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4 システムの起動と停止

本章では,システムのいろいろなスタートアップ(起動)方法とシャットダウン( 停止)方法について説明します。

システムをスタートアップするには,まずシステムをブート します。多くのシステムには,システム固有のブート用コマンドがあります。 システムのブート手順についての詳細は,次のマニュアルを参照してください。

本章の内容

この章では,次の作業について説明します。

作業 参照箇所
AlphaServer 4100コンピュータにおけるメモリ・テストの延期 第4.1.2 項
システム・パラメータ値を変更したブート 第4.2 節
SYSBOOTによるポート割り当てクラスの割り当て 第4.3 節
緊急時のブート 第4.4節
スタートアップを制御したブート 第4.5 節
ブート問題の解決 第4.6節
システム・ディスクへの新しいブート・ブロックの書き込み 第4.7節
SHUTDOWN.COMによる通常のシャットダウン 第4.8.1項
SHUTDOWN.COMのカスタマイズによるサイト別の処理 第4.8.3項
SYSMANによる通常のシャットダウン 第4.5.5項
OPCCRASH.EXEプログラムによる緊急シャットダウン 第4.8.4項
コンソール・コマンドによる緊急シャットダウン 第4.8.5項

さらに,次の項目について説明します。

項目 参照箇所
ブートおよびスタートアップ・プロセス 第4.1.1項
ノンストップ・ ブート:最も一般的なブート操作 第4.1.3.1項
会話型ブート: 特殊ブート機能 第4.1.3.2項
システム・スタートアップとSTARTUP.COM 第4.1.4 項
システム・シャットダウン・プロシージャ 第4.8節
シャットダウン・イベントの順序 第4.8.2項

4.1 ブートとシステム・スタートアップ

ブートとは,システム・ディスク上のシステム・ソフトウェアをプロセッサのメモリにロードすることです。 システムをブートするとき, 自動的にシステムをスタートアップさせるためのタスクを自動的に行います。 これらのタスクは,システム・スタートアップと呼ばれます。

はじめてシステムをブートする前には,オペレーティング・システムをインストールしておかなければなりません。

ブート・プロシージャは,システムによって異なります。たとえば,コンソール記憶装置を搭載しているコンピュータは, ブート・コマンド・プロシージャを使用します。 このブート・コマンド・プロシージャをコピーして編集すれば, ターゲットとなるシステム・ディスクを変更することができます。 また,内部メモリ装置を持つコンピュータは,そこからシステム・ ディスク名を取得します。

Alphaシステムの場合,磁気テープ装置からブートを行うことはできません。

4.1.1 ブートとスタートアップ・プロセス

ブートとスタートアップ・プロセスは,次のステップから構成されます。

  1. BOOTコマンドを入力する。ブート・ブロック は,1次ブートストラップ・イメージを指す。これはディスク上の固定された記憶位置を指す。 このイメージはディスクからメイン・ メモリに読み込まれる。

    VAXシステムでは,1次ブートストラップ・イメージはVMB.EXEである。

    Alphaシステムでは,1次ブートストラップ・イメージはAPB.EXEである。

    1次ブートストラップ・イメージを使用すると,システム・ディスクにアクセスできる。 このプログラムは,2次ブートストラップ・イメージ SYS$SYSTEM:SYSBOOT.EXEを検索してメモリにロードする。

  2. SYSBOOT.EXEは,省略時のパラメータ・ファイルに保存されたシステム・ パラメータをメモリにロードする(省略時のパラメータ・ファイルとブート時におけるシステム・ パラメータのロードについての詳細は, 第4.2節を参照)。

    会話型ブートを行う場合,プロシージャは停止し,SYSBOOT>プロンプトが表示される( 会話型ブートについての詳細は,第4.1.3.2項を参照)。 その他の場合, SYSBOOT.EXEはオペレーティング・システム実行可能イメージをメモリにロードし, その実行可能イメージに制御を渡す。

  3. 実行可能イメージが終了すると,SWAPPERプロセスを実行する。

  4. SWAPPERはSYSINITプロセスを生成する。

  5. 他の処理と同時にSYSINITはSTARTUPプロセスを生成する。

  6. STARTUPはSYS$SYSTEM:STARTUP.COMを実行する(SYSMAN, SYSGEN,会話型ブートで他のファイルを指定している場合を除く)。 STARTUP.COMは,SYSTARTUP_VMS.COMを含む,その他のスタートアップ・ コマンド・プロシージャを実行する(STARTUP.COMについての詳細は 第4.1.4項を,その他のスタートアップ・ プロシージャについての詳細は第5.2.1 項を参照)。

    システム・パラメータの現在の値は,省略時のパラメータ・ファイルに書き込まれる。

  7. ブート・プロセスが終了すると,オペレーティング・システムにログインできる。

4.1.2 AlphaServer 4100コンピュータにおけるメモリ・ テストの延期

システムの電源投入からユーザ・ログインまでの時間を短縮するために, AlphaServer 4100コンピュータでは,メモリ・テストの一部を延期させることができるようになりました。 このオプションを選択すると,コンソールは必要最小限のメモリをテストし, 残りのメモリのテストをオペレーティング・ システムに任せます。

この新しい機能を使用するには,コンソールでMEMORY_TEST環境変数に特定の値を指定してからブートする必要があります。MEMORY_TEST に指定する値は次のとおりです。

説明
FULL (オフ) コンソールがすべてのテストを行う。
NONE ブート前に32 MBのメモリがテストされる。
PARTIAL ブート前に256 MB のメモリがテストされる。

MEMORY_TESTをNONEまたはPARTIALに設定した場合,次に示すいずれか,または両方の期間に, テストされていない残りのメモリをOpenVMSが必要に応じてテストします。

MEMORY_TESTの値を変更したときには,必ずINITコンソール・コマンドを実行してその新しい値を有効にしてください。 このため,ブートする前に, コンソールから次の手順を行う必要があります。

  1. (必要に応じて)MEMORY_TESTの値を変更する。

  2. コンソールからINITコマンドを実行する。

  3. オペレーティング・システムをブートする。

メモリが実際にテストされる際,OpenVMSからさらに細かく制御することもできます。 システム・パラメータMMG_CTLFLAGSの2番目のビットは,次のようにメモリ・ テストの延期を制御します。

4.1.3 ブート操作のタイプ

次のタイプのブート操作を行うことができます。

タイプ 目的 参照箇所
ノンストップ・ブート 特殊な操作を行うためにストップすることなくブートを行う。ほとんどの場合, この種類のブートが使用される。 第4.1.3.1項
会話型ブート 特殊な操作を行う。たとえば, ブート前のシステム・パラメータの変更など。 第4.1.3.2項

4.1.3.1 ノンストップ・ブート:最も一般的なブート操作

最も多く使用されるブート方法は,システム・ディスクからのノンストップ・ ブートです。ブート前にシステム・パラメータ値を変更した後, レイヤード製品をインストールした後,またはスタンドアロン・ バックアップの後でノンストップ・ブートを行います。

ノンストップ・モードでのブート手順については,次のマニュアルを参照してください。

4.1.3.2 会話型ブート:特殊なブート機能

会話型ブートは,プログラミングの研究または開発が行われる環境のように, 実験,テスト,またはデバッグのために動作条件を変更しなければならない場所で使用されます。 会話型ブートでは,次の操作を行うことができます。

操作 参照箇所
システム・パラメータ値を表示または変更してからのブート[1] 第4.2.1項
代替パラメータ・ファイルのシステム・パラメータ値によるブート [1] 第4.2.2 項
省略時のシステム・パラメータ値によるブート( 変更したシステム・パラメータ値を使用すると,システムがブートできない場合など) [1] 第4.4.1 項
スタートアップ・プロシージャまたはログイン・ プロシージャを使用しないブート(変更したスタートアップ・ プロシージャまたはログイン・プロシージャを使用すると,システムがブートできない場合など) 第4.4.2項
ユーザ登録ファイルを使用しないブート( 変更したユーザ登録ファイルを使用すると,ログインができない場合など) 第4.4.3 項
代替汎用スタートアップ・ プロシージャによるブート 第4.5.1 項
簡易スタートアップによるブート 第4.5.3項
スタートアップ・プロシージャのコマンドを表示しながらのブート 第4.5.4 項

[1]システム・パラメータを変更する場合には,なるべくAUTOGEN を使用すること。会話型ブートを使用してシステム・パラメータを変更するのは, 一時的な場合に限定する。変更したパラメータを恒久的に使用する場合には,MODPARAMS.DAT を編集してからAUTOGEN を実行する。変更したパラメータを恒久的に使用する方法については, 第14.5節を参照。

会話型ブートは,次のマニュアルに示す手順に従って行ってください。

4.1.4 システム・スタートアップとSTARTUP.COM

システム・ブートの直後,システムをスタートアップし,スタートアップ・ イベントの進行を制御するために汎用コマンド・プロシージャ SYS$SYSTEM:STARTUP.COMが実行されます。この項では, STARTUP.COMについて説明します。


重要
SYS$SYSTEM:STARTUP.COMは変更しないでください。 このファイルは,システムのオペレーティング・システムを次のバージョンにアップグレードするたびに削除され, 置き換えられます。STARTUP.COM をそのままにしておくことによって,ファイル中のコマンドを間違って変更したりすることを防げます。 逆に,このファイルを変更すると, スタートアップ・プロシージャの実行が失敗することもあります。

STARTUP.COMは変更すべきではありませんが,システムのブート時に,汎用のスタートアップを制御するような特殊なケースがあります。 詳細は第4.5節を参照してください。

STARTUP.COMは次のスタートアップ・タスクを行うために,コマンド・プロシージャ, 実行可能イメージ,データベース・ファイルを使用します。

STARTUP.COMは,次のサイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャを, 次の順番で実行します。

  1. SYS$MANAGER:SYCONFIG.COM

  2. SYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM

  3. SYS$MANAGER:SYPAGSWPFILES.COM

  4. SYS$MANAGER:SYSECURITY.COM

  5. SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM

サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャについての詳細は,第5.2節を参照してください。

4.1.5 ブートとスタートアップが進行していることを示すメッセージ

システムのブートに成功するとバナーが表示され,さらに次のようなメッセージが表示されます。

  1. 次のメッセージは,システムがコマンド・プロシージャSYS$SYSTEM:STARTUP.COM を実行していることを示す。
         The OpenVMS system is now executing the system startup procedure.
    

    このプロシージャはシステムを構築および初期化し,いくつかのサイト別コマンド・ プロシージャを実行する。詳細は第4.1.4項を参照。

  2. 数分後,システムは次のようなメッセージを表示する。
         The OpenVMS system is now executing the site-specific system startup commands.
    

    このメッセージは,システムがSYSTARTUP_VMS.COMを実行していることを示す。 このファイルを変更すれば,スタートアップ時にさまざまな操作を実行することができる。 詳細は第5.2.7 項を参照。

  3. 最後に,このプロシージャは情報メッセージとアカウント情報を表示する。
         %SET-I-INTSET, login interactive limit=64, current interactive value = 0
         19-APR-1998 15:00:00.00
           SYSTEM       job terminated at 19-APR-1998 15:00:00.00
    
         Accounting information:
          Buffered I/O count:       133     Peak working set size:        401
          Direct I/O count:          12     Peak pagefile size:          2379
          Page faults:              325     Mounted volumes:                0
          Charged CPU time: 0 00:00:55.23   Elapsed time:       0 00:01:31.24
    

    システムがこの情報を表示した後,ログインが可能になる。

4.2 システム・パラメータ値の変更

会話型ブートを使用すれば,システム・パラメータ値を変更することができます。

作業 参照箇所
システム・ パラメータ値を表示または変更してからのブート 第4.2.1項
代替パラメータ・ファイルのシステム・パラメータ値によるブート 第4.2.2 項
省略時のシステム・パラメータ値によるブート 第4.4.1 項

会話型ブートでシステム・パラメータ値を表示または変更するにあたって, 次の用語を理解しておく必要があります。

用語 定義
アクティブ値 メモリに格納されて, アクティブなシステムによって使用されているシステム・パラメータ値。
現在値 省略時のパラメータ・ファイルに格納されているシステム・パラメータ値。 システムのブート時,システム・パラメータのアクティブ値を設定するために使用される値。
+VAXシステムの場合,省略時のシステム・パラメータ・ ファイルはSYS$SYSTEM:VAXVMSSYS.PARである。
++Alphaシステムの場合,省略時のシステム・ パラメータ・ファイルはSYS$SYSTEM:ALPHAVMSSYS.PARである。
省略時の値 省略時のリストに格納されて,省略時に使用されるシステム・パラメータ値。

+ VAXのみ

++ Alphaのみ

システム・パラメータについての詳細は,第14.1 節を参照してください。

4.2.1 システム・パラメータ値を表示または変更してからのブート

会話型ブートでは,実際にシステムをブートする前に,個々のパラメータ値を表示または変更することができます。

会話型ブートの場合,メモリ上とシステム・パラメータ・ファイルの両方の値が変更されます。

作業方法

  1. 会話型ブートの手順については,次のマニュアルを参照。

  2. SYSBOOT>プロンプトに対して,SHOWまたはSETコマンドを入力して, システム・パラメータ値を表示または変更する。
         SYSBOOT> SET UAFALTERNATE 1
    

    SETコマンドとSHOWコマンドについては,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』のSYSGENの項目を参照。

  3. システムに未チューニングのレイヤード・プロダクトがあり, ハングが起る可能性があるために,システムのすべてのレイヤード・ プロダクトを起動せずにシステムを起動したい場合があります。このためにはパラメータSTARTUP_P1 を次のように設定します。
         SYSBOOT> SET STARTUP_P1 "MIN"
    

  4. Enter the CONTINUE command to continue booting:
         SYSBOOT> SET STARTUP_P1 "MIN"
         SYSBOOT> CONTINUE
    

  5. CONTINUEコマンドを入力して,ブートを継続する。
         SYSBOOT> CONTINUE
    

     SYSBOOT> SHOW UAFALTERNATE
     Parameter Name            Current    Default     Min.     Max.     Unit
     Dynamic
     --------------            -------    -------    -------  -------   ----
     UAFALTERNATE                    0          0         0         1   Boolean
     SYSBOOT> SET UAFALTERNATE 1
     SYSBOOT> CONTINUE

4.2.2 代替パラメータ・ファイルのシステム・ パラメータ値によるブート

プログラミングの研究または開発を行う場合には,実験,テスト,またはデバッグのために動作条件を変更しなければならないことがあります。 このような運用においては, 一時的に,省略時以外のパラメータ・ファイルに格納された値を使用して, システムをブートすることがあります。会話型ブートを使用すれば, 省略時以外のパラメータ・ファイルからアクティブ値を再設定することができます。

作業方法

  1. 会話型ブートの手順については,次のマニュアルを参照。

  2. SYSBOOT>プロンプトに対してUSEコマンドを入力する。

    USE ファイル指定

    ファイル指定には,代替パラメータ・ファイルの名前とタイプを指定する。 指定可能なファイルはSYS$SYSTEMに存在するファイルであり, 装置名を指定することはできない。

         SYSBOOT> USE ALTPARAMS.DAT
    

  3. CONTINUEコマンドを入力して,ブートを継続する。
         SYSBOOT> CONTINUE
    

     SYSBOOT> USE ALTPARAMS.DAT
     SYSBOOT> CONTINUE

4.3 SYSBOOTによるポート割り当てクラスの割り当て

ポート割り当てクラスを定義する場合は,なるべくCLUSTER_CONFIGプロシージャを使用してください。 このプロシージャを使用できない場合(たとえば, プライベート・システム・ディスクを既存のクラスタにブートしている場合など) には,SYSBOOT SET/CLASSコマンドを使用して,ポート割り当てクラスを共有SCSI ポートに割り当てることができます。たとえば,ポートPKB がSCSIバスに接続されており,別のノードがそのバスに対してポート割り当てクラス152 をすでに割り当てている場合には,次のコマンドを入力します。

     SYSBOOT> SET/CLASS PKB 152

この場合,DEVICE_NAMINGパラメータを1に設定して,新しい装置名の指定を有効に設定してください。 次の例を参照してください。

     SYSBOOT> SET DEVICE_NAMING 1

ポート割り当てクラスの割り当てを解除するには,クラス番号を指定せずに, ポート名だけを入力します。次の例を参照してください。

     SYSBOOT> SET/CLASS PKA

4.4 緊急ブート

システムに障害が発生したためにシステムがブートできない場合は, 緊急ブートを行う必要があります。用途別緊急ブートのリストを表 4-1 に示します。

表 4-1 緊急ブート方法

タイプ 用途 参照箇所
省略時のシステム・パラメータ値によるブート パラメータ・ファイルのパラメータ値を変更して, システムがブート不能になった場合 第4.4.1項
スタートアップ・ プロシージャまたはログイン・プロシージャを使用しないブート スタートアップ・プロシージャまたはログイン・プロシージャにエラーがあって, ログインできない場合 第4.4.2項
ユーザ登録ファイルを使用しない緊急ブート パスワードを忘れて, 特権付きアカウントにログインできない場合 第4.4.3項

[1]システム・パラメータを変更する場合には,なるべくAUTOGEN を使用すること。会話型ブートを使用してシステム・パラメータを変更するのは, 一時的な場合に限定する。変更したパラメータを恒久的に使用する場合には,MODPARAMS.DAT を編集してからAUTOGEN を実行する。変更したパラメータを恒久的に使用する方法については, 第14.5節を参照。

4.4.1 省略時のシステム・パラメータ値によるブート

パラメータ・ファイルの現在値の設定を間違えると,システムがブートできなくなることがあります。 このような場合は,会話型ブートで,すべてのシステム・ パラメータのアクティブ値を省略時の値に戻します。

システム・パラメータを変更する場合には,なるべくAUTOGENを使用すること。 会話型ブートを使用してシステム・パラメータを変更するのは,一時的な場合に限定する。 変更したパラメータを恒久的に使用する場合には,MODPARAMS.DAT を編集してからAUTOGENを実行する。変更したパラメータを恒久的に使用する方法については, 第14.5節を参照。

作業方法

  1. 会話型ブートの手順については,次のマニュアルを参照。

  2. SYSBOOT>プロンプトに対して,次のコマンドを入力する。
         SYSBOOT> USE DEFAULT
    

    このコマンドによって,すべてのパラメータに省略時の値が設定される。

  3. CONTINUEコマンドを入力して,ブートを継続する。
         SYSBOOT> CONTINUE
    

  4. ブートが終了したら,問題の原因となるパラメータを見つけて, そのパラメータ値を修正する。AUTOGENパラメータ・ファイルMODPARAMS.DAT に入っているパラメータ値の指定に誤りがある場合は, このファイル内のパラメータ値を訂正して,AUTOGENを実行する(第14.5節参照)。

  5. システムをシャットダウンして,再ブートする。

     SYSBOOT> USE DEFAULT
     SYSBOOT> CONTINUE
     Username: SYSTEM
     Password:

     $ EDIT SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT
        .
        .
        .
     [Insert the following line in MODPARAMS.DAT:]
     MIN_NPAGEDYN = 2999808
        .
        .
        .
     $ @SYS$UPDATE:AUTOGEN SAVPARAMS REBOOT

4.4.2 スタートアップ・プロシージャまたはログイン・ プロシージャを使用しないブート

システムがスタートアップ・プロシージャの実行に失敗した場合,つまり, ログインできなかった場合,スタートアップ・プロシージャまたはログイン・ プロシージャを無視する必要があります。コンパックが提供するスタートアップ・ プロシージャやログイン・プロシージャは必ず動作します。 しかし,スタートアップ・プロシージャやログイン・プロシージャを変更している場合, システムに入れないことがあります。このような場合は次の手順に従ってください。

作業手順

  1. 会話型ブートの手順については,次のマニュアルを参照。

  2. SYSBOOT>プロンプトに対して,次のコマンドを入力する。
         SYSBOOT> SET/STARTUP OPA0:
    

  3. CONTINUEコマンドを入力して,ブートを継続する。
         SYSBOOT> CONTINUE
    

  4. ブートが終了したら,オペレータのコンソールにDCLコマンド・ プロンプトの($)が表示される。これで,ユーザのログインは完了している。

  5. 次のDCLコマンドを入力する。
         $ SET NOON
    

    このコマンドが入力されると,オペレーティング・システムはエラーを無視する。 このコマンドを入力せずにエラーが発生した場合は,強制的にログアウトさせられる。

  6. ログインの失敗の原因となっているエラー,すなわち,スタートアップ・ プロシージャまたはログイン・プロシージャ,あるいはUAF 内のエラーを訂正する。

    ファイルの訂正にはテキスト・エディタを使用する。システム・コンソールの中には, スクリーン・エディタが用意されていないものがあるので注意が必要である。 また,RENAMEとDELETEの両方のコマンドを用いて正しいファイルをコピーして, 間違ったファイルのバージョンを削除する方法もある。

  7. SYSMANを起動し,そこから次のコマンドを入力して,スタートアップ・ プロシージャを再設定する。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
         SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
         SYSMAN> PARAMETERS SET/STARTUP SYS$SYSTEM:STARTUP.COM
         SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT
         SYSMAN> EXIT
         $
    

  8. 次のコマンドを入力して,通常のスタートアップ・プロシージャを実行する。
         $ @SYS$SYSTEM:STARTUP
    

     SYSBOOT> SET/STARTUP OPA0:
     SYSBOOT> CONTINUE
     $ SET NOON
     $ SET DEFAULT SYS$SYSROOT:[SYSEXE]
     $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
     SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
     SYSMAN> PARAMETERS SET/STARTUP SYS$SYSTEM:STARTUP.COM
     SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT
     SYSMAN> EXIT
     $ @SYS$SYSTEM:STARTUP

4.4.3 利用者登録ファイルを使用しないブート

通常,コンパックが提供するスタートアップ・プロシージャとログイン・ プロシージャは必ず動作します。しかし,ユーザが何らかの変更を行った場合, 正しく動作しないことがあります。システムにログインできなくなる多くの原因は, 設定したパスワードを忘れることです。このような場合には, 標準の利用者登録ファイルを使用せずに,代替利用者登録ファイルを使用して, システムをブートします。


注意
この方法を使えるのは,コンソール・ ターミナルからシステムにログインする場合だけです。他のターミナル回線の場合は使用できません。

システム・パラメータUAFALTERNATEを設定すると,論理名SYSUAFはSYS$SYSTEM:SYSUAFALT.DAT を指すよう定義されます。通常のログイン中にこのファイルが見つかると, システムはその内容を読み取ってアカウントを検証し, ユーザ名とパスワードの入力を求めます。

SYS$SYSTEM:SYSUAFALT.DATファイルが見つからない場合,システムは利用者登録ファイルが壊れたものと仮定し, コンソールからの任意のユーザ名とパスワード(2 つ)が認められ,システムにログインできます。他のターミナルからはログインできません。

この手順を実行した場合,システムは次の値をユーザのアカウントに割り当てます。

フィールド
名前 ユーザ名
UIC [001,004]
コマンド・ インタプリタ DCL
ログイン・ フラグ なし
優先順位 DEFPRIシステム・パラメータの値
資源 PQLシステム・パラメータの値
特権 すべて

通常,プロセス名は,ログインを行った装置の名前になります(_OPA0:など) 。

作業方法

  1. 会話型ブートの手順については,次のマニュアルを参照。

  2. SYSBOOT>プロンプトに対して,次のコマンドを入力する。
         SYSBOOT> SET UAFALTERNATE 1
    

  3. DECwindows Motif for OpenVMSシステムを実行している場合は, 次のコマンドを入力して,ウィンドウ・システムの動作を停止する。
         SYSBOOT> SET WINDOW_SYSTEM 0
    

  4. CONTINUEコマンドを入力して,ブートを継続する。
         SYSBOOT> CONTINUE
    

  5. スタートアップ・プロシージャが完了したら,コンソール・ ターミナルからログインする。このとき,Username:プロンプトとPassword: プロンプトに対して,任意のユーザ名とパスワード(2つ)が入力できる。

  6. 次のコマンドを入力して,省略時のUAFを使用する。
         $ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE_MODE SYSUAF SYS$SYSTEM:SYSUAF.DAT
    

  7. AUTHORIZEユーティリティを使用して,システムにログインできなかった原因( パスワードを間違えたなど)を修正する。パスワードの修正についての詳細は,UAF> プロンプトに対してHELP MODIFYと入力する。 詳細は『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照。

  8. 次のコマンドを入力して,SYSMANを起動し,ステップ2で設定したUAFALTERNATE システム・パラメータをクリアする。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
         SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
         SYSMAN> PARAMETERS SET UAFALTERNATE 0
    

    システム・パラメータを変更する場合には,なるべくAUTOGENを使用する。 しかし,この例では一時的にパラメータを変更しているだけなので,SYSMAN またはSYSGENを使用している。

  9. ステップ3でウィンドウ・システムを無効にしている場合は, 次のコマンドを入力して,ウィンドウ・システムを有効にする。
         SYSMAN> PARAMETERS SET WINDOW_SYSTEM 1
    

  10. 次のコマンドを入力して,変更したシステム・パラメータ値を保存する。
         SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT
    

  11. システムをシャットダウンして,再ブートする。

     SYSBOOT> SET UAFALTERNATE 1
     SYSBOOT> SET WINDOW_SYSTEM 0
     SYSBOOT> CONTINUE
     Username: <Return>
     Password: <Return>

     Password: <Return>

     $ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE_MODE SYSUAF SYS$SYSTEM:SYSUAF.DAT
     $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
     $ RUN AUTHORIZE
     AUTHORIZE> MODIFY SYSTEM/PASSWORD=FGLFTUTU
     AUTHORIZE> EXIT

     $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
     SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
     SYSMAN> PARAMETERS SET WINDOW_SYSTEM 1
     SYSMAN> PARAMETERS SET UAFALTERNATE 0
     SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT

     SYSMAN> EXIT
     $ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN

4.5 通常のスタートアップ・コマンド・プロシージャを使用しないブート

第4.1.4項に,汎用スタートアップ・ コマンド・ プロシージャSYS$SYSTEM:STARTUP.COMが説明されています。省略時の設定では, ブートされたシステムは自動的にSTARTUP.COMを実行して, スタートアップ・イベントを行います。しかし,ある特殊な状況では,変更した汎用スタートアップ・ コマンド・プロシージャをそのまま使用しないでシステムをブートすることがあります。 具体的には,次のような方法があります。

ブート方法 参照箇所
代替汎用スタートアップ・プロシージャによるブート 第4.5.1項
代替省略時スタートアップ・コマンド・プロシージャによるブート 第4.5.2 項
簡易スタートアップによるブート 第4.5.3項
実行中のスタートアップ・プロシージャ・コマンドの表示 第4.5.4項


重要
STARTUP.COMは変更しないでください。 システムを正しく立ち上げるためには,このプロシージャが必要です。 サイト別スタートアップ・プロシージャを変更して,サイト別に操作を行う方法については, 第5.2節を参照してください。

4.5.1 代替汎用スタートアップ・プロシージャによるブート

省略時のシステム・スタートアップ・プロシージャはSYS$SYSTEM:STARTUP.COM です。このプロシージャを変更せずにそのまま使用することをおすすめします。 しかし,サイトによっては,システムに特殊なスタートアップ・ コマンドを実行させる必要がある場合もあります。 会話型ブートを使用すれば,一時的に代替スタートアップ・プロシージャでシステムをブートすることができます。

また,サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャにコマンドを追加して, サイト別にスタートアップ・イベントを実行することもできます。 詳細は第5.2節を参照してください。

作業方法

  1. 会話型ブートの手順については,次のマニュアルを参照。

  2. 次のコマンドを入力して,現在のスタートアップ・ファイルを表示する。
         SYSBOOT> SHOW/STARTUP
    

  3. SET/STARTUPコマンドを入力して,代替汎用スタートアップ・ コマンド・プロシージャを指定する。

    SET/STARTUP ファイル指定

    ファイル指定には,スタートアップ・ファイルの完全ファイル指定を指定する。

         SYSBOOT> SET/STARTUP SYS$SYSTEM:XSTARTUP.COM
    

    ファイル指定で指定されたスタートアップ・ファイルが存在しない場合, 次のメッセージが表示される。

         Error opening primary input file SYS$INPUT
         File not found
    

    入力したファイル名が正しいか確認すること。

  4. 次のコマンドを入力して,変更に間違いがないか確認する。
         SYSBOOT> SHOW/STARTUP
    

  5. CONTINUEコマンドを入力して,ブートを継続する。
         SYSBOOT> CONTINUE
    

代替汎用スタートアップ・プロシージャを省略時のスタートアップ・プロシージャにする方法については, 第4.5.2 項を参照してください。

     SYSBOOT> SHOW/STARTUP
     Startup command file = SYS$SYSTEM:STARTUP.COM
     SYSBOOT> SET/STARTUP SYS$SYSTEM:XSTARTUP.COM
     SYSBOOT> SHOW/STARTUP
     Startup command file = SYS$SYSTEM:XSTARTUP.COM
     SYSBOOT> CONTINUE

4.5.2 代替省略時スタートアップ・コマンド・ プロシージャによるブート

省略時のシステム・スタートアップ・プロシージャはSYS$SYSTEM:STARTUP.COM です。しかし,サイトによっては,システムに特殊なスタートアップ・ コマンドを実行させる必要がある場合があります。 頻繁にSYS$SYSTEM:STARTUP.COM以外のスタートアップ・コマンド・プロシージャを使う場合は, そのプロシージャを省略時の設定で使用するよう指定することができます。

作業方法

  1. SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DATファイルを編集する。AUTOGENはこのファイルを使用して, パラメータを変更する。

  2. 代替プロシージャ名をSTARTUPシンボルに割り当てる行をMODPARAMS.DAT に追加する。
         STARTUP = "SYS$SYSTEM:MY_STARTUP.COM"
    

  3. 準備ができたらAUTOGENを起動する。システムを再ブートすると, ステップ2で指定したプロシージャが省略時のスタートアップ・コマンド・ プロシージャになる。

     $ EDIT SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT
        .
        .
        .
     [Insert the following line in MODPARAMS.DAT:]
     STARTUP = "SYS$SYSTEM:MY_STARTUP.COM"
        .
        .
        .
     $ @SYS$SYSTEM:AUTOGEN SAVPARAMS REBOOT

4.5.3 簡易スタートアップによるブート

スタートアップ・イベントの一部を省いて,システムをブートしなければならない場合もあります。 たとえば,スタートアップ・イベントに問題があってログインできない場合, スタートアップを実行せずにシステムをブートすれば, ログインして問題を解決できます。

簡易スタートアップでブートする場合は,システムを実行するのに必須な要素しか起動しません。 これらのタスクは,オペレーティング・システムのリリースによって変わることがあります。

作業方法

  1. 会話型ブートの手順については,次のマニュアルを参照。

  2. SYSBOOT>プロンプトに対して,次のコマンドを入力する。
         SYSBOOT> SET STARTUP_P1 "MIN"
    

  3. CONTINUEコマンドを入力して,ブートを継続。
         SYSBOOT> CONTINUE
    

  4. システムのブートが終了すれば,ログインする。そして,次のコマンドでSYSMAN を起動して,ステップ2で設定したSTARTUP_P1パラメータをクリアする。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
         SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
         SYSMAN> PARAMETERS SET STARTUP_P1 ""
         SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT
    

     [perform a conversational boot]
     SYSBOOT> SET STARTUP_P1 "MIN"
     SYSBOOT> CONTINUE
     [system completes booting]
     Username: <Return>
     Password: <Return>

     $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
     SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
     SYSMAN> PARAMETERS SET STARTUP_P1 ""
     SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT


重要
VAXCLUSTERシステム・パラメータの値を0 に設定して簡易スタートアップによるブートを行う場合は, アクセス可能なHSC装置またはDSSI装置だけがブート装置となります。またその際, ブート装置がHSCコントローラまたはDSSIコントローラで制御されている必要があります。

HSC 装置とDSSI装置をアクセス可能にするには, 次のいずれかの操作を行います。


4.5.4 スタートアップ・プロシージャのコマンドを表示しながらのブート

スタートアップ・コマンド・プロシージャをテストする場合,あるいはスタートアップ中の問題の原因を究明する場合, スタートアップ・コマンドを実行しながら, それらのコマンドを表示することができます。

作業方法

  1. 会話型ブートの手順については,次のマニュアルを参照。

  2. SYSBOOT>プロンプトに対して,次のコマンドを入力する。
         SYSBOOT> SET STARTUP_P2 "YES"
    

  3. CONTINUEコマンドを入力して,ブートを継続する。
         SYSBOOT> CONTINUE
    

  4. システムのブートが終了すれば,ログインする。さらに,次のコマンドでSYSMAN を起動して,ステップ2で設定したSTARTUP_P2パラメータをクリアする。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
         SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
         SYSMAN> PARAMETERS SET STARTUP_P2 ""
         SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT
    

     [perform a conversational boot]
     SYSBOOT> SET STARTUP_P2 "YES"
     SYSBOOT> CONTINUE
     [system completes booting]
     Username: <Return>
     Password: <Return>

     $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
     SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
     SYSMAN> PARAMETERS SET STARTUP_P2 ""
     SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT

4.5.5 SYSMANユーティリティによる通常シャットダウンの実行

SYSMANでシャットダウンする利点は,複数のノードを迅速にシャットダウンできる点です。SYSMAN を使用すれば,SHUTDOWN.COMの会話型ダイアログにいちいち応えなくても, シャットダウン・パラメータをすべて1行に入力すれば, 複数のノードをシャットダウンできます。SYSMANでは,ノードがシャットダウンするのを待っている必要はありません。 シャットダウン・ プロシージャ実行後,ただちに別のSYSMANコマンドを実行できます。

作業方法

  1. DCLプロンプト($)に対して次のコマンドを入力する。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
    

  2. SYSMAN>プロンプトに対し,次のコマンドを入力する。
         SYSMAN> SHUTDOWN NODE/[ 修飾子 ]
    

次の修飾子を指定できます。

修飾子 機能
MINUTES_TO_SHUTDOWN シャットダウン開始までの時間( 分)を示す。
REASON シャットダウンの理由を示す。
REBOOT_TIME システムを再ブートする時間を示す。LATER, 2 P.M.あるいは14:00のように指定する。この時間はシャットダウン・ メッセージとともにユーザに表示される。
[NO]SPIN_DOWN_DISKS ディスクをスピン・ダウンする。 省略時の値はNO。システム・ディスクはスピン・ダウンできない。
[NO]INVOKE_SYSHUTDOWN サイト別シャットダウン・プロシージャを呼び出す。省略時の値はINVOKE_SYSHUTDOWN 。
[NO]AUTOMATIC_REBOOT シャットダウン完了時に,システムを自動的に再ブートする。 省略時の値はNO。
[NO]REBOOT_CHECK 基本オペレーティング・システム・ファイルをチェックし, 存在しなければユーザに通知する。省略時の値はNO。
[NO]CLUSTER_SHUTDOWN OpenVMS Cluster全体をシャットダウンする。省略時の値はNO。
[NO]REMOVE_NODE アクティブなクラスタ・ クォーラムからノードを削除する。長期間,シャットダウン・ ノードをクラスタのメンバにする予定がないときに使用する。省略時の値はNO 。
[NO]SAVE_FEEDBACK システムが最後にブートされてからのそのシステムのフィードバック・ データを記録し,AUTOGENフィードバック・データ・ファイルの新しいバージョンを作成する。 このファイルは,次回ユーザがAUTOGENを実行したときに使用される。 省略時の設定はNO。

     $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
     SYSMAN> SHUTDOWN NODE/MINUTES_TO_SHUTDOWN=10/REBOOT_TIME="later" -
     _SYSMAN> /REASON="DISK CORRUPTION PROBLEMS"/REBOOT_CHECK/SAVE_FEEDBACK

このコマンド例をNODE21で入力した場合,次の条件でNODE 21のシャットダウンを要求します。

詳細は,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照してください。

4.5.6 SYSMANによるスタートアップ・プロシージャ・ コマンドの表示

会話型ブートを実行してスタートアップ・プロシージャを表示させるのに加えて,SYSMAN のSTARTUP SET OPTIONSコマンドを使用してもスタートアップ状態を表示できます。SYSMAN を利用する利点は,複数のノードを同時に検証しログをとることができることです。

SYSMANスタートアップ・ログはSTARTUP_P2を次の項目を指定するように再定義します。

STARTUP SET OPTIONSコマンドには,表 4-2 に示す4 つのオプションがあります。

表 4-2 スタートアップ・ログ・オプション

オプション 機能
/VERIFY=FULL コンポーネント・スタートアップ・プロシージャと STARTUP.COM によって実行されたすべてのDCL行を表示する。
/VERIFY=PARTIAL コンポーネント・ スタートアップ・プロシージャによって実行されたすべてのDCL 行を表示する。ただし,STARTUP.COMによって実行されたDCL行は表示しない。
/OUTPUT=FILE /OUTPUT=CONSOLE SYS$SPECIFIC:[SYSEXE]STARTUP.LOGを作成する。 スタートアップ・プロシージャによって生成されたすべての出力を含む。 または,この出力をコンソールに表示できる。
/CHECKPOINTING 各スタートアップ・フェーズとコンポーネント・ ファイルの時間と状態を記述した情報メッセージを表示する。

作業方法

  1. $プロンプトに対し,次のコマンドを入力する。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
    

  2. SYSMAN>プロンプトに対し,次のコマンドを入力する。
         SYSMAN> STARTUP SET OPTIONS/[ 修飾子 ]
    

    修飾子は,表 4-2に挙げたオプションを使用できる。 これらのオプションは,次回システムをブートしたときも有効である。

     $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
     SYSMAN> STARTUP SET OPTIONS/VERIFY=FULL/OUTPUT=FILE/CHECKPOINTING

この例は,次の条件でスタートアップ・ログを要求しています。


完全検証
STARTUP.LOGファイルへの出力
チェックポイント

現在のスタートアップ・オプションを確認するには,次のコマンドを入力します。

     SYSMAN> STARTUP SHOW OPTIONS

詳細は『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照してください。

4.6 ブート中の問題の解決

BOOTコマンドを入力したときにハードウェアまたはソフトウェアが誤動作すると, オペレーティング・システムがブートできないことがあります。

ハードウェア上の問題

ディスク・ドライブやコンソール・メディアの読み取りエラー,あるいはマシン・ チェック時のエラーは,ほとんどの場合,ハードウェアの誤動作が原因です。 ハードウェア上の問題が発生すると,通常,システム・コンソール・ ターミナルには,先頭に疑問符(?)の付いたエラー・メッセージが表示されます。 次のいずれかまたは両方を実行してください。

ソフトウェア上の問題

オペレーティング・システムがメモリにロードされたものの, STARTUP.COMコマンド・プロシージャが動作しない場合は,ほとんどの場合, ソフトウェア上の誤動作が原因です。特に,次のメッセージが表示されない場合は, その可能性が高くなります。

     The OpenVMS system is now executing the system startup procedure.

この問題に対しては,次のいずれかまたは両方を実行してください。

4.7 システム・ディスクへのブート・ブロックの書き込み

システム・ディスクのブロック0はブート・ブロックです。このブロックには, システムをブートするときに使用される1次ブートストラップ・ イメージの大きさと位置が記憶されています。

VAXシステムでは,1次ブートストラップ・イメージはVMB.EXEです。

Alphaシステムでは,1次ブートストラップ・イメージはAPB.EXEです。

いくつかのプロセッサは,このブート・ブロックを読み取り,1次ブートストラップ・ イメージの位置を知ります。ブート・ブロックを読み取るプロセッサを次に示します。

ユーザのシステムがブート・ブロックを読み取るかどうかについては,次のマニュアルを参照してください。

システム・ディスクのブート・ブロックが不正と思われる場合は, WRITEBOOTユーティリティを使って新しいブート・ブロックを書き込むことができます。 ブート・ブロックが不正になる原因として考えられるのは, 次のような場合です。

WRITEBOOTユーティリティを使用するためには,LOG_IO特権が必要です。

作業方法

VAXシステムの場合,次の手順に従ってWRITEBOOTユーティリティを使用します。

  1. 次のコマンドを入力して,WRITEBOOTユーティリティを起動する。
         $ RUN SYS$SYSTEM:WRITEBOOT
    

  2. このプロシージャは次のメッセージを表示する。
         Target system device (and boot file if not VMB.EXE):?
    

    VAXシステムでは,VMB.EXEは省略時のブートストラップ・イメージである。 次のフォーマットで応答を入力する。

    device:[VMS$COMMON.SYSEXE]VMB.EXE;

    ユーザのシステムのアップグレードとインストールのマニュアルに記載されている装置名フォーマットを使用すること。 省略時以外のブートストラップ・ イメージでブートする場合,装置とディレクトリを含む, イメージの完全ファイル指定を指定しなければならない。

  3. 次のメッセージが表示される。
         Enter VBN of boot file code (default is one):
    

    通常,ブート・コードは,ブートストラップ・イメージの仮想ブロック番号(VBN) 1 に位置する。Returnを押して,そのまま省略時の値の1 を選択する。

  4. 次のメッセージが表示される。
         Enter load address of primary bootstrap in HEX (default is 200):
    

    ロード・アドレスは,システムがブートストラップ・イメージをロードするメモリ上の位置(16 進法)。通常,ブートストラップ・ イメージはアドレス200にコピーする。Returnを押して,そのまま省略時の値の200 を使用する。

  5. 指定した情報がシステム・ディスクのブート・ブロック(ブロック0) に書き込まれる。

Alphaシステムの場合,次の手順に従って,WRITEBOOTユーティリティを使用します。

  1. 次のコマンドを入力して,WRITEBOOTユーティリティを起動する。
         $ RUN SYS$SYSTEM:WRITEBOOT
    

    ブート・ブロックのVAX部分を書き込むか尋ねてくる。

         Update VAX portion of boot block (default is Y):
    

  2. NOを入力する。

  3. 次のプロンプトが表示される。
         Update Alpha portion of boot block (default is Y):
    

    Reterunキーを押すと,省略時の設定でYになる。

  4. Alphaブートストラップ・イメージの指定を求める次のプロンプトが表示される。
         Enter Alpha boot file:
    

    Alphaシステムの場合,APB.EXEが省略時のブートストラップ・イメージである。 次の形式で応答する。

    装置: [VMS$COMMON.SYSEXE]APB.EXE;

    装置には,システム・ディスクの装置名を指定する。

  5. 指定した情報がシステム・ディスクのブート・ブロック(ブロック0) に書き込まれる。

VAXとAlphaのどちらのシステムの場合でも,WRITEBOOTユーティリティは, 次のエラー・メッセージを表示することがあります。

VAXシステムの場合,次のように入力すると,システム・ディスクにブート・ ブロックを書き込みます。

     $ RUN SYS$SYSTEM:WRITEBOOT
     Target system device (and boot file if not VMB.EXE):? DUA0:[VMS$COMMON.SYSEXE]VMB.EXE
     Enter VBN of boot file code (default is one):<Return>
     Enter load address of primary bootstrap in HEX (default is 200): <Return>

Alphaシステムの場合,次のように入力すると,システム・ディスクにブート・ ブロックを書き込みます。

     $ RUN SYS$SYSTEM:WRITEBOOT
     Update VAX portion of boot block (default is Y): N
     Update Alpha portion of boot block (default is Y): <Return>
     Enter Alpha boot file: DUA0:[VMS$COMMON.SYSEXE]APB.EXE;

4.8 システムのシャットダウン

オペレーティング・システムには,次のシャットダウン・プロシージャが用意されています。

プロシージャ 目的 参照箇所
SHUTDOWN.COM 通常のシャットダウン・ プロシージャ。このプロシージャでは,ログインの禁止, バッチと出力キューの停止,ボリュームのディスマウント,ユーザ・ プロセスの停止など,ハウスキーピングを行いながらシステムをシャットダウンする。 第4.8.1 項
OPCCRASH.EXE 緊急のシステム・ シャットダウン・プログラム。SHUTDOWN.COMによる通常のシャットダウンができない場合,OPCCRASH 緊急シャットダウン・ プログラムを実行する。 第4.8.4 項
コンソール・コマンドを使用したシャットダウン 緊急シャットダウン・コマンド。 コンソール・シャットダウン・コマンドは,OPCCRASH.EXEが失敗したときだけ使用する。 第4.8.5 項

4.8.1 SHUTDOWN.COMによる通常のシャットダウン

SYS$SYSTEM:SHUTDOWN.COMは,通常時にシステムをシャットダウンするときに使用するプロシージャです。 シャットダウン・イベントの順序については, 第4.8.2項を参照してください。

SHUTDOWN.COMは変更しないでください。シャットダウン中にサイト別の操作を行う方法については, 第4.8.3項を参照してください。

通常,シャットダウンは,省略時の設定ですべての特権を持つSYSTEMアカウントから行います。SHUTDOWN.COM を実行するには,SETPRV特権,または次のすべての特権が必要です。


AUDIT
CMKRNL
EXQUOTA
LOG_IO
NETMBX
OPER
SECURITY
SYSNAM
SYSPRV
TMPMBX
WORLD

SHUTDOWN.COMが次のメッセージを表示するまでの間であれば,Ctrl/Yを押すことによって, 問題なくシステム・シャットダウンをキャンセルできます。

     %SHUTDOWN-I-SITESHUT, The site-specific shutdown procedure will now be invoked.

このメッセージが表示された後でCtrl/Yを押した場合,すでにシャットダウンされたシステム要素もあるので, 手動で回復しなければなりません。 たとえば,プロセスの再起動,ディスクのマウント,システムの再ブートなどは手動で行うことになります。

作業方法

  1. システム管理者のアカウント(SYSTEM)か,必要な特権を持つアカウントにログインし, 次のコマンドを入力する。
         $ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN.COM
    

    このコマンドは,通常のシャットダウン・プロシージャを呼び出す。 このプロシージャは,いくつかの質問とメッセージを表示する。省略時の応答が, 各質問の最後に括弧に囲まれて表示される。Returnキーを押すと, 省略時の応答が選択される。

  2. 次の質問が表示される。
         How many minutes until final shutdown [0]?
    

    整数を入力する。システム論理名SHUTDOWN$MINIMUM_MINUTESを定義している場合, 入力可能な最小値はその整数値である。たとえば,この論理名を10 と定義している場合は,最終的なシャットダウン時間として少なくとも10 分を指定する必要があり,それ以下の時間を指定すると, エラー・メッセージが表示される。値を省略した場合, SHUTDOWN.COMは論理名の値を使用する。


    重要
    省略時の設定ではゼロ(0)分です。 論理名SHUTDOWN$MINIMUM_MINUTESの定義がなく,かつ値が省略された場合は, 最後の質問の応答後ただちにシステムはシャットダウンします。

  3. 次の質問が表示される。
         Reason for shutdown [standalone]:
    

    システムをシャットダウンする理由を1行で入力する。たとえば"Monthly preventive maintenance" と入力する。

  4. 次の質問が表示される。
         Do you want to spin down the disk volumes [No]?
    

    YES (Y)またはNO (N)を入力する。ただし,システム・ディスクを停止することはできない。 また多くのディスク,特にSCSIディスクは停止できない。

  5. 次の質問が表示される。
         Do you want to invoke the site-specific shutdown procedure [Yes]?
    

    サイト別のシャットダウン・プロシージャを呼び出すかどうかを指定する。SYSHUTDWN.COM にサイト別のコマンドを入力している場合は,Return キーを押す。詳細は第4.8.3.2 項を参照。

  6. 次の質問が表示される。
         Should an automatic system reboot be performed [No]?
    

    省略時の設定では,システムは自動的な再ブートを行わない。しかし,YES と応答すると,システムは,シャットダウンが終了してから自動的に再ブートを行おうとする。 たとえば,SYSMANまたはSYSGENで非動的システム・ パラメータ値を変更して,新しい値を有効にするためには, システムを再ブートする必要がある。このような場合は,YESと応答する。

  7. 次の質問が表示される。
         When will the system be rebooted [later]?
    

    ステップ6でYESを入力した場合,この質問に対する省略時の応答は"[shortly via automatic reboot]" となる。

    Returnキーを押せば,省略時の値をとる。その他の場合,希望の再ブート時間を任意のフォーマットで入力する。 たとえばIMMEDIATELY,IN 10 MINUTESと指定したり, 2 P.M.または14:00などの時刻形式で指定することもできる。 再びシステムが使用できる時期がはっきりしない場合は,Return を押して"later"を選択する。

  8. プロシージャは,1つまたは複数のシャットダウン・オプションを指定するよう, 次のプロンプトを表示する。ユーザのシステムがOpenVMS Cluster 環境のメンバでない場合,このプロシージャはREBOOT_CHECK とSAVE_FEEDBACKオプションしか表示しない。
         Shutdown options (enter as a comma-separated list):
          REMOVE_NODE         Remaining nodes in the cluster should adjust quorum
          CLUSTER_SHUTDOWN    Entire cluster is shutting down
          REBOOT_CHECK        Check existence of basic system files
          SAVE_FEEDBACK       Save AUTOGEN feedback information from this boot
          DISABLE_AUTOSTART   Disable autostart queues
         Shutdown options [NONE]
    

    希望のオプションを選択する。次の中から選択すること。

    オプション 説明
    REMOVE_NODE クラスタ内の他のノードのEXPECTED_VOTES システム・パラメータの値を減少させる。このパラメータは, ノードがクラスタに追加されるたびに自動的に増加される。REMOVE_NODE を指定してもEXPECTED_VOTESはクォーラム値を下回ることはない。

    このオプションは,シャットダウンするノードが,かなり長い期間クラスタの外にある場合に使用する。

    このオプションを使用する場合,すべてのローカルに接続されたディスクはクラスタ全体でディスマウントされます。 このため, ローカルに接続されたディスク上でファイルをオープンした他のノード上のアプリケーションは必ずシャットダウンする必要があります。

    CLUSTER_SHUTDOWN クラスタのシャットダウンの同期をとる。各ノードのシャットダウンが一定のポイントまで進行していないと, シャットダウンは完了しない。

    このオプションは,クラスタ内の各ノードのシャットダウンの同期をとる場合に使用する。

    REBOOT_CHECK シャットダウン完了後,システムの再ブートに必要なファイルが存在するか確認する。

    このプロシージャは,必要なファイルの有無をチェックし,結果をユーザに通知する。 処理を続ける前に存在しないファイルを適切な場所にコピーしておく。

    SAVE_FEEDBACK システムが最後にブートされてから集められたそのシステムのフィードバック・ データを記録し,AUTOGENフィードバック・ データ・ファイルの新しいバージョンを作成する。このファイルは,AUTOGEN が次回実行されたときに使用される。

    AUTOGENフィードバック機構の使用方法についての詳細は第14.4.1項を参照

    DISABLE_AUTOSTART DISABLE AUTOSTART/QUEUES コマンドとシステム・シャットダウンの間の時間を指定する。詳細は 第13.7.1.9項を参照

     $ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN

              SHUTDOWN -- Perform an Orderly System Shutdown

     How many minutes until final shutdown [0]: 10
     Reason for shutdown: [Standalone] MONTHLY PREVENTIVE MAINTENANCE
     Do you want to spin down the disk volumes [No]? <Return>
     Do you want to invoke the site-specific shutdown procedure [Yes]? <Return>
     Should an automatic system reboot be performed [No]? <Return>
     When will the system be rebooted [later]? 12:30
     Shutdown options (enter as a comma-separated list):
      REMOVE_NODE         Remaining nodes in the cluster should adjust quorum
      CLUSTER_SHUTDOWN    Entire cluster is shutting down
      REBOOT_CHECK        Check existence of basic system files
      SAVE_FEEDBACK       Save AUTOGEN feedback information from this boot
      DISABLE_AUTOSTART   Disable autostart queues
     Shutdown options [NONE] <Return>

     SHUTDOWN message on AVALON, from user SYSTEM at _AVALON$OPA0:   12:00:00.20
     AVALON will shut down in 10 minutes; back up 12:30. Please log off node AVALON.
     MONTHLY PREVENTIVE MAINTENANCE

     %SHUTDOWN-I-OPERATOR, This terminal is now an operator's console.
     %%%%%%%%%%%  OPCOM, 16-MAY-1998 12:01:00.15  %%%%%%%%%%%
     Operator status for operator _AVALON$OPA0:
     CENTRAL, PRINTER, TAPES, DISKS, DEVICES, CARDS, NETWORK, OPER1, OPER2,
     OPER3, OPER4, OPER5, OPER6, OPER7, OPER8, OPER9, OPER10, OPER11,
     OPER12

     %SHUTDOWN-I-DISLOGINS, Interactive logins will now be disabled.
     %SET-I-INTSET, login interactive limit = 0 current interactive value = 17
     %SHUTDOWN-I-SHUTNET, The DECnet network will now be shut down.

     SHUTDOWN message on AVALON, from user SYSTEM at _AVALON$OPA0:   12:05:00.20
     AVALON will shut down in 5 minutes; back up 12:30. Please log off node AVALON.
     MONTHLY PREVENTIVE MAINTENANCE

     17 terminals have been notified on AVALON.

     SHUTDOWN message on AVALON from user SYSTEM at _AVALON$OPA0:   12:06:55.28
     AVALON will shut down in 3 minutes; back up 12:30. Please log off node AVALON.
     MONTHLY PREVENTIVE MAINTENANCE

     %%%%%%%%%%%  OPCOM, 16-MAY-1998 12:07:12.30  %%%%%%%%%%%
     Message from user DECnet on AVALON
     DECnet event 2.0, local node state change
     From node 2.161 (AVALON), 16-MAY-1998 12:07:22.26
     Operator command, Old state = On, New state = Shut
     SHUTDOWN message on AVALON user SYSTEM at _AVALON$OPA0:   12:08:12.56
     AVALON will shut down in 2 minutes; back up 12:30. Please log off node AVALON.
     MONTHLY PREVENTIVE MAINTENANCE

     %%%%%%%%%%%  OPCOM, 16-MAY-1998 12:08:12:30  %%%%%%%%%%%
     Message from user JOB_CONTROL on AVALON
     -SYSTEM-S-NORMAL, normal successful completion

     %%%%%%%%%%%  OPCOM, 16-MAY-1998 12:08:42.30  %%%%%%%%%%%
     Message from user DECNET on AVALON
     DECnet shutting down

     %SYSTEM-I-STOPQUEUES, The queues on this node will now be stopped.
     SHUTDOWN message on AVALON from user SYSTEM at _AVALON$OPA0:   12:09:12.56
     AVALON will shut down in 1 minute; back up 12:30. Please log off node AVALON.
     MONTHLY PREVENTIVE MAINTENANCE

     SHUTDOWN message on AVALON, from user SYSTEM at _AVALON$OPA0:   12:10:00.20
     AVALON will shut down in 0 minutes; back up 12:30. Please log off node AVALON.
     MONTHLY PREVENTIVE MAINTENANCE

     17 terminals have been notified on AVALON
     %SHUTDOWN-I-SITESHUT, The site-specific shutdown procedure will now be invoked.
     %SHUTDOWN-I-STOPUSER, All user processes will now be stopped.
     %SHUTDOWN-I-REMOVE, All installed images will now be removed.
     %SHUTDOWN-I-DISMOUNT, All volumes will now be dismounted.
     %%%%%%%%%%%  OPCOM, 16-MAY-1998 12:09:42.30  %%%%%%%%%%%
     Message from user System on AVALON
     _AVALON$OPA0:, AVALON shutdown was requested by the operator.

     %%%%%%%%%%%  OPCOM, 16-MAY-1998 12:10:02.44  %%%%%%%%%%%
     Logfile was closed by operator _AVALON$OPA0:
     Logfile was SYS$SYSROOT:[SYSMGR]OPERATOR.LOG;8

     %%%%%%%%%%%  OPCOM, 16-MAY-1998 12:10:32.20  %%%%%%%%%%%
     Operator _AVALON$OPA0: has been disabled, username SYSTEM

             SYSTEM SHUTDOWN COMPLETE

VAXシステムの場合,次のメッセージも表示される。

     USE CONSOLE TO HALT SYSTEM

このメッセージが表示されたらシステムを停止すること。

4.8.2 シャットダウン・イベントの順序

シャットダウンが進行すると,次に示すイベントが順番に発生します。そして, シャットダウン・プロシージャは,イベントごとにメッセージをターミナルに表示します。

  1. SHUTDOWN.COMは,システムのすべてのユーザに対してログアウトを求めるメッセージを時間間隔を狭めながら繰り返しブロードキャストする。

  2. SHUTDOWN.COMは,システム論理名SHUTDONW$TIMEにシャットダウン絶対時刻を定義する。 たとえば,SHUTDOWN.COMの実行後,12時ちょうどに最初の質問に対して10 と答えた場合,SHUTDOWN.COMは論理名SHUTDOWN$TIME をその日の12時10分に設定する。シャットダウンが行われているか, あるいは実際のシャットダウン時間を確認したい場合は,SHOW LOGICAL SHUTDOWN$TIME コマンドを入力する。この機能は, シャットダウン・ブロードキャスト・メッセージを見逃した場合などに便利である。

  3. システム・シャットダウンの遅くとも6分前,SHUTDOWNを起動したターミナルはオペレータ・ コンソールになる。これにより, SHUTDOWNは以降のすべてのオペレータ以外のログインを無効にする。 DECnetネットワークが動作している場合は,それをシャットダウンする。 この時点で,SET HOSTコマンドでシステムにログインしたユーザのセッションはなくなる。

  4. シャットダウンの1分前,SHUTDOWN.COMはバッチと出力キューを停止し, さらにキュー・マネージャの実行を停止する。

  5. シャットダウン絶対時刻になり,ユーザが要求すれば, SHUTDOWN.COMはサイト別のシャットダウン・コマンド・プロシージャSYS$MANAGER:SYSHUTDWN.COM を起動する。

  6. SHUTDOWN.COMは,残りのすべてのユーザ・プロセスを停止させる。 しかし,システム・プロセスの実行は継続される。また,補助制御プロセス(ACP) は,マウントされていたボリュームが最終的にディスマウントされてから, 自分を削除する。

  7. マルチプロセッサ・システムの場合,SHUTDOWN.COMは,サブプロセスを停止する。

  8. SHUTDOWN.COMは,インストールされているすべてのイメージを削除する。

  9. SHUTDOWN.COMは,マウントされているすべてのボリュームをディスマウントする。 ユーザが要求すれば,ディスクを停止する。 SHUTDONW$VERBOSEが定義されていた場合は,ディスマウントされたディスクの一覧が表示される。

    このプロシージャでは,システム・ディスクの停止は行われない。また, クォーラム・ディスクが存在する場合,クォーラム・ディスクのディスマウントや停止も行われない。

  10. SHUTDOWN.COMは,オペレータ・ログ・ファイルをクローズする。

  11. SHUTDOWN.COMは,SYS$SYSTEM:OPCCRASHプログラムを起動して, システムをシャットダウンする。

  12. 必要な制御が行われている場合で自動再ブートの要求があった場合には, システムは再ブートする。自動再ブートを要求するためには, 次の質問にYESと答える。
         Should an automatic system reboot be performed [No]?
    

    自動再ブートの要求がなかった場合は,システム・コンソールには次のようなメッセージが表示される。

         SYSTEM SHUTDOWN COMPLETE
    

    VAXシステムの場合,次のメッセージも表示される。

         USE CONSOLE TO HALT SYSTEM
    

    このメッセージが表示されたらシステムを停止すること。

4.8.3 SHUTDOWN.COMのカスタマイズによるサイト別の処理

SHUTDOWN.COMの実行時にシャットダウン・オプションを選択するという方法の他にも, 次のいずれかの方法で,SHUTDOWN.COMをカスタマイズして, サイト別の処理を行うことができます。

方法 参照箇所
論理名の定義 第4.8.3.1 項
サイト別シャットダウン・プロシージャの変更 第4.8.3.2 項

4.8.3.1 論理名の定義

SHUTDOWN.COMを実行する前に,次の論理名を定義しておけば,コマンド・ プロシージャの動作を制御することができます。

論理名 説明
SHUTDOWN$DECNET_MINUTES DECnetがシャットダウンするまでの時間を分単位で指定する。 この論理名は/SYSTEM修飾子を使用して定義する必要がある。 省略時の値は6分。
SHUTDOWN$DISABLE_AUTOSTART キュー用のオートスタートが無効になり, システムがシャットダウンするまでの時間を分単位で指定する。 この論理名は/SYSTEM修飾子を使用して定義する必要がある。 詳細は第13.7.1.9項を参照。
SHUTDOWN$INFORM_NODES システムのシャットダウン時, シャットダウンについて通知される OpenVMS Cluster ノードを指定する。この論理名の詳細は以降で説明する。
SHUTDOWN$MINIMUM_MINUTES 通知からシャットダウンまでの最少時間を指定する。 たとえば,通知から30分経過してからシャットダウンするためには, この論理名を30と定義する。この論理名は/SYSTEM 修飾子を使用して定義する必要がある。
SHUTDOWN$QUEUE_MINUTES キューがシャットダウンされるまでの時間を分単位で指定する。/SYSTEM 修飾子を使用して定義する必要がある。 省略時の値は1分。
SHUTDOWN$TIME シャットダウンの絶対時刻を定義する。 この論理名は/SYSTEM修飾子とともに定義する必要がある。
SHUTDOWN$VERBOSE 何らかの文字列を定義すると,シャットダウン・コマンド・プロシージャはディスクがディスマウントされるたびにそのディスクを表示する。

SHUTDOWN.COMを実行するときに必ず指定するオプションがあれば, その論理名をサイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャSYLOGICALS.COM に定義します。詳細は第5.2.5 項を参照してください。

システムのシャットダウン時に通知するノードを指定する

論理名SHUTDOWN$INFORM_NODESに,シャットダウン時に通知されるOpenVMS Cluster ノードを定義することができます。この論理名は, SYS$SYSTEM:SHUTDOWN.COMを実行する前に定義する必要があります。

SHUTDOWN$INFORM_NODESを定義するためには,次の形式でDEFINEコマンドを入力します。

DEFINE SHUTDOWN$INFORM_NODES "ノード・リスト"

ノード・リストには,次に示すように,通知するノードを指定します。

     $ DEFINE SHUTDOWN$INFORM_NODES "NODE1,NODE2,NODE3"

システムをシャットダウンするとき必ず同じノードに通知する場合は, このコマンドをサイト別のスタートアップ・コマンド・プロシージャSYLOGICALS.COM に追加します(第5.2.5項参照) 。

SHUTDOWN$INFORM_NODESを定義した場合,ノード・リストに定義されたすべてのメンバがSHUTDOWN.COM 実行時に通知されます。シャットダウンが実行されるノード上のユーザには必ず通知されます。 これは, SHUTDOWN$INFORM_NODESの有無に関係ありません。シャットダウンされるノードの名前をDEFINE コマンドのノード・リストに指定しない場合でも, SHUTDOWN.COMは自動的にその名前を追加します。

表 4-3に,SHUTDOWN$INFORM_NODESが定義されているかどうかに分けて, シャットダウンのフェーズごとにどのノードに通知されるかを示します。

表 4-3 シャットダウン中のノード通知

シャットダウン・フェーズ SHUTDOWN$INFORM_NODES
が定義されていない場合
SHUTDOWN$INFORM_NODES
が定義されている場合
最初のシャットダウン通知 すべてのノード上のすべてのターミナルに通知 ノード・リストに指定されたノード上のすべてのターミナルに通知
最初のシャットダウン通知からファイナル・ シャットダウンの2分前まで シャットダウンするノードにログインしているすべてのターミナルに通知 ノード・リストに指定されたノードにログインしているすべてのユーザに通知
ファイナル・ シャットダウン通知からファイナル・シャットダウンまでの2分間 すべてのノードにログインしているすべてのユーザに通知 ノード・リストに指定されたノードにログインしているすべてのユーザに通知
シャットダウンがキャンセルされたとき すべてのノード上のすべてのターミナルに通知 ノード・リストに指定されたすべてのノード上のすべてのターミナルに通知

4.8.3.2 サイト別シャットダウン・コマンド・ プロシージャの変更

サイト別シャットダウン・プロシージャSYS$MANAGER:SYSHUTDWN.COMにサイト別コマンドを追加することができます。 空のSYSHUTDWN.COMファイルは, ディストリビューション・キットに含まれています。

サイト別プロシージャSYSHUTDWN.COMを実行したいか尋ねられます。

     Do you want to invoke the site-specific shutdown procedure [Yes]?

ここで,Returnキーを押すと省略時の応答であるYESが選択され,サイト別プロシージャSYSHUTDWN.COM が起動されます。

4.8.4 OPCCRASH.EXEプログラムによる緊急時のシャットダウン

通常は,通常のシャットダウン・プロシージャSHUTDOWN.COMでシステムをシャットダウンします。SHUTDOWN.COM は,通常のハウスキーピング作業を実行した後,SYS$SYSTEM:OPCCRASH.EXE プログラムを呼び出してシステムをシャットダウンします。OPCCRASH.EXE は,次に挙げる最低限のハウスキーピング機能しか実行しません。

SHUTDOWN.COMを使用できない緊急の場合は,OPCCRASH.EXEを実行して,通常のシャットダウンで行われるハウスキーピング機能を実行せずにただちにシステムをシャットダウンします。


注意
OPCCRASH.EXEプログラムを直接使用するのは,SHUTDOWN.COM が失敗したときだけです。

作業方法

OPCCRASH.EXEプログラムを実行するためには,CMKRNL特権が必要です。 OPCCRASHコマンドは,特権アカウントであれば,どのターミナルからでも実行できます。 次の手順に従ってください。

  1. 任意の特権アカウントにログインする。

  2. 次のコマンドを入力する。
         $ RUN SYS$SYSTEM:OPCCRASH
    

  3. 数分経過してもシステムから応答がない場合は,CRASHプロシージャを使用する。CRASH プロシージャがない場合は,次のマニュアルに示されている緊急シャットダウン・ コマンドを使用する。

  4. 次のようなメッセージがコンソールに表示される。
         SYSTEM SHUTDOWN COMPLETE
    

    VAXシステムの場合,次のメッセージも表示される。

         USE CONSOLE TO HALT SYSTEM
    

    このメッセージが表示されたらシステムを停止すること。

次の例は,OPCCRASHプログラムを実行して強制的にシステムをクラッシュさせて, システムを停止している例です。

     $ RUN SYS$SYSTEM:OPCCRASH

              SYSTEM SHUTDOWN COMPLETE

     <Ctrl/P>

     >>>HALT

          HALTED AT 8000708A

VAXシステムの場合,次のメッセージも表示されます。

     USE CONSOLE TO HALT SYSTEM

このメッセージが表示されたらシステムを停止してください。

4.8.5 コンソール・コマンドによる緊急時のシャットダウン

さらに,CRASHコマンドという緊急コマンドを用意しているシステムもあります。CRASH コマンドがシステムに存在する場合は,コンソール・メディア上にあります。 CRASH プロシージャは,コンソール・ターミナルのコンソール・ プロンプトからしか実行できません。次に例を示します。

     P00>>> CRASH

CRASHコマンドがコンソールに存在しなければ,手動でシステムをシャットダウンできます。


注意
クラッシュ・コマンドをコンソールから使用するのは,OPCCRASH.EXE プログラムが失敗したときだけです。

VAXシステムでは,次のコマンドを入力します。

     P00>>> D PSL 041F0000
     P00>>> D PC FFFFFFFF
     P00>>> CON

Alphaシステムでは,次のコマンドを入力します。

     P00>>> D PS 1F00
     P00>>> D PC FFFFFFFFFFFFFF00
     P00>>> CON

CRASHプロシージャ,またはそれに類する強制緊急シャットダウン・コマンドについての説明は, 次のマニュアルを参照してください。


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