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2 OpenVMSシステムでの拡張ファイル命名機能の管理

Extended File Specificationsを使用したOpenVMSシステムを管理するには, さまざまに異なるOpenVMSアプリケーションによって提供されているサポートについて理解し, 新しい環境を有効にする方法や制御する方法, OpenVMSシステム管理ユーティリティへの変更点についても,理解しておく必要があります。 この章では,次のトピックを扱います。

2.1 Extended File Specificationsのサポート・ レベル

ODS-5に対応するOpenVMSユーティリティおよびコマンドの予想される動作を判断するために, 以下に示すサポート・レベルが設定されています。それぞれのサポートレベルは, 拡張(ODS-5準拠)ファイル指定を処理する際のユーティリティまたはコマンドの共用可能な動作の概略を示しています。

2.1.1から2.1.4までの項では, 完全サポートから非サポートまでの,ODS-5に対するサポート・ レベルの定義が示されています。

2.1.1 完全サポート

ODS-5を完全にサポートするOpenVMSユーティリティおよびコマンドは,特に拡張ファイル命名機能のすべての特徴を活用できるように変更されています。 これらのユーティリティおよびコマンドは,拡張ファイル指定をエラーなしに, また,大文字と小文字の区別を変更せずに受け付け,処理することができます。 [1]

さらに,Extended File Specificationsを完全にサポートするOpenVMSコマンドおよびユーティリティは, ディレクトリID (DID)またはファイルID (FID) 形式に短縮せずに,元のフォーム[2]で従来課せられていた255 バイトの制限を超える長いファイル指定を受け付け,また生成することができます。Extended File Specifications を完全にサポートするOpenVMS コンポーネントのリストについては,第3.4 節を参照してください。


[1]新しいファイルの最初のバージョンを作成するとき,新しいファイルの大文字と小文字の区別は, ユーザが指定したものと一致します。 既存のファイルのそれ以降のバージョンを作成するときにも,大文字と小文字の区別は元のバージョンと同じまま残されます。

[2] DCLコマンド行で長いファイル指定を入力した場合は,DCLは従来どおり, コマンド行の長さを255バイトに制限します。

2.1.2 省略時のサポート

省略時サポート・レベルのOpenVMSユーティリティおよびコマンドには, Extended File Specificationsを活用するための変更がほとんど,またはまったく加えられていません。 これらのユーティリティおよびコマンドは, 拡張ファイル指定のほとんどの属性(新しい文字や深いディレクトリ構造など) を正しく処理します。ただし,ファイル名を作成したり表示するときに, 大文字と小文字の区別に誤りが生じる可能性があります。

完全サポート・レベルのユーティリティとは異なり,省略時サポート・レベルのユーティリティは,RMS が提供するDIDおよびFIDの短縮機能に依存しています。 このため,これらのユーティリティには,DIDおよびFIDの短縮に関連した次の制約があります。

DID短縮形の詳細については,第B.2.2.7 項を参照してください。FID短縮形の詳細については,第B.2.2.8項を参照してください。

2.1.3 拡張ファイル名非サポート

拡張ファイル名非サポート・レベルでは,OpenVMSユーティリティおよびコマンドは,OSD-5 ボリューム上で機能することができるものの,処理できる対象が従来のファイル指定に限られます。 これらのユーティリティおよびコマンドは, 拡張ファイル指定を処理するときに正しく動作することが保証されていないため,ODS-5 ボリューム上では慎重に使用する必要があります。

表 2-1には,拡張ファイル名またはODS-5 構造の処理に制限があるために,Extended File SpecificationsをサポートしていないOpenVMS ユーティリティおよびコマンドが示されています。

2.1.4 ODS-5非サポート

ODS-5非サポート・レベルでは,OpenVMSユーティリティおよびコマンドは, 拡張ファイル名を処理することができません。これらのユーティリティおよびコマンドは, 従来のファイル指定を処理するときでも正しく動作することが保証されていないため,ODS-5 ボリューム上では慎重に使用する必要があります。

表 2-1には,拡張ファイル名またはODS-5 構造の処理に制限があるため,Extended File SpecificationsをサポートしていないOpenVMS ユーティリティおよびコマンドが示されています。

表 2-1 サポートされていないOpenVMSコンポーネント

コンポーネント 注意事項
ODS-5非サポート
ディスク・デフラグメンタ 特定のデフラグメンテーション・ ツールがODS-5ボリュームをサポートするように更新されたという記述がある場合を除き, サポートされない。[1]
システム・ディスク ODS-5ボリュームとして設定したり初期化してはならない。
拡張ファイル名非サポート
コード・コンパイラ 拡張ファイル名をオブジェクト・ ファイル名として使用することはできない。ただし,コード・ コンパイラが,拡張ファイル名をサポートするアプリケーションを作成することはできる。
INSTALL既知イメージ 拡張ファイル名を持つイメージを,既知イメージとしてインストールしてはならない。
LINK 拡張ファイル名を持つイメージを出力することはできない。
MONITOR 拡張ファイル名を信頼の置ける形で処理することができない。
ネットワーク・ファイル(NET*.DAT) 拡張ファイル名を使った名前に変更してはならない。
オブジェクト・モジュール(.OBJ) 拡張ファイル名を使った名前に変更してはならない。
ページ・ファイルとスワップ・ファイル 拡張ファイル名を使用してはならない。
SYSGEN 拡張ファイル名を使ってパラメータ・ファイルを作成してはならない。
システム・ スタートアップ・ファイル 拡張ファイル名を使った名前に変更してはならない。

[1] DFOはODS-5ボリュームをサポートするように変更されていることに注意してください。

2.2 OpenVMS Alphaシステム上でExtended File Specificationsを有効にする方法

2.2.12.2.2, および 2.2.3の各項では,OpenVMSシステム上でを活用する方法について説明します。


注意
バージョン7.2以前のOpenVMS Alphaを実行しているシステムでは,Extended File Specificationsを使用することができません。 これらのシステムでは,ODS-5ボリュームをマウントすることができず,OpenVMS ファイル・システムの拡張ファイル名を利用することができません。

2.2.1 RMSの省略時のExtended File Specifications機能の使用

RMSでは,8レベルを超える深さのディレクトリを使用することができるほか,ODS-2 およびODS-5ボリュームの両方で,新しいRMS API拡張機能を使用することができます。 ただし,拡張ファイル名を作成できるのは, ODS-5ボリューム上に限られます。第2.2.2項には, 新しいODS-5ボリュームを作成したり,ODS-2ボリュームをODS-5ボリュームに変換するための手順が示されています。

ODS-5ボリューム上では,ユーザおよびプログラムは,拡張ファイル名を使ったファイルを作成することができます。 ただし,省略時の設定では, DCL (および一部のアプリケーション)は,必ずしもすべての拡張ファイル名を受け付けるとは限らず, コマンド行に入力された小文字によるファイル名を大文字に変更します。DCL がすべての拡張ファイル名を受け付けるようにするには, 第3.4.1項で説明しているように,DCL に対して拡張解析スタイルを有効にしなければなりません。

第B.2節には,RMSのExtended File Specifications機能に関する詳しい情報が示されています。

2.2.2 ODS-5ボリュームを有効にする方法

ODS-5ボリュームをOpenVMS Alphaシステム上に作成するには,システム管理者は次のいずれかを実行しなければなりません。

ODS-5ボリュームを作成すると,Advanced Server for OpenVMS 7.2 (以前のPATHWORKS)クライアントでODS-5の属性を利用できるようになります。 これらの属性は,OpenVMSで表示し, 管理することができます。

第2.2.2.1項には,新しいOSD-5ボリュームの初期化の手順が示されています。 第2.2.2.2項には, 既存のボリュームをODS-5に変換する手順が示されています。


注意
ボリューム・セットに新しいボリュームを追加する予定がある場合は, 新しいボリュームの構造レベルがボリューム・ セットの構造レベルと一致している必要があります。これらが一致していないと,Mount ユーティリティは次のエラー・メッセージを表示します。
      Structure level on device ... is inconsistent with volume set

2.2.2.1 新しいODS-5ボリュームの初期化

INITIALIZEコマンドを次の形式で実行することによって,新しいボリュームをODS-5 ボリュームとして初期化することができます。ボリュームを初期化すると, そのボリューム内の現在の内容は消去されることに注意してください。

     $ INITIALIZE /STRUCTURE_LEVEL=5 device-name volume-label

次に例を示します。

     $ INITIALIZE /STRUCTURE_LEVEL=5 DKA300: DISK1
     $ MOUNT DKA300: DISK1 /SYSTEM
     %MOUNT-I-MOUNTED, DISK1 mounted on _STAR$DKA300:

最初のコマンドは,DKA300:デバイスをODS-5ボリュームとして初期化し, ボリューム・ラベルDISK1を割り当てます。2番目のコマンドは,このDISK1 ボリュームを公用ボリュームとしてマウントします。

ボリュームがODS-5ボリュームとして初期化されたことをチェックするには, 次のようなコマンドを実行し,結果を表示します。

     $ WRITE SYS$OUTPUT F$GETDVI ("DKA300:","ACPTYPE")
     F11V5

F11V5は,このボリュームがODS-5であることを示しています。

2.2.2.2 既存のボリュームのODS-5への変換

既存のボリュームをODS-5に変換するには,次の手順を実行します。

  1. ボリュームをクラスタ全体からディスマウントします。次に例を示します。
         $ DISMOUNT /CLUSTER DKA300:
    

  2. このボリュームをプライベート・ボリュームとしてマウントします。 次に例を示します。
         $ MOUNT DKA300: DISK1
         %MOUNT-I-MOUNTED, DISK1 mounted on _STAR$DKA300:
    

    /SYSTEM修飾子を指定しないことにより,システムはこのボリュームを公用ボリュームとしてではなくプライベート・ ボリュームとしてマウントします。

  3. 次のようなコマンドを実行し,結果を表示すると,ボリュームがODS-2 ボリュームであることを確認することができます。
         $ WRITE SYS$OUTPUT F$GETDVI ("DKA300:","ACPTYPE")
         F11V2
    

    F11V2は,このボリュームがODS-2であることを示しています。

  4. このボリュームをバックアップしておくことをお勧めします。 第2.2.3項で説明されているように, ボリュームをODS-5に変更すると,バックアップ・ボリュームをリストアする以外の方法ではODS-2 形式に戻すことができなくなります。次に例を示します。
         $ BACKUP /IMAGE DKA300: SAV.BCK /SAVE_SET
    

  5. 次の形式でコマンドを使用して,ボリュームの特性を設定します。
         $ SET VOLUME /STRUCTURE_LEVEL=5  device-name
    

    次に例を示します。

         $ SET VOLUME /STRUCTURE_LEVEL=5 DKA300:
    


    注意
    SET VOLUMEコマンドを使用してボリュームをODS-5 からODS-2に変更することはできません。ボリュームをODS-2 に戻す方法については,第2.2.3項の手順を参照してください。

    SET VOLUME/STRUCTURE_LEVEL コマンドを実行した後で障害が発生した場合は, 手順5以降の説明を参照してください。


    SET VOLUMEコマンドを実行すると,システムは次のテストを行って, このボリュームを変換できるかどうかをチェックします。

  6. 次のようなコマンドを実行してプライベート・ボリュームDKA300: をディスマウントし,公用ボリュームとして再マウントします。
         $ DISMOUNT DKA300:
         $ MOUNT /CLUSTER DKA300: DISK1
         %MOUNT-I-MOUNTED, DISK1 mounted on _STAR$DKA300:
    

    ボリュームがODS-5に変換されたことをチェックするには,次のようなコマンドを実行し, 結果を表示します。

         $ WRITE SYS$OUTPUT F$GETDVI ("DKA300:","ACPTYPE")
         F11V5
    

    F11V5は,このボリュームがODS-5であることを示しています。

障害が起こった場合...

SET VOLUME/STRUCTURE_LEVELコマンドを入力した後で,しかもコマンドが実行される前に入出力エラーのような障害やシステムのクラッシュが発生した場合は, ボリュームの一部だけが更新されている可能性があります。 この場合は,MOUNTコマンドを入力すると,Mountユーティリティは次のいずれかのエラー・ メッセージを表示します。

          Inconsistent file structure level on device ...

          Structure level on device ... is inconsistent with volume set

どちらかの条件があてはまる場合には,/NOSHARE修飾子を使ってのみ(あるいは,/NOSHARE は省略時の修飾子であるため,修飾子なしで) MOUNTコマンドを実行できます。 これにより,システムは同じエラー・メッセージを, 今度は警告として表示します。

エラー状態から復旧するには,SET VOLUME/STRUCTURE_LEVEL=5コマンドを再実行します。 次に,ディスクをディスマウントし,再マウントします。 他に方法がない場合には,以前に作成したバックアップ・ボリュームをリストアすることもできます。

2.2.3 ODS-5からODS-2への変換

ファイルおよびマージという2種類のBACKUP操作は,ODS-5ファイル・ イメージからODS-2ファイル・イメージへの変換をサポートしています( ファイルおよびマージ操作については,『OpenVMSシステム管理者マニュアル』のバックアップの章で説明しています。) 。

この後の説明の例では,セーブ・セットとの間で変換を実行すると,変換されたファイルについて,"created as" または"copied as"メッセージが表示されることに注意してください。

既存のディレクトリ内でファイル名を変換できない場合には,BACKUPはそのファイル名を変換し, リンクされていない状態のまま残します。これにより, 後でANALYZE /DISK /REPAIRを使って[SYSLOST]ディレクトリに復旧することができます。[SYSLOST] では,ファイルにはODS-2準拠の名前がつけられます。 さらにBACKUPによって,次のようなメッセージが表示されます。

     %BACKUP-I-RECOVCNT, 5 files could not be converted into a directory on DKA100
     -BACKUP-I-RECOVCMD, use the Analyze/Disk_Structure/Repair command to recover
          files

この場合には,ファイルを[SYSLOST]から適切なディレクトリに移動する必要があります。"created as" ログ・メッセージを参照し,ファイルが論理的に配置されるべき場所を確認し, そこにファイルを手動で格納します。

2.3 ODS-5ボリュームへのアクセスの制御

システム管理者は,次の制約の一方または両方を設定する場合があります。

システム管理者は,通常のOpenVMSの個別制御を使用して,これらの制約を設定することができます。 詳細については,『OpenVMS Guide to System Security』を参照してください。

2.3.1および2.3.2の項では,ODS-5 ボリュームへのアクセスの制約の例を示しています。

2.3.1 VAXユーザによるODS-5ボリュームへのアクセスの禁止

次の操作を実行することによって,ユーザがVAXノードからODS-5ボリュームにアクセスすることを禁止することができます。

  1. OpenVMS VAXノード上で処理を実行しているユーザを識別する識別子(VAX_NODE など)を定義します。次に例を示します。
         $ RUN SYS$SYSTEM:AUTHORIZE
    
         UAF> ADD /IDENTIFIER VAX_NODE
    
         %UAF-I-RDBADDMSG, identifier VAX_NODE value %X80010037 added to
                 rights database
    

  2. 各VAXノード上で,システム・ライト・リストにVAX_NODEを追加します。 次に例を示します。
         $SET RIGHTS_LIST /ENABLE /SYSTEM VAX_NODE
    

    コマンドの/ENABLE識別子により,VAX_NODEが,システム・ライト・リストに追加されます。

    さらに,このコマンドをSYSTARTUP_VMS.COMコマンド・プロシージャにも追加します。

  3. VAXノード上のユーザがODS-5ボリュームにアクセスできないようにするには,VAX_NODE 識別子の保持者のアクセスを拒否するアクセス制御エントリ(ACE) を設定します。次に例を示します。
         $ SET SECURITY /CLASS=VOLUME ODS5_DISK -
         _$ /ACL=(ID=VAX_NODE,ACCESS=NONE)
    

2.3.2 テストされていないアプリケーションによるODS-5 ボリュームへのアクセスの禁止

次の操作を実行することによって,テストされていないアプリケーションがODS-5 ボリュームにアクセスすることを禁止できます。

  1. ODS-5ボリュームへのアクセスを禁止する対象アプリケーションを識別する識別子(ODS5_UNSAFE など)を定義します。次に例を示します。
         UAF> ADD /IDENTIFIER ODS5_UNSAFE /ATTR=SUBSYSTEM
    
         %UAF-I-RDBADDMSG, identifier ODS5_UNSAFE value %X80010039 added to
                rights database
    

  2. ODS5_UNSAFE識別子を持つアプリケーションに,保護サブシステムACE を設定します。次に例を示します。
         $ SET SECURITY /CLASS=FILE SYS$SYSTEM:APPLICATION.EXE -
         _$ /ACL=(SUBSYSTEM,ID=ODS5_UNSAFE)
    

  3. 各ODS-5ボリュームに対して,識別子の保持者によるODS-5ボリュームへのアクセスを拒否するACE を設定します。次に例を示します。
         $ SET SECURITY /CLASS=VOLUME ODS5_DISK/ -
         _$ ACL=(ID=ODS5_UNSAFE,ACCESS=NONE)
    

最後の手順の制約を無効にし,訓練を受けたユーザだけが,テストされていないアプリケーションにアクセスできるように設定することもできます。 そのためには,次の手順を実行します。

  1. 別の識別子を作成します(ODS5_UNTRAINEDなど)。
         UAF> ADD /IDENTIFIER ODS5_UNTRAINED
    
         %UAF-I-RDBADDMSG, identifier ODS5_UNTRAINED value %X80010038 added to
                rights database
    

  2. この識別子をすべてのユーザに割り当てます。次に例を示します。
         UAF> GRANT/IDENTIFIER ODS5_UNTRAINED *
    
         %UAF-I-GRANTMSG, identifier ODS5_UNTRAINED granted to *
    

  3. 手順3の代わりに,ODS5_UNTRAINED識別子の保持者によるアクセスを拒否するボリュームに対して, アクセス制御エントリ(ACE)を設定します。 次に例を示します。
         $ SET SECURITY /CLASS=VOLUME ODS5_DISK/ -
         _$ ACL=(ID=ODS5_UNSAFE+ODS5_UNTRAINED,ACCESS=NONE)
    

    このコマンドにより,ODS5_UNTRAINEDユーザはODS5_UNSAFEアプリケーションを使用してこのボリュームにアクセスできなくなります。

  4. ODS-5ボリューム上でどのようなアプリケーションでも使用できる対象ユーザについては, この識別子を削除します。次に例を示します。
         UAF> REVOKE/IDENTIFIER ODS5_UNTRAINED SHEILA_USER
    
         %UAF-I-REVOKEMSG, identifier ODS5_UNTRAINED revoked from SHEILA_USER
    

これらの手順を実行すると,次のような結果になります。

2.4 システム管理ユーティリティの変更点

この後の項では,拡張ファイル名をサポートするためにOpenVMSシステム管理ユーティリティに加えられた変更点について説明します。

2.4.1 Analyze/Disk_Structureユーティリティ

Analyze/Disk_Structureユーティリティ(ANALYZE/DISK_STRUCTURE) は,Files-11オン・ディスク構造(ODS)レベル1,2,および5のディスク・ ボリュームの可読性と有効性をチェックするようになりました。

また,次に示す修飾子が新たに追加されました。

/STATISTICS

この修飾子により,有効性チェックの対象となるボリュームに関する統計情報を生成し, ボリュームごとの統計情報が含まれているファイルSTATS.DAT が作成されます。STATS.DATに含まれる情報は,次のとおりです。

2.4.2 Backupユーティリティ (Alphaシステムのみ)

Backupユーティリティ(BACKUP)によって実装された,Alphaシステム上で拡張ファイル名をサポートするための新しい機能は, 次のとおりです。

2.4.3 VAXシステム上でのODS-5ボリュームの物理バックアップ

OpenVMS VAXシステム上では,BACKUPは,/PHYSICAL識別子を指定してボリュームをバックアップした場合に限って,ODS-5 ボリュームをサポートします。BACKUP /PHYSICAL コマンドを実行すると,BACKUPは,ディスクの構造化された内容を無視して, ブロック単位でディスクの物理バックアップを作成します。

Alphaシステム上では,BACKUP /IMAGEまたはBACKUP /PHYSICALコマンドを使用することができます。

Alphaプロセッサ上でのBackupユーティリティによる拡張ファイル名のサポートの詳細については, 『OpenVMS システム管理者マニュアル』を参照してください。

2.4.4 Mountユーティリティ(Alphaシステムのみ)

Mountユーティリティは,ODS-5ボリュームを完全にサポートするように変更されました。


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