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2 V7.1以前のバージョンのアップデート抄録

この章では,日本語OpenVMS主にV7.0,V7.1でアップデートされた機能について説明します。

2.1 マルチスレッド漢字プリント・シンビオント

V7.1

日本語OpenVMSでは,漢字プリンタ・ ターミナルで日本語を取り扱うために,日本語機能を拡張した漢字プリント・ シンビオントを提供しています。この漢字プリント・シンビオントは, バージョン7.1からマルチスレッド化されました。

マルチスレッド化に伴ない,プリント・キューに対応するプリンタの属性を設定する論理名がキューごとの論理名に変更になりました。 下表のqueue-name には,実際のキュー名を設定してください。

旧論理名 新論理名
JSY$PRTSMB_HWTYPE JSY$PRTSMB_HWTYPE_queue- name

次に第2水準漢字の印刷と罫線コードの変換について説明します。

表 2-1 JSY$PRTSMB_HWTYPE_queue-nameの定義値テーブル

漢字コード プリンタのROM第1水準 プリンタのROM第2水準
JISX0208- 1978 2 1
JISX0208-1983 設定できません 0 [1]

[1] 省略時または未定義時にはこの設定となります。

※どの設定値でも拡張漢字のダイナミック・プリローディングと行間罫線のサポートは行います。

漢字プリント・シンビオントの詳細については,『日本語OpenVMS概説書』をご覧ください。

2.2 JMAIL

JMAILには次のような新機能が追加されました。これらの新機能についての詳細は, 『日本語OpenVMS日本語ユーティリティ利用者の手引き』を参照してください。

2.2.1 インターネット形式のアドレスの指定

V6.2

日本語OpenVMSバージョン6.2より,メールの宛先にトランスポート名または引用符を指定しなくても, インターネット形式の宛先を直接指定することができます。 たとえば,日本語DEC TCP/IP Servicesがインストールされている場合,V6.2 より前のバージョンの日本語OpenVMSでは,次のように指定する必要がありました。

             SMTP%"user@node.org"

バージョン6.2以降では次のように指定できます。

             user@node.org

インターネット・トランスポートがSMTPでない場合,論理名MAIL$INTERNET_TRANSPORT を定義して,別のトランスポートを選択できます。user@node 構文は,DECnet Phase IVノード名またはDECnet/OSI別名を指定する時にも使用できます。 この場合,user@nodeはnode::userと解釈され, 処理されます。

2.2.2 コマンド表示における画面操作機能

V7.0

JMAILの以下のコマンドで/PAGE修飾子を指定すれば,画面操作機能を有効にすることができます。

/PAGE修飾子では次のキーワードが指定できます。

CLEAR_SCREEN ページモードで表示(各ページの表示前に画面を消去する)
SCROLL スクロールモードで表示(1行ずつスクロールする)
SAVE[=n] 画面操作機能を有効にする。n は保存されるページ数

/PAGE=SAVE修飾子を使用すると,最大5画面,255桁分の画面を保存できます。 この時,次のキーを使って画面の移動などができます。

キー名 動作
上矢印( ↑),Ctrl/B 1行スクロールアップ
下矢印(↓) 1行スクロールダウン
左矢印(←) 1桁左へシフト
右矢印(→) 1桁右へシフト
Find(E1) 文字検索を起動[1]
Insert Here(E2) 半画面右シフト
Remove(E3) 半画面左シフト
Select(E4) 80/132桁切り替え
Prev Screen(E5) 前画面に移動
Next Screen(E6),Return,Enter,Space 次画面に移動
F10,Ctrl /Z 終了
Help(F15) MAIL, JMAILでは使用できない
Do(F16) 最新(現在)画面と(履歴内で)最古画面の入れ換え
Ctrl/W 再表示

[1] Findキーで文字検索を起動した場合,検索文字列に日本語を入力することができません。

省略時の設定は/NOPAGEです。

2.2.3 署名ファイル

V7.0

署名ファイルと呼ばれるテキストをメール・メッセージの最後に付加することができます。 たとえばユーザーの社名,住所,電話,インターネット・ アドレスなどの情報をテキスト・ファイルとして作成し,署名ファイルとして使用します。

すべてのメールに自動的に(省略時の)署名ファイルを付加するには次のコマンドを使用します。

     JMAIL> SET SIGNATURE_FILE ファイル名

ファイル名の省略時のファイル・タイプは.SIGです。

また/SIGNATURE=ファイル名修飾子を使用すれば,メール毎に任意の署名ファイルを付加することができます。/SIGNATURE_FILE 修飾子はSEND, MAIL, REPLY, FORWARDの各コマンドで使用できます。/SIGNATURE_FILE=ファイル名修飾子はDCL のJMAILコマンドでも使用可能です。

2.3 TCP/IP機能をサポートするDCLコマンド

V6.2, V7.0

OpenVMSバージョン6.2以降ではいくつかのDCLコマンドがTCP/IP機能を容易に利用できるよう拡張されています。 これらのコマンドは以下の通りです。

上記のコマンドを使用するには,これらのコマンドをサポートするTCP/IP ソフトウェアがインストールされていることが必要です。

日本語OpenVMSバージョン6.2で日本語DEC TCP/IP Servicesバージョン3.2 がインストールされている場合,これらのコマンドのうちSET HOST /RLOGINだけがサポートされていました。日本語OpenVMSバージョン7.0以降にバンドルされている日本語DEC TCP/IP Services では,この制限はなくなり, すべてのコマンドがサポートされるようになりました。

2.4 日本語キーマップ・ファイルの提供

日本語OpenVMSでは,DECwindows/Motifおよび日本語DECwindows/Motifのために, 以下の日本語キーマップ・ファイルが提供されます。

型番 配列 漢字変換キー
LK201-AJ アッシュグレー ANSI
LK401-AJ アッシュグレー ANSI
LK401-BJ アッシュグレー ANSI
LK401-JJ アッシュグレー JIS
LK411-AJ アッシュグレー ANSI
LK411-JJ アッシュグレー JIS
LK41W-AJ フロストホワイト ANSI
LK41W-JJ フロストホワイト JIS
LK421-AJ アッシュグレー JIS
LK421-JJ アッシュグレー JIS
LK97W-AJ フロストホワイト PC 109
PCXAJ-** アッシュグレー PC 106

DECwindows/Motifおよび日本語DECwindows/Motifでは,セッション・マネージャのオプションやスタイル・ マネージャのキーボード設定で,上記のキーボードを選択することができます。

2.4.1 エスケープ・キーを使用する場合

次の表にある型番のキーボードでエスケープキー(ESCキー)を使用する場合は, 所定のキーマップを選択してください。

型番 キーマップ
LK401AJ JAPANESE_LK401AJ_ESC
LK401BJ JAPANESE_LK401BJ_ESC
LK411AJ JAPANESE_LK411AJ_ ESC

これらのキーマップを選択すると,以下のようにキーが切り替わります。

キーの刻印 入力される文字 ASCIIコード
<ESC> 1B
60
Shift +, 3C
Shift +. 3E

2.4.2 PCキーボードを使用する場合

LK97W-AJまたはPCXAJ-**キーボードを使用する場合は,PC標準のキー・ レイアウトと,LKに似たキー・レイアウトの2種類を選択できます。

型番 キーマップ 説明
LK97W-AJ JAPANESE_LK97WAJ_LK LK レイアウト

JAPANESE_LK97WAJ_PC PC レイアウト
PCXAJ-** JAPANESE_PCXAJAA_LK LKレイアウト

JAPANESE_PCXAJAA_PC PC レイアウト

つまり,< Print Screen >と< Scroll Lock>キーは< Help >と< Do >キーの働きをし, キーパッドの< NumLock >,< / >,< * >,< - >や,矢印キーの上の< Insert > ,<Home >等もLK201やLK401の対応する位置にあるキーの働きをします。

2.4.3 カナ・モード

カナを直接キーボードから入力することができます。カナ・モードに入るキーは, 右< Alt >(PCXAJ-**には< Alt >キーが2つあります)です。もう一度, 右< Alt >を押すとASCIIモードに戻ります。

2.4.4 Composeキー

PCXAJ-**では,右< Ctrl > (PCXAJ-**には< Ctrl >キーが2つあります) が,LK401等のキーボードのComposeキーと同じ働きをします。

2.5 日本語ターミナル・ドライバとKANJIGEN

2.5.1 TTY_CLASSNAMEの設定について(Alphaのみ)

Alpha V6.2

日本語OpenVMS AXPバージョン6.1までは標準版ターミナル・ドライバSYS$LOADABLE_IMAGES:SYS$TTDRIVER.EXE の日本語版SYS$HNDRIVER.EXE で漢字端末のサポートを行っていました。バージョン6.2からSYS$HNDRIVER.EXE の機能は標準版SYS$TTDRIVER.EXEに統合され, SYS$HNDRIVER.EXEは不要になりました。

このため,SYSGENパラメータTTY_CLASSNAMEはバージョン6.1までは"HN"に設定する必要がありましたが, バージョン6.2以降では標準版と同じ"TT" に設定したままで,漢字端末における日本語の入出力や編集をサポートします。 バージョン6.2以降ではTTY_CLASSNAMEを"HN"に設定しないでください。

2.5.2 漢字のハードウェア・オンデマンド・ ローディング

V7.1

日本語OpenVMS V7.1からハードウエア・オンデマンド・ローディングをサポートします。 ハードウエア・オンデマンド・ローディングは日本語OpenVMS VAX V6.0 以前にサポートされていた機能ですが,これをターミナル・ サーバ経由の接続に限り,AlphaとVAX両方において,日本語OpenVMS V7.1でもサポートします。

サポートするターミナル・サーバは以下のとおりです。

2.5.3 漢字のソフトウェア・オンデマンド・ ローディング

VAX V6.1

バージョン6.0以前の日本語OpenVMS VAXでは,端末側(表示装置/印字装置) のフォント要求機能を用いたオンデマンド・ローディングを提供していましたが, バージョン6.1からは,端末側のフォント要求機能を用いないソフトウェア・ オンデマンド・ローディングに変更になりました。

ソフトウェア・オンデマンド・ローディングの導入にともない,バージョン6.0 まであった非同期式インタフェースのサポートについての制限事項はなくなりました。 シリアル・ライン・インタフェースの種類,ターミナル・ サーバの機種およびバージョンにかかわりなく,オンデマンド・ローディングをサポートします。

Alpha V6.2

日本語OpenVMS Alphaではバージョン1.0以来,オンデマンド・ローディングがサポートされていませんでしたが, 日本語OpenVMS Alphaバージョン6.2 からVAX同様ソフトウェア・オンデマンド・ローディングがサポートされます。 ライン・インタフェースに関する制限事項はありません。

ソフトウェア・オンデマンド・ローディングは,以下の端末をサポートします。

なお,プリンタではオンデマンド・ローディングはサポートされませんので, 漢字プリント・シンビオントの機能であるダイナミック・プリローディングを使用してください。 漢字プリント・シンビオントについては『日本語OpenVMS 概説書』を参照してください。

端末(表示装置/印字装置)と,フォント・ローディングの関係は次の表のようになります。 表示装置において,ソフトウェア・オンデマンド・ローディングとプリローディングは, 併用できませんのでご注意ください。

端末 オンデマンド・ローディング プリローディング ダイナミック・プリローディング
漢字ビデオ・ディスプレイ・ターミナル ×
漢字プリンタ(LAシリーズ) ×
漢字プリンタ(LNシリーズ) × ×

2.5.4 KANJIGENの文字単位編集機能の設定

V6.2

コマンド行での文字単位の編集機能を有効にするには,日本語OpenVMSバージョン6.1 まではKANJIGENでSET/EDIT=ENABLEを実行することにより設定できましたが, 日本語OpenVMSバージョン6.2およびバージョン7.0では, 同時に/INPUT=KANJIにより入力コードを漢字に指定する必要があります。

また,/INPUT=KANAと/EDIT=ENABLEの組み合わせは許されません。例えば/INPUT=KANJI ,/EDIT=ENABLEに設定された状態で,SET/INPUT=KANAを実行して入力コードのみをカナに再設定することはできません。


注意
SuperDEC漢字コードセットにしたがった半角カナを含むファイルを端末に表示する場合は, 文字単位編集機能を利用する, しないにかかわらず文字単位編集機能を有効にする必要があります。

2.6 日本語画面管理ライブラリ(SMG)

V6.2

バージョン6.2から日本語キーボード(LK401-BJ,LK401-JJ)がサポートされました。

2.7 DEC XTPU/日本語EVE V3

2.7.1 DECwindowsインタフェースのサポート

V6.1

日本語OpenVMS VAXバージョン6.1およびAlphaバージョン6.1から, DECwindowsインタフェースもサポートされます。このDECwindowsインタフェースでは, バッファ・ジャーナリングがサポートされます。また, パソコン等で用いられるコード・セット(シフトJIS)によるファイルも読み書きできます。

日本語EVEについての詳細は,『日本語EVEユーザーズ・ガイド』および『日本語EVE リファレンス・マニュアル』を参照してください。DEC XTPU の機能については『DEC XTPUリファレンス・マニュアル』を参照してください。

2.7.2 ファイルリスト

V6.1

バージョン6.1から日本語EVEに新しいファイルの選択機能が追加されました。DIRECTORY LIST コマンドによりディレクトリにあるファイルの一覧を表示して, 読み込むファイルを選択することができます。

2.7.3 罫線固定モード

V6.2

バージョン6.2から日本語EVEに罫線固定の機能が追加されました。SET FIX KEISENコマンドにより罫線固定モードに入ると,罫線文字に対する編集操作が禁止されます。 これにより罫線を使った文書も通常と同じように編集を行うことができます。

2.7.4 テキストの置換におけるワイルドカードの利用

V6.2

バージョン6.2から日本語EVEに,ワイルドカードを使用したテキストの置換の機能が追加されました。WILDCARD REPLACE コマンドにより,VMS形式またはULTRIX 形式のワイルドカードを使用して文字列の置換ができます。

2.8 XPG4ユーティリティ

V6.2

XPG4(X/Open Portability Guide Issue 4)は,X/Openが出版するポータビリティ・ ガイドの第4版で,アプリケーション・プログラムの移植性を確保するための標準インタフェースを提唱しています。

日本語OpenVMS VAXバージョン6.0およびバージョン6.1では日本語OpenVMS のキットの一部としてXPG4に準拠したランタイム・ライブラリ,ユーティリティ, およびロケール・データ・ファイルを提供していました。バージョン6.2 よりXPG4ランタイム・ライブラリおよびユーティリティは標準版OpenVMS VAX およびAlphaオペレーティング・システムに組み込まれ,提供されます。

XPG4ユーティリティについての詳細は,『OpenVMS DEC C国際化ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照してください。

2.8.1 ロケール・データ・ファイルのインストール

VAX V6.2

バージョン6.1以前の日本語OpenVMS VAXではSYS$LIBRARY (XPG$LIBRARY) 内にロケール・データ・ファイルが提供されていましたが,標準版OpenVMS バージョン6.2からSYS$I18N_ICONVおよびSYS$I18N_LOCALE 内に提供されるように変更されています。

また日本語OpenVMS VAXバージョン6.1以前のロケール・データ・ファイルは標準版OpenVMS バージョン6.2以降のXPG4ユーティリティとは互換性がありません。 バージョン6.1以前のシステムでユーザーが作成したロケール・ データ・ファイルは標準版OpenVMSバージョン6.2以降のLOCALE COMPILEコマンドを利用して再コンパイルする必要があります。

2.8.2 XPG$STARTUP.COM(VAXのみ)

VAX V6.2

日本語OpenVMS VAXバージョン6.0およびバージョン6.1で提供していたXPG$STARTUP.COM は標準版OpenVMSバージョン6.2以降で提供されるXPG4ユーティリティでは利用されません。 またXPG$STARTUP.COMは標準版OpenVMS バージョン6.2以降のXPG4ユーティリティとは互換性がありませんので, 実行しないでください。

2.9 かな漢字変換の個人辞書の指定

V6.2

かな漢字変換の省略時の個人辞書のファイルはSYS$LOGIN:JSYKOJIN.JISHO です。論理名JSY$KOJINで省略時以外の個人辞書を指定する場合,ディレクトリ指定を省略してファイル名だけを指定すると, 日本語OpenVMSバージョン6.1 までは,現在の省略時のディレクトリにある同名のファイルが参照されました。 日本語OpenVMSバージョン6.2以降ではこの場合, SYS$LOGINにある同名のファイルを参照するよう変更されました。このため現在の省略時のディレクトリにある個人辞書ファイルを参照する場合は, 明示的にディレクトリ名を含めたファイル名を指定するか,ファイル名の先頭に[] を付加する必要があります。

2.10 翻訳メッセージ/ヘルプ

V6.1, V6.2

VAXバージョン6.0以前およびAXPバージョン1.5以前の日本語OpenVMSでは,SET LANGUAGE コマンドによってヘルプやメッセージを英語/日本語間で切りかえてきましたが, バージョン6.1からJSY$SWITCHコマンド・プロシージャで設定するようになりました。 なお,SET LANGUAGEおよびSHOW LANGUAGEコマンドはバージョン6.2から使用できなくなっています。

  1. 英語⇒日本語に切り替える場合
         $ @JSY$SYSTEM:JSY$SWITCH  JAPANESE
    

  2. 日本語⇒英語に切り替える場合
         $ @JSY$SYSTEM:JSY$SWITCH  ENGLISH
    

  3. 現在の設定を表示する場合
         $ @JSY$SYSTEM:JSY$SWITCH  SHOW
    

この設定は,VAXバージョン6.0およびAXPバージョン1.5以前の日本語OpenVMS とは異なり,サブプロセスに継承されます。したがって,日本語に設定している場合, SPAWN 後も日本語のヘルプ/メッセージが表示されます。

なお,サブプロセスへの継承の問題やHELP/MESSAGEユーティリティとの不整合により, これまでは提供されてきた日本語に翻訳されたシステム・メッセージ(SYSMSG.EXE) は,バージョン6.1から提供されなくなりました。

2.11 JSYLIB.OLB

V6.1

日本語ライブラリは,共有イメージ/オブジェクト・ライブラリの両形式で提供されて来ましたが, バージョン6.1からオブジェクト・ライブラリ形式のJSYLIB.OLB から共有イメージ形式で提供されるものがすべて取り除かれました。 具体的には,漢字コード・セット変換ライブラリを除いた, 基本ライブラリ/汎用ライブラリ/かな漢字変換ライブラリが,オブジェクト・ ライブラリ形式のJSYLIB.OLBから取り除かれています。

以下にリンク方法でのVAXバージョン6.0,AXPバージョン1.5との相違を説明します。

  1. 共有イメージにリンクしている場合

    共有イメージSYS$SHARE:JSYSHRにリンクしている場合は変更ありません。

  2. オブジェクト・ライブラリにリンクしている場合

    1. 漢字コード・セット変換ライブラリを除いた日本語ライブラリをユーザのプログラムとリンクしてください。
           例)
      
           $ LINK PROG,SYS$INPUT/OPTION
           SYS$SHARE:JSYSHR/SHARE
           $
      

      または,

           $ LINK PROG,JSY$LIBRARY:JSYSHR/OPTION
      

    2. 漢字コード・セット変換ライブラリを含んだ日本語ライブラリをユーザのプログラムとリンクするには以下のようにオブジェクト・ ライブラリJSY$LIBRARY:JSYLIB.OLB及び共有イメージSYS$SHARE:JSYSHR.EXE とリンクしてください。
           例)
      
           $ LINK PROG,JSY$LIBRARY:JSYLIB/LIBRARY,SYS$INPUT/OPTION
           SYS$SHARE:JSYSHR/SHARE
           $
      

    3. 漢字コード・セット変換ライブラリのみの日本語ライブラリをユーザのプログラムとリンクするにはVAX バージョン6.0,AXP バージョン1.5以前と同様に以下のようにオブジェクト・ライブラリJSY$LIBRARY:JSYLIB.OLB とリンクしてください。
           例)
           $ LINK PROG,JSY$LIBRARY:JSYLIB/LIBRARY
      

2.12 デバッガ

2.12.1 デバッガの日本語拡張機能

V6.2, V7.0

日本語OpenVMS VAXおよびAXPバージョン6.1では日本語デバッガを提供していましたが, バージョン6.2から日本語デバッガに含まれていた日本語機能は標準版OpenVMS バージョン6.2のデバッガに統合されました。

デバッガの日本語拡張機能を有効にするには,デバッガを起動する前に以下の論理名定義を行ってください。

         $ DEFINE/JOB DBG$NATIONALITY JAPAN

端末インタフェースで,日本語入出力機能を有効にするには,さらに以下の論理名定義を行ってください。


注意
日本語OpenVMSバージョン6.2 とバージョン7.0以降とでは,日本語入出力機能を有効にする方法が異なります。

これで,以降のデバッグ・セッションでは,日本語拡張機能が有効となった状態で標準版デバッガが起動されます。

さらに詳しい説明とDECwindows Motifインタフェースを利用する場合の設定方法については『日本語ユーティリティ 利用者の手引き』を参照してください。

日本語OpenVMSバージョン7.0では,デバッガのMotifインタフェースにおいて, 日本語拡張機能が動作しないという問題があります。この問題は, 将来の日本語OpenVMSのリリースで解決される予定です。

2.12.2 デバッガの日本語ヘルプ

VAX V6.1, Alpha V6.2

日本語OpenVMS VAXではバージョン6.1から,日本語OpenVMS Alphaではバージョン6.2 から,キャラクタセル・モードのデバッガ・ヘルプは日本語で提供されるようになりました。 ただし,エラー・メッセージの説明部分は英語のままとなっています。 デバッガを使用中に日本語ヘルプを参照するには, あらかじめJSY$SYSTEM:JSY$SWITCH.COMで日本語に設定しておいてください。 また,デバッガのコマンド・ディクショナリの日本語マニュアルが SYS$HELP:JSY$DBG_HELP.PS およびSYS$HELP:JSY$DBG_HELP.TXTという名前でオンラインで提供されています。

なお,DECwindows/Motif版のデバッガ・ヘルプは英語で提供されています。

2.13 日本語入力プロセス(FIP)

2.13.1 FIP実行中のプロセス・ハングの解決

Alpha V7.0

日本語OpenVMS Alphaバージョン6.1および6.2では,$ INPUT START コマンドで日本語入力プロセス(FIP)を起動後,画面制御のエスケープ・ シーケンスを端末に出力するようなOpenVMSのコマンド(例えば$ SHOW SYSTEM/PAGE=SAVE ,$ SEARCH/PAGE=SAVE)やアプリケーション(日本語DECforms や日本語DEC COBOLを用いたプログラムなど)を実行すると, 端末がハングするという問題がありました。この時,Ctrl/Yキーを入力してプログラムを停止し, 次に他のコマンドを入力すると,そのプロセスはRWAST の状態になりハングします。このプロセスはシステムをリブートしない限り, 削除することはできません。

この問題は,日本語OpenVMS Alphaバージョン7.0で解決されました。

なお,日本語OpenVMS VAXでは,どのバージョンでもこの問題は発生しません。

2.14 KPRINTとKDUMPのフリーウェアとしての提供

V7.0

日本語OpenVMSバージョン6.2でリタイアしたKPRINTおよびKDUMPをフリーウェアとして提供しています。KPRINT とKDUMPが含まれるのは標準版OpenVMS バージョン7.0 CD-ROMキットのパッケージにバンドルされているOpenVMS Freeware CD-ROM V2.0 です。このCD-ROMには日本語OpenVMSバージョン6.1 で提供したKPRINTとKDUMPのソース・ファイル,日本語OpenVMS バージョン6.1用実行イメージ,ヘルプ・ファイル,コマンド・リファレンス・ マニュアルが含まれています。使用方法および実行イメージの作成方法はCD-ROM に含まれるREADMEファイルをご覧ください。なおフリーウェアには弊社のサポートは一切ありません。 またお客様が自由にソース・ファイルを変更して使用することができます。

CD-ROMキットをお持ちでない,日本語OpenVMS VAXのお客様の場合は,下記のOpenVMS のWorld Wide Webホームページからフリーウェアをコピーすることができます。

http://www.openvms.digital.com/

2.15 日本語DEC COBOLランタイム・ライブラリ

Alpha V7.0

日本語入力機能をサポートするDEC COBOLランタイム・ライブラリDEC$COBRTL.EXE は,従来日本語OpenVMSのインストレーションで提供されていましたが, バージョン7.0から標準版OpenVMSのインストレーションで提供されるようになりました。 日本語OpenVMSバージョン7.0では,このファイルを提供しません。


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