて使用することができます。
一部のISO Latin-1文字は,特殊機能文字としてではなく,リテラル文字として解釈されるには, ファイル指定の中でエスケープ文字を前に付ける必要があります。RMS およびDCLは,拡張ファイル名に含まれているサーカンフレックス(^) をエスケープ文字として解釈します。次のリストは,エスケープ文字を使用する場合の規則を示しています。
. , ; [ ] % ^ &
たとえば,^20はスペースを表す。
ファイル指定の中で前にサーカンフレックス(^)が付いていないすべての文字は,ISO Latin-1 と想定される。
拡張ファイル名の中でピリオド(.)をリテラル文字として使用するには, ピリオドがファイル名文字であるかまたは区切り文字であるかを,RMSが判断できなければなりません。
拡張ファイル名の中で使用されているピリオド(.)が1つだけの場合には, そのピリオドは区切り文字として解釈されます。以前のバージョンのOpenVMS と同様に,1つのピリオドの後に数字が続いた場合にも,この処理が実行されます。
$ CREATE Test.1
このコマンドによって,次のファイルが作成されます。
Test.1;1
1つのファイル名の中に複数のピリオド(.)がある場合には,RMSは,最後のピリオドの後のすべての文字を調べます。 これらの文字がすべて数値であるか, すべて数値でありその前にマイナス記号(-)が付いている場合には, この数値文字列はバージョン番号であると判断されます。ただし,6 個以上の数字がある場合には,RMSはこのファイル名を無効なファイル名と判断し, 受け付けません。最後のピリオドの後に数字でない文字がある場合には, この最後のピリオドはタイプ区切り文字として解釈されます。
たとえば,次のコマンドを使用したとします。$ CREATE
Test4.3.2.1
この結果,次のファイルが作成されます。Test4^.3.2;1
このとき,.2はファイル・タイプ,1はファイル・バージョンです。
バージョン番号がセミコロン(;)によって明示的に区切られている場合には,5 文字以下の数値文字でなければならず,前にマイナス記号(-)を付けることができます。
ODS-5ボリュームでは,ファイル名とファイル・タイプの合計は,8ビットで236 文字以内,または16ビットで118文字以内です。ODS-5用に変更されていないプログラムやユーティリティでは, ファイル指定の長さが合計で255 バイト以内に制限されたり,省略される可能性があります。
$ CREATE This.File.Name.Has.A.Lot.Of.Periods.DAT $ CREATE - _$ ThisIsAVeryLongFileName^&ItWillKeepGoingForLotsAndLotsOfCharacters.Exceed - _$ ingThe39^,39presentInPreviousVersionsOfOpenVMS $ DIRECTORY Directory TEST$ODS5:[TESTING] ThisIsAVeryLongFileName^&ItWillKeepGoingForLotsAndLotsOfCharacters.Exceeding The39^,39presentInPreviousVersionsOfOpenVMS;1 This^.File^.Name^.Has^.A^.Lot^.Of^.Periods.DAT;1 Total of 2 files.
第3.6節では,完全なファイル指定が255バイトの上限を超える場合に,RMS がどのようにファイル指定を省略するかについて説明しています。
ワイルドカードは,単一文字の場合でも複数文字の場合でも,ODS-5ファイルでは予想どおりに動作します。 単一文字のワイルドカードは,ファイル名またはファイル・ タイプの中の特定の1文字だけを表しますが,ファイル・ バージョン文字列の中で使用することはできません。複数文字のワイルドカードは, ファイル名またはファイル・タイプの中の(0個も含む) 任意の数の文字を表します。複数文字のワイルドカードは,バージョン文字列の代わりに使用することができます。
次の文字は,OpenVMS 7.2ボリューム上ではワイルドカード文字として扱われます。
パーセント記号(%)は,既存のアプリケーションとの互換性を保つため, 引き続き単一文字のワイルドカードとして使用されます。パーセント記号(%) の前にサーカンフレックス(^)を付けるとリテラル文字として使用することができます。 また,Windows NTファイル名の中では,リテラル文字として使用されます。 このため,RMSは,パーセント記号の他に疑問符(?)も単一文字のワイルドカードとして認識します。 疑問符は,OpenVMS 7.2以降では, パーセント記号とまったく同様に,ワイルドカード文字として機能します。 パーセント記号と疑問符は共に,検索パターンの中の1文字だけ とマッチします。
DCLでは拡張ファイル名の大文字と小文字の区別が保存されますが,ワイルドカードのマッチングでは, 大文字と小文字は区別されません。
ワイルドカードを含む検索処理では,引き続き,対象となる指定の同じ部分にある対応する文字だけをマッチします。 表 3-1には,ワイルドカードを使用した検索の例を示しています。
パターン | マッチする例 | マッチしない例 |
---|---|---|
A*B;* | AHAB.;1 | A.B;1 |
A.*.B* | A^.DISK.BLOCK;1 | A^.C^.B.DAT;1 |
A?B.TXT;* | A^.B.TXT;5 | A^.^.B.TXT;1 |
*.DAT | Lots^.of^.Periods.dat;1 | DAT.;1 |
Mil?no.dat | Milano.dat;1 | Millaano.dat;1 |
NAPOLI.?.DAT | napoli.q.dat;1 | napoli.abc77.dat;1 |
ODS-5ボリュームでは,ファイル名の大文字と小文字の区別は,バージョンが異なっても統一されます。 ファイル名の大文字と小文字の区別は,そのファイルが最初に作成されたときの状態が保存されます。 大文字と小文字の区別が異なるだけで, 同じ名前のファイル名を複数作成すると,DCL は後でできたファイルを新しいバージョンとして扱い,大文字と小文字の区別を元のファイルと同じ状態に変換します。
たとえば,次のコマンドを使用したとします。
$ CREATE CaPri.;1 $ CREATE CAPRI $ CREATE capri
この結果,次のファイルが作成されます。
CaPri.;1 CaPri.;2 CaPri.;3
以前のバージョンのOpenVMSでは,DCLおよびRMSは,すべてのファイル指定を大文字に変換していました。ODS-5 ボリュームでは,すべてのファイル名の大文字と小文字の区別は, ユーザが作成したときの状態のまま保存されます。
この後の項では,ODS-5ボリューム上で使用できる深いディレクトリ構造および拡張命名構文について説明します。 これまでOpenVMSでサポートされていた8 レベルよりも深いディレクトリを使用することができます。
OpenVMS 7.2は,ディレクトリ指定が全体で8ビットまたは16ビットで512 文字以内であれば,255レベルまでのディレクトリのネスティングをサポートしています。
たとえば,ユーザはODS-2またはODS-5ボリューム上で,次のようなディレクトリを作成することができます。
$ CREATE/DIRECTORY [a.b.c.d.e.f.g.h.i.j.k.l.m]
ユーザはODS-5ボリューム上で,長いファイル名を持つ次のようなディレクトリを作成することができます。
$ CREATE/DIRECTORY - [.AVeryLongDirectoryNameWhichHasNothingToDoWithAnythingInParticular]
ODS-5ボリュームでは,ディレクトリ名は,ISO Latin-1文字セットを使用した場合のファイル名と同じ規則に準拠します。 ピリオドと特殊文字は, ディレクトリ名の中で使用することができますが,リテラル文字として認識されるためには, 表 3-2に示すように, エスケープ文字としてのサーカンフレックス(^)を前に付けなければなりません。
CREATE/DIRECTORY. . . | 結果 |
---|---|
[Hi^&Bye] | Hi^&Bye.DIR;1 |
[Lots^.Of^.Periods^.In^.This^.Name] | Lots^.Of^.Periods^.In^.This^.Name.DIR;1 |
状況によっては,完全なファイル指定に,変更されていないアプリケーションで許可されている255 バイトより多くの文字が含まれている場合があります。 そのようなアプリケーションが必要とするファイル指定の長さが255 バイトを超えている場合,RMSはディレクトリをDIDに短縮し,ファイル名をFID に短縮することによって,より短いファイル指定を生成します。
ファイル指定が長すぎる場合,RMSはまずディレクトリをそのディレクトリID に変換することにより,より短いディレクトリを生成しようとします。 この短い指定は,DIDと呼ばれます。
TEST$ODS5:[5953,9,0]Alghero.TXT;1
UIC形式のディレクトリ名との混同を避けるため,この形式のディレクトリ名には,3 つの数字と2つのコンマがなければならないことに注意してください。DIRECTORY コマンドを使用すると,ファイル指定の短いバージョンのほか, 完全なバージョンも表示することができます。 長いファイル指定を表示する方法については,第3.6節を参照してください。DID の短縮形の詳細については,第B.2.2.7項を参照してください。FID の短縮形の詳細については, 第B.2.2.8項を参照してください。
OpenVMS AlphaシステムとOpenVMS VAXシステムの両方が含まれている環境で作業を行う場合には, ユーザが次のことを認識していることが重要です。
OpenVMS 7.2を使用すると,VAXシステムからODS-5ボリュームをマウントすることができます。 ただし,OpenVMS VAXシステム上のユーザがアクセスできるのは,ODS-2 準拠のファイル名を持つファイルだけです。
ODS-2ボリュームとODS-5ボリュームの複合環境で作業を行う場合には, ODS-5ボリューム上でファイルを作成するときのODS-2ファイル名の制約に注意してください。 ファイル名に特殊文字が含まれているODS-5ボリューム上のファイルをODS-2 ボリューム上にコピーするには,ODS-2準拠の名前を付ける必要があります。
拡張ファイル名をDCLコマンド行で使用する場合には,拡張ファイル指定を受け付けて表示できるように, 解析スタイルをEXTENDEDに設定する必要があります。 省略時の設定はTRADITIONALです。解析スタイルを設定するには, 次のコマンドを入力します。
$ SET PROCESS/PARSE_STYLE=EXTENDED
DCLの名前解析スタイルの変更の詳細については,第3.4.1項を参照してください。
3.4.1.1,3.4.1.2, および3.4.1.3の各項では,DCL名前解析スタイルを, コマンド行およびコマンド・プロシージャの中で制御する方法について説明します。
OpenVMS Alphaシステムでは,次のコマンドを入力して,DCLがODS-5ファイル名をプロセス単位で受け付けるように設定することができます。
$ SET PROCESS/PARSE_STYLE=EXTENDED
このコマンドは,OpenVMS VAXシステムには全く影響を与えないことに注目してください。
このコマンドを入力すると,DCLは,次のようなファイル名を受け付けるようになります。
$ CREATE MY^[FILE
サーカンフレックス(^)は,次に続く文字(この例の場合には左大括弧([))) が区切り記号ではなく,ファイル名の中のリテラル文字として処理されるようにDCL に指示するエスケープ文字として使用されます。
詳細については,『OpenVMS DCLディクショナリ: N-Z 』のSET PROCESS/PARSE_STYLEコマンドに関する説明を参照してください。
ファイル名に対する省略時のDCL解析スタイルは,ODS-2スタイルのファイル名です。DCL を省略時の解析スタイルに再設定するには,次のコマンドを入力します。
$ SET PROCESS/PARSE_STYLE=TRADITIONAL
このコマンドを入力すると,DCLは,ODS-2のファイル名形式だけを受け付けるようになります。
特定のファイル名解析スタイルを必要とするコマンド・プロシージャでは, そのコマンド・プロシージャ内にコマンドを入れて解析スタイルを切り替えることができます。 次のコマンド・プロシージャは,現在の解析スタイルを保存し, 解析スタイルをTRADITIONALに設定し,コマンド(未指定) を実行して,保存された解析スタイルを復元します。
$ original_style= f$getjpi("","parse_style_perm") $ SET PROCESS/PARSE_STYLE=TRADITIONAL . . . $ SET PROCESS/PARSE_STYLE='original_style'
最初のコマンドにより,'original_style'が現在の解析スタイルになります。2 番目のコマンドにより,解析スタイルがTRADITIONALに設定されます。 最後のコマンドにより,解析スタイルが元のスタイルに再設定されます。
ファイル名をパラメータとして使用するコマンド・プロシージャは, ODS-5環境では異なった結果を生成する場合があります。
解析スタイルはTRADITIONALからEXTENDEDに変更することができます。この項では,EXTENDED に変更した場合に影響を受ける可能性のある,次の分野について説明します。
解析スタイルの切り替えの詳細については,第3.4.1 項を参照してください。
インダイレクト・コマンド・プロシージャが使用されている場合には,一部のプロシージャの引数を引用符で囲む必要がある場合があります。
次の例は,同じコマンド・ファイルSS.COMを使用した場合の, TRADITIONAL解析スタイルとEXTENDED解析スタイルでの出力の違いを示しています。
$ create ss.com $ if p1 .nes. "" then write sys$output "p1 = ",p1 $ if p2 .nes. "" then write sys$output "p2 = ",p2 $ if p3 .nes. "" then write sys$output "p3 = ",p3
$ set process/parse_style=traditional $ @ss ^ parg2 parg3 p1 = ^ p2 = PARG2 p3 = PARG3
サーカンフレックス(^)は,最初の引数であり(エスケープ文字ではない) ,プロシージャ引数p2およびp3の大文字と小文字の区別が保存されていないことに注意してください。
$ set process/parse_style=extended $ @ss ^ parg2 parg3 p1 = ^ PARG2 p2 = PARG3
コマンド・プロシージャでサーカンフレックス(^)が,スペースを引数の区切り文字としてではなくリテラル文字として識別するエスケープ文字として認識されていることと,"^ PARG2" が最初の引数であることに注意してください。 大文字と小文字の区別は保存されません。
$ @ss "^" parg2 parg3 p1 = ^ p2 = PARG2 p3 = PARG3
サーカンフレックス(^)は引用文字列の中にあるため,エスケープ文字として処理されません。
$ @ss "^" parg2 "parg3" p1 = ^ p2 = PARG2 p3 = parg3
プロシージャ引数p3の大文字と小文字の区別が保存されていることに注意してください。
$ set process/parse_style=traditional $ @ss^ parg2 parg3 p1 = ^ p2 = PARG2 p3 = PARG3
$ set process/parse_style=extended $ @ss^ parg2 parg3 %DCL-E-OPENIN, error opening USER$DISK:[TEST]SS^_PARG2.COM; as input -RMS-E-ACC, ACP file access failed -SYSTEM-W-BADFILENAME, bad file name syntax
DCLは,ファイル指定の大文字と小文字の区別を保存しようとします。実際にファイル指定の大文字と小文字の区別が保存されるのは,Command Definition Utility (CDU)を使用して定義されたコマンドに限られます。 DCLは,$FILE解析タイプを持つコマンド定義ファイル(.CLD)の中で定義されている項目の大文字と小文字を保存します。
詳細については,『Command Definition Utility』を参照してください。
一重引用符に対してアンパサンド(&)による置換を使用して,従来型の解析の際に大文字と小文字の区別を保存することができます。
次の従来型の解析の例は,文字列の大文字と小文字の区別を変更する一連のコマンドを示しています。
$ set process/parse_style=traditional $ x = "string" $ define y 'x' $ sho log y "Y" = "STRING" (LNM$PROCESS_TABLE) $ define y &x %DCL-I-SUPERSEDE, previous value of Y has been superseded $ sho log y "Y" = "string" (LNM$PROCESS_TABLE)
アンパサンド(&)を使用することにより,変数xに割り当てられた文字列の大文字と小文字の区別が保存されていることに注意してください。
一重引用符による置換は,コマンド行が大文字に設定される前に実行され, アンパサンドによる置換は,コマンド行が大文字に設定された後で実行されます。
次の拡張解析機能の例は,同じ一連のコマンドを示しています。
$ set process/parse_style=extended $ define y 'x' %DCL-I-SUPERSEDE, previous value of Y has been superseded $ sho log y "Y" = "string" (LNM$PROCESS_TABLE) $ define y &x %DCL-I-SUPERSEDE, previous value of Y has been superseded $ sho log y "Y" = "string" (LNM$PROCESS_TABLE)
変数yに割り当てられた文字列はどちらも小文字で返されていることに注意してください。 これは,DEFINEコマンドが,大文字と小文字の区別を保存する$FILE を使用するために発生します。
このような特徴を持つことから,アンパサンドによる置換は,解析スタイルがTRADITIONAL に設定されている場合でもEXTENDEDファイル名を指定するために使用することができます。 次に例を示します。
$ set process/parse=extended $ cre file^ name.doc Contents of an ODS5 file Exit $ set process/parse=traditional $ a = "file^ name.doc" $ type file^ name.doc %DCL-W-PARMDEL, invalid parameter delimiter - check use of special characters \^NAME\ $ type 'a' %DCL-W-PARMDEL, invalid parameter delimiter - check use of special characters \^NAME\ $ type &a Contents of an ODS5 file
一部のDCLコマンドおよびOpenVMSユーティリティは,拡張ファイル名のすべての機能を活用できるように変更されています。 これらのユーティリティおよびコマンドは, エラーを発生させたり,目的の大文字と小文字の区別を修正することなく, 拡張ファイル指定を受け付けることができるようになっています。
一方,拡張ファイル名を活用するための変更がほとんど加えられていないDCL コマンドおよびOpenVMSユーティリティもあります。このようなユーティリティやコマンドは, 拡張ファイル指定のほとんどの属性(新しい文字や深いディレクトリ構造など) を正しく処理できると考えられています。
Extended File Specificationsをサポートするための,DCLの新しい機能については, 表 3-3を参照してください。
第2.1節では,OpenVMSバージョン7.2でDCLコマンドおよびOpen VMS ユーティリティによって提供されている,拡張ファイル名に関するさまざまなレベルのサポートについて, 詳しく説明しています。
次のDCLコマンドおよびOpenVMSユーティリティは,拡張ファイル名を完全にサポートしています。
表 3-3は,Extended File Specificationsをサポートするための,DCLの新しい機能を示しています。
DCLコマンド | 新しい機能 |
---|---|
COPY | 新しいキーワードEXPANDEDおよびCONDENSED を持つ,新しい修飾子/STYLEを追加。 |
DELETE | 新しいキーワードEXPANDEDおよびCONDENSED を持つ,新しい修飾子/STYLEを追加。 |
DIRECTORY | 次の項目を追加。
|
DUMP | 次の項目を追加。
|
EXCHANGE NETWORK | 新しいキーワードEXPANDEDおよびCONDENSEDを持つ,新しい修飾子/STYLE を追加。 |
F$FILE_ATTRIBUTESレキシカル関数 | 新しい項目コードFILE_LENGTH_HINT, VERLIMIT,DIRECTORYを追加。 |
F$GETDVIレキシカル関数 | ACPTYPE項目コードに新しいタイプを追加。 |
F$GETJPIレキシカル関数 | 新しい項目コードPARSE_STYLE_PERMおよびPARSE_STYLE_IMAGEを追加。 |
INITIALIZE | 新しい修飾子/STRUCTURE=5 device-name[:] volume-label を追加。 |
新しいキーワードEXPANDED およびCONDENSEDを持つ,新しい修飾子/STYLEを追加。 | |
PURGE | 新しいキーワードEXPANDEDおよびCONDENSED を持つ,新しい修飾子/STYLEを追加。 |
RENAME | 新しいキーワードEXPANDEDおよびCONDENSED を持つ,新しい修飾子/STYLEを追加。 |
SEARCH | 新しいキーワードEXPANDEDおよびCONDENSED を持つ,新しい修飾子/STYLEを追加。 |
SET ACL | 新しいキーワードEXPANDEDおよびCONDENSEDを持つ, 新しい修飾子/STYLEを追加。 |
SET DEFAULT | ODS-5準拠のファイル指定を受け付けることができるように, ディレクトリ指定パラメータを変更。 |
SET DIRECTORY | 新しいキーワードEXPANDEDおよびCONDENSED を持つ,新しい修飾子/STYLEを追加。 |
SET FILE | 新しいキーワードEXPANDEDおよびCONDENSED を持つ,新しい修飾子/STYLEを追加。 |
SET PROCESS | キーワードEXPANDEDおよびCONDENSED を持つ,新しい修飾子/PARSE_STYLE=(キーワード)を追加。 |
SET SECURITY | 新しいキーワードEXPANDED およびCONDENSEDを持つ,新しい修飾子/STYLEを追加。 |
SET VOLUME | 新しい修飾子/STRUCTURE_LEVEL=5 を追加。 |
SHOW DEVICE/FULL | ディスク構造レベルを表示できるように,表示情報を更新。 |
SUBMIT | 新しいキーワードEXPANDEDおよびCONDENSED を持つ,新しい修飾子/STYLEを追加。 |
TYPE | 新しいキーワードEXPANDEDおよびCONDENSEDを持つ, 新しい修飾子/STYLEを追加。 |
Extended File SpecificationsをサポートするためにOpenVMSオペレーティング・ システムおよびそのユーティリティに追加された拡張機能の詳細については, 『OpenVMS DCLディクショナリ: A-M 』,『OpenVMS DCLディクショナリ: N-Z』,および『OpenVMS Utility Routines Manual』を参照してください。
表 3-3に示されているように, 一部のDCL コマンドでは,次のように新しい修飾子を使用して拡張ファイル名の表示を制御することができます。
/STYLE= [CONDENSED | EXPANDED]
この修飾子を使用すると,更新されたDCLコマンドが拡張ファイル名およびそれらに関連するプロンプトを表示する方法を制御することができます。
キーワードCONDENSEDを使用すると,多くのユーティリティで255バイトと定められている文字列の上限以内に納まるように生成されたファイル指定が表示されます。 必要に応じて,このファイル指定には,DID短縮形またはFID 短縮形が含まれている場合があります。キーワードEXPANDEDを使用すると, ディスク上に格納されているファイル指定が完全な形で表示され,DID 短縮形やFIDは含まれません。
この後の項では,DIRECTORYコマンド,TYPEコマンド,PURGEコマンド,およびDELETE コマンドに/STYLE修飾子を使用した例が示されています。
DIRECTORYコマンドを使用すると,ディレクトリの内容を表示するときに, ファイル名を表示する形式を選択することができます。
DIRECTORY/STYLE=(keyword[,keyword])
DIRECTORYコマンドを使用すると,省略時の設定では,次の例のように, 必要に応じてDIDを使用し,DIDが不要な場合には完全なディレクトリ指定に切り替わって, ファイル名が表示されます。
$ DIRECTORY Directory TEST$ODS5:[23,1,0] abcdefghijklmnopqrstuvwxyABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYabcdefghijklmnopqrs tuvwxyABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYabcdefghijklmnopqrstuvwxyABCDEFGHIJKLM NOPQRSTUVWXY.abcdefghijklmnopqrstuvwxyABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYabcdef ghijklmnopqrst;2 Total of 1 file. Directory TEST$ODS5:[TEST.RANDOMTESTING.RANDOM] AddressFiles.DIR;1 LOGIN.COM;3 test.1;1 test^.1.clue;1 Travel.LIS;1 whee.;5 work.dat;8 Total of 8 files. Grand total of 2 directories, 9 files.
DIRECTORYコマンドで/STYLE修飾子を使用し,両方のキーワードを指定すると,2 列から成るディレクトリ・リストが表示されます。それぞれの列には, すべてのファイル名が含まれています。CONDENSEDの列には,必要に応じてDID およびFIDが含まれ,EXPANDEDの列には,完全なディレクトリ名および完全なファイル名が含まれています。 ファイル・エラーがあると,CONDENSED 列に表示されます。次の例は,DIRECTORYコマンドで/STYLE 修飾子を使用し,両方のキーワードを指定した結果を示しています。
$ DIRECTORY/STYLE=(CONDENSED,EXPANDED) Directory TEST$ODS5:[23,1,0] TEST$ODS5:[TEST.RANDOMTESTING.RANDO M] abcdefghijklmnopqrstuvwxyABCDEFGHIJ abcdefghijklmnopqrstuvwxyABCDEFGHIJ KLMNOPQRSTUVWXYabcdefghijklmnopqrst KLMNOPQRSTUVWXYabcdefghijklmnopqrst uvwxyABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYabcde uvwxyABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYabcde fghijklmnopqrstuvwxyABCDEFGHIJKLMNO fghijklmnopqrstuvwxyABCDEFGHIJKLMNO PQRSTUVWXY.abcdefghijklmnopqrstuvwx PQRSTUVWXY.abcdefghijklmnopqrstuvwx yABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYabcdefghi yABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYabcdefghi jklmnopqrst;2 jklmnopqrst;2 AddressFiles.DIR;1 AddressFiles.DIR;1 LOGIN.COM;3 LOGIN.COM;3 test.1;1 test.1;1 test^.1.clue;1 test^.1.clue;1 Travel.LIS;1 Travel.LIS;1 whee.;5 whee.;5 work.dat;8 work.dat;8 Total of 8 files.
DIRECTORYコマンドでは,/STYLE修飾子に一方または両方のキーワードを使用することができます。
TYPEコマンドは,/STYLE修飾子を受け付けます。この修飾子を使用すると, ファイルやプロンプトを入力するときにシステム・メッセージに表示されたファイル名形式を選択することができます。
$ TYPE/STYLE=(keyword)
次の例では,TYPEコマンドに修飾子TYPE=EXPANDEDおよびCONFIRMを使用しています。
$ TYPE/CONFIRM/STYLE=EXPANDED abc*.*rst;2 TYPE TEST$ODS5:[TEST.RANDOMTESTING.RANDOM]abcdefghijklmnopqrstuvwxyzABCDEF GHIJKLMNOPQRSTUVWXYZabcdefghijklmnopqrstuvwxyzABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYabc defghijklmnopqrstuvwxyzGHIJKLMNOPQRSTUVWXYabcdefghijklmnopqrst;2 ? [N]: Y [System outputs contents of file]
DELETEコマンドは/STYLE修飾子を受け付けます。この修飾子を使用すると, コマンドを実行するときに表示するファイル名形式を選択することができます。
$DELETE/STYLE=(keyword)
次の例の反復記号(...)は,ファイル名の中に多くの文字が含まれていることを示します。 これらの例では,CONFIRM修飾子を使用して,システム・ メッセージを生成しています。
省略時の値(CONDENSED)を使用したDELETE:
$ DELETE/CONFIRM abc*.*.* DELETE TEST$ODS5:[TEST.RANDOMTESTING.RANDOM]abcAlphabet.stuff;1 ? [N]: Y DELETE TEST$ODS5:[23,1,0] abcdefg. . .QRSTUVWXY.abcdefg. . .tuvw xy;1 ? [N]: Y
完全なファイル指定が必要な場合には,DELETEコマンドで/STYLE修飾子とEXPANDED キーワードを使用します。
$ DELETE/CONFIRM/STYLE=EXPANDED abc*.*.* DELETE TEST$ODS5:[TEST.RANDOMTESTING.RANDOM]abcAlphabet.stuff;1 ? [N]: Y DELETE TEST$ODS5:[TEST.RANDOMTESTING.RANDOM]abcdefg. . .QRSTUVWX Y.abcdefg. . .tuvwxy;1 ? [N]: Y
PURGEコマンドは/STYLE修飾子を受け付けます。この修飾子を使用すると, コマンドを実行するときに表示するファイル名形式を選択することができます。
$ PURGE/STYLE=(keyword)
次の例の反復記号(...)は,ファイル名の中に多くの文字が含まれていることを示します。 これらの例では,CONFIRM修飾子を使用して,システム・ メッセージを生成しています。
省略時の値(CONDENSED)を使用したPURGE:
$ PURGE/CONFIRM DELETE TEST$ODS5:[23,1,0]abcdefg. . .QRSTUVWXY.abcdefg. . .tuvwxy;1 ? [N]: Y
完全なファイル指定が必要な場合には,PURGEコマンドで/STYLE修飾子とEXPANDED キーワードを使用します。
$ PURGE/CONFIRM/STYLE=EXPANDED DELETE TEST$ODS5:[TEST.RANDOMTESTING.RANDOM]abcdefg. . .QRSTUVWXY.ab cdefg. . .tuvwxy;1 ? [N]: Y
端末に拡張ファイル名を表示するには,端末で表示する文字セットとしてISO Latin-1 を指定しなければなりません。このように設定しないと,画面に表示される文字は,PC で表示される文字と一致しなくなります。図 C-1 には,DEC MCSとISO Latin-1文字セットの間で異なる文字のリストが示されています。
ISO Latin-1文字セットをDECterm上で正しく表示するには,OptionsメニューのGeneral
サブメニューからUPSS ISO Latin 1
を選択します。
DECで定義している文字セットをDECterm上で正しく表示するには,Options
メニューのGeneralサブメニューから
UPSS DEC Supplemental
を選択します。
ISO Latin-1文字セットをVT320またはVT420上で正しく表示するには,Setup
メニューのGeneralサブメニューから
UPSS ISO Latin 1
を選択します。
DECで定義している文字セットをVT320またはVT420上で正しく表示するには,Setup
メニューのGeneralサブメニューから
UPSS DEC Supplemental
を選択します。
[ 前のページ ]
[ 次のページ ]
[ 目次 ]
[ 索引 ]
[ DOC Home ]