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2 新機能

この章では,OpenVMS Alphaバージョン7.2-1オペレーティング・システムの新機能について説明します。 バージョン7.2のすべての新機能については, 『OpenVMS V7.2新機能説明書』を参照してください。

2.1 COM Version 1.1 for OpenVMS

COM (コンポーネント・オブジェクト・モデル)は,開発者が分散ネットワーク・ オブジェクトを作成するためのテクノロジです。COM for OpenVMSは,COMドラフト標準規格をサポートするMicrosoft コードを実装したものです。

OpenVMS Alpha Version 7.2-1で, CompaqはCOM for OpenVMSに次の機能を追加しました。

COM Version 1.1 for OpenVMS,OpenVMS Registry,OpenVMS Events,認証の新機能の詳細については, 『OpenVMS Connectivity Developer Guide』を参照してください。 このドキュメントはCOM for OpenVMS developer kitに添付されており,OpenVMSドキュメンテーションWebサイトから入手することもできます。 (また,このドキュメントの翻訳版『OpenVMSコネクティビティ開発者ガイド』は, 日本語OpenVMS Alpha V7.2-1のドキュメント・セットに入っています。)

次の表は,COM Version 1.0 for OpenVMSとCOM Version 1.1 for OpenVMSの相違点を示しています。

表 2-1 COM Version 1.0 for OpenVMSとCOM Version 1.1 for OpenVMSの相違点の要約

領域 COM Version 1.0 for OpenVMS COM Version 1.1 for OpenVMS
クライアント要求 Windows NTでは認証される。OpenVMS への要求では認証されない。 Windows NTとOpenVMSで認証される。
セキュリティ サーバはWindows NTでクライアントのIDを使用して実行でき, OpenVMSではあらかじめ指定されたOpenVMS IDを使用して実行できる。 サーバはWindows NTとOpenVMS でクライアントのIDで実行できる。
セキュリティ Windows NTではメソッド単位のセキュリティを設定できるが,OpenVMSではプロセス単位のセキュリティだけを設定できる。 Windows NTとOpenVMSでメソッド単位のセキュリティを設定できる。
アウトバウンドCOM 要求 Windows NTでのみ認証される。 Windows NTとOpenVMS で認証される。
レジストリへのアクセス Windows NT: NTの資格情報によって制御される。

OpenVMS:特権やライツ識別子などのOpenVMSセキュリティ制御に依存する。

Windows NT: NTの資格情報によって制御される。

OpenVMS: Windows NTの資格情報またはOpenVMS のセキュリティ制御によって制御される。

イベント・ログ Windows NTのみ。 Windows NT とOpenVMS。

2.1.1 COM for OpenVMSの配布

COM for OpenVMSはOpenVMSオペレーティング・ システムと共に提供されます。ライセンスは次のように提供されます。

2.2 AlphaServer GS60/GS140システムに対するOpenVMS Galaxyのサポート

OpenVMS Alphaバージョン7.2-1では,OpenVMS Galaxy構成に対するサポートが強化され,AlphaServer GS60 システムとGS140システムのサポートを提供します。AlphaServer GS140 システムでは,OpenVMSのインスタンスを3 つ実行でき,AlphaServer GS60システムでは,2つのインスタンスを実行できます。

AlphaServer 8400,8200,4100,GS140,GS60システムでOpenVMS Galaxy 環境を構築する方法については,『OpenVMS Alpha Galaxy Guide』を参照してください。 このガイドの最新のバージョンは次のWebサイトで提供されています。

http://www.openvms.digital.com:8000/

OpenVMS Galaxyのリリース・ノートは,『OpenVMS Alpha Galaxy Guide』に含まれています。

(上記ドキュメントの翻訳版『OpenVMS Alpha Galaxyガイド』は,日本語OpenVMS Alpha V7.2-1 のドキュメント・セットに入っています。)

2.3 OpenVMS Clusterシステム

ここでは,OpenVMS Clusterの次の新機能について説明します。

2.3.1 Fibre Channelのサポート

Fibre Channelは新しいANSI標準ネットワーク/ストレージ・インターコネクトであり,100 MB/ 秒の高速伝送,長い接続距離(リンクあたり最大500 メートル)など,他のインターコネクトより優れた点を数多く備えています。

OpenVMS Alphaバージョン7.2-1では,OpenVMS Cluster共用ストレージ・ インターコネクトとしてFibre Channelがサポートされます。Fibre Channelアダプタ,KGPSA-BCのサポートは,OpenVMS Alphaバージョン7.2 のHW01修正キットですでに提供されており,このリリースにも統合されています。

Fibre Channelストレージへのマルチパスがサポートされます。マルチパスFibre Channel 構成では,装置への1つのパスから同じ装置への別のパスへのフェールオーバ機能が提供されます。 同じ装置に対して複数のパスを使用すると,I/O 操作でその装置の可用性が向上します。また,複数のパスを使用できると, 全体的なパフォーマンスも向上します。

2.3.1.1 Galaxy構成でのFibre Channelのサポート

Fibre ChannelはOpenVMS Galaxyのすべての構成でサポートされます。 Galaxy構成の詳細については,第2.2節と『OpenVMS Alpha Galaxy Guide』を参照してください。

2.3.1.2 複合バージョン/複合アーキテクチャのOpenVMS Cluster システムでのFibre Channelディスクの提供

Fibre Channelディスクは,クラスタ内の他のノードにサービスを提供するMSCP になることができます。他のノードがVAXシステムでOpenVMSバージョン7.2 を稼動している場合や,VAXまたはAlphaシステムでOpenVMSのそれ以前のバージョンを稼動している場合は, バージョン固有のFibre Channel修正キットを各ノードにインストールしなければなりません。第3.3節を参照してください。

2.3.1.3 Fibre Channelのサポートとドキュメント

OpenVMSでは,複数のAlphaServerモデルでFibre Channelがサポートされるようになりました。 必要な構成や制限事項も含めて,Fibre Channel のサポートの詳細については,OpenVMS Alphaバージョン7.2-1の『Guidelines for OpenVMS Cluster Configurations』マニュアルを参照してください。

Fibre Channelに関する最新のドキュメントについては,OpenVMS Fibre ChannelのWebサイトを参照してください。

http://www.openvms.digital.com/openvms/fibre/index.html

2.3.2 マルチパス・フェールオーバのサポート

マルチパス・フェールオーバのサポートは,OpenVMSシステムと特定の種類のディスク装置の間に複数持つことのできるパスの間で, フェールオーバするための機能です。 マルチパス・フェールオーバにより,可用性が向上します。 マウントされるディスクに対する現在のパスで障害が発生すると, 自動的に別のパスにフェールオーバされます。OpenVMS Clusterシステム内のシステムは, 直接パスを介して,サポートされるディスク・タイプにアクセスできます。MSCP でサービスされるパスのマルチパス・フェールオーバはサポートされません。

表 2-2は,OpenVMS Alpha バージョン7.2 でSCSIがサポートされるようになって以来の,SCSI装置とFibre Channel装置に対するマルチパスのサポートの変化を示しています。

表 2-2 SCSI装置とFC装置に対するマルチパスのサポート

コンポーネント OpenVMS Alphaバージョン7.2 OpenVMS Alphaバージョン7.2 + HW01修正キット OpenVMS Alphaバージョン7.2-1
SCSI装置 サポートされる サポートされる サポートされる
FC装置 サポートされない サポートされる サポートされる
マルチパスSCSI とマルチパスFC装置のシャドウイング サポートされない サポートされない サポートされる
直接パスからMSCPでサービスされるパスへのフェールオーバ(SCSI またはFC) サポートされない サポートされない サポートされない

マルチパス・フェールオーバのサポートは,OpenVMS Alphaバージョン7.2 でSCSI装置に対して導入されました。このサポートは,OpenVMS Alphaバージョン7.2 HW01 修正キットでFibre Channel装置にまで拡張され,現在はOpenVMS Alpha バージョン7.2-1に統合されました。

さらに,このリリースではシャドウイングされたSCSIまたはFibre Channelディスク装置に対してフェールオーバがサポートされるようになりました。 シャドウイングされたディスク装置とは,Volume Shadowing for OpenVMSを使用しているOpenVMS Alphaシステムに接続されている装置です。Volume Shadowing for OpenVMS では,データが複数のディスクに複製されるので, アプリケーションとユーザからデータを確実に利用できるようになります。

マルチパス・フェールオーバのサポートの詳細については, OpenVMS Alphaバージョン7.2-1の『Guidelines for OpenVMS Cluster Configurations』マニュアルを参照してください。 マルチパスに関する最新のドキュメントについては,OpenVMS Fibre Channel のWebサイトを参照してください。このサイトでは, マルチパスおよびFibre Channelに関する最新の情報が提供されています。

http://www.openvms.digital.com/openvms/fibre/index.html

2.3.2.1 HSZ割り当てクラスを含む装置に対するブートのサポート

AlphaServer 2x00(A)を除き,KZPBA-CBをサポートするすべてのAlphaServer システムは,HSZ割り当てクラスを含む装置からのブートをサポートします( 割り当てクラスのサポートは,OpenVMSでSCSIマルチパス・ フェールオーバをサポートするために,これらのコントローラに追加されました) 。

Alphaコンソール・ファームウェアは,AlphaServerの要件に応じて,バージョン5.3 または5.4以上が必要です。

Digital Modular Computing Component (DMCC)システムは,コンソール・ ファームウェアの将来のバージョンで,HSZ割り当てクラスを含む装置のブート・ サポートを提供する予定です。

2.3.3 MEMORY CHANNELバージョン2.0のサポート

OpenVMS Alphaバージョン7.2-1では,次のMEMORY CHANNELバージョン2.0 の機能がサポートされます。

MEMORY CHANNELバージョン2.0ハードウェアのサポートが必要な場合は, OpenVMS Alphaバージョン7.2-1リリースを使用してください。MEMORY CHANNELバージョン2.0はOpenVMS Alphaバージョン7.2 (以前のリリース) でもサポートされますが,MEMORY CHANNELバージョン2.0ハードウェアの最終的な確認は,OpenVMS Alpha V7.2 HW01 修正キットをインストールしたOpenVMS Alpha バージョン7.2を稼動するシステムで行われています。この修正キットはOpenVMS Alpha バージョン7.2-1に統合されています。

OpenVMSでのMEMORY CHANNELバージョン2.0のサポートには,MEMORY CHANNELバージョン1.5ハードウェアのサポートで導入された次の機能も含まれています。

OpenVMS Clusterシステム内のコンピュータを構成するときに,MEMORY CHANNELバージョン1.5ハブとMEMORY CHANNELバージョン2.0ハブを混在させてもかまいません。 しかし,アダプタとケーブルのバージョン番号がMEMORY CHANNEL のハブのバージョン番号と一致しなければ,正常に機能しません。

MEMORY CHANNELの詳細については,OpenVMS Alphaバージョン7.2-1の『Guidelines for OpenVMS Cluster Configurations』マニュアルを参照してください。

2.3.4 Gigabit Ethernetのサポート

Gigabit Ethernetテクノロジは,今日のネットワークでバックボーン・レベルとサーバ・ レベルで発生している混雑を解消します。

OpenVMS Alphaバージョン7.2-1では,DIGITAL PCI-to-Gigabit Ethernet アダプタ(DEGPA)の実行時サポートが提供されます。DEGPAは,1ギガビット/ 秒の速度でデータを転送する新しいテクノロジを備えています。これはFast Ethernet アダプタの10倍の速度です。

DEGPAのサポートは,OpenVMS Alphaバージョン7.1-2リリースで導入されました。DEGPA のサポートは,OpenVMS Alphaバージョン7.2で,OpenVMS Alphaバージョン7.2 HW01修正キットによって提供されるようになり,現在はOpenVMS Alpha バージョン7.2-1に統合されました。

DEGPAはシングル・システムでサポートされ,クラスタ・インターコネクトとしてもサポートされます。Gigabit Ethernet OpenVMS Cluster システム内のノードは,Gigabit Ethernet スイッチに接続されます。ノードが2 つだけの場合は,ポイント・ツー・ポイントで接続できるので,スイッチは必要ありません。

構成の要件や制限事項も含めて,Gigabit Ethernetのサポートの詳細については, このマニュアルの第3 章とOpenVMS Alphaバージョン7.2-1の『Guidelines for OpenVMS Cluster Configurations 』マニュアルを参照してください。

2.4 Fast Ethernetのサポート

Intelのi8255xイーサネット・コントローラを基礎にしたCompaqのFast Ethernet Network Interface Cards (NIC)のサポートがOpenVMS Alpha バージョン7.2-1リリースに追加されました。これらのNICはDE500アダプタ・ ファミリに代わるものです。これらのPCIベースのNICは,10 /100BaseTX,100BaseFX,全二重,半二重,およびAuto Negotiationをサポートします。

OpenVMSでは,これらの装置はEIx0装置として表示されます。 xはコントローラのユニット名です。これらの装置のデバイス・ ドライバは,実行時環境の場合はSYS$EIDRIVER.EXEであり,LANブートの場合はSYS$EIBTDRIVER.EXE です。

SRMコンソールは操作モードを設定するために環境変数を提供します。変数はEI x0_MODEです。xはコントローラのユニット名です。 新しいAlphaプラットフォームだけがこれらのNICに対するコンソール・サポートを提供します。

サポートされるNICは次のとおりです。

DE600-AA NIC

DE600-AA NICはNC3123とも呼ばれ,i82559イーサネット・コントローラをベースにしています。 これは標準のRJ45コネクタを使用するシングル・ ポートNICです。このNICは10/100BaseTX,全二重,半二重,Auto Negotiationをサポートします。

DE602-AA NIC

DE602-AA NICはNC3131とも呼ばれ,i82558イーサネット・コントローラをベースにしています。 これは2つの標準RJ45コネクタを使用するデュアル・ ポートNICです。このNICは10/100BaseTX,全二重,半二重,Auto Negotiationをサポートします。また,追加ドータ・カードもサポートします。 ドータ・カードを追加すると,1つのPCIスロットを次のいずれかとして構成できます。

DE602-TA NIC

DE602-TA NICドータ・カードはNC3132とも呼ばれ,DE602-AAと組み合わせて使用しなければなりません。 これは2つの標準RJ45コネクタを使用するデュアル・ ポート・カードです。このカードは10/100BaseTX,全二重,半二重,Auto Negotiation をサポートします。

DE602-FA NIC

DE602-FA NICドータ・カードはNC3133とも呼ばれ,DE602-AAと組み合わせて使用しなければなりません。 これはマルチモード・ファイバに対して使用するための1 つの標準SCコネクタを使用するシングル・ポート・カードです。 このカードは100BaseFX,全二重,半二重をサポートします。

2.5 OpenVMS Alpha用のNetscape FastTrack Web Serverバージョン3.01A

OpenVMSバージョン7.2で,OpenVMS Alpha用のNetscape FastTrack Web Serverバージョン3.01が提供されるようになりました。これは使いやすいWeb サーバであり,Webサイトの配置やイントラネット・ソリューションの導入に役立ちます。 オープンなインターネット標準をベースにしたWebエンジンの高いパフォーマンスと信頼性を備えており, 高度なWebサイトの設定や公開を簡単に行うことができます。FastTrack バージョン3.01は数分で稼動でき, インターネットやイントラネットでWebページをサービスできます。FastTrack に含まれているNetscape Navigator Goldを使用すると,Web ページを簡単に作成でき,One Button Publish機能を使用して公開できます。

OpenVMS Alphaバージョン7.2-1で提供されるOpenVMS Alpha用のNetscape FastTrack Web Serverバージョン3.01A (FastTrackの最新リリース)を使用すると, クラスタ環境で複数のFastTrackサーバを配置し,管理できます。1 台の管理サーバから多くのNetscapeサーバを簡単に管理できます。

Netscape FastTrackの詳細については,以下のFastTrack Web サイトで『FastTrack Server for OpenVMS Alpha-OpenVMS Supplement』および『FastTrack Server for OpenVMS Alpha- Release Notes』ドキュメントを参照してください。

     http://www.openvms.digital.com/openvms/products/ips/register_fasttrack.html

2.6 Availability Managerバージョン1.2

Availability Managerは,これまでDECamdsと呼んでいたツールの新しいバージョンであり, 新しいJavaベースのインタフェースが追加されました。Availability Manager はシステム管理ツールであり,OpenVMSまたはWindows NT システムから拡張ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)の1つ以上のOpenVMS ( またはWindows NT)ノードを監視できます。

Availability Managerは,システム管理者やアナリストが特定のノードやプロセスを詳細に分析するのに役立ちます。 このツールは複数のOpenVMS ノードから同時にシステム・データとプロセス・データを収集し,データを分析して,Java グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を使用して出力を表示します。

詳細については,次のAvailability Manager Webサイトを参照してください。

http://www.openvms.digital.com/openvms/products/availman


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