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動的システム・パラメータ VCC_MAX_IO_SIZE は, Extended File Cache がキャッシュに格納できる I/O の最大サイズを制御します。サイズはブロック数で指定します。デフォルト・サイズは 127 ブロックです。
VCC_MAX_IO_SIZE の値を変更すると,ローカル・ノードに現在マウントされているボリュームに対する読み込みと書き込み,および将来マウントされるボリュームへの読み込みと書き込みに影響します。
VCC_MAX_IO_SIZE が 0 の場合,ローカル・ノードの Extended File Cache は読み込みも書き込みもキャッシュに格納できません。しかし, VCC$MIN_CACHE_SIZE エントリが予約メモリ・レジストリに登録されている場合は,スタートアップ時に Extended File Cache 用のメモリの予約が禁止されることはありません。
VCC_MAX_IO_SIZE は動的パラメータです。
4.12.11 VCC_READAHEAD (Alpha)
動的システム・パラメータ VCC_READAHEAD は, Extended File Cache が先読みキャッシュを使用できるかどうかを制御します。先読みキャッシュは,データを順に読み込むアプリケーションのパフォーマンスを向上する手法です。
デフォルト設定では,VCC_READAHEAD は 1 であり, Extended File Cache は先読みキャッシュを使用できます。ファイルが同じサイズの I/O で順に読み込まれていることが Extended File Cache で検出されると,現在の読み込みの前にデータがフェッチされるため,次の読み込みインストラクションで必要なデータはキャッシュに格納されています。
Extended File Cache で先読みキャッシュの使用を停止するには,
VCC_READAHEAD を 0 に設定します。
VCC_READAHEAD の値を変更すると,ローカル・ノードに現在マウントされているボリューム,および将来マウントされるボリュームに影響します。
先読み I/O はユーザ I/O から完全に非同期であり,十分なシステム・リソースを使用できる場合にだけ実行されます。
VCC_READAHEAD は動的パラメータです。
4.12.12 WBM_MSG_INT
WBM_MSG_INT は,OpenVMS Cluster システムでマスタ Write Bitmap と,それに対応するローカル Write Bitmap の間の更新トラフィックを管理するために使用できるシステム・パラメータの 1 つです (Write bitmap は Volume Shadowing ソフトウェアのミニコピー操作で使用されます)。その他のパラメータは WBM_MSG_UPPER と WBM_MSG_LOWER です。これらのパラメータは,メッセージ送信の頻度をテストする間隔と,メッセージが 1 つの SCS メッセージにまとめられるのか,1 つずつ分けて送信されるのかを決定する上限値と下限値も設定します。
シングル・メッセージ・モードでは,WBM_MSG_INT は,最適な Write Bitmap メッセージ・モードの評価が行われる間隔 (ミリ秒) です。シングル・メッセージ・モードでは,各リモート・ノードから要求される書き込みは,デフォルト設定では 1 つずつ個別の SCS メッセージとして,マスタ Write Bitmap を保有しているノードに送信されます。リモート・ノードから送信された書き込みが指定の時間内にメッセージの上限値に到達すると,シングル・メッセージ・モードはバッファード・メッセージ・モードに切り換えられます。
バッファード・メッセージ・モードでは,WBM_MSG_INT は,送信までにメッセージが待機する最大時間を指定します。バッファード・メッセージ・モードでは,メッセージは指定された時間内に収集され,1 つの SCS メッセージとして送信されます。送信されるメッセージの量が多い時間帯には,複数のメッセージを 1 つの SCS メッセージとしてまとめてマスタ Write Bitmap に送信する方が,各メッセージを個別に送信するより,一般に効率的です。
WBM_MSG_INT の最小値は 10 ミリ秒です。最大値は -1 であり,ロングワードで表すことができる正の最大値に対応します。デフォルト値は 10 ミリ秒です。
WBM_MSG_INT は動的パラメータです。
4.12.13 WBM_MSG_LOWER
WBM_MSG_LOWER は,OpenVMS Cluster システムでマスタ Write Bitmap と,それに対応するローカル Write Bitmap の間の更新トラフィックを管理するために使用できる 3 つのシステム・パラメータの 1 つです (Write bitmap は Volume Shadowing ソフトウェアのミニコピー操作で使用されます)。他のパラメータは WBM_MSG_INT と WBM_MSG_UPPER です。これらのパラメータは,メッセージ送信の頻度がテストされる間隔を設定し,メッセージを 1 つの SCS メッセージとしてまとめて送信するのか, 1 つずつ送信するのかを判断する上限値と下限値も設定します。
WBM_MSG_LOWER は,テスト時間内に送信されるメッセージの数の下限値であり,この値になると,シングル・メッセージ・モードが開始されます。シングル・メッセージ・モードでは,各リモート・ノードから要求された書き込みは,デフォルト設定により,マスタ Write Bitmap を保有するノードに個別の SCS メッセージとして 1 つずつ送信されます。リモート・ノードから送信された書き込みが指定された時間内にメッセージの上限値に到達すると,シングル・メッセージ・モードはバッファード・メッセージ・モードに切り換えられます。
WBM_MSG_LOWER の最小値は,時間内に 0 個のメッセージです。最大値は -1 であり,ロングワードで表すことができる正の最大値に対応します。デフォルト値は 10 です。
WBM_MSG_LOWER は動的パラメータです。
4.12.14 WBM_MSG_UPPER
WBM_MSG_UPPER は,OpenVMS Cluster システムでマスタ Write Bitmap と,それに対応するローカル Write Bitmap の間の更新トラフィックを管理するために使用できる 3 つのシステム・パラメータの 1 つです (Write bitmap は Volume Shadowing ソフトウェアのミニコピー操作で使用されます)。他のパラメータは WBM_MSG_INT と WBM_MSG_LOWER です。これらのパラメータは,メッセージ送信の頻度がテストされる間隔を設定し,メッセージを 1 つの SCS メッセージとしてまとめて送信するのか, 1 つずつ送信するのかを判断する上限値と下限値も設定します。
WBM_MSG_UPPER は,テスト時間内に送信されるメッセージの数の上限値であり,この値になると,バッファード・メッセージ・モードが開始されます。バッファード・メッセージ・モードでは,指定された時間内にメッセージが収集され,1 つの SCS メッセージとして送信されます。
WBM_MSG_UPPER の最小値は時間内に 0 個のメッセージです。最大値は -1 であり,ロングワードで表すことができる正の最大値に対応します。デフォルト値は 100 です。
WBM_MSG_UPPER は動的パラメータです。
4.12.15 WBM_OPCOM_LVL
WBM_OPCOM_LVL は,Write Bitmap システム・メッセージがオペレータ・コンソールに送信されるかどうかを制御します (Write bitmap は,Volume Shadowing ソフトウェアのミニコピー操作で使用されます)。指定できる値は次の表に示すとおりです。
値 | 説明 |
---|---|
0 | メッセージは送信されない。 |
1 | デフォルト。Write Bitmap の開始,削除,名前変更,および SCS メッセージ・モード (バッファードまたはシングル) が変化したときに,メッセージが送信される。 |
2 | 値を 1 に設定したときに送信されるすべてのメッセージの他に,多くのメッセージが送信される。 |
WBM_OPCOM_LVL は動的パラメータです。
4.13 Volume Shadowing for OpenVMS
Volume Shadowing for OpenVMS では,3 つの新機能が導入されています。それは,Write Bitmap によって有効になるミニコピー操作, OpenVMS Cluster システムのディザスタ・トレラントをサポートするための新しい修飾子,INITIALIZE コマンドに追加された新しい /SHADOW 修飾子です。ここでは,これらの機能について説明します。
4.13.1 Compaq Volume Shadowing for OpenVMS のミニコピー (Alpha)
Compaq Volume Shadowing for OpenVMS の新しいミニコピー機能と,それを可能にするテクノロジである Write Bitmap は, OpenVMS Alpha システムで完全にインプリメントされています。 OpenVMS VAX ノードは,この機能を使用するシャドウ・セットに書き込むことができますが,DCL コマンドを使用してマスタ Write Bitmap を作成したり,管理することはできません。
ミニコピー操作は単純なコピー操作です。ミニコピーは,シャドウ・セット・メンバをシャドウ・セットに戻すときに,コピー操作の代わりに使用できるように設計されています。メンバがシャドウ・セットから削除されると, Write Bitmap は, 図 4-1 に示すように,そのメンバが不在の間にシャドウ・セットに対して行われた変更を追跡します。
図 4-1 Write Bitmap へのアプリケーションの書き込み
メンバがシャドウ・セットに戻されると,Write Bitmap を使用してミニコピー操作が行われます。 図 4-2 を参照してください。ミニコピー操作が行われている間,アプリケーションはシャドウ・セットへの読み込みと書き込みを続行します。
図 4-2 シャドウ・セットに戻されたメンバ (仮想ユニット)
このように,ミニコピーを使用すると,シャドウ・セットにメンバを戻すのに必要な時間を大幅に短縮でき,この機能を使用するシャドウ・セットの可用性を大幅に向上できます。
通常,シャドウ・セット・メンバは,データをディスクにバックアップするためにシャドウ・セットから削除されます。ミニコピー機能が導入されるまでは,仮想ユニット (シャドウ・セット) をディスマウントしてメンバのデータをバックアップしなければなりませんでした。『Volume Shadowing for OpenVMS』の説明に沿って,シャドウ・セット・メンバをバックアップの目的で削除する際のガイドラインに従えば,仮想ユニットをディスマウントする必要はありません。
Compaq Volume Shadowing for OpenVMS の本バージョンで必要な追加メモリ容量も含めて,この新機能の詳細については,『Volume Shadowing for OpenVMS』を参照してください。
4.13.2 複数サイトの OpenVMS Cluster システムのための新しい Volume Shadowing 機能
OpenVMS バージョン 7.3 では,Volume Shadowing for OpenVMS に対して使用できるように,DCL コマンド DISMOUNT と SET に新しいコマンド修飾子が追加されました。これらの新しいコマンド修飾子を使用すると,複数サイトの OpenVMS Cluster システムでディザスタ・トレラントがサポートされるようになります。これらの新しい修飾子はおもに,サイト間ストレージ・インターコネクトのために Fibre Channel を使用する複数サイト・クラスタを対象に設計されていますが,他の構成でも使用できます。複数サイト OpenVMS Cluster システムでこれらの新しい修飾子を使用する方法については,ホワイト・ペーパー『Using Fibre Channel in a Disaster-Tolerant OpenVMS Cluster System』を参照してください。以下のアドレスの OpenVMS Fibre Channel Web サイトに掲載されています。
http://www.openvms.compaq.com/openvms/fibre/ |
ここでは,新しいコマンド修飾子について説明します。これらの修飾子の使い方については, 第 4.13.2.1 項 を参照してください。
DISMOUNT コマンドに新しい修飾子 DISMOUNT/FORCE_REMOVAL ddcu: が追加されました。デバイスとの接続が失われ,シャドウ・セットがマウント確認状態になった場合, /FORCE_REMOVAL ddcu:を使用して,指定されたシャドウ・セット・メンバ (ddcu:) をシャドウ・セットからただちに除外することができます。この修飾子を使用しないと,マウント確認が完了するまで,デバイスはディスマウントされません。この修飾子を /POLICY=MINICOPY (=OPTIONAL) 修飾子と組み合わせて使用することはできません。
指定するデバイスは,コマンドを発行する時点でノードにマウントされているシャドウ・セットのメンバでなければなりません。
複数サイトに存在するシャドウ・セット・メンバを管理するために,Set Device コマンドに次の新しい修飾子が追加されました。
デバイスとの接続が失われ,シャドウ・セットがマウント確認状態になった場合,この修飾子を指定すると,メンバはシャドウ・セットからただちに除外されます。
シャドウ・セットが現在マウント確認状態でない場合は,シャドウ・セットからの即時ディスマウントは行われません。デバイスとの接続が失われたものの,シャドウ・セットがマウント確認状態でない場合は,この修飾子を指定すると,マウント確認状態になったときにただちに,シャドウ・セットから除外する対象としてメンバにフラグが付けられます。
指定するデバイスは,コマンドを発行する時点でノードにマウントされているシャドウ・セットのメンバでなければなりません。
シャドウ・セットのメンバに対して使用するタイムアウトの値を指定します。
この修飾子に値を指定すると,その値はこの特定のデバイスに対して, SYSGEN パラメータ SHADOW_MBR_TMO で指定した値より優先します。シャドウ・セットの各メンバに異なる MEMBER_TIMEOUT 値を指定できます。
xxxxxx に対して指定できる値は 1〜16,777,215 秒の範囲です。
指定するデバイスは,コマンドを発行する時点でノードにマウントされているシャドウ・セットのメンバでなければなりません。
このシャドウ・セットに対して使用するマウント確認のタイムアウトを指定します。シャドウ・セットは仮想ユニット名 DSAnnnn で指定します。
この修飾子によって指定された値は,この特定のシャドウ・セットに対して設定されている SYSGEN パラメータ MVTIMEOUT より優先します。
yyyyyy に対して指定できる値は 1〜16,777,215 秒の範囲です。
指定するデバイスは,コマンドを発行する時点でノードにマウントされているシャドウ・セットのメンバでなければなりません。
zzz に対して指定できる値は 1〜4,294,967,295 ユニットの範囲です。
指定するデバイスは,コマンドを発行する時点でノードにマウントされているシャドウ・セットのメンバでなければなりません。
この修飾子を指定すると,シャドウ・セットの各メンバに割り当てるデフォルトの "コスト" を変更できるため,読み込み操作を行うときに,特定のメンバを他のメンバより優先させることができます。
シャドウイング・ドライバは,シャドウ・セットの各メンバが最初にマウントされるときに,各メンバにデフォルトの READ_COST 値を割り当てます。デフォルト値はデバイスのタイプに応じて異なり,デバイスをマウントするシステムの構成によっても異なります。DECRAM デバイス,同じ物理位置に直接接続されているデバイス,リモートの場所に直接接続されているデバイス, DECram でサービスされるデバイス,その他のサービスされるデバイスに対して,デフォルト値が設定されています。
この修飾子によって指定された値は,デフォルトの割り当てより優先します。シャドウイング・ドライバは,シャドウ・セット・メンバの現在のキューの深さの値を READ_COST 値に加算した後,値が最小のメンバから読み込みを実行します。
クラスタ内の各システムで,各シャドウ・セット・メンバに異なるコストを割り当てることができます。
/SITE コマンド修飾子を指定すると,シャドウイング・ドライバはデフォルトの READ_COST 値を割り当てるときに,サイト値を考慮します。デバイスが "リモートの場所に直接接続されているデバイス" に分類されるかどうかをシャドウイング・ソフトウェアが判断するには,/SITE コマンド修飾子がシャドウ・セットと各デバイスの両方に適用されていなければなりません。
サイト 1 にあるシステムから要求されたシャドウ・セットの読み込みは,やはりサイト 1 に存在するシャドウ・セット・メンバから実行されます。サイト 2 から同じシャドウ・セットの読み込みが要求された場合,サイト 2 にあるメンバから読み込むことができます。
y に対しては 0 以外の数値を指定できます。指定する値自体には意味がありません。この修飾子の目的は,すべてのシャドウ・セット・メンバの読み込みコストの設定を,シャドウイング・ソフトウェアが自動的に設定したデフォルトの読み込みコスト設定に戻すことです。 DSAnnnn は,このコマンドが発行されたノードにマウントされているシャドウ・セットでなければなりません。
この修飾子は,シャドウ・セット・メンバまたはシャドウ・セットのサイトの場所をシャドウイング・ドライバに示します (仮想ユニット名によって表現されます)。この修飾子を使用する前に, SYLOGICALS.COM コマンド・プロシージャでサイトの場所を定義しておくと,この修飾子を簡単に使用できます。
nnn に対して指定できる値は,1〜 255 の範囲です。
次の例では,サイトの場所の定義と,/SITE 修飾子の使い方を示しています。
$ DEFINE/SYSTEM/EXEC ZKO 1 $ DEFINE/SYSTEM/EXEC LKG 2 $! $! At the ZKO site ... $ MOUNT/SYSTEM DSA0/SHAD=($1$DGA0:,$1$DGA1:) TEST $ SET DEVICE/SITE=ZKO DSA0: $! $! At the LKG site ... $ MOUNT/SYSTEM DSA0/SHAD=($1$DGA0,$1$DGA1) TEST $ SET DEVICE/SITE=LKG DSA0: $! $! At both sites, the following would be used: $ SET DEVICE/SITE=ZKO $1$DGA0: $ SET DEVICE/SITE=LKG $1$DGA1: |
第 3 のメンバをシャドウ・セットに追加するときに,完全なコピー操作で,シャドウ・セットのどちらか一方または両方のソース・メンバを読み込みデータのソースとして使用するかどうかを制御します。この修飾子は,DCD 操作を使用しないコピー操作にだけ影響します。
HSG80 コントローラには先読みキャッシュがあり,シングル・ディスクの読み込み操作のパフォーマンスを大幅に向上します。コピー操作では通常,2 つのソース・メンバの間で読み込みを交互に行うため,先読みキャッシュを使用しても,その効果は発揮されません。この修飾子を使用すると,コピー操作で 1 つのソース・メンバからすべての読み込みを強制的に行うようにすることができます。
シャドウ・セットを指定すると,完全なコピー操作の読み込みはすべて,ディスクの物理的な位置とは無関係に,ディスクが現在の "マスタ" メンバであるソース・メンバから行われます。
シャドウ・セットのメンバを指定すると,そのメンバがすべてのコピー操作のソースとして使用されます。このため,リモート・マスタ・メンバではなく,ローカル・ソース・メンバを選択することができます。
この修飾子を使用するには,シャドウ・セットがマウント確認状態でなければなりません。この修飾子を指定すると,シャドウ・セットは修飾子が発行されたノードでただちにマウント確認を終了します。この修飾子は,ユニットを回復できないことがわかっているときに使用するように設計されています。このコマンドが完了した後,シャドウ・セットをディスマウントする必要があります。シャドウ・セットをディスマウントするには,次のコマンドを使用します。
$ DISMOUNT/ABORT DSAnnnn |
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