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3 OpenVMS Galaxyの構成

この章では,ユーザのビジネス環境やコンピューティング環境にとって最適なOpenVMS Galaxy 構成を構築するのに必要な検討事項について説明します。

3.1 OpenVMS Galaxyが必要か

IT作業負荷の予測が困難な場合や変動が激しい場合,あるいは成長が急激な場合, 作業負荷の管理能力の強化が必要になります。そのような場合, OpenVMS Galaxyテクノロジを導入することで,非常に柔軟な方法でシステム・ リソースの動的な再構成と管理が可能になります。OpenVMS Galaxyはハードウェアとソフトウェアを統合したソリューションであり, システム管理者は簡単なドラッグ・ アンド・ドロップ操作で,各CPUの再割り当てなどの作業を実行できます。

OpenVMS Galaxyコンピューティング環境は,次のような高可用性アプリケーションにとって理想的です。

3.2 Galaxyはなぜビジネスに適しているのか

OpenVMS Galaxyコンピューティング環境は,クラスタや複数の独立したシステムをご利用の, 現在のOpenVMSユーザのための自然な発展の道筋です。

OpenVMS Galaxyは,作業負荷が予測可能な場合も予測不可能な場合も,成長の著しい組織にとって魅力的です。

3.3 さまざまなOpenVMS Galaxy構成

OpenVMS Galaxyコンピューティング環境では,1台のコンピュータ・システムのインスタンス間でどの程度の協調動作を行うかを, お客様が判断できます。

shared-nothing コンピューティング・モデルでは,インスタンスはリソースを共用せず, 操作は相互に分離されます。

shared-partial コンピューティング・モデルでは,インスタンスは一部のリソースを共用し, 制限された方法で協調動作します。

shared-everything モデルでは,インスタンスは完全に協調動作し, 使用可能なすべてのリソースを共用します。この結果,オペレーティング・ システムはネットワークにとって1つの結合されたものとして認識されます。

3.3.1 shared-nothingコンピューティング・モデル

shared-nothing構成(図 3-1を参照)では,OpenVMS のインスタンスは相互に完全に独立しており,独立したコンピュータであるかのように, 外部インターコネクトを通じて接続されます。

APMPでは,使用可能なすべてのメモリがOpenVMSの各インスタンスのプライベート・ メモリに割り当てられます。各インスタンスにはそれぞれ独自のCPU セットと適切な量のI/Oリソースが割り当てられます。

図 3-1 shared-nothingコンピューティング・モデル

3.3.2 shared-partialコンピューティング・モデル

shared-partial構成(図 3-2を参照)では, システム・ メモリの一部が共用メモリとして指定され,各インスタンスがアクセスできます。 各インスタンスのコードとデータはプライベート・メモリに格納されます。 複数のインスタンスのアプリケーション間で共用されるデータは, 共用メモリに格納されます。

インスタンスはクラスタ接続されません。

図 3-2 shared-partialコンピューティング・モデル

3.3.3 shared-everythingコンピューティング・モデル

shared-everything構成(図 3-3を参照)では, インスタンスはメモリを共用し, 相互にクラスタ接続されます。

図 3-3 shared-everythingコンピューティング・モデル

3.4 シングル・インスタンスGalaxyとは

シングル・インスタンスGalaxyは,Galaxy以外のプラットフォーム, つまり,Galaxyコンソールのないプラットフォーム用のインスタンスです。 通常コンソール・ファームウェアから提供されるGalaxy構成データは, ファイルに作成されます。システム・パラメータGALAXYを1に設定することで,SYSBOOT はファイルをメモリに読み込み,システムはシングル・ インスタンスGalaxyとしてブートされます。共用メモリ,Galaxyシステム・ サービス,さらにCPUのセルフ・マイグレーションも備えています。 この構成はどのAlphaプラットフォームでも可能です。

シングル・インスタンスGalaxy構成は,ラップトップからメイン・フレームまでどのプラットフォームでも動作します。 この機能を利用すれば,早期にOpenVMS Galaxy 機能を評価することができ,さらにもっとも重要なこととして, 完全なスケールのGalaxyプラットフォームを準備しなくても, Galaxy対応アプリケーションを開発し,テストすることができるという利点があります。

シングル・インスタンスGalaxyはエミュレータではなく,実際のGalaxyコードであるため, アプリケーションはマルチインスタンス構成で動作します。

シングル・インスタンスGalaxyの実行の詳細については,第9章を参照してください。

3.5 OpenVMS Galaxyの構成上の考慮点

OpenVMS Galaxyコンピューティング環境を構築する場合は,構成にとって適切なハードウェアを用意する必要があります。OpenVMS Galaxy の構成では, 一般に次の規則が適用されます。

各ハードウェア固有の構成の要件の詳細については,使用しているハードウェアに関する本書の章または 第3.5.4項を参照してください。

3.5.1 XMIバスのサポート

XMIバスはAlphaServer 8400システムでGalaxy構成の最初のインスタンス( インスタンス0)でのみサポートされます。

AlphaServer 8400システムでは,すべてのXMI装置に対してDWLM-AA XMIプラグ・ イン・ユニット・サブシステム・ケージは1つだけサポートされます。 すべてのXMI装置をシステムに接続するために,システムの背面にI/O バルクヘッドが必要なため,DWLM-AAはシステムである程度の空間を使用します。 このため,システム内にDWLPB PCIプラグ・イン・ユニットは2つだけしか追加できません。

3.5.2 メモリ分割に関する制限事項

プライベート・メモリは64MB境界から開始しなければなりません。

共用メモリは8MB境界から開始しなければなりません。

最後のインスタンスを除き,他のすべてのインスタンスは64MBの倍数でなければなりません。

メモリを誤った方法で構成すると,メモリが無駄に使用されます。

3.5.3 EISAバスのサポート

EISAバスはGalaxy構成の最初のインスタンス(インスタンス0)でのみサポートされます。 すべてのEISAオプションの設計により,これらはシステムのインスタンス0 に必ず存在しなければなりません。GalaxyシステムのどのEISA 装置の場合も,KFE70は最初のインスタンスで使用しなければなりません。

すべてのEISA装置はインスタンス0に存在しなければなりません。Galaxy システムの他のインスタンスでは,EISA装置はサポートされません。

他のインスタンスにインストールされたKFE72-DAは,コンソール接続だけを提供し, 他のEISA装置に対して使用することはできません。

3.5.4 OpenVMS Configuration Calculatorの使用

OpenVMS Galaxy Configuration Calculator (Galculator)は,要件に最適なGalaxy 構成を判断するために利用でき,コンフィギュレーションに適切な入出力モジュール, プロセッサ・モジュール,十分なメモリを確かめることのできるアプリケーション・ プログラムです。Galculatorにはハードウェアのイラストも含まれています。 次のサイトから入手できます。 http://www.compaq.com/openvms

AlphaServer 8400または8200システムでOpenVMS Galaxyバージョン7.2-1 コンピューティング環境を構築する場合,Galculatorは次のハードウェア要件を計算します。

OpenVMS V7.2-1のお客様は,次のオプション・ハードウェアも利用できます。

OpenVMS GalaxyコンフィギュレーションのためのKFE72-DAコンソール・ サブシステム・ハードウェアのインストールについては,第6章を参照してください。

3.5.5 OpenVMS Galculatorの表示例

OpenVMS Galculatorからの表示の例を次に示します。

     Compaq Computer Corporation

     OpenVMS Galaxy System Configuration

     2-instance AlphaServer 8400 Galaxy Parts List
     ______________________________________________________________________

     REQUIRED HARDWARE:

     Notes:
     1) The following parts list should be compared against the base system
         parts list to determine if the parts already exist, or need to be
         ordered.
     2) This parts list covers only the parts required to transform an
         existing system into a Galaxy configuration.  Although we have tried
         to be complete, there is no substitute for the official options catalog.

     CONSOLE SUBSYSTEMS and PCI CARD-CAGES

     1 KFE72-DA Console Subsystems (3 module set).
     1 DWLPB-AA/BA PCI/EISA card-cages.

     Notes:
     1) Use DWLPB-AA (dual PCI card-cage, back-side) for PCI/EISA options.
     2) Use DWLPB-BA (single PCI card-cage, front or back) for PCI expansion.
     3) Each KFE72-DA contains 1 on-board Ethernet port, 2 serial line ports,
         and 1 floppy disk port.
     4) The KFE72-DA module set must be placed in the bottom-most card-cage
     slots.

     I/O PROCESSOR MODULES

     1 KFTHA-AA 4-Hose I/O Processor Modules.
     1 KFTIA-AA 1-Hose I/O Processor Modules.

     Notes:
     1) If you use both KFTIA and KFTHA modules, a KFTIA must be placed in
         slot 9. The remaining I/O modules can be placed in any order as long as
     you
         configure consecutive slots in descending order (slots 9,8,7,6).
     2) If you intend to use an XMI subsystem, it must be cabled into a KFTIA
         in system slot 9.

     PROCESSOR MODULES

     5 756P1-AX Processor Modules.
     Notes:
     1) A number of different speed processors available are available.
         The 756P1-AX is a dual 440mhz module.  You can use whichever speed
         processors you choose as long as all processors are the same speed.
     2) After installing the processors, be sure to upgrade to the proper
         Galaxy Console Firmware. (LFU> Update KN7C*).

     MISCELLANEOUS PARTS

     In addition to the above parts, consider the following parts to help you
     organize and manage your Galaxy system.

     1) A Terminal-Server (for example, DECserver200 or 900, etc.) to organize
         your console serial lines. Having reverse-LAT access to your consoles is
         helpful.
     2) An Ethernet HUB to manage your Ethernet connections.
     3) A suitable workstation for using the OpenVMS Galaxy Configuration
     Utility.
     4) Refer to the OpenVMS Galaxy Guide for more information.

       MEMORY MODULES

     1 MS7CC-EA (1GB) Memory Modules.

     1 MS7CC-GA (4GB) Memory Modules.

     SYSTEM CAPACITY AS SPECIFIED:

     1) There are 10 processors of which 8 can be migrated.
     2) There are 5 I/O Hoses available for PCI and XMI.
     3) There are 57 possible PCI devices if all hoses are used.

     4) There are 2 KFTIA I/O modules.
         Each contains 2 Ethernet Ports, 4 SCSI Ports, and 1 optional FDDI port.
         Remember that only the instance owning the I/O modules
         can access these ports.

3.6 推奨されるCDドライブ

OpenVMS Galaxyコンピューティング環境の各インスタンスに対して,CDドライブを使用できるように設定してください。AlphaServer 8400 ,8200, 4100システムの一部として1台のCDドライブが出荷されます。OpenVMS Galaxyで複数のシステム・ディスクを使用する予定がある場合は,アップグレードやソフトウェアのインストール時に, 各インスタンスに1台ずつCD ドライブがあると非常に便利です。

OpenVMS Galaxyインスタンスが相互にクラスタ接続されており,1つの共通のシステム・ ディスクを使用する場合は,1台のCDドライブだけで十分です。 これは,他のクラスタ接続されたインスタンスにCDドライブを提供できるからです。 オペレーティング・システムをアップグレードする場合は,CD ドライブが接続されているインスタンスを使用してアップグレードできます。

3.7 重要なクラスタ情報

ここでは,OpenVMS Galaxyコンピューティング環境内の他のインスタンスや,Galaxy 以外のOpenVMSクラスタと,インスタンスをクラスタ接続するときに重要な情報をまとめます。

クラスタ・インスタンスに適用される,必要なOpenVMS Galaxyライセンスの詳細については, 第4章を参照してください。

3.7.1 OpenVMS Galaxyインスタンスになる

OpenVMS Alphaバージョン7.2-1をインストールするときに,OpenVMSインストール・ ダイアログでOpenVMS ClusterおよびOpenVMS Galaxyインスタンスに関する質問が表示されます。

次の質問に対して"Yes"と応答し,

             Will this system be a member of a VMScluster? (Yes/No)

次の質問に対して"Yes"と応答すると,

             Will this sytem be an instance in an OpenVMS Galaxy? (Yes/No)

次の情報が表示されます。

         For compatibility with an OpenVMS Galaxy, any systems in the VMScluster
         which are running versions of OpenVMS prior to V7.1-2 must have a
         remedial kit installed.  The appropriate kit from the following list
         must be installed on all system disks used by these systems.
         (Later versions of these remedial kits may be used if available.)

             Alpha V7.1 and V7.1-1xx         ALPSYSB02_071
             Alpha V6.2 and V6.2-1xx         ALPSYSB02_062

             VAX V7.1                        VAXSYSB01_071
             VAX V6.2                        VAXSYSB01_062

詳細については,『OpenVMS Alpha Installation and Upgrade Manual』を参照してください。

3.7.2 SCSI Clusterに関する留意事項

ここでは,OpenVMS Galaxyコンピューティング環境でのSCSI装置名に関する情報をまとめます。OpenVMS Cluster 装置名の詳細については,『OpenVMS Cluster Systems』を参照してください。

共用SCSIバスを装備したOpenVMS Galaxyを構築する場合,次のことに注意する必要があります。

OpenVMSでは,各インスタンスでSCSI装置に同じ名前を正しく付けるには,OpenVMS の装置命名機能を使用する必要があります。

たとえば,SHOW CONFIGコマンドを入力したときに,システムに次のアダプタがあるとしましょう。

     PKA0 (embedded SCSI for CDROM)
     PKB0 (UltraSCSI controller KZPxxx)
     PKC0 (UltraSCSI controller)

このシステムを2インスタンスGalaxyに設定すると,ハードウェアは次のようになります。

     Instance 0
     PKA0  (UltraSCSI controller)

     Instance 1
     PKA0  (embedded SCSI for CDROM)
     PKB0  (UltraSCSI controller)

共用SCSIは,インスタンス0のPKA0からインスタンス1のPKB0に接続されます。

LP_COUNT環境変数を0に設定してシステムをINITすると,SYSGENパラメータSTARTUP_P1 がMINIMUMに設定されていない限り,システムでOpenVMSをブートすることができません。

これは,LP_COUNT変数が0に設定されている場合,PKBがPKCに接続されるため, 複数のパーティションで初期化するために設定したSCSI装置名が, LP_COUNT変数を0に設定して初期化するときに正しくなくなるからです。

ブート時に発生する装置構成で,OpenVMSはPKA0とPKB0が接続されていることに気付きます。OpenVMS は各装置に同じ割り当てクラスおよび名前が与えられているものと解釈しますが, この場合は同じではありません。

2インスタンスGalaxy用に設定された装置名は,コントローラのコンソール名が変更されたために正しく機能しません。

3.8 OpenVMS Galaxyコンピューティング環境でのセキュリティに関する留意事項

shared-everythingクラスタ環境では,すべてのセキュリティ・データベース・ ファイルがすべてのインスタンス間で共用されます。このようなクラスタ環境で動作するOpenVMS Galaxy インスタンスは,Galaxy関連のすべてのセキュリティ・ プロファイルに関して,自動的に一貫性のあるビューを提供します。

すべてのGalaxyインスタンスですべてのセキュリティ・データベース・ファイルを共用しないことを選択した場合は, 一貫性のあるセキュリティ・ プロファイルを実現するには,手動の操作が必要になります。オブジェクトのセキュリティ・ プロファイルを変更すると,このオブジェクトにアクセスできるすべてのインスタンスで同様の変更を行わなければなりません。

手動で次々に変更が必要になるため,このような構成はUS C2評価や他の機関による同様の評価の対象になっていません。 オペレーティング・システムに対するセキュリティ評価が必要な組織では,1 つのOpenVMS Galaxy 内のすべてのインスタンスが同じクラスタに所属するように設定する必要があります。


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