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Alphaで実行されるOpenVMSバージョン7.2により,次の2つの構成要素から成るExtended File Specifications がインプリメントされます。
これらの構成要素を利用することによって,OpenVMS Alphaシステムは( 以前PATHWORKS for OpenVMSと呼ばれていたAdvanced Server for OpenVMS 7.2 を使用して),Windows 95/98またはWindows NT環境で使用するファイルと似た名前を持つファイルの格納, 管理,サービスの提供,およびアクセスを,これまでよりもはるかに柔軟に行うことができます。
この章では,Extended File Specificationsの利点,機能,およびサポートの他,Extended File Specifications 環境におけるOpenVMSの動作の違いの概要を簡単に説明します。
Extended File Specificationsがサポートする深いディレクトリおよび拡張ファイル名には, 次の利点があります。
これらの利点は,第1.2節で説明する機能によるものです。
Extended File Specificationsは,ODS-5ボリューム構造と深いディレクトリのサポートという主要な2 つの機能から構成されています。次の項では, これらの機能について説明します。
OpenVMSバージョン7.2は,On-Disk Structure Level 5 (ODS-5)をインプリメントしています。 この構造は,拡張ファイル名を持つファイルを作成し, 格納するための基礎となります。OpenVMS Alphaシステム上でボリュームをODS-5 に変換するかどうかは,選択することができます。
ODS-5ボリューム構造には,次の機能があります。
次の項では,これらの機能について説明します。
ODS-5ボリューム上のファイル名の長さ(バージョン番号を除く)の上限は,8 ビット文字では236,16ビット文字では118です。255バイトよりも長い完全なファイル指定は,ODS-5 用に変更されていないアプリケーションで処理するときに,RMS によって自動的に短縮されます。
拡張ファイル名の詳細については,第3.1.2 項を参照してください。
OpenVMS上のファイル名には,これまでよりも広範囲の文字を使用できます。ODS-5 は,8ビットのISO Latin-1文字セットと16ビットのUnicode (UCS-2)文字セットをサポートしています。
ISO LATIN-1およびUnicode (UCS-2)文字セット
ISO Latin-1 Multinational文字セットは,OpenVMSバージョン7.2以前のバージョンで使用していた従来のASCII 文字セットのスーパーセットです。 拡張ファイルの指定では,8ビットのISO Latin-1 Multinational文字セットにあるすべての文字をファイル指定の中で使用することができます。
ただし,次の文字は使用できません。
ODS-5準拠のファイル指定で,スペースなどの特定の特殊文字をあいまいでない形で入力または表示するには, 文字の前にサーカンフレックス(^) を付ける必要があります。
ファイル名の中でのこれらの文字セットの使用方法の詳細については,第3.1.2項を参照してください。
以前のバージョンのOpenVMSでは,DCL,RMS,およびファイル・システムは, すべてのファイル指定を大文字に変換していました。ODS-5は,ファイル指定の大文字と小文字の区別を保存します。 次に例を示します。
$ CREATE x.Y <Ctrl/Z> $DIRECTORY Directory DISK1:[USER1] x.Y;1 $
ここで示されているように,ファイル名の大文字と小文字の区別は保存されています。
大文字と小文字の区別の詳細については,第3.1.2.6 項を参照してください。
ODS-2およびODS-5ボリューム構造はどちらも,ディレクトリの深いネスティングをサポートしています。 ただし,次の制限があります。
たとえば,ユーザは次のように深くネストされたディレクトリを作成することができます。
$ CREATE/DIRECTORY [.a.b.c.d.e.f.g.h.i.j.k.l.m]
ユーザは,次のように長い名前を持つディレクトリを,ODS-5ボリューム上に作成することができます。
$ CREATE/DIRECTORY [.AVeryLongDirectoryNameWhichHasNothingToDoWithAnythingInParticular]
255バイトよりも長い完全なファイル指定は,ODS-5用に変更されていないアプリケーションで処理するときに,RMS によって自動的に短縮されます。
On an ODS-5ボリュームでは,ディレクトリ名は,ISO Latin-1 文字セットを使用した場合のファイル名と同じ規則に準拠します。 ピリオドと特殊文字は, ディレクトリ名の中で使用することができますが,リテラル文字として認識されるためには, サーカンフレックス(^)を前に付けなければならない場合もあります。
第3.2節には,深いディレクトリに関する詳しい情報があります。 第3.6.1項には, 長いディレクトリ名の表示に関する情報があります。
ODS-5は,Advanced Server for OpenVMS 7.2 (以前のPATHWORKS for OpenVMS)のユーザだけでなく,DCOMおよびJAVA アプリケーションのユーザにも拡張ファイル共用機能を提供することを主要な目的としています。
ODS-5ボリュームが有効になると,一部の新しい機能は,特定のアプリケーションまたはレイヤード・ プロダクトだけでなく,システム管理の一部の分野にも影響を与える可能性があります。ODS-5 ボリュームで使用できるファイル名の新しい構文でも,ODS-2 ボリュームでは完全に活用することができません。 バージョン7.2以前のAlphaシステムはODS-5ボリュームにアクセスすることができず,OpenVMS バージョン7.2 VAXシステムの持つODS-5 機能は限られているため,バージョンが混在する複合アーキテクチャOpenVMS クラスタでODS-5ボリュームを有効にする場所とその方法については, 十分注意しなければなりません。
次の項では,ODS-5ボリュームを有効にすることによってシステム管理, ユーザ,およびアプリケーションが受ける影響の要約を示します。
深いディレクトリと拡張ファイル名へのRMSによるアクセスは,OpenVMS Alpha V7.2システムにマウントされているODS-5ボリュームでのみ可能です。ODS-5 ボリュームを有効にするのは,OpenVMS Alpha V7.2の共通環境クラスタに限ることをお勧めします。
バージョンが混在する複合アーキテクチャOpenVMSクラスタでODS-5を有効にする場合は, システム管理者は次のような特別な手順に従って,複合アーキテクチャOpenVMS クラスタで生じる固有の制限事項に注意しなければなりません。
第1.3.2項では,バージョンが混在するOpenVMS クラスタまたは複合アーキテクチャによるOpenVMSクラスタでの, ユーザのためのODS-5サポートの制限事項について,より詳細に説明しています。
ほとんどの通常のアプリケーションでは拡張ファイル名を使用することができますが, すべての拡張ファイル名を使用できるようにするために変更が必要な場合もあります。 特別なアプリケーションがディスクへの物理入出力および論理入出力を使用している場合や, アプリケーションが特にODS-5 ファイル名またはODS-5ボリュームにアクセスする必要がある場合は, 変更が必要になることがあるため,解析が必要です。完全にサポートされているOpenVMS アプリケーションのリストについては,ウェブ・ サイトwww.openvms.digital.com/openvms/os/swroll/72.htmlを参照してください。 第1.3.3項では,ODS-5がOpenVMS アプリケーションに与える影響について,より詳細に説明しています。
第2章には,Extended File Specificationsのサポートのレベルを判断するための詳細情報と,ODS-5 ボリュームが有効になっているシステムを管理するためのガイドラインが示されています。
OpenVMS Alphaバージョン7.2システムを使用している場合は,OpenVMS Alphaバージョン7.2システムにマウントされているODS-5ボリューム上で,Extended File Specifications のすべての機能を利用することができます。
バージョンが混在するOpenVMSクラスタ,または複合アーキテクチャによるOpenVMS クラスタを使用している場合は,ODS-5の機能が制限されることがあります。 第1.3.2.1項には,バージョンが混在するOpenVMS クラスタでの制限事項のリストが示されています。 第1.3.2.2項には,複合アーキテクチャによるOpenVMS クラスタでの制限事項のリストが示されています。
OpenVMSの以前のバージョンを実行しているシステムでは,ODS-5ボリュームをマウントしたり, 拡張ファイル名を正しく処理できないだけでなく, そもそも拡張ファイル名を表示することができません。
この後の項では,バージョンが混在しているクラスタでの,OpenVMSバージョン7.2 およびそれ以前のバージョンのOpenVMSのサポートについて説明します。
OpenVMS Alphaバージョン7.2システム上のユーザ
OpenVMS Alphaバージョン7.2システム上のユーザは,バージョン7.2以前のファイルとディレクトリに, これまでと同じようにアクセスすることができます。 たとえば,次のような操作はすべて可能です。
バージョンが混在しているクラスタでは,いくつかの制限があります。バージョン7.2 以前のOpenVMS上のユーザには,次の制限があります。
現在のODS-2ボリュームおよびファイル管理機能は,VAXシステムでもAlpha バージョン7.2システムでも同じです。ただし,VAXシステム上では, 拡張ファイルの命名と解析はサポートされません。
この後の項では,複合アーキテクチャによるクラスタでのOpenVMS VAXシステムおよびAlpha システムのサポートについて説明します。
VAXシステム上でのExtended File Specifications機能の制限
複合アーキテクチャによるOpenVMSバージョン7.2クラスタでは,OpenVMS バージョン7.2 VAXシステム上でのExtended File Specifications機能は, 以下の機能に限定されています。
\pISO_
LATIN\.???
または\pUNICODE\.???
)が表示
ユーザはVAXシステムから,ODS-5のイメージ・セーブセットを正常に作成したり, リストアしたりできません。ただし,ODS-5セーブセットからODS-2 準拠のファイル名を正しくリストアすることはできます。
ODS-5の機能は,ボリューム単位で選択することができます。ODS-5ボリュームがシステムで有効にされていない場合には, すべての既存のアプリケーションは, これまでと同じように動作します。ODS-5ボリュームが有効とされている場合には, 次の変更点に注意する必要があります。
ODS-5ボリューム上では,ドキュメントが作成されているインタフェースにコーディングされている既存のアプリケーションおよびレイヤード・ プロダクトは, ほとんどのDCLコマンド・プロシージャと同じように,変更なしで動作します。
ただし,ドキュメントが作成されていないインタフェースにコーディングされているアプリケーションや, 次のような内容が含まれている場合には,ODS-5 ボリューム上でも同じように動作するために,変更が必要なことがあります。
ODS-5ディスクを使用し,XQP インタフェースを経由してファイル名を指定または取得するアプリケーションは, 拡張名を持つファイルにアクセスできるように変更する必要があります。
OpenVMSアプリケーションのサポート状態の詳細ついては,第4章を参照してください。
システム管理者は,ODS-5を有効にする前に次の手順を実行しておくことが必要です。
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