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D OpenVMS Registryの管理

OpenVMS Registry Serverは,OpenVMS Registry Databaseを管理するためのものです。 詳細については,『OpenVMS Connectivity Developer's Guide』を参照してください。

ここでは,OpenVMS Registryサーバのインストールと管理方法を説明します。 これは,OpenVMSバージョン7.2システムのインストール作業の一部です。

D.1 OpenVMS Registryへのアクセス

OpenVMS Registryデータベースは,OpenVMS Registryサーバを初めて起動したときに作成されます。 あらかじめ,SYS$REGISTRY 論理名を定義してから OpenVMS Registry サーバを起動する必要があります。 SYS$REGISTRY 論理名を定義しておかないと,OpenVMS Registry サーバは起動しません。

COM APIを使用してOpenVMS Registryにアクセスするには,COM for OpenVMS をインストールする必要があります。

Windows NTのアプリケーションであるRegEdt32を使用してOpenVMS Registry をアクセスするには,まず,Advanced Server for OpenVMS をインストールし, 設定して,起動させる必要があります。

D.2 OpenVMS Registryの設定

SYS$REGISTRY 論理名の値は,OpenVMS Registryデータベース・ ファイルのディスク記憶位置を決定します。 先にSYS$REGISTRY 論理名を定義してからOpenVMS Registry サーバを起動する必要があります。

OpenVMS Clusterでは,OpenVMS Registryサーバを稼働するすべてのノードからアクセスできる中央のディスク上にOpenVMS Registry データベースを置く必要があります。 それぞれのノードで,中央にあるアクセス可能な1つのディスクとディレクトリをポイントするために SYS$REGISTRY論理名を定義する必要があります。

SYS$REGISTRY の定義を含めるために, SYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM コマンド・ファイルを変更することをおすすめします。 SYLOGICALS.TEMPLATE ファイルには, 次のような情報が含まれています。

     $!   If any component uses the OpenVMS Registry, you must uncomment the
     $!   following line, editing it to provide a common cluster-wide definition.
     $!
     $! DEFINE SYS$REGISTRY cluster-visible directory specification
     $!

例 D-1では,SYS$REGISTRY 論理名を定義する方法を示しています。

例 D-1 SYS$REGISTRY Definition定義の例

$ CREATE/DIRECTORY DKA100:[SYS$REGISTRY]
$ DEFINE SYS$REGISTRY DKA100:[SYS$REGISTRY]

D.2.1 OpenVMS Registryの起動

OpenVMS Registryを稼働するためのシステムの設定が終わり, システムを再ブートすると,OpenVMS Registryサーバが自動的に起動されます。 REG$TO_BE_STARTED 論理名を使用すると,OpenVMS Registryサーバの自動スタートアップを許可したり, 禁止したりすることができます。

省略時の設定では,REG$TO_BE_STARTED 論理名は未定義です。 REG$TO_BE_STARTED 論理名が未定義の場合,または TRUE に設定されている場合は,システムを再ブートさせるとOpenVMS Registry サーバが自動的に起動します。

REG$TO_BE_STARTED 論理名が未定義の場合,システムでCOM for OpenVMS を起動させたときに COM for OpenVMSスタートアップ・プロシージャが自動的に OpenVMS Registry サーバを起動させます。

システムでOpenVMS Registryサーバの自動起動をさせたくない場合には, SYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM ファイルを変更して,次の定義を含めてください。

     $ DEFINE REG$TO_BE_STARTED FALSE

OpenVMS Registryサーバを手動で起動するのであれば, SYS$STARTUP:REG$STARTUP.COM コマンド・プロシージャを使用することをおすすめします。 このコマンド・プロシージャは, サーバのプロセス・クォータが最低限必要な値に設定されていることを確認しています。

OpenVMS Registryサーバで最低限必要なプロセス条件については, 表 D-1を参照してください。

表 D-1 OpenVMS Registryサーバ・プロセスの必要条件

プロセス
ast_limit : 64
buffer_limit : 100000
enqueue_limit : 200
file_ limit : 64
maximum_working_set : 4096
page_file : 400000
priority : 8
特権: SYSPRV
working_ set : 2048

D.2.2 OpenVMS Registryのシャットダウン

OpenVMS Registryをシャットダウンするには, STOP/ID=nnnnnnnnn コマンドを使用します。これによってOpenVMS Registry サーバ・プロセスが停止します。

D.2.3 クラスタにおけるOpenVMS Registryフェイルオーバ

OpenVMS Registryの可用性と信頼性を高めるために, クラスタ内で,ノードごとに最大1つずつのOpenVMS Registryサーバを複数稼働させることができます。 稼働させるOpenVMS Registryサーバの数にかかわらず,OpenVMS Registry データベースの数は1 つです。

クラスタ内で複数のOpenVMS Registryサーバを稼働させた場合,OpenVMS Registry データベースに対してアクティブであり, 書き込めるのは,1つのOpenVMS Registryサーバ・プロセスだけです。その他のOpenVMS Registry サーバ・プロセスは,スタンバイ状態になります。

省略時の設定では,クラスタ内で最初にアクティブになったOpenVMS Registryサーバ・ プロセスが継続してアクティブなままであり, そのプロセスが存在しなくなったり,OpenVMS Registryサーバ・プロセス間の優先順位が変更したりすると, アクティブなプロセスが変わります。

D.2.4 優先順位値の設定と変更

OpenVMS Registryサーバ・プロセスの優先順位の変更は,OpenVMS Registry サーバ・プロセスが稼働するクラスタ内の各ノードにおける優先順位の値の作成や変更で行うことができます。 優先順位の値が大きくなれば,優先順位自体も高くなります。

例 D-2は,優先順位の値の割り当てを示しており, ここでは,NODENAME1 がクラスタ内でアクティブなOpenVMS Registry サーバ・プロセスになります。

例 D-2 優先順位値の設定

$ mcr reg$cp
REG> CREATE VALUE HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\REGISTRY\PRIORITY -
_REG> /NAME=NODENAME1/DATA=15/TYPE=DWORD
REG> CREATE VALUE HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\REGISTRY\PRIORITY -
_REG> /NAME=NODENAME2/DATA=10/TYPE=DWORD
REG> CREATE VALUE HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\REGISTRY\PRIORITY -
_REG> /NAME=NODENAME3/DATA=5/TYPE=DWORD

例 D-2では, NODENAME1 がシャットダウンされると,OpenVMS Registryデータベースの制御は NODENAME2 にあるサーバ・プロセスに移ります。

例 D-3では,システム管理者が NODENAME3 の優先順位の値を20に増やす例を示しています。

例 D-3 優先順位の値の変更

$ mcr reg$cp
REG> MODIFY VALUE HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\REGISTRY\PRIORITY -
_REG> /NAME=NODENAME3/DATA=20/TYPE=DWORD

例 D-3では, NODENAME1 にあるOpenVMS Registryサーバ・プロセスはスタンバイ・モードになり, NODENAME3 にあるOpenVMS Registryサーバ・プロセスがアクティブになります。

D.3 WindowsシステムからのOpenVMS Registryへの接続

WindowsシステムからOpenVMS Registryデータベースにアクセスする際, 使用するWindowsシステムにはすべての特権を付与しておきます。 例えば,AdministratorとしてWindows NTシステムにログインした場合,OpenVMS Registry にあるすべてのキーと値に対して読み込みと書き込みができます。

OpenVMS Registryデータベースのキーや値を変更する場合は, 十分注意して行ってください。Windows NT Registryデータベースに損傷を与えた場合, 影響を被るのは1人のユーザだけ (そのWindows NTシステムのユーザ) です。これに対して,OpenVMS Registryデータベースに損傷を与えた場合,影響を被るのは,そのシステムまたはクラスタ内の すべてのアプリケーションとユーザになります。

D.4 OpenVMS Registryクォータの使用

クォータ・メカニズムはOpenVMS Registryのサイズを制限するものです。 システムは,すべてのOpenVMS Registryファイルに対して,ルート・キーへのクォータを割り当てます。 省略時の設定では,これらのルート・キーは USERS キーとLOCAL_MACHINE キーです。クォータはファイルの中に含まれている情報のサイズは制限しますが, 他のファイルに格納されている情報のサイズに関しては, それらがサブツリーの一部であったとしても制限しません。 例えば,USERS にクォータがあるとします。 USERS にはsubkey1subkey2 がありますが,subkey2 は独立したファイルに保存されているとします。 ここで,USERS 用のクォータはUSERSsubkey1, およびこれらに従属するすべてのもののサイズを制限しますが, subkey2 とそれに従属するもののサイズは制限しません。

省略時のクォータとファイル固有のクォータはHKEY_LOCAL_ MACHINE\SYSTEM\Registry キーの下で,OpenVMS Registry内に格納されています。

D.5 バージョンが複数あるAlphaクラスタでのOpenVMS Registry の使用

OpenVMS Registry Serverは,バージョンが複数あるAlpha クラスタ内で稼働できます。つまり,OpenVMS Registryは,OpenVMSバージョン7.2以外のOpenVMS のバージョンを含むクラスタ内でも稼働できるのです。ただし,OpenVMS Registry はOpenVMSバージョン7.2 を稼働しているノード上で稼働させる必要があります。

D.6 各国言語対応とUnicodeサポート

Windows NTを統合するために,OpenVMS RegistryはUnicodeに準拠しています。Unicodeの詳細については, 『OpenVMS V7.2新機能説明書』を参照してください。


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