[ 前のページ ] [ 次のページ ] [ 目次 ] [ DOC Home ]


1 TCP/IP Servicesのインストレーションとコンフィギュレーションを行う前の準備作業

本章では,日本語DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMSソフトウェアのインストレーションとコンフィギュレーションに必要な準備作業について説明します。

1.1 関連する主な作業の確認

TCP/IP Servicesソフトウェアのインストールは数分で完了します。このソフトウェアは,OpenVMS オペレーティング・システムのインストール手順の一環として同時にインストールすることも, レイヤード・プロダクトとして別個にインストールすることもできます。

TCP/IP Servicesのインストールが終了したら,次の作業として,構成要素を使用可能にし, メニュー方式のTCPIP$CONFIGコンフィギュレーション手順を実行して, コンフィギュレーションの内容を検証します。この作業は, 通常15分程度で終了します。

表 1-1に,TCP/IP Servicesソフトウェアのインストールとコンフィギュレーションに関係する主な作業を示します。

表 1-1 主な作業:インストールとコンフィギュレーション

手順 作業 参照先
1 インストールとコンフィギュレーションを行う前の準備作業 第1.2.1項 - 第1.3節
2 TCP/IP Servicesのインストレーション 第2章
3 TCP/IP Servicesのコンフィギュレーション(それぞれのネットワーク環境に合わせて行う必要があります) 第3章
4 コンフィギュレーションの内容の検証 第3章
5 必要に応じて,追加のコンフィギュレーションおよびセットアップ作業を実行 第3章

1.2 インストール前の作業

システムにTCP/IP Servicesをインストールする前に,以下の作業を完了しておく必要があります。

1.2.1 配布キットの検査

ソフトウェア配布キットが全部そろっていることを確認します。日本語OpenVMS ソフトウェア・ライブラリをお持ちの場合は,CDのマスター・インデックスでキットの場所を確認してください。 磁気テープまたはTK50版キットをご使用の場合は,TCP/IP Service をインストールするためのコマンドを入力するときに, 該当するメディアのデバイス名を入力してください。

一覧表(BOM)を参照して,すべての項目がキットに含まれているか確認します。 不足している項目や破損項目がある場合には,Compaqの担当窓口にお問い合わせください。

1.2.2 リリース・ノートの抽出

『日本語DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMSリリース・ノート』には,製品をインストールする前に知っておく必要がある重要な情報が含まれています。

リリース・ノートをテキスト・ファイルに抽出するには,POLYCENTER Software Installationユーティリティ・コマンドを次のように入力します。

     $ PRODUCT EXTRACT RELEASE_NOTES TCPIPJA/FILE=file_name.txt

file_name.txtは,出力先となるファイル名で,ユーザが指定します。 ファイル名を指定しないと,リリース・ノートは現在のディレクトリのDEFAULT.PCSI$RELEASE_NOTES という名前のファイルに書き出されます。

1.2.3 システム・ディスクのバックアップと日本語OpenVMS のアップグレード

TCP/IP Servicesのインストールを行う前に,ご自分の環境で使用しているバックアップ手順に従って, システム・ディスクのバックアップをとることをお勧めします。 バックアップ操作が完了したら,必要に応じて日本語OpenVMS オペレーティング・システムをアップグレードします。

システム・ディスクのバックアップ方法については,『OpenVMSシステム管理者マニュアル』を参照してください。

日本語OpenVMSのアップグレード方法については,OpenVMSの該当するアップグレードおよびインストレーション用マニュアルを参照してください。

1.2.4 ライセンス製品登録キーの登録

新規にライセンスされたノードやクラスタ上でTCP/IP Servicesソフトウェアのインストールを行うときには,OpenVMS ライセンス管理機能(LMF)を使ってライセンス製品登録キー(PAK) を登録する必要があります。PAKがない場合は,DECwindows TCP/IP トランスポート・ソフトウェアのみ使用できます。

対象のノードまたはクラスタにTCP/IP Servicesライセンスがすでに登録されており,TCP/IP Services のインストールがアップグレード・インストールの場合は, ライセンスPAKの登録は不要です。

ライセンスとメディアを同時に注文した場合には,PAKは納品される配布キットに含まれています。 それ以外の場合は,ライセンスの注文内容に応じて, ライセンスだけが納品されます。

TCP/IP Servicesと同時に必須またはオプションのソフトウェアをインストールする場合には, そのソフトウェアのPAKの状態を確認し,もし登録されていなければ,PAK を登録してからTCP/IP Servicesのインストールを行ってください。

ライセンスを登録するには,SYSTEMアカウントにログインし,以下のいずれかの操作を行います。

OpenVMS Clusterの各ノードでライセンスを登録します。

LMFについての詳細は,『OpenVMS License Management Utility Manual』を参照してください。

1.2.5 ディスクの空き領域の確認

システム・ディスクに,インストールに必要な空き領域があるか確認します。 以下に,両システムにそれぞれ必要なディスクの空き領域を示します。

システム 最小ブロック・サイズ
OpenVMS Alpha 57,000
OpenVMS VAX 42,000

実際に必要なディスクの空き領域は,システム環境,コンフィギュレーションの内容, 使用するソフトウェア・オプションによって異なります。

システム・ディスクに残された空きブロックを表示するには,次のコマンドを入力します。

     $ SHOW DEVICE SYS$SYSDEVICE

1.2.6 物理メモリの確認

システムに,インストールに必要な容量の物理メモリが搭載されているか確認します。 以下に,各システムの必要な物理メモリ容量を示します。

システム 最小メモリ
OpenVMS Alpha 32 MB
OpenVMS VAX 24 MB

メモリの容量を確認するには,次のコマンドを入力します。

     $ SHOW MEMORY/FULL

1.2.7 システム・パラメータの確認

TCP/IP Servicesソフトウェアのインストールに関しては,ほとんどのシステムが必要な条件を満たすシステム・ リソースを備えています。しかし, 次項以下で説明するシステム・パラメータについては,設定内容を確認したうえで,MODPARAMS.DAT ファイルに必要な変更を加えることをお勧めします。MODPARAMS.DAT ファイルを変更した場合は,AUTOGENを使用してシステムをリブートする必要があります。

1.2.7.1 グローバル・ページレットとグローバル・ セクション

TCP/IP Servicesソフトウェアを動作させるには,80のグローバル・セクションと10,500 のグローバル・ページレットが必要です。

使用できるグローバル・ページレットとグローバル・セクション数を確認するには,F$GETSYI レキシカル関数でWRITEコマンドを入力します。以下に例を示します。

     $ WRITE SYS$OUTPUT F$GETSYI("FREE_GBLPAGES")
     1234

     $ WRITE SYS$OUTPUT F$GETSYI("FREE_GBLSECTS")
     189

グローバル・ページレットとグローバル・セクション数を追加するには, システム・パラメータのGBLPAGESとGBLSECTIONSの値を増やすステートメントをMODPARAMS.DAT ファイルに追加します。

1.2.7.2 非ページング動的プール

TCP/IP Servicesソフトウェアを動作させるには,次の手順に従って,非ページング動的プールを少なくとも500,000 バイト追加します。

  1. SYSTEMアカウントにログインします。

  2. ご使用のシステムで,非ページング・プールをどの程度追加する必要があるかを確認します。 推定値の500,000バイトに,各ソケットに必要なバイト数をそれぞれ2,000 バイトとして,使用する最大ソケット数に相当するバイト数を加算します。

  3. 次の例を参考に,MODPARAMS.DATファイルを編集し,NPAGEDYN パラメータとNPAGEVIRパラメータを適切な値に変更します。
         ! Add nonpaged pool for DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS.
         !
         ADD_NPAGEDYN=500000
         ADD_NPAGEVIR=500000
    

非ページング動的プールについての詳細は,『OpenVMSシステム管理者マニュアル』を参照してください。

1.2.7.3 割り込みスタック・ページ(OpenVMS VAXのみ)

OpenVMS VAXシステムでPATHWORKSインターネット・プロトコル(PWIP)を使用している場合は, 割り込みスタック・ページ(INTSTKPAGES)の数を10以上に増やして, システム・スタートアップ時の警告とクラッシュを抑止する必要があります。PATHWORKS についての詳細は,PATHWORKSのマニュアルを参照してください。

割り込みスタック・ページ数を増やすには,INTSTKPAGESシステム・パラメータの値を増やすステートメントをMODPARAMS.DAT ファイルに追加します。

1.2.8 ユーザ識別コードの割り当て

OpenVMSユーザまたはユーザ・グループは,[group,member]の書式を割り当てられた一意のユーザ識別コード(UIC) で識別されます。 groupおよびmemberは数字または英数字の文字列です。 たとえばUICは,[306,210],[GROUP1,JONES],単にJONESなどのいずれにもなります。UIC は,ユーザおよびグループ特権を決定するシステム定義の権利データベースにリンクされています。

TCPIP$CONFIGコンフィギュレーション・プロシージャでは,グループUIC を使用して構成要素のためのアカウントを作成します。ユーザ指定のUIC が既存のコンフィギュレーションになかった場合には,8進数3655 (サービス・ アカウントの省略時のUICグループ番号)が使用されます。これがこの製品の最初のコンフィギュレーションでも,3655 が使用中であることをプロシージャが検出すると,TCPIP$CONFIG を実行したときに新しいUICグループ番号を入力するように要求するプロンプトが表示されます。

新しいグループUICを割り当てる前に,次のコマンドを入力して,選択する番号が未使用であることを確認します。

     $ RUN SYS$SYSTEM:AUTHORIZE

     UAF> SHOW /BRIEF [your_group_number,*]

     UAF> SHOW /IDENTIFIER /VALUE=UIC:[your_group_number,*]

新しいUICグループ番号を指定するには,論理名TCPIP$ASK_GROUP_UICにTRUE の値を代入します。これにより,TCP/IP Servicesのコンフィギュレーションを行う際に,TCPIP$CONFIG がグループUICを入力するよう要求します。

1.3 コンフィギュレーション情報の収集

表 1-2のワークシートを利用して, コンフィギュレーション情報を収集します。

そのシステムで初めてTCP/IP Servicesのコンフィギュレーションを行う場合は,TCPIP$CONFIG プロシージャは,表 1-2に示した情報を入力するよう要求します。 製品のアップグレード後に再度コンフィギュレーションを行う場合は, プロシージャは前のコンフィギュレーション情報を, 新しいコンフィギュレーション情報の省略時の値として使用します。

コンフィギュレーション・ワークシートの個々の質問に関する具体的な情報は, 『DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS Management』の該当する章を参照してください。

表 1-2 コンフィギュレーション・プラニング・ワークシート

質問 回答
システムのホスト名(MYNODEなど)  
システムのInternetドメイン名(widgets.comなど)  
システムのアドレスとマスクについて

  • IPアドレス(19.112.139.14など)

  • サブネット(ネットワーク・マスク)アドレス(255.0.0.0など)

  • ブロードキャスト・アドレス(19.255.255.255など)
 

 

 

システムのネットワーク・インタフェース(SE0など)  
TCP/IP ServicesのグループUIC(第1.2.8項を参照)([GROUP1,JONES]など)  
NFSプロキシー・データベース(TCPIP$PROXY.DAT)へのワールドREADアクセス権を非特権ユーザに与えたいかどうか NFSプロキシー・データベースは,システムへのアクセスを許可するかどうかを決定するために使用されるレジストリで,TCP/IP Services製品を実行しているすべてのOpenVMSクラスタ・ホスト間で共有されます。 システムを保護するには,このデータベースにファイル保護を設定して, このファイル自体へのアクセスを制限してください。  

SNMPを使用するかどうか。 使用する場合:

  • SNMP管理クライアントがSet要求を発行することでMIB を変更できるようにするかどうか

  • マスタ・エージェントが,不法なコミュニティ文字列を指定するSNMP 要求を受信したときに,認証トラップを有効にするかどうか

  • システムの担当者の名前と,システムの設置場所(Sam Spade; Falcon Building, Los Angeles, CAなど)

  • ネットワーク管理者がシステムをリモート管理できるようにするかどうか。 可能にする場合には,「public」コミュニティ名のコンフィギュレーションを行う必要があります。

  • 追加のコミュニティ名とアドレスを提供するかどうか(セットとトラップを実装するため)
 
ネットワークに適した経路選択の種類

  • 静的-経路に変更がない簡単なネットワーク

    静的な経路選択を使用する場合には,省略時のゲートウェイのホスト名とアドレス(GATWY1; 19.112.0.65 など)

  • 動的-柔軟性が要求される複雑なネットワーク

    動的な経路選択を使用する場合には,ROUTEDとGATEDのどちらの経路選択を使用するか

 
BINDリゾルバを使用するかどうか。使用する場合:

  • リゾルバに使用するBINDサーバの名前(MAINSVなど)

  • BINDサーバのIPアドレス(19.112.139.10など)

  • ドメイン名(mainsv@widgets.comなど)
 


[ 前のページ ] [ 次のページ ] [ 目次 ] [ DOC Home ]