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NUMBER_UPを使用して印刷する場合には,アスペクト比(ページの高さと幅の比率)はそのまま維持されます。したがって,ポートレート(縦長)のページはそのフォーマットをそのまま残します。しかし,NUMBER_UPは用紙上の使用可能な領域を最適に利用するために,ページを縮小および回転することがあります。このため,論理ページの向きと物理的な用紙の方向が異なる可能性があります。
図 11-5 NUMBER_UP =2 を使用したポートレート(縦長)方向
ページの印刷方向は縦長方向ですが,内容を読むときは用紙を横長方向に持たなければなりません。同じページをランドスケープ(横長)・ページとして印刷した場合には, 図 11-6 に示すように,内容を読むために用紙を縦長方向に持たなければなりません。
$ PRINT/PARAMETERS=(NUMBER_UP=2,PAGE_ORIENTATION=PORTRAIT) file-spec |
図 11-5 に示すように,ポートレート(縦長)方向を使用して1枚の用紙に2ページを印刷する場合には,次のコマンドを使用します。
$ PRINT/PARAMETERS=(NUMBER_UP=2,PAGE_ORIENTATON=LANDSCAPE) file-specc |
図 11-6 NUMBER_UP =2 を使用したランドスケープ (横長) 方向
1つのプリント・ジョブに複数のファイルを指定し,さらにNUMBER_UPを使用して用紙の各面に複数のページを印刷する場合には,印刷ジョブ内のすべてのファイルは NUMBER_UPに指定した値を使用して印刷されます。ジョブ内の一部のファイルが PostScriptファイルでない場合には,それらのファイルは新しい用紙に印刷されます。 PostScriptファイルの場合には,印刷は次のページ・スポット(ページに対して定義されている次の位置)から開始されます。
たとえば,2つの ANSI ファイルを印刷するときに,1つのファイルが7ページでもう1つのファイルが1ページであり,1枚の用紙に4ページを印刷する場合には,次のコマンドを入力します。
$ PRINT/QUEUE=PS40$A14/PARAMETERS=NUMBER_UP=4 7PAGES.TXT,1PAGE.TXT |
7PAGES.TXTの最初の4ページは1枚目の用紙に印刷されます。7PAGES.TXTの最後の 3ページは2枚目の用紙に印刷されます。そのとき,1つのページ・スポットはブランクになります。1PAGE.TXTファイルは3枚目の用紙に印刷され,3つのページ・スポットはブランクになります。
2つのPostScriptファイルを印刷するときに,1つのファイルが7ページであり,もう1つのファイルが1ページであり,1枚の用紙に4ページずつ印刷する場合には,次のコマンドを入力します。
$ PRINT/QUEUE=PS$IGUANA/PARAMETERS=NUMBER_UP=4 7PAGES.PS,1PAGE.PS |
7PAGES.PSの最初の4ページは1枚目の用紙に印刷されます。7PAGES.PSの最後の3ページと 1PAGE.PSの1ページ目は2枚目の用紙に印刷されます。
複数のPostScriptファイルを含むジョブで各ファイルの印刷を新しい用紙から開始する場合には,/BURST,/FLAG,または/TRAILER修飾子を使用してファイル・セパレータ・ページを指定します。次の例を参照してください。
$ PRINT/QUEUE=PS40$A14/PARAMETERS=NUMBER_UP=4/FLAG FILE1.PS,FILE2.PS |
プリント・ジョブの中で特定のページまたは特定のページ範囲を印刷することができます。
プリント・ジョブから特定の範囲のページだけを印刷するには,PRINTコマンドに PAGE_LIMITパラメータを指定します。ページの範囲を指定するには,1つまたは2つのページ番号を指定します。たとえば,プリント・ジョブの50ページ目から 100ページ目だけを印刷する場合は,次のコマンドを入力します。
$ PRINT/PARAMETERS="PAGE_LIMIT=(50,100)" MYFILE.PS |
このPAGE_LIMITパラメータの場合のように,パラメータ値の内部でカンマを使用する場合には,パラメータ全体を引用符で囲まなければなりません。 |
指定するページは文書内のページ番号と対応しません。これらは印刷したページの数を示すだけです。次のコマンドを使用すれば,このファイルの途中から最後の部分のみを印刷するよう指定できます。
$ PRINT/PARAMETERS="PAGE_LIMIT=(50,)" MYFILE.PS |
この例では,プリント・ジョブの50ページ目から印刷を開始し,プリント・ジョブの最後まで印刷することを DECprint Supervisor ソフトウェアに指定しています。
次のコマンドを使用すれば,文書の最初の部分だけを印刷できます。
$ PRINT/PARAMETERS=PAGE_LIMIT=50 MYFILE.PS |
この例では,プリント・ジョブの最初の50ページだけを印刷することを DECprint Supervisor ソフトウェアに指定しています。
PAGE_LIMITパラメータを使用した場合には,upper-limit の値に到達したときに,プリント・ジョブは終了します。したがって,PAGE_LIMITパラメータを指定し,ファイルの最後まで印刷しない場合には,途中で印刷が打ち切られたファイルのファイル・トレーラ・ページは印刷されません。そのファイルの残りのデータと同一プリント・ジョブ内のそれに続くファイルは無視されます。
11.6.1 PAGE_LIMITと印刷部数の組み合わせ
/COPIESまたは/JOB_COUNT修飾子を使用して2部以上印刷する場合には, PAGE_LIMITパラメータを使用しないでください。次のコピーの印刷を開始する前にプリント・ジョブは終了してしまいます。PAGE_LIMITを指定して同じジョブを2回以上印刷する場合には,SHEET_COUNTパラメータを使用してください ( 第 1.5 節 を参照)。
11.6.2 中断されたプリント・ジョブの再起動
PAGE_LIMITパラメータを使用して,中断された位置の近くからプリント・ジョブを再起動すれば,そこから印刷を再開することができます。次の例を参照してください。
$ SET ENTRY/PARAMETERS="PAGE_LIMIT=(30,)"/RELEASE 301 |
この例では,プリント・ジョブ301の保留が解除され,プリント・ジョブの 30ページ目から印刷が開始されます。
PAGE_LIMITを使用して特定の範囲のページだけを印刷する方法は,使用する用紙を節約できますが,システム・オーバヘッドや処理時間を節約できるわけではありません。 DECprint Supervisor ソフトウェアは,指定されたページを印刷するためにプリント・ジョブ全体を先頭から処理しなければならないからです。 |
両面印刷ジョブに対してPAGE_LIMITパラメータを使用する場合には,ソフトウェアは左(バーソ)ページと右(レクト)ページの位置を無視します。PAGE_LIMITパラメータで指定した1ページ目は常にレクト・ページになります。
PAGE_LIMITを使用して用紙の両面に印刷するときに,レクト・ページとバーソ・ページの位置を正しく維持するには,印刷する1ページ目としてレクト・ページを指定しなければなりません。 |
特定のタイプのファイルには,印刷されるページのサイズが指定されています。たとえば,PostScriptファイルを作成するアプリケーションでは,用紙が特定のサイズであることを想定しており,そのサイズのページを作成するためのPostScriptデータが作成されます。
しかし,ファイルに指定する論理ページ・サイズは用紙の物理サイズと異なっていてもかまいません。用紙のサイズはSHEET_SIZEパラメータを使用して指定します。ページ・サイズが指定されていないファイルに対して論理ページ・サイズを指定するには, PAGE_SIZEパラメータを使用します。
PRINTコマンドにSHEET_SIZEパラメータを指定しなかった場合には,PAGE_SIZEの値が物理的な用紙のサイズであると解釈されます。プリント・ジョブにPAGE_SIZEも SHEET_SIZEも指定されていない場合には, DECprint Supervisor ソフトウェアは省略時の給紙トレイに装着されている用紙のサイズを使用します。
DECprint Supervisor ソフトウェアでサポートされるPAGE_SIZEの値を表示するには, HELP PRINT_PARAMETER PAGE_SIZEコマンドを入力してください。
ビジネス用封筒の論理ページ・サイズを使用して ANSI ファイルを印刷するには,次のコマンドを入力します。
$ PRINT/PARAMETERS=PAGE_SIZE=BUSINESS_ENVELOPE ADDR.TXT |
PostScriptファイルを印刷するためにプリント・ジョブにPAGE_SIZEパラメータを指定した場合には,PAGE_SIZEパラメータは無視されます。しかし,PAGE_SIZEパラメータとSHEET_SIZEパラメータの両方を指定すれば,物理的な用紙に収まるように論理ページの大きさを調整することができます( 第 11.8 節 を参照)。
表 11-2 に示すように,いくつかの用紙サイズは複数の名前を持っています。 DCPS で用紙サイズを指定する場合は,これらの名前のいずれでも使用することができます。 DCPS 用語は,DCPS がトレーラ・ページに印刷したり,エラー・メッセージで通知する場合に使用する用語です。
11.8 印刷するページのサイズの変更
PostScriptファイルでは,ページ・サイズは, PostScriptファイルを作成するときにアプリケーションが想定した用紙のサイズです。ほとんどの場合,ページ・サイズと用紙サイズは同じです。しかし,ページ・サイズと用紙サイズに対して異なる値を指定することができます。たとえば,用紙サイズに収まるように論理ページのサイズを変更する場合には (たとえば,Aサイズ用紙のみをサポートするプリンタで Bサイズ・イメージを印刷する場合),この機能を使用することができます。この場合には,次のコマンドを使用してください。
$ PRINT/PARAMETERS=(SHEET_SIZE=A,PAGE_SIZE=B) MOD_LINE.TXT |
PAGE_SIZEパラメータとSHEET_SIZEパラメータに対して異なる値を指定した場合には, DECprint Supervisor ソフトウェアはNUMBER_UPパラメータが指定されたかのように,ページを囲む枠も含めて,用紙サイズに収まるように自動的にページを拡大縮小します。枠を印刷しない場合には, 第 12 章 の説明に従って, LAYUP_DEFINITIONパラメータを使用することができます。
給紙トレイまたは用紙サイズを選択するPostScriptオペレータを含んだファイルは,この方法でページを拡大縮小しても,予想どおりに印刷されない可能性があります。 |
レイアップとは,論理ページを物理的な用紙に配置するためのプリンティング・システムの機能です。調整できるページ・レイアウトとしては,1枚の用紙に印刷するページ数の指定,マージン設定,ページ境界の指定などがあります。
ページ・レイアップの指定は2種類の方法で行うことができます。 1 つは,PRINTコマンド行にレイアップ・オプションを直接指定する方法で,もう 1 つは,プリント・ジョブにレイアップ定義ファイルを指定する方法です。
12.1.1 プリント・ジョブでのレイアップの指定
次のコマンド形式を使用すれば,プリント・ジョブにレイアップ定義ファイルを指定することができます。
$ PRINT file-name.PS/PARAMETERS=LAYUP_DEFINITION=layup_file |
PRINTコマンド行の layup_file に対して,レイアップ定義ファイルのファイル名を指定してください。ただし,ファイル・タイプである.LUPは指定しないでください。
PRINTコマンドに1つ以上のレイアップ・オプションを直接指定することもできます。その場合には,ここに示すようにLAYUP_DEFINITIONパラメータにこれらのオプションを指定します。
$ PRINT/PARAMETERS=(LAYUP="(NOBORDERS)",NUMBER_UP=2) |
このコマンドは,NUMBER_UPパラメータを使用するときにページ境界を印刷しないよう指定しています。LAYUP_DEFINITIONパラメータを使用してレイアップ・オプションを直接指定する場合には,レイアップ・オプションとレイアップ定義ファイル名を区別するために,引用符と括弧を使用しなければなりません。
レイアップ・オプションは 表 12-1 に示すとおりです。
レイアップ・オプション | 実行される操作 | 参照項目 |
---|---|---|
ALTERNATE | 用紙の各面ごとに2つのマージンを切り換えます。 | 第 12.1.2 項 |
BORDERS | ページ境界を描きます。 | 第 12.1.3 項 |
FIRSTPAGE | ページが印刷される最初のページ・スポットを指定します。 | 第 12.1.4 項 |
GRID | 用紙の各面のページ・スポットの数を列と行で設定します (このオプションはNUMBER_UPを無効にします)。 | 第 12.1.5 項 |
MARGINS= t,b,l,r | 用紙のマージンを設定します。ただし, t, b, l, r はそれぞれ,上,下,左,右マージンを示します。ページはマージン内に収まるように拡大縮小されます。 | 第 12.1.6 項 |
PAGEORDER | 用紙の各面にページが印刷される順序を指定します。 | 第 12.1.7 項 |
PAGESPERSHEET | NUMBER_UPによって設定したページ・スポットの数とは無関係に,用紙の各面に印刷されるページ数を設定します。 | 第 12.1.8 項 |
以降の各節では,レイアップ・オプションについて詳しく説明します。 第 12.2.1 項 にはレイアップ定義ファイルの例が示されています。
12.1.2 交互マージンの指定
ALTERNATEオプションを使用すれば,用紙の各面ごとに2種類のマージンを切り換えることができます。このオプションは両面印刷するのに役立ちます。
表 12-2 は,ALTERNATEオプションに指定できる値を示しています。
値 | 結果 |
---|---|
LEFT | 左マージンと右マージンを交互に切り換えます |
RIGHT | 左マージンと右マージンを交互に切り換えます |
なし | LEFT と同じ動作 |
TOP | 上部マージンと下部マージンを交互に切り換えます |
BOTTOM | 上部マージンと下部マージンを交互に切り換えます |
ALTERNATEオプションだけを指定し,値を指定しなかった場合には,左マージンと右マージンが交互に切り換えられます。
用紙の各面ごとのマージン切り換えは,次のプリント・パラメータを使用するプリント・ジョブに対して,省略時の処理の一部として実行されます。
次のプリント・パラメータを使用するプリント・ジョブの場合には,交互マージンの切り換えは省略時の処理の一部として実行されません。
PRINTコマンドに/PARAMETERS=SIDESを指定しなかった場合には,交互マージン処理が実行されるかどうかは,プリンタ・ハードウェアに応じて異なります(プリンタのマニュアルを参照してください)。
12.1.3 ページ境界の指定および省略
BORDERSオプションは各ページの周囲にページ境界を描きます。 PRINT /PARAMETERS=NUMBER_UPを使用してジョブを印刷する場合には,ページを区切るのにページ境界が役立ちます (NUMBER_UPを使用した場合には,省略時の設定としてページ境界が印刷されます)。 NOBORDERSオプションを使用すれば,ページ境界を印刷しないように指定することができます。
ページ境界はすべてのページ・スポットの周囲に印刷されるわけではなく,実際のページの周囲にだけ描かれます。このため,文書内のブランク・ページと存在しないページを区別するのに役立ちます。 図 12-1 は,BORDERSオプションを使用せずに1枚の用紙に4ページを印刷した場合を示しています。使用するコマンドは次のとおりです。
$ PRINT/PARAMETERS=(NUMBER_UP=4,"LAYUP_DEFINITION=(NOBORDERS)") MYFILE.MEM |
図 12-2 は,BORDERSを使用して同じページを印刷した結果を示しています。これはNUMBER_UPを使用するプリント・ジョブの場合の省略時の動作です。コマンドは次のとおりです。
$ PRINT/PARAMETERS=NUMBER_UP=4 MYFILE.MEM |
図 12-1 BORDERSを使用しない場合のNUMBER_UP =4の印刷
図 12-2 BORDERSを使用した場合のNUMBER_UP =4の印刷
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